JP2020104523A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】切り欠き加工されている積層体において、切り欠け部を有する端辺から剥離フィルムを剥離し始めたときに、剥離フィルムの剥離不良が生じない積層体を提供することである。【解決手段】偏光板の一方の面に表面保護フィルムが積層され、前記偏光板のもう一方の面に剥離フィルムが積層され、前記偏光板は偏光子を含む、積層体であって、当該積層体は、平面視において切り欠け部を有し、前記切り欠け部を有する端辺から前記剥離フィルムを剥離したときに、剥離力の最大値が1.0N以下である積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。
偏光板は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の画像表示装置、とりわけ近年ではスマートフォン等の各種モバイル機器に広く用いられている。偏光板としては従来、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子の片面又は両面に保護フィルムを貼合してなるものが使用されている。
偏光板は、その表面の汚れや傷付きを防止するための剥離可能な表面保護フィルム(プロテクトフィルムとも呼ばれる。)および剥離フィルム(セパレートフィルムとも呼ばれる。)を表面に貼着した積層体として市場流通されるのが一般的である。
偏光板を液晶セルや有機EL素子のような表示素子に貼合する際には、その表面に貼合された剥離フィルムを剥がし、露出した粘着剤層を介して、偏光板を表示素子に貼合する。
剥離フィルムを剥離するときには、積層体(偏光板の一方の面に表面保護フィルムが積層され、もう一方の面に剥離フィルムが積層されたフィルム)の表面保護フィルム側を吸引・吸着等の方法により保持台に固定し、剥離テープを剥離フィルム上に貼合する。その後、剥離テープを引っ張って剥離フィルムを偏光板表面から除去する。
画像表示装置のデザインに合わせて、積層体はしばしば矩形状以外の形状に加工される。
具体的には、積層体は、面内に穴あけ加工されたり、角部を平面視においてR加工されたり、平面視において切り欠き加工されたりする。特に積層体が平面視において切り欠き加工されている場合において、切り欠け部を有する端辺から剥離フィルムを剥離し始めると、剥離先端が切り欠け部に差し掛かったときに、剥離フィルムが剥離できないという問題があった。剥離フィルムの動きに追随し、固定していた偏光板および表面保護フィルムが保持台から浮き上がって、偏光板および表面保護フィルムの固定が解かれ、容易に剥離フィルムの剥離が行えなくなってしまうのである。
この問題は、積層体を固定するときの吸引する力や吸着する力等の力を大きくしたり、剥離フィルムの粘着力を小さくしたりすれば解決することができるが、一方で新たな問題が発生してしまう。すなわち、吸引する力や吸着する力などの積層体に作用する力が大きくなると、偏光板に跡が残り外観が悪化する。また、剥離フィルムの粘着力を小さくすると、搬送等で積層体に衝撃が加わったときに、剥離フィルムと偏光板との間に隙間ができてしまう。
WO2018/016285A1
本発明の目的は、剥離フィルムの剥離不良が生じない積層体を提供することである。
[1] 偏光板の一方の面に表面保護フィルムが積層され、
前記偏光板のもう一方の面に剥離フィルムが積層され、
前記偏光板は偏光子を含む、積層体であって、
当該積層体は、平面視において切り欠け部を有し、
前記切り欠け部を有する端辺から前記剥離フィルムを剥離したときに、剥離力の最大値が1.0N以下である積層体。
[2] 前記切り欠け部の形状は、下記式(1)を満たす[1]に記載の積層体。
r>3d−14 (1)
〔式(1)において、d(mm)は前記切り欠け部の深さを表し、r(mm)は前記切り欠け部における内側の角部の曲率半径を表す。〕
[3] 前記偏光板は、前記剥離フィルム側の表面に粘着剤層を備え、
前記剥離フィルムと前記粘着剤層との間の密着力が0.02N/25mm以上0.10N/25mm以下である[1]または[2に記載の積層体。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載された積層体における、切り欠け部を有する端辺の一端の角部にテープを貼り付ける貼付工程と、
前記テープを引き起こして、積層体から剥離フィルムを剥離する剥離工程を備え、
前記剥離工程において、テープの剥離方向と、切り欠け部を有する端辺に直交する端辺とのなす角度が25°以上65°以下である表面保護フィルム付き偏光板の製造方法。
本発明によれば、剥離フィルムの剥離不良が生じない積層体を提供することができる。
本発明の積層体が有する層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の積層体が有する層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の積層体が有する切り欠け部の一例を示す概略上面図である。 本発明の積層体が有する切り欠け部の一例を示す概略上面図である。 積層体から剥離フィルムを剥離する方法の一例を示す概略上面図である。
<積層体>
積層体は、偏光板の一方の面に表面保護フィルムが積層され、偏光板のもう一方の面に剥離フィルムが積層されている。偏光板は、偏光子を少なくとも有する。以下、図を参照して、本発明の積層体の層構成の一例を説明する。偏光板は、偏光子に加えて、保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、粘着剤層等を備えていてもよい。
図1は、本発明の積層体の一例を示す概略断面図である。図1(a)に示す積層体100は、偏光板10、偏光板10の一方の面に積層された表面保護フィルム30、および偏光板10のもう一方の面に積層された剥離フィルム20から構成される。偏光板10は、偏光子11の一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム12が積層され、もう一方の面に接着層16を介して位相差フィルム14が積層され、位相差フィルム14上に粘着剤層15が積層された層構成である。
図1(b)に示す積層体101は、偏光板10、偏光板10の一方の面に積層された表面保護フィルム30、および偏光板10のもう一方の面に積層された剥離フィルム20から構成される。偏光板10は、偏光子11の一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム12が積層され、もう一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム13が積層され、保護フィルム13上に接着層16を介して位相差フィルム14が積層され、位相差フィルム14上に粘着剤層15が積層された層構成である。
図2(a)に示す積層体102は、偏光板10、偏光板10の一方の面に積層された表面保護フィルム30、および偏光板10のもう一方の面に積層された剥離フィルム20から構成される。偏光板10は、偏光子11の一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム13が積層され、もう一方の面に接着層16を介して輝度向上フィルム17が積層され、保護フィルム13上に、粘着剤層15が積層された層構成である。
図2(b)に示す積層体103は、偏光板10、偏光板10の一方の面に積層された表面保護フィルム30、および偏光板10のもう一方の面に積層された剥離フィルム20から構成される。偏光板10は、偏光子11の一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム12が積層され、もう一方の面に不図示の接着剤層を介して保護フィルム13が積層され、保護フィルム12上に、接着層16を介して輝度向上フィルム17が積層され、保護フィルム13上に、粘着剤層15が積層された層構成である。
積層体100〜103において、表面保護フィルム30および剥離フィルム20は、それぞれ積層体の最表面を構成する部材であることが好ましい。積層体100〜103、偏光板10、剥離フィルム20、および表面保護フィルム30は、図示した層以外の層を有していてもよい。
積層体は、主面が実質的に矩形状であることが好ましい。主面とは表示面に対応する最も広い面積を有する面を意味する。実質的に矩形状であるとは、積層体が、主面の4つの隅(角部)のうち少なくとも1つの角部が鈍角となるように切除された形状や丸みを設けた形状であったり、主面に垂直な端面の一部が面内方向に窪んだ凹み部(切り欠け部)を有したり、主面内の一部が、円形、楕円形、多角形及びそれらの組合せ等の形状にくり抜かれた穴あき部を有したりしてもよいことをいう。
積層体は、平面視において、少なくとも一つの端面に、切り欠け部を有する。切り欠け部とは、上記のとおり、平面視において、主面に垂直な端面の一部が面内方向に窪んだ部分のことをいう。積層体は、1つまたは複数の切り欠け部を有していてもよい。積層体は、1つの端辺に複数の切り欠け部を有していてもよいが、1つの端辺に1つの切り欠け部を有することが好ましい。切り欠け部は、偏光子の吸収軸に対して垂直または平行な端辺に形成されることができる。積層体は、平面視において端面に切り欠け部を有するので、積層体を上面から見た場合には、端部が面内に向けて窪んだ形状となっている。
本発明の積層体は、切り欠け部を有する端辺から前記剥離フィルムを剥離したときに、剥離力の最大値が1.0N以下である。剥離力の最大値は、0.8N以下であることが好ましい。剥離力の最大値は、0.1N以上であることができる。剥離力の最大値は、後述のとおり、切り欠け部の形状などにより制御される。剥離力の最大値は、後述の実施例に記載された方法で測定することができる。このような剥離力とすることで、剥離不良が生じにくい。
本発明の積層体が備える切り欠け部の形状は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
積層体が複数の切り欠け部を有する場合は、少なくとも1つの切り欠け部が式(1)を満たせばよく、全ての切り欠け部が式(1)を満たしてもよい。切り欠け部の形状が、上記式(1)を満たすことにより、剥離フィルムを剥離するときに要する力を小さくすることができる。
r>3d−14 (1)
〔式(1)において、d(mm)は前記切り欠け部の深さを表し、r(mm)は前記切り欠け部における内側の角部の曲率半径を表す。〕
図3には、本発明の積層体の一例104を上面から見た概略図を示す。この積層体104は、上面から見た平面視において、切り欠け部40を有する。切り欠け部40は端部から面内に向けて凹んだ形状となっている。切り欠け部の深さは、図3における両矢印dの長さに相当し、端辺から凹み部の最深部までの距離のことをいう。切り欠け部における内側の角部の曲率半径は、図3における片矢印Rで示した角部の曲率半径に相当する。2つの内側の角部の曲率半径が異なる場合、rは小さい方の曲率半径を表す。2つの内側の角部の曲率半径は、互いに同じであることが好ましい。
rおよびdは、いずれも0より大きい値である。特に限定されないが、rの上限値は17mmであることができる。特に限定されないが、dの上限値は、20mmであることができる。dは、10mm以下であってもよいし、7mm以下であってもよい。
dが2mm超5mm以下のとき、rは2mm以上であることが好ましい。dが5mm超6mm以下のとき、rは8mm以上であることが好ましい。dが6mm超8mm以下のとき、rは13mm以上であることが好ましい。dが8mm超のとき、rは17mm以上であることが好ましい。
切り欠け部の幅は、5mm以上50mm以下とすることができ、5mm以上20mm以下であることが好ましい。切り欠け部の幅とは、端辺に平行な長さであって、切り欠け部の最も長い距離のことを言う。
切り欠け部の形状は、具体的に図4に示す形状であることができる。図4は、本発明の積層体における切欠け部40の例を平面視で示す概略図であり、切り欠け部40は、上面から見た平面視で、図4(a)に示すような、矩形状の凹み部における内側の2つの角部に丸みを設けた形状、図4(b)に示すような、矩形状の凹み部における4つの角部に丸みを設けた形状であることができる。また、切り欠け部は、図4(c)に示すように、台形形状の凹み部の角部に丸みを設けた形状であることもできる。図4(a)〜(c)に示すように、切り欠け部は、底部に直線部分を有していてもよいし、図4(d)に示すように、切り欠け部は、底部に直線部分を有さなくてもよい。
積層体は、積層体を構成する各部材をそれぞれ搬送しながらロール・トゥ・ロールで長尺状の積層体を製造し、これを裁断することによって得てもよいし、所定形状の各部材をそれぞれ準備し、順次積層することによって得てもよい。
積層体が長辺と短辺とを有する矩形状(もしくは実質的に矩形状)である場合、長辺の長さは35〜5cmであることが好ましく、25〜10cmであることがより好ましく、短辺の長さは25〜5cmであることが好ましく、20〜6cmであることがより好ましい。このような範囲の大きさとすることで、より剥離性を向上させることができる。
以下、積層体が有する各部材について説明をする。
<偏光板>
偏光板10は、少なくとも偏光子を含む偏光素子であり、通常はその片面又は両面に貼合される熱可塑性樹脂フィルムをさらに含む。熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子を保護する保護フィルム、光学機能を有する他のフィルム等であることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、その表面に積層される樹脂層(例えばハードコート層、帯電防止層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、防汚層等から選択される少なくとも一種の光学層)を備えていてもよい。熱可塑性樹脂フィルムは、接着剤層を介して偏光子に貼合することができる。表面保護フィルム30は、この樹脂層の表面に積層されてもよい。
積層体が、さらに輝度向上フィルムや位相差フィルムを含む場合に、本発明の効果は顕著である。輝度向上フィルム等を含む偏光板は、その剛性が低く、剥離不良が生じやすい。
本発明によれば、積層体が輝度向上フィルム等を含む場合であっても、剥離不良の発生を低減できる。
偏光板の厚み(μm)は、通常150μm以下であり、剛性の低い75μm以下、さらには70μm以下の場合に、本発明の効果は顕著である。偏光板10の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。
(1)偏光子
偏光板10を構成する偏光子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であり、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子を好適に用いることができる。偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;及び、架橋液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を含む。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は通常、85〜100mol%であり、98mol%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は通常、1000〜10000であり、1500〜5000が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子(偏光子)の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に制限されないが、偏光子の厚みを15μm以下とするためには、5〜35μmのものを用いることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、架橋処理の前又は架橋処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤や水を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常、3〜8倍である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、該フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素による染色後の架橋処理としては通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。
偏光子の厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることがより好ましい。とりわけ偏光子の厚みを15μm以下とすることは、積層体の薄膜化に有利である。偏光子の厚みは、通常2μm以上であり、偏光板にコシを持たせるという観点からは、3μm以上であることが好ましい。
偏光子としては、例えば特開2016−170368号公報に記載されるように、液晶化合物が重合した硬化膜中に、二色性色素が配向したものを使用してもよい。二色性色素としては、波長380〜800nmの範囲内に吸収を有するものを用いることができ、有機染料を用いることが好ましい。二色性色素として、例えば、アゾ化合物が挙げられる。
液晶化合物は、配向したまま重合することができる液晶化合物であり、分子内に重合性基を有することができる。
(2)保護フィルム
偏光子の片面又は両面に積層することができる保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、下記セルロースエステル系樹脂を除く、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックである。
保護フィルムの位相差値を、液晶表示装置等の画像表示装置に好適な値に制御することも有用である。例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置においては、保護フィルムとして実質的に位相差値がゼロのフィルムを用いることが好ましい。
実質的に位相差値がゼロとは、波長590nmにおける面内位相差値R0が10nm以下であり、波長590nmにおける厚み方向位相差値Rthの絶対値が10nm以下であり、波長480〜750nmにおける厚み方向位相差値Rthの絶対値が15nm以下であることをいう。
例えば液晶表示装置のモードによっては、保護フィルムに延伸及び/又は収縮加工等を行い、好適な位相差値を付与してもよい。例えば、視野角補償を目的として、保護フィルムとして単層又は多層構造の位相差層(又はフィルム)を用いることができる。この場合、偏光板10は、偏光子と位相差層との積層構造を含む楕円偏光板若しくは円偏光板、又は位相差層を含む視野角補償機能を兼ね備えた偏光板等であることができる。
保護フィルムの厚みは通常1〜100μmであるが、強度や取扱性等の観点から5〜60μmであることが好ましく、10〜55μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましい。
偏光子の両面に保護フィルムが貼合される場合においてこれらの保護フィルムは、同種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよいし、異種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。
また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、同じ位相差特性を有していてもよいし、異なる位相差特性を有していてもよい。
上述のように、保護フィルムの少なくともいずれか一方は、その外面(偏光子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。
表面保護フィルムと偏光板との間への気泡の混入を抑制する観点から、偏光板10における表面保護フィルム30側の表面(表面保護フィルム30が貼合される表面であり、表面処理層であってもよい。)は、JIS B 0601:2013に準拠する算術平均粗さRaが小さいことが好ましい。具体的には、上記表面のRaは、好ましくは0.3μm以下であり、より好ましくは0.2μm以下であり、さらに好ましくは0.15μm以下である。上記表面のRaは、通常0.001μm以上、例えば0.005μm以上である。
保護フィルムは、例えば接着剤層を介して偏光子に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、偏光子と保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20〜45℃の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
偏光子と保護フィルムとを貼合するにあたっては、接着性を高めるために、これらの少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。
偏光子の両面に保護フィルムが貼合される場合においてこれらの保護フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし異種の接着剤であってもよい。
(3)他のフィルム
偏光板10は、偏光子及び保護フィルム以外の他のフィルムを含むことができ、その代表例は輝度向上フィルム及び位相差フィルムである。偏光板10が他のフィルムを含む場合、表面保護フィルム30は、このフィルムの表面、又はこのフィルム上に積層される表面処理層の表面に積層されてもよい。
輝度向上フィルムは、反射型偏光子とも呼ばれるものであり、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光又は散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。輝度向上フィルムを偏光子上に配置することにより、反射偏光又は散乱偏光である再帰光を利用して、偏光子から出射される直線偏光の出射効率を向上させることができる。輝度向上フィルムは、粘着剤層を介して偏光子上に積層することができる。
偏光子と輝度向上フィルムとの間に保護フィルムのような他のフィルムが介在していてもよい。
輝度向上フィルムは、例えば異方性反射偏光子であることができる。異方性反射偏光子の一例は、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜であり、その具体例は3M社製の「APF」である。異方性反射偏光子の他の一例は、コレステリック液晶層とλ/4板との複合体であり、その具体例は日東電工株式会社製の「PCF」である。異方性反射偏光子のさらに他の一例は、反射グリッド偏光子であり、その具体例は金属に微細加工を施して可視光領域でも反射偏光を出射するような金属格子反射偏光子、金属微粒子を高分子マトリックス中に添加して延伸したフィルムである。
上述のように、輝度向上フィルムの外面に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、位相差層(1/4波長の位相差値を持つ位相差層等)、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を設けてもよい。かかる層の形成により、バックライトテープとの密着性や表示画像の均一性を向上させ得る。輝度向上フィルム50の厚みは、通常10〜100μmであるが、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
位相差フィルムとしては、1/4波長(λ/4)板、1/2波長(λ/2)板などのポジティブAプレート、およびポジティブCプレート等が挙げられる。λ/4板は、その波長550nmにおける面内の位相差値Re(550)が、100nm≦Re(550)≦200nmの関係を満足する層である。λ/4板は、Re(450)<Re(550)<Re(650)を満たす逆波長分散性を示してもよい。λ/2板は、Re(550)が、210nm≦Re(550)≦300nmの満足する層である。ポジティブCプレートは、Nz>Nx≧Nyの関係を満足し、その波長λnmにおける厚み方向の位相差値Rth(λ)が、−300nm≦Rth(550)≦−20nmの関係を満足することが好ましい。
位相差フィルムは、例えば上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂から形成することができ、中でも環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂が好ましい。位相差層は、単層から形成されてもよいし、複数の層から形成されてもよい。複数の層を有する位相差層としては、例えば上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルム(基材フィルム)、及び液晶化合物が重合した液晶化合物が硬化した層を含むもの、複数(例えば2層)の液晶化合物が硬化した層を含むものであってもよい。位相差を有する層は、樹脂フィルム及び/又は液晶化合物が硬化した層であることができる。樹脂フィルムは上記保護フィルムの役割を兼ねることができる。
位相差フィルムは、1種類の位相差層からなってもよいし、複数種の位相差層からなってもよい。位相差フィルムが複数の位相差層からなる場合、1/4波長板と1/2波長板との組合せ、1/4波長板とポジティブCプレートとの組合せが好ましい。
位相差フィルムは、液晶化合物が硬化した層を含むことが好ましく、位相差フィルムが複数の位相差層からなる場合、いずれの位相差層も液晶化合物が硬化した層を含んでいてもよい。液晶化合物の種類については、特に限定されないものの、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男著、2頁、岩波書店、1992)。本実施形態では、何れの液晶化合物を用いることもできる。さらに、2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、又は、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1、又は、特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]、又は、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
位相差層は、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。これにより、光学特性の温度変化や湿度変化を小さくすることができる。
液晶化合物は、2種類以上の混合物であってもよい。その場合、少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。すなわち、位相差層は、重合性基を有する棒状液晶化合物又は重合性基を有する円盤状液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物に含まれる重合性基の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。より具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基の両者を包含する概念である。
位相差層の形成方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が挙げられる。例えば、所定の基板(仮基板を含む)に、重合性基を有する液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(以下、単に「組成物」という。)を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜に対して硬化処理(紫外線の照射(光照射処理)又は加熱処理)を施すことにより、位相差層を製造できる。製造した位相差層は、例えば偏光子上または保護フィルム上に転写することができる。
組成物の塗布としては、公知の方法、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法により実施できる。
組成物には、上述した液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。例えば、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
また、組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。具体的な重合性モノマーとしては、例えば、特開2002−296423号公報中の段落[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。重合性モノマーの使用量は、液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
また、組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
また、組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。
その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
また、組成物には、偏光子界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤が含まれていてもよい。さらに、組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
位相差フィルムには、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向膜が含まれていてもよい。配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。その中もでも、ポリマー材料として、ポリビニルアルコール又はポリイミド、その誘導体を用いることが好ましく、特に、変性又は未変性のポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
なお、配向膜には、通常公知の配向処理が施される。例えば、ラビング処理、偏光を当てる光配向処理などが挙げられるが、配向膜の表面粗さの観点から、光配向処理が好ましい。
液晶化合物が硬化した層の厚みは、特に制限されないものの、0.5〜10μmが好ましく、1.0〜5μmがより好ましい。配向膜の厚みは、特に制限されてないものの、20μm以下の場合が多く、その中でも、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
(4)粘着剤層
偏光板10は、その最表面に粘着剤層15を有することが好ましい。この粘着剤層は、偏光板10を表示素子(例えば液晶セル、有機EL素子)や他の光学部材に貼合するために用いることができ、剥離フィルム20を剥離して露出する粘着剤層である。また、粘着剤層は、偏光子、保護フィルム、輝度向上フィルム、および位相差フィルムを積層させるのに使用することもできる。図1、図2において、接着層16がこれに相当する。粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させることもできる。
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、帯電防止剤、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
粘着剤層は、上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。基材は、偏光子、保護フィルム、輝度向上フィルムのような他の光学フィルム、剥離フィルム(例えば剥離フィルム20)等であることができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
粘着剤層15の厚みは、通常1〜40μmであるが、積層体の薄膜化の観点、及び良好な加工性を保ちつつ偏光板10の寸法変化を抑制する観点から、3〜25μm(例えば3〜20μm、さらには3〜15μm)とすることが好ましい。接着層16の厚みは、通常1〜20μmであるが、3〜10μmであることが好ましい。
剥離フィルム20が積層される粘着剤層15は、剥離フィルムに対する密着力が0.10N/25mm以下であり、好ましくは0.04N/25mm以下である。このような密着力とすることで、剥離フィルムを剥離するときに偏光板に浮きが生じず、一層剥離性が向上する。また、密着力は、0.02N/25mm以上である。このような密着力とすることで、搬送等で積層体に衝撃が加わっても、剥離フィルムと粘着剤層との間に隙間が生じるのを防ぎやすい。本明細書において、粘着剤層の剥離フィルムに対する密着力は、後述の実施例に記載した方法で測定した値である。
<表面保護フィルム>
表面保護フィルム30は、基材フィルム31と、その上に積層される粘着剤層32とを含むものであることができる。表面保護フィルム30は、偏光板10の表面を保護するためのフィルムであり、通常、例えば表示素子や他の光学部材に積層体が貼合された後にそれが有する粘着剤層ごと剥離除去される。
表面保護フィルムは、一般に輝度向上フィルムに比べてコシがあり、剥離フィルムの剥離性の向上に重要である。本明細書において、表面保護フィルムの厚みは、基材フィルムの厚みと、その上に積層される粘着剤層の厚みとの合計値であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。一方、表面保護フィルムの厚みが大きすぎると、剥離フィルムを剥離するときに、表面保護フィルムと偏光板との間に剥離が生じやすくなるので、表面保護フィルムの厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは70μm以下である。
基材フィルムは好ましくは熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。基材フィルムは、単層構造であってもよいし多層構造であってもよい。
基材フィルムの厚みは20〜150μm(例えば30〜80μm、好ましくは30〜60μm)であることができる。粘着剤層の構成については、前述した偏光板が有する粘着剤層についての記述が基本的に引用される。
特に、粘着剤層は、その貯蔵弾性率が80℃において、0.15MPa以下であることが好ましく、0.14MPa以下であることがより好ましく、0.10MPa以下であることがさらに好ましい。通常、粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上である。本明細書において、粘着剤層の貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、例えば、REOMETRIC社製の粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDA II」を用いて測定することができる。
表面保護フィルム30は、帯電防止剤を含むことができる。帯電防止剤は、例えば、粘着剤層に含有させることができる。粘着剤層に帯電防止剤を含有させる代わりに、又はこれとともに、基材フィルムにおける粘着剤層が積層される面とは反対側の面に、帯電防止剤を含有する帯電防止層を設けてもよい。
帯電防止剤としては、イオン性化合物を挙げることができる。イオン性化合物は、無機カチオン又は有機カチオンと、無機アニオン又は有機アニオンとを有する化合物である。
2種以上のイオン性化合物を使用してもよい。
<剥離フィルム>
剥離フィルム20は、粘着剤層を表示素子(例えば液晶セル、有機EL素子)や他の光学部材に貼合するまでその表面を保護するために仮着されるフィルムである。剥離フィルム20は、片面にシリコーン系、フッ素系等の離型剤などによる離型処理を施すことにより、粘着剤層15との密着力を調整することが可能である。剥離フィルム20は、離型処理された熱可塑性樹脂フィルムで構成され、その離型処理面に粘着剤層を貼り合わせることができる。
剥離フィルム20を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂等であることができる。剥離フィルム20の厚みは、例えば10〜50μmである。
積層体100〜103は、剥離フィルム20を剥離し、表示素子(例えば、液晶セル、有機EL素子)に貼合されることができる。さらに、表面保護フィルム30を剥離して、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置)に組み込まれることができる。表示装置を構築するにあたって本発明に係る積層体は、表示素子を基準に視認側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側とは反対側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側及び視認側とは反対側の双方の偏光板に用いられてもよい。
<積層体の製造方法>
積層体は、積層体を構成する各部材をそれぞれ搬送しながらロール・トゥ・ロールで長尺状の積層体を製造し、これを裁断することによって得てもよいし、所定形状の各部材をそれぞれ準備し、順次積層することによって得てもよい。
切り欠け加工、穴あけ加工、角部のR加工は、カンナ加工、エンドミル加工等を用いて行われることができる。切り欠け加工、穴あけ加工の加工手段はエンドミルであることが好ましい。エンドミルとは、切削工具の一種である。エンドミル加工は、軸方向に加工するだけ(穴あけのみ専用)のドリルとは異なり、回転軸と直交した方向にも加工することができる。カンナ加工は、加工面に対して平行な回転軸を有する突設した刃物によって加工面を平行に削り取る加工のことをいう。具体的には、特開2018−22140号公報に記載された加工装置、加工方法を採用することができる。
<表面保護フィルム付き偏光板の製造方法>
具体例として図5を例に、積層体104から剥離フィルムを剥離する方法を説明する。
積層体における表面保護フィルム側の面を保持台に固定し、テープ200を剥離フィルム上に貼合する。積層体104の固定方法は特に制限されず、表面保護フィルム側から吸引する力により固定してもよいし、粘着力で固定してもよい。固定する表面保護フィルムと保持台との間の密着力は、偏光板に跡を残さないようにするという観点から、0.1〜0.3N/60mmであることが好ましく、0.15〜0.2N/60mmであることがより好ましい。本発明の積層体によれば、このような小さな圧力で積層体を固定しても良好な剥離性を示す。テープ200を貼合する位置は、例えば図5に示すように、切り欠け部を有する端辺の一端の角部であることができる。
次いで、テープ200を引き起こして剥離フィルムを剥離する。図5において、切り欠け部を有する端辺に直交する端辺とテープの剥離方向400とのなす角度θは、0°以上90°以下であることができる。切り欠け部を有する端辺の一端の角部にテープを貼り付けて剥離フィルムを剥離する場合、剥離先端が切り欠け部に差し掛かったとき、特に剥離先端が図5に示す領域300に差し掛かったときに剥離不良が起こりやすい。すなわち、剥離先端が、切り欠け部の内側の角部であって、テープを貼り付けた位置から遠い方の内側の角部に差し掛かったときに剥離不良が起こりやすい。本発明によれば、剥離先端が切り欠け部に差し掛かったときにも、剥離不良が起こりにくい。領域300において剥離フィルムを剥離する力を低減するために、角度θは25°以上65°以下であることが好ましい。また、剥離角度は、90〜180°とすることができ、剥離速度は0.1〜10m/min.とすることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)フィルム厚みの測定方法
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーターであるMH−15Mを用いて測定した。
(2)密着力の測定方法
株式会社島津製作所製の卓上形精密万能試験機であるオートグラフ(登録商標)AGS−Xを使用して、剥離フィルムと偏光板が備える粘着剤層との密着力を測定した。
(3)剥離フィルムの剥離力
各実施例で作製した積層体を、表面保護フィルムが下側になるようにガラス板(保持台)に固定をした。固定には粘着シートを使用し、固定をした力(密着力)は、0.1〜0.3N/60mmであった。図5に示すように、切り欠け部を有する端辺の一端の角部に、テープの長辺方向が積層体の長辺方向に平行となるように、テープを貼合した。テープは、日東電工株式会社製のポリエステル粘着テープであるNo.315を使用し、幅を12mm、貼合した部分の長さを10mmとした。テープの一端をチャックで把持し、剥離フィルムを剥離した。テープの剥離方向と切り欠け部を有する端辺に直交する端辺とのなす角度(図5における角度θ)は、45°とした。剥離速度は3m/分とし、剥離角度は180°とした。剥離フィルムを剥離する間の剥離力を測定し、剥離力の最大値を求めた。
(4)剥離フィルムの剥離性の評価方法
各実施例で作製した積層体を、表面保護フィルムが下側になるようにガラス板(保持台)に固定をした。固定には粘着シートを使用し、固定をした力(密着力)は、0.1〜0.3N/60mmであった。図5に示すように、切り欠け部を有する端辺の一端の角部に、テープの長辺方向が積層体の長辺方向に平行となるように、テープを貼合した。テープは、日東電工株式会社製のポリエステル粘着テープであるNo.315を使用し、幅を12mm、貼合した部分の長さを10mmとした。テープの一端をチャックで把持し、剥離フィルムを剥離した。テープの剥離方向と切り欠け部を有する端辺に直交する端辺とのなす角度(図5における角度θ)は、45°とした。剥離速度は3m/分とし、剥離角度は180°とした。このとき偏光板および表面保護フィルムからなる層が、積層体を固定したガラスから浮き上がった場合を、剥離不良(NG)と判定し、浮き上がらず剥離フィルムが剥離できた場合を、剥離良好(OK)と判定した。
[積層体の作製]
ポリビニルアルコール系樹脂にヨウ素が吸着配向した偏光子(厚み8μm)を作製した。
この偏光子の一方の面に、紫外線硬化性接着剤を介して、ハードコート層が形成された環状オレフィン系樹脂(COP)フィルム(厚み25μm)を貼合し、偏光子の他方の面に、同じ接着剤を介して、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み20μm)を貼合した。
次いで、重合性液晶化合物が硬化した層を含む位相差フィルムを準備した。この位相差フィルムは、λ/4板(厚み2μm)とポジティブCプレート(厚み3μm)とが紫外線硬化性接着剤(厚み2μm)を介して積層された層構成を有する。λ/4板およびTACフィルムが互いに貼合面となるように、粘着剤層(厚み5μm)を介して位相差フィルムとTACフィルムとを貼合した。
ポジティブCプレート上に、剥離フィルム上に形成されたアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を積層した。COPフィルム上に、ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムとアクリル系粘着剤層とからなる表面保護フィルムを積層した。
得られたフィルムを長辺150mm、短辺70mmの矩形に裁断した。長辺方向は、偏光子の吸収軸に平行であった。積層体は、剥離フィルム/粘着剤層/位相差層(液晶化合物が硬化した層を2層含む)/TACフィルム/偏光子/ハードコート層が形成されたCOPフィルム/表面保護フィルムの層構成を有していた。偏光板の厚みは80μmであり、剥離フィルムの厚みは38μmであり、表面保護フィルムの厚みは53μmであった。
粘着剤層と剥離フィルムとの密着力は、0.02N/25mmであり、搬送等を原因とする粘着剤層と剥離フィルムの間に剥がれは観察されなかった。
[実施例1]
積層体の一方の短辺に、エンドミル加工により、切り欠き加工を施した。切り欠け部の形状は、深さdを2mmとし、2つの内側の角部の曲率半径rを2mmとした。切り欠け部の形状は、上面から見て、図4(d)に示す形状であった。
[実施例2〜15、比較例1〜11]
切り欠け部の形状を、表1に示すような形状にしたこと以外は、実施例1と同様に積層体に切り欠き加工を施した。
[比較例12]
積層体の一方の短辺にナイフで裁断することにより切り欠け部を形成した。2つの内側の角部にR加工を施さず、2つの内側の角部はそれぞれ直角とした。
上記実施例1〜15、比較例1〜11で作製した積層体について、剥離力の最大値を測定し、さらに剥離性の評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1〜15の積層体は、剥離フィルムの剥離を良好に行うことができた。また、いずれの実施例においても、偏光板と表面保護フィルムとの間で剥離する不良は生じなかった。比較例1〜12の積層体は、剥離フィルムを容易に剥離することができなかった。比較例12の剥離力の最大値は、1.0N超であった。なお、いずれの積層体においても、図5に示す領域300に剥離先端が差し掛かったときに、剥離力の最大値が記録された。すなわち、剥離先端が、切り欠け部の内側の角部であって、テープを貼り付けた位置から遠い方の内側の角部に差し掛かったときに剥離力の最大値が記録された。
Figure 2020104523
















〔表1〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
剥離フィルムの 気鋭欠け部の形状
剥離力の最大値(N) ─────────────── 剥離性の評価
深さd(mm) 曲率半径r(mm)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 0.4 2 2 OK
実施例2 0.6 3 2 OK
実施例3 0.5 3 3 OK
実施例4 0.4 3 6 OK
実施例5 0.4 3 9 OK
実施例6 0.9 5 2 OK
実施例7 0.8 5 3 OK
実施例8 0.7 5 6 OK
実施例9 0.6 5 9 OK
実施例10 1.0 6 8 OK
実施例11 0.8 6 9 OK
実施例12 0.8 7 13 OK
実施例13 0.8 7 15 OK
実施例14 0.9 7 17 OK
実施例15 1.0 10 17 OK
───────────────────────────────────────
比較例1 1.2 3 1 NG
比較例2 1.6 5 1 NG
比較例3 1.2 6 6 NG
比較例4 4.3 7 1 NG
比較例5 2.1 7 6 NG
比較例6 1.2 7 9 NG
比較例7 1.1 7 11 NG
比較例8 1.1 8 16 NG
比較例9 1.1 9 16 NG
比較例10 2.6 10 6 NG
比較例11 1.7 10 9 NG
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本発明は剥離フィルムの剥離不良が生じない積層体を提供することができるので有用である。
10 偏光板
11 偏光子
12,13 保護フィルム
14 位相差フィルム
15 粘着剤層
16 接着層
17 輝度向上フィルム
20 剥離フィルム
30 表面保護フィルム
31 基材フィルム
32 粘着剤層
40 切り欠け部
100,101,102,103,104 積層体
200 剥離テープ
300 領域
400 剥離方向

Claims (4)

  1. 偏光板の一方の面に表面保護フィルムが積層され、
    前記偏光板のもう一方の面に剥離フィルムが積層され、
    前記偏光板は偏光子を含む、積層体であって、
    当該積層体は、平面視において、切り欠け部を有し、
    前記切り欠け部を有する端辺から前記剥離フィルムを剥離したときに、剥離力の最大値が1.0N以下である積層体。
  2. 前記切り欠け部の形状は、下記式(1)を満たす請求項1に記載の積層体。
    r>3d−14 (1)
    〔式(1)において、d(mm)は前記切り欠け部の深さを表し、r(mm)は前記切り欠け部における内側の角部の曲率半径を表す。〕
  3. 前記偏光板は、前記剥離フィルム側の表面に粘着剤層を備え、
    前記剥離フィルムと前記粘着剤層との間の密着力が0.02N/25mm以上0.10N/25mm以下である請求項1または2に記載の積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された積層体における、切り欠け部を有する端辺の一端の角部にテープを貼り付ける貼付工程と、
    前記テープを引き起こして、積層体から剥離フィルムを剥離する剥離工程を備え、
    前記剥離工程において、テープの剥離方向と、切り欠け部を有する端辺に直交する端辺とのなす角度が25°以上65°以下である表面保護フィルム付き偏光板の製造方法。
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