JP7155957B2 - 位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents

位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 Download PDF

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Description

本開示は、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置に関する。
従来、液晶表示装置や発光表示装置等の表示装置に関して、位相差フィルムや偏光板等の光学部材をパネル面に配置する構成が提案されている。
例えば有機発光表示装置等の発光表示装置においては、発光層の光を効率よく利用するため、反射性に優れた金属電極が設けられている。一方、当該金属電極を用いることにより、外光反射が大きくなる。そのため、発光表示装置においては、当該外光反射を抑制することを目的として、視認側に、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板と偏光子からなる円偏光板を用いることが知られている。
位相差フィルムには、前記1/4波長板の他、直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差フィルムは、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長の1/4λ又は1/2λの位相差に変換可能なものである。しかしながら、従来の位相差フィルムには、位相差フィルムを通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは位相差フィルムを構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する白色光に対して各波長ごとの偏光状態に分布が生じることに起因する。この問題を防ぐためには、各波長において設計した位相差になるよう、波長分散性を制御する必要があり、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差フィルム、いわゆる逆波長分散性を有する位相差フィルムが求められている。
位相差フィルムは、フィルムを延伸して製造する方法や、例えば、配向処理した支持体上に、重合性液晶化合物を含む重合性組成物を塗布し、溶剤を乾燥させ、液晶化合物を配向させた後、紫外線又は熱により重合させることによって製造する方法が挙げられる。
逆波長分散性を有する位相差フィルムとしては、例えば、2枚の位相差層を配向軸の方向にそれぞれ角度を付けて積層する方法が提案されている(特許文献1及び2)。しかし、このような積層体では、2枚の位相差層が必要であり、且つ2枚の位相差層を積層する際の製造上の煩雑さや位相差フィルムの膜厚が厚くなるなどの課題があった。
携帯型情報端末の高機能化及び普及に伴い、表示装置の厚みを薄くすることが求められてきており、その結果、構成部材である位相差フィルムの薄膜化も求められている。
そのため、1層で逆波長分散性を有する位相差層を構成することができるように、複屈折率(△n)の波長分散性を小さく若しくは逆にする特性を実現する、逆波長分散性の液晶化合物を用いた位相差フィルムの開発が行われてきている(例えば特許文献3~4)。なお、位相差フィルムに対する入射光の波長λを横軸に取り、その複屈折率(△n=異常光に対する屈折率n-常光に対する屈折率n)を縦軸にプロットして得たグラフの傾きが正(右肩上がり)である場合、その複屈折率の波長分散は逆である、又はその位相差フィルム乃至その位相差フィルムを構成する材料の液晶化合物は逆波長分散性である、と一般的に言われている。
しかしながら、例えば特許文献3~4の化合物など、従来の逆波長分散性を有する液晶化合物は複屈折率(△n)が小さいため、所望の位相差(Re(λ)=複屈折率△n(λ)×膜厚d)を得るためには、膜厚を厚くする必要があった。
また、例えば1/4波長板において、理想的な逆波長分散性が得られれば、可視光域全ての波長で円偏光に変換できるため、完全な外光の反射防止が可能になる。しかしながら、従来の逆波長分散性を有する液晶化合物は、逆波長分散性が不十分であり、理想的な逆波長分散性に近付けることが望まれている。
特許文献5には、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることが出来る重合性化合物として、化合物の主鎖に組み込まれている1個の4価のベンゼン環基に、2つの側鎖を有する構造が開示されている。特許文献5の重合性化合物自体は、液晶性を有しないことが示されており(特許文献5の表1)、特許文献5の重合性化合物に従来の逆波長分散性液晶化合物を混合することによって、逆波長分散性となる光学フィルムが示されているが、その逆波長分散性は理想的な逆波長分散性とは隔たりが大きいものである。
一方、特許文献6には、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムとして、ヒドラゾン骨格を有する特定の置換基によって置換されたヒドロキノンに由来する部分構造を有する重合性化合物から得られる光学フィルムが開示されている。
特許文献7には、紫外光を照射した場合に、変色や基材からの剥離が生じにくい光学異方体として、化合物の主鎖の1個の3価のベンゼン環基Mに1つの側鎖を有し、3価のベンゼン環基Mの主鎖方向の2つの置換基のうち、一方の置換基には1つの環構造を有し、もう一方の置換基には2つの環構造を有することを特徴とした重合性化合物を含有する重合性組成物を用いた光学異方体が開示されている。
特許文献8には、ムラが少ない光学異方体として、化合物の主鎖に組み込まれている1個の芳香環若しくは脂肪族環又はアルキレン基が、1つ又は2つの側鎖を有していても良い重合性化合物を含有する重合性組成物を用いた光学異方体が開示されている。
特開平10-68816号公報 特開2001-4837号公報 特表2010-522893号公報 特許第5962760号公報 国際公開2014/061709号公報 特開2017-120448号公報 国際公開2016/136533号公報 国際公開2016/104317号公報
更に、本発明者らは、逆波長分散性を有する従来の位相差フィルムが、高温高湿環境下において変色する場合があることを知見した。
本開示の実施形態は、前述のような実情を鑑み、複屈折率(△n)が大きく、耐熱性及び耐湿性に優れ、逆波長分散性を有する位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、複屈折率(△n)が大きく、耐熱性及び耐湿性に優れ、逆波長分散性を有する位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、下記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルムを提供する。
Figure 0007155957000001
(一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
は水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良く、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Rsp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、Zは、重合性官能基を表す。qは0以上4以下の整数を表し、化合物内にL及びAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良い。化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。化合物内に複数存在するQ及びQは、各々同一であっても異なっていても良く、また、QとQは結合して環を構成していても良い。*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。)
本開示の1実施形態は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程と、
前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程とを有する方法により、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する、
位相差層の転写に供する転写用積層体を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム上に、偏光板を備える光学部材を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の転写用積層体を準備する工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と
を有する、光学部材の製造方法を提供する。
また、本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム又は、前記本開示の1実施形態の光学部材を備える表示装置を提供する。
本開示の実施形態によれば、複屈折率(△n)が大きく、耐熱性及び耐湿性に優れ、逆波長分散性を有する位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、複屈折率(△n)が大きく、耐熱性及び耐湿性に優れ、逆波長分散性を有する位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することができる。
図1は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図2は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図3は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図4は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図5は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図6は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。 図8は、表示装置の1実施形態を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性成分を特定方向に配列させる作用をいう。
本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本開示において、有機基とは、少なくとも1つの炭素原子を含む官能基の総称を表す。
また、本明細書において「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
A.位相差フィルム
本開示の位相差フィルムは、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、下記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する。本開示の位相差フィルムは、更に、配向膜、基材等のその他の構成を有していても良い。
Figure 0007155957000002
(一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
は水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良く、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Rsp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、Zは、重合性官能基を表す。qは0以上4以下の整数を表し、化合物内にL及びAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良い。化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。化合物内に複数存在するQ及びQは、各々同一であっても異なっていても良く、また、QとQは結合して環を構成していても良い。*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。)
位相差フィルムの層構成について図を参照して説明する。図1~図3は、各々本開示の位相差フィルムの1実施形態を示す。図1の例に示される位相差フィルム10は、基材2上に配向膜3と位相差層1がこの順に積層されている位相差フィルムである。図2の例に示される位相差フィルム10’は、位相差層1のみからなる位相差フィルムである。また図3の例に示される位相差フィルム10”は、基材2’上に直接位相差層1が形成されている。図3の例に示される位相差フィルム10”には基材2’の位相差層1側表面に配向規制力を発現する手段が付されていてもよい。
従来の逆波長分散性を有する位相差フィルムは、上述したように複屈折率(△n)が小さいため、所望の位相差(Re(λ)=複屈折率△n(λ)×膜厚d)を得るためには膜厚を厚くする必要があるという問題がある。また、従来の逆波長分散性を有する位相差フィルムは、高温高湿環境下において変色する場合がある。本発明者らは、ヒドロキノン骨格のベンゼン環に側鎖となる置換基を導入した液晶化合物を用いた従来の位相差フィルムが、高温高湿環境下で変色しやすいことを知見した。ヒドロキノン骨格のベンゼン環に側鎖となる置換基を導入した液晶化合物を用いた従来の位相差フィルムは、製造中間体として用いたヒドロキノン、又は液晶化合物が分解することにより生じるヒドロキノン誘導体が混入しやすく、混入したヒドロキノン又はその誘導体の一部が、高温高湿環境下で酸化してベンゾキノン又はその誘導体となり、キンヒドロン型錯体が形成されることで、位相差フィルムが着色すると推定される。
それに対し、本開示の位相差フィルムは、位相差層が、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有することにより、逆波長分散性を有しながら、複屈折率(△n)が大きく、高温高湿下での変色が抑制されたものである。本開示の位相差フィルムが有する位相差層においては、重合性液晶化合物に由来する前記一般式(1)で表される構造によって配向性が高く、更に前記一般式(1)で表される構造中のビフェニレン基の2つのベンゼン環にそれぞれ1つずつ、合計2つの側鎖を有するため、逆波長分散性を有しながら、複屈折率(△n)が大きい位相差層となる。また、本開示の位相差フィルムが有する位相差層は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基により、良好な逆波長分散性を示すため、従来のヒドロキノン骨格を有する逆波長分散性液晶化合物の使用量が低減される。それにより、ヒドロキノン及びその誘導体の混入が抑制されて、高温高湿環境下での変色が抑制されると考えられる。
また、本開示の位相差フィルムが有する位相差層は、重合性組成物中の重合性液晶化合物が有する重合性基が重合した構造を有することにより、耐久性に優れる。
1.位相差層
本開示の実施形態の位相差層は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有するものである。本開示の実施形態の位相差層は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物からなるものであることが好ましい。
(重合性組成物)
本開示の実施形態の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物(以下、本開示の重合性液晶化合物という場合がある)を含むものであるが、更に、光重合開始剤を含有することが好ましい。
また、本開示の実施形態の重合性組成物は、位相差や逆波長分散性を調整する点や、配向性、溶解性、相転移温度を調整する点から、更に、本開示の重合性液晶化合物とは異なるその他の重合性液晶化合物(以下、その他の重合性液晶化合物という場合がある)を含有していても良く、また、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本開示の実施形態の重合性組成物を構成する各成分について順に説明する。
(1)一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物
本開示の実施形態の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含むことにより、逆波長分散性を有しながら、複屈折率(△n)が大きく、高温高湿下での変色が抑制された、耐熱性及び耐湿性に優れる位相差層を形成可能である。
また、本開示の実施形態においては、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の使用量を少量としても、所望の逆波長分散性を有する位相差層を得ることが可能であり、より薄膜の位相差層を得ることができる。
また、本開示の実施形態においては、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を、その他の重合性液晶化合物に少量添加することにより、所望の逆波長分散性を有する材料の位相差を調整することが可能である。
前記一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、或いは、QはQと結合して環を構成していても良い。
が、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表す場合、前記芳香環は、芳香族炭化水素環、及び芳香族複素環のいずれであっても良い。この場合、Qは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素原子数2以上30以下の有機基を表す。前記芳香環としては、下記の式(Q-1)から式(Q-22)から選ばれる基が好ましい。
は、波長分散性が良好になる点から、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子に置換されている、芳香族複素環を有する有機基であることが好ましく、波長分散性が良好で、高い複屈折を示すようになる点から、5員環と6員環の縮合環である芳香族複素環を有する有機基であることが更に好ましい。5員環と6員環の縮合環である芳香族複素環としては、例えば下記の式(Q-10)、式(Q-11)、式(Q-21)及び式(Q-22)から選ばれる基の炭素原子の1つ以上がヘテロ原子に置換されている芳香族複素環が好ましい。
Figure 0007155957000003
これらの基は任意の位置に結合手を有している。Qは-O-、-S-、-NRQa-(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)又は-CO-を表すが、これらの基中の-CH=は各々独立して-N=に置き換えられても良く、-CH-は各々独立して-O-、-S-、-NRQa-(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)-SO-、又は-SO-又は-CO-に置き換えられても良い(但し、酸素原子同士が直接結合する場合を除く。)。これらの環に結合する1つ以上の水素原子は、置換基Eによって置換されていても良い。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
前記式(Q-1)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-1-1)から式(Q-1-8)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000004
前記式(Q-7)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-7-1)から式(Q-7-7)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000005
式(Q-10)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-10-1)から式(Q-10-9)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000006
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-11)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-11-1)から式(Q-11-12)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000007
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-13)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-13-1)から式(Q-13-19)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000008
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-14)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-14-1)から式(Q-14-10)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000009
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-15)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-15-1)から式(Q-15-4)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000010
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-16)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-16-1)から式(Q-16-16)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000011
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-17)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-17-1)から式(Q-17-4)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000012
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-18)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-18-1)から式(Q-18-6)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000013
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-19)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-19-1)から式(Q-19-6)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000014
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-20)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-20-1)から式(Q-20-9)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000015
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。)
式(Q-21)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-21-1)及び式(Q-21-3)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
式(Q-22)で表される基としては、中でも、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q-22-1)及び式(Q-22-3)から選ばれる基が好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
Figure 0007155957000016
に含まれる芳香環は、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い前記の式(Q-1-1)、式(Q-7-1)、式(Q-7-2)、式(Q-7-7)、式(Q-8)、式(Q-10-2)、式(Q-10-3)、式(Q-10-4)、式(Q-10-5)、式(Q-10-6)、式(Q-10-7)、式(Q-10-8)、式(Q-10-9)、式(Q-11-2)、式(Q-11-3)、式(Q-11-4)、式(Q-11-5)、式(Q-11-6)、式(Q-11-7)、式(Q-11-8)、式(Q-11-9)、式(Q-11-10)、式(Q-11-11)、式(Q-11-12)、式(Q-21-1)、式(Q-21-2)、式(Q-22-1)、及び式(Q-22-2)から選ばれる基を表すことがより好ましく、無置換又は1つ以上の置換基Eによって置換されても良い前記の式(Q-10-2)、式(Q-10-3)、式(Q-10-4)、式(Q-10-5)、式(Q-10-6)、式(Q-10-7)、式(Q-10-8)、及び式(Q-10-9)、式(Q-21-1)、式(Q-21-2)、式(Q-22-1)、及び式(Q-22-2)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ後述するL、Rsp2及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ後述するL、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。また、好ましいL、RspE及びZは、それぞれ後述するL、Rsp2及びZとして好ましいものと同様である。
に含まれる芳香環が前記置換基Eによって置換されている場合の当該置換基Eとしては、耐湿熱性を向上する点から、-O-を含まないものが好ましく、中でも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表す置換基Eであることが好ましく、置換基Eにおいて、当該アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-S-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い。前記置換基Eとしては、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-S-、-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い。
さらに、Qは下記の式(Q-10-2)、式(Q-10-2a)、式(Q-10-3)、式(Q-10-3a)、式(Q-10-3b)、式(Q-10-6)、式(Q-10-6a)、式(Q-10-6b)、式(Q-10-6c)、式(Q-10-6d)、式(Q-10-7)、式(Q-10-7a)、式(Q-10-7b)、式(Q-10-7c)、式(Q-10-7d)、式(Q-10-7e)、式(Q-10-7f)、式(Q-10-9)、式(Q-10-9a)、式(Q-10-9b)、式(Q-21-1)、式(Q-21-2)、式(Q-22-1)及び式(Q-22-2)から選ばれる基を表すことが特に好ましく、中でも、耐湿熱性の観点から、式(Q-10-3)、式(Q-10-3a)、式(Q-10-3b)、式(Q-10-7)、式(Q-10-7a)、式(Q-10-7e)、式(Q-10-7f)、式(Q-10-9)、式(Q-10-9a)、式(Q-21-1)、式(Q-21-2)、式(Q-22-1)及び式(Q-22-2)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
なお、化合物内に含まれる複数のQは、同一であっても異なっていても良い。
Figure 0007155957000017
は、水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環(芳香族炭化水素環、及び芳香族複素環のいずれであっても良い)を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表すか、或いはQと結合して環を構成する。当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良い。
は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表す。
は、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表す。
は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表す。
sp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良い。
は、重合性官能基を表す。
qは0以上4以下の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
としては、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-又は単結合を表すことが好ましく、-O-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-又は単結合を表すことがより好ましく、-O-、-COO-、-OCO--COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-又は単結合を表すことが特に好ましい。化合物内にLが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
としては、重合性液晶化合物の液晶性を向上させ、配向性を向上させることが容易になる点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基であることがより好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基又はベンゼン-1,4-ジイル基であることがより更に好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン-1,4-ジイル基であることが特に好ましい。化合物内にAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
-L-Rsp2-Zで表される基において、Lとしては、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-又は単結合を表すことが好ましく、-O-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、又は単結合を表すことがより好ましい。なお、化合物内にLが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
sp2としては、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、好ましくは、炭素原子数1以上12以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-置き換えられていても良く、より好ましくは、炭素原子数1以上12以下のアルキレン基又は単結合を表し、より更に好ましくは、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基を表す。なお、化合物内にRsp2が複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
は重合性官能基を表す。当該重合性官能基としては、従来の重合性液晶化合物に使用される基を制限なく適用可能である。
当該重合性官能基は、それぞれ独立して下記式(Z-1)から式(Z-8)から選ばれる基を表すことが好ましい。なお、下記式(Z-1)から式(Z-8)において、*(アスタリスク)はRsp2との結合位置を示す。
Figure 0007155957000018
(式(Z-1)~(Z-8)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である。)
重合方法として紫外線重合を行う場合には、Zは、式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Z-5)、式(Z-7)が好ましく、式(Z-1)、式(Z-3)、式(Z-7)がより好ましく、式(Z-1)がさらに好ましく、式(Z-1)において、Rが水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である場合が特に好ましい。
に含まれるアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又は芳香環が、前記置換基Eによって置換されている場合の当該置換基Eとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、当該アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い。
における置換基Eとしては中でも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましく、更に、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ヒドロキシル基、又は、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
中でも、Qは、好ましくは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-又は-CH=CH-に置き換えられても良く、当該シクロアルキル基及びシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良い。
は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、Qが、ヘテロ原子を含まない構造であることが、複屈折の点から好ましい。また、Qが、ヘテロ原子をより多く含む構造であること、中でも、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-によって置換されている構造を有する場合には、化合物の溶剤溶解性が向上し、組み合わせる基材の選択肢も増える点から好ましい。また、Qが、-(L-A-L-Rsp2-Zであることが、膜の硬化度が向上することにより耐久性が向上する点から好ましい。
無置換の炭素原子数1以上20以下のアルキル基若しくは当該のアルキル基中の1個の-CH-が-CH=CH-に置き換えられたアルケニル基若しくは当該アルキル基中の1個の-CH-が-C≡C-に置き換えられたアルキニル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良い前記アルキル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-へキシル基、1-メチルペンチル基、n-ヘプチル基、1-エチルペンチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基等が挙げられる。
中でもQは、複屈折、溶剤溶解性、又は耐久性の点から、好ましくは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-又は-CH=CH-に置き換えられても良く、当該シクロアルキル基及びシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良い。Qは、より好ましくは、炭素原子数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基は当該シクロアルキル基によって置換されていても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられても良い。Qは、より更に好ましくは、炭素原子数1以上12以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基は当該シクロアルキル基によって置換されていても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々-O-に置き換えられても良い。
qは0以上4以下の整数を表すが、0以上2以下の整数を表すことがより好ましく、0又は1を表すことがさらに好ましく、0を表すことが特に好ましい。
中でもQは、複屈折、及び溶剤溶解性の点から、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、或いは、当該シクロアルキル基によって置換されていても良い前記アルキル基であることが好ましく、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であることがより好ましく、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状アルキル基であることがより更に好ましい。
における炭素原子数は、4以上であることが好ましく、12以下であることが更に好ましい。
なお、化合物内に含まれる複数のQは、同一であっても異なっていても良い。
とQは結合して環を構成していても良いが、その場合、QとQが結合している窒素原子又は炭素原子と一緒に形成している環としては、芳香環を有し炭素原子数が2以上30以下である環が挙げられ、炭素原子数は、2以上18以下であることがより好ましく、2以上14以下であることがより更に好ましい。中でも、-NQで表される環状基は、無置換であるか1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良い下記の式(QQ-1)から式(QQ-22)から選ばれる基を表すことが好ましい。
Figure 0007155957000019
式(QQ-1)から式(QQ-22)から選ばれる基中の-CH=は各々独立して-N=に置き換えられても良く、-CH-は各々独立して-O-、-S-、-NRQa-(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)-SO-、又は-SO-又は-CO-に置き換えられても良い(但し、酸素原子同士が直接結合する場合を除く。)。これらの環に結合する1つ以上の水素原子は、前記置換基Eによって置換されていても良い。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
及びQに含まれるπ電子の総数は、波長分散特性、液晶性、及び合成の容易さの観点から、4以上24以下であることが好ましく、更に4以上20以下であることが好ましい。
前記一般式(1)中のビフェニレン基の2つのベンゼン環が有する-CH=N-NQで表される基は、それぞれ下記の式(D-1)から式(D-33)から選ばれる基を表すことが、原料が入手しやすく、溶解性が良好で高い複屈折率を示す点から、特に好ましく、更に耐湿熱性の点から、下記の式(D-1)~式(D-19)、式(D-25)、式(D-26)、式(D-28)及び式(D-30)~式(D-33)から選ばれる基を表すことがより好ましい。
Figure 0007155957000020
Figure 0007155957000021
前記一般式(1)中のビフェニレン基の2つのベンゼン環が有する-CH=N-NQで表される基の置換位置は、下記式(Co-1)又は下記式(Co-2)で表される置換位置であることが好ましい。なお、下記式(Co-1)及び下記式(Co-2)においては、-CH=N-NQで表される基を、D又はDと表す。
Figure 0007155957000022
前記一般式(1)において、*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。中でも、*は、下記一般式(2)で表される1価の基との結合位置を示すことが好ましい。すなわち、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物は、*で示す結合位置において、下記一般式(2)で表される1価の基が結合した重合性液晶化合物であることが好ましい。なお、重合性液晶化合物が下記一般式(2)で表される1価の基を2つ有する場合、化合物内に複数存在する下記一般式(2)で表される1価の基中のL、A、L、A、R及びm1は、各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(2)
-L-A-(L-Am1-R
(一般式(2)中、Lは-CO-、-CO-O-、-CO-NH-、-NH-、-CH-、-CF-、-CO-CH=CH-、-CO-CHCH-、-CO-CH-又は単結合を表し、
は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、
は、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、
は、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、
は、下記一般式(R-1)から選ばれる基を表し、
一般式(R-1): -L-Rsp1-Z
ここでL、Rsp1、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、-L-Rsp2-Zで表される基と同一であっても異なっていても良い。
m1は1以上4以下の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。)
としては、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、-CO-、-CH-、-CF-、-CO-CH=CH-、-CO-CHCH-又は単結合を表すことが好ましく、-CO-、-CH-、-CF-、-CO-CHCH-、又は単結合を表すことがより好ましく、-CO-、-CH-、-CF-又は単結合を表すことがさらに好ましく、-CO-、-CH-又は単結合を表すことがさらにより好ましい。
としては、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-又は単結合を表すことが好ましく、-O-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-又は単結合を表すことがより好ましく、-O-、-COO-、-OCO--COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-又は単結合を表すことが特に好ましい。前記の好ましいLにおいても、Lが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
本開示の重合性液晶化合物は、ビフェニレン基に近接するAに脂環式炭化水素基を導入することにより、溶解性を向上することができる。
としては、中でも、重合性液晶化合物の液晶性を向上させ、配向性を向上させることが容易になる点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基又はシクロヘプタン-1,4-ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン-1,4-ジイル基であることがより好ましい。
としては、中でも、重合性液晶化合物の液晶性を向上させ、配向性を向上させることが容易になる点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基であることがより好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基又はベンゼン-1,4-ジイル基であることがより更に好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン-1,4-ジイル基であることが特に好ましい。前記の好ましいAにおいても、Aが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
及びAにおける脂環式炭化水素基は、L、L又はLと結合する炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型、トランス型の立体異性体が存在する場合があり、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよいが、配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
及びAにおいて置換されていても良い置換基Eは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-又は-OCO-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、より更に好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良い炭素原子数1以上12以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、中でも、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1以上8以下の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことが特に好ましい。
が結合しているAに置換されていても良い置換基Eとしては、前記-L-RspE-Zで表される基も好ましい。
m1としては、液晶性及び配向性の点から、1以上3以下の整数であることが好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。また、化合物内にm1が複数存在する場合、複数のm1は同じ値であることが好ましい。
は、下記一般式(R-1)から選ばれる基を表し、
一般式(R-1): -L-Rsp1-Z
ここでL、Rsp1、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表し、前記L、Rsp2、及びZにおいて好ましいものが、L、Rsp1、及びZにおいても好ましい。また、Rは-L-Rsp2-Zで表される基と同一であっても異なっていても良い。
前記一般式(2)で表される1価の基Lc1:-L-A-(L-Am1-Rの具体例としては、これらに限定されるものではないが、下記Lc-1~Lc-172で表される基が挙げられる。なお、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物が有する2つの前記Lc1は、互いに同一であっても異なっていても良い。
Figure 0007155957000023
Figure 0007155957000024
Figure 0007155957000025
Figure 0007155957000026
Figure 0007155957000027
Figure 0007155957000028
前記Lc-1~Lc-172で表される基において、Lにおけるmは、1又は2を表し、2が好ましい。Rsp1におけるnは、1以上20以下を表すが、中でも2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましく、一方で、12以下であることが好ましく、更に10以下であることが好ましい。
また、Zにおいて、式(Z-1)中のRとしては、それぞれ独立して、中でも水素原子、又はメチル基であることが好ましく、更に水素原子であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物としては、例えば、下記化合物(i)~化合物(lxiv)が挙げられる。なお、下記表7及び表8において、Coreは、前記一般式(1)中のビフェニレン基の2つのベンゼン環が有する-CH=N-NQで表される基の置換位置を表し、D1及びD2はそれぞれ-CH=N-NQで表される基を表し、Coreにおける式(Co-1)及び式(Co-2)と対応している。また、下記表7及び表8に示す本開示の重合性液晶化合物は、1分子内に前記一般式(2)で表される1価の基を2つ有するため、下記表7及び表8において、一方をLc1と表し、もう一方をLc2と表す。
Figure 0007155957000029
Figure 0007155957000030
更に、表7~表8の化合物(i)~化合物(lxiv)の代表的な構造式を下記に例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007155957000031
Figure 0007155957000032
Figure 0007155957000033
Figure 0007155957000034
Figure 0007155957000035
Figure 0007155957000036
本開示の重合性液晶化合物は、例えば、以下の製法で製造することができる。製法としては例えば、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木-宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト-ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応、ダフ反応など)を、その構造に応じて適宜組み合わせることにより、製造することができる。以下、製造方法の例を示すが、本開示はこれらの構造や製造方法に限定されるものではない。
例えば、本開示の重合性液晶化合物が、前記一般式(1)の*において前記一般式(2)で表される1価の基と結合し、前記一般式(2)中のLが-CO-である化合物の場合、例えば下記のように製造することができる。
まず、式(ip-1)で表される化合物(4,4’-ジヒドロキシビフェニル)を準備し、ダフ反応等によって所望の位置にアルデヒド基を導入した式(ip-2)で表される中間体Aを製造する。
Figure 0007155957000037
次に、式(ip-2)で表される中間体Aと、HOOC-A-(L-Am1-Rで表される中間体B(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)とを、縮合反応等によって反応させることにより、式(ip-3)で表される中間体Cを得て、更に、得られた式(ip-3)で表される中間体Cと、HOOC-A-(L-Am1-Rで表される中間体D(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表し、各々前記中間体B中の各符号と同一でも異なっていても良い)とを反応させることにより、式(ip-4)で表される中間体Eを得る。前記中間体Bと中間体Dの構造が同じ場合には、中間体Aに中間体Bを反応させることにより中間体Eを得ることができる。
Figure 0007155957000038
Figure 0007155957000039
次いで、式(ip-4)で表される中間体Eに、例えばQ-NQ-NHで表される中間体Fを反応させることにより、式(1-ex1)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0007155957000040
また、前記式(ip-2)で表される中間体Aは、置換基の種類や置換位置等によって、例えば3,4-メチレンジオキシフェノール(東京化成工業(株)製)又はその誘導体に、ダフ反応を行ってアルデヒド基を導入し、鈴木-宮浦カップリング反応を行うことにより得てもよい。
また、例えば、式(ip-2)で表される中間体Aに、側鎖部分となる-CH=N-NQで表される基を予め導入した中間体Gを得た後、当該中間体Gに、HOOC-A-(L-Am1-Rで表される中間体B(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)を反応させることにより、式(1-ex1)で表される化合物を得てもよい。
また製造に用いられる各中間体は、適宜市販品を用いてもよいし、従来公知の方法で適宜合成することができる。
本開示において、重合性液晶化合物の構造は、重合性組成物からは、核磁気共鳴分光法(NMR)、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py-GC-MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOFMS)等を適宜組み合わせて解析することができる。位相差フィルムからは、赤外分光法(IR)、X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)、及び核磁気共鳴分光法(NMR)等を適宜組み合わせて、位相差フィルムに含まれる重合性液晶化合物に由来する構造を解析することができる。なお、位相差フィルムをNMRにより分析する場合、NMR測定用の試料としては、例えば、位相差フィルムから採取した位相差層の材料をそのまま用いることができ、或いは、位相差フィルムから採取した位相差層の材料を凍結粉砕し、溶媒抽出により精製したものを重溶媒に溶解させて試料溶液とすることもできる。
本開示の重合性液晶化合物は、配向性が良好であり、複屈折率(△n)が大きく、逆波長分散性を有する重合性液晶化合物である。例えば後述の実施例1に示す方法により、本開示の重合性液晶化合物と光重合開始剤のみを含む重合性組成物を調製し、硬化膜(位相差層)を形成し、当該硬化膜の複屈折率(△n)を測定した場合に、0.075以上であることが好ましく、更に0.08以上であることが好ましい。
また、本開示の重合性液晶化合物は、逆波長分散性が良好であり、理想的な逆波長分散性に近付けるために、本開示の重合性液晶化合物と光重合開始剤のみを含む重合性組成物を調製し、硬化膜(位相差層)を形成し、位相差値を測定した場合に、Re(450)/Re(550)が、0.50以上0.95未満の範囲内にあることが好ましく、更に0.55以上0.93未満の範囲内にあることが好ましく、より更に0.60以上0.90未満の範囲内にあることが好ましく、特に0.60以上0.83以下の範囲内にあることが好ましく、0.60以上0.80未満の範囲内にあっても良い。また、Re(650)/Re(550)が、1超過であることが好ましく、更に1.02以上1.1以下の範囲内にあることが好ましい。
位相差値の測定法としては、例えば、後述の実施例1に示す方法で、水平配向膜上に位相差層を形成し、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラスに転写したサンプルを用いて、位相差値を測定する方法が挙げられる。
また、以下の試験法により位相差値を測定しても、同様の結果を得ることができる。
[試験法]
前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物100質量部と2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン4質量部をシクロペンタノン900質量部に溶解させた重合性組成物を、ラビング処理後ポリイミド配向膜付ガラスの配向膜上に、硬化後の膜厚が1μmになるように塗布して成膜し、乾燥させた後に、紫外線を照射量400mJ/cmで照射することにより位相差層を形成し、位相差測定装置(例えば、製品名:KOBRA-WR、王子計測機器(株)製)により波長450nmに対する面内位相差Re(450)と波長550nmに対する面内位相差Re(550)を測定する。
ここで、前記ラビング処理後ポリイミド配向膜付ガラスとしては、市販品を用いてもよく、例えば、株式会社イーエッチシー製の製品名「配向処理ガラス基板」を用いることができる。当該配向処理ガラス基板は、日立化成株式会社製ポリイミドLX-1400が塗布されラビング処理されている。
本開示において、位相差層の位相差は、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA-WR)により測定することができる。測定光を位相差層表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから位相差層の位相差を増減させる異方性や、液晶の垂直(厚さ)方向の配向性の程度を確認することができる。
また、本開示の重合性液晶化合物は、使用可能な基材の選択肢が広がる点から、固体-液晶相転移温度が25℃以上200℃以下であることが好ましく、30℃以上180℃以下であることが更に好ましく、30℃以上150℃以下であることがより更に好ましい。固体-液晶相転移温度が低いと、液晶を配向させる工程での負荷が軽減されたり、高温に弱い基材への利用が可能となる。
ここで、固体-液晶相転移温度とは、液晶化合物が固体から液晶に変化する温度を意味する。本開示において固体-液晶相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって昇温時において確認する。すなわち、偏光顕微鏡観察において、昇温時、固体が融解して液状になり、かつ偏光顕微鏡のクロスニコル観察(偏光板が直交状態)において明視野となった点を固体-液晶相転移温度と特定することができる。
また、本開示の重合性液晶化合物は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に10質量%以上溶解することが、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましく、更に20質量%以上溶解することが好ましい。
複屈折率(△n)が大きく、逆波長分散性を有する重合性組成物が得られる点、及び耐湿熱性を向上する点から、前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物の合計100質量%中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより更に好ましい。前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物が、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物のみであってもよい。
また、複屈折率(△n)が大きく、逆波長分散性を有する重合性組成物が得られる点、及び耐湿熱性を向上する点から、前記重合性組成物の固形分100質量部中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量は、55質量部以上であることが好ましく、65質量部以上であることがより好ましく、75質量部以上であることがより更に好ましい。一方、後述する光重合開始剤等の他の成分を十分に含有する点から、前記重合性組成物の固形分100質量部中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量は、99.9質量部以下であることが好ましく、99質量部以下であることがより好ましく、98質量部以下であることがより更に好ましい。
なお、前記重合性組成物において、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、重合性液晶化合物等が液状であっても固形分に含まれるものとする。
(2)光重合開始剤
本実施形態において光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α-アミノアルキルフェノン類、α-ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、塗膜の内部まで硬化し耐久性が向上するため、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α-ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えばビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-フォスフィンオキサイド(例えば、商品名:イルガキュア819、BASF社製)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO:BASF社製等)等が挙げられる。
また、α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
また、α-ヒドロキシケトン系重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(例えば、商品名:イルガキュア127、BASF社製等)、2-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシエトキシ-2-メチルプロピオフェノン(例えば、商品名:イルガキュア2959、BASF社製等)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(例えば、商品名:イルガキュア184、BASF社製等)、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE-01、BASF製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE-02、BASF製)、メタノン,エタノン,1-[9-エチル-6-(1,3-ジオキソラン,4-(2-メトキシフェノキシ)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(商品名ADEKA OPT-N-1919、ADEKA社製)等が挙げられる。
本実施形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において光重合開始剤の含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。重合性成分の硬化を促進する点からは、重合性組成物に含まれる重合性成分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。なお、重合性成分とは、重合性基を有する化合物をいう。
(3)その他の重合性液晶化合物
本開示に用いられる重合性組成物は、重合性液晶化合物として、前述した前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物とは異なるその他の重合性液晶化合物を含有していても良い。前記その他の重合性液晶化合物としては、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。位相差フィルムに対する入射光の波長λを横軸に取り、その複屈折率を縦軸にプロットして得たグラフの傾きが負(右肩下がり)である一般的な正常分散(正分散)の重合性液晶化合物であっても良いし、逆波長分散性の重合性液晶化合物であっても良いし、波長分散性を実質的に示さない(フラット分散又は低波長分散)重合性液晶化合物であっても良い。前記その他の重合性液晶化合物として、例えば、逆波長分散性を示す化合物の例としては、特許第5463666号、特許第4186981号、特許第5962760号、及び特許第5826759号に記載の重合性液晶化合物が挙げられる。フラット分散性を示す化合物の例としては、例えば、Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas(1996),115(6),321-328に記載の化合物などが挙げられる。
本実施形態においては、本開示の重合性液晶化合物との組み合わせにおいて配向しやすいことから、前記その他の重合性液晶化合物としては、棒状メソゲンの少なくとも一方の末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることが好ましく、棒状メソゲンの両末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることがより好ましい。1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性液晶化合物は、塗膜の硬度や耐久性を向上させることができる。
前記その他の重合性液晶化合物としては、例えば、下記一般式(II-1)で表される重合性液晶化合物、及び下記一般式(II-2)で表される重合性液晶化合物が挙げられる。
Figure 0007155957000041
(式中、Z10、及びZ20は各々独立して重合性官能基を表し、Rsp10、及びRsp20は各々独立して単結合又は炭素原子数1以上20以下のアルキレン基を表すが、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-に置き換えられても良く、L10、L20及びL30は各々独立して-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、A10、及びA20は各々独立して、ベンゼン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、A10、及びA20は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖又は分岐アルキル基を表し、s1及びs2は0、1、2、3又は4を表すが、s1及びs2がそれぞれ独立に2、3又は4を表す場合、2個、3個あるいは4個存在するA20、L10はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
前記その他の重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、本開示の重合性液晶化合物で説明したZ等と同様のものが挙げられる。重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環等の環状エーテル含有基、エチレン性二重結合含有基等が挙げられるが、中でも光硬化性を示し、取り扱い性に優れる点から、エチレン性二重結合含有基であることが好ましい。環状エーテル基としては、例えば、グリシジル基が挙げられる。また、エチレン性二重結合含有基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物は、配向性の点から、中でも、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物より選択される1種以上の化合物が好ましい。
Figure 0007155957000042
(一般式(III)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、-(CH-、又は-(CO)p’-で表される基を表す。L23は、直接結合、又は、-O-、-O-C(=O)-、若しくは-C(=O)-O-で表される連結基を、Arは、ベンゼン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、複数あるL23及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R23は、-F、-Cl、-CN、-OCF、-OCFH、-NCO、-NCS、-NO、-NHC(=O)-R24、-C(=O)-OR24、-OH、-SH、-CHO、-SOH、-NR24 、-R25、又は-OR25を、R24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。bは2以上4以下の整数、p及びp’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。
Figure 0007155957000043
(一般式(IV)中、R31及びR32は各々独立に、水素原子又はメチル基を、R33は、-(CH-、又は-(CO)q’-で表される基を、R34は、-(CH-、又は-(OCr’-で表される基を表す。L34は、直接結合、又は、-O-、-O-C(=O)-、若しくは-C(=O)-O-で表される連結基を、Arは、ベンゼン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、複数あるL34及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。cは2以上5以下の整数、q、q’、r及びr’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
一般式(III)におけるp、p’、一般式(IV)におけるq、q’、r及びr’は配向性の点から、2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、2以上5以下であることがより更に好ましい。
また、Ar及びArはそれぞれ、ベンゼン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、中でもベンゼン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、又はシクロヘキサン-1,4-ジイル基がより好ましい。Ar及びArが有してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が挙げられるが、より好ましくは炭素原子数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、一般式(III)におけるR24及びR25における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖、分岐、若しくは環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等の直鎖アルキル基、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基等の分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。R24は、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。R25は、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。
23は、中でも配向性の点から、-Cl、-CN、-OCF、-OCFH、-NCO、-NCS、-NO、-NHC(=O)-R25、-C(=O)-OR24、-OH、-SH、-CHO、-SOH、-NR24 、-R25、又は-OR25であることが好ましく、-Cl、-CN、-OCF又は-C(=O)-OR24、-R25、又は-OR25であることがより好ましい。
前記その他の重合性液晶化合物に含まれるメソゲン構造としては、下記化学式(V-1)~(V-6)で表される部分構造が、好ましく用いられ、中でも、環構造を3つ以上含む下記化学式(V-1)、(V-2)、(V-4)、(V-5)、及び(V-6)よりなる群から選択される少なくとも1種で表される部分構造が、好ましく用いられる。下記化学式(V-1)~(V-6)で表される部分構造におけるフェニレン基やナフチレン基における水素原子は、炭素数1以上3以下のアルキル基や、ハロゲン原子によって置換されていても良い。
Figure 0007155957000044
一般式(III)で表される化合物、及び一般式(IV)で表される化合物の好適な具体例としては、下記化学式(1)~(22)に示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007155957000045
(gは2~5の整数である。)
Figure 0007155957000046
前記重合性組成物に含まれる本開示の重合性液晶化合物は、前述のように逆波長分散性が非常に良好であるため、重合性組成物に更に幅広い波長分散性を示す化合物を添加しても、重合性組成物の硬化物の位相差値は逆波長分散性を示しやすい。本開示の重合性液晶化合物は、前述のように位相差値を測定した場合に、Re(450)/Re(550)が比較的小さくなる傾向がある。そのため、重合性組成物が前記その他の重合性液晶化合物を更に含有する場合は、当該重合性組成物の硬化物における波長450nmに対する面内位相差(Re(450))と波長550nmに対する面内位相差(Re(550))との比の値(Re(450)/Re(550))が、当該重合性組成物に含まれる本開示の重合性液晶化合物のRe(450)/Re(550)よりも大きくなるような重合性液晶化合物を更に含有することが、理想的な波長分散性に調整する点から好ましい。前記その他の重合性液晶化合物としては、Re(450)/Re(550)が、0.6以上1.2未満であるものから選択することができるが、0.8以上1.2未満であるものから選択することが好ましく、0.9以上1.2未満であるものから選択することがより更に好ましい。なお、本開示において重合性液晶化合物の位相差値とは、重合性液晶化合物と光重合開始剤のみを含む重合性組成物の硬化膜(位相差層)の位相差値であり、前述した位相差値の測定法と同様の方法により測定することができる。
また、本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性が向上する点から好ましい。重合性組成物の溶剤溶解性が向上すると、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点、及び組成物としての液晶相転移温度が広がって、配向時のプロセスマージンが広がり、配向性がより均一に良好になる点から好ましい。
本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記重合性組成物が前記その他の重合性液晶化合物を含有する場合、前記その他の重合性液晶化合物の含有割合は、所望の位相差等を調整するために適宜調整されれば良く、限定されるものではないが、重合性組成物の固形分100質量部に対して、45質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることがより更に好ましい。
また、前記その他の重合性液晶化合物の含有割合は、所望の位相差等を調整するために適宜調整されれば良いが、前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物の合計100質量%中、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがより更に好ましい。
(4)その他の成分
前記重合性組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、他の成分としてレベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤や、塗工性の観点から溶剤等を含有してもよい。また、単独では液晶性を示さないが本開示の重合性液晶化合物と共に用いることで位相差や逆波長分散性、相転移温度、硬度、耐久性を調整可能な重合性化合物を含有してもよい。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
前記重合性組成物は、塗膜の硬度や耐久性を向上させるためには、1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物を、更に含有することが好ましい。1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物としては前述のような重合性液晶化合物の他、液晶性を有しない重合性化合物を用いることができる。
1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性化合物としては、所謂多官能モノマーを用いることもでき、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。架橋反応が進行し、塗膜の耐久性が向上するため、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)等の1分子中に重合性官能基を3つ以上有する重合性化合物が好ましい。
本実施形態において液晶性を有しない重合性化合物を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、20質量部以下とすることがより更に好ましい。
本実施形態において、液晶性を有しない重合性化合物としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性が向上し、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の具体例としては、例えば、特開2010-122325号公報に記載のDIC(株)製のメガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ及び(株)ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
前記重合性組成物は、塗工性の点から、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、重合性組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。中でも、ケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤がより好ましい。
なお、本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
なお、前記位相差層が含有する前記重合性組成物の硬化物においては、光重合開始剤など、前記重合性液晶化合物が有する重合性官能基を反応させるために光照射した際に、全てが分解する可能性がある成分は、含まれていない場合もある。
また、前記重合性組成物の硬化物に含まれるヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体の合計含有量は、0.25質量%以下であることが好ましく、更に0.20質量%以下であることが好ましく、更に0.15質量%以下であることが好ましく、更に0.10質量%以下であることが好ましく、更に0.01質量%以下であることが好ましい。
また、前記位相差層においても、ヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体の合計含有量は、0.25質量%以下であることが好ましく、更に0.20質量%以下であることが好ましく、更に0.15質量%以下であることが好ましく、更に0.10質量%以下であることが好ましく、更に0.01質量%以下であることが好ましい。
また、前記重合性組成物に含まれるヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体の合計含有量は、前記重合性組成物の全固形分100質量%中、0.25質量%以下であることが好ましく、更に0.20質量%以下であることが好ましく、更に0.15質量%以下であることが好ましく、更に0.10質量%以下であることが好ましく、更に0.01質量%以下であることが好ましい。
なお、ヒドロキノンの誘導体とは、ヒドロキノンのベンゼン環上の少なくとも1つの水素原子が有機基によって置換された化合物をいい、ベンゾキノンの誘導体とは、ベンゾキノンのベンゼン環上の少なくとも1つの水素原子が有機基によって置換された化合物をいう。また、本開示において、位相差層に含まれるヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体には、キンヒドロン型錯体を形成しているものも含むものとする。
ヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体(以下、単にヒドロキノン等という場合がある)は、前記重合性組成物を用いて位相差層を形成する過程で除去されずに残留する。そのため、前記重合性組成物の硬化物乃至前記位相差層に含まれるヒドロキノン等の含有割合(質量%)は、硬化する前の前記重合性組成物に含まれる全固形分のうち、位相差層を形成する過程で分解しない成分の合計100質量%中のヒドロキノン等の含有割合(質量%)と同じになる。典型的には、硬化する前の前記重合性組成物に含まれる光重合開始剤以外の固形分の合計100質量%中のヒドロキノン等の含有割合(質量%)が、前記重合性組成物の硬化物乃至前記位相差層に含まれるヒドロキノン等の含有割合(質量%)と同じになる。
硬化する前の前記重合性組成物に含まれるヒドロキノン等の含有割合(質量%)は、NMRにより求めることができる。
(位相差層の特性)
本開示の位相差フィルムが有する前記位相差層においては、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基、及び更に含まれていても良い重合性液晶化合物が有するメソゲン基が、フィルム面に対して実質的に水平配向した状態で、硬化しているものであることが好ましい。前記重合性組成物の硬化物には、本開示の重合性液晶化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれる。このような重合性液晶化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることから、本実施形態の位相差層は、耐久性が向上している位相差層である。
前記位相差層の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよい。
本開示の位相差フィルムを、例えば、広帯域1/4波長板とする場合には、得られる位相差フィルムのRe(550)を113nm以上163nm以下、好ましくは135nm以上140nm以下、特に好ましくは約137.5nm程度に膜厚を調整すればよく、1/2波長板とする場合には、得られる光学フィルムのRe(550)を250nm以上300nm以下、好ましくは273nm以上277nm以下、特に好ましくは約275nm程度となるように、膜厚を調整すればよい。
なお、前記位相差層の厚みは、重合性組成物の塗布量や重合性液晶化合物の濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように調整することができる。得られる位相差層の位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、下記式のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×△n(λ)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、△n(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
前記位相差層の厚みは、中でも、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
本開示においては、前記位相差層の複屈折率(△n)が大きいため、従来よりも薄膜で位相差を実現することが可能である。
本開示の位相差フィルムの波長分散特性は、例えば、前記位相差層の形成に用いた重合性組成物に含まれる本開示の重合性液晶化合物と、前記その他の重合性液晶化合物の含有量によって、任意に決定することができる。位相差層において本開示の重合性液晶化合物の含有量を増加させると、逆波長分散特性が増加する傾向を示す。
また、前記位相差層を理想的な逆波長分散性とする観点から、前記位相差層の位相差値は、Re(450)/Re(550)が、0.6以上0.95未満の範囲内にあることが好ましく、更に0.6以上0.90未満の範囲内にあることが好ましい。また、Re(650)/Re(550)が、1以上であることが好ましく、更に1.02以上1.1以下の範囲内にあることが好ましい。
また、前記位相差層は、前記重合性組成物の硬化物を含有することにより、複屈折率(△n)が増大されたものである。前記位相差層の複屈折率(△n)は、0.075以上であることが好ましく、更に0.08以上であることが好ましい。
また、前記位相差層は、前記重合性組成物の硬化物を含有することにより、耐熱性及び耐湿性に優れ、高温高湿環境下での着色乃至変色が抑制されたものである。前記位相差層は、例えば、85℃、湿度95%RHの環境下で200時間静置する耐湿熱性試験前後において、L色度図でのa値の差(△a)を、好ましくは3未満とすることができ、より好ましくは1以下とすることができ、b値の差(△b)を、好ましくは4未満とすることができ、より好ましくは2以下とすることができる。
2.配向膜
本開示の位相差フィルムは、更に配向膜を有していても良い。本明細書において配向膜とは、位相差層に含まれる液晶性成分を一定方向に配列させるための層をいう。
本開示の実施形態に用いられる配向膜としては、前記本開示の実施形態の重合性組成物が水平配向しやすいことから、水平配向膜を用いることが好ましい。
水平配向膜は、塗膜として設けることで、位相差層に含まれる液晶性成分のメソゲン基の長軸を該水平配向膜面(フィルム面)に対して実質的に水平に配向させる膜であればよい。
水平配向膜としては、従来公知のもの適宜選択して用いることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法等により配向規制力を付与した配向膜等を挙げることができ、中でも、ラビング法、光配向法又は賦形法により配向規制力を付与した水平配向膜が好ましい。
ラビング法により配向規制力を付与する場合、水平配向膜には、ラビングにより配向規制力を発現するポリマーが用いられる。当該ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド及びこれらの誘導体が挙げられ、中でも、ポリイミド及びポリビニルアルコールが好ましい。
ラビング法による水平配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、上記ポリマーを含む塗膜を形成した後、公知のラビングローラ等を用いてラビングすることにより、水平配向膜を得ることができる。
水平配向膜を光配向法により形成する場合、配向膜用組成物として、偏光を照射することにより配向規制力を発現する光配向性材料を含有する光配向性組成物が用いられる。当該光配向性材料としては、光二量化型材料であっても、光異性化型材料であってもよい。具体的には、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等が挙げられ、中でも、シンナメート及びクマリンのうち少なくとも一方を有するポリマー、並びにこれらの誘導体が好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例として、例えば、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、WO2010/150748号公報、特開2015-151548号公報、及び特許第5626493号に記載された化合物を挙げることができる。
光配向法による光配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、前記光配向性組成物を均一に塗布し、偏光を照射し、次いで、塗膜全面に光照射することにより、光配向膜を得ることができる。
また、水平配向膜を賦型法により形成する場合、配向膜用組成物は、所望の微細凹凸形状を賦型可能なものの中から適宜選択して用いればよく、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を含有する賦型用組成物を用いることができる。中でも、配向膜の形成が容易である点から紫外線硬化性樹脂が用いられることが好ましい。紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、上記重合性モノマー、重合性オリゴマーの他、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
賦型法による水平配向膜の形成方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、前記透明基材上に、前記賦型用組成物を均一に塗布し、所望の微細凹凸形状が形成された金型上に、塗膜を接触させた後、加圧し、紫外線を照射することにより、所望の微細凹凸形状が付与された配向膜を得ることができる。
また、前記水平配向膜としては、パターニング処理がされ、配向性能を有する部位がパターン状に配置されたものであっても良い。パターニング処理がされた水平配向膜としては、公知のものを用いることができ、特に限定はされないが、例えば、マスクラビングによりパターニング処理がされたラビング配向膜、マスク露光によりパターニング処理がされた光配向膜、配向膜を印刷等でパターニング処理した配向膜等が挙げられる。
水平配向膜の厚さは、前記重合性液晶化合物を水平方向に配向できればよく、適宜設定することができ、特に限定はされないが、通常、1nm以上であり、60nm以上であることが好ましく、薄膜化の観点から、15μm以下が挙げられ、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがより更に好ましい。
3.基材
本開示の位相差フィルムは、更に基材を有していても良い。本実施形態において基材は、ガラス基材、金属箔、樹脂基材等が挙げられる。中でも、基材は透明性を有することが好ましく、従来公知の透明基材の中から適宜選択することができる。透明基材としては、ガラス基材の他、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成された透明樹脂基材が挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361-1(プラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、ロールトゥロール方式で位相差層を形成する場合には、透明基材は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。
このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでも本実施形態においてはセルロース誘導体やポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるため、光学的特性に優れたものとすることができるからである。また、ポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、機械的特性に優れる点から好ましい。
本実施形態に用いられる基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、10μm以上1000μm以下程度の範囲内である。
中でも、基材の厚みは、25μm以上125μm以下の範囲内が好ましく、中でも30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、長尺状の位相差フィルムを形成した後、裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本実施形態に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
例えば、本実施形態に用いられる配向膜が紫外性硬化性樹脂を含有するものである場合、透明基材と当該紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材および紫外線硬化性樹脂との双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のもの等を適宜選択して使用することができる。
また、基材上にアンカーコート層を積層しても良い。当該アンカーコート層によって基材の強度を向上させることができる。アンカーコート材料としては、金属アルコキシド、特に金属シリコンアルコキシドゾルを用いることができる。金属アルコキシドは、通常アルコール系の溶液として用いられる。アンカーコート層は、均一で、かつ柔軟性のある膜が必要なため、アンカーコート層の厚みは0.04μm以上2μm以下程度が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下程度がより好ましい。
前記基材がアンカーコート層を有する場合には、基材とアンカーコート層の間に更にバインダー層を積層したり、アンカーコート層に基材との密着性を強化する材料を含有させることにより、基材とアンカーコート層の密着性を向上させてもよい。前記バインダー層の形成に用いるバインダー材料は、基材とアンカーコート層との密着性を向上できるものを特に制限なく使用することができる。バインダー材料としては、たとえば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を例示できる。
4.位相差フィルムの製造方法
本開示の実施形態の位相差フィルムの製造方法は、
前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物を成膜する工程(成膜工程)と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程(配向工程)と、
前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程(重合工程)とを有する方法により、位相差層を形成する。
本開示の実施形態の位相差フィルムの製造方法に用いられる重合性組成物としては、前述した重合性組成物と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。
(1)成膜工程
重合性組成物を成膜する成膜工程では、例えば、支持体上に、重合性組成物を均一に塗布して、重合性組成物を成膜する。
当該成膜工程では、重合性組成物の塗布量や重合性組成物中の各成分の含有割合を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調整することができる。
ここでの支持体上としては、前記基材上であっても良いし、前記配向膜を備えた基材の配向膜上であってもよい。
塗布方法は、所望の厚みで精度良く成膜できる方法であればよく、適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
(2)配向工程
次いで、前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性液晶化合物を少なくとも配向させる。成膜された重合性組成物中の前記重合性液晶化合物が、配向可能な温度に調整し、加熱する。当該加熱処理により、本開示の重合性液晶化合物の配向性を有する主鎖部分と、必要に応じて更に含まれるその他の重合性液晶化合物とを配向させて乾燥することができ、前記配向状態を維持した状態で固定化することができる。
配向可能な温度は、重合性組成物中の各物質に応じて異なるため、適宜調整する必要がある。例えば、60℃以上200℃以下の範囲内で行うことが好ましく、更に60℃以上150℃以下の範囲内で行うことが好ましい。
加熱手段としては、公知の加熱、乾燥手段を適宜選択して用いることができる。
また、加熱時間は、適宜選択されれば良いが、例えば、10秒以上2時間以内、好ましくは20秒以上30分以内の範囲内で選択される。
(3)重合工程
前記配向工程の後に、前記重合性液晶化合物を少なくとも重合する。前記配向工程において、本開示の重合性液晶化合物、及び更に含まれていても良い重合性液晶化合物の配向状態を維持した状態で固定化された塗膜に、例えば光照射することにより、重合性液晶化合物及び液晶性を有しない重合性化合物を重合することができ、前記重合性組成物の硬化物からなる位相差層を得ることができる。
光照射としては、紫外線照射が好適に用いられる。紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、適宜選択されれば良く、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば10mJ/cm以上10000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。
5.用途
本開示の位相差フィルムは、例えば反射防止用1/4波長板して好適に用いられ、後述するような各種表示装置用の光学部材に好適に用いられる。
B.転写用積層体
本開示の転写用積層体は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する、
位相差層の転写に供する転写用積層体である。
本実施形態の転写用積層体が有する位相差層は、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物を含有するものであるため、複屈折率(△n)が大きく、耐熱性及び耐湿性に優れ、逆波長分散性を有する。本実施形態の転写用積層体において、前記位相差層は、前記重合性組成物の硬化物からなるものであることが好ましい。
本実施形態の転写用積層体によれば、他の任意の光学部材等に、例えば、基材を含まない薄膜の、本開示の位相差層を転写することができる。
本実施形態の転写用積層体によれば、例えば、図2の例に示される位相差層1のみからなる位相差フィルム10や、図5の例に示されるような、基材は含まず配向膜23と位相差層21とが積層された積層体26からなる位相差フィルムを、提供することができる。すなわち、前記位相差層を少なくとも剥離可能であれば、転写用積層体の転写に供する位相差層には、配向膜等が積層されていても良い。
以下、このような転写用積層体の構成について説明するが、前記本開示の実施形態の重合性組成物については前述のとおりであるため、ここでの説明は省略する。
転写用積層体の層構成について図を参照して説明する。図4及び図5は、各々本開示の転写用積層体の1実施形態を示す。
図4の例に示される転写用積層体20の1実施形態は、位相差層11と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体15として第二の基材12上に配向膜13が積層された積層体を備えている。図4の例に示される転写用積層体20においては、第二の基材12と配向膜13との界面の剥離強度が、配向膜13と位相差層11との界面の剥離強度よりも大きくなっていることにより、配向膜13と位相差層11との界面17で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された転写用積層体20から、第二の基材12上に配向膜13が積層された積層体を、剥離可能な支持体15として剥離することができ、位相差層11のみを、位相差層を含む転写層16として転写することができる。
図5の例に示される転写用積層体30の1実施形態は、位相差層21と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体25として第二の基材22を備え、位相差層21と第二の基材22との間に更に配向膜23を備えている。図5の例に示される転写用積層体30においては、第二の基材22と配向膜23との界面の剥離強度が、配向膜23と位相差層21との界面の剥離強度よりも小さくなっていることにより、第二の基材22と配向膜23との界面27で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された転写用積層体30から、第二の基材22を、剥離可能な支持体25として剥離することができ、位相差層21と配向膜23との積層体を、位相差層を含む転写層26として転写することができる。
例えば、第二の基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きいか小さいかは、位相差層の剥離を行って、いずれの界面で剥離しているかで確認することができる。いずれの界面で剥離しているかは、例えば、IR等により分析可能である。
また、図6の例に示される転写用積層体40の1実施形態は、位相差層31と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体35として第二の基材32を備えている。被転写体上に転写された前記転写用積層体40からは、第二の基材32を剥離可能な支持体35として剥離することができ、位相差層31のみを、位相差層を含む転写層36として転写することができる。
以下、本実施形態について説明するが、位相差層については前記「A.位相差フィルム」で述べた位相差層と同様のものとすることができるのでここでの説明を省略する。
また、配向膜及び基材も前記「A.位相差フィルム」で述べた配向膜及び基材と同様のものを用いることができるが、剥離強度を調整する方法としては、例えば下記の方法を挙げることができる。
図4の例に示される転写用積層体20を得るために、第二の基材12と配向膜13との剥離強度が、配向膜13と位相差層11との剥離強度よりも大きくするには、例えば、配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を、第二の基材を溶解可能なものとする方法を用いることができる。当該第二の基材としては樹脂基材を用いることが好ましく、また、基材表面に接着性が向上するための表面処理を行っても良い。このような場合、樹脂基材および配向膜の密着性を向上させることができる。
また、基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きくなるよう、配向膜と位相差層との剥離強度を小さくするために、配向膜の耐溶剤性を比較的高くすることも好ましい。配向膜の耐溶剤性が比較的高い場合には、配向膜上に重合性組成物を塗布して位相差層を形成する際に、重合性組成物中の溶剤に配向膜が溶解しにくくなるため、配向膜および位相差層の密着性を低くすることができる。
一方、図5の例に示される転写用積層体30を得るために、第二の基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層21との剥離強度よりも小さくするためには、例えば、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。これにより、基材の剥離性を高めることができ、基材および配向層の剥離強度を配向層および位相差層の剥離強度よりも小さくすることができる。
離型処理としては、例えばフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
離型層の材料としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型層の形成方法としては、例えば離型剤をディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法により塗布する方法が挙げられる。
また、図6の例に示される転写用積層体40を得るためにも、必要に応じて、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。
転写用積層体に用いられる基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよいが、基材を剥離しやすいことから、可撓性を有することが好ましい。
転写用積層体に用いられる基材の厚みは、充分な自己支持強度と、本実施形態の転写用積層体の製造および転写工程に適応出来るだけの可撓性との兼合いから、通常、上記材料のシートの場合、20μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
本開示の転写用積層体から提供できる位相差層は、前記位相差フィルムと同様の用途に好適に用いられ、前記位相差層を各種表示装置用の光学部材に転写することができ、薄膜の光学部材を提供するために好適に用いられる。
C.光学部材
本開示の光学部材は、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を備えるものである。
本実施形態の光学部材を、図を参照して説明する。図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図7の光学部材60の例では、前記本開示の位相差フィルム10上に、偏光板50が配置されている。位相差フィルム10と偏光板50との間には、必要に応じて粘着層(接着層)を有していてもよい(図示せず)。
本実施形態において偏光板は、特定方向に振動する光のみを通過させる板状ものであり、従来公知の偏光板の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
また、本実施形態において粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。
本実施形態の光学部材には、偏光板の他にも、公知の光学部材が備える他の層を更に有していても良い。当該他の層としては、例えば、前記本実施形態の位相差層とは異なる他の位相差層の他、反射防止層、拡散層、防眩層、帯電防止層、保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の光学部材は、例えば、外光反射を抑制する光学部材や、各種表示装置用の広視野角偏光板として好適に用いることができる。
本開示の光学部材の製造方法は、特に限定されることなく、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を積層する方法を適宜選択して用いることができる。例えば、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を、粘着層乃至接着層を介して積層する製造方法等が挙げられる。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法としては、
前記本開示の転写用積層体を準備する転写用積層体準備工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程とを有する、光学部材の製造方法が挙げられる。
前記転写用積層体を用いた本開示の1実施形態の光学部材の製造方法によれば、偏光板と、前記本開示の位相差フィルムのうち前記位相差層のみを備えた光学部材を得ることができる。
本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる転写用積層体は、前記「B.転写用積層体」で説明したものと同様のものとすることができるので、ここでの説明を省略する。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる被転写体は、典型的には、接着層と偏光板とを有する被転写体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、前述した本開示の1実施形態における光学部材が有していても良い他の層と同様の層を、更に有していても良い。
D.表示装置
本開示に係る表示装置は、前記本実施形態の位相差フィルム、又は前記本実施形態の光学部材を備えることを特徴とする。
表示装置としては、例えば、発光表示装置、液晶表示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
中でも、前記本実施形態の位相差フィルム又は前記本実施形態の光学部材を備えるため、特に、透明電極層と、発光層と、電極層とをこの順に有する有機発光表示装置等の発光表示装置において外光反射を抑制しながら、視野角が向上するという効果を有する。
1実施形態である発光表示装置の例を、図を参照して説明する。図8は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図8の有機発光表示装置100の例では、前記位相差フィルム10の出光面側に、偏光板50が配置され、反対側の面には、透明電極層71と、発光層72と、電極層73とをこの順に有している。
発光層72としては、例えば、透明電極層71側から順に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層の順に積層する構成等が挙げられる。本実施形態において、透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層、及びその他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本実施形態の表示装置は、上記構成に限定されるものではなく、適宜選択した公知の構成とすることができる。
以下、各製造例により製造した各化合物は、日本電子(株)製JEOL JNM-LA400WBを用いて、H NMR測定により、化学構造を確認した。
また、製造した各液晶性化合物の相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡(オリンパス製、BX51)によるテクスチャー観察によって昇温時において確認した。Cは結晶、Nはネマチック相、Iは等方性液体を表す。例えば「C 130 N 180 I」は、130℃で結晶からネマチック相に転移し、180℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。
[製造例1:式(1-1)で表される化合物1の製造]
まず、500mLナスフラスコ中、式(1-1-1)で表される4,4’-ジヒドロキシビフェニル 27g(150mmol)、ヘキサメチレンテトラミン46g(330mmol)をトリフルオロ酢酸320mlに溶解し、110℃で3時間反応を行った。反応終了後、氷浴下で4規定塩酸3Lを添加し終夜で撹拌した。撹拌終了後、沈殿物をろ過した。得られた粗体に水(1L)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1-1-2)で表される中間体1を7.5g(21mmol、収率21%)得た。
シクロヘキサンジカルボン酸 172g(1.0mol)、6-(4-ヒドロキシフェニル)ヘキシルアクリレート 53g(200mmol、DKSH製)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.98g(8.0mmol)のジクロロメタン(1L)懸濁液に、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 43g(210mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸で洗浄し、溶媒を留去した。得られた粗体をオープンカラムクロマトグラフィにより精製することで式(1-1-3)で表されるカルボン酸誘導体1を合成した。
次に、上記で得られた式(1-1-2)で表される中間体1 7.0g(29mmol)、式(1-1-3)で表されるカルボン酸誘導体1 32g(76mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.14g(1.2mmol)のジクロロメタン(70mL)懸濁液に、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 19g(90mmol)のジクロロメタン(14mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(70mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1-1-4)で表される中間体2を23g(22mmol、収率75%)で得た。
2-ヒドラジノベンゾチアゾール 5.0g(30mmol)、水酸化カリウム 2.5g(45mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(90mL)に添加し、80℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、p-トルエンスルホン酸ヘキシル 9.2g(36mmol)を滴下した。滴下終了後、4時間撹拌した。反応終了後、水 10mlを加え抽出し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、式(1-1-5)で表される中間体3を3.0g(12mmol、収率40%)得た。
上記で得られた式(1-1-4)で表される中間体2 2.0g(1.9mmol)、12規定塩酸 15mgをテトラヒドロフラン 10mLに溶解し、式(1-1-5)で表される中間体3 1.2g(5.0mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌したのち、メタノール50mlに滴下した。生成した沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノール(20mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1-1)で表される化合物1を1.4g(0.94mmol、収率49%)で得た。
<化合物1>
相転移温度(昇温時):C 130 N 180 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.70-7.60(m,4H),7.35-7.20(m,6H),7.05-6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.95-1.65(m,20H),1.55-1.30(m,20H),0.88(t,6H).
Figure 0007155957000047
[製造例2:式(1-2)で表される化合物2の製造]
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、p-トルエンスルホン酸ヘキシルの代わりに1-ブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)エタンを等モル量用いて、式(1-2-5)で表される中間体4を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1-2)で表される化合物2を1.2g(0.77mmol、収率40%)得た。
<化合物2>
相転移温度(昇温時):C 116 N 205 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),8.13(s,2H),7.70-7.60(m,4H),7.35-7.20(m,6H),7.05-6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.53(t,4H),4.18(t,4H),4.02-3.85(m,8H),3.65(t,4H),3.51(t,4H),3.32(s,4H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.95-1.30(m,20H).
Figure 0007155957000048
[製造例3:式(1-3)で表される化合物3の製造]
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、p-トルエンスルホン酸ヘキシルの代わりに1-[2-(2-ブロモエトキシ)エトキシ]プロパンを等モル量用いて、式(1-3-5)で表される中間体5を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1-3)で表される化合物3を2.44g(1.54mmol、収率80%)得た。
<化合物3>
相転移温度(昇温時):C 98.2 N 108.0 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),8.13(s,2H),7.65-7.60(m,4H),7.26-7.21(m,6H),7.00-6.88(m,10H),6.38(dd,2H),6.16-6.14(d,2H),5.83(dd,2H),4.53(t,4H),4.18(t,4H),3.95-3.92(m,8H),3.64(t,4H),3.64-3.44(m,8H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.74-1.72(m,16H),1.55-1.43(m,8H),1.31-1.22(m,4H),0.82(t,6H).
Figure 0007155957000049
[製造例4:式(1-4)で表される化合物4の製造]
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、p-トルエンスルホン酸ヘキシルの代わりに1-(2-ブロモエトキシ)ブタンを等モル量用いて、式(1-4-5)で表される中間体6を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1-4)で表される化合物4を1.33g(0.87mmol、収率43%)得た。
<化合物4>
相転移温度(昇温時):C 122 N 167 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.70-7.60(m,4H),7.35-7.20(m,6H),7.05-6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),3.65-3.50(m,8H)2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.95-1.65(m,20H),1.55-1.30(m,12H),0.88(t,6H)
Figure 0007155957000050
[製造例5:式(1-5)で表される化合物5の製造]
エチレングリコール 20mlに2-アミノ-6-エトキシベンゾチアゾール 4.3g(24mmol)を添加した。氷浴下で、ヒドラジン-1水和物 3.6g(71mmol)、12規定塩酸1.9g(55mmol)を適下し、130℃で5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却したのち、水 300mlを加え、沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、中間体7を3.1g(16mmol、収率68%)で得た。
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、2-ヒドラジノベンゾチアゾールの代わりに前記中間体7を用いて、式(1-5-5)で表される中間体8を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1-5)で表される化合物5を1.3g(0.83mmol、収率43%)得た。
<化合物5>
相転移温度(昇温時):C 147 N 241 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.52(d,2H),7.21(d,2H),7.05-6.75(m,12H),6.41(dd,2H),6.25-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),3.65(t,4H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.95-1.65(m,20H),1.55-1.30(m,26H),0.88(t,6H).
Figure 0007155957000051
[製造例6:式(1-6)で表される化合物6の製造]
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、p-トルエンスルホン酸ヘキシルの代わりに1-(2-ブロモエトキシ)ブタンを等モル量用い、2-ヒドラジノベンゾチアゾールの代わりに、前記製造例5と同様の方法により得た前記中間体7を用いて、式(1-6-5)で表される中間体9を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1-6)で表される化合物6を1.6g(0.98mmol、収率51%)得た。
<化合物6>
相転移温度(昇温時):C 131.1 N 232.0 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.41(s,2H),8.11(s,2H),7.52(dd,2H),7.50(d,2H),7.22(d,2H),6.98-6.79(m,12H),6.43(dd,2H),6.16-6.14(m,2H),5.83(dd,2H),4.47(t,4H),4.19(t,4H),3.97(t,4H),3.66(t,4H),3.50-3.46(t,4H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.80-1.27(m,39H),0.88(t,6H).
Figure 0007155957000052
[製造例7:式(1-7)で表される化合物7の製造]
製造例1の製造において、式(1-1-5)で表される中間体3の代わりに式(1-7-5)で表される中間体10(カルバゾール-9-アミン)を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1-7)で表される化合物7を0.2g(0.14mmol、収率 7%)得た。なお、前記中間体10(カルバゾール-9-アミン)は、国際公開2005/035496号公報の実施例4と同様の方法により合成した。
<化合物7>
相転移温度(昇温時):C 150 N 200 I
1H NMR(CDCl ; δppm) :8.33(s,2H),8.11(s,2H),8.09(d,4H),7.69(dd,2H),7.46-7.18(m,14H),6.97-6.88(m,8H),6.43(dd,2H),6.16-6.09(m,2H),5.83(dd,2H),4.17(t,4H),3.94(t,4H),2.73-2.56(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.79-1.47(m,22H).
Figure 0007155957000053
[製造例8:式(1-8)で表される化合物8の製造]
2-ブロモ-5-ヒドロキシベンズアルデヒド 21g(110mmol)、2-ホルミル-4-メトキシフェニルボロン酸 20g(110mmol)をトルエン:エタノール=3:1(400mL)に溶解させ、2M炭酸ナトリウム水溶液 100mlを添加し、60℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.4g(2.1mmol)を添加し、80℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、10時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、不溶分をろ過し、有機層を抽出、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、中間体11を11g(44mmol、収率42%)得た。
製造例1において、式(1-1-2)で表される中間体1の代わりに、前記中間体11と式(1-1-3)で表されるカルボン酸誘導体1とを用いて、中間体12を得て、製造例1において、式(1-1-4)で表される中間体2の代わりに、前記中間体12を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1-8)で表される化合物8を1.1g(0.74mmol、収率39%)得た。
<化合物8>
相転移温度(昇温時):C 165 N 180 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.92(s,2H),7.70-7.60(m,4H),7.35-7.20(m,6H),7.05-6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.95-1.65(m,20H),1.55-1.30(m,20H),0.88(t,6H).
Figure 0007155957000054
[比較製造例1:式(C1-1)で表される比較化合物1の製造]
特許第5962760号の実施例4の化合物4の合成を参考にして、下記式(C1-1)で表される比較化合物1を合成した。
Figure 0007155957000055
[比較製造例2:式(C1-2)で表される比較化合物2の製造]
4-ヨードフェノール 24g(110mmol)、2-ホルミル-4-メトキシフェニルボロン酸 20g(110mmol)をトルエン:エタノール=8:1(400mL)に溶解させ、2M炭酸ナトリウム水溶液 100mlを添加し、60℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.4g(2.1mmol)を添加し、80℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、不溶分をろ過し、有機層を抽出、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、中間体13を21g(99mmol、収率90%)得た。
製造例1において、式(1-1-2)で表される中間体1の代わりに、前記中間体13と式(1-1-3)で表されるカルボン酸誘導体1とを用いて、中間体14を得て、製造例1において、式(1-1-4)で表される中間体2の代わりに、前記中間体14を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(C1-2)で表される比較化合物2を1.9g(1.5mmol、収率81%)得た。
<比較化合物2>
相転移温度(昇温時):C 115 N 200 I
1H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,1H),8.10(s,1H),7.70(dd,2H),7.58-7.53(m,2H),7.31-7.22(m,5H),7.07-6.89(m,9H),6.43(dd,2H),6.16-6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.18(t,4H),3.93(t,4H),3.72(t,2H)2.70-2.55(m,4H),2.45-2.35(m,8H),1.77-1.43(m,24H),1.33-1.32(m,6H),0.87(t,3H).
Figure 0007155957000056
[実施例1]
(1)重合性組成物の製造
重合性液晶化合物(式(1-1)で表される化合物1)100質量部、光重合開始剤(2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン:チバスペシャルティケミカルズ製、イルガキュア907)4質量部をシクロペンタノン400質量部に溶解させ重合性組成物1を製造した。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
(2-1)光配向膜用組成物の調製
特許第5626493号の合成例4の記載に従って光配向性モノマー4を得て、特許第5626493号の製造例1の記載に従って、光配向性モノマー4とヒドロキシエチルメタクリレートを共重合した共重合体1を得た。
下記に示す組成の光配向膜用組成物を調製した。
・共重合体1:0.1質量部
・ヘキサメトキシメチルメラミン(HMM):0.01質量部
・p-トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.0015質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):2.1質量部
(2-2)水平配向膜の形成
PET基板(東洋紡(株)製、E5100、厚さ38μm)の片面上に、前記光配向膜用組成物を、硬化後の膜厚が0.2μmとなるようにバーコートにより塗布し、120℃のオーブンで1分間加熱して乾燥及び熱硬化を行い、硬化塗膜を形成した。その後、この硬化塗膜表面にHg-Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に露光量100mJ/cmで照射することで、水平配向膜を形成した。
(2-3)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
形成した水平配向膜上に、前記重合性組成物1を、硬化後の膜厚が2μmになるように塗布し、重合性組成物を成膜した。その後、表9に示す乾燥温度で、120秒間オーブン中で乾燥させた後に、Fusion社製のHバルブを用いて紫外線(UV)を照射量400mJ/cmで照射して位相差層を形成して位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[実施例2~10、比較例1~3]
(1)重合性組成物の製造
実施例1において、重合性液晶化合物の種類及び添加量を下記表9に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物2~10、及び比較重合性組成物1~3を得た。なお、表9において、化合物2~8は、製造例2~8で得られた化合物2~8であり、比較化合物1、2は、比較製造例1、2で得られた比較化合物1、2であり、化合物Bは、下記化学式で表される重合性液晶化合物B-1である。また、表9において、各重合性液晶化合物の含有量(質量%)とは、重合性液晶化合物の合計100質量%中の含有量(質量%)である。
Figure 0007155957000057
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の製造
実施例1において、重合性組成物1の代わりに、重合性組成物2~10及び比較重合性組成物1~3を用いて成膜し、乾燥温度を下記表9に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルム乃至転写用積層体2~10及び比較位相差フィルム乃至転写用積層体1~3を得た。
[評価]
<ヒドロキノン等の含有量の測定>
各実施例及び各比較例で得た重合性組成物を、核磁気共鳴スペクトル測定用重水素化クロロホルム又は核磁気共鳴スペクトル測定用重水素化ジメチルスルホキシドに溶解して試料溶液とし、H NMR測定を行った。NMR測定で得られたシグナルの積分値から、重合性組成物の全固形分中のヒドロキノン、ベンゾキノン及びこれらの誘導体の合計(ヒドロキノン等)の含有量を算出した。算出した全固形分中のヒドロキノン等の含有量を、重合性組成物に含まれる光重合開始剤以外の固形分、すなわち、重合性組成物に配合した重合性液晶化合物の合計100質量%に対する、ヒドロキノン等の含有割合(質量%)に換算し、各実施例及び各比較例で形成した位相差層に含まれるヒドロキノン等の含有量とした。
<位相差(波長分散性)>
各実施例及び各比較例で得られた位相差フィルムのPET基板を剥離して、位相差層及び水平配向膜を粘着付きガラスに転写し、サンプルを作製した。
位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WR)により、波長450nm、550nm、650nmに対する位相差層の面内位相差Reを測定した。
測定した位相差を用いて以下のように算出されるx、y値から波長分散を評価した。
x=(450nmにおける面内位相差Re)/(550nmにおける面内位相差Re)
y=(650nmにおける面内位相差Re)/(550nmにおける面内位相差Re)
(波長分散性の評価基準)
A:0.6≦x<0.90、1<y ・・・逆波長分散性
B:0.90≦x<0.95、1<y ・・・逆波長分散性
C:0.95≦x<1、1<y
D:1≦x、1≧y ・・・正常分散性
<複屈折>
位相差Re(λ)=複屈折率△n(λ)×膜厚dという関係があることから、550nmにおける面内位相差Reと膜厚dから、550nmにおける複屈折率△nを評価した。
(複屈折率の評価基準)
A:△n≧0.08
B:0.075≦△n<0.08
C:0.075>△n
<耐湿熱性>
色度図におけるa値及びb値を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V-7100)を用いて測定し、放置前のa値及びb値とした。次いで、サンプルを85℃、湿度95%RHの環境下に200時間静置する耐湿熱性試験を行った後に、上記と同様にしてa値、b値を測定し、耐湿熱性試験後のa値及びb値とし、下記の色相変化式により、△a、△bを求め、耐湿熱性を評価した。なお、サンプルとしては、前記位相差の測定で用いたサンプルと同様のものを作製して用いた。
色相変化式
△a=|耐湿熱性試験後のa値-放置前のa値|
△b=|耐湿熱性試験後のb値-放置前のb値|
(耐湿熱性の評価基準)
A:△a≦1、△b≦2
B:1<△a<3、2<△b<4
C:3≦△a、4≦△b
Figure 0007155957000058
また、実施例1~8で得られた位相差フィルムを用いて、前記位相差の測定で用いたサンプルと同様のサンプルを作製した。作製したサンプルについて、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、FT/IR4200)、ガリウムプリズム、回転ステージを用いて、入射角を40°とし、配向方向を0°として回転試料台を回転させる条件でIR測定を行い、ヒドラジン骨格由来の1190cm-1付近のピーク強度(A1)と、ビフェニレン骨格由来の1244cm-1付近のピーク強度(A2)との強度比(A1/A2)を求めた。各サンプルで前記強度比(A1/A2)は約0.5であった。これにより、実施例1~8で得られた位相差フィルムが有する位相差層に、ビフェニレン基の2つのベンゼン環上に各々ヒドラジン骨格を含む側鎖を有する部分構造が含まれることを確認することができた。
1 位相差層
2、2’ 基材
3 配向膜
10、10’、10” 位相差フィルム
11、21、31 位相差層
12、22、32 第二の基材
13、23、33 配向膜
15、25、35 剥離可能な支持体
16、26、36 位相差層を含む転写層
17 配向膜と位相差層との界面
27 第二の基材と配向膜との界面
20、30、40 転写用積層体
50 偏光板
60 光学部材
71 透明電極層
72 発光層
73 電極層
100 発光表示装置

Claims (9)

  1. 位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、下記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルム。
    Figure 0007155957000059
    (一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
    は水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良く、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Rsp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、Zは、重合性官能基を表す。qは0以上4以下の整数を表し、化合物内にL及びAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
    前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良い。化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。化合物内に複数存在するQ及びQは、各々同一であっても異なっていても良く、また、QとQは結合して環を構成していても良い。*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。)
  2. 前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物の合計100質量%中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量が、60質量%以上である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 下記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物を成膜する工程と、
    前記成膜された前記重合性組成物中の前記重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程と、
    前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程とを有する方法により、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法。
    Figure 0007155957000060
    (一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
    は水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良く、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Rsp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、Zは、重合性官能基を表す。qは0以上4以下の整数を表し、化合物内にL及びAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
    前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良い。化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。化合物内に複数存在するQ及びQは、各々同一であっても異なっていても良く、また、QとQは結合して環を構成していても良い。*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。)
  4. 前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物の合計100質量%中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量が、60質量%以上である、請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. 位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
    前記位相差層が、下記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性組成物の硬化物を含有する、
    位相差層の転写に供する転写用積層体。
    Figure 0007155957000061
    (一般式(1)中、Qは、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、
    は水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は-(L-A-L-Rsp2-Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-に置き換えられていても良く、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Aは、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,3-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表し、Lは、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し、Rsp2は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、Zは、重合性官能基を表す。qは0以上4以下の整数を表し、化合物内にL及びAが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
    前記置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、前記置換基Eは、-L-RspE-Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE及びZは、それぞれ、前記L、Rsp2、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp2、及びZと同一であっても異なっていても良い。化合物内に置換基Eが複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。化合物内に複数存在するQ及びQは、各々同一であっても異なっていても良く、また、QとQは結合して環を構成していても良い。*は、重合性官能基を有する1価の基との結合位置を示す。)
  6. 前記重合性組成物に含まれる重合性液晶化合物の合計100質量%中、前記一般式(1)で表される構造を含むメソゲン基を有する重合性液晶化合物の含有量が、60質量%以上である、請求項5に記載の転写用積層体。
  7. 請求項1又は2に記載の位相差フィルム上に、偏光板を備える、光学部材。
  8. 請求項5又は6に記載の転写用積層体を準備する工程と、
    少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
    前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と
    を有する、光学部材の製造方法。
  9. 請求項1若しくは2に記載の位相差フィルム、又は請求項7に記載の光学部材を備える表示装置。
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