本発明の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。実施形態では、クレーン等の建設機械において用いられる処理装置が提供される。
(第1の実施形態)
図1乃至図6は、第1の実施形態に係る処理装置70(図10参照)が用いられる建設機械の一例として、クレーン1を示す。図1乃至図6に示すように、クレーン1は、走行車体2と、走行車体2上に設置される旋回体3と、を備える。旋回体3は、鉛直方向に平行又は略平行な旋回軸を中心として、走行車体2に対して旋回可能である。旋回体3は、旋回台5、運転室6及びジブ張出し装置7を備える。旋回台5、運転室6及びジブ張出し装置7は、走行車体2に対して、一緒に旋回する。運転室6では、作業者によってクレーン1の操作等が行われる。また、走行車体2には、前方側の部位に一対のアウトリガ8Aが設けられ、後方側の部位に一対のアウトリガ8Bが設けられる。
ジブ張出し装置7は、ブーム11、ジブ12、一対のテンションロッド13A,13B、及び、一対のブーム側リンク15A,15Bを備える。本実施形態では、ジブ12を用いて作業を行う際(ジブ12の使用時)において、後述のように、図1、図2、図3、図4、図5及び図6の順に、クレーン1の状態を変化させる。また、ジブ12の使用後にジブ12を格納する際において、図6、図5、図4、図3、図2及び図1の順に、クレーンの状態を変化させる。
ブーム11は、後端(基端)及び前端(先端)を有し、後端から前端まで長手方向(前後方向)に沿って延設される。旋回台5には、ブーム11の後端部が連結され、ブーム11は、旋回台5に対して起伏可能である。なお、クレーン1には、伸縮可能なブーム起伏シリンダー14が設けられる。ブーム起伏シリンダー14は、一端がブーム11に連結され、他端が旋回台5に連結される。ブーム起伏シリンダー14を伸長又は収縮することにより、ブーム11が旋回台5に対して起きる又は伏せる。
図7は、ジブ張出し装置7の構成を示す。ブーム11では、長手方向の一方側が前方側(矢印C1側)として規定され、前方側とは反対側が後方側(矢印C2側)として規定される。また、ブーム11では、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印W1及び矢印W2で示す方向)、及び、長手方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)厚さ方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)が規定される。ブーム11の厚さ方向は、ブーム11の起伏方向と一致又は略一致する。
図7等に示すように、ブーム11の外表面は、ブーム上面21、ブーム下面22、ブーム側面23A,23B及びブーム前端面(ブーム先端面)25を有する。ブーム11では、ブーム上面21、ブーム下面22及びブーム側面23A,23Bのそれぞれは、後端から前端まで長手方向に沿って延設される。また、ブーム前端面25によって、ブーム11の前端が形成され、ブーム前端面25は、ブーム11の前方側を向く。ブーム上面21は、ブーム11の厚さ方向の一方側を向き、ブーム11が起きる側(矢印Y1側)を向く。ブーム下面22は、ブーム11の厚さ方向についてブーム上面21とは反対側を向き、ブーム11が伏せる側(矢印Y2側)を向く。なお、ブーム11の長手方向が水平方向と一致する状態では、ブーム上面21は、鉛直上側を向き、ブーム下面22は、鉛直下側を向く。
また、ブーム側面23A,23Bのそれぞれは、ブーム11の幅方向について外側を向き、ブーム側面23A,23Bは、ブーム11の幅方向について互いに対して反対側を向く。ブーム上面21、ブーム下面22及びブーム前端面25のそれぞれは、ブーム側面23A,23Bの間にブーム11の幅方向に沿って延設される。また、ブーム側面23A,23B及びブーム前端面25のそれぞれは、ブーム上面21とブーム下面22との間にブーム11の厚さ方向(ブーム11の起伏方向)に沿って延設される。ブーム11の前端部(先端部)には、ブームヘッド17が設けられる。ブーム11では、ブームヘッド17によって、ブーム11の前端及びブーム前端面25が形成される。
また、本実施形態では、ブーム11は、長手方向について伸縮可能である。そして、ブーム11は、ベースブーム16と、ベースブーム16に対してブーム11の長手方向に沿って移動可能な1つ以上の可動ブーム18と、を備える。本実施形態では、5つ可動ブーム18がブーム11に設けられる。また、本実施形態では、ベースブーム16によって、ブーム11の後端が形成され、最も前方側の可動ブーム18によって、ブーム11の前端及びブームヘッド17が形成される。ブーム11の内部には、ブーム伸縮シリンダー54(後述する図10参照)が設けられる。ブーム伸縮シリンダー54を伸長又は収縮することにより、可動ブーム18のいずれか1つが、ベースブーム16に対して、ブーム11の長手方向に沿って移動する。これにより、ブーム11においてベースブーム16から前方側への可動ブーム18の突出長さが変化し、ブーム11が長手方向について伸長又は収縮する。
ブーム11は、最も起きた最起状位置と最も伏せた最伏状位置との間で、旋回台5に対して起伏可能である。ここで、水平方向に対するブーム11の長手方向の起伏角度θを、規定する。ブーム11が水平方向に対して仰角を形成する場合は、起伏角度θは正の値になり、ブーム11が水平方向に対して俯角を形成する場合は、起伏角度θは負の値になる。最起状位置のブーム11では、長手方向について前方側の部位ほど鉛直上側に位置し、水平方向に対して仰角を形成する。ある一例では、最起状位置において、ブーム11の起伏角度θが、80°以上90°未満のいずれかの角度になり、例えば、84°程度になる。また、ある一例では、最伏状位置において、ブーム11の長手方向が水平方向と一致又は略一致し、ブーム11の起伏角度θが0°又は略0°となる。別のある一例では、最伏状位置において、ブーム11は、水平方向に対して俯角を形成し、長手方向について前方側の部位ほど鉛直下側に位置する状態になる。
また、ブーム11には、ブーム側カップリング26,27及びブーム側ガイド28が設けられる。ブーム11では、ブーム側カップリング26,27及びブーム側ガイド28は、ブームヘッド17に対して、後方側に配置される。本実施形態では、ブーム側カップリング26,27及びブーム側ガイド28は、ベースブーム16に設けられる。また、ブーム11では、ブーム側カップリング26,27は、ブーム側ガイド28に対して後方側に配置され、ブーム側カップリング26は、ブーム側カップリング27に対して後方側に配置される。そして、ブーム側カップリング26は、ブーム11の長手方向についてベースブーム16の中間部に設けられる。
ブームヘッド17には、ガイドシーブ31,32、トップシーブ(ブームトップシーブ)33、及び、ルースターシーブ35が取付けられる。ガイドシーブ32は、シャフト(ガイドシーブ用のシャフト)36を介してブームヘッド17(ブーム11の前端部)に取付けられ、トップシーブ33は、シャフト(トップシーブ用のシャフト)37を介してブームヘッド17(ブーム11の前端部)に取付けられる。シャフト36,37のそれぞれは、ブーム11の幅方向に沿って延設される。ガイドシーブ31,32及びシャフト36は、トップシーブ33、ルースターシーブ35及びシャフト37に対して、ブーム上面21に近い側、すなわち、ブーム11が起きる側に配置される。そして、ガイドシーブ32、ルースターシーブ35及びシャフト36は、ガイドシーブ31、トップシーブ33及びシャフト37に対して、前方側に配置される。
本実施形態では、旋回台5の主ウィンチ(図示しない)から主巻ロープ41が延出され、主巻ロープ41は、ブーム上面21において後方側から前方側に向かって延設される。そして、主巻ロープ41は、ガイドシーブ31及びトップシーブ33に掛けられ、主フック42は、トップシーブ33から主巻ロープ41を介して吊下げられる。また、本実施形態では、旋回台5の補ウィンチ(図示しない)から補巻ロープ43が延出され、補巻ロープ43は、ブーム上面21において後方側から前方側に向かって延設される。そして、ジブ12が使用されていない状態(ジブ12の不使用時)では、補巻ロープ43は、ガイドシーブ32及びルースターシーブ35に掛けられ、補フック45は、ルースターシーブ35から補巻ロープ43を介して吊下げられる。また、本実施形態では、ブームヘッド17に、フックインブラケット38,39が、取付けられる。フックインブラケット38には、主フック42を格納可能であり、フックインブラケット39には、補フック45を格納可能である。
ジブ12は、後端(基端)及び前端(先端)を有し、後端から前端まで長手方向(前後方向)に沿って延設される。ジブ12では、長手方向の一方側が前方側(矢印C3側)として規定され、前方側とは反対側が後方側(矢印C4側)として規定される。また、ジブ12では、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印W3及び矢印W4で示す方向)、及び、長手方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)厚さ方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)が規定される。クレーン1では、ジブ12の幅方向は、ブーム11の幅方向と一致又は略一致する。
ジブ12の外表面は、ジブ上面46、ジブ下面47及びジブ側面48A,48Bを有する。ジブ12では、ジブ上面46、ジブ下面47及びジブ側面48A,48Bのそれぞれは、後端から前端まで長手方向に沿って延設される。ジブ上面46は、ジブ12の厚さ方向の一方側(矢印Y3側)を向き、ジブ下面47は、ジブ12の厚さ方向についてジブ上面46とは反対側(矢印Y4側)を向く。また、ジブ側面48A,48Bのそれぞれは、ジブ12の幅方向について外側を向き、ジブ側面48A,48Bは、ジブ12の幅方向について互いに対して反対側を向く。ジブ上面46及びジブ下面47のそれぞれは、ジブ側面48A,48Bの間にジブ12の幅方向に沿って延設される。また、ジブ側面48A,48Bのそれぞれは、ジブ上面46とジブ下面47との間にジブ12の厚さ方向に沿って延設される。
本実施形態では、ジブ12は、長手方向について伸縮可能である。ジブ12は、ベースジブ51と、ベースジブ51に対してジブ12の長手方向に沿って移動可能な可動ジブ52と、を備える。本実施形態では、ベースジブ51によってジブ12の後端が形成され、可動ジブ52によってジブ12の前端が形成される。可動ジブ52がベースジブ51に対してジブ12の長手方向に沿って移動することにより、ジブ12においてベースジブ51から前方側への可動ジブ52の突出長さが変化し、ジブ12が長手方向について伸長又は収縮する。また、本実施形態では、ジブ伸縮シリンダー等は設けられず、例えば、手動で可動ジブ52を移動させ、ジブ12を伸長又は収縮させる。なお、本実施形態では、可動ジブ52が1つのみ設けられるが、複数の可動ジブ52が設けられてもよい。この場合、最も前方側の可動ジブ52が、ジブ12の前端を形成する。また、ある一例では、ジブ12に可動ジブ52が設けられず、ジブ12がベースジブ51のみから形成されてもよい。この場合、ジブ12は、長手方向について伸縮不可能である。
図8及び図9は、ブーム11の前端部(先端部)及びジブ12の後端部(基端部)の構成を示す図である。図7乃至図9等に示すように、ジブ12のベースジブ51の後端部には、一対のジブフート53A,53Bが設けられ、ジブフート53A,53Bは、ジブ12の幅方向について、互いに対して離れて配置される。このため、ベースジブ51の後端部は、二股形状に形成され、ジブ12の幅方向についてジブフート53A,53Bの間には、空間が形成される。本実施形態では、ジブフート53A,53Bのそれぞれは、ジブ12の後端を形成する。ジブフート(ジブ側係合部)53A,53Bのそれぞれの後端は、トップシーブ33用のシャフト(ブーム側係合部)37に係合可能である。
ジブフート53A,53Bのそれぞれには、フートピン55を取付け可能である。ジブフート53A,53Bのそれぞれでは、取付けられたフートピン55によって、シャフト37との係合が解除されることが、防止される。このため、ジブフート53A,53Bがシャフト37と係合した状態で、ジブフート53A,53Bのそれぞれにフートピン55が取付けられることにより、ジブ12がブームヘッド17(ブーム11の前端部)に連結される。本実施形態では、トップシーブ33用のシャフト37が、ジブ12のブームヘッド17への連結位置となる。ジブ12が連結位置(シャフト37)でブームヘッド17に連結された状態では、ブーム11の長手方向についての伸長又は収縮に連動して、ジブ12が移動する。一方、ジブ12が連結位置(シャフト37)においてブームヘッド17に連結されていない状態では、ブーム11が長手方向についての伸長又は収縮しても、ジブ12は移動しない。
また、ジブ12のベースジブ51には、ジブ側カップリング56,57及びジブ側ガイド58が設けられる。ジブ12では、ジブ側カップリング56,57は、ジブ側ガイド58に対して前方側(矢印C3側)に配置され、ジブ側カップリング56は、ジブ側カップリング57に対して前方側に配置される。ジブ側カップリング56は、ブーム側カップリング26に連結可能であり、ジブ側カップリング57は、ブーム側カップリング27に連結可能である。また、ジブ側ガイド58は、ブーム側ガイド28と係合可能である。
また、ベースジブ51の外表面には、スライドブラケット60が取付けられる。スライドブラケット60は、ベースジブ51に対して、ジブ12の長手方向に沿って移動可能である。また、ジブ12のベースジブ51には、一対のジブ起伏シリンダー61A,61Bが取付けられる。ジブ起伏シリンダー61Aは、ジブ側面48A上に配置され、ジブ起伏シリンダー61Bは、ジブ側面48B上に配置される。ジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれは、ジブ12の長手方向に沿って互いに対して並列に延設され、ジブ12の長手方向について伸縮可能である。ジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれの一端(前端)は、スライドブラケット60に接続される。また、ジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれの他端(後端)は、ベースジブ51に接続される。なお、ベースジブ51へのジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれの接続位置は、スライドブラケット60に対してジブ12の後方側に位置し、ジブフート53A,53Bに対してジブ12の前方側に位置する。
スライドブラケット60は、ジブ起伏シリンダー61A,61Bが最も収縮した状態において、最も後方側の最後方位置に位置する。そして、スライドブラケット60は、ジブ起伏シリンダー61A,61Bが最も伸長した状態において、最も前方側の最前方位置に位置する。したがって、スライドブラケット60は、最後方位置と最前方位置との間で、ジブ12の長手方向に沿って移動可能である。なお、スライドブラケット60が最後方位置に位置する状態でも、スライドブラケット60は、ジブフート53A,53Bに対してジブ12の前方側に位置する。また、スライドブラケット60が最前方位置に位置する状態でも、スライドブラケット60は、ベースジブ51の外表面上に位置し、スライドブラケット60は、可動ジブ52の外表面上に位置することはない。
一対のテンションロッド13A,13Bは、互いに対して並列に延設され、ジブ12に対してジブ上面46が向く側に配置される。また、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、前端(一端)から後端(他端)まで軸方向に沿って延設され、ジブ12の後方側からジブ12の前方側へ延設される。テンションロッド13A,13Bは、ジブ12の幅方向について、互いに対して離れて配置される。テンションロッド13A,13Bのそれぞれの前端は、スライドブラケット60に接続される。したがって、テンションロッド13A,13Bのそれぞれの前端は、スライドブラケット60を介して、ジブ12のベースジブ51に接続される。
テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、ロッド本体62及びエクステンション63を備える。テンションロッド13A,13Bのそれぞれでは、エクステンション63によって前端(一端)が形成され、ロッド本体62によって後端(他端)が形成される。また、テンションロッド13A,13Bのそれぞれでは、エクステンション63が、スライドブラケット60に接続される。そして、テンションロッド13A,13Bのそれぞれでは、ロッド本体62は、エクステンション63に対して軸方向に沿って移動可能である。このため、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、軸方向について伸縮可能である。テンションロッド13A,13Bのそれぞれでは、セットピン(図示しない)によって、エクステンション63に対するロッド本体62の軸方向に沿う移動を、規制可能である。セットピンによってエクステンション63に対するロッド本体62の移動が規制されることにより、テンションロッド13A,13Bのそれぞれでは、伸縮が規制され、軸方向についての長さが維持される。本実施形態では、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、セットピンによって、少なくとも所定の基準長さで、軸方向についての寸法を維持可能である。
また、ジブ12のベースジブ51には、一対のロッド受け65A,65Bが設けられる。ロッド受け65A,65Bは、ジブ上面46に形成され、ジブ12の幅方向について互いに対して離れて配置される。ロッド受け65Aは、テンションロッド13Aと係合可能であり、テンションロッド13Aを支持可能である。また、ロッド受け65Bは、テンションロッド13Bと係合可能であり、テンションロッド13Bを支持可能である。
ジブ12の可動ジブ52には、トップシーブ(ジブトップシーブ)66が取付けられる。トップシーブ66は、ジブ12の前端部に配置される。ジブ12を用いて作業している状態(ジブ12の使用時)では、補巻ロープ43は、ブーム11の前端部のガイドシーブ32からジブ上面46に延出される。そして、補巻ロープ43は、ジブ上面46において後方側から前方側に向かって延設される。そして、補巻ロープ43は、トップシーブ66に掛けられ、補フック45は、トップシーブ66から補巻ロープ43を介して吊下げられる。
一対のブーム側リンク15A,15Bは、ブームヘッド17に取付けられ、互いに対して並列に延設される。また、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、前端(一端)から後端(他端)まで軸方向に沿って延設される。ブーム側リンク15A,15Bは、ジブ12の幅方向について、互いに対して離れて配置される。ブーム側リンク15Aの前端は、テンションロッド13Aの後端に接続可能であり、ブーム側リンク15Bの前端は、テンションロッド13Bの後端に接続可能である。したがって、一対のテンションロッド13A,13Bのそれぞれは、一対のブーム側リンク15A,15Bの対応する一方に接続可能である。
ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれの後端(他端)は、ブームヘッド17(ブーム11の前端部)に接続される。本実施形態では、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれの後端は、ガイドシーブ32用のシャフト(ブーム側接続部)36に接続される。このため、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれの後端は、ブームヘッド17へのジブ12の連結位置(シャフト37)に対してブーム上面21に近い側で、ブームヘッド17に接続される。すなわち、ブームヘッド17へのブーム側リンク15A,15Bの接続位置(シャフト36)は、ブームヘッド17へのジブ12の連結位置(シャフト37)に対して、ブーム11が起きる側(矢印Y1側)に位置する。また、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ブームヘッド17への接続位置(シャフト36)に対して、ブーム下面22が向く側の領域で、テンションロッド13A,13Bの対応する一方へ接続可能である。
ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ブームヘッド17への接続位置(シャフト36)を中心として、ブーム11に対して回動可能である。ブーム側リンク15A,15Bは、ブームヘッド17に対してブーム11の前方側に配置され、ブーム前端面25に対してブーム11の前方側に配置される。ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ブームヘッド17への接続位置を中心として回動することにより、ブームヘッド17に対して、ブーム11の前方側から近づく、又は、ブーム11の前方側へ離れる。したがって、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ブームヘッド17への接続位置を中心とする回動によって、ブーム11の起伏方向(ブーム11の厚さ方向)に対する軸方向の角度(鋭角)が、変化する。
また、ブーム11のブームヘッド17には、一対のストッパー67A,67Bが設けられる。ストッパー67A,67Bは、ブーム側リンク15A,15Bのブームヘッド17への接続位置(シャフト36)に対して、ブーム下面22に近い側、すなわち、ブーム11が伏せる側に位置する。ストッパー67Aは、ブーム側リンク15Aと係合可能であり、ストッパー67Bは、ブーム側リンク15Bと係合可能である。ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ストッパー67A,67Bの対応する一方と係合することより、ブームヘッド17への接続位置を中心とする回動が、規制される。なお、ストッパー67A,67Bは、ブームヘッド17から取外し可能であってもよい。
次に、ジブ12を用いた作業について説明する。本実施形態では、図1に示すように、クレーン1の走行時等のジブ12の不使用時には、ジブ側カップリング56は、ブーム側カップリング26に連結され、ジブ側カップリング57は、ブーム側カップリング27に連結される。そして、ジブ側ガイド58は、ブーム側ガイド28に係合する。このため、ジブ12の不使用時には、ジブ12は、ブーム下面22上にブーム11の長手方向に沿って格納される。したがって、ジブ12は、ブーム下面22にブーム11の長手方向に沿って配置可能である。ブーム下面22上にジブ12が配置された状態では、ジブ12のジブ下面47がブーム下面22と対向する。そして、ジブ12の先端側がブーム11の基端側と一致又は略一致し、かつ、ジブ12の基端側がブーム11の先端側と一致又は略一致する状態で、ジブ12が配置される。
ブーム側カップリング26及びジブ側カップリング56等によってブーム下面22上にブーム11が配置された状態では、ブーム11を最も収縮した最収縮状態まで収縮することにより、ジブフート(ジブ側係合部)53A,53Bのそれぞれが、シャフト(ブーム側係合部)37と係合する。また、ジブ12の不使用時には、ジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれは、最も収縮した状態になり、スライドブラケット60は、最も後方側の最後方位置に位置する。
また、ジブ12がブーム下面22に長手方向に沿って配置された状態では、テンションロッド13A,13Bは、ジブ12に対してブーム11が位置する側とは反対側に、配置される。また、走行時等のジブ12の不使用時には、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、軸方向についての長さが短い状態で格納され、ブーム側リンク15A,15Bに接続不可能である。また、ジブ12の不使用時には、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、ロッド受け65A,65Bの対応する一方と係合し、ロッド受け65A,65Bの対応する一方によって支持される。
また、走行時等のジブ12の不使用時には、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ストッパー67A,67Bの対応する一方と係合する。このため、ジブ12の不使用時には、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれは、ブームヘッド17への接続位置(シャフト36)を中心とする回動が規制される。また、走行時等では、主フック42は、フックインブラケット38に格納され、補フック45は、フックインブラケット39に格納される。
ジブ12を用いて作業を行う際には、図1に示すように、アウトリガ8A,8Bを地面に設置し、走行車体2を安定化させる。また、ブーム11を、最伏状位置又は最伏状位置に近い位置まで伏せた状態にする。この際、ブーム11は、水平な状態であってもよく、水平方向に対して俯角を形成してもよい。また、ブーム11を最収縮状態にし、ジブフート53A,53Bのそれぞれがシャフト37に係合した状態にする。この状態で、ジブフート53A,53Bのそれぞれにフートピン55を取付け、ジブ12の後端部(後端)をブームヘッド17(ブーム11の前端部)に連結する。
そして、図2等に示すように、テンションロッド13A,13Bのそれぞれを、格納された状態から伸長し、ブーム側リンク15A,15Bの対応する一方に接続する。そして、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれのストッパー67A,67Bの対応する一方との係合を解除し、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれをブームヘッド17への接続位置(シャフト36)を中心として回動可能にする。なお、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれのストッパー67A,67Bの対応する一方との係合が解除された状態で、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれに、テンションロッド13A,13Bの対応する一方が接続されてもよい。
ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれに、テンションロッド13A,13Bの対応する一方を接続すると、ジブ起伏シリンダー61A,61Bに油圧を供給するホース等を、ブーム11に取付ける。また、テンションロッド13A,13Bのそれぞれのロッド受け65A,65Bの対応する一方との係合を解除し、テンションロッド13A,13Bを解放する。
前述の作業を行った後は、図2に示すように、最起状位置又は最起状位置に近い位置までブーム11を起こす。この際、ある一例では、起伏角度θが81°より大きくなるまで、ブーム11を起こし、例えば、起伏角度θが84°程度になるまで、ブーム11を起こす。そして、図3に示すように、ブーム11を最収縮状態から伸長させる。この際、最収縮状態からの伸長量εが閾値εthより大きくなるまで、ブーム11が伸長される。ある一例では、閾値εthは、0.45mである。そして、ブーム11は、最収縮状態からの伸長量εが0.45mより大きくなるまで伸長され、例えば、伸長量εが0.5m程度になるまで伸長される。
ブーム11が伸長することにより、ジブ側カップリング56のブーム側カップリング26との連結、ジブ側カップリング57のブーム側カップリング27との連結、及び、ジブ側ガイド58のブーム側ガイド28との係合が解除される。すなわち、ブームヘッド17への連結位置(シャフト37)以外の部位でのブーム11に対するジブ12の連結及び係合が、解除される。そして、ジブ12は、ブームヘッド17(ブーム11の前端部)のシャフト37でのみブーム11に連結された状態になり、ブームヘッド17への連結位置(シャフト37)を中心としてブーム11に対して回動可能になる。また、前述のようにブーム側カップリング26への連結等が解除されることにより、ジブ12はブームヘッド17への連結位置から垂下する又は略垂下する状態になる。ジブ12が垂下する又は略垂下する状態では、ジブ12の長手方向が鉛直方向と一致又は略一致し、ジブ12の前方側が鉛直下側と一致又は略一致する。
なお、図8は、図2の状態でのブーム11の前端部及びジブ12の後端部を示し、図9は、図8の状態からブーム11を伸長した状態を示す。前述のように、ブーム下面22にジブ12が配置され、かつ、ブーム11の起伏角度θが適正範囲Δθrefになる状態では、最収縮状態のブーム長からの伸長量εが閾値εthより大きくなるまでブーム11を伸長することにより、ブーム側ガイド28へのジブ側ガイド58の係合等が解除される。これにより、ブームヘッド17(ブーム11の前端部)への連結位置(シャフト37)からジブ12が垂下する又は略垂下する状態になる。そして、ある一例では、ブーム11の起伏角度θの前述の適正範囲Δθrefは、82°以上84°以下である。
そして、図4に示すように、最起状位置又は最起状位置に近い位置からブーム11を伏せた後、ブーム11を収縮して最収縮状態にする。この際、起伏角度θが40°程度になるまで、ブーム11を伏せる。そして、補巻ロープ43を繰出すことにより、地面の近傍に位置する状態まで補フック45を巻下げる。その後、図5に示すように、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態まで、ブーム11をさらに伏せる。これにより、補フック45が、接地する。図5の状態でも、ブーム11の起伏角度θは、仰角となり、例えば、32°程度になる。また、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置するまでブーム11を伏せている際は、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、軸方向について伸縮可能である。このため、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置するまでブーム11を伏せている際は、ブーム11の長手方向に対してジブ12の長手方向が成す角度(オフセット角)αが、変化する。したがって、図5の状態でも、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する又は略垂下する状態で維持される。
また、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態では、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、軸方向についての長さが、前述の所定の基準長さ又は所定の基準長さに近い値になる。そして、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態で、テンションロッド13A,13Bのそれぞれにセットピンを取付ける。これにより、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、セットピンによって、軸方向についての長さが所定の基準長さで維持される。また、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態で、補巻ロープ43をトップシーブ66に掛ける。
そして、テンションロッド13A,13Bのそれぞれの軸方向についての長さを所定の基準長さで維持した後、図6に示すように、最起状位置又は最起状位置に近い位置までブーム11を起こす。この際、テンションロッド13A,13Bのそれぞれが所定の基準長さで維持されているため、ブーム11を起こしても、ブーム11の長手方向に対してジブ12の長手方向が成す角度αは、変化しない。このため、最起状位置又は最起状位置に近い位置までブーム11を起こすことにより、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する状態に対して、ブーム11の前方側に張出された状態になる。そして、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側に張出された状態において、ジブ起伏シリンダー61A,61Bを伸長又は収縮し、スライドブラケット60をベースジブ51に対して移動させる。これにより、ブームヘッド17への連結位置(シャフト37)を中心としてジブ12がブーム11に対して回動し、ジブ12がブーム11に対して起きる又は伏せる。
本実施形態では、ジブ起伏シリンダー61A,61Bが最も収縮し、スライドブラケット60が最後方位置に位置する状態で、ジブ12がブーム11に対して最も伏せた状態になる。一方、ジブ起伏シリンダー61A,61Bが最も伸長し、スライドブラケット60が最前方位置に位置する状態で、ジブ12がブーム11に対して最も起きた状態になる。なお、ジブ12がブーム11に対して最も伏せた状態でも、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する状態に対して、ブーム11の前方側に張出される。また、ジブ12の起伏方向は、ジブ12の厚さ方向に対して、一致又は略一致する。そして、ジブ上面46が向く側(矢印Y3側)が、ジブ12が起きる側と一致又は略一致し、ジブ下面47が向く側が(矢印Y4側)が、ジブ12が伏せる側と一致又は略一致する。
ここで、図6では、状態A1が、ジブ12がブーム11に対して最も伏せた状態を示し、状態A2が、ジブ12がブーム11に対して最も起きた状態を示す。そして、状態A3は、状態A1と状態A2との間の状態を示す。また、図7では、図6と同様に、ブームヘッド17から垂下する状態に対して、ブーム11の前方側にジブ12が張出された状態が、示される。
ジブ12を用いた作業が終了すると、前述した手順とほぼ逆の手順を行う。すなわち、ジブ12を用いた作業が終了すると、図6の状態A1に示すように、ジブ12をブーム11に対して最も伏せた状態にする。そして、最起状位置又は最起状位置に近い位置から起伏角度θが40°程度になるまで、ブーム11を伏せる。その後、補巻ロープ43を繰出すことにより、地面の近傍に位置する状態まで補フック45を巻下げる。そして、図5に示すように、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態まで、ブーム11をさらに伏せる。これにより、補フック45が、接地する。この際、ブーム11の起伏角度θ(仰角)が32°程度になるまで、ブーム11を伏せる。また、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置するまでブーム11を伏せることにより、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する又は略垂下する状態になる。
そして、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態で、テンションロッド13A,13Bのそれぞれからセットピンを取外す。これにより、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、軸方向について伸縮可能になる。また、ジブ12の前端部が地面の近傍に位置する状態で、補巻ロープ43をトップシーブ66から取外す。そして、図4に示すように、起伏角度θが40°程度になるまで、ブーム11を起こす。そして、補巻ロープ43を巻取ることにより、補フック45を巻上げる。図4の状態でも、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する又は略垂下する状態になる。
そして、図3に示すように、最収縮状態からの伸長量εが前述の閾値εthより大きくなるまでブーム11を伸長した後、ブーム11をさらに起こす。この際、最起状位置又は最起状位置に近い位置まで、ブーム11を起こす。図3の状態では、ブーム11の起伏角度θは、前述の適正範囲Δθrefになる。また、図3の状態でも、ジブ12は、ブームヘッド17から垂下する又は略垂下する状態になる。
そして、図2に示すように、最収縮状態までブーム11を収縮する。これにより、ジブ側ガイド58がブーム側ガイド28と係合する。そして、ジブ側カップリング56が、ブーム側カップリング26に連結され、ジブ側カップリング57が、ブーム側カップリング27に連結される。ジブ側ガイド58がブーム側ガイド28と係合等することにより、ジブ12は、前述のようにブーム下面22にブーム11の長手方向に沿って配置される状態になり、ジブ12が格納される。
なお、図9は、図3の状態でのブーム11の前端部及びジブ12の後端部を示し、図8は、図9の状態からブーム11を収縮した状態を示す。前述のように、ブームヘッド17への連結位置(シャフト37)からジブ12が垂下又は略垂下し、かつ、ブーム11の起伏角度θが適正範囲Δθrefになる状態では、最収縮状態までブーム11を収縮することにより、ブーム側ガイド28へジブ側ガイド58が係合する。そして、ブーム側ガイド28へのジブ側ガイド58の係合等によって、ブーム下面22にジブ12が配置される。この際、ブーム11は、最収縮状態からの伸長量εが閾値εthより大きい状態から、収縮される。
そして、図1に示すように、ジブ12がブーム下面22に配置された状態で、最伏状位置又は最伏状位置に近い位置までブーム11を伏せる。そして、ジブフート53A,53Bのそれぞれからフートピン55を取外し、ジブ12のブームヘッド17への連結を解除する。また、ブーム側リンク15A,15Bの対応する一方に対するテンションロッド13A,13Bのそれぞれの接続を、解除する。また、テンションロッド13A,13Bのそれぞれを、ロッド受け65A,65Bの対応する一方に係合させるとともに、ブーム側リンク15A,15Bに接続不可能な長さになる程度まで軸方向について収縮させる。そして、ブーム側リンク15A,15Bのそれぞれを、ストッパー67A,67Bの対応する一方と係合させる。
本実施形態では、処理装置70は、クレーン1において、ブーム11及びジブ12のそれぞれの作動制御等の処理を行う。図10は、クレーン1における処理装置70による制御構成を示す。図10に示すように、処理装置70は、コントローラ71を備える。コントローラ71は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application specific integrated circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を備える集積回路又は回路構成(circuitry)等である。プロセッサは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。プロセッサでの処理は、プロセッサ又は記憶媒体に記憶されたプログラムに従って行われる。また、記憶媒体には、プロセッサで用いられる処理プログラム、及び、プロセッサでの演算で用いられるパラメータ、関数及びテーブル等が記憶される。
クレーン1には、前述のように、ブーム起伏シリンダー14、ブーム伸縮シリンダー54及びジブ起伏シリンダー61A,61Bが、設けられる。コントローラ71は、ブーム起伏シリンダー14、ブーム伸縮シリンダー54及びジブ起伏シリンダー61A,61Bのそれぞれへの油圧の供給等を制御し、ブーム起伏シリンダー14、ブーム伸縮シリンダー54及びジブ起伏シリンダー61A,61Bの作動を制御する。これにより、コントローラ71は、ブーム11の起伏、ブーム11の長手方向についての伸縮、及び、ジブ12のブーム11に対する起伏のそれぞれを制御する。
また、クレーン1には、運転室6の内部等にユーザーインターフェース72が設けられる。ユーザーインターフェース72は、ボタン、スイッチ及びレバー等のいずれかであってもよく、画面上に表示されるメニュー及びアイコン等のいずれかであってもよい。また、ユーザーインターフェース72は、クレーン1とは別体のリモコン及び携帯端末等のいずれかであってもよい。ユーザーインターフェース72での作業者等の操作によって、コントローラ71に操作指令が入力される。コントローラ71は、操作指令に基づいて、ブーム11及びジブ12のそれぞれの作動制御等を行う。ユーザーインターフェース72では、ブーム11の起伏に関する操作、ブーム11の伸縮に関する操作、及び、ジブ12の起伏に関する操作のそれぞれが、入力される。
また、ユーザーインターフェース72では、制御モードを切替える操作が入力可能である。前述のようにジブ12を使用する際には、図1の状態において、作業者は、ブーム作業モードからジブセットモードに切替える。そして、前述のように図2、図3、図4及び図5の順に状態を変化させることによって図6の状態A1のようにジブ12が張出されると、ジブ12をブーム11に対して起こす又は伏せる前に、作業者は、ジブセットモードからジブ作業モードに切替える。一方、ジブ12での作業終了後においてジブ12を格納する際は、図6の状態A1において、作業者は、ジブ作業モードからジブセットモードに切替える。そして、前述のように図5、図4、図3及び図2の順に状態を変化させることによって図1の状態にすると、作業者は、ジブセットモードからブーム作業モードに切替える。
また、クレーン1には、検出器74〜76が設けられる。検出器74は、ブーム11の起伏角度θに関するパラメータを検出し、検出器75は、ブーム11の最収縮状態からの伸長量εに関するパラメータを検出する。また、検出器76は、ジブ12のブーム11に対する角度(オフセット角)αに関するパラメータを検出する。
ある実施例では、検出器74は、水平方向に対するブーム11の長手方向の角度を検出し、コントローラ71は、検出器74が検出した角度を、ブーム11の起伏角度θとして取得する。この場合、振り子を介したポテンショメータによる角度検出、及び、電子角度計による角度検出等のいずれかによって、検出器74が角度を検出する。また、別のある実施例では、検出器74は、ブーム起伏シリンダー14の長さを検出し、コントローラ71及び検出器74等のいずれかは、検出されたブーム起伏シリンダー14の長さを用いて、ブーム11の起伏角度θを算出する。そして、コントローラ71は、算出された起伏角度θを取得する。この場合、検出器74では、ポテンショメータ又はエンコーダによるコードの引出し量の検出、レーザーを照射することによる長さ検出、磁歪式センサによる長さ検出、及び、ブーム起伏シリンダー14へ供給及び排出される作動油量の検出等のいずれか、及び、これらの検出結果を用いた演算等によって、ブーム起伏シリンダー14の長さが検出される。
ある実施例では、検出器75は、ブーム11の前方側への可動ブーム18のそれぞれの移動変位を検出し、コントローラ71及び検出器75等のいずれかは、検出された全ての移動変位を積算することにより、最収縮状態からのブーム11の伸長量εを算出する。そして、コントローラ71は、算出された伸長量εを取得する。この場合、検出器75では、ポテンショメータ又はエンコーダによるコードの引出し量の検出等、及び、その検出結果を用いた演算等によって、可動ブーム18のそれぞれの移動変位が検出される。また、別のある実施例では、検出器75は、ブーム11の長手方向についての寸法(長さ)を検出し、コントローラ71及び検出器75等のいずれかは、検出されたブーム11の寸法を用いて、最収縮状態からのブーム11の伸長量εを算出する。そして、コントローラ71は、算出された伸長量εを取得する。この場合、検出器75では、レーザーを照射することによる長さ検出等、及び、その検出結果を用いた演算等によって、ブーム11の長手方向についての寸法が検出される。
また、別のある実施例では、検出器75は、ブーム伸縮シリンダー54の長さを検出し、コントローラ71及び検出器75等のいずれかは、検出されたブーム伸縮シリンダー54の長さを用いて、最収縮状態からのブーム11の伸長量εを算出する。そして、コントローラ71は、算出された伸長量εを取得する。この場合、検出器75では、ポテンショメータ又はエンコーダによるコードの引出し量の検出、レーザーを照射することによる長さ検出、磁歪式センサによる長さ検出、及び、ブーム伸縮シリンダー54へ供給及び排出される作動油量の検出等のいずれか、及び、これらの検出結果を用いた演算等によって、ブーム伸縮シリンダー54の長さが検出される。
ある実施例では、検出器76は、ジブ起伏シリンダー61A,61Bのいずれかの長さを検出し、コントローラ71及び検出器76等のいずれかは、検出したジブ起伏シリンダー(61A,61Bのいずれか1つ以上)の長さを用いて、ブーム11に対するジブ12の角度(オフセット角)αを算出する。そして、コントローラ71は、算出された角度αを取得する。この場合、検出器76では、ポテンショメータ又はエンコーダによるコードの引出し量の検出、レーザーを照射することによる長さ検出、磁歪式センサによる長さ検出、及び、ジブ起伏シリンダー(61A,61Bのいずれか1つ以上)へ供給及び排出される作動油量の検出等のいずれか、及び、これらの検出結果を用いた演算等によって、ジブ起伏シリンダー(61A,61Bのいずれか1つ以上)の長さが検出される。
ある実施例では、検出器76は、ジブ12の前方側へのスライドブラケット60の移動変位を検出し、コントローラ71及び検出器76等のいずれかは、検出したスライドブラケット60の移動変位を用いて、ブーム11に対するジブ12の角度αを算出する。そして、コントローラ71は、算出された角度αを取得する。この場合、検出器76では、ポテンショメータ又はエンコーダによるコードの引出し量の検出、及び、その検出結果を用いた演算等によって、スライドブラケット60の移動変位が検出される。また、別のある実施例では、水平方向に対するジブ12の長手方向の角度を検出し、コントローラ71等は、検出器76が検出した角度に加えてブーム11の起伏角度θを用いて、ブーム11に対するジブ12の角度αを算出する。そして、コントローラ71は、算出された角度αを取得する。この場合、振り子を介したポテンショメータによる角度検出、及び、電子角度計による角度検出等のいずれかによって、検出器76が角度を検出する。
また、クレーン1には、スイッチ78が設けられる。スイッチ78は、ブーム側カップリング27にジブ側カップリング57が連結されているか否かに基づいて、ON状態とOFF状態との間が切替わる。すなわち、ジブ12がブーム下面22上に配置されているか否かに基づいて、スイッチ78は、ON状態とOFF状態との間が切替わる。例えば、ブーム側カップリング27にジブ側カップリング57が連結されている状態では、スイッチ78は、ON状態になり、ブーム側カップリング27へのジブ側カップリング57の連結が解除されている状態では、スイッチ78は、OFF状態になる。コントローラ71は、スイッチ78がON状態又はOFF状態のいずれであるかに基づいて、ジブ12がブーム下面22に配置されているか否かを判断する。なお、ある実施例では、ブーム側カップリング26にジブ側カップリング56が連結されているか否かに基づいて、スイッチ78のON状態とOFF状態との間が切替わる。別のある実施例では、ブーム側ガイド28にジブ側ガイド58が係合しているか否かに基づいて、スイッチ78のON状態とOFF状態との間が切替わる。
図11は、制御モードがジブセットモードの際において、コントローラ71による制御を示すフローチャートである。図11に示すように、ジブセットモードでは、コントローラ71は、スイッチ78がON状態又はOFF状態のいずれであるかを判断する(S101)。スイッチ78がON状態である場合は(S101−No)、コントローラ71は、ブーム下面22にブーム11の長手方向に沿ってジブ12が配置されていると判断し、ジブ12がブーム11に下抱きされていると判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する(S108)。ブーム11の伸縮及び起伏が許可された状態では、ユーザーインターフェース72等でブーム11の伸縮に関する操作が入力されることにより、コントローラ71は、ブーム伸縮シリンダー54を作動させ、ブーム11を長手方向について伸長又は収縮させる。また、ブーム11の伸縮及び起伏が許可された状態では、ユーザーインターフェース72等でブーム11の起伏に関する操作が入力されることにより、コントローラ71は、ブーム起伏シリンダー14を作動させ、ブーム11を起こす又は伏せる。
スイッチ78がOFF状態である場合は(S101−Yes)、コントローラ71は、ブーム下面22にジブ12が配置されていないと判断し、ジブ12がブーム11に下抱きされていないと判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の長手方向に対するジブ12の長手方向が成す角度(オフセット角)αを算出する(S102)。この際、前述のように、検出器76等での検出結果に基づいて、コントローラ71は、角度αを取得する。そして、コントローラ71は、取得した角度αが基準角度αth以下であるか否かを判断する(S103)。基準角度αthは、コントローラ71の記憶媒体等に記憶されていてもよく、ユーザーインターフェース72等で作業者によって設定されてもよい。ある実施例では、基準角度αthは、46°程度になる。本実施形態では、コントローラ71は、角度αが基準角度αth以下であるか否かに基づいて、ブームヘッド17(ブーム11の前端部)への連結位置(シャフト37)から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側へ張出されているか否かを、判断する。
角度αが基準角度αthより大きい場合は(S103−No)、コントローラ71は、ブームヘッド17への連結位置から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側へ張出されていると、判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する(S108)。一方、角度αが基準角度αth以下の場合は(S103−Yes)、コントローラ71は、ブームヘッド17への連結位置から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側へ張出されていないと、判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の起伏角度θ、及び、最収縮状態からのブーム11の伸長量εを取得する(S104)。この際、前述のように、検出器74,75等での検出結果に基づいて、コントローラ71は、起伏角度θ及び伸長量εを取得する。
そして、コントローラ71は、取得した起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下であるか否かを判断するとともに(S105)、取得した伸長量εが前述の閾値εth以下であるか否かを判断する(S106)。すなわち、コントローラ71は、ブーム11の起伏角度θが下限角度θmin以上でかつ上限角度θmax以下になり、かつ、最収縮状態からのブーム11の伸長量εが閾値εth以下になる範囲を、制限範囲として設定する。そして、コントローラ71は、ブーム11が制限範囲に位置するか否かを判断する。ここで、下限角度θmin、上限角度θmax及び閾値εthのそれぞれは、コントローラ71の記憶媒体等に記憶されていてもよく、ユーザーインターフェース72等で作業者によって設定されてもよい。上限角度θmaxは、ブーム11の起伏角度θの前述の適正範囲Δθrefより小さく、ある実施例では、81°程度である。また、ある実施例では、下限角度θminは、65°程度であり、閾値εthは、前述のように0.45m程度である。
なお、図12では、ブーム11の起伏角度θに関する適正範囲Δθref、上限角度θmax及び下限角度θmin、及び、最収縮状態のブーム長からのブームの伸長量εに関する閾値εthの一例を示す。したがって、図12では、前述の制限範囲の一例が示される。また、図12では、ブーム11の長手方向に対するジブ12の長手方向が成す角度(オフセット角)αも、示す。
起伏角度θが下限角度θminより小さい、又は、上限角度θmaxより大きい場合(S105−No)、又は、伸長量εが閾値εthより大きい場合は(S106−No)、コントローラ71は、ブーム11が制限範囲に位置していないと、判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する(S108)。一方、起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下で(S105−Yes)、かつ、伸長量εが閾値εth以下(S106−Yes)の場合は、コントローラ71は、ブーム11が制限範囲に位置していると、判断する。そして、コントローラ71は、ブーム11の収縮及び起伏を禁止する(S107)。ブーム11の収縮及び起伏が禁止された状態では、ユーザーインターフェース72等でブーム11の収縮に関する操作が入力されても、コントローラ71は、ブーム伸縮シリンダー54を収縮側に作動させず、ブーム11を長手方向について収縮させない。また、ブーム11の収縮及び起伏が禁止された状態では、ユーザーインターフェース72等でブーム11の起伏に関する操作が入力されても、コントローラ71は、ブーム起伏シリンダー14を作動させず、ブーム11を起伏させない。
なお、ブーム11の収縮及び起伏が禁止された状態でも、コントローラ71は、ブーム11の伸長は許可する。このため、ブーム11が前述の制限範囲に位置すると判断しても、ユーザーインターフェース72等でブーム11の伸長に関する操作が入力された場合は、コントローラ71は、ブーム伸縮シリンダー54を伸長側に作動させ、ブーム11を長手方向について伸長させる。
前述のような処理が行われることにより、ジブセットモードでは、コントローラ71は、ジブ12がブーム下面22上に配置されていないと判断し、かつ、ブームヘッド17への連結位置から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側へ張出されていないと判断し、かつ、ブーム11が制限範囲に位置していると判断したことに基づいて、ブーム11の収縮及び起伏を禁止する。このため、図1及び図2に示す状態では、コントローラ71は、ジブ12がブーム下面22上に配置されていると判断し、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する。また、図3の状態から図4の状態への変化では、ブーム11の伸長量εが閾値εthより大きい状態で、起伏角度θが下限角度θminより小さい状態までブーム11を伏せた後、ブーム11を最収縮状態まで収縮させる。そして、図4の状態から図3の状態への変化では、起伏角度θが下限角度θminより小さい状態で、伸長量εが閾値εthより大きい状態までブームを伸長させた後、適正範囲Δθrefまでブーム11を起こす。したがって、図3の状態と図4の状態との間の変化では、コントローラ71は、ブーム11が制限範囲に位置していないと判断し、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する。
また、図5の状態と図6の状態A1との間の変化では、ブーム11が制限範囲に位置することがある。ただし、図5の状態と図6の状態A1との間では、ブーム11に対するジブ12の角度(オフセット角)αが、基準角度αthより大きくなる。このため、コントローラ71は、ブームヘッド17への連結位置から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側へ張出されていると判断し、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する。したがって、ジブ12の使用時(張出し時)には、前述したように図1、図2、図3、図4、図5、図6の順に適切にクレーン1の状態を変化させることにより、常時、ブーム11の伸縮及び起伏が許可された状態になる。そして、ジブ12を格納する際も、前述したように図1、図2、図3、図4、図5、図6の順に適切にクレーン1の状態を変化させることにより、常時、ブーム11の伸縮及び起伏が許可された状態になる。
ただし、ジブ12の張出し作業及び格納作業のそれぞれでは、前述の適切な手順で作業が行われない可能性がある。この場合、ジブ12がブーム下面22に配置されず、かつ、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12が前方側へ張出されていない状態で、ブーム11が前述の制限範囲に侵入する可能性がある。例えば、ジブ12の張出し作業において、図2の状態から、伸長量εが閾値εth以下の状態でまでしか、ブーム11を伸長させなかったとする。この場合、伸長量εが閾値εth以下の状態のままブーム11を伏せると、ブーム11が制限範囲に侵入する。また、ジブ12の格納作業において、図4の状態から、伸長量εが閾値εth以下の状態でまでしか、ブーム11を伸長させなかったとする。この場合、伸長量εが閾値εth以下の状態のままブーム11を起こすと、ブーム11が制限範囲に侵入する。
また、ジブ12の張出し作業において、図3の状態から、起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下になる状態までしか、ブーム11を伏せなかったとする。この場合、起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下になる状態のままブーム11を収縮すると、ブーム11が制限範囲に侵入する。また、ジブ12の格納作業において、図4の状態から、伸長量εが閾値εthより大きくなるまでブーム11を伸長させた後、起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下になる状態までしか、ブーム11を起こさなかったとする。この場合、起伏角度θが下限角度θmin以上かつ上限角度θmax以下になる状態のままブーム11を収縮すると、ブーム11が制限範囲に侵入する。
本実施形態では、前述のように、コントローラ71は、図11の処理を行う。このため、ジブ12がブーム下面22に配置されず、かつ、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12が前方側へ張出されていない状態では、前述のようにブーム11が制限範囲に侵入すると、コントローラ71によって、ブーム11の収縮及び起伏が禁止される。すなわち、前述のようにブーム11が制限範囲に侵入した場合、コントローラ71によって、ブーム11の収縮動作及び/又は起伏動作が停止される。ブーム11の制限範囲への侵入に基づいてブーム11の収縮動作及び/又は起伏動作が停止されることにより、ブーム側ガイド28へのジブ側ガイド58の不適切な干渉が、有効に防止される。また、ジブ12の格納作業においては、ブーム側ガイド28へのジブ側ガイド58の不適切な干渉が防止されることにより、ブーム側ガイド28へジブ側ガイド58が適切に係合され、ブーム下面22にジブ12が適切に配置される。
なお、ブーム11が制限範囲に侵入し、コントローラ71によってブーム11の収縮動作及び/又は起伏動作が停止された場合は、作業者は、ユーザーインターフェース72等でブーム11の伸長に関する操作を入力する。そして、ブーム11が制限範囲の外に位置するまで、ブーム11を伸長する。
また、前述のように、図5の状態と図6の状態A1との間の変化では、ブーム11が制限範囲に位置しても、コントローラ71は、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する。実際、ブーム11に対するジブ12の角度(オフセット角)αが基準角度αthより大きくなると、ブーム11が制限範囲に位置しても、ブーム側ガイド28へジブ側ガイド58が不適切に干渉しない。本実施形態では、前述のような制御が行われることにより、ブーム11の起伏動作及び収縮動作が不必要に停止されることが、防止される。
(変形例)
なお、前述の実施形態等では、コントローラ71は、角度αが基準角度αth以下であるか否かに基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12が前方側へ張出されているか否かを判断するが、これに限るものではない。ある変形例では、スイッチが設けられ、スイッチは、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)の軸方向についての長さが前述の所定の基準長さで維持されているか否かに基づいて、ON状態とOFF状態との間が切替わる。例えば、セットピンが所定の位置に取付けられ、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)が所定の基準長さで維持されている状態では、スイッチはON状態になる。一方、セットピンが取外され、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)が伸縮可能な状態では、スイッチはOFF状態になる。
本変形例では、図11のS102、S103の処理の代わりに、コントローラ71は、スイッチがON状態又はOFF状態のいずれであるかを判断し、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)が軸方向について所定の基準長さで維持されているか否かを判断する。そして、スイッチがOFF状態で、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)が軸方向について伸縮可能な場合は、コントローラ71は、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されていないと、判断する。そして、処理は、S104に進む。一方、スイッチがON状態で、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)の軸方向についての長さが伸縮の規制によって所定の基準長さで維持されている場合は、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されていると、判断する。そして、処理は、S108に進み、コントローラ71は、ブーム11の伸縮及び起伏を許可する。
前述のように、ジブ12の張出し作業では、図5の状態において、テンションロッド13A,13Bのそれぞれを所定の基準長さで維持した後、図6の状態A1に変化させる。また、ジブ12の格納作業では、図6の状態A1から図5の状態に変化させた後に、テンションロッド13A,13Bのそれぞれを伸縮可能にする。したがって、テンションロッド(13A,13Bのいずれか1つ以上)が所定の基準長さで維持されているか否かに基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されているか否かが、適切に判断される。
また、ある変形例では、ブーム11に対するジブ12の角度αを取得することなく、コントローラ71等は、ジブ12のリアルタイムの状態を検出する。そして、コントローラ71等は、検出したジブ12の状態に基づいて、ジブ12が図1乃至図6の状態のいずれであるかを判断し、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されているか否かを判断する。例えば、ジブ12の張出し作業においては、ブーム作業モードからジブセットモードに切替えられた後のブーム11の起伏角度θの経時的な変化に基づいて、コントローラ71等は、ジブ12の状態を検出する。そして、ジブ12の格納作業においては、ジブ作業モードからジブセットモードに切替えられた後のブーム11の起伏角度θの経時的な変化に基づいて、コントローラ71等は、ジブ12の状態を検出する。ジブ12の張出し作業及び格納作業のそれぞれでは、前述のようにクレーン1の状態が変化するため、ブーム11の起伏角度θの経時的な変化から、ジブ12の状態を検出可能である。
なお、ある変形例では、ブーム11の起伏角度θの経時的な変化の代わりにブーム起伏シリンダー14の伸縮状態の経時的な変化に基づいて、コントローラ71等は、ジブ12のリアルタイムの状態を検出する。また、別のある変形例では、補フック45の位置に基づいて、コントローラ71等は、ジブ12のリアルタイムの状態を検出する。実際に、ジブ12の張出し作業では、図5の状態において、補巻ロープ43がトップシーブ66に掛けられ、補フック45がジブ12の前端部の近傍に配置される。そして、ジブ12の格納作業では、図5の状態において、補巻ロープ43がトップシーブ66から取外され、図4の状態では、補フック45がブーム11の前端部の近傍に配置される。したがって、補フック45の位置に基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されているか否かを、判断可能である。また、別のある変形例では、ジブ12を含む画像が取得され、コントローラ71等は、取得した画像に基づいて、ジブ12のリアルタイムの状態を検出する。
また、ある変形例では、ブーム側ガイド28に対するジブ側ガイド58の距離σを検出する検出器が、クレーン1に設けられる。この場合、検出器では、近接センサ及び超音波センサ等のいずれかによって、前述の距離σを検出する。本変形例では、コントローラ71は、距離σが基準距離σth以下であるか否かに基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されているか否かを判断する。距離σが基準距離σth以下である場合は、コントローラ71は、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されていないと判断する。一方、距離σが基準距離σthより大きい場合は、コントローラ71は、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されていると判断する。
また、ある変形例では、コントローラ71は、ユーザーインターフェース72での操作入力による操作指令に基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されているか否かを、判断する。この場合、例えばスイッチが設けられ、スイッチは、ユーザーインターフェース72での作業者の操作に基づいてON状態とOFF状態との間が変化する。コントローラ71は、例えば、スイッチがON状態であることに基づいて、ブームヘッド17から垂下する状態に対してブーム11の前方側へジブ12が張出されていると、判断する。この場合、ジブ12の張出し作業では、図5の状態においてテンションロッド13A,13Bのそれぞれにセットピンを取付けると、作業者は、ユーザーインターフェース72での操作によって、スイッチをOFF状態からON状態に切替える。一方、ジブ12の格納作業では、図5の状態においてテンションロッド13A,13Bのそれぞれからセットピンを取外すと、作業者は、ユーザーインターフェース72での操作によって、スイッチをON状態からOFF状態に切替える。
また、ある変形例では、ブーム11の起伏角度θの経時的な変化に基づいて、コントローラ71等は、セットピンによってテンションロッド13A,13Bが前述の所定の基準長さで維持されているか否かを判断する。本変形例では、コントローラ71等は、ユーザーインターフェース72での操作に基づく代わりに、ブーム11の起伏角度θの経時的な変化に基づいて、前述のスイッチのON状態とOFF状態との間を切替える。そして、ジブ12の張出し作業及び格納作業のそれぞれでは、コントローラ71等は、起伏角度θの経時的な変化に基づいて、図5の状態になったか否かを判断し、テンションロッド13A,13Bが所定の基準長さで維持されているか否かを判断する。
また、前述の実施形態では、ジブ12にスライドブラケット60が取付けられるが、ある変形例では、スライドブラケット60が設けられず、ジブ12の内部にジブ起伏シリンダーが設けられてもよい。この場合、ジブ起伏シリンダーを伸長又は収縮することにより、ジブ12において可動ジブ52のいずれか1つが長手方向に沿って移動し、ジブ12が長手方向について伸長又は収縮する。そして、テンションロッド13A,13Bのそれぞれの一端(前端)は、ジブ起伏シリンダーの作動に対応して移動する可動ジブ52に、接続される。本変形例では、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側に張出された状態において、ジブ起伏シリンダーを伸長又は収縮し、ジブ12を長手方向について伸長又は収縮する。これにより、ジブ12は、ブーム11に対して起きる又は伏せる。この際、例えば、ジブ12を伸長することにより、ジブ12がブーム11に対して起きる。そして、ジブ12を収縮することにより、ジブ12がブーム11に対して伏せる。
また、別のある変形例では、1つ以上のジブ起伏シリンダーが設けられ、テンションロッド13A,13Bのそれぞれの一端(前端)は、ジブ起伏シリンダーに接続される。そして、テンションロッド13A,13Bのそれぞれは、ジブ起伏シリンダーを介して、ベースジブ51に接続される。本変形例では、ブームヘッド17から垂下する状態に対してジブ12がブーム11の前方側に張出された状態において、ジブ起伏シリンダーのそれぞれを伸長又は収縮し、ブームヘッド17とジブ12との間に張られる部分の長さを変化させる。これにより、ジブ12は、ブーム11に対して起きる又は伏せる。この際、例えば、ジブ起伏シリンダーのそれぞれを収縮することにより、ジブ12がブーム11に対して起きる。そして、ジブ起伏シリンダーのそれぞれを伸長することにより、ジブ12がブーム11に対して伏せる。
また、ある変形例では、走行時等において、ジブ12は、ブーム側面23A,23Bの一方にブーム11の長手方向に配置され、ブーム側面23A,23Bの一方に沿って格納される。この場合、ブーム側面23A,23Bの一方にブーム11の長手方向に配置される状態とブーム下面22にブーム11の長手方向に配置される状態との間でジブ12を移動させる機構が、ブーム11等に設けられる。ジブ12の使用時には、ブーム側面23A,23Bの一方に配置される状態からブーム下面22に配置される状態に、ジブ12を移動させる。そして、前述の実施形態等と同様にしてジブ12を用いて作業を行う。また、ジブ12を格納する際には、前述の実施形態等と同様にして、ブーム下面22にジブ12を配置する。そして、ブーム側面23A,23Bの一方に配置される状態にブーム下面22に配置される状態から、ジブ12を移動させる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。