JP2020111513A5 - - Google Patents
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Description
本発明の接着性組成物キットの他の実施形態は、第一の部分組成物が、(a)チオ尿素化合物と、(e)アリールボレート化合物と、(g)酸性基非含有重合性単量体と、(h)充填材とのみからなり、第二の部分組成物が、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体と、(g)酸性基非含有重合性単量体と、(h)充填材とのみからなり、(a)チオ尿素化合物が、アセチルチオ尿素のみからなり、(b)パーオキシエステルが、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートのみからなり、(c)無機過酸化物が、ペルオキソ二硫酸ナトリウムのみからなり、(d)二価の銅化合物が、酢酸銅(II)一水和物のみからなり、(e)アリールボレート化合物が、テトラフェニルホウ素のナトリウム塩のみからなることが好ましい。
本発明の接着性組成物キットの他の実施形態は、第一の部分組成物が、(a)チオ尿素化合物と、(e)アリールボレート化合物と、(g)酸性基非含有重合性単量体と、(h)充填材とのみからなり、第二の部分組成物が、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体と、(g)酸性基非含有重合性単量体と、(h)充填材とのみからなり、(a)チオ尿素化合物が、ベンゾイルチオ尿素のみからなり、(b)パーオキシエステルが、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートのみからなり、(c)無機過酸化物が、ペルオキソ二硫酸ナトリウムのみからなり、(d)二価の銅化合物が、酢酸銅(II)一水和物のみからなり、(e)アリールボレート化合物が、テトラフェニルホウ素のナトリウム塩のみからなることが好ましい。
本発明の接着性組成物の保管方法は、本発明の接着性組成物が、第一の部分組成物と、第二の部分組成物とに分包された状態で保管され、第一の部分組成物が、(a)チオ尿素化合物と、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(e)アリールボレート化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とからなる6つの成分のうち、(a)チオ尿素化合物と、(e)アリールボレート化合物とを主成分として含むと共に、有機過酸化物を実質的に含まず、第二の部分組成物が、6つの成分のうち、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(e)酸性基含有重合性単量体とを主成分として含むと共に、ハイドロパーオキサイドを実質的に含まない、ことを特徴とする。
I.化学重合開始剤
本実施形態の化学重合開始剤は、(a)チオ尿素化合物、(b)パーオキシエステル、(c)無機過酸化物、(d)二価の銅化合物及び(e)アリールボレート化合物を含むことを特徴とする。
本実施形態の化学重合開始剤は、(a)チオ尿素化合物、(b)パーオキシエステル、(c)無機過酸化物、(d)二価の銅化合物及び(e)アリールボレート化合物を含むことを特徴とする。
本実施形態の化学重合開始剤において、前記(d)二価の銅化合物の配合量(2種以上の化合物を含む場合は総配合量)は、特に制限されるものではないが、(b)パーオキシエステル100質量部当たり、0.002質量部〜250質量部とすることが好ましい。この範囲を満足することにより、高い重合活性と、高い保存安定性を発揮することができる。より高い重合活性と、より高い保存安定性とを発揮するためには、パーオキシエステル100質量部当たり、0.008質量部〜20質量部とすることがより好ましく、0.03質量部〜8質量部とすることがさらに好ましい。
ここで、第一の部分組成物(以下、「第一剤」と称す場合がある)は、上記6つの成分のうち、(a)チオ尿素化合物と、(e)アリールボレート化合物とを主成分として含むと共に、有機過酸化物を実質的に含まない。また、第二の部分組成物(以下、「第二剤」と称す場合がある」が、上記6つの成分のうち、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とを主成分として含むと共に、ハイドロパーオキサイドを実質的に含まない。
なお、第一の部分組成物は、上記6つの成分のうち、(a)チオ尿素化合物と、(e)アリールボレート化合物とのみを含み、第二の部分組成物は、上記6つの成分のうち、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とのみを含むことが好ましい。
次に、上記(1)の第一剤用重合性単量体成分と、表1の第一剤の欄に示す化学重合開始剤の各成分を混合し、完全に溶解させて、第一剤用基本組成物を調製した。また、これとは別に、上記(2)の第二剤用重合性単量体成分と、表1の第二剤の欄に示す、(c)無機過酸化物以外の化学重合開始剤の各成分を混合し、溶解させて第二剤用基本組成物を調製した。
<評価結果>
上記した評価方法に基づいて評価を行った結果を、以下に示す。
・曲げ強さ(MPa); 調製直後:130、保管後:130
・象牙質に対する接着強さ(MPa); 調製直後:51、保管後:49
・コバルトクロム合金に対する接着強さ(MPa); 水塗布なし:23、水塗布有り:22
上に示されるように、実施例1の接着性組成物は、調製直後及び保管後のいずれにおいても曲げ強さおよび象牙質に対する接着強度の双方共に良好結果を示した。さらに、コバルトクロム合金に対する接着強さについても、水の塗布の有無にかかわらず高い接着強さを示した。この結果から、実施例1の接着性組成物は、優れた硬化性及び保存安定性を有し、更に水の存在にかかわらず高い接着強度を示すことが判った。
上記した評価方法に基づいて評価を行った結果を、以下に示す。
・曲げ強さ(MPa); 調製直後:130、保管後:130
・象牙質に対する接着強さ(MPa); 調製直後:51、保管後:49
・コバルトクロム合金に対する接着強さ(MPa); 水塗布なし:23、水塗布有り:22
上に示されるように、実施例1の接着性組成物は、調製直後及び保管後のいずれにおいても曲げ強さおよび象牙質に対する接着強度の双方共に良好結果を示した。さらに、コバルトクロム合金に対する接着強さについても、水の塗布の有無にかかわらず高い接着強さを示した。この結果から、実施例1の接着性組成物は、優れた硬化性及び保存安定性を有し、更に水の存在にかかわらず高い接着強度を示すことが判った。
なお、実施例46及び47の接着性組成物は、実施例1の接着性組成物に対して、第一剤および第二剤を各々構成する主要成分(a)〜(e)の組合せのみを変えた組成物である。実施例46及び47の調製直後の曲げ強さ及び接着強度は実施例1と同様に高いものの、保管後の曲げ強さ及び接着強度は比較的高い値を示しており、一応、実用的に許容の範囲内ではあるものの、実施例1と比べると低い値となっている。
〔比較例18〜20〕
実施例1において、使用する化学重合開始剤の成分及び配合割合を表10に示す割合に変更し、重合性単量体成分として使用する酸性モノマー及び非酸性モノマー並びにこれらの配合量を表12に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、調製直後及び保管後の接着性組成物の調製し、曲げ強さ及び象牙質に対する接着強さを測定した。
なお、比較例18は、(b)パーオキシエステルの代わりにジアシルパーオキサイドを用いた例であり、比較例19は、(d)二価の銅化合物の代わりにバナジウム化合物を配合した例であり、比較例20は、化学重合開始剤として、過酸化ベンゾイル/アミン化合物からなるものを用いた例である。
実施例1において、使用する化学重合開始剤の成分及び配合割合を表10に示す割合に変更し、重合性単量体成分として使用する酸性モノマー及び非酸性モノマー並びにこれらの配合量を表12に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、調製直後及び保管後の接着性組成物の調製し、曲げ強さ及び象牙質に対する接着強さを測定した。
なお、比較例18は、(b)パーオキシエステルの代わりにジアシルパーオキサイドを用いた例であり、比較例19は、(d)二価の銅化合物の代わりにバナジウム化合物を配合した例であり、比較例20は、化学重合開始剤として、過酸化ベンゾイル/アミン化合物からなるものを用いた例である。
<比較例1〜20の評価結果>
曲げ強さ及び象牙質に対する接着強さを評価した結果を表13に示す。表13に示されるように、比較例1〜9では、十分に硬化していないか、硬化した場合であってもその接着強さは低く不十分なものであった。比較例10〜13では、ゲル化が起こるか、硬化した場合であっても、その曲げ強さ及び接着強さは保管後では大きく低下しており、保存安定性が低いものであった。比較例14〜16では、保管後の場合においてゲル化してしまい、保存安定性が低いものであった。
また、比較例17では、ゲル化は生じなかったものの、調製直後において十分な曲げ強さ及び接着強さを示さず、しかも調製直後と比べて調製後では曲げ強さは著しく低下した。比較例18は、保存安定性が不十分であり、比較例19は、調製直後から第二剤がゲル化し、比較例20は、アミン化合物が酸性成分によって中和されたため、調製直後においても十分に硬化しなかった。
曲げ強さ及び象牙質に対する接着強さを評価した結果を表13に示す。表13に示されるように、比較例1〜9では、十分に硬化していないか、硬化した場合であってもその接着強さは低く不十分なものであった。比較例10〜13では、ゲル化が起こるか、硬化した場合であっても、その曲げ強さ及び接着強さは保管後では大きく低下しており、保存安定性が低いものであった。比較例14〜16では、保管後の場合においてゲル化してしまい、保存安定性が低いものであった。
また、比較例17では、ゲル化は生じなかったものの、調製直後において十分な曲げ強さ及び接着強さを示さず、しかも調製直後と比べて調製後では曲げ強さは著しく低下した。比較例18は、保存安定性が不十分であり、比較例19は、調製直後から第二剤がゲル化し、比較例20は、アミン化合物が酸性成分によって中和されたため、調製直後においても十分に硬化しなかった。
Claims (13)
- (a)チオ尿素化合物、(b)パーオキシエステル、(c)無機過酸化物、(d)二価の銅化合物及び(e)アリールボレート化合物を含み、ハイドロパーオキサイドを実質的に含有しない化学重合開始剤。
- 前記(a)チオ尿素化合物が、下記一般式(1)
で示される化合物である請求項1に記載の化学重合開始剤。 - 前記(b)パーオキシエステルが、10時間半減期温度が80℃以上であるパーオキシエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の化学重合開始剤。
- 前記(c)無機過酸化物がペルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の化学重合開始剤。
- 前記(d)二価の銅化合物が、二価の銅原子と、二価の銅原子に配位する配位子とを含み、
前記配位子が、ハロゲン原子、酸素原子を含む原子団、および、窒素原子を含む原子団からなる群より選択され、
前記配位子が前記酸素原子を含む原子団である場合は、前記酸素原子を含む原子団が、前記酸素原子を介して前記二価の銅原子に配位し、
前記配位子が前記窒素原子を含む原子団である場合は、前記窒素原子を含む原子団が、前記窒素原子を介して前記二価の銅原子に配位していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の化学重合開始剤。 - (a)チオ尿素化合物と、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(e)アリールボレート化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とを含むことを特徴とする接着性組成物。
- (g)酸性基非含有重合性単量体をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の接着性組成物。
- 第一の部分組成物と、前記第一の部分組成物と物理的に接触不可能な状態の第二の部分組成物との組み合わせから構成され、
前記第一の部分組成物と前記第二の部分組成物との組み合わせの全体が、(a)チオ尿素化合物と、(b)パーオキシエステルと、(c)無機過酸化物と、(d)二価の銅化合物と、(e)アリールボレート化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とからなる6つの成分を少なくとも含み、
前記第一の部分組成物が、前記6つの成分のうち、前記(a)チオ尿素化合物と、前記(e)アリールボレート化合物とを主成分として含むと共に、有機過酸化物を実質的に含まず、
前記第二の部分組成物が、前記6つの成分のうち、前記(b)パーオキシエステルと、前記(c)無機過酸化物と、前記(d)二価の銅化合物と、前記(f)酸性基含有重合性単量体とを主成分として含むと共に、ハイドロパーオキサイドを実質的に含まない、
ことを特徴とする接着性組成物キット。 - 前記第一の部分組成物および前記第二の部分組成物から選択される少なくとも一方の組成物が、(g)酸性基非含有重合性単量体をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の接着性組成物キット。
- 前記第一の部分組成物および前記第二の部分組成物から選択される少なくとも一方の組成物が、(h)充填材をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の接着性組成物キット。
- 請求項6または7に記載の接着性組成物を含むことを特徴とする歯科用材料。
- 請求項8又は9に記載の接着性組成物キットを含むことを特徴とする歯科用材料キット。
- 請求項6または7に記載の接着性組成物が、第一の部分組成物と、第二の部分組成物とに分包された状態で保管され、
前記第一の部分組成物が、前記(a)チオ尿素化合物と、前記(b)パーオキシエステルと、前記(c)無機過酸化物と、前記(d)二価の銅化合物と、前記(e)アリールボレート化合物と、前記(f)酸性基含有重合性単量体とからなる6つの成分のうち、前記(a)チオ尿素化合物と、前記(e)アリールボレート化合物とを主成分として含むと共に、有機過酸化物を実質的に含まず、
前記第二の部分組成物が、前記6つの成分のうち、前記(b)パーオキシエステルと、前記(c)無機過酸化物と、前記(d)二価の銅化合物と、(f)酸性基含有重合性単量体とを主成分として含むと共に、ハイドロパーオキサイドを実質的に含まない、
ことを特徴とする接着性組成物の保管方法。
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