I:実施形態の説明
図2には、本願発明に係るブーム撓み抑制装置の操作方法を実施するための該ブーム撓み抑制装置10を備えたブーム付きクレーン車Zを示している。ここで、このクレーン車Zの全体構成を概説する。
上記クレーン車Zは、車両1上に搭載された旋回台2に伸縮ブーム3の基端部を連結し、該伸縮ブーム3を上記旋回台2との間に配置したブーム起伏シリンダ6によって起伏動させるとともに、上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部に張出・格納可能に取付けられたブーム用マスト11(特許請求の範囲中の「マスト11」に該当する)を張出させてその先端部と上記伸縮ブーム3の基端部をテンション部材13によって連結するとともに、上記ブーム用マスト11の先端部と上記伸縮ブーム3の先端部、即ち、先端ブーム3Cの先端部に設けられたブームヘッド3Dを後述のテンションロープ14によって連結し、これらテンション部材13とテンションロープ14の張力によって上記伸縮ブーム3の縦方向(起伏面に沿う方向)の撓み変形を抑制するようになっている。
なお、この実施形態では、上述のように、「上記ブーム用マスト11を上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部に張出・格納可能に取付ける」としているが、ここでいう「基端ブーム3Aの先端部」とは、図2に示すように上記基端ブーム3Aの先端及びその近傍部位に限定されるものではなく、該基端ブーム3Aの先端寄りの広い範囲を示すものであり、その他の構成として、例えば、基端ブーム3Aの長手方向中間部位置を選んで取付けることも可能である。
また、上記ブームヘッド3D側における上記テンションロープ14の接続位置を上記ブームヘッド3Dの幅方向(伸縮ブーム3に起伏面に直交する方向)に適宜張出させて設けることで、上記伸縮ブーム3の横方向(伸縮ブーム3に起伏面に直交する方向)の撓み変形を抑制することもできるものである(上掲の特許文献1参照)。
さらに、上記伸縮ブーム3の上記ブームヘッド3Dの先端にはジブ装置40が装着されている。このジブ装置40は、上記ブームヘッド3Dの先端に取付けられたジブ基台5にラフィングジブ4を連結するとともに、上記ジブ基台5に前後一対のジブ用マスト41,42を前後方向に揺動可能に取付け、さらに上記ラフィングジブ4の先端にバックテンション部材43を接続するとともに、該バックテンション部材43を上記ジブ用マスト41,42を介してさらに伸縮ブーム3の基端側へ引き出してその端部に折返しシーブ45を介してバックテンションロープ44を接続し、該バックテンションロープ44を上記旋回台2側に配置したバックテンションウィンチ47によって巻込み・繰出しすることで、上記バックテンションロープ44の上記折返しシーブ45と上記旋回台2側に設けた固定シーブ46との間のロープ長さを増減させて上記ラフィングジブ4のチルト角を調整し得るように構成されている。そして、このラフィングジブ4の先端部からジブ用吊荷フック8が吊下されており、該ジブ用吊荷フック8を、上記旋回台2側に配置したジブ作業用ウィンチ48から巻込み・繰出しされるジブ作業用ロープ9によって昇降させることで該ジブ用吊荷フック8を使用してのジブ作業が行なわれる。
なお、他の実施形態では、上記バックテンションロープ44によってチルト角を調整する上記ラフィングジブ4に代えて、例えば、伸縮式の構成を有し、上記伸縮ブーム3との間に、又は上記ブームヘッド3Cの先端に取付けた部材(例えば、上記ジブ基台)の間に配置したチルトシリンダによってチルト角を調整可能とした構成のジブも装着することができる。
一方、上記ブーム用マスト11は、図3に示すように、その基端部11aが上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部3Aaに、該伸縮ブーム3の起伏面に沿う方向の回動可能に枢支され、該ブーム用マスト11と上記基端ブーム3Aとの間に配置したマスト起伏シリンダ12の伸縮動によって、同図に実線図示するように上記基端ブーム3Aに略直交するように立ち上がる張出姿勢と、同図に鎖線図示するように上記基端ブーム3Aに沿って倒伏格納された格納姿勢の間で姿勢変更される。なお、上記ブーム用マスト11の張出姿勢は、上記基端ブーム3Aの軸方向視において、該基端ブーム3Aから略鉛直方向へ立ち上がる姿勢のみを指すのではなく、該基端ブーム3Aから側方へ傾斜状態で立ち上がる姿勢をも含むものである。また、上記ブーム用マスト11は、同一構造をもつ左右一対のマスト体を、所定間隔をもって略平行に並置した状態で、又はそれぞれ側方へ拡開させた先開き状態で一体化して構成されており、該各マスト体を上記基端ブーム3Aの左右両側面の外側にそれぞれ位置させた状態で、該基端ブーム3A側に格納保持されるようになっている。
また、上記ブーム用マスト11の先端部11bには、該ブーム用マスト11の側面に直交する方向に延びる回転軸に支持された状態で一対の固定シーブ18(図6参照)が取付けられている。そして、この一対の固定シーブ18には上記テンションロープ14が巻き掛けられる。このテンションロープ14の取り回しについては後述する。
さらに、上記ブーム用マスト11の軸方向の中間部位には、次述のテンションウィンチ15とプリテンションシリンダ16が備えられている。
上記テンションウィンチ15は、図6、図11、図12に示すように、油圧モータ15bによって回転駆動されるドラム15aを備え、このドラム15aには上記テンションロープ14の一端が巻き掛けられる。また、上記油圧モータ15bにはメカニカルブレーキ15cが備えられるとともに、上記ドラム15aと油圧モータ15bの間には減速機15dが介設されている。
ここで、上記テンションウィンチ15の油圧回路を、図11、図12を参照して簡単に説明する。このようなテンションウィンチ15の油圧回路としては、次述の第1の油圧回路と第2の油圧回路が知られている。
第1の油圧回路
図11には、上記テンションウィンチ15のd1の油圧回路を示しており、同図において符号15は、ドラム15aとこれを駆動する油圧モータ15bと該油圧モータ15bの中立状態を保持する油圧駆動のメカニカルブレーキ15c及び減速機15dを備えたテンションウィンチである。また、符号23は、上記ドラム15aをロックするためのロックシリンダである。
上記油圧モータ15bには、上記メカニカルブレーキ15cとともにブレーキ手段30を構成するブレーキ弁が備えられている。即ち、図11に示すように、上記油圧モータ15bの巻込側ポートには巻込用油路32が、繰出側ポートには繰出用油路33がそれぞれ接続されている。この巻込用油路32と繰出用油路33は、ウィンチ切換バルブ31を介して油圧供給源側のPポートとTポートにそれぞれ択一的接続可能とされている。上記巻込用油路32と繰出用油路33の間には、上記繰出用油路33側の最高圧力を規定する機能をもつリリーフバルブで構成される繰出用ブレーキ弁34と、上記巻込用油路32側の最高圧力を規定する機能をもつリリーフバルブで構成される巻込用ブレーキ弁35が備えられている。さらに、上記巻込用ブレーキ弁35のベントポートには、切換バルブ37と高圧用リリーフバルブ38と低圧用リリーフバルブ39を備えたリリーフ圧切換バルブユニット36が接続されている。
さらに、上記メカニカルブレーキ15cの油室には切換バルブ29を介してブレーキ解除用の油圧が供給されるように構成されるとともに、該切換バルブ29には上記巻込用油路32と繰出用油路33の間に配置したシャトルバルブ28を介してパイロット圧が供給されるようになっている。このため、上記ウィンチ切換バルブ31が巻込側と繰出側の何れに操作された場合にも上記切換バルブ29を介して上記メカニカルブレーキ15cの油室に油圧が供給され、該メカニカルブレーキ15cはブレーキ解除状態とされ、上記ウィンチ切換バルブ31が操作されない限り上記メカニカルブレーキ15cがブレーキ状態とされ、上記ロックシリンダ23がロック状態で無い限り、該メカニカルブレーキ15cによって上記油圧モータ15bの回転、即ち、上記テンションロープ14に掛かる張力が保持されることになる。
また、上記巻込用ブレーキ弁35のベントポートに上記リリーフ圧切換バルブユニット36が接続されているため、例えば、上記テンションウィンチ15の巻込作動時には、上記切換バルブ37の切り替え操作によって、上記高圧用リリーフバルブ38により最高圧力が規定された状態での上記テンションウィンチ15の高圧巻込作動と、上記低圧用リリーフバルブ39により最高圧力が規定された状態での上記テンションウィンチ15の低圧巻込作動とが選択できることになる。
第2の油圧回路
図12には、上記テンションウィンチ15の第2の油圧回路を示している。この油圧回路は、上記第1の油圧回路(図11)において、上記リリーフ圧切換バルブユニット36を取り除いた構成となっており、それ以外の構成は全て上記第1の油圧回路と同じとされている。従って、この第2の油圧回路では、上記テンションウィンチ15の巻込作動時には、常時、上記巻込用ブレーキ弁35のリリーフ作用によって最高圧力が規定され、上記テンションウィンチ15は常に高圧での巻込作動を行なうことになる。
上記テンションウィンチ15は、巻込動及び繰出動を通常の作動形態とするものであるが、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業時には通常の作動形態とは異なった作動を行なうように構成されている。即ち、上記テンションロープ14の先端側に設けられた折返しシーブ19を介して連結されたテンションロープ17の先端(図6参照)を上記伸縮ブーム3のブームヘッド3D側に連結した状態で上記伸縮ブーム3の伸長作動させる場合は、通常の作動形態であれば上記テンションウィンチ15を繰出作動させるところ、これを巻込作動させる。
このように巻込作動しているテンションウィンチ15から上記テンションロープ14を上記伸縮ブーム3の伸長力によって逆に引き出すことで、上記テンションウィンチ15の油圧回路(図11、図12参照)の油圧が上昇し、該油圧回路に設けた巻込用ブレーキ弁35が作動し上記テンションロープ14の引き出しが所定の抵抗をもった状態で行なわれ、その結果、上記テンションロープ14は上記伸縮ブーム3の伸長に伴って所定のブレーキ力が付与された状態で引き出されることになる(即ち、上記テンションロープ14には所定のテンションが掛けられた状態となる)。
なお、上記テンションウィンチ15の通常の巻込作動時、即ち、上記テンションロープ14を上記ドラム15aに巻き取るように該ドラム15aを回転させている場合(例えば、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業において上記伸縮ブーム3の縮小作動に追従させて上記テンションロープ14を上記テンションウィンチ15のドラム15aに巻き込んでいるような場合)において、上記テンションロープ14の巻き取り速度が上記伸縮ブーム3の縮小速度よりも大きくなって上記テンションロープ14に所定以上の張力が掛かったようなときには、油圧回路に設けた上記巻込用ブレーキ弁35が作動し上記油圧モータ15bがブレーキ装置として機能し、上記テンションロープ14の引き出し量が過大になるのが抑制される。
一方、上記テンションウィンチ15の一方のフランジ側には、ドラムロック機構20が備えられている。このドラムロック機構20は、掛止爪を備えた爪プレート21と該爪プレート21の掛止爪に選択的に掛止されるロック爪22を備え、該ロック爪22をロックシリンダ23によって揺動させてその爪を上記爪プレート21の爪に選択的に掛止させることで上記ドラム15aの回転をロックするようになっている。なお、このドラムロック機構20のロック・アンロック状態は、ロック・アンロック検出器24によって検出される。
上記プリテンションシリンダ16は、特許請求の範囲中の「テンション付与手段」に該当するもので、上記テンションロープ14に所定のプリテンションを付与するものであって、そのロッド端には上記テンションロープ14の一端が連結される。このプリテンションシリンダ16には、圧力検出器25又はストローク検出器26が付設され、上記圧力検出器25によって検出される上記プリテンションシリンダ16の油圧値によって、又は上記ストローク検出器26によって検出される上記プリテンションシリンダ16のストローク(即ち、上記テンションロープ14の長さの変化量)によって、それぞれ上記テンションロープ14に付与されたプリテンションの大きさが検出されるようになっている。
なお、この実施形態においては、上記プリテンションシリンダ16を用いて上記テンションロープ14にプリテンションを付与するようにしているが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば、上記プリテンションシリンダ16を設けることなく上記テンションウィンチ15を用いてプリテンションを付与する構成とか、上記プリテンションシリンダ16に代えてモータ駆動のウィンチを設け、該ウィンチによりプリテンションを付与する構成等、種々の形態を採用し得るものである。この場合には、上記テンションウィンチ15及び上記モータ駆動のウィンチがそれぞれ特許請求の範囲中の「テンション付与手段」に該当することになる。
ここで、図2、図3及び図6を参照して、上記テンションロープ14の取り回しについて説明する。
上記伸縮ブーム3の先端の上記ブームヘッド3Dには、テンションロープ17を介して折返しシーブ19が連結されている(図2参照)。また、上記折返しシーブ19には、図6に示すように、上記テンションロープ14が巻き掛けられている。そして、このテンションロープ14の一端側は、上記ブーム用マスト11の先端部に設けられた一対の固定シーブ18のうちの一方側を経て上記テンションウィンチ15のドラム15aに巻き付けられている。一方、上記テンションロープ14の他端は、上記一対の固定シーブ18のうちの他方側を経て上記プリテンションシリンダ16のロッド端に連結されている。
なお、この実施形態では、上記折返しシーブ19に巻き掛けられた上記テンションロープ14の先端部を、該折返しシーブ19に連結された上記テンションロープ17を介して上記伸縮ブーム3のブームヘッド3Dに接続するようにしているが、他の実施形態においては上記テンションロープ17の長さを短くするとか、場合によっては上記折返しシーブ19を直接上記ブームヘッド3Dに取付けるなど、種々の態様を採り得るものであり、この点においてこれらの構成は、請求項1における「ブーム用マスト(11)の先端部と上記伸縮ブーム(3)の先端部の間にテンションロープ(14)を掛け回し、」という構成の範囲内であって、これを逸脱しないものである。
従って、上記テンションウィンチ15が巻込動あるいは繰出動を行なうことで、上記テンションロープ14の上記ブーム用マスト11と上記折返しシーブ19との間の長さが変化し、上記伸縮ブーム3の伸縮動に上記テンションロープ14の長さを追従させることができる。
そして、上記伸縮ブーム3を所要長さに設定した時点で、上記ドラムロック機構20を作動させて上記テンションウィンチ15をロックし、その時点における上記テンションロープ14の長さを保持させる。このテンションウィンチ15のロック時点で上記テンションロープ14にはある大きさのプリテンションが付与されているが、上記ドラムロック機構20のロック位置(即ち、上記ロック爪22が選択的に掛止される上記爪プレート21における掛止爪の選択)のみによってはプリテンションの微調整を行なうことは困難である。
このため、上記ドラムロック機構20を作動させて上記テンションウィンチ15をロックした後、上記プリテンションシリンダ16を適宜伸縮させて上記テンションロープ14のプリテンションを微調整する。
このように、上記伸縮ブーム3を所要長さに設定し、それに対応させて上記テンションロープ14の長さを調整し且つ上記プリテンションシリンダ16によって上記テンションロープ14に所定のプリテンションを付与することで、上記伸縮ブーム3の自重による撓みが所定範囲内に抑制される。
この状態で、上記伸縮ブーム3のブームヘッド3Dから吊下された吊荷フック7(図2の鎖線図示参照)を用いて荷物を吊り下げることでクレーン作業が行なわれるが、この場合、上記ブーム撓み抑制装置10によって上記伸縮ブーム3の自重による撓みが所定範囲内に抑えられているため、該伸縮ブーム3が過度に撓みを生じることがなく、安全性に高いクレーン作業が実現されるものである。また、上記ラフィングジブ4を使用してのジブ作業は、上記ラフィングジブ4の先端から吊下したジブ用吊荷フックを用いて荷物を吊り下げることで行なわれる。なお、クレーン作業は上記バックテンションロープ44によって上記吊荷フック7を吊下して行なわれるので、クレーン作業とジブ作業とが同時に行なわれることはない。
ここで、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業について説明する。
図4には、上記ブーム撓み抑制装置10の格納状態を示している。また、図5には、上記ブーム撓み抑制装置10の格納状態からの張出作業の初期状態を示している。
図4に示す上記ブーム撓み抑制装置10の格納状態では、上記車両1はこれに備えられた各アウトリガによって浮上支持されている。また、上記伸縮ブーム3は略水平な全倒伏状態で且つ全縮状態とされている。さらに、上記ブーム撓み抑制装置10は、格納姿勢とされている。即ち、上記ブーム用マスト11は、上記マスト起伏シリンダ12が全縮することで上記伸縮ブーム3の側面に沿った略水平姿勢とされ、図示しない固定手段によって固定保持されている。この固定保持状態から、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業が開始される。
先ず、上記ブーム用マスト11の固定保持状態を解除し、しかる後、図5に示すように、上記伸縮ブーム3を全倒伏且つ全縮状態のまま、上記マスト起伏シリンダ12を伸長させて上記ブーム用マスト11を略水平の格納位置から略鉛直に立設する張出位置まで回動させ、この張出位置で停止させる。
次に、立設された上記ブーム用マスト11の先端部と上記伸縮ブーム3の基端部の間にテンション部材13を張設し、上記ブーム用マスト11の前倒を規制し得るように上記テンション部材13によって該ブーム用マスト11をその後方側から支持する。
次に、上記テンションウィンチ15を適宜巻込・繰出作動させながら、上記テンションロープ14の先端側に上記折返しシーブ19を介して連結された上記テンションロープ17の先端を、上記伸縮ブーム3の上記ブームヘッド3D側に接続する。しかる後、図5に矢印Aで示すように上記伸縮ブーム3を伸長させながら、矢印Dで示すように上記伸縮ブーム3を起仰させ、最終的に図2に示すような作業姿勢とする。この場合、上記伸縮ブーム3の伸長に伴って、上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで、上記テンションロープ14は所定のテンションが付与された状態のまま上記テンションウィンチ15から引き出される。
また、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業は、上記張出作業時とは逆の手順で行なわれる。即ち、図2に示す作業姿勢から、上記伸縮ブーム3を倒伏且つ縮小作動させながら図5に示す姿勢とする。この場合、上記伸縮ブーム3の縮小に伴って、上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで、上記テンションロープ14は所定のテンションが付与された状態のまま上記テンションウィンチ15側に巻き取られる。
そして、図5に示す姿勢に達した時点で、上記テンションロープ17の先端を上記ブームヘッド3D側から切り離してこれを上記ブーム用マスト11側に格納保持させる。しかる後、上記マスト起伏シリンダ12を縮小作動させて上記ブーム用マスト11を立設姿勢から後傾させて、最終的に、図4に示すように該ブーム用マスト11を上記伸縮ブーム3側に固定保持する。
ところで、上述のように、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業は複雑であって、当該作業を安全且つ的確に行なうためには、作業に際して多くの情報を必要とする。また、この情報をオペレータが正確に認識しこれに基づいて的確な操作を行うためには、当該情報を画像表示することが好適である。このような観点から、各所の情報を表示するモニターをオペレータの近くに配置し、該モニターに表示される各情報をオペレータの使用に供するための技術の開発が要請されるところ、係る技術について有効な提案が為されていないことは既述の通りである。
一方、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業において、この作業を行うオペレータが、自分が行なっている現在の操作と、次にすべき操作を同時に知ることは、スムーズな作業の流れ及び作業上の安全性を確保する上において極めて重要であると考えられるが、このような「現在行なっている操作と次にすべき操作の同時表示」に関しても有効な提案がなされていないことも既述の通りである。
そこで、この実施形態では、スムーズな作業の流れ及び作業上の安全性を確保することを目的に、「現在行なっている操作と次にすべき操作の同時表示」を行うための具体的な制御及び手法等について、以下のように提案する。
尚、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業は、上記ラフィングジブ4を装着しない状態でこれを実行し、該張出・格納作業の完了後に上記ラフィングジブ4を上記伸縮ブーム3の先端に上記ジブ基台5を介して装着する場合と、上記伸縮ブーム3の先端に上記ジブ基台5を介して上記ラフィングジブ4を装着した状態において上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業を行なう場合があるが、この実施形態では後者の場合を例にとって説明する。
図1には、上記制御の制御内容をブロック図として表示している。この制御は、制御出力演算手段51において演算された出力に基づいて後述の画像表示手段73と警報手段74を作動させるものであるが、その場合における上記制御出力演算手段51への制御情報等の入力手段として、この実施形態では次述する検出系6Aと操作系6Bが備えられている。
上記検出系6Aは、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業における上記伸縮ブーム3の現在状態、上記ブーム撓み抑制装置10の上記ブーム用マスト11と上記テンションロープ14及び上記テンションウィンチ15の現在状態、さらに上記ラフィングジブ4の現在状態をそれぞれ検出するものであって、ここには、
上記ブーム用マスト11が張出状態にあるか格納状態にあるかを検出してマスト状態信号「C1」を出力するマスト状態検出手段61と、
上記テンションロープ14の先端が上記基端ブーム3Aの先端又は上記ジブ基台5に接続されているか否かを検出(実際にはオペレータにより手動入力される)して接続状態信号「C2」を出力するテンションロープ接続状態入力手段62と、
上記伸縮ブーム3の状態、即ち、起伏角及びブーム長さを検出してブーム状態信号「C3」を出力するブーム状態検出手段63と、
上記テンションウィンチ15のドラム15aが上記ドラムロック機構20によってロックされているか否かを検出してドラムロック信号「C4」を出力するテンションウィンチドラムロック検出手段64(上記ロック・アンロック検出器24がこれに該当する)と、
上記テンションロープ14に掛かっている張力を検出して張力信号「C5」を出力するプリテンション張力検出手段65(上記圧力検出器25がこれに該当する)と、
上記プリテンションシリンダ16の長さを検出してシリンダ長さ信号「C6」を出力するプリテンションシリンダ長さ検出手段66(上記ストローク検出器26がこれに該当する)と、
上記ラフィングジブ4のチルト角を検出してチルト角信号「C7」を出力するジブチルト角検出手段67が備えられている。
一方、上記操作系6Bは、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業に際して操作される手段の操作状態を出力するものであって、ここには、
上記ブーム用マスト11を起伏駆動する上記マスト起伏シリンダ12の作動操作を行いその操作状態に対応したマスト起伏操作信号「C8」を出力するマスト起伏操作手段68と、
上記テンションウィンチ15の作動操作を行ないその操作状態に対応したウィンチ操作信号「C9」を出力するテンションウィンチ操作手段69と、
上記伸縮ブーム3の伸縮作動操作を行いその操作状態に対応したブーム伸縮操作信号「C10」を出力するブーム伸縮操作手段70と、
上記ドラムロック機構20の作動操作を行いその操作状態に対応したドラムロック操作信号「C11」を出力するテンションウィンチドラムロック操作手段71と、
上記マスト起伏シリンダ12の作動操作を行いその操作状態に対応したセット・リセット操作信号「C12」を出力するプリテンションセット・リセット操作手段72が備えられている。
上記制御出力演算手段51は、上記検出系の各手段61〜67からの各信号「C1〜C7]及び上記操作系の各手段68〜72からの各信号「C8〜C12」を受けて、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業に際して、現在行なわれている操作と次にすべき操作を画像表示手段73において表示させてこれをオペレータに知らしめるとともに、必要に応じて警報手段74において警報を発してこれをオペレータに報知させるものであって、その具体的な制御及び表示は、以下に説明するとおりである。
図7〜図9には、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業における上記画像表示手段73での表示制御を、作業手順に沿ってフローチャート形式で示している。尚、この画像表示手段73は、上記旋回台2側の運転室内に備えられた表示パネルAで構成される。
上記表示パネルAは、図7のステップS1に示すように、アイコン表示と数値表示を同時に行なうもので、該表示パネルAの左側寄りの領域は制御状態表示部A1とされ、それ以外の右側寄りの領域は操作ガイド情報を表示する操作ガイド表示部A2とされている。そして、上記制御状態表示部A1には、上記伸縮ブーム3と上記ブーム用マスト11の現在の制御状態情報と上記テンションウィンチ15の現在の制御状態情報とが、次にすべき操作に関する情報と併せて、それぞれアイコンにて横並びに表示される。また、上記操作ガイド表示部A2は、さらに横方向に並んで第1数値表示部A21と第2数値表示部A22が設定されている。
ここで、図10を参照して、上記アイコンの絵柄の種類及びこれが示す情報の内容を説明する。図10において、アイコン(イ)〜(ル)は上記伸縮ブーム3と上記ブーム用マスト11の制御状態情報に関するアイコンであり、アイコン(オ)〜(タ)は上記テンションウィンチ15の制御状態情報に関するアイコンであり、さらにアイコン(レ)〜(ナ)は上記伸縮ブーム3及び上記ラフィングジブ4の操作ガイド情報に関するアイコンである。以下、これら各アイコンの表示内容を簡単に説明する。
a:伸縮ブーム3とブーム用マスト11の制御状態情報に関するアイコン
アイコン(イ)は、第1の背景色(例えば、赤色)の中に、上記伸縮ブーム3が倒伏し、上記ブーム用マスト11が格納された状態を表示するとともに、併せて、斜め上方へ向けて矢印が表示されている。この矢印は、次に行うべき操作は上記ブーム用マスト11の張出操作であることを示している。即ち、このアイコン(イ)は、現在上記ブーム用マスト11は格納状態にあるため、上記ブーム撓み抑制装置10を使用するに際しては、先ず上記ブーム用マスト11を張出す必要があることを表示している。
アイコン(ロ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3が倒伏した状態で上記ブーム用マスト11が張出され、さらに該ブーム用マスト11の先端に接続されたテンションロープ14の先端が上記伸縮ブーム3側に非接続状態であることを示している(実際には、上記テンションロープ14は背景色とか上記伸縮ブーム3等とは異なる色で識別可能に表示されるが、ここでは作図及び説明の便宜上、上記テンションロープ14の先端側を○で囲って示している。以下、同様)。即ち、このアイコン(ロ)は、上記ブーム用マスト11が張出されたので、次に行うべき操作は上記テンションロープ14の先端を上記伸縮ブーム3側に接続する操作であることを示している。
アイコン(ハ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3が起仰した状態で上記ブーム用マスト11が張出され、さらに該ブーム用マスト11の先端に接続されたテンションロープ14の先端が上記伸縮ブーム3側に接続された状態を表示するとともに、併せて、矢印を上記伸縮ブーム3の伸長方向と起仰方向に向けて表示している。即ち、このアイコン(ハ)は、上記テンションロープ14の接続が完了したため、次に行うべき操作は上記伸縮ブーム3を伸長及び起仰させる操作であることを示している。
アイコン(ニ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3が起仰し、且つ上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3側に接続された状態を表示している。即ち、このアイコン(ニ)は、上記伸縮ブーム3の伸長及び起仰が完了した状態を示している。
アイコン(ホ)は、第1の背景色の中に、上記アイコン(ニ)の表示に加えて、上記テンションロープ14を強調表示した(作図の便宜上、テンションロープ14を○で囲って示している)ものを表示している。即ち、このアイコン(ホ)は、次に行うべき操作はプリテンションセット(即ち、上記プリテンションシリンダ16を縮小させて上記テンションロープ14にプリテンションを掛ける操作)であることを示している。
アイコン(へ)は、第2の背景色(例えば、黄色であって、ここでは作図の便宜上、背景部分に○を付すことで第2の背景色であることを示している)の中に、上記伸縮ブーム3が起仰し、且つ上記テンションロープ14が緊張された状態を表示している。なお、このアイコン(へ)は上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業と格納作業の双方に使用されるものであり、従って、上記表示は、プリテンションセット又はプリテンションリセットの制御状態であること、を示すものとなる。
アイコン(ト)は、第3の背景色(例えば、緑色であって、ここでは作図の便宜上、背景部分に△を付すことで第3の背景色であることを示している)の中に、上記アイコン(へ)の表示から、背景色を変更したものである。そして、このアイコン(ト)は、クレーン作業中あるいはジブ作業中であることを示している。
アイコン(チ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3が起仰した状態で上記ブーム用マスト11が張出され、さらに該ブーム用マスト11の先端に接続されたテンションロープ14の先端が上記伸縮ブーム3側に接続された状態(緊張状態ではない)を表示するとともに、併せて、矢印を上記伸縮ブーム3の縮小方向と倒伏方向に向けて表示し、次に行なうべき操作は上記伸縮ブーム3の縮小及び倒伏操作であることを表示している。
アイコン(リ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3が倒伏した状態で上記ブーム用マスト11が張出され、さらに該ブーム用マスト11の先端に接続されたテンションロープ14の先端が上記伸縮ブーム3側に接続された状態で且つこのテンションロープ14の先端側を強調表示(○で囲って示している)している。即ち、このアイコン(リ)は、上記伸縮ブーム3の倒伏及び縮小が完了したので、次に行うべき操作は上記テンションロープ14を上記伸縮ブーム3の先端側から取外す操作であることを示している。
アイコン(ヌ)は、第1の背景色の中に、上記アイコン(リ)の表示から、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端側から取外され、さらに上記テンション部材13を上記伸縮ブーム3側へ引く方向に矢印が表示されている。即ち、このアイコン(ヌ)は、上記テンション部材13の取外しが完了したので、次に行うべき操作は上記ブーム用マスト11を格納する操作であることを示している。
アイコン(ル)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3は倒伏され且つ上記ブーム用マスト11が格納された状態を表示している。即ち、このアイコン(ル)は、上記ブーム用マスト11の格納作業が完了したことを表示している。
b:テンションウィンチ15の制御状態情報に関するアイコン
アイコン(オ)は、第1の背景色(例えば、赤色)の中に、上記ドラム15aから上記ロック爪22が離間し且つ「UNLOCK」という文字が表示されている。即ち、このアイコン(オ)は、上記テンションウィンチ15がアンロック状態にあることを表示している。
アイコン(ワ)は、第1の背景色の中に、上記アイコン(オ)の表示に加えて、上記ロック爪22が○で囲って強調表示されている。即ち、このアイコン(ワ)は、次に行なうべき操作は、上記ロック爪22を作動させて上記テンションウィンチ15をロックする操作であることを示している。
アイコン(カ)は、第2の背景色(例えば、黄色)の中に、上記テンションウィンチ15がロックされた状態で、且つ「MID」という文字が表示されている。即ち、このアイコン(カ)は、上記テンションウィンチ15がロックとアンロックの中間状態であることを示している。
アイコン(ヨ)は、第3の背景色(例えば、緑色)の中に、上記テンションウィンチ15がロックされた状態で、且つ「LOCK」という文字が表示されている。即ち、このアイコン(ヨ)は、上記テンションウィンチ15のロックが完了したことを示している。
アイコン(タ)は、第3の背景色の中に、上記アイコン(ヨ)の表示状態において上記テンションウィンチ15の上記ロック爪22に○を付して強調した状態を示している。即ち、このアイコン(タ)は、次に行なうべき操作が上記テンションウィンチ15のアンロック操作であることを示している。
c:操作ガイド情報に関するアイコン
アイコン(レ)は、第3の背景色の中に、上記伸縮ブーム3の先端部に上記ラフィングジブ4が装着された状態を表示しており、上記伸縮ブーム3の起伏角及び上記ラフィングジブ4のチルト角は適正値に設定されていることを示している。
アイコン(ソ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3の先端部に上記ラフィングジブ4が装着された状態で、上記伸縮ブーム3を起仰させる方向の矢印が表示されている。即ち、このアイコン(ソ)は、上記テンションウィンチ15をロック(ドラムロック)又はアンロック(ドラムアンロック)するために必要な上記伸縮ブーム3の操作方向を示している。
アイコン(ツ)は、第1の背景色の中に、上記伸縮ブーム3の先端部に上記ラフィングジブ4が装着された状態で、上記伸縮ブーム3を倒伏させる方向と、上記ラフィングジブ4を倒伏させる方向に二つの矢印が表示されている。即ち、このアイコン(ツ)は、プリテンションセットするために上記伸縮ブーム3及び上記ラフィングジブ4を所定の角度に設定するための操作方向を示している。
アイコン(ネ)は、第1の背景色の中に、上記ブーム用マスト11を正面視した状態を示すとともに、その左右のマストの側方にそれぞれ下方向きの矢印が示されている。即ち、このアイコン(ネ)は、現在、上記プリテンションシリンダ16の縮小動によるプリテンション増大方向への自動制御中であることを示している。
アイコン(ナ)は、第1の背景色の中に、上記ブーム用マスト11を正面視した状態を示すとともに、その左右のマストの側方にそれぞれ上方向きの矢印が示されている。即ち、このアイコン(ナ)は、現在、上記プリテンションシリンダ16の伸長動によるプリテンション減少方向への自動制御中であることを示している。
続いて、図7〜図9を参照して、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業における制御の内容を説明する。なお、図7〜図9では、説明の便宜上、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業に備えた準備作業と、準備完了後における上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業と、上記ブーム撓み抑制装置10の張出状態からの格納作業の三つの作業を連続したものとして示している。
A:上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業に際しての準備作業
最初に、上記ブーム用マスト11の張出作業が行なわれる。
「ステップS1」
ステップS1に示すように、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(イ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記ブーム用マスト11の格納が可能な上記伸縮ブーム3の起伏角が下段に表示されている。尚、この場合、上記ラフィングジブ4のチルト角に関する情報は必要としないので、表示されていない。
オペレータは、上記ステップS1の画面表示を確認することで、上記ブーム用マスト11は格納状態にあり、これを張出操作することが必要であることを知ると同時に、このブーム用マスト11の張出作業は上記伸縮ブーム3の起伏角が7.0°以下の状態で行なわなければならないところ、現在の起伏角は0.0°であって上記推奨起伏角「7°以下」の範囲内であることから直ちに上記ブーム用マスト11の張出操作の実行に移行できることを知ることができる。
そして、ブーム用マスト11の張出操作が実行され、これが完了すると(ステップS2)、画面表示がステップS1の画面からステップS3の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS1〜S2は、特許請求の範囲中の「マスト張出ステップ」に該当する。
「ステップS3」
ステップS3の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ロ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記ブーム用マスト11の格納が可能となる上記伸縮ブーム3の起伏角が表示されている。
オペレータは、上記ステップS3の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記ブーム用マスト11の先端にその一端が接続された上記テンションロープ14の他端を上記伸縮ブーム3の先端側に接続する作業であることを知ることができる。また同時に、このテンションロープ14の接続作業は、上記伸縮ブーム3の起伏角が7°以下の状態で行なわなければならないことを知ることができる。そして、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は0.0°であって上記推奨起伏角「7°以下」の範囲であるので、現在のブーム状態下においてそのままロープ接続操作を行えることを知ることができる。
そして、上記テンションロープ14の接続操作が実行され、これが完了した時点で、準備作業が完了する(ステップS4)。また、この準備作業の完了と同時に、画面表示がステップS3の画面からステップS5の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS3〜S4は、特許請求の範囲中の「ロープ接続ステップ」に該当する。
B:ブーム撓み抑制装置10の張出作業(テンションセット作業)
続いて、ブーム撓み抑制装置10の張出作業(テンションセット作業)へ移行する。即ち、ステップS5〜S6で上記伸縮ブーム3が伸長・起仰され、ステップS7〜S10で上記テンションウィンチ15がロックされ、ステップS11〜S14でプリテンションがセットされ、この時点で上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業が完了し、クレーン作業等が可能となる。この間における画面表示は以下の通りである。
「ステップS5」
上記ステップS5の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ハ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ソ)と上記伸縮ブーム3の伸長及び起仰操作が可能となる上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS5の画面表示を確認することで、現在、上記ラフィングジブ4のチルト角「0.0°」は推奨起伏角「0.0°〜10.0°」範囲内であるが、上記伸縮ブーム3の起伏角は「0.0°」であって推奨起伏角「60°以上」の範囲に入っていないので、上記伸縮ブーム3の伸長及び起仰操作に先立って、該伸縮ブーム3を上記推奨起伏角の範囲まで起仰させ、しかる後に上記伸縮ブーム3を所要の長さまで伸長させる必要があることを知ることができる。
そして、上記伸縮ブーム3の伸長及び起仰操作が実行され、これが完了した時点(ステップS6)で、画面表示がステップS5の画面からステップS7の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS5〜S6は、特許請求の範囲中の「ブーム伸長・起仰ステップ」に該当する。
「ステップS7」
上記ステップS7の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ニ)と上記アイコン(ワ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ソ)と上記テンションウィンチ15のロック操作が可能な上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS7の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記テンションウィンチ15のロック操作であることを知ることができる。また同時に、このテンションウィンチ15のロック操作は、上記伸縮ブーム3の起伏角が68.0°以上の範囲で行なわなければならず、また上記ラフィングジブ4のチルト角が0.0°〜10.0°の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は60.2°であって上記推奨起伏角68°以下であるのでこれを起仰させて上記推奨起伏角68°以上に設定しなければならず、また現在の上記ラフィングジブ4のチルト角は0.0°であって上記推奨チルト角0.0°〜10.0°の範囲内であるので現在のチルト角を維持し得ることを知ることができる。
そして、上記伸縮ブーム3の起仰操作が実行され、上記テンションウィンチ15のロック操作がなされた時点(ステップS8)で、画面表示がステップS7の画面からステップS9の画面に自動的に切り替わる。
「ステップS9」
上記ステップS9の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ニ)と上記アイコン(カ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記伸縮ブーム3の伸縮操作が可能な上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS9の画面表示を確認することで、現在、推奨起伏角及び推奨チルト角の範囲内の適正な起伏角及びチルト角の下で、上記テンションウィンチ15のロック作業中であることを知ることができる。そして、上記テンションウィンチ15のロックが完了した時点(ステップS10)で、画面表示がステップS9の画面からステップS11の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS7〜S10は、特許請求の範囲中の「ドラムロックステップ」に該当する。
「ステップS11」
上記ステップS11の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ホ)と上記アイコン(ヨ)が並べて表示される。この場合、上記アイコン(ホ)においては、上記テンションロープ14が強調表示(○で囲んで表示)されている。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ツ)とプリテンションのセット操作が可能となる上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS11の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記プリテンションシリンダ16を作動させて上記テンションロープ14にプリテンションを掛ける操作、即ち、プリテンションセット操作であることを知ることができる。また同時に、このプリテンションセット操作は、上記伸縮ブーム3の起伏角が54.5°〜55.5°の範囲で、且つ上記ラフィングジブ4のチルト角が4.5°〜5.5°の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は68.5°であって上記推奨起伏角54.5°〜55.5°の範囲であるのでこれを倒伏させて上記推奨起伏角54.5°〜55.5°の範囲に設定しなければならず、また現在の上記ラフィングジブ4のチルト角は0.0°であって上記推奨チルト角4.5°〜5.5°の範囲外であるのでこれを倒伏させて該推奨チルト角4.5°〜5.5°の範囲としなければならないことを知ることができる。
そして、上記伸縮ブーム3及び上記ラフィングジブ4の倒伏操作が実行され、上記プリテンションシリンダ16を作動させてのプリテンションセット操作がなされた時点(ステップS12)で、画面表示がステップS11の画面からステップS13の画面に自動的に切り替わる。
「ステップS13」
上記ステップS13の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ヘ)と上記アイコン(ヨ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には左右の上記プリテンションシリンダ16の張力がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ネ)と左右の上記プリテンションシリンダ16の作動方向と作動量がそれぞれ上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS13の画面表示を確認することで、現在、上記プリテンションシリンダ16を縮小させてプリテンションセット操作が実行されていることを知ることができる。即ち、現在、左側のプリテンションシリンダ16には1.05tの張力が、右側のプリテンションシリンダ16には0.98tの張力が、それぞれ掛かっており、これら左右のプリテンションシリンダ16の張力に対応して、左側のプリテンションシリンダ16の現在のストロークが0.60mで、右側のプリテンションシリンダ16の現在のストロークが0.60mであることを知ることができる。
そして、上記各プリテンションシリンダ16の縮小作動によってプリテンションセットが完了(ステップS14)すると、この完了時点で画面表示がステップS13の画面からステップS15の画面に自動的に切り替わる。
プリテンションセットの完了によって、上記伸縮ブーム3を使用してのクレーン作業、あるいは上記ラフィングジブ4を使用してのジブ作業を行なうことができ、これら何れの場合においても上記ブーム撓み抑制装置10によって上記伸縮ブーム3に過度の撓みが生じるのが防止され、安全且つ信頼性の高い作業が実現される。
尚、上記ステップS11〜S14は、特許請求の範囲中の「プリテンション付与ステップ」に該当する。
「ステップS15」
上記ステップS15の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ト)と上記アイコン(ヨ)が並べて表示されている。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には左右の上記プリテンションシリンダ16の張力がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と、プリテンションリセット操作が可能となる上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示されている。
このステップS15の画面は、現在、上記伸縮ブーム3を使用したクレーン作業中、あるいは上記ラフィングジブ4を使用したジブ作業中であることを表示している。これと同時に、クレーン作業あるいはジブ作業が終了して上記ブーム撓み抑制装置10の格納操作を行う場合の操作ガイドとして、プリテンションリセット操作が可能となる上記伸縮ブーム3の起伏角と上記ラフィングジブ4のチルト角が表示されている。従って、オペレータは、プリテンションリセット操作は、上記伸縮ブーム3の起伏角が54.5°以上で、また上記ラフィングジブ4のチルト角が4.5°〜5.5°の範囲で行なう必要があることを、プリテンションリセット操作の実行に先立って知ることができる。
そして、プリテンションリセット操作がなされたとき(ステップS16)、その時点で画面表示がステップS15の画面からステップS17の画面に自動的に切り替わる。
C:ブーム撓み抑制装置10の格納作業
続いて、ブーム撓み抑制装置10の格納作業へ移行する。即ち、ステップS17〜S18でプリテンションがリセットされ、ステップS19〜S22で上記テンションウィンチ15がアンロックされ、ステップS23〜S24で上記伸縮ブーム3が縮小及び倒伏され、ステップS25〜S26で上記テンションロープ14が取外され、ステップS27〜S28で上記ブーム用マスト11が格納され、しかる後、次回の張出作業に備える(ステップS29〜S30)。この間における画面表示は以下の通りである。
「ステップS17」
上記ステップS17の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ヘ)と上記アイコン(ヨ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には左右の上記プリテンションシリンダ16の張力がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ナ)と左右の上記プリテンションシリンダ16の作動方向と作動量がそれぞれ上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS17の画面表示を確認することで、現在、上記プリテンションシリンダ16を伸長させてプリテンションリセット操作が実行されていることを知ることができる。即ち、現在、左側のプリテンションシリンダ16には0.85tの張力が、右側のプリテンションシリンダ16には0.80tの張力が、それぞれ掛かっており、これら左右のプリテンションシリンダ16の張力に対応して、左側のプリテンションシリンダ16の現在のストロークが0.70mであり、右側のプリテンションシリンダ16の現在のストロークが0.70mであることを知ることができる。
そして、上記各プリテンションシリンダ16の伸長作動によってプリテンションリセットが完了(ステップS18)すると、この完了時点で画面表示がステップS17の画面からステップS19の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS16〜S18は、特許請求の範囲中の「プリテンションリセットステップ」に該当する。
「ステップS19」
上記ステップS19の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ニ)と上記アイコン(タ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(ソ)と上記テンションウィンチ15のアンロック操作が可能な上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS19の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記テンションウィンチ15のアンロック操作であることを知ることができる。また同時に、このテンションウィンチ15のアンロック操作は、上記伸縮ブーム3の起伏角が68.0°以上の範囲で行なわなければならず、また上記ラフィングジブ4のチルト角が0.0〜10.0°の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は60.2°であって上記推奨起伏角68°以下であるのでこれを起仰させて上記推奨起伏角68°以上に設定しなければならず、また現在の上記ラフィングジブ4のチルト角は5.0°であって上記推奨チルト角0。0°〜10°の範囲内であるので現在のチルト角を維持し得ることを知ることができる。即ち、上記テンションウィンチ15のアンロック操作に際しては、事前に上記伸縮ブーム3の起仰操作を行ってその起伏角を上記推奨起伏角の範囲に設定しなければならないことを知ることができる。
そして、上記伸縮ブーム3の起仰操作が実行され、上記テンションウィンチ15のアンロック操作を行うことができる状態となり、該操作がされた時点(ステップS20)で、画面表示がステップS19の画面からステップS21の画面に自動的に切り替わる。
「ステップS21」
上記ステップS21の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ニ)と上記アイコン(カ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記テンションウィンチ15のアンロック操作が可能な上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS21の画面表示を確認することで、現在、適正な起伏角及びチルト角の下で(即ち、推奨起伏角「68°〜」、推奨チルト角「0〜10°」の範囲で)、上記テンションウィンチ15のアンロック作業中であることを知ることができる。そして、上記テンションウィンチ15のアンロックが完了した時点(ステップS22)で、画面表示がステップS21の画面からステップS23の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS19〜S22は、特許請求の範囲中の「ドラムアンロックステップ」に該当する。
「ステップS23」
上記ステップS23の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(チ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記伸縮ブーム3の縮小及び倒伏操作が可能な上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角が上下二段に表示されている。
オペレータは、上記ステップS23の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記伸縮ブーム3の縮小及び倒伏操作であることを知ることができる。また同時に、この伸縮ブーム3の縮小及び倒伏操作は、上記伸縮ブーム3の起伏角が60.0°以上の範囲で、且つ上記ラフィングジブ4のチルト角が0.0°〜10.0°の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は68.5°であって上記推奨起伏角60.0°以上であるので現在の起伏角を維持でき、また現在の上記ラフィングジブ4のチルト角は5.0°であって上記推奨チルト角0.0°〜10.0°の範囲であるので現在のチルト角を維持できることを知ることができる。
そして、上記伸縮ブーム3の縮小及び倒伏操作が実行され、これが完了した時点(ステップS24)で、画面表示がステップS23の画面からステップS25の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS23〜S24は、特許請求の範囲中の「ブーム縮小・倒伏ステップ」に該当する。
「ステップS25」
ステップS25の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(リ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記テンションロープ14の取外しが可能となる上記伸縮ブーム3の起伏角が表示されている。尚、上記ラフィングジブ4のチルト角は、テンションロープ14の取り外しに関与しないため、表示されない。
オペレータは、上記ステップS25の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が、上記テンションロープ14を上記伸縮ブーム3の先端側から取外す作業であることを知ることができる。また同時に、このテンションロープ14の取外し作業は、上記伸縮ブーム3の起伏角が「7°以下」の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は0.0°であって上記推奨起伏角「7°以下」の範囲内であるので現在の起伏角を維持し得ることを知ることができる。
そして、上記テンションロープ14の取外しが完了した時点で(ステップS26)、画面表示がステップS25の画面からステップS27の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS25〜S26は、特許請求の範囲中の「ロープ取り外しステップ」に該当する。
「ステップS27」
ステップS27の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1には、上記アイコン(ヌ)と上記アイコン(オ)が並べて表示される。また、上記操作ガイド表示部A2の上記第1数値表示部A21には現在の上記ラフィングジブ4のチルト角と上記伸縮ブーム3の起伏角がそれぞれ上下二段に表示され、更に上記第2数値表示部A22には上記アイコン(レ)と上記ブーム用マスト11の格納が可能な上記伸縮ブーム3の起伏角が表示されている。
オペレータは、上記ステップS27の画面表示を確認することで、次に行なうべき作業が上記ブーム用マスト11の格納操作であり、且つこの格納操作は上記伸縮ブーム3の起伏角が「7°以下」の範囲で行なわなければならないところ、現在の上記伸縮ブーム3の起伏角は「0.0°」であって上記推奨起伏角「7°以下」範囲内であるので現在の起伏角を維持し得ることを知ることができる。
そして、ブーム用マスト11の格納操作が実行され、これが完了すると(ステップS28)、画面表示がステップS27の画面からステップS29の画面に自動的に切り替わる。
尚、上記ステップS27〜S28は、特許請求の範囲中の「マスト格納ステップ」に該当する。
「ステップS29」
ステップS29の画面では、上記表示パネルAの上記制御状態表示部A1に、上記アイコン(ル)と上記アイコン(オ)が並べて表示されるのみで、上記操作ガイド表示部A2には何等の表示もされない。従って、オペレータは、このステップS29の画面を確認することで、上記ブーム撓み抑制装置10が格納状態にあって、次回の張出作業に備えた状態であることを知ることができる。
以上のように、この実施形態に係るブーム付き作業機におけるブーム撓み抑制装置及びその操作方法によれば、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業時に、該ブーム撓み抑制装置10の現在実行中の作業状態と次に行うべき作業と操作の内容を同時に表示するとともに、作業の進行に伴って上記表示内容を自動的に変更して表示する画像表示手段73を備えているので、オペレータは上記画像表示手段73に表示された情報を確認することで、次に行なうべき操作の内容を的確に把握した上で操作を行うことができるため、上記ブーム撓み抑制装置10の張出・格納作業における的確且つ円滑な操作が可能となり、延いては作業上の安全性及び信頼性が向上する。
また、張出作業の進行に伴って上記画像表示手段73における上記表示内容が自動的に変更されることから、少ない表示画面でも多くの情報を表示することができ上記画像表示手段73のコンパクト化及び低コスト化が図れるとともに、オペレータによる画面変更操作が不要であり操作の簡便性が確保される。
さらに、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業に際しては、上記ブーム用マスト11をその格納姿勢から張出姿勢に姿勢変更させるマスト張出ステップと、上記テンションロープ14を上記伸縮ブーム3の先端部に接続するロープ接続ステップと、上記伸縮ブーム3を上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業が可能な長さまで伸長させるブーム伸長ステップと、上記テンションウィンチ15のドラム15aの回転を規制するドラムロックステップと、上記テンションロープ14にプリテンションを付与するプリテンション付与ステップを順次実行するようにしているので、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業が、マスト張出ステップとロープ接続ステップとブーム伸長・起仰ステップとドラムロックステップとプリテンション付与ステップをこの順番で順次実行することで行なわれることから、上記ブーム撓み抑制装置10の各構成部材の構成及び作動形態等からして上記張出作業に無駄な動作がなく、該作業が的確に且つ円滑に行なわれることになる。
尚、上記実施形態においては、上記伸縮ブーム3の先端部に上記ラフィングジブ4を装着した構成のものを例にとって説明したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば、ジブを装着せず上記伸縮ブーム3のみで作業を行なうような構成のものにも適用できることは言うまでも無い。そして、係る構成を採用した場合には、上記画面表示においてジブに関する情報が表示されないだけで、その他の表示は同様なものとなる。
II:関連する構成
上記ブーム撓み抑制装置10には、上述の構成の他に、該ブーム撓み抑制装置10の張出・格納操作に伴う他の問題点を解決するために、以下のような関連構成が適用可能である。以下、この関連構成について具体的に説明する。
II−A:第1の関連構成
上記ブーム撓み抑制装置10においては、該ブーム撓み抑制装置10の張出作業を、上記伸縮ブーム3を最縮小させ且つ水平近くまで最倒伏させた状態で、上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端に設けたブーム用マスト11をマスト起伏シリンダ12によって立ち上がり状態に張出し、この張出されたブーム用マスト11の先端部と基端ブーム3Aの基端部の間にテンション部材13を配置するとともに、上記ブーム用マスト11の先端部と先端ブーム3Aの先端部の間にテンションロープ14を張設し、しかる後、上記伸縮ブーム3を起仰させるのが通例である。
しかし、ブーム撓み抑制装置10の張出作業において、不確実な接続等の誤作業あるいは作業手順の間違いによって、例えば、張出し状態にある上記ブーム用マスト11の先端から延びる上記テンションロープ14の先端が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されていないにも拘らず、上記伸縮ブーム3を起仰させるという事態の発生を完全に排除できるとは言い得ず、仮にこのような想定外の事態が生じた場合には、上記ブーム用マスト11の自重あるいは該ブーム用マスト11と伸縮ブーム3の基端側との間に張設された上記テンション部材13の自重等によって上記ブーム用マスト11に後傾側への大きな回転力が作用する。そして、この回転力を上記マスト起伏シリンダ12のみによって支持し且つこの支持状態を保持しなければならないことから、例えば、上記マスト起伏シリンダ12において大荷重の支持及びその保持によって油漏れが生じたような場合には、該マスト起伏シリンダ12による上記マストに対する支持作用が損なわれ、作業上の安全性の確保という点において看過し難い状況に陥ることも否定できず、従って、係る想定外の事態の発生に備えて有効な対策を講じることが必要となる。
係る事態の発生に備えた有効な対策として、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業時における上記テンションロープ14の非接続状態での上記伸縮ブーム3の起仰動作を未然に且つ確実に規制し、もって上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業における安全性を確保するようにしている。
即ち、図13の制御ブロック図に示すように、上記伸縮ブーム3の先端部への上記テンションロープ14の接続状態に関する情報を取得する接続状態取得手段111と、上記伸縮ブーム3の起仰操作を検出する起仰操作検出手段113と、上記伸縮ブーム3の先端部に上記テンションロープ14が接続された状態において上記伸縮ブーム3の起仰操作がなされた場合は該伸縮ブーム3の起仰動を許容する一方、上記伸縮ブーム3の先端部に上記テンションロープ14が接続されていない状態において上記伸縮ブーム3の起仰操作がなされた場合に警報を発し、又は上記伸縮ブーム3の起仰動を規制する起仰制御手段114を備える。
係る構成によれば、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されていない状態において上記伸縮ブーム3の起仰操作がなされたとしても、この起仰操作に対して上記警報手段132から警報が発せられることで、起仰操作を行ったオペレータの注意が喚起され、オペレータは、例えば、直ちに上記伸縮ブーム3の起仰操作を中止して危険状態への突入を未然に回避するとか、上記テンションロープ14の接続作業を行なう等の適切な対応をとることができる。また、上記伸縮ブーム3の起仰動作が自動的に阻止された場合には、この格納動作の自動的な阻止を受けてオペレータは自己の操作が誤操作であることを知り、直ちに最適な対応措置を講じることができる。これらの結果、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されていない状態において上記伸縮ブーム3が起仰されるという危険側動作が未然に且つ確実に回避され、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業に伴う作業上の安全性が確保される。
また、上記構成に加えて、上記伸縮ブーム3の起伏角を検出するブーム起伏角検出手段123と、上記接続状態取得手段111からの取得情報を受けてこれを登録して保持する登録保持手段112と、上記接続状態取得手段111から上記テンションロープ14が接続されたことを示す情報が入力された場合において、上記伸縮ブーム3の起伏角が設定起伏角115を越えて大きい場合には電源切断時においても上記取得情報の登録保持状態を維持する一方、上記伸縮ブーム3の起伏角が設定起伏角115以下である場合には電源切断時に上記取得情報の登録保持状態をキャンセルする登録保持制御手段116を備える。
係る構成によれば、警報を受けたオペレータによって、あるいは自動制御によって、上記伸縮ブームの起仰動作が規制された後、上記テンションロープ14の上記伸縮ブーム3の先端部への接続作業が実行された場合には、このテンションロープ14の接続完了に係る情報が登録保持手段116に登録されるので、上記登録保持手段112からの接続情報を受けてオペレータが上記伸縮ブーム3の起仰操作を行うことで、又は自動的に上記伸縮ブーム3の起仰動が許容されることで、ブーム撓み抑制装置10の張出作業の安全性が担保される。
また、上記登録保持手段112にテンションロープ14の接続完了情報が登録された状態において電源が切断された時には、上記伸縮ブーム3の起伏角が設定起伏角115を越えて大きい場合、即ち、その起伏角では上記伸縮ブーム3の先端が高所に位置しており上記テンションロープ14の接続作業あるいは取り外し作業が行なわれること(テンションロープの接続状態が変化すること)は無く、安全性に何等影響が無いと考えられる場合には、上記登録保持手段112における登録が保持され、これによって電源の再投入に伴う接続完了情報の再登録操作が不要となり、上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業における操作性の向上が期待できる。
さらに、上記伸縮ブーム3の起伏角が設定起伏角115以下である場合には、電源の切断に伴って上記登録保持手段112における登録がキャンセルされることで、例えば、電源の切断から再投入までの間に上記テンションロープ14の接続状態が変化した場合であっても、電源の再投入時には該テンションロープ14が接続されたことを確認した上で接続完了情報が再度登録保持手段112において登録されることから、上記テンションロープ14が接続されていない状態で上記伸縮ブーム3が起仰操作されるということが確実に阻止され、これによって上記ブーム撓み抑制装置10の張出作業における安全性が確保される。
II−B:第2の関連構成
上記ブーム撓み抑制装置10においては、伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部にマスト起伏シリンダ12によって張出したブーム用マスト11の先端部と先端ブーム3Cの先端部の間にテンションロープ14を張設しているが、このテンションロープ14が先端ブーム3Cに接続されたままの状態であるにも拘らず上記ブーム用マスト11の格納操作が行われると、この格納操作に伴って上記マスト起伏シリンダ12が縮小作動して上記ブーム用マスト11がその張出姿勢から後方へ傾倒され、該ブーム用マスト11の先端部と上記伸縮ブーム3の先端部の間の間隔が拡大変化することで、これら両者間に張設された上記テンションロープ14に過大な張力が掛かることになる。この場合、上記テンションロープ14がこれを制動保持するブレーキ装置のブレーキ力に抗してテンションウィンチ15から強制的に引き出されることとなり、その結果、上記ブレーキ装置に損傷を与えるとか、伸縮ブーム先端側に揺動可能に連結されたテンションロープ折返し用のシーブが上記伸縮ブーム3側の配管とかホース等の機材と干渉してこれに損傷を与えることも考えられるなど、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業における安全性の確保という点において看過できない問題を生じることが危惧される。
係る事態の発生に対処するための有効な対策として、上記テンションロープ14が伸縮ブーム3の先端部に接続された状態では、上記ブーム撓み抑制装置10の格納操作に伴う上記ブーム用マスト11の格納作動を未然に且つ確実に回避することで、該ブーム撓み抑制装置10の格納作業における安全性を確保するようにしている。
即ち、図14の制御ブロックに示すように、上記伸縮ブーム3の先端部への上記テンションロープ14の接続状態に関する情報を取得する接続状態取得手段211と、上記ブーム用マスト11の張出・格納操作に関する情報を取得するマスト操作情報取得手段212と、上記伸縮ブーム3の先端部に上記テンションロープ14が接続されている状態において上記ブーム用マスト11の格納操作がなされた場合に警報を発し、又は上記ブーム用マスト11の格納動作を阻止するマスト駆動制御手段213を備える。
係る構成によれば、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続された状態において上記ブーム用マスト11の格納操作が行われた場合、この格納操作に対して警報が発せられ、オペレータの注意が喚起される。従って、オペレータは、例えば、直ちに上記ブーム用マスト11の格納操作を中止し、危険状態への突入を未然に回避すべく上記テンションロープ14の上記伸縮ブーム3の先端部からの取り外し作業を行なうなど、対応措置を講じることができ、また、上記格納操作に対して上記ブーム用マスト11の格納動作が自動的に阻止された場合には、この格納動作の自動的な阻止を受けてオペレータは自己の操作が誤操作であることを知り、直ちに最適な対応措置を講じることができるなど、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業に伴う作業上の安全性が確保される。
また、上記ブーム用マスト11の張出・格納操作に関する情報を取得するマスト操作情報取得手段212と、上記テンションロープ14の張力を検出するロープ張力検出手段223と、上記テンションロープ14の張力が設定値以上の状態において上記ブーム用マスト11の格納操作がなされた場合に警報を発し、又は上記ブーム用マスト11の格納動作を阻止するマスト駆動制御手段213を備える。
係る構成によれば、上記テンションロープ14の張力が設定値以上の状態において上記ブーム用マスト11の格納操作がなされた場合、この格納操作に対して警報が発せられ、オペレータの注意が喚起される。このように上記テンションロープ14に設定値以上の張力は作用するのは該テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されているためであることから、上記警報が発せられたとき、オペレータは、例えば、直ちに上記ブーム用マスト11の格納操作を中止し、危険状態への突入を未然に回避すべく上記テンションロープ14の上記伸縮ブーム3の先端部からの取り外し作業を行なうなど、対応措置を講じることができる。また、上記格納操作に対して上記ブーム用マスト11の格納動作が自動的に阻止された場合には、この格納動作の自動的な阻止を受けてオペレータは自己の操作が誤操作、即ち、上記テンションロープ14に設定値以上の張力が作用するような状態であるにも拘らず上記ブーム用マスト11の格納操作を行ったものであることを知り、直ちに最適な対応措置を講じることができるなど、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業に伴う作業上の安全性が確保される。
さらに、上記各構成の何れかにおいて、上記マスト駆動手段231をマスト起伏シリンダ12で構成し、上記マスト駆動制御手段213を、上記マスト起伏シリンダ12の伸縮動を規制することで上記ブーム用マスト11の格納動作を阻止するように構成する。
係る構成によれば、例えば、上記テンションウィンチ15のブレーキ性能を高めて上記テンションロープ14の上記テンションウィンチ15からの引き出しを阻止するような手法に比して、上記ブーム用マスト11の格納作動を直接的に且つ迅速に阻止することができ、上記ブーム撓み抑制装置10の格納作業に伴う作業上の安全性の確保がより一層確実となる。
II−C:第3の関連構成
上記ジブ装置40は、上述のように、上記ブームヘッド3Dの先端に取付けられたジブ基台5にラフィングジブ4を連結するとともに、上記ジブ基台5に前後一対のジブ用マスト41,42を前後方向に揺動可能に取付け、さらに上記ラフィングジブ4の先端にバックテンション部材43を接続するとともに、該バックテンション部材43を上記ジブ用マスト41,42を介してさらに伸縮ブーム3の基端側へ引き出してその端部に折返しシーブ45を介してバックテンションロープ44を接続し、該バックテンションロープ44を上記旋回台2側に配置したバックテンションウィンチ47によって巻込み・繰出しすることで、上記バックテンションロープ44の上記折返しシーブ45と上記旋回台2側に設けた固定シーブ46との間のロープ長さを増減させて上記ラフィングジブ4のチルト角を調整し得るように構成されている。
ところで、上記ラフィングジブ4を上記伸縮ブーム3の先端ブーム3C側に装着した状態では、上記ブーム撓み抑制装置10の使用状態下、即ち、上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部にブーム用マスト11が張出された状態では、上記バックテンションロープ44を巻き込んで上記ラフィングジブ4を上方へチルトさせる場合には該ラフィングジブ4のチルト動作に伴って上記ジブ用マスト41,42が後傾変位することから、上記伸縮ブーム3の伸縮状態によっては、即ち、上記ブーム用マスト11が取付けられた基端ブーム3Aの先端部と、上記ジブ用マスト41,42が取付けられた基端ブーム3Aの先端部あるいはこの先端部に取付けられたジブ基台5との間隔が狭い場合には、上記基端ブーム3Aの先端部あるいは上記ジブ基台5において後傾変位する上記ジブ用マスト41,42が、上記基端ブーム3Aの先端部に張出された上記ブーム用マスト11に接近してこれと干渉することが懸念される。なお、このような上記ジブ用マスト41,42とブーム用マスト11の干渉は、ジブ作業時のみならず、上記ブーム撓み抑制装置10を張出した状態で上記ラフィングジブ4の取付けあるいは取り外しを行なうジブ着脱作業時においても起こり得るものである。
係る事態の発生に有効な対策として、上記ラフィングジブ4のチルト作動に伴うジブ用マスト41,42とブーム用マスト11の干渉を未然に且つ確実に阻止し、作業上における安全性及び信頼性の向上を図るべく、以下の第1〜第4の制御例を提案する。
即ち、第1の制御例は、図15に示すように、上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるときに上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動を禁止する巻込作動禁止手段311を備える。
係る構成によれば、上記ジブチルト用ウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるときは、例え上記バックテンションウィンチ47の巻込み操作がなされたとしても、上記巻込作動禁止手段311によって該バックテンションウィンチ47の巻込み作動が自動的に禁止され、又は作動禁止の警報を受けてオペレータによる該バックテンションウィンチ47の巻込み操作が回避されることから、これら何れの場合においても、上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動に伴う上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11との干渉が未然に且つ確実に阻止され、作業機における作業上の安全性及び信頼性が向上する。
第2の制御例は、図15に示すように、上記伸縮ブーム3長さを検出するブーム長さ検出手段321と、上記伸縮ブーム3の起伏角を検出するブーム起伏角検出手段322と、上記ジブ4のチルト角を検出するジブチルト角検出手段323を備えるとともに、上記巻込作動禁止手段311に、上記ブーム長さ検出手段321からのブーム長さと上記ブーム起伏角検出手段322からの起伏角と上記ジブチルト角検出手段323からのチルト角を受けて上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かを判断する干渉可能性判断手段312と、上記干渉可能性判断手段312において上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があると判断されたとき上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動を禁止すべく巻込作動禁止信号を出力し、又は作動禁止の警報を発する巻込作動禁止制御手段313を備える。
係る構成によれば、上記ブーム長さ検出手段321と上記ブーム起伏角検出手段322と上記ジブチルト角検出手段323という上記作業機に本来的に備えられている手段を流用し、該各手段321〜323からの検出情報を利用して、上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動に伴う上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11の間における干渉の可能性の有無を判断し、干渉する可能性があると判断されたときには上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動を禁止するようにしているので、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11の干渉の回避、延いては作業機における作業上の安全性及び信頼性の確保を、より安価な構成で実現できる。
尚、この第2の制御例では、上記情報入力系320の構成要素としてマスト張出検出手段324を備えているが、このマスト張出検出手段324は必須の要素とはされていない。これは、上記ブーム撓み抑制装置10を備えたクレーン車Zにおいて、その伸縮ブーム3の先端に上記ラフィングジブ4を装着する場合には、上記ブーム撓み抑制装置10を使用状態とするのが通例であるため上記マスト張出検出手段324を設けることなく、次述の制御系310での制御に際し、上記ブーム用マスト11は張出されているものとして制御を行なうこともできるためである。
第3の制御例は、図16に示すように、上記バックテンションウィンチ47からの上記バックテンションロープ44の繰出量を検出するバックテンションロープ繰出量検出手段325を備えるとともに、上記巻込作動禁止手段311に、上記バックテンションロープ44の繰出量を予め設定した限界繰出量314と比較して上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かを判断する干渉可能性判断手段312と、上記干渉可能性判断手段312において上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があると判断されたとき上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動を禁止すべく作動禁止信号を出力し、又は作動禁止の警報を発する巻込作動禁止制御手段313を備える。
係る構成によれば、上記バックテンションウィンチ47からのバックテンションロープ44の繰出量、即ち、上記ジブ用マスト41,42の姿勢に直接的に対応する量に基づいて、上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かを判断し、干渉する可能性があると判断されたとき上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動を禁止するようにしているので、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11の干渉の回避、延いては上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11の干渉回避を高い信頼性の下で実現できる。
第4の制御例は、図17に示すように、上記バックテンションロープ繰出量検出手段325に加えて、上記伸縮ブーム3の長さを検出するブーム長さ検出手段321又は上記テンションロープ14の繰出量を検出するテンションロープ繰出量検出手段327を備え、上記干渉可能性判断手段312を、上記バックテンションロープ44の繰出量を予め設定したバックテンション限界繰出量314と比較した結果に、上記伸縮ブーム3の長さを予め設定した限界ブーム長315と比較した結果、又は上記テンションロープ14の繰出量を予め設定したテンション限界繰出量316と比較した結果を加味して、上記バックテンションウィンチ47の巻込み作動によって上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かの判断を行なうように構成する。
係る構成によれば、以下のような効果が得られる。即ち、上記ブーム用マスト11は上記伸縮ブーム3の基端ブーム3Aの先端部に配置され、上記ジブ用マスト41,42は上記伸縮ブーム3の先端ブーム3Cの先端部に取付けたジブ基台5に配置されるものであって、上記ブーム用マスト11と上記ジブ用マスト41,42との間隔は、上記伸縮ブーム3のブーム長さに対応して変化し、従って、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11との干渉の可能性に関与する要素となる。
また、上記テンションロープ14は、上記ブーム用マスト11の先端部と上記伸縮ブーム3の先端部の間に、又は上記ジブ基台5の間に掛け回され、上記伸縮ブーム3の伸縮に対応してテンションウィンチ15に巻込・繰出されるものであって、該テンションロープ14の上記テンションウィンチ15からの繰出量は上記伸縮ブーム3のブーム長さに対応するものとなり、延いては、上記伸縮ブーム3のブーム長参照と同様に、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11との干渉の可能性に関与する要素の一つとなる。
これらのことから、上記構成のように、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かの判断を、上記バックテンションロープ44の繰出量とバックテンション限界繰出量314と比較した結果に、上記伸縮ブーム3の長さと限界ブーム長315と比較した結果、又は上記テンションロープ14とテンション限界繰出量316と比較した結果を加味して行なうことで、上記ジブ用マスト41,42と上記ブーム用マスト11が干渉する可能性があるか否かの判断を、上記バックテンションロープ44の繰出量とバックテンション限界繰出量314と比較した結果のみに基づいて判断する場合に比して、より一層信頼性の高い判断結果を得ることができ、延いては作業機における作業上の安全性及び信頼性の更なる向上が期待できる。
II−D:第4の関連構成
上記ブーム撓み抑制装置10の使用時には、上記ブーム用マスト11に設けたテンションウィンチ15から繰出されるテンションロープ14を先端ブーム3Cの先端部に接続するが、ブーム撓み抑制装置10の非使用時にはテンションロープ14は先端ブーム3Cの先端部に接続されることなくテンションウィンチ15側に巻き取られている。
従って、ブーム撓み抑制装置10の使用時には、伸縮ブーム3の伸縮作動にテンションロープ14の巻込・繰出作動を連動させて該テンションロープ14の長さを上記伸縮ブーム3のブーム長さの変化に追従させて上記テンションロープ14に掛かる張力を常時一定に維持させることが必要である。
これに対して、ブーム撓み抑制装置10の非使用時には、上記伸縮ブーム3のブーム長さの変化に上記テンションロープ14の長さを対応させる必要はなく、従って、上記テンションウィンチ15を操作することなく、伸縮ブーム3を個別に伸縮作動させることができる。
このため、従来は、上記テンションロープ14の接続状態(即ち、ブーム撓み抑制装置10の使用状態か非使用状態か)をオペレータ自身が確認して伸縮ブーム3の伸縮操作と上記テンションウィンチ15の操作を連動させるべきか否かを判断していたため、操作が煩雑であり、場合によっては判断ミスを生じることも完全には否定できないなど、信頼性という点において問題があった。
一方、ブーム撓み抑制装置10の使用時(即ち、ブーム伸縮10とテンションウィンチ15の作動が連動している時)において上記伸縮ブーム3が伸長されると、それに対応して上記テンションロープ14も長く引き出され、この引き出されたテンションロープ14の自重が増大し、上記テンションウィンチ15に掛かるロープ引出荷重も増大し、このロープ引出荷重に対抗して上記テンションロープ14を保持するに必要とされる上記テンションウィンチ15のブレーキ力も大きくなる。
このため、例えば、上記テンションウィンチ15から引き出された上記テンションロープ14の自重が更に大きくなり、該テンションウィンチ15に掛かるロープ引出荷重が該テンションウィンチ15のブレーキ能力を超え、この状態において上記伸縮ブーム3の伸長を停止させると、それまでに引き出されたテンションロープ14の自重によるロープ引出荷重に対して上記テンションウィンチ15のブレーキが抗しきれなくなり、該テンションロープ14が強制的に引き出されることになる。この結果、例えば、テンションウィンチ15の自走によるブレーキの損傷とか、上記テンションロープ14の垂れ下がりによって該テンションロープ14に備えられたシーブが上記伸縮ブーム3側に接近してこれに接触して損傷を与える、等のことが懸念される。
また、上記テンションロープ14の自重軽減は、上記伸縮ブーム3の起伏角を大きくすることで対処することもできるが、該伸縮ブーム3の起伏角を大きくすればクレーン装置全体の後方安定性が損なわれるため、該伸縮ブーム3の起伏角を大きくしてテンションロープ14の自重軽減を図るには限界があり、最適な解決手法とはなり得ない。
これらの各問題に対処すべく、上記ブーム撓み抑制装置10において、上記伸縮ブーム3の伸縮操作と上記テンションウィンチ15の作動を連動させるか否かの判断を自動的に行なうことで操作の煩雑さを解消して作業機の操作性を高めるとともに、併せて連動操作時における作業の安全性を確保するようにしている。
第1の構成は、図18の制御ブロックに示すように、上記伸縮ブーム3の先端部への上記テンションロープ14の接続状態を検出するテンションロープ接続状態検出手段423と、該テンションロープ接続状態検出手段423からの情報を受けて、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されているときには該伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させ、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されていないときには該伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動とを連動させないように、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を制御する作動制御手段411を備えるものである。
係る構成によれば、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されているときにおける該伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動の連動作動と、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部に接続されていないときにおける該伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させない個別作動の選択が自動的に行なわれることから、例えば、係る連動作動と個別作動の選択をオペレータ自身が判断して操作する場合に比して、操作上の煩雑さが解消され、作業機の操作性が格段に向上する。
第2の構成は、図18に示すように、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させる場合において上記伸縮ブーム3の伸縮作動が許容される伸縮許容領域413を備え、上記作動制御手段411は、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させる場合、上記伸縮許容領域413内においてのみ上記伸縮ブーム3の伸縮作動を許容し、該伸縮許容領域413を越える領域では上記伸縮ブーム3の伸縮作動を禁止するものである。
ここで、上記伸縮許容領域413について説明する。この伸縮許容領域413は、図19及び図20に示すように、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各ブーム長さをパラメータとして設定されるものであって、上限値「Lu」と下限値「Ld」によって囲まれた領域を伸縮許容領域413としたものである。
上記上限値「Lu」は、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における作業機全体の後方性能に基づいて設定される。上記下限値「Ld」は、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における上記テンションロープ14の張設長さ又はその自重に基づいて設定される。従って、この伸縮許容領域413の領域内で上記伸縮ブーム3が伸縮作動しても作業機が後方に転倒するとか、上記テンションロープ14の自重が過大となるというような危険性はなく、安全な作業が担保される。
これに対して、上限値「Lu」よりも高起伏角の領域では、作業機全体の後方性能の維持の観点から、上記伸縮ブーム3の縮小作動及び起仰作動が禁止される「縮小・起仰禁止領域」とされる。また、下限値「Ld」よりも低起伏角の領域では、テンションロープ14の自重抑制等の観点から、上記伸縮ブーム3の伸長作動及び倒伏作動が禁止される「伸長・倒伏禁止領域」とされる。
従って、上記伸縮ブーム3の伸長作動は、図19において矢線L1で示すように、例えば、伸縮許容領域413内の点「L1a」から上記伸縮ブーム3の伸長作動が開始された場合、この伸長作動の進行に伴ってブーム長さが点「L1b」に達すると下限値「Ld」を越えるため、ここで上記伸縮ブーム3の伸長作動を停止させ、これに代わって該伸縮ブーム3を起仰作動させる。この起仰作動の進行に伴ってその起伏角が点「L1c」に達すると上限値「Lu」を越えるため、ここで上記伸縮ブーム3の起仰作動を停止させ、これに代わって該伸縮ブーム3を伸長作動させる。係る操作を順次繰り返すことで、上記伸縮ブーム3の伸縮許容領域413内での伸長作動が実現される。
一方、上記伸縮ブーム3の縮小作動は、図20において矢線L2で示すように、例えば、伸縮許容領域413内の点「L2a」から上記伸縮ブーム3の縮小作動が開始された場合、この縮小作動の進行に伴ってブーム長さが点「L2b」に達すると上限値「Lu」を越えるため、ここで上記伸縮ブーム3の縮小作動を停止させ、これに代わって該伸縮ブーム3を倒伏作動させる。この倒伏作動の進行に伴ってその起伏角が点「L2c」に達すると下限値「Ld」を越えるため、ここで上記伸縮ブーム3の倒伏作動を停止させ、これに代わって該伸縮ブーム3を縮小作動させる。係る操作を順次繰り返すことで、上記伸縮ブーム3の伸縮許容領域413内での縮小作動が実現される。
また、上記伸縮ブーム3の伸縮作動の他の制御手法としては、上述のように、上記伸縮ブーム3の伸縮作動を、上記伸縮許容領域413の範囲内において該伸縮ブーム3の起伏作動を伴いながら段階的に実行させる手法に代えて、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と起伏作動を連動させて制御することで、図19に曲線L3で示し、また図20に曲線L4で示すように、上記伸縮許容領域413の範囲内において上記伸縮ブーム3を連続的に伸縮作動させることもできる。
以上のことから、上記第2の構成によれば、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させる場合に、上記伸縮許容領域413内においてのみ上記伸縮ブーム3の伸縮作動が許容され、該伸縮許容領域413を越える領域では上記伸縮ブーム3の伸縮作動が禁止されるので、上記伸縮許容領域413を越える領域において上記伸縮ブーム3の伸縮作動が実行されることが確実に防止され、該伸縮ブーム3の伸縮に伴う作業上の安全性が確保される。
第3の構成は、上記伸縮許容領域413の上限値「Lu」を、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における作業機全体の後方性能に基づいて規定し、上記伸縮許容領域413の下限値「Ld」を、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における上記テンションロープ14の張設長さ又はその自重に基づいて規定するものである。
係る構成によれば、上記上限値「Lu」と下限値「Ld」が共に作業機の安定性と作業上の安全性のそれぞれに直接的に関与する要素であることからして、上記伸縮ブーム3の伸縮作動に伴う作業上の安全性の確保がより一層確実となる。
第4の構成は、上記伸縮ブーム3の伸縮作動を、上記伸縮許容領域413の上記上限値「Lu」と上記下限値「Ld」の間において起伏作動を伴いながら段階的に実行するようにしたものである。
係る構成によれば、上記伸縮ブーム3の伸縮作動が、上記伸縮許容領域413の上記上限値「Lu」と上記下限値「Ld」の間において起伏動を伴いながら段階的に実行されることから、例えば、上記伸縮ブーム3の伸長作動時には、オペレータは単に伸長操作を行うことでブーム長さが上記下限値「Ld」に達すると自動的に該伸縮ブーム3の伸長作動が停止される。この伸縮ブーム3の伸長作動の停止時点で上記伸縮ブーム3を起仰させれば、ブーム起伏角が上記上限値「Lu」に達すると自動的にその起仰作動が停止される。さらに、この起仰作動が停止された時点で、伸縮操作を行えば、上記伸縮ブーム3を再度伸長作動させることができる。係る作動は、上記伸縮ブーム3の縮小作動時においても同様である。この結果、上記伸縮ブーム3が過度に伸長又は縮小して、あるいは上記伸縮ブーム3が過度に起仰又は倒伏して、危険領域に突入することが未然に且つ確実に回避され、しかも上記伸縮ブーム3の過度の伸縮作動あるいは起伏作動を回避するためにどのような操作を行えば良いかをオペレータ自身が判断する必要もなく、これらの相乗効果として、作業機の操作性が向上するとともに、作業上における安全性が確保される。
第5の構成は、図18に示すように、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させる場合において上記伸縮ブーム3の伸縮作動が許容される伸縮許容領域413を備え、上記作動制御手段411を、上記伸縮ブーム3の伸縮作動と上記テンションウィンチ15の巻込・繰出作動を連動させる場合、上記伸縮ブーム3の伸縮作動が上記伸縮許容領域413内において連続的に実行されるように該伸縮ブーム3の作動制御を行なうものである。
係る構成によれば上記伸縮ブーム3の伸縮作動が、所要の伸縮範囲の途中で中断されることなく該所要の伸縮範囲内において連続的に行なわれることで、該伸縮ブーム3の動作が円滑なものとなり、その結果、該伸縮ブーム3の伸縮に伴う作業機の操作性及び作業上における安全性がより一層向上することになる。
第6の構成は、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における作業機全体の後方性能に基づいて上限値「Lu」を規定し、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における上記テンションロープ14の張設長さ又はその自重に基づいてその下限値「Ld」を規定したものである。
係る構成によれば、上記伸縮許容領域413の上限値「Lu」が、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における作業機全体の後方性能に基づいて規定され、上記伸縮許容領域413の下限値「Ld」が、上記伸縮ブーム3の各起伏角と各伸縮長さ時における上記テンションロープ14の張設長さ又はその自重に基づいて規定されており、これら上限値「Lu」と下限値「Ld」が共に作業機の安定性と作業上の安全性のそれぞれに直接的に関与する要素であることからして、上記伸縮ブーム3の伸縮作動に伴う作業上の安全性の確保がより一層確実となる。
II−E:第5の関連構成
上記ラフィングジブ4は、これを上記伸縮ブーム3の先端側に装着する場合、及び該伸縮ブーム3の先端側から取外す場合の何れにおいても、上記ラフィングジブ4を前方へ振り出しながら起仰あるいは倒伏させるとき、上記ラフィングジブ4の自重によるモーメントは大きく変化し、上記ラフィングジブ4が略水平姿勢に近くなるとこれが最大となるが、このような上記ラフィングジブ4の起仰動に伴う自重モーメントの変化に対応して、上記伸縮ブーム3の撓み量が大きくなり、該伸縮ブーム3に設けられた上記ブーム撓み抑制装置10の上記テンションロープ14にかかる張力も大きく増減変化することになる。
一方、上記テンションウィンチ15には、図11、図12に示すように、減速機15dを介してドラム15aを駆動する油圧モータ15bが備えられる。この油圧モータ15bには、メカニカルブレーキ15cとともにブレーキ手段30を構成するブレーキ弁34,35が備えられている。
係る荷重条件の下で上記ラフィングジブ4の着脱作業を行なう場合における上記テンションウィンチ15側の操作形態としては、第1の操作形態と第2の操作形態がある。
第1の操作形態は、上記ラフィングジブ4の着脱作業に際して、上記テンションウィンチ15を停止させた状態で行なう場合において、上記テンションウィンチ15のロックシリンダ23をアンロック側に設定し、上記メカニカルブレーキ15cのブレーキ力のみによって上記テンションウィンチ15の回転規制、即ち、上記テンションロープ14の張力保持を行なうものである。
第2の操作形態は、上記テンションウィンチ15の上記ロックシリンダ23をロック側に設定し、上記ドラム15aのロック力によって上記テンションウィンチ15の回転規制、即ち、上記テンションロープ14の張力保持を行なう操作形態である。
ここで、上記テンションウィンチ15が上記第1の操作形態とされた場合には、上記ラフィングジブ4の振り出しに伴って上記テンションロープ14に掛かる張力が増大し、これが上記メカニカルブレーキ15cの保持能力を越えたような場合には、該メカニカルブレーキ15cとか減速機15dに過大な力が掛かり、これらに損傷を与えることが考えられる。
一方、上記テンションウィンチ15が上記第2の操作形態とされた場合には、上記ラフィングジブ4の振り出しに伴って上記テンションロープ14に掛かる張力が増大し、これが上記メカニカルブレーキ15cの保持能力を越えたような場合でも、上記張力はドラムロック力で支持されるため、上記メカニカルブレーキ15cとか減速機15dに過大な力が掛かることはなく、この点においては好ましい操作形態と考えられる。しかし、上記ラフィングジブ4の着脱作業に際しては、事前に上記ロックシリンダ23によるドラムロック操作を行い、また事後に上記ロックシリンダ23によるドラムアンロック操作を行うことが必要であって、その操作が煩雑で作業性が悪く、また事前のドラムロック操作を忘れることも否定できず、係る場合には上記第1の操作形態の場合と同様に、上記メカニカルブレーキ15cとか減速機15dに過大な力が掛かり、これらに損傷を与えることになる。
係る問題に対処すべく、ブーム付き作業機において、伸縮ブームの先端へのラフィングジブ4の着脱作業時におけるテンションウィンチ15の損傷の発生等を未然に且つ確実に防止して作業上の安全性及び信頼性を確保するようにしており、下記の構成を採用している。
第1の構成
第1の構成は、ジブ装置40とブーム撓み抑制装置10を備えたブーム付き作業機において、図21に示すように、上記テンションウィンチ15に制動力を付与するブレーキ手段30と、上記ラフィングジブ4が張出又は格納作業中であるときに上記ブレーキ手段30を開放して上記テンションウィンチ15を巻込作動させる作動制御手段511を備えものである。
係る構成によれば、上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業において、該ラフィングジブ4の前方振り出しに伴って上記ラフィングジブ4の自重モーメントが増大し、これに伴って、上記伸縮ブーム3の撓み量が増加し、該伸縮ブーム3に設けられた上記ブーム撓み抑制装置10のテンションロープ14にかかる張力が増大したとしても、上記ブレーキ手段30が開放され上記テンションウィンチ15が巻込作動されるので、上記張力が上記テンションウィンチ15の巻込力を越えるような状態となった場合には、上記テンションロープ14は上記巻込力に抗して上記テンションウィンチ15から引き出されることとなり、これによって上記テンションロープ14に掛かる張力の最大値は上記テンションウィンチ15の巻込力に維持され、これを越えることはない。この結果、上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えた上記ブレーキ手段30に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、延いては上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保される。
第2の構成
第2の構成は、図11、図12及び図21に示すように、上記ブレーキ手段30を、上記テンションウィンチ15の停止状態においてこれに制動力を付与するメカニカルブレーキ15cと、上記テンションウィンチ15の巻込用油路32と繰出用油路33にそれぞれ設けられた繰出用ブレーキ弁34と巻込用ブレーキ弁35で構成し、上記作動制御手段511を、上記ラフィングジブ4が張出又は格納作業中であるときには上記メカニカルブレーキ15cと巻込用ブレーキ弁35を開放し、上記テンションウィンチ15を巻込み作動させるものである。
係る構成によれば、例えば、上記テンションロープ14の張力が上記テンションウィンチ15の巻込力を越えるような状態となった場合には、上記テンションロープ14は上記巻込力に抗して上記テンションウィンチ15から引き出されることで上記テンションロープ14に掛かる張力の最大値は上記テンションウィンチ15の巻込力に維持され、これを越えることはなく、この結果、上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか巻込用ブレーキ弁35等のブレーキ手段30に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、延いては上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保される。
第3の構成
第3の構成は、図6及び図21に示すように、上記テンションウィンチ15の作動をロック・アンロックするドラムロック機構20と、上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業に際して、上記テンションウィンチ15がロック状態にあるときには上記バックテンションウィンチ47による上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業を許容する一方、上記テンションウィンチ15がアンロック状態にあるときには上記張出又は格納作業を禁止するように上記バックテンションウィンチ47の作動を制御する作動制御手段511を備えたものである。
係る構成によれば、上記テンションウィンチ15の作動をロック・アンロックするドラムロック機構20と、上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業に際して、上記テンションウィンチ15がロック状態にあるときには上記バックテンションウィンチ47による上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業を許容する一方、上記テンションウィンチ15がアンロック状態にあるときには上記張出又は格納作業を禁止するように上記バックテンションウィンチ47の作動を制御する作動制御手段511を備えているので、上記バックテンションウィンチ47の操作に先立って、上記ドラムロック機構20のロック操作が必要であるにも拘らず、このロック操作が行われないまま上記バックテンションウィンチ47が作動するという事態の発生が未然に且つ確実に防止され、延いては上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保される。
第4の構成
第4の構成は、図21の制御ブロック図に示すように、上記作業機の限界性能を作業時に対応する作業時限界性能と該作業時限界性能よりも低性能側の非作業時限界性能に設定する作業機限界性能設定手段526を備え、上記作動制御手段511を、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定されているときに上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断するように構成したものである。
係る構成によれば、以下のような効果が得られる。即ち、非作業時限界性能の設定状態下においては、上記ジブ4の張出又は格納作業が実行され該ジブ4の前方振り出しに伴って該ラフィングジブ4の自重モーメントが増大し、上記伸縮ブーム3の撓み量の増加によって該伸縮ブーム3に設けられた上記ブーム撓み抑制装置10のテンションロープ14にかかる張力が過度に増大すると上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか減速機15dに損傷を与えることが懸念されるが、係る非作業時限界性能の設定状態をもって上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断され、この張出又は格納作業に適応した作動が実行されることで、即ち、上記ブレーキ手段30が開放されるとともに上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか巻込用ブレーキ弁35等のブレーキ手段30に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、あるいは上記バックテンションウィンチ47の操作に先立って上記ドラムロック機構20のロック操作が実行され、該ドラムロックの実行後に上記バックテンションウィンチ47が作動されることで上記ドラムロック機構20のロック操作が行われないまま上記バックテンションウィンチ47が作動するという事態の発生が未然に且つ確実に防止され、これら何れの場合においても、上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保されることになる。
第5の構成
第5の構成は、図21の制御ブロック図に示すように、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部又は上記ジブ基台5に接続された状態であることを入力する作業状態入力手段525と、上記ジブ4のチルト角を検出するジブチルト角検出手段521を備え、上記作動制御手段511を、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定されていることに加えて、上記作業状態入力手段525における作業状態の入力を受けた場合において、上記ジブ4のチルト角が設定チルト角以上であるときに上記ジブ4の張出又は格納作業中であると判断するように構成したものである。
係る構成によれば、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定された状態において、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部又は上記ジブ基台5に接続された状態であることが入力された場合で、且つ上記ラフィングジブ4のチルト角が設定チルト角以上であるとき、即ち、上記ラフィングジブ4の自重モーメントによって上記テンションロープ14に過大な張力が掛かることが想定される状態をもって初めて上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断され、この張出又は格納作業に適応した作動が実行されることで、即ち、上記ブレーキ手段30が開放されるとともに上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか巻込用ブレーキ弁35等のブレーキ手段30に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、あるいは上記バックテンションウィンチ47の操作に先立って上記ドラムロック機構20のロック操作が実行され、該ドラムロックの実行後に上記バックテンションウィンチ47が作動されることで上記ドラムロック機構20のロック操作が行われないまま上記バックテンションウィンチ47が作動するという事態の発生が未然に且つ確実に防止され、これら何れの場合においても、上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保されることになる。
また、上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であるとの判断が、上記作業機性能設定手段526において非作業時限界性能が設定されたことに加えて、上記テンションロープ14の接続状態が確認され、且つ上記ジブ4のチルト角が設定チルト角以上であることが確認されたことをもって初めて行なわれることで、上記判断の信頼性が高くなり、上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性がより一層高められることになる。
第6の構成
第6の構成は、図21の制御ブロック図に示すように、上記バックテンションウィンチ47が操作されたことを検出するバックテンションウィンチ操作検出手段523を備え、上記作動制御手段511を、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定されていること、上記作業状態入力手段525から作業状態の入力を受けたこと、及びジブチルト角検出手段521において上記ジブ4のチルト角が設定チルト角以上であることが検出されたことに加えて、上記バックテンションウィンチ操作検出手段523において上記バックテンションウィンチ47が操作されたことが検出されたときに上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断するように構成したものである。
係る構成によれば、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定された状態において、上記テンションロープ14が上記伸縮ブーム3の先端部又は上記ジブ基台5に接続された状態であることが入力された場合、即ち、上記テンションロープ14の接続入力よって上記ブーム撓み抑制装置10が張出されて上記伸縮ブーム3の撓みによって上記テンションロープ14に張力が掛かる状態で、且つ上記ラフィングジブ4のチルト角が設定チルト角以上であるとき、即ち、上記ラフィングジブ4の自重モーメントによって上記テンションロープ14に過大な張力が掛かることが想定される状態において、さらに上記バックテンションウィンチ47が操作されたことが検出されたことをもって初めて上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断され、この張出又は格納作業に適応した作動が実行されることで、即ち、上記ブレーキ手段30が開放されるとともに上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか巻込用ブレーキ弁35等のブレーキ手段30に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、あるいは上記バックテンションウィンチ47の操作に先立って上記ドラムロック機構20のロック操作が実行され、該ドラムロックの実行後に上記バックテンションウィンチ47が作動されることで上記ドラムロック機構20のロック操作が行われないまま上記バックテンションウィンチ47が作動するという事態の発生が未然に且つ確実に防止され、これら何れの場合においても、上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保されることになる。
また、上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であるとの判断が、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定されたことに加えて、上記テンションロープ14の接続状態の確認と上記ジブ4のチルト角の確認、さらに上記バックテンションウィンチ47が操作されたことをもって初めて行なわれることで、上記判断の信頼性が高くなり、上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性がより一層高められることになる。
さらに、上記バックテンションウィンチ47が操作されていない状態、即ち、実際に上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業が行われていない状態にも拘らず上記テンションウィンチ15が無駄に巻込み作動されるのが確実に回避され、上記ブーム付き作業機におけるエネルギロスが可及的に抑制されることにもなる。
第7の構成
第7の構成は、図21の制御ブロック図に示すように、上記テンションウィンチ15の作動をロック・アンロックするドラムロック機構20の作動状態を検出するテンションウィンチドラムロック検出手段524(図6に示す上記ロック・アンロック検出器24がこれに該当する)を備え、上記ドラムロック機構20がアンロック状態にあるときに上記ジブ4の張出又は格納作業中であると判断するように構成したものである。
係る構成によれば、上記作業機限界性能設定手段526において非作業時限界性能が設定された状態において、上記ドラムロック機構20がアンロック状態にあるとき、即ち、上記テンションウィンチ15による上記テンションロープ14の巻込作動が可能な状態であるときに初めて上記ラフィングジブ4の張出又は格納作業中であると判断され、この張出又は格納作業に適応した作動が実行されることで、即ち、上記ブレーキ手段30が開放されるとともに上記テンションウィンチ15が巻込作動されることで上記テンションロープ14に過大な張力が掛かって上記テンションウィンチ15に備えたメカニカルブレーキ15cとか巻込用ブレーキ弁35等のブレーキ手段に損傷を与えるということが未然に且つ確実に防止され、延いては上記ブーム付き作業機の作業上の安全性及び信頼性が確保されることになる。
II−F:第6の関連構成
上記ブームの撓み抑制装置10では、該ブーム撓み抑制装置10をその格納状態から張出す場合には、上記テンション部材13の伸縮ブーム3の後端側への連結、上記マスト起伏シリンダ16の駆動による上記ブーム用マスト11の張出し、上記テンションウインチ15の駆動による上記テンションロープ14の繰り出し、先端ブーム3Aの先端部への上記テンションロープ14の接続、上記伸縮ブーム3の所定量の起伏および伸長、上記テンションウインチ15のロックを行った後、最終的なプリテンションセット(目標となる適切な規定値への張力セット)を行なう。
このプリテンションセット作業は、上記テンションウインチ15によりテンションロープ14の張設を行った後に上記プリテンションシリンダ16を所定量縮め、上記テンションロープ14に所望の張力を掛けることにより行われる。
そして、その上で必要な吊荷作用を行ない、同吊荷作業が終了すると、上記テンション付与手段である上記プリテンションシリンダ16を伸ばして、上記プリテンションセット前の張力までテンションロープ14を緩めるプリテンションリセット操作を行って、上記ブーム撓み抑制装置10を上述した元の格納状態に格納するようになっている。
ところが、このようなブーム撓み抑制装置10において、上記プリテンションシリンダ16を伸ばしてテンションロープ14の張力を吊荷状態で緩める(プリテンションリセットする)と、上記伸縮ブーム3に負荷が掛かってしまい、該伸縮ブーム3の撓みが増加して危険な状態(過負荷)になるという問題がある。
このような問題に対処するために、テンションロープの張力又は実荷重を検出し、検出された張力又は実荷重が所定値以上である場合には、吊荷状態であると判断してプリテンションリセット動作を規制することにより、吊荷状態又はブームの撓みによりテンションロープが緩まない状態において誤ってプリテンションリセット操作がなされたような場合にも、自動的に同リセット動作が規制され、誤ったリセット動作を回避し得るようにしている。
第1の構成
第1の構成は、上記ブーム撓み抑制装置10において、上記テンションロープ14にかかる張力を検出するプリテンション張力検出手段(図6の圧力検出器25がこれに該当する)と、上記テンションロープ14の張力を緩めるプリテンションリセット動作又は上記テンションロープ14の張力を高めるプリテンションセット動作を規制する規制手段(図24のステップS7が該当)とを設け、上記プリテンションシリンダ16を作動させて上記テンションロープ14の張力を緩めるプリテンションリセット作業時又は上記テンションロープ14の張力を高めるプリテンションセット動作時、上記プリテンション張力検出手段によって上記テンションロープ14にかかる張力を検出し(図24のステップS3を参照)、同検出された張力値が所定値以上である場合には吊荷状態であると判断して、上記プリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作を規制する(図24のステップS7参照)ようにしたものである。
係る構成によれば、プリテンションシリンダ16を作動させて、テンションロープ14の張力を緩めるプリテンションリセット作業時又はプリテンションセット作業時において、上記プリテンション張力検出手段により上記テンションロープ14の張力を検出し、該検出された張力値が所定値以上である場合には、吊荷状態であると判断してプリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作を規制する。このため、例えば、吊荷状態又は上記伸縮ブーム3の撓みによりテンションロープ14が緩まない状態において誤ってプリテンションリセット操作がなされたような場合にも、自動的に同リセット動作が規制され、誤ったリセット動作が確実に回避され、プリテンションリセット時の過負荷によるブームの撓みが防止され、作業の安全性が確保される。また、吊荷状態又は上記伸縮ブーム3の撓みによりテンションロープ14が緊張した状態において誤ってプリテンションセット操作がなされたような場合にも、自動的に同セット動作が規制され、誤ったセット動作が確実に回避され、プリテンションセット時の過負荷によるブームの撓みが防止され、作業の安全性が確保される。
第2の構成
第2の構成は、上記ブーム撓み抑制装置10において、ブーム起伏反力又は吊荷張力から実荷重値を演算する実荷重値演算手段(図25のステップS3を参照)と、テンションロープ14の張力を高める上記プリテンションセット動作を規制する規制手段(ステップS7を参照)とを設け、上記プリテンションシリンダ16を作動させて上記テンションロープ14の張力を高めるプリテンションセット作業時又は上記テンションロープ14の張力を緩めるプリテンションリセット作業時、上記実荷重値演算手段によって実荷重値を演算し、同演算された実荷重値が所定値以上である場合(ステップS4を参照)には吊荷状態であると判断して、上記プリテンションセット動作又はプリテンションリセット動作を規制する(ステップS7を参照)ようにしたものである。
係る構成によれば、プリテンションシリンダ16を作動させて、テンションロープ14の張力を高める上記撓み抑制装置10のプリテンションセット作業時又はテンションロープ14の張力を緩める上記撓み抑制装置10のプリテンションリセット作業時において、ブーム起伏反力又は吊荷張力から実荷重値を演算し、該演算された実荷重値が所定値以上である場合には、吊荷状態であると判断してプリテンションセット動作又はプリテンションリセット動作を規制する。このため、例えば吊荷状態又は上記伸縮ブーム3の撓みにより上記テンションロープ14が緊張した状態において誤ってプリテンションセット操作がなされたような場合にも、自動的に同セット動作が規制され、誤ったセット動作が確実に回避され、プリテンションセット時の過負荷によるブームの撓みが防止され、作業の安全性が確保される。また、吊荷状態又は上記伸縮ブーム3の撓みにより上記テンションロープ14が弛んだ状態において誤ってプリテンションリセット操作がなされたような場合にも、自動的に同リセット動作が規制され、誤ったリセット動作が確実に回避され、プリテンションリセット時の過負荷によるブームの撓みが防止され、作業の安全性が確保される。
第3の構成
第3の構成は、上記第1又は第2の構成において、ブーム起伏角度の判定手段を設け、実際のブーム起伏角度が所定の範囲から外れている場合にも、リセット動作又はセット動作を規制するようにしたものである。
係る構成によれば、実際の作業機のブーム起伏角が所定の設定範囲から外れている場合には、ブームの撓み量が増加し、プリテンションリセット又はプリテンションセットが一律、かつ確実に行なえないことになる。
そこで、さらにブーム起伏角度の判定手段を設け、実際のブーム起伏角度が所定の設定範囲から外れている場合にも、同様にプリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作を規制することにより、プリテンションリセット又はプリテンションセットが一律、かつ確実に行なえるようになる。
第4の構成
第4の構成は、上記第1、第2又は第3の構成において、警報手段74を設け、プリテンションリセット動作の規制時には、プリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作の規制に合わせて警報手段74により、プリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作を規制する旨の警報を出力するようにしたものである。
係る構成によれば、上記プリテンションリセット動作又はプリテンションセット動作の規制は、自動的に掛けられるので、規制が掛けられたことをオペレータにも分るようにし、より安心して作業ができる。
II−G:第7の関連構成
上記ブームの撓み抑制装置10では、格納状態から、マスト起伏シリンダ12の駆動によるブーム用マスト11の張出し、テンション部材13の伸縮ブーム3の基端側への接続、テンションウインチ15の駆動によるテンションロープ14の繰り出し、先端ブーム3Cの先端部へのテンションロープ14の接続、伸縮ブーム3の所定量の起伏および伸長、テンションウインチ15のロックを行った後、最終的なプリテンションセット(目標となる適切な規定値への張力セット)を行なって作業をする。
このプリテンションセット作業は、上記テンションウインチ15によりテンションロープ14の張設を行った後に上記プリテンションシリンダ16を所定量縮め、上記テンションロープ14に所望の張力を掛けることにより行われる。
そして、その上で必要な吊荷作用を行ない、同吊荷作業が終了すると、プリテンションシリンダ16を伸ばして、上記プリテンションセット前の張力までテンションロープ14を緩めるプリテンションリセット操作を行って、同装置を上述した元の格納状態に格納するようになっている。
ところが、このようなブーム撓み抑制装置10において、上述のように、一旦プリテンションセット(適切な規定値への張力セット)を行なった後にも、例えばプリテンションシリンダ駆動用の電磁制御弁のバルブ部分へのごみ噛みその他の原因により、セットされたプリテンションシリンダ16の長さが変化する可能性がある。そのような場合、伸縮ブーム3に掛かる張力が変化し(本来の規定値を外れ)、撓み抑制装置が本来の適正な撓み抑制能力を発揮できなくなることから、そのままの状態でクレーン作業をすることは危険である。
このような問題に対処すべく、プリテンションセット後のテンションロープ14の張力の変化を常時監視し、プリテンションセット後、テンションロープ14の張力に変化があった場合には、例えばクレーンの吊り上げ性能を落としたり、危険側への操作を規制することにより、事故を未然に防止する。また、危険な状態であることをオペレータに報知し、適正な規定値へのプリテンションセット操作のやり直しを促すことにより、撓み抑制装置が本来の撓み抑制能力を発揮できない(適切な張力を維持できない)状態でクレーン作業がなされることを回避し、安全な状態に戻した上での作業を可能とするようにしている。その具体的な構成は以下の通りである。
第1の構成
第1の構成は、ブーム付作業機の撓み抑制装置10において、上記プリテンションシリンダ16による張力設定後、上記テンションロープ14にかかる張力の変化を常時監視検出する張力変化監視手段(図22のステップS5、S6が該当)を設け、上記プリテンションシリンダ16により上記テンションロープ14の張力を所定の目標値(図22のフローチャートにおいては、上記テンションロープ14にかかる張力を、予め記憶した下限値、即ち、プリテンションセット完了時点における張力の最小値と比較して張力の変化を判断しており、この下限値が上記「目標値」に対応する)に設定した後(図22のステップS4を参照)、上記張力変化監視手段により検出された張力の変化が下限値以上である場合(図22のステップS6〜S11を参照)には、オペレータに対して危険状態であることを報知し、プリテンションセット操作のやり直しを促す(図22のステップS11〜S14を参照)ようにしたものである。
係る構成によれば、上記ブーム用マスト11の先端部と先端ブーム3Aの先端部または伸縮ブーム3の先端に固定されたジブ基台5との間に張設されたテンションロープ14の張力を、上記プリテンションシリンダ16により上記下限値以上の値に設定後、すなわち、前述のプリテンションセットを行なった後に、例えばプリテンションシリンダ駆動用の電磁制御弁のバルブ部分やテンションウインチ15のドラムロック機構20のロック爪22へのごみ噛みその他の原因により、一旦セットされたテンションロープ14の張力が上記下限値より低下し、撓み抑制装置が本来の適正な撓み抑制能力を発揮できなくなり、そのままの状態でクレーン作業をすることが危険であるような場合には、同危険な状態であることをオペレータに報知し、改めて適正な規定値へのプリテンション再セット操作を促す。つまり、オペレータに適正なプリテンションセット操作のやり直しを促すことにより、事故を未然に防止することができる。また、当該作業機の吊り上げ性能を落としたり、または危険側への操作を規制することにより、事故を未然に防止することもできる。
第2の構成
第2の構成は、ブーム付作業機の撓み抑制装置10において、上記プリテンションシリンダ16による張力設定後、上記テンションロープ14にかかる張力の変化を常時監視検出する張力変化監視手段を設け、上記プリテンションシリンダ16により上記テンションロープ14の張力を所定の目標値に設定した後(図22のステップS4を参照)、上記張力変化監視手段により検出された張力の変化が所定値以上である場合には(図22のステップS6〜S11を参照)、当該作業機の吊り上げ性能を低下させるか又は危険側への操作を規制する(図22のステップS9を参照)ようにしたものである。 尚、図22のフローチャートにおいては、上記テンションロープ14にかかる張力を、予め記憶した下限値と比較して張力の変化を判断しており、この下限値が上記「目標値」に対応するが、ここでいう「下限値」はプリテンションセット完了時点における張力の最小値を示している。
係る構成によれば、上記ブーム用マスト11の先端部と先端ブーム3Aの先端部または伸縮ブーム3の先端に固定されたジブ基台5との間に張設されたテンションロープ14の張力を、上記プリテンションシリンダ16により上記下限値以上の値に設定後、すなわち、前述のプリテンションセットを行なった後に、例えばプリテンションシリンダ駆動用の電磁制御弁のバルブ部分やテンションウインチ15のドラムロック機構のロック爪22へのごみ噛みその他の原因により、一旦セットされたテンションロープ14の張力が上記下限値より低下し、撓み抑制装置が本来の適正な撓み抑制能力を発揮できなくなり、そのままの状態でクレーン作業をすることが危険であるような場合には、同危険な状態であることをオペレータに報知し、改めて適正な規定値へのプリテンション再セット操作を促す。つまり、オペレータに適正なプリテンションセット操作のやり直しを促すことにより、事故を未然に防止することができる。また、当該作業機の吊り上げ性能を落としたり、または危険側への操作を規制することにより、事故を未然に防止することもできる。
第3の構成
第3の構成は、上記第1又は第2の構成において、張力変化監視手段は、テンションロープ14の張力の変化を上記プリテンションシリンダ16の伸縮長さの変化により検出して監視するようにしたものである。尚、上記プリテンションシリンダ16の伸縮長さの変化は、例えば、図6に示すストローク検出器26によって、常時監視される。
係る構成によれば、プリテンションセット時のテンションロープ14の張力は、種々の手段により調節設定することができるが、中でもプリテンションシリンダ16は、電磁制御弁の弁開閉量の調節により、応答性良く伸縮量を可変制御することができる。したがって、該プリテンションシリンダ16のプリテンションセット完了時の作動ロッド側伸縮量を予じめ所定の記憶手段(図23のステップS5が該当)に記憶させておき、以後のプリテンションセット状態において当該プリテンションシリンダ16の長さを常に監視し(図23のステップS6を参照)、もし記憶値に対して実際の長さが長くなる側に変化した場合、張力が緩んで危険であるため、該プリテンションシリンダ16の長さが変化したことおよびプリテンションリセット操作を再操作する必要があることを、所定の報知手段(図23のステップS12 を参照)でオペレータに報知し、再セットを促すか、または撓み抑制装置未装着時の小さい吊り上げ性能に落とし(図23のステップS13、S9を参照)、または危険側への操作を規制することにより、適切な張力が掛からず、撓み抑制装置10が本来の適正な能力を発揮できない危険な状態でクレーン作業することを回避することができる。
一方、これとは逆に、プリテンションシリンダ16が短かくなる側に変化した場合、例えば伸縮ブーム3に過大な張力が掛かって機械を損傷する恐れがある。そこで、このときはブーム伸長、起伏下げ、吊り荷の巻上げなど、危険側へのクレーン操作を禁止するか、または撓み抑制装置未装着時の小さい吊り上げ性能に落とす。また、シリンダ長さが長くなる側に変化した場合と同様に、危険な状態であることおよびプリテンション再セット操作すべき旨をオペレータに報知し、プリテンション再セット操作を促すことができる。また、当該作業機の吊り上げ性能を落としたり、または危険側への操作を規制することにより、事故を未然に防止することもできる。
第4の構成
第4の構成は、上記第1又は第2の構成において、テンションロープ14の張力の変化を示すパラメータがテンションロープ14の張力値そのものであり、張力監視手段は、テンションロープ14の張力を直接検出することによって張力の変化を監視するようにしたものである、
係る構成によれば、張力可変手段は種々の手段の採用が可能であり、例えばテンションウインチ15の駆動によりプリテンションセットすることも可能である。
そして、そのようにした場合にも、上述のプリテンションシリンダ16の場合と同様に、例えばウインチドラムロック機構20のロック爪22にゴミ噛みが生じるなど、何らかの事情でテンションロープに緩みが生じるということが考えられる。
そこで、このような場合には、上記プリテンションシリンダ16の長さの検出に代えてテンションロープ14の張力値そのものの直接的な検出により同様の制御を行う。この場合、同テンションロープの張力値の直接的な検出は、例えば上記テンションロープのロープエンドにロードセルを介設することなどにより、容易に実現することができる。