JP2020107677A - シリコンウェーハのバッチ式洗浄方法並びにその洗浄方法を用いたシリコンウェーハの製造方法及びシリコンウェーハの洗浄条件決定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記シリコンウェーハを純水洗浄する第1工程と、
該第1工程後の前記シリコンウェーハを希フッ酸洗浄し、前記シリコンウェーハ表面の自然酸化膜を薄化する第2工程と、
前記第2工程後の前記シリコンウェーハを高温純水洗浄し、乾燥させる第3工程と、を含み、
前記シリコンウェーハは導電型がn型であり、かつ、抵抗率が1mΩ・cm以下であり、
前記ウェーハ支持部材に収納される前記シリコンウェーハの互いの間隔を10mm以上で配設し、
前記第2工程において、前記乾燥させた後の前記シリコンウェーハのヘイズレベルが0.06ppm以下となるように前記フッ酸洗浄を行うことを特徴とするシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法。
前記洗浄されたシリコンウェーハをドライケミカル平坦化加工する平坦化工程と、
を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
前記評価工程において評価された前記導電型及び抵抗率、並びにヘイズレベルに基づき上記(1)又は(2)に記載のシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法の適用要否を判断する判断工程と、
を含むことを特徴とするシリコンウェーハの洗浄条件決定方法。
本発明に一実施形態に従うシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法は、ウェーハ支持部材50に収納された複数枚のシリコンウェーハ10を同時に洗浄するものである。本洗浄方法は、シリコンウェーハ10を純水洗浄する第1工程と、第1工程後のシリコンウェーハ10を希フッ酸洗浄し、シリコンウェーハ10の表面の自然酸化膜を薄化する第2工程と、第2工程後のシリコンウェーハ10を高温純水洗浄し、乾燥させる第3工程と、を含む。そして、シリコンウェーハ10は導電型がn型であり、かつ、抵抗率が1mΩ・cm以下である。ここで、本洗浄方法では、ウェーハ支持部材50に収納されるシリコンウェーハ10の互いの間隔Gを10mm以上で配設し、されに、第2工程において、乾燥させた後のシリコンウェーハ10のヘイズレベルが0.06ppm以下となるようにフッ酸洗浄を行う。以下、各構成及び工程の詳細を順次説明する。
本洗浄方法に適用するシリコンウェーハ10は、導電型がn型であり、かつ、抵抗率が1mΩ・cm以下である。こうしたシリコンウェーハ10は、n型ドーパントを添加しつつ、チョクラルスキ法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットから得ることができる。n型ドーパントの種類は任意であり、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)のいずれでもよい。なお、抵抗率の測定値はJIS H 0602:1995に従うものとする。シリコンウェーハ10の酸素濃度は任意であり、炭素又は窒素などがシリコンウェーハ10に添加されていてもよい。また、ウェーハの直径及び厚みも任意である。なお、シリコンウェーハ10の抵抗率の下限は特に制限されないが、例えば10μΩ・cmとすることができる。
本洗浄方法では、複数のシリコンウェーハ10をウェーハ支持部材50に設置し、次いで複数のシリコンウェーハ10の洗浄を行うバッチ式洗浄を行うものである。このようなウェーハ支持部材50としては、例えば洗浄槽内に設置される形式の支持部材が知られている。また、複数のシリコンウェーハ10をウェーハカセットに収納した状態で洗浄槽に搬送し、ウェーハカセットにシリコンウェーハ10を収容したまま洗浄を行う場合には、当該ウェーハカセットをウェーハ支持部材50として使用することができる。ウェーハ直径が200mmの場合、最大25枚収容できるウェーハ支持部材が一般的である。図7に例示するように、洗浄槽内において、シリコンウェーハ10を1枚ずつ、所定の間隔Gを空けてウェーハ支持部材50に配設する。こうした収容状態でシリコンウェーハ10は洗浄槽内で浸漬され、シリコンウェーハ10がバッチ式洗浄される。技術的意義の詳細については後述するものの、本洗浄方法では上記所定の間隔Gを10mm以上とする。このように間隔Gを空けてシリコンウェーハ10をウェーハ支持部材に配設するためには、ウェーハ支持部材50のスロット(溝)に全てシリコンウェーハ10を配設せずに、1スロット空けて配設するなどしてもよいし、所望の間隔Gとなるようにスロット(溝)を設けたウェーハ支持部材50を用いるなどしてもよい。
第1工程では、まずシリコンウェーハ10を純水洗浄する。ウェーハ支持部材50に収容された状態でシリコンウェーハ10を純水槽内にて所定時間浸漬し、所望に応じて純水を撹拌するなどすればよい。この純水洗浄は、後続の第2工程における希フッ酸洗浄に先立ち行われる、いわゆるリンス処理である。脱イオン水(deionized water)を純水として用いることが一般的であり、洗浄時間は任意である。
第1工程に引き続き、第2工程では第1工程により純水洗浄された後のシリコンウェーハ10を希フッ酸洗浄する。希フッ酸洗浄により、シリコンウェーハ10の表面に設けられている自然酸化膜がエッチングされる。ただし、本第2工程による希フッ酸洗浄では自然酸化膜を薄化するに留め、自然酸化膜を完全に除去しない。これは、自然酸化膜を完全に除去してしまうと、シリコンウェーハ表面が完全な撥水面となり、パーティクル等の不純物が付着しやすくなるためである。また、希フッ酸洗浄によりシリコンウェーハ10の表面粗さが次第に悪化するところ、本工程ではヘイズレベルが0.06ppm以下となるよう、希フッ酸洗浄を行う。なお、本工程による希フッ酸洗浄を行うために、希フッ酸の洗浄槽を複数用いて洗浄を行ってもよい。また、希フッ酸の洗浄槽には、希フッ酸以外に希シュウ酸などの酸が希フッ酸よりも低濃度(質量%濃度)であれば含まれていてもよい。
自然酸化膜が残る限りは、本工程による自然酸化膜の膜厚は制限されない。本洗浄方法の後にDCP法による平坦化加工が行われる場合には、自然酸化膜の膜厚を0.3nm〜0.7nmとすることが好ましい。なお、本明細書における自然酸化膜の膜厚はX線光電子分光(XPS)法の測定値によるものとする。自然酸化膜を残しつつ、ヘイズレベルを0.06ppm以下とできる限りは、自然酸化膜の除去量は何ら制限されるものではないものの、例えば自然酸化膜の除去量を0.05nm以上、好ましくは0.10nmとすれば、第2工程による洗浄は十分に行われていると言える。自然酸化膜の除去量は、第1工程前の自然酸化膜の膜厚に応じて適宜定めればよいが、例えば5nm以下とすればよい。
「ヘイズレベル」とはシリコンウェーハなどの半導体ウェーハの表面粗さの指標である。ヘイズレベルは、シリコンウェーハ表面に照射した光(主にレーザ光)の表面散乱光を測定したときの入射光に対する全散乱光の割合(ppm)として求められ、任意の手法により測定することができる。一般的に、表面粗さが大きいほどヘイズレベルは高くなる。本明細書においては、表面欠陥検査装置(レーザー面検器とも呼ばれる)であるKLA−Tencor社製Surfscan SP−1を用い、DWNモード(Dark Field Wide Normalモード:暗視野・ワイド・垂直入射モード)でシリコンウェーハ表面を観察し、得られたヘイズ値の平均値をヘイズレベルとして評価する。なお、ヘイズレベルは乾燥後(すなわち第3工程後)の状態で測定した値を採用する。
第2工程の後、第3工程では第2工程により希フッ酸洗浄された後のシリコンウェーハ10を高温純水洗浄し、乾燥させる。高温純水槽からシリコンウェーハ10を引き上げた後、赤外線などを放射して乾燥を促進してもよい。なお、高温純水洗浄に先立ち、常温で純水洗浄してもよいし、常温又は高温の純水槽による洗浄を本工程の高温純水洗浄に先立ち、さらに行ってもよい。
本発明の一実施形態によるシリコンウェーハの製造方法は、上述したシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法により、シリコンウェーハ10を洗浄する洗浄工程と、洗浄されたシリコンウェーハ10をドライケミカル平坦化加工する平坦化工程と、を含む。本製造方法により、抵抗率が1m・Ωcm以下のn型低抵抗シリコンウェーハをDCP法により平坦化加工しても、洗浄後のウォーターマーク欠陥群に起因する凸状の段差欠陥の形成を抑制することが可能となる。
また、本発明の一実施形態によるシリコンウェーハの洗浄条件決定方法は、洗浄前のシリコンウェーハ10の導電型及び抵抗率、並びにヘイズレベルを評価する評価工程と、当該評価工程において評価されたシリコンウェーハ10の導電型及び抵抗率、並びにヘイズレベルに基づき前述の実施形態に従うシリコンウェーハ10のバッチ式洗浄方法の適用要否を判断する判断工程と、を含む。
<<試験条件1>>
n型(リンドープ)で抵抗率が0.8〜0.9mΩ・cmである直径200mm(厚み:740±15μm)のシリコンウェーハを多数用意した。25枚収納可能なウェーハ支持部材(スロット数25、スロット間隔6.35mm)に、下記表1の配列に従いシリコンウェーハを配設した。合計7枚のシリコンウェーハの配列を維持して、SC−1洗浄、オゾン水洗浄、希フッ酸洗浄、純水洗浄を含む洗浄を行い、乾燥させた。なお、希フッ酸の濃度は1〜2wt%とした。
試験条件1による乾燥までは試験条件1と同様に洗浄及び乾燥を行い、さらに洗浄を行い、最終的に純水洗浄(第1工程相当)、希フッ酸洗浄(第2工程相当)並びに純水洗浄、高温純水洗浄及び赤外線乾燥(第3工程相当)まで行った。第2工程相当の希フッ酸洗浄による洗浄時間を240秒とした。
試験条件2と同様にして最終的に純水洗浄(第1工程相当)、希フッ酸洗浄(第2工程相当)並びに純水洗浄、高温純水洗浄及び赤外線乾燥(第3工程相当)まで行った。なお、第2工程相当の希フッ酸洗浄による洗浄時間を240秒に変えて480秒とした。
試験条件2と同様にして最終的に純水洗浄(第1工程相当)、希フッ酸洗浄(第2工程相当)並びに純水洗浄、高温純水洗浄及び赤外線乾燥(第3工程相当)まで行った。なお、第2工程相当の希フッ酸洗浄による洗浄時間を240秒に変えて720秒とした。
試験条件2と同様にして最終的に純水洗浄(第1工程相当)、希フッ酸洗浄(第2工程相当)並びに純水洗浄、高温純水洗浄及び赤外線乾燥(第3工程相当)まで行った。なお、第2工程相当の希フッ酸洗浄による洗浄時間を240秒に変えて960秒とした。
抵抗率が3〜5Ω・cmのn型シリコンウェーハを多数用意し、表1の配列に従いシリコンウェーハをウェーハ支持部材に配設した。そして、上記試験条件1〜5と同様にして洗浄を行った。
<評価1;自然酸化膜の膜厚>
実験1、2の試験条件1〜5により洗浄したシリコンウェーハに対して、最終乾燥後の状態での自然酸化膜の膜厚(鏡面側)をXPS法に従い測定した。結果を表2に示す。なお、試験条件4,5では最終の希フッ酸洗浄の洗浄時間が長いため、自然酸化膜は全てエッチングにより除去された。
さらに、実験1、2の試験条件1〜5により洗浄したシリコンウェーハに対して、最終乾燥後の状態でレーザー面検器(KLA−Tencor社製SP−1)を用いてウェーハ表面(鏡面側)のLPDマップを取得し、併せてヘイズレベルを測定した。LPDマップの測定結果の代表例を試験条件ごとに図9の図表に示す。ただし、図9における実験1の試験条件2のLPDマップは、線状のウォーターマーク欠陥群が形成されたものであり(スロットNo.1)、その他のスロットに配設したシリコンウェーハからは、線状のウォーターマーク欠陥群が確認されなかった。また、実験1及び実験2のヘイズレベルの測定結果を図10A、図10Bにそれぞれ示す。
表2、図9及び図10A、図10Bより、以下の実験事実が確認された。まず、実験2のように、通常レベルの抵抗率のn型ウェーハであれば、洗浄条件に依らずに線状のウォーターマーク欠陥群が形成されることはない。線状のウォーターマーク欠陥群の形成はn型の低抵抗シリコンウェーハに特有の現象であることが確認された。低抵抗の場合に特有である理由は、低抵抗シリコンウェーハはn型ドーパントの濃度が高いため、シリコンウェーハ面内でのミクロレベルの濃淡がエッチングレートに影響を及ぼすからだと推測される。
11 活性層
20 リフター
30 クランプアーム
50 ウェーハ支持部材
80 絶縁膜
90 支持基板
100 SOIウェーハ
G 間隔
P パーティクル
WM1,WM2,WM3 ウォーターマーク欠陥群
Claims (4)
- ウェーハ支持部材に収納された複数枚のシリコンウェーハを同時に洗浄するシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法であって、
前記シリコンウェーハを純水洗浄する第1工程と、
該第1工程後の前記シリコンウェーハを希フッ酸洗浄し、前記シリコンウェーハ表面の自然酸化膜を薄化する第2工程と、
前記第2工程後の前記シリコンウェーハを高温純水洗浄し、乾燥させる第3工程と、を含み、
前記シリコンウェーハは導電型がn型であり、かつ、抵抗率が1mΩ・cm以下であり、
前記ウェーハ支持部材に収納される前記シリコンウェーハの互いの間隔を10mm以上で配設し、
前記第2工程において、前記乾燥させた後の前記シリコンウェーハのヘイズレベルが0.06ppm以下となるように前記フッ酸洗浄を行うことを特徴とするシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法。 - 前記第2工程において薄化した後の前記自然酸化膜の膜厚が0.3nm以上0.7nm以下である、請求項1に記載のシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法。
- 請求項1又は2に記載のシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法により、前記シリコンウェーハを洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄されたシリコンウェーハをドライケミカル平坦化加工する平坦化工程と、
を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。 - 洗浄前のシリコンウェーハの導電型及び抵抗率、並びにヘイズレベルを評価する評価工程と、
前記評価工程において評価された前記導電型及び抵抗率、並びにヘイズレベルに基づき請求項1又は2に記載のシリコンウェーハのバッチ式洗浄方法の適用要否を判断する判断工程と、
を含むことを特徴とするシリコンウェーハの洗浄条件決定方法。
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