以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(−)方向として説明する。また、Z方向が第1軸方向に相当し、X方向が第2軸方向に相当し、Y方向が第3軸方向に相当する。さらに、X方向、Y方向又はZ方向に見るとは、X方向、Y方向又はZ方向からの平面視のことである。
(実施形態1)
本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドについて図1〜図5を参照して説明する。なお、図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドのノズル面側から見た平面図である。図2は、図1のA−A′線断面図である。図3は、図1のB−B′線断面図である。図4は、流路の一部の斜視図である。図5は、図2のC−C′線断面図である。
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1とも言う)は、流路基板として流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、ケース部材40及びコンプライアンス基板49等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には振動板50が形成されている。振動板50は、二酸化シリコン層や酸化ジルコニウム層から選択される単一層又は積層であってもよい。
流路形成基板10には、個別流路200を構成する圧力室12が、複数の隔壁によって区画されて複数設けられている。ここで圧力室12とは、詳しくは後述するエネルギー発生素子を設ける領域として区画化されたものである。複数の圧力室12は、第2軸方向であるX方向に沿って所定のピッチで並設されている。また、流路形成基板10には、圧力室12がX方向に並設された列が第3軸方向であるY方向に複数列、本実施形態では、2列設けられている。本実施形態では、2列の圧力室12において、一方の圧力室12の列を第1の圧力室列120Aと称し、他方の圧力室12の列を第2の圧力室列120Bと称する。すなわち、第1の圧力室列120Aは、Y方向に同じ位置となるようにX方向に並設された複数の圧力室12によって構成されている。本実施形態では、第1の圧力室列120Aを構成する圧力室12を第1の圧力室12Aと称する。また、第2の圧力室列120Bは、Y方向に同じ位置となるように並設された複数の圧力室12によって構成されている。本実施形態では、第2の圧力室列120Bを構成する圧力室12を第2の圧力室12Bと称する。これら第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120Bとは、X方向に見て、Y方向に互いにシフトして配置されている。すなわち、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120Bとは、X方向に見て、Y方向に異なる位置に配置されている。ちなみに、本実施形態では、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120Bとは、X方向に見て、Z方向に同じ位置に配置されている。
また、第1の圧力室列120Aの第1の圧力室12Aと、第2の圧力室列120Bの第2の圧力室12Bとは、X方向にずれた位置に配置された、いわゆる、千鳥配置となっている。本実施形態では、第1の圧力室列120Aと第1の圧力室12A、第2の圧力室列120Bとは、X方向に互いに圧力室12のピッチの半分、いわゆる、半ピッチずれた位置に配置されている。なお、第1の圧力室12Aの一部と第2の圧力室12Bの一部とが、X方向に見て、互いに重なる位置に配置されていてもよい。すなわち、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとがX方向に見て、互いにY方向にシフトして配置されているとは、X方向に見て、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120Bとの少なくとも一部が重ならない位置に配置されていることを言い、第1の圧力室列120Aの第1の圧力室12Aと第2の圧力室列120Bの第2の圧力室12Bとの全てが重ならない位置に配置されているものも、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとの一部が重ならない位置に配置されているものも含む。
なお、本実施形態では、流路形成基板10に圧力室12のみを設けるようにしたが、圧力室12に供給されるインクに流路抵抗を付与するように圧力室12よりも流路を横断する断面積を絞った流路抵抗付与部を設けるようにしてもよい。
このような流路形成基板10の−Z方向の面には、振動板50が形成され、この振動板50の−Z方向上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが成膜及びリソグラフィー法によって順に積層されて圧電アクチュエーター300を構成している。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が、圧力室12内のインクに圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、圧電素子とも言い、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分を言う。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、振動板50、第1電極60が、振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。本実施形態では、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120Bとに対応して、圧電アクチュエーター300がX方向に並設された列が、Y方向に2列設けられている。
また、このような各圧電アクチュエーター300の第2電極80には、リード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電アクチュエーター300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10の−Z方向の面には、保護基板30が接合されている。保護基板30の圧電アクチュエーター300に対向する領域には、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電アクチュエーター保持部31が設けられている。圧電アクチュエーター保持部31は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。また、圧電アクチュエーター保持部31は、本実施形態では、X方向に並設された圧電アクチュエーター300の列毎にそれぞれ独立して設けられている。すなわち、各圧電アクチュエーター保持部31は、X方向に並設された複数の圧電アクチュエーター300の列を一体的に覆う大きさで形成されている。もちろん、圧電アクチュエーター保持部31は、特にこれに限定されず、圧電アクチュエーター300を個別に覆うものであってもよく、X方向に並設された2以上の圧電アクチュエーター300で構成される群毎に覆うものであってもよい。つまり、圧電アクチュエーター保持部31は、X方向に分割して設けられていてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30をZ方向に貫通する貫通孔32が設けられている。そして、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔32内に露出するよう延設されており、貫通孔32内でフレキシブルケーブル130と電気的に接続されている。フレキシブルケーブル130は、可撓性を有する配線基板であって、本実施形態では、半導体素子である駆動回路131が実装されている。なお、フレキシブルケーブル130を介さずに、リード電極90と駆動回路131とを電気的に接続してもよい。また、保護基板30に流路を設けてもよい。
また、保護基板30の−Z方向の面には、ケース部材40が固定されている。ケース部材40は、保護基板30の流路形成基板10とは反対面側が接合されると共に、後述する連通板15にも接合して設けられている。
このようなケース部材40には、第1の共通液室101の一部を構成する第1液室部41と、第2の共通液室102の一部を構成する第2液室部42とが設けられている。第1液室部41と第2液室部42とは、Y方向において、2列の圧力室12を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
第1液室部41及び第2液室部42のそれぞれは、ケース部材40のZ方向の面に開口する凹形状を有し、X方向に並設された複数の圧力室12に亘って連続して設けられている。
また、ケース部材40のZ方向の面には、第1液室部41に連通する導入口43と、第2液室部42に連通する排出口44とが開口して設けられている。
さらに、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して、フレキシブルケーブル130が挿通される接続口45が設けられている。
一方、流路形成基板10のZ方向の面には、連通板15が設けられており、連通板15のZ方向の面には、ノズルプレート20とコンプライアンス基板49とが設けられている。
連通板15は、本実施形態では、第1連通板151と第2連通板152とがZ方向に積層されて構成されている。これら第1連通板151と第2連通板152とは、流路形成基板10からノズルプレート20に向かってZ方向にこの順に積層されている。
このような第1連通板151及び第2連通板152は、ステンレス鋼等の金属、ガラス、セラミック材料等によって製造することができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と熱膨張率が略同一の材料を用いるのが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、連通板15には、詳しくは後述するが、第1の共通液室101の一部を構成する第1連通部16と、第2の共通液室102の一部を構成する第2連通部17とが設けられている。
第1連通部16は、Z方向に見て、ケース部材40の第1液室部41に重なる位置に設けられており、連通板15の+Z方向の面及び−Z方向の面の両面に開口して設けられている。第1連通部16は、第1液室部41と連通することで第1の共通液室101を構成する。すなわち、第1の共通液室101は、ケース部材40の第1液室部41と連通板15の第1連通部16とによって構成されている。また、第1連通部16は、Z方向において圧力室12に重なる位置まで−Y方向に延設されている。なお、連通板15に第1連通部16を設けずに、第1の共通液室101をケース部材40の第1液室部41のみによって構成してもよい。
第2連通部17は、Z方向に見て、ケース部材40の第2液室部42に重なる位置に設けられており、連通板15のZ方向及び−Z方向の面の両面に開口して設けられている。第2連通部17は、第2液室部42と連通することで第2の共通液室102を構成する。すなわち、第2の共通液室102は、ケース部材40の第2液室部42と連通板15の第2連通部17とによって構成されている。また、第2連通部17は、+Z方向において圧力室12に重なる位置まで+Y方向に延設されている。なお、連通板15に第2連通部17を設けずに、第2の共通液室102をケース部材40の第2液室部42のみによって構成してもよい。
連通板15の第1連通部16及び第2連通部17が開口するZ方向の面には、コンプライアンス部494を有するコンプライアンス基板49が設けられている。このコンプライアンス基板49が、第1の共通液室101及び第2の共通液室102の+Z方向の開口、すなわち、ノズル面20a側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板49は、本実施形態では、可撓性を有する薄膜からなる封止膜491と、金属等の硬質の材料からなる固定基板492と、を具備する。固定基板492の第1の共通液室101及び第2の共通液室102に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部493となっているため、第1の共通液室101及び第2の共通液室102の壁面の一部は可撓性を有する封止膜491のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部494となっている。本実施形態では、第1の共通液室101に設けられたコンプライアンス部494を第1コンプライアンス部494Aと称し、第2の共通液室102に設けられたコンプライアンス部494を第2コンプライアンス部494Bと称する。このように第1の共通液室101とのそれぞれの壁面の一部にコンプライアンス部494を設けることで、第1の共通液室101及び第2の共通液室102内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494が変形することによって吸収することができる。
ちなみに、第2コンプライアンス部494Bを設けずに第1コンプライアンス部494Aのみを設けた場合、圧力室12とノズル21が設けられた個別流路においてインク滴を吐出させた際の圧力変動が、第2の共通液室102を介して他の個別流路に伝わり、他の個別流路から吐出されるインク滴の吐出特性が安定せず、複数のノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう虞がある。同様に、第1コンプライアンス部494Aを設けずに、第2コンプライアンス部494Bのみを設けた場合、第1の共通液室101を介して個別流路の圧力変動が伝わり、インク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう虞がある。本実施形態では、第1の共通液室101及び第2の共通液室102の両方にコンプライアンス部494を設けることで、個別流路200の圧力変動が第1の共通液室101及び第2の共通液室102を介して他の個別流路200に伝わり難く、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、第2コンプライアンス部494Bを設けずに、第1コンプライアンス部494Aのみを設けた場合、少数のノズル21からインク滴を吐出させた場合には、第1コンプライアンス部494Aの変形によって圧力室12へのインクの供給が十分に間に合うものの、多数のノズル21から同時にインク滴を吐出させた際に第1コンプライアンス部494Aの変形だけでは圧力室12へのインクの供給が十分に行われず、同時に吐出するノズル21の数によってインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量にばらつきが生じてしまう虞がある。本実施形態では、第1コンプライアンス部494Aと第2コンプライアンス部494Bとの両方を設けることで、同時にインク滴を吐出するノズル21の数によって圧力室12へのインクの供給不足が生じるのを抑制して、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、このように第1の共通液室101及び第2の共通液室102の両方にコンプライアンス部494を設ける場合、本実施形態では、第1の共通液室101及び第2の共通液室102をノズル21が開口する+Z方向の面に開口するように設けることで、ノズルプレート20とコンプライアンス部494とは、個別流路200に対して同じ+Z方向に配置することができる。このように、コンプライアンス部494を個別流路200に対してノズル21と同じ方向に配置することで、ノズル21が設けられていない領域にコンプライアンス部494を設けることができ、コンプライアンス部494を比較的広い面積で設けることができる。また、コンプライアンス部494とノズル21とを個別流路200に対して同じ方向に配置することで、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収させることができる。
なお、コンプライアンス部494の位置は、特にこれに限定されず、Z方向において個別流路200に対してノズル21とは反対方向に配置するようにしてもよい。すなわち、コンプライアンス部494をケース部材40の−Z方向の面や、ケース部材40及び連通板15のZ方向に直交する側面に設けることも可能である。ただし、上述のように、コンプライアンス部494をノズル21と同じZ方向に配置した方が、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収することができると共に、コンプライアンス部494を比較的広い面積で形成することができる。
また、本実施形態の2つのコンプライアンス部494は、図1に示すように、1つのコンプライアンス基板49に設けられている。もちろん、コンプライアンス基板49は、これに限定されず、コンプライアンス部494毎に独立したコンプライアンス基板49を設けるようにしてもよい。
ノズルプレート20には、インク滴を+Z方向に吐出する複数のノズル21が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、ノズル21がX方向に並設された列が、Y方向に2列並設されている。本実施形態では、ノズル21の一方の列を第1のノズル列22Aと称し、ノズル21の他方の列を第2のノズル列22Bと称する。また、第1のノズル列22Aを構成するノズル21を第1のノズル21Aと称し、第2のノズル列22Bを構成するノズル21を第2のノズル21Bと称する。
また、第1のノズル列22Aの第1のノズル21Aと、第2のノズル列22Bの第2のノズル21Bとは、X方向にずれた位置に配置された、いわゆる、千鳥配置となっている。本実施形態では、第1のノズル列22Aと、第2のノズル列22Bとは、X方向に互いにノズル21のピッチの半分、いわゆる、半ピッチずれた位置に配置されている。これら第1のノズル21A及び第2のノズル21Bからは同じ種類のインクが吐出される。なお、第1のノズル列22Aの第1のノズル21Aと第2のノズル列22Bの第2のノズル21Bとは、Y方向に同じ位置に配置されて、X方向に沿った一直線上に配置されていてもよい。
また、図2〜図4に示すように、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板49には、ノズル21毎に設けられた個別流路200が設けられている。個別流路200は、第1の共通液室101と第2の共通液室102とを接続すると共に第1の共通液室101と第2の共通液室102との間でノズル21と連通して設けられている。ここで、複数の個別流路200は、第1の共通液室101及び第2の共通液室102のみで互いに連通して設けられており、複数の個別流路200は、第1の共通液室101及び第2の共通液室102以外で互いに連通することがない。つまり、本実施形態では、1つのノズル21に対して設けられた1つの圧力室12を有する流路を個別流路200と称する。また、本実施形態では、第1のノズル21Aに連通して第1の圧力室12Aを有する個別流路200を第1の個別流路200Aと称し、第2のノズル21Bに連通して第2の圧力室12Bを有する個別流路200を第2の個別流路200Bと称する。これら第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとは、X方向に交互に配置されている。
また、個別流路200は、圧力室12とノズル21と個別連通流路201とを具備する。個別連通流路201は、圧力室12と第1の共通液室101及び第2の共通液室102とをつなぐものである。本実施形態では、第1の個別流路200Aに設けられた個別連通流路201を第1の個別連通流路201Aと称し、第2の個別流路200Bに設けられた個別連通流路201を第2の個別連通流路201Bと称する。すなわち、第1の個別流路200Aは、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを具備する。また、第2の個別流路200Bは、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを具備する。
ここで第1の個別連通流路201Aは、図2及び図4に示すように、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215とを具備する。
第1の個別連通流路201Aの第1−1流路211は、第1の圧力室12Aよりも上流、すなわち、第1の圧力室12Aと第1の共通液室101との間に設けられたものであり、第1の圧力室12Aと第1の共通液室101とを接続するものである。
また、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215とは、第1の圧力室12Aよりも下流、すなわち、第1の圧力室12Aと第2の共通液室102との間に設けられたものであり、第1の圧力室12Aと第2の共通液室102とを接続するものである。
なお、ここで言う上流、下流とは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって第1の個別流路200A内にインクの流れである循環流を生じさせた際の第1の圧力室12Aを基準とした上流、下流のことである。
具体的には、第1−1流路211は、第1の圧力室12Aの+Y方向の端部に連通すると共に第1連通部16の−Y方向の端部に連通するように、第1連通板151をZ方向に貫通して設けられている。
また、第1−1流路211は、詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。なお、第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分とは、X方向に見て、第2の個別連通流路201Bに重ならない部分のことである。
この第1−1流路211を第2部分とすることで、第1の個別連通流路201AをX方向で隔てる隔壁が薄くなるのを抑制して、隔壁の剛性が低下するのを抑制することができる。また、第1−1流路211を第2部分とすることで、第1−1流路211をX方向に幅広に設けて、流路抵抗及びイナータンスを低減することもできる。
第1の圧力室12Aは、上述のように流路形成基板10に設けられたものであり、第1の圧力室12Aの−Z方向の開口は振動板50によって封止され、第1の圧力室12Aの+Z方向の開口の一部は連通板15によって覆われている。このような第1の圧力室12Aは、流路の並ぶ方向、すなわち、X方向に第1のピッチで形成されている。第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとは、Y方向に異なる位置にシフトして配置されているため、第1のピッチとは、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12Bのそれぞれのピッチのことである。
第1−2流路212は、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとを連通するものであり、一端が第1の圧力室12Aの−Y方向の端部に連通し、他端が第1のノズル21Aの−Z方向の端部とに連通するように、連通板15をZ方向に貫通して設けられている。
また、第1−2流路212の+Z方向の端部側の流路部212aは、詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。また、第1−2流路212の−Z方向の端部側の流路部212bは、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
なお、第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分とは、X方向に見て、第2の個別連通流路201Bに重なる部分のことである。
このようにZ方向に延びる局所流路である第1−2流路212は、Z方向に見て、第2の個別流路200Bと交差することが困難な部分である。別の言い方をすると、このような局所流路は流路基板の厚み方向、すなわちZ方向に位置をずらして第2の個別流路200Bとの干渉を避けることが困難な流路となるため、一般的には第2の個別流路200Bと隣接した引き回しになりやすい。しかしながら、このような第1−2流路212であっても第2部分を設けることで、第1−2流路212をX方向で隔てる隔壁が全体に亘って薄くなるのを抑制して、隔壁の剛性が低下するのを抑制することができる。
また、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路である第1−2流路212が、第2部分を有することで、第1−2流路212のX方向の幅を広げることや、隔壁の剛性を向上して、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴の吐出特性を向上することができる。すなわち、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路である第1−2流路212は、インク滴の吐出特性に大きく影響を与える流路であり、この第1−2流路212に第2部分を設けることで、インクの吐出特性が向上するように、第1−2流路212のX方向の幅を広げて流路抵抗やイナータンスを低減することや、壁の剛性を向上して壁が変形するのを抑制して壁の変形による圧力損失を抑制してインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
第1のノズル21Aは、第1−2流路212のZ方向の端部に連通すると共に、ノズルプレート20の+Z方向の面であるノズル面20aに開口することで外部と連通して設けられている。
第1−3流路213は、第2連通板152とノズルプレート20との間に、一端が第1−2流路212の第1のノズル21Aに接続された他端、すなわち、第1−2流路212のZ方向の端部に連通するように、Y方向に沿って設けられている。本実施形態の第1−3流路213は、第2連通板152に凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第1−3流路213は特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、凹部を第2連通板152によって蓋をするようにしてもよく、第2連通板152とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
この第1−3流路213は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。このように、第1の個別連通流路201Aのうち、第1のノズル21Aとの接続部からY方向に延びる局所流路である第1−3流路213を第1部分とすることで、ノズルプレート20に沿って配置される局所流路である第1−3流路213と詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bの局所流路である第2−3流路253とをY方向に引き離して配置しなくても済む。したがって、これら局所流路の近傍に配置される第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとを近接して設けることができ、ノズル21をY方向に高密度に配置することができる。
第1−4流路214は、+Z方向の一端が第1−3流路213に連通するように、第2連通板152をZ方向に貫通して設けられている。
この第1−4流路214は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。
第1−5流路215は、第1連通板151と第2連通板152との間に、一端が第1−4流路214の−Z方向の端部に連通し、他端が第2の共通液室102の+Y方向の端部に連通するように、Y方向に沿って設けられている。本実施形態の第1−5流路215は、第2連通板152に凹部を設け、凹部を第1連通板151によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第1−5流路215は、第1連通板151に凹部を設け、第2連通板152によって蓋をすることで形成してもよく、第1連通板151と第2連通板152との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
これら第1−4流路214及び第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120BにおいてX方向で隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分となっている。すなわち、第1−4流路214及び第1−5流路215と第2の圧力室12Bとは、X方向に見て互いに重ならないようにZ方向に異なる位置に配置されている。
なお、第1−4流路214及び第1−5流路215が、X方向に見て第2の圧力室12Bの間の領域と重なるとは、第1−4流路214及び第1−5流路215がX方向で隣接する第2の圧力室12Bの間の領域である隔壁と重なる位置に配置されていれば、その一部がZ方向に見て第2の圧力室12Bに重なっているものも含む。本実施形態では、第1−4流路214及び第1−5流路215は、Z方向に見て第2の圧力室12Bの間の領域と重なる位置のみに配置されている。
このように、第1−4流路214及び第1−5流路215と第2の圧力室12BとをX方向に見て互いに重ならないようにZ方向に異なる位置に配置することで、第1−4流路214及び第1−5流路215と第2の圧力室12Bとを、Z方向に見て、X方向に近接して配置しても、第2の圧力室12Bを隔てる隔壁の厚さが薄くなるのを抑制することができる。したがって、第2の圧力室12BをX方向に幅広に形成して排除体積を増大させることができると共に、第2の圧力室12Bの隔壁の剛性が低下するのを抑制して、隔壁が変形することで第2の圧力室12B内のインクの圧力を吸収するのを抑制し、吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。また、たとえ第1−4流路214及び第1−5流路215の一部をZ方向に見て第2の圧力室12Bと重なるように配置したとしても、第1−4流路214及び第1−5流路215はX方向に見て第2の圧力室12Bと重ならない位置に配置されているので、第2の圧力室12Bと第1−4流路214及び第1−5流路215とが互いに連通することがない。
また、本実施形態の第1−5流路215は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。このため、X方向に並設された第1−5流路215の隔壁が、第2の圧力室12B及び第2の個別連通流路201Bによって薄くなることがなく、また、X方向に並設された第2の個別連通流路201Bの隔壁が、第1−5流路215によって薄くなることがない。したがって第1−5流路215をX方向に幅広に形成することができ、流路抵抗及びイナータンスを低減してインク滴の吐出特性、すなわち、インク滴の重量を大きくすることができると共に、隔壁の剛性を向上して、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、第1−5流路215は、第2部分となっているため、第1部分に比べてX方向の幅を広げても、第2の個別連通流路201Bとの間の壁の厚みが薄くなり難い。したがって、第2部分である第1−5流路215は、第1部分である第1−2流路212、第1−3流路213及び第1−4流路214よりもX方向の幅が大きくなるように設けることができる。これにより、第1−5流路215の断面積を大きくして、第1−5流路215の流路抵抗及びイナータンスを低減することができる。
このような第1の個別流路200Aは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって順に第1−1流路211、第1の圧力室12A、第1−2流路212、第1−3流路213、第1−4流路214及び第1−5流路215を備えている。そして、第1の個別流路200Aは、第1−2流路212のZ方向の端部において第1のノズル21Aと連通している。つまり、本実施形態では、図2に示すように、第1の個別流路200Aは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流から下流に向かって圧力室12と第1のノズル21Aとがこの順番に配置されている。すなわち、第1の個別流路200Aでは、第1のノズル21Aと第1の共通液室101との間に第1の圧力室12Aが設けられている。
このような第1の個別流路200Aでは、第1の共通液室101から第1の個別流路200Aを通り第2の共通液室102にインクが流れる。また、圧電アクチュエーター300を駆動することによって第1の圧力室12A内のインクに圧力変化を生じさせて、第1のノズル21A内のインクの圧力を上昇させることで第1のノズル21Aから外部にインク滴が吐出される。第1の共通液室101から第1の個別流路200Aを通り第2の共通液室102にインクが流れる時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよいし、第1の共通液室101から第1の個別流路200Aを通り第2の共通液室102にインクが流れない時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよい。また、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変化により、第2の共通液室102から第1の共通液室101へのインクの流れが一時的に生じてもよい。
なお、本実施形態では、第1の個別流路200Aのうち、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において第1のノズル21Aよりも上流、すなわち、第1のノズル21Aと第1の共通液室101との間の流路である第1−1流路211、第1の圧力室12A及び第1−2流路212を第1上流流路と称する。また、第1の個別流路200Aのうち、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において第1のノズル21Aよりも下流、すなわち、第1のノズル21Aと第2の共通液室102との間の流路である第1−3流路213、第1−4流路214及び第1−5流路215を第1下流流路と称する。
また、第2の個別流路200Bを構成する本実施形態の第2の個別連通流路201Bは、図3及び図4に示すように、第2−1流路251と第2−2流路252と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを具備する。以下に詳述するが、第2の個別流路200Bは第1の個別流路200AをZ方向の軸に対して反転させた形状となっている。
第2−1流路251と第2−2流路252と第2−3流路253と第2−4流路254とは、第2の圧力室12Bよりも上流、すなわち、第2の圧力室12Bと第1の共通液室101との間に設けられたものであり、第2の圧力室12Bと第1の共通液室101とを接続するものである。
また、第2−5流路255は、第2の圧力室12Bよりも下流、すなわち、第2の圧力室12Bと第2の共通液室102との間に設けられたものであり、第2の圧力室12Bと第2の共通液室102とを接続するものである。
なお、ここで言う上流、下流とは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって第2の個別流路200B内にインクの流れである循環流を生じさせた際の第2の圧力室12Bを基準とした上流、下流のことである。
第2−1流路251は、第1連通板151と第2連通板152との間に、一端が第1の共通液室101の−Y方向の端部に連通するようにノズル面20aの面内方向においてY方向に沿って設けられている。本実施形態の第2−1流路251は、第2連通板152に凹部を設け、凹部を第1連通板151によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第2−1流路251は、第1連通板151に凹部を設け、第2連通板152によって蓋をすることで形成してもよく、第1連通板151と第2連通板152との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
第2−2流路252は、−Z方向の端部が第2−1流路251に連通するように、第2連通板152をZ方向に貫通して設けられている。
これら第2−1流路251及び第2−2流路252は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aにおける隣接する第1の圧力室12Aの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分となっている。すなわち、第2−1流路251及び第2−2流路252と第1の圧力室12Aとは、X方向に見て互いに重ならないようにZ方向に異なる位置に配置されている。なお、第2−1流路251及び第2−2流路252が、X方向に見て第1の圧力室12Aの間の領域と重なるとは、第2−1流路251及び第2−2流路252がX方向で隣接する第1の圧力室12Aの間の領域である隔壁と重なる位置に配置されていれば、その一部がZ方向に見て第1の圧力室12Aに重なっているものも含む。本実施形態では、第2−1流路251及び第2−2流路252は、Z方向に見て第1の圧力室12Aの間の隔壁と重なる位置のみに配置されている。
また、第2−2流路252は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。本実施形態では、第2−2流路252は、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212を間に挟んでX方向に並設されている。なお、第1の個別連通流路201Aを挟んでX方向に並設された第1部分とは、X方向に見て、第1の個別連通流路201Aに重なる部分のことである。
第2−3流路253は、第2連通板152とノズルプレート20との間に、一端が第2−2流路252の+Z方向の端部に連通するように、Y方向に沿って設けられている。本実施形態の第2−3流路253は、第2連通板152に凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第2−3流路253は、特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、凹部を第2連通板152によって蓋をするようにしてもよく、第2連通板152とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
また、第2−3流路253は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。すなわち、第2−3流路253は、X方向に見て、第1の個別連通流路201Aの第1−3流路213と重なる部分となっている。つまり、第2−3流路253と第1−3流路213とは、X方向に交互に配置されている。
この第2−3流路253と第1−3流路213とが、X方向に交互に配置されたピッチを第2のピッチと称する。そして、この第2のピッチは、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12Bのそれぞれの第1のピッチよりも小さい。例えば、第1の圧力室12Aが300dpi、第2の圧力室12Bが300dpiとなる第1のピッチで形成されていると、第2−3流路253と第1−3流路213とは、第1のピッチの半分の第2のピッチ、すなわち、600dpiとなる第2のピッチで形成されることになる。したがって、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12Bのそれぞれの第1のピッチを、第2−3流路253と第1−3流路213と第2のピッチよりも大きくして、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12BのX方向の開口幅を広げることができ、圧力室12の排除体積を増大させることができると共に、第1の圧力室12Aの間の隔壁、及び第2の圧力室12Bの間の隔壁の剛性を向上して、圧力室12内のインクの圧力変化によって隔壁が変形して圧力吸収することによる吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
第2−4流路254は、第2の圧力室12Bと第2のノズル21Bとを連通するものであり、一端が第2の圧力室12Bの+Y方向の端部に連通し、他端が第2のノズル21Bの−Z方向の端部に連通するように、連通板15をZ方向に貫通して設けられている。
また、第2−4流路254の+Z方向の端部側の流路部254aは、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。また、第2−4流路254の−Z方向の端部側の流路部254bは、第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
第2のノズル21Bは、第2−4流路254のZ方向の端部に連通すると共に、ノズルプレート20のZ方向の面であるノズル面20aに開口することで外部と連通して設けられている。
すなわち、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとは、X方向に見て、Y方向に異なる位置にシフトして配置されている。
本実施形態では、第1のノズル21Aとの接続部からY方向に延びる局所流路である第1−3流路213と、第2のノズル21Bとの接続部からY方向に延びる局所流路である第2−3流路253とは、X方向に見て互いに重なる位置に配置されているため、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に引き離して配置しなくて済み、両者をY方向に近接して配置することができ、ノズル21をY方向に高密度に配置することができる。
第2の圧力室12Bは、上述のように流路形成基板10に設けられたものであり、第2の圧力室12Bの−Z方向の開口は振動板50によって封止され、第2の圧力室12BのZ方向の開口の一部は、連通板15によって覆われている。このような第2の圧力室12Bは、第1の個別流路200Aの第1の圧力室12AとY方向に異なる位置にシフトして配置されており、X方向に見て、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとは互いに重ならない位置に設けられている。このような第2の圧力室12Bは、第1の圧力室12Aと同様にX方向に第1のピッチで形成されている。
また、上述のように、第1の個別連通流路201Aの第1−4流路214及び第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120BにおいてX方向で隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分となっている。したがって、第2の圧力室12BをX方向に幅広に設けて排除体積を増大させることができると共に、第1の個別連通流路201Aを第2の圧力室12Bの間に、第2の圧力室12Bに干渉することなく、効率よく配置することができる。したがって、流路形成基板10及び連通板15等の流路基板が大型化するのを抑制して個別流路200を効率よく配置することができる。
第2−5流路255は、第2の圧力室12Bと第2の共通液室102とを連通するものであり、一端が第2の圧力室12Bの−Y方向の端部に連通し、他端が第2の共通液室102のY方向の端部に連通するように、第1連通板151をZ方向に貫通して設けられている。
この第2−5流路255は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
このように第2の個別流路200Bは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって順に第2−1流路251、第2−2流路252、第2−3流路253、第2−4流路254、第2の圧力室12B及び第2−5流路255を備える。そして、第2の個別流路200Bは、第2−4流路254のZ方向の端部において第2のノズル21Bと連通している。つまり、本実施形態では、図3に示すように、第2の個別流路200Bは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流から下流に向かって第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bとがこの順番に配置されている。すなわち、第2の個別流路200Bでは、第2のノズル21Bと第2の共通液室102との間に第2の圧力室12Bが設けられている。
このような第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとでは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して圧力室12とノズル21との順番が異なるように配置されている。本実施形態では、各個別流路200に圧力室12とノズル21とが1つずつ設けられているため、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとは、圧力室12とノズル21との順番が、逆転して配置されている。
そして、このような第2の個別流路200Bでは、第1の共通液室101から第2の個別流路200Bを通り第2の共通液室102にインクが流れる。また、圧電アクチュエーター300を駆動することによって第2の圧力室12B内のインクに圧力変化を生じさせて、第2のノズル21B内の圧力を上昇させることで第2のノズル21Bから外部にインク滴が吐出される。第1の共通液室101から第2の個別流路200Bを通り第2の共通液室102にインクが流れる時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよいし、第1の共通液室101から第2の個別流路200Bを通り第2の共通液室102にインクが流れない時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよい。また、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変化により、第2の共通液室102から第1の共通液室101へのインクの流れが一時的に生じてもよい。ちなみに、第2のノズル21Bからのインク滴の吐出は、第2のノズル21B内のインクの圧力によって決定される。第2のノズル21B内のインクの圧力は、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって流れるインクの圧力、所謂、循環の圧力と、圧電アクチュエーター300の駆動によって第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かう圧力とによって決定される。
例えば、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、第2の圧力室12B内のインクの圧力変動によって第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かってインクが逆流して第2のノズル21Bからインク滴が吐出されてもよい。このように、第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かってインクが逆流するということは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環の圧力が小さいことになるため、循環の圧力を比較的小さくすることで、個別流路200の圧力損失を小さくすることができる。そして、個別流路200の圧力損失を小さくすることで、各個別流路200間での圧力損失の差を減少させることができるため、各ノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性のばらつきを低減することができる。
また、例えば、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、第2の圧力室12B内のインクの圧力変動によって第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かってインクが逆流することなく第2のノズル21Bからインクが吐出されてもよい。この場合、第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かうインクの流れが発生しないため、第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bに向かって気泡が逆流し難く、気泡によって第2のノズル21Bからのインク滴の吐出不良が生じ難い。
なお、本実施形態では、第2の個別流路200Bのうち、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において第2のノズル21Bよりも上流、すなわち、第2のノズル21Bと第1の共通液室101との間の流路である第2−1流路251、第2−2流路252及び第2−3流路253を第2上流流路と称する。また、第2の個別流路200Bのうち、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において第2のノズル21Bよりも下流、すなわち、第2のノズル21Bと第2の共通液室102との間の流路である第2−4流路254、第2の圧力室12B及び第2−5流路255を第2下流流路と称する。
このような第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとが、図4に示すように、X方向に交互に配設されている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド1では、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、圧力室12とノズル21との位置に関係なく、圧力室12内の圧力変動によってノズル21からインク滴を吐出することができる。つまり、図2に示す第1の個別流路200Aのように第1の圧力室12Aが上流、第1のノズル21Aが下流に配置されていても、また、図3に示す第2の個別流路200Bのように第2のノズル21Bが上流、第2の圧力室12Bが下流に配置されていても、圧力室12内のインクの圧力変動によって第1のノズル21A及び第2のノズル21Bの両者から選択的にインク滴を吐出することができる。このため、上述のように第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れに対して、圧力室12とノズル21との順番が異なる第1の個別流路200Aと第2の個別流路200BとをX方向に交互に配置することで、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとで圧力室12の位置を変更、すなわち、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12BとをX方向に見てY方向の異なる位置にシフトして配置することができる。したがって、各個別流路200の圧力室12をX方向に幅広に形成して排除体積を増大させることや、圧力室12の間の隔壁の剛性が低下し難いため、圧力室12をX方向に高密度に配置することができる。つまり、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12BとをY方向に異なる位置にシフトして配置することで、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとが互いに干渉することなく、第1の圧力室12AをX方向で隔てる隔壁を厚くすることができると共に、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁を厚くすることができる。
ちなみに、例えば、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとを、X方向に見て、重なる位置に配置した場合、圧力室12をX方向に幅広に設けることができず排除体積が減少し、インク滴の吐出特性であるインク滴の重量が減少する。また、圧力室12をX方向で隔てる隔壁の剛性が低下するため、隔壁の変形によるクロストークが発生する。
また、本実施形態では、第1の圧力室列120Aに対応する個別連通流路201である第1の個別連通流路201Aは、第1軸方向であるZ方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分を有する。
本実施形態では、上述したように第1の個別連通流路201Aのうち第1−4流路214と第1−5流路215とは、Z方向に見て、X方向で隣接する第2の圧力室12Bの間の隔壁に重なるように配置されていると共に、X方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない位置に設けられている。なお、第1の個別連通流路201Aが、Z方向に見て、第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分を有するとは、第1の個別連通流路201Aの少なくともある一部が、第2の圧力室12Bの間の領域に重なっていればよく、第1の個別連通流路201Aの他の一部が、Z方向に見て、第2の圧力室12Bに重なっているものも含む。
ちなみに、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12Bとを、X方向に見てY方向に互いにシフトして配置したとしても、例えば、第1の個別連通流路201Aを、X方向に隣接する第2の圧力室12Bの間に配置してしまうと、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁の厚さが薄くなるため、第2の圧力室12BをX方向に幅広に設けることができず排除体積が減少すると共に、隔壁の剛性が低下するためクロストークが発生する。また、隔壁の剛性を向上させるためには、流路基板がX方向に大型化してしまう。すなわち、第2の圧力室列120Bやその隔壁のスペースを確保して高特性なヘッドを得るためには、第2の圧力室列120Bやその隔壁との干渉を避けるのに有利な空間、すなわち低干渉空間を利用して第1の個別連通流路201Aを引き回すのが好ましいと言える。またこのような関係は、第1の圧力室列120Aと第2の個別連通流路201Bとの間にも当てはまる。
本実施形態では、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なると共に、X方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない領域を低干渉空間として利用して第1−4流路214と第1−5流路215とを配している。かかる低干渉空間は、X方向にもZ方向にも第2の圧力室列120Bとの干渉を避けるのに有利な空間である。これにより、第2の圧力室12BをX方向に幅広に形成しても、隔壁の剛性が低下するのを抑制することができ、排除体積を増大させてインク滴の吐出特性、すなわち、インク滴の重量を増大させることができる。また、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁の剛性を向上することができるため、第2の圧力室12B内のインクの圧力変化によって隔壁が変形するのを抑制して、隔壁の剛性が低下することによるインク滴の吐出特性にばらつきが生じる、所謂クロストークが発生するのを抑制することができる。
また、これにより、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200BとをZ方向に見て交差するように複雑に取り回す必要がなく、個別流路200の構造を簡略化することができると共に、個別流路200が無駄に長くなるのを抑制して流路抵抗が増大するのを抑制することができ、インク滴の吐出特性や気泡排出性が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、第2の圧力室列120Bに対応する個別連通流路である第2の個別連通流路201Bは、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aにおける隣接する第1の圧力室12Aの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分を有する。
本実施形態では、上述のように、第2の個別連通流路201Bを構成する第2−1流路251と第2−2流路252とは、Z方向に見て、X方向で隣接する第1の圧力室12Aの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分となっている。なお、第2の個別連通流路201Bが、Z方向に見て、第1の圧力室12Aの間の領域に重なるとは、第2の個別連通流路201Bの少なくともある一部が、第1の圧力室12Aの間の領域の隔壁に重なっていればよく、Z方向に見て、第2の個別連通流路201Bの他の一部が、第1の圧力室12Aに重なっているものも含む。本実施形態では、第2の個別連通流路201Bは、Z方向に見て、第1の圧力室12Aに重ならない位置に配置されている。
また、本実施形態では、第1の圧力室列120Aに対応する個別連通流路である第1の個別連通流路201Aは、第2の圧力室列120Bに対応する個別連通流路である第2の個別連通流路201Bを挟んで第2軸方向であるX方向に並設される第1部分と、第2の圧力室列120Bに対応する個別流路である第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設される第2部分とを有する。
上述したように、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212の+Z方向の端部側の流路部212aは、第2の個別連通流路201Bの第2−2流路252を挟んでX方向に並設されている。また、第1の個別連通流路201Aの第1−3流路213は、第2の個別連通流路201Bの第2−3流路253を挟んでX方向に並設されている。さらに、第1の個別連通流路201Aの第1−4流路214は、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254を挟んでX方向に並設されている。すなわち、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212のZ方向の端部側の流路部212aと第1−3流路213と第1−4流路214とが、第1部分に相当する。
また、第1の個別連通流路201Aの第1−1流路211は、第2の個別連通流路201Bを挟むことなくX方向に並設されている。また、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212の−Z方向の端部側の流路部212bは、第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設されている。さらに、第1の個別連通流路201Aの第1−5流路215は、第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設されている。すなわち、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aの第1−1流路211と第1−2流路212の−Z方向の端部側の流路部212bと第1−5流路215とが、第2部分に相当する。
このように第1の個別連通流路201Aに第2の個別連通流路201Bを挟んでX方向に並設される第1部分である第1−2流路212の+Z方向の端部側の流路部212aと第1−3流路213と第1−4流路214とを設けることで、X方向に見て、第1の個別連通流路201Aと第2の圧力室列120Bを有する第2の個別流路200Bとを交差配置することが可能となる。したがって、X方向に並設された第2の個別流路200Bの間のスペースに第1の個別連通流路201Aを効率よく配置することができる。
また、第1の個別連通流路201Aに第2の個別連通流路201Bを挟むことなくX方向に並設された第2部分である第1−1流路211と第1−2流路212の−Z方向の端部側の流路部212bと第1−5流路215とを設けることで、第2部分をX方向に幅広に設けることや、X方向に並設された第2部分の壁部を厚くすることができ、インク滴の吐出特性であるインク重量の増加や、インク滴の吐出特性のばらつきを抑制するなどの特性向上に資する流路設計が可能となる。
また、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第1の個別連通流路201Aを挟んでX方向に並設された第1部分と、第1の個別連通流路201Aを挟まずにX方向に並設された第2部分とを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる局所流路が、第1部分と第2部分とを有する。すなわち、上述のように、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる第1−2流路212が、第1部分と第2部分との両方を有するため、本実施形態では、第1−2流路212がこのような局所流路に相当する。
このように、Z方向に延びる局所流路である第1−2流路212は、Z方向に見て、第2の個別流路200Bと交差することが困難な構造部分であるが、このような第1−2流路212をX方向に見て第2の個別連通流路201Bと完全に重ならないように、第2部分である−Z方向の端部側の流路部212bを設けることで、局所流路である第1−2流路212をX方向で隔てる隔壁の剛性が全体に亘って低下するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、Z方向に延びる局所流路が第1部分と第2部分とを有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、Z方向に延びる第2−4流路254が第1部分である+Z方向の端部側の流路部223aと第2部分である−Z方向の端部側の流路部223bとを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、本実施形態では、第1−2流路212が、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぎ、第2の個別連通流路201Bの間に設けられていない第2部分として−Z方向の端部側の流路部212bを有するため、この第1−2流路212が、このような局所流路に相当する。
このように、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路である第1−2流路212に第2部分となる−Z方向の端部側の流路部212bを設けることで、第1−2流路212のZ方向の端部側の流路部212bのX方向の幅を広げることや、X方向で隔てる隔壁の剛性を向上して、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴の吐出特性を向上することができる。すなわち、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路である第1−2流路212は、インク滴の吐出特性に大きく影響を与える流路であり、この第1−2流路212に第2部分として−Z方向の端部側の流路部212bを設けることで、インクの吐出特性が向上するように、第1−2流路212の−Z方向の端部側の流路部212bのX方向の幅を広げて流路抵抗やイナータンスを低減することや、X方向で隔てる隔壁の剛性を向上して、流路基板を大型化することなくクロストークの発生を抑制することができる。
なお、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路である第1−2流路212は、少なくとも第2部分を有するものであればよく、第2部分だけを有するものであってもよい。
また、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第2の圧力室12Bと第2のノズル21Bとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、第2−4流路254は第2部分として−Z方向の端部側の流路部254bを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、第1のノズル21Aとの接続部からY方向に延びる局所流路が少なくとも第1部分を有する。すなわち、本実施形態では、第1のノズル21Aとの接続部である第1−2流路212からY方向に延びる第1−3流路213が第2の個別連通流路201Bの間に挟まれた第1部分となっている。
このように第1のノズル21Aとの接続部からY方向に延びる第1−3流路213が第1部分を有することで、第1−3流路213と第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bの局所流路である第2−3流路253とをY方向に引き離して配置しなくても済む。したがって、これら局所流路である第1−3流路213と第2−3流路253の近傍に配置される第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとを近接して設けることができ、ノズル21をY方向に高密度に配置することができる。
なお、第1−2流路212は、少なくとも第1部分を有するものであればよく、本実施形態のように第1部分だけを有するものであってもよく、また、第1部分と第2部分との両方を有するものであってもよい。
同様に、実施形態では、第2の個別連通流路201Bのうち、第2のノズル21Bとの接続部からY方向に延びる局所流路が少なくとも第1部分を有する。すなわち、本実施形態では、第2のノズル21Bとの接続部である第2−4流路254からY方向に延びる第2−3流路253が第1の個別連通流路201Aの間に挟まれた第1部分となっている。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aの第2部分の容積は、第1部分の容積よりも大きい。同様に、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bの第2部分の容積は、第1部分の容積よりも大きい。
また、本実施形態では、第1部分の第1の個別連通流路201Aと第2の圧力室列120Bに対応する個別連通流路である第2の個別連通流路201Bとを隔てる隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の最大厚さの方が大きい。例えば、図5に示すように、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212の+Z方向の端部側に設けられた第1部分である流路部212aと第2の個別連通流路201Bの第2−2流路252との間の隔壁の厚さd1よりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第1−2流路212の流路部212bを隔てる隔壁の厚さd2の方が大きくなっている。
なお、隔壁の最大厚さとは、個別連通流路201の幅が途中で変わる場合において、最も厚い隔壁の厚さのことであり、上述した位置に限定されるものではない。
また、本実施形態では、特に図示していないが、第1部分の第2の個別連通流路201Bと第1の圧力室列120Aに対応する個別連通流路である第1の個別連通流路201Aとを隔てる隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の最大厚さの方が大きい。
また、本実施形態では、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12Aを隔てる隔壁の厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の方が厚い。すなわち、図5に示すように、第1の圧力室12AをX方向で隔てる隔壁の厚さd3よりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第1−2流路212の流路部212bをX方向で隔てる隔壁の厚さd2の方が大きくなっている。
このように、第1の圧力室12Aを隔てる隔壁の厚さd3を小さくして、第1の圧力室12AをX方向に幅広に設けることで、第1の圧力室12Aの排除体積を増大させることができる。また、第1の圧力室12Aを隔てる隔壁のZ方向の高さは、第2部分を隔てる隔壁のZ方向の高さに比べて低いため、第1の圧力室12Aの隔壁の厚さに対する変形の感度が比較的低い。これに対して、第2部分を隔てる隔壁は、Z方向に高いため、第2部分の隔壁の厚さに対する変形の感度が比較的高い。したがって、第2部分を隔てる隔壁の厚さd2を、比較的厚くすることで、第2部分を隔てる隔壁の剛性を向上して、クロストークの発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、特に図示していないが、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bを隔てる隔壁の厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201A間を隔てる隔壁の方が厚い。
また、本実施形態では、第1のノズル21Aを、Z方向に沿って設けられた第1−2流路212の+Z方向の端部に連通する位置に配置している。このため、第1の圧力室12Aから第1のノズル21Aまでの第1−2流路212の横断面積を比較的大きくして、第1−2流路212の流路抵抗を小さくして、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴の重量を大きくすることができる。
同様に、本実施形態では、第2のノズル21Bを、Z方向に沿って設けられた第2−4流路254の+Z方向の端部に連通する位置に配置している。このため、第2の圧力室12Bから第2のノズル21Bまでの第2−4流路254の横断面積を比較的大きくして、第2−4流路254の流路抵抗を小さくして、第2のノズル21Bから吐出されるインク滴の重量を大きくすることができる。
すなわち、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとは、X方向に沿って並設されてノズル列である第1のノズル列22Aと第2のノズル列22Bとを構成しており、第1のノズル列22Aと第2のノズル列22Bとは、X方向に見て、Y方向にシフトして配置されている。
なお、図1に示すように、第1のノズル列22Aと第2のノズル列22BとのY方向のシフト距離L1は、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとのY方向のシフト距離L2よりも小さい。ここで第1のノズル列22Aと第2のノズル列22Bとのシフト距離L1とは、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとのY方向における中心間距離のことである。同様に第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとのY方向のシフト距離L2とは、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12BとのY方向における中心間距離のことである。
このように、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとのY方向のシフト距離L1を第1の圧力室12A及び第2の圧力室12BのY方向のシフト距離L2よりも小さくすることで、複数のノズル21をY方向に近接させて高密度に配置することができると共に、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12BをY方向に離れた位置に配置することができ、第1の圧力室列120A及び第2の圧力室列120Bのそれぞれをノズル21に比べて低密度に配置することができる。したがって、各圧力室12の排除体積を大きくすることや高密度に配置して流路基板の小型化を図ることができる。
もちろん、第1のノズル21Aを第1−3流路213の途中に連通するように配置し、第2のノズル21Bを第2−3流路253の途中に連通するように配置してもよいが、第1−3流路213及び第2−3流路253を横断する横断面積を大きくするには、連通板15をZ方向に厚くしなくてはならず、連通板15がZ方向に大型化してしまう。そして、連通板15をZ方向に大型化すると、Z方向に沿って設けられた第1−2流路212や第2−4流路254等の流路長も長くなって流路抵抗が増大するため、第1−2流路212及び第2−4流路254に直接第1のノズル21A及び第2のノズル21Bを接続する場合に比べて、第1−3流路213及び第2−3流路253は流路抵抗が大きくなり易い。したがって、第1のノズル21A及び第2のノズル21Bから吐出されるインク滴の重量が比較的小さくなる虞がある。ただし、第1のノズル21A及び第2のノズル21Bのそれぞれを第1−3流路213の途中及び第2−3流路253の途中に連通するように設けることで、第1のノズル21A及び第2のノズル21BをX方向に沿って一直線上に配置することができる。
このように第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをX方向に沿って一直線上に配置した場合であっても、第1のノズル列22Aと第2のノズル列22BとのY方向のシフト距離は、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとのY方向のシフト距離L2よりも小さくすることができる。
また、本実施形態では、個別流路200において、第1の共通液室101からノズル21までの流路抵抗と、ノズル21から第2の共通液室102までの流路抵抗とは、実質的に同じとなるように設けられている。
すなわち、第1の個別流路200Aの第1上流流路と第1下流流路とは、流路抵抗が実質的に同じとなっている。つまり、第1上流流路である第1−1流路211、第1の圧力室12A及び第1−2流路212を合わせた流路抵抗と、第1下流流路である第1−3流路213、第1−4流路214及び第1−5流路215を合わせた流路抵抗とは、実質的に同じとなるように設けられている。ここで、第1上流流路と第1下流流路との流路抵抗とは、流路を横断する断面積、流路長、及び形状によって決定されるものである。
同様に、第2の個別流路200Bの第2上流流路と第2下流流路とは、流路抵抗が実質的に同じとなっている。すなわち、第2上流流路である第2−1流路251、第2−2流路252及び第2−3流路253を合わせた流路抵抗と、第2下流流路である第2−4流路254、第2の圧力室12B及び第2−5流路255を合わせた流路抵抗とは実質的に同じとなるように設けられている。
そして、本実施形態では、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状となっている。すなわち、第1の個別流路200Aの第1上流流路と、第2の個別流路200Bの第2下流流路とは、同じ形状で且つ実質的に同じ流路抵抗となるように設けられている。同様に、第1の個別流路200Aの第1下流流路と、第2の個別流路200Bの第2上流流路とは、同じ形状で且つ実質的に同じ流路抵抗となるように設けられている。
このように、第1の個別流路200Aの第1上流流路と第1下流流路とを実質的に同じ流路抵抗とし、第2の個別流路200Bの第2上流流路と第2下流流路とを実質的に同じ流路抵抗とすることで、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとを、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状としても、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとで、第1の共通液室101からノズル21までの流路抵抗を実質的に同じとなるように揃えることができる。したがって、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴と第2のノズル21Bから吐出されるインク滴との吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができると共に、流路の構造を簡略化することができる。
また、第1の個別流路200Aの第1下流流路と第2の個別流路200Bの第2下流流路との流路抵抗を揃えることで、ノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性を揃えることができる。つまり、複数のノズル21から同時にインク滴を吐出する場合、第1の共通液室101と第2の共通液室102との両方から圧力室12にインクが供給されるため、第1下流流路と第2下流流路とを同じ流路抵抗とすることで、インクの供給量にばらつきが生じるのを抑制して、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
ちなみに、例えば、第1の個別流路200Aの第1上流流路と第1下流流路との流路抵抗が異なる場合、第1の個別流路200Aを反転させて第2の個別流路200Bとした際に、第1の個別流路200Aの第1下流流路が第2の個別流路200Bの第2上流流路となるため、第1の共通液室101からノズル21までの第1上流流路と第2上流流路とで異なる流路抵抗になってしまう。このため、第1の個別流路200Aの第1のノズル21Aと第2の個別流路200Bの第2のノズル21Bとから吐出されるインク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう。また、第1上流流路と第2上流流路とを同じ流路抵抗にするためには、第2上流流路を第1下流流路とは異なる断面積、流路長、形状等で形成しなくてはならず煩雑である。
なお、少なくとも第1の個別流路200Aの第1の共通液室101から第1のノズル21Aまでの流路である第1上流流路と、第2の個別流路200Bの第1の共通液室101から第2のノズル21Bまでの流路である第2上流流路とは、実質的に同じ流路抵抗となるように設けられていればよい。すなわち、第1上流流路と第2上流流路との流路抵抗が実質的に同じであれば、第1下流流路と第2下流流路との流路抵抗が異なっていてもよい。つまり、第1上流流路と第2上流流路との流路抵抗が実質的に同じにすることで、第1上流流路と第2上流流路との流路抵抗が異なると共に第1下流流路と第2下流流路との流路抵抗との流路抵抗が異なる場合に比べて、インク滴の吐出特性のばらつきを低減することができる。もちろん、上述のように第1上流流路と第2上流流路との流路抵抗を実質的に同じにすると共に、第1下流流路と第2下流流路との流路抵抗を実質的に同じにすることで、さらにインク滴の吐出特性のばらつきを向上することができる。
ここで、本実施形態の液体循環システムの一例であるインクジェット式記録システムについて図6を参照して説明する。なお、図6は、実施形態1に係る液体噴射システムの一例であるインクジェット式記録システムを説明するブロック図である。
図6に示すように、液体循環システムであるインクジェット式記録システム(以下、略して記録システムとも言う)は、第1の共通液室101と第2の共通液室102との何れか一方の共通液室に液体を供給すると共に、他方の共通液室から液体を回収して個別流路200内に循環流を生じさせる循環系と、上述した各実施形態の記録ヘッド1と、を具備する。
本実施形態の循環系は、メインタンク500と第1タンク501と第2タンク502とコンプレッサー503と真空ポンプ504と第1送液ポンプ505と第2送液ポンプ506とを具備する。
第1タンク501には、記録ヘッド1及びコンプレッサー503が接続されており、コンプレッサー503によって第1タンク501のインクは所定の正圧で記録ヘッド1の第1の共通液室101に供給される。
第2タンク502は、第1送液ポンプ505を介して第1タンク501と接続されており、第1送液ポンプ505によって第2タンク502のインクが第1タンク501に送液される。
また、第2タンク502には、記録ヘッド1と真空ポンプ504とが接続されており、真空ポンプ504によって記録ヘッド1の第2の共通液室102内のインクは所定の負圧で第2タンク502に回収される。
すなわち、第1タンク501から記録ヘッド1の第1の共通液室101にインクが供給され、記録ヘッド1の第2の共通液室102から第2タンク502にインクが回収される。これにより記録ヘッド1の個別連通流路201を含む個別流路200には、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流を生じさせる。そして、第1送液ポンプ505によって第2タンク502から第1タンク501へインクが送液されることで第1タンク501と第2タンク502と記録ヘッド1との間でインクが循環される。
また、第2タンク502には、第2送液ポンプ506を介してメインタンク500が接続されており、記録ヘッド1によって消費された分のインクが、メインタンク500から第2タンク502に補充される。なお、メインタンク500から第2タンク502へのインクの補充は、例えば、第2タンク502内のインクの液面が所定の高さよりも低くなった場合などのタイミングで行えばよい。
なお、本実施形態では、第1の共通液室101にインクを供給し、第2の共通液室102からインクを回収するようにしたが、特にこれに限定されず、第2の共通液室102にインクを供給し、第1の共通液室101からインクを回収するようにしてもよい。すなわち個別流路200の循環流の向きが変わった場合であっても、上述の記録ヘッド1では、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状となっているため、ノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性が変化することがない。
このような記録システムにおいて、第1の共通液室101にインクを供給すると共に、第2の共通液室102からインクを回収することで、個別流路200内に第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かうインクの循環流が生じている状態で、ノズル21からインク滴を吐出しない非吐出時において、ノズル21内の大気圧を基準としたインクの圧力差は、±2%以内、つまり、−2%以上、+2%以下であることが好ましい。すなわち、第1のノズル21A内のインクの圧力と、第2のノズル21B内のインクの圧力との圧力差は、±2%以内であることが好ましい。また、複数の第1のノズル21A内のインクの圧力差が±2%以内であることが好ましい。さらに、複数の第2のノズル21B内のインクの圧力差が±2%以内であることが好ましい。例えば、大気圧を1013hPaとした場合、ノズル21内の圧力は約1000hPa程度である。このため、ノズル21内のインクの圧力差は、最大で約20hPa程度である。
このように、個別流路200内に循環流が生じている状態で、ノズル21からインク滴の非吐出時において、ノズル21内のインクの圧力差、特に、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとの内部のインクの圧力差を±2%以内と比較的小さくすることで、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴と第2のノズル21Bから吐出されるインク滴との吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。このように、第1のノズル21A内のインクの圧力と、第2のノズル21B内のインクの圧力との差を比較的小さくするには、第1の共通液室101から第1のノズル21Aまでの第1上流流路の流路抵抗と、第1の共通液室101から第2のノズル21Bまでの第2上流流路の流路抵抗とを、ノズル21内のインクの圧力差が±2%以内と実質的に同じとなるように揃える必要がある。そして、第1の共通液室101から第1のノズル21Aまでの第1上流流路の流路抵抗と、第1の共通液室101から第2のノズル21Bまでの第2上流流路の流路抵抗とをノズル21内のインクの圧力差が±2%以内となるように形成する場合、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとを同じ形状で且つインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状とすることで容易に実現できる。
なお、第1上流流路と第1下流流路との流路抵抗、及び、第2上流流路と第2下流流路との流路抵抗や、ノズル21内のインクの圧力差は、上述したものに限定されるものではない。例えば、第1上流流路と第1下流流路との流路抵抗、及び、第2上流流路と第2下流流路との流路抵抗のそれぞれが異なる場合や、ノズル21内のインクの圧力差が±2%から外れた場合、つまり、圧力差が−2%より小さい、又は、+2%より大きくてもよい。このような場合には、第1の圧力室列120A及び第2の圧力室列120Bに対応する圧電アクチュエーター300に異なる駆動パルスを供給するようにすればよい。
ここで、本実施形態の記録システムについて説明する。なお、図7は、実施形態1に係る液体噴射システムの一例であるインクジェット式記録システムの電気的構成を説明する図である。
本実施形態の記録システムは、エネルギー発生素子である圧電アクチュエーター300に駆動パルスを供給する制御部600を備える。
制御部600は、外部インターフェース601(以下、略して外部I/F601という)と、各種データを一時的に記憶するRAM602と、制御プログラム等を記憶したROM603と、CPU等を含んで構成した制御処理部604と、クロック信号(CK)を発生する発振回路605と、記録ヘッド1へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号発生部606と、駆動信号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等を記録ヘッド1に送信する内部インターフェース607(以下、略して内部I/F607という)と、を備えている。
駆動信号発生部606は、第1駆動信号COM1を発生可能な第1駆動信号発生手段である第1駆動信号発生部606Aと、第2駆動信号COM2を発生可能な第2駆動信号発生手段である第2駆動信号発生部606Bと、を具備する。
ここで、第1駆動信号発生部606Aが生成する第1駆動信号COM1は、詳しくは後述するが、ノズル21からインク滴を吐出させるように圧電アクチュエーター300を駆動する第1吐出パルスDP1を1記録周期T内に有する信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。
また、第2駆動信号発生部606Bが生成する第2駆動信号COM2は、詳しくは後述するが、ノズルからインク滴を吐出させるように圧電アクチュエーター300を駆動する第2吐出パルスDP2を1記録周期T内に有する信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。なお、第2吐出パルスDP2は、第1吐出パルスDP1と同じ記録周期T内で同じタイミングで生成されるものである。また、記録周期Tは、駆動信号COMの繰り返し単位であり、本発明における吐出周期の一種であり、被噴射媒体に印刷する画像の1画素分に対応する。なお、第1駆動信号COM1、第2駆動信号COM2の詳細については後述する。
一方、記録ヘッド1は、第1シフトレジスタ132A及び第2シフトレジスタ132Bからなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路133A及び第2ラッチ回路133Bからなるラッチ回路と、デコーダー134と、制御ロジック135と、第1レベルシフター136A及び第2レベルシフター136Bからなるレベルシフター回路と、第1スイッチ137A及び第2スイッチ137Bからなるスイッチ回路と、圧電アクチュエーター300とを具備する。そして、各シフトレジスタ132A、132B、各ラッチ回路133A、133B、各レベルシフター136A、136B、スイッチ137A、137B及び圧電アクチュエーター300は、それぞれノズル21の各々に対応して設けられている。
この記録ヘッド1は、制御部600からの記録データ(SI)に基づいてインク滴を吐出させる。記録データは上位ビット群と下位ビット群とで構成されている。上位ビット群により第1スイッチ137Aが制御され、これにより第1駆動信号COM1が圧電アクチュエーター300に印加されると第1駆動信号COM1の波形に対応したインク滴が吐出される。また下位ビット群により第2スイッチ137Bが制御され、これにより第2駆動信号COM2が圧電アクチュエーター300に印加されると第2駆動信号COM2の波形に対応したインク滴が吐出される。
次に、駆動信号発生部606が発生する第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2と、これら第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電アクチュエーター300への供給制御について説明する。なお、図8は、駆動信号を示す駆動波形である。
図8に示した駆動信号を示す駆動波形は、第1駆動信号COM1と第2駆動信号COM2とからなる。
第1駆動信号COM1は、発振回路605から発信されるクロック信号により規定される単位周期T(吐出周期Tであって、記録周期Tともいう)毎に駆動信号発生部606の第1駆動信号発生部606Aから繰り返し生成される。単位周期Tは、記録シートSに印刷する画像等の1画素分に対応する。本実施形態では、単位周期Tにおいて駆動パルスである第1吐出パルスDP1が生成される。
同様に、第2駆動信号COM2は、第1駆動信号COM1と同じ単位周期T毎に駆動信号発生部606の第2駆動信号発生部606Bから繰り返し生成される。本実施形態では、単位周期Tにおいて駆動パルスである第2吐出パルスDP2が生成される。
具体的には、第1駆動信号COM1の第1吐出パルスDP1は、中間電位Vmが印加された状態から第1電位V1まで印加して圧力室12の容積を基準容積から膨張させる第1膨張要素P01と、第1膨張要素P01によって膨張した圧力室12の容積を一定時間維持する第1膨張維持要素P02と、第1電位V1から第2電位V2まで印加して圧力室12の容積を収縮させる第1収縮要素P03と、第1収縮要素P03によって収縮した圧力室12の容積を一定時間維持する第1収縮維持要素P04と、第2電位V2の収縮状態から中間電位Vmの基準容積まで圧力室12を復帰させる第1膨張復帰要素P05と、を具備する。
このような第1吐出パルスDP1が圧電アクチュエーター300に供給されると、圧力室12内のインクが加圧されてノズル21からインク滴が吐出される。
これに対して、第2駆動信号COM2の第2吐出パルスDP2は、中間電位Vmが印加された状態から第1電位V1まで印加して圧力室12の容積を基準容積から膨張させる第2膨張要素P11と、第2膨張要素P11によって膨張した圧力室12の容積を一定時間維持する第2膨張維持要素P12と、第1電位V1から第3電位V3まで印加して圧力室12の容積を収縮させる第2収縮要素P13と、第2収縮要素P13によって収縮した圧力室12の容積を一定時間維持する第2収縮維持要素P14と、第3電位V3の収縮状態から中間電位Vmの基準容積まで圧力室12を復帰させる第2膨張復帰要素P15と、を具備する。
これら第2駆動信号COM2の第2収縮要素P13の第1電位V1から第3電位V3までに印加される第2印加電圧ΔVBは、第1駆動信号COM1の第1収縮要素P03の第1電位V1から第2電位V2までに印加される第1印加電位ΔVAよりも小さい。本実施形態では、第2収縮要素P13の終点電位である第3電位V3を第1収縮要素P03の終点電位である第2電位V2よりも小さくすることで、第2印加電圧ΔVBを第1印加電位ΔVAよりも小さくしている。もちろん、第2吐出パルスDP2の第2収縮要素P13の始点電位である第1電位V1を、第1吐出パルスDP1の第1収縮要素P03の始点電位である第1電位V1よりも大きくすることで、第2印加電圧ΔVBを第1印加電位ΔVAよりも小さくしてもよく、始点電位と終点電位の両方の電位を変更するようにしてもよい。
このように第2吐出パルスDP2の第2印加電位ΔVBは、第1吐出パルスDP1の第1印加電位ΔVAよりも小さいため、第2吐出パルスDP2で吐出させたインク滴の方が、第1吐出パルスDP1で吐出させたインク滴に比べて重量が小さくなる。
ここで、例えば、第1の個別流路200Aの第1上流流路の流路抵抗が第1下流流路よりも大きい場合、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとを反転させた構造とすると、第2の個別流路200Bの第2上流流路の流路抵抗は、第2下流流路の流路抵抗よりも小さくなる。このため、第1のノズル21A内のインクの圧力は、第2のノズル21B内のインクの圧力に比べて小さくなり、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴の重量は第2のノズル21Bから吐出されるインク滴の重量に比べて小さくなる。
このため、本実施形態の記録システムの制御部600によって、第1の圧力室列120A及び第2の圧力室列120Bに対応する圧電アクチュエーター300に異なる駆動パルスを供給する。具体的には、インク滴の重量が小さくなる第1の個別流路200Aに対応する圧電アクチュエーター300には、第1駆動信号COM1の第1吐出パルスDP1を印加し、インク滴の重量が大きくなる第2の個別流路200Bに対応する圧電アクチュエーター300には、第2駆動信号COM2の第2吐出パルスDP2を印加する。これにより、第1のノズル21A内のインクの圧力と第2のノズル21B内のインクの圧力とに比較的大きな差が生じたとしても、圧電アクチュエーター300に印加する電圧を調整することで、第1のノズル21A及び第2のノズル21Bから吐出されるインク滴の重量のばらつきを低減して、印刷品質を向上することができる。
なお、本実施形態では、第1吐出パルスDP1の第1収縮要素P03の第1印加電位ΔVAと、第2吐出パルスDP2の第2収縮要素P13の第2印加電圧ΔVBとを変更することで、ノズル21から吐出されるインク滴の重量を変更するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1吐出パルスDP1の第1膨張要素P01と、第2吐出パルスDP2の第2膨張要素P11との印加電位及び傾きの少なくとも一方を変更することによっても吐出されるインク滴の重量を変更することができる。また、第1吐出パルスDP1の第1膨張維持要素P02と、第2吐出パルスDP2の第2膨張維持要素P12との時間成分を変更することでも吐出されるインク滴の重量を変更することができる。また、第1吐出パルスDP1の第1収縮要素P03と、第2吐出パルスDP2の第2収縮要素P13との傾きを変更することでもインク滴の重量を変更することができる。なお、これらは2以上を組み合わせて変更するようにしてもよい。
すなわち、第1吐出パルスDP1と第2吐出パルスDP2とで、インク滴の重量に関わる印加電位、傾き、時間の少なくとも一つを変更することで、インク滴の重量を変更して、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとのそれぞれから吐出されるインク滴の重量のばらつきを低減することができ、印刷品質を向上することができる。
なお、上述した構成では、第1の個別流路200Aの第1のノズル21Aと、第2の個別流路200Bの第2のノズル21Bとは、Y方向にずれた位置に配置することでノズル21がX方向に千鳥配置となるようにしたが、特にこれに限定されない。
ここで、変形例を図9〜図11に示す。なお、図9は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの変形例を示すノズル面側の平面図である。図10は、インクジェット式記録ヘッドの変形例を示す図9のD−D′線断面図である。図11は、インクジェット式記録ヘッドの変形例を示す図5のE−E′線に準じた断面図である。
図10に示すように、第1のノズル21Aは、第1の個別流路200Aの第1の個別連通流路201Aを構成する第1−3流路213の途中に連通する位置に設けられている。
また、図10に示すように、第2のノズル21Bは、第2の個別流路200Bの第2の個別連通流路201Bを構成する第2−3流路253の途中に連通する位置に設けられている。すなわち、ノズル21は、Y方向に延びる第1−3流路213及び第2−3流路253の途中に連通して配置されている。
これにより、図9に示すように、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に同じ位置に配置することができる。すなわち、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとは、X方向に見て、互いに重なるように配置することができる。つまり、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとは、X方向に沿った直線上に1列に配置することができる。
このように、ノズル21をY方向に延びる流路である第1−3流路213及び第2−3流路253の途中に連通するように配置することで、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12BとがY方向に互いにシフトした位置に配置されていても、ノズル21の位置をY方向に容易に調整することができるため、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に近い位置に配置することや、複数のノズル21をY方向に同じ位置、すなわち、X方向に沿った直線上に1列に容易に配置することができる。
このような構成では、X方向に見て、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとのY方向のシフト距離は、第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとのY方向のシフト距離よりも小さい。すなわち、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとはY方向に同じ位置に設けられているため、これらのシフト距離は0(ゼロ)であるため、ノズル21のシフト距離は、図1に示す第1の圧力室列120Aと第2の圧力室列120BとのY方向のシフト距離L2よりも小さい。
このように、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとのY方向のシフト距離を第1の圧力室12A及び第2の圧力室12BのY方向のシフト距離L2よりも小さくすることで、複数のノズル21をY方向に近接させて高密度に配置することができると共に、第1の圧力室12A及び第2の圧力室12BをY方向に離れた位置に配置することができ、第1の圧力室列120A及び第2の圧力室列120Bのそれぞれをノズル21に比べて低密度に配置することができる。したがって、各圧力室12の排除体積を大きくすることや高密度に配置して流路基板の小型化を図ることができる。
また、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に同じ位置に配置して、X方向に沿った直線上に一列に並べることで、各ノズル21からインク滴を吐出させるタイミングをずらすように調整する必要がなく、圧電アクチュエーター300の駆動制御を簡略化することができる。例えば、記録ヘッド1をY方向に移動させてインク滴を吐出させる際に、Y方向に異なる位置に配置されたノズル21から同じタイミングでインク滴を吐出させると、被噴射媒体へのインク滴の着弾位置がY方向にずれてしまうため、Y方向で同じ位置にインク滴が着弾するように、圧電アクチュエーター300の駆動タイミングを調整する必要があるからである。
また、図9に示す例では、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとがX方向に沿った直線上に配置されるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをX方向に見て、Y方向に互いにシフトして配置すると共に、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとのY方向のシフト距離が、第1の圧力室12Aと第2の圧力室12BとのY方向のシフト距離L2よりも小さくするようにしてもよい。すなわち、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとがX方向に沿って千鳥状に配置されると共に、第1のノズル21Aは第1−3流路213に連通し、第2のノズル21Bが第2−3流路253に連通するようにしてもよい。
また、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に延設された流路である第1−3流路213及び第2−3流路253に連通させることで、ノズル21によって乾燥することによって増粘したインクや、ノズル21から侵入した気泡が、連通板15とノズルプレート20との境界の角部、すなわち、第1−2流路212及び第2−4流路254の+Z方向の端部のノズルプレート20とによって画成された角部に滞留するのを抑制して、ノズル21による増粘したインクや気泡を循環流における第1下流流路及び第2下流流路を介して第2の共通液室102に排出することができる。また、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に延設された流路である第1−3流路213及び第2−3流路253に連通させることで、ノズル21から侵入した気泡は、浮力によって圧力室12に向かって−Z方向に移動するのを抑制することができ、循環流における第1下流流路及び第2下流流路を介して第2の共通液室102に排出することができる。したがって、増粘したインクや気泡によって吐出不良が発生するのを抑制することができる。
また、上述した例では、第1の個別連通流路201Aの第1−4流路214及び第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる位置のみに配置するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1−4流路214及び第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの第2の圧力室12Bに部分的に重なる位置に配置されていてもよい。すなわち、第1の圧力室列120Aに対応する個別連通流路201である第1の個別連通流路201Aは、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分を有するとは、第1の個別連通流路201Aの少なくともある一部が、Z方向に見て、第2の圧力室12B間の領域に重なっていればよく、他の一部が、Z方向に見て、第2の圧力室12Bに重なっているものも含む。
ここで、このような記録ヘッド1の変形例を図12に示す。なお、図12は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの流路構成を示す平面図である。
図12に示すように、第1の個別連通流路201Aの第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と、第2の圧力室12Bの一部と、の両方に重なる位置に配置されている。また、第1−4流路214は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる位置のみに設けられている。すなわち、第1−5流路215と第2の圧力室12Bとは、Z方向に見て、一部が互いに重なる位置に配置されている。このように第1−5流路215と第2の圧力室12BとがZ方向に見て、一部が互いに重なる位置に配置された構成は、第1−4流路214と第2の圧力室列120Bとが、X方向に見て、互いに重ならないように配置されていることで可能となる。
このように、第1の個別連通流路201Aの第1−5流路215は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と、第2の圧力室12Bとに重なる位置に配置することで、第2の圧力室12BのX方向の幅を比較的広く形成することができ、第2の圧力室12Bの排除体積を増大させて、第2のノズル21Bから吐出されるインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量を増大させることができる。
また、第1−5流路215を第2の圧力室12Bと重なる位置までX方向に幅広に形成することができるため、第1−5流路215の横断面積を広げて流路抵抗及びイナータンスを低減することができる。
また、第2の個別連通流路201Bについても同様に、上述した例では第2の個別連通流路201Bの第2−1流路251及び第2−2流路252は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aにおける隣接する第1の圧力室12A間の領域である隔壁と重なる位置のみに配置されるようにしたが、特にこれに限定されない。
図12に示すように、第2の個別連通流路201Bの第2−1流路251は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と、第1の圧力室12Aと、の両方に重なる位置に配置されている。また、第2−2流路252は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と重なる位置のみに設けられている。すなわち、第2−1流路251と第1の圧力室12Aとは、Z方向に見て、一部が互いに重なる位置に配置されている。このように第2−1流路251と第1の圧力室12AとがZ方向に見て、一部が互いに重なる位置に配置された構成は、第2−1流路251と第1の圧力室列120Aとが、X方向に見て、互いに重ならないように配置されていることで可能となる。
このように、第2の個別連通流路201Bの第2−1流路251は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と、第1の圧力室12Aとに重なる位置に配置することで、第1の圧力室12AのX方向の幅を比較的広く形成することができ、第1の圧力室12Aの排除体積を増大させて、第1のノズル21Aから吐出されるインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量を増大させることができる。
また、第2−1流路251を第1の圧力室12Aと重なる位置までX方向に幅広に形成することができるため、第2−1流路251の横断面積を広げて流路抵抗及びイナータンスを低減することができる。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。また、図14は、実施形態2に係る記録ヘッドの断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13及び図14に示すように、本実施形態の連通板15は1枚の基板で構成されている。また、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板49には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
また、個別流路200としては、図13に示すように、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを有する第1の個別流路200Aと、図14に示すように、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを有する第2の個別流路200Bと、が設けられている。
図13に示すように、第1の個別連通流路201Aは、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−6流路216と第1−7流路217と第1−8流路218とを有する。
本実施形態の第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213とは、上述した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。
第1−6流路216は、一端が第1−3流路213に連通し、他端が連通板15の−Z方向の面に開口するように連通板15をZ方向に貫通して設けられている。
この第1−6流路216は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分となっている。本実施形態では、第1−6流路216は、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁に重なる領域のみに配置されている。
また、第1−6流路216は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。すなわち、第1−6流路216は、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254を間に挟んでX方向に並設されている。
第1−7流路217は、流路形成基板10にY方向に沿って設けられている。すなわち、第1−7流路217は、流路形成基板10に+Z方向の面に開口する凹部を設け、凹部を連通板15によって覆うことで形成されている。
このような第1−7流路217は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重なるように配置されている。このため、第1−7流路217は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。
第1−8流路218は、一端が第1の圧力室12Aの−Y方向の端部と連通し、他端が第2の共通液室102の−Z方向の端部に連通するようにZ方向に沿って設けられている。
この第1−8流路218は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分となっている。
また、第1−8流路218は、第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。すなわち、第1−8流路218は、第2の個別連通流路201Bの第2−5流路255を間に挟んでX方向に並設されている。
また、図14に示すように、第2の個別連通流路201Bは、第2−6流路256と第2−7流路257と第2−8流路258と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを具備する。
本実施形態の第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とは、上述した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。
第2−6流路256は、一端が第1の共通液室101の−Z方向の端部に連通し、他端が第2の圧力室12Bの+Y方向の端部に連通するようにZ方向に沿って設けられている。
この第2−6流路256は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分となっている。
また、第2−6流路256は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。すなわち、第2−6流路256は、第1の個別連通流路201Aの第1−1流路211を間に挟んでX方向に並設されている。
第2−7流路257は、流路形成基板10にY方向に沿って設けられている。すなわち、第2−7流路257は、流路形成基板10に+Z方向の面に開口する凹部を設け、凹部を連通板15によって覆うことで形成されている。
このような第2−7流路257は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12Aの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重なる部分となっている。このため、第2−7流路257は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。
第2−8流路258は、一端が第2−3流路253に連通し、他端が第2−7流路257の−Y方向の端部に連通するように連通板15をZ方向に貫通して設けられている。
この第2−8流路258は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分となっている。
また、第2−8流路258は、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。すなわち、第2−8流路258は、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212を間に挟んでX方向に並設されている。
このように、本実施形態では、第1−7流路217と第2−7流路257とを流路形成基板10に設けることで、連通板15をZ方向の厚さの途中でY方向に沿って設けられた流路を設ける必要がなく、連通板15を1枚の基板で形成することができ、記録ヘッド1の構造を簡略化して部品点数を減少させてコストを低減することができる。
(実施形態3)
図15は、本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。また、図16は、実施形態3に係る記録ヘッドの断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15及び図16に示すように、本実施形態の連通板15は、1枚の基板で構成されている。また、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板49には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
個別流路200としては、図15に示すように、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを有する第1の個別流路200Aと、図16に示すように、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを有する第2の個別流路200Bと、が設けられている。
図15に示すように、第1の個別連通流路201Aは、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−6流路216と第1−9流路219とを具備する。
本実施形態の第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−6流路216とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第1−9流路219は、連通板15の−Z方向の面に開口する凹部を形成し、この凹部の開口を流路形成基板10で蓋をすることでY方向に沿って形成されている。
また、第1−9流路219は、−Y方向の端部で第2の共通液室102の−Z方向の端部と連通して設けられている。
この第1−9流路219は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分となっている。本実施形態では、第1−9流路219は、Z方向に見て、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁に重なる位置のみに設けられている。
また、第1−9流路219の+Y方向の端部側の流路部219aは、詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第1−9流路219の+Y方向の端部側の流路部219aは、第1部分となっている。
また、第1−9流路219の−Y方向の端部側の流路部219bは、第2の個別連通流路201Bの第2−5流路255を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第1−9流路219の−Y方向の端部側の流路部219bは、第1部分となっている。
さらに、第1−9流路219の端部側の流路部219a、219bに挟まれた流路部219cは、第2の個別連通流路201Bを間に挟むことなくX方向に並設された第2部分となっている。
このような第1の個別連通流路201Aでは、第2の個別連通流路201Bを間に挟んでX方向に並設された第1部分として、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−6流路216と第1−9流路219の流路部219a、219bとを有する。
また、第1の個別連通流路201Aでは、第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分として、第1−9流路219の流路部219cを有する。
また、図16に示すように、第2の個別連通流路201Bは、第2−9流路259と第2−8流路258と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを有する。
本実施形態の第2−8流路258と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第2−9流路259は、連通板15の−Z方向の面に開口する凹部を形成し、この凹部の開口を流路形成基板10で蓋をすることでY方向に沿って形成されている。
また、第2−9流路259は、+Y方向の端部で第1の共通液室101の−Z方向の端部と連通して設けられている。
この第2−9流路259は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分となっている。本実施形態では、第2−9流路259は、Z方向に見て、第1の圧力室12AをX方向で隔てる隔壁に重なる位置のみに設けられている。
また、第2−9流路259の+Y方向の端部側の流路部259aは、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aの第1−1流路211を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第2−9流路259の+Y方向の端部側の流路部259aは、第1部分となっている。
また、第2−9流路259の−Y方向の端部側の流路部259bは、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第2−9流路259の−Y方向の端部側の流路部259bは、第1部分となっている。
さらに、第2−9流路259の流路部259a、259bに挟まれた流路部259cは、第1の個別連通流路201Aを間に挟むことなくX方向に並設された第2部分となっている。
このような第2の個別連通流路201Bでは、第1の個別連通流路201Aを間に挟んでX方向に並設された第1部分として、第2−9流路259の流路部259a、259bと第2−8流路258と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを有する。
また、第2の個別連通流路201Bでは、第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設された第2部分として、第2−9流路259の流路部259cを有する。
このように、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第1の個別連通流路201Aを挟んでX方向に並設された第1部分と、第1の個別連通流路201Aを挟まずにX方向に並設された第2部分とを有する。すなわち、本実施形態の第2の個別連通流路201Bは、第1部分として第2−9流路259の流路部259a、259bと第2−8流路258と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを有し、第2部分として第2−9流路259の流路部259cを有する。
また、本実施形態では、第1−9流路219と第2−9流路259とを連通板15の−Z方向の面に開口するように設けることで、連通板15をZ方向の厚さの途中でY方向に沿って設けられた流路を設ける必要がなく、連通板15を1枚の基板で形成することができ、記録ヘッド1の構造を簡略化して部品点数を減少させてコストを低減することができる。
(実施形態4)
図17は、本発明の実施形態4に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。図18は、本発明の実施形態4に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図であって、図1のB−B′線に準じた断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の記録ヘッド1は、ノズルプレート20とコンプライアンス基板49とが一体となったものである。
具体的には、図17及び図18に示すように、ノズルプレート20は、第1の共通液室101及び第2の共通液室102の開口を覆う大きさで設けられている。このようなノズルプレート20の第1の共通液室101及び第2の共通液室102のそれぞれの壁の一部を構成する部分には、コンプライアンス部494が設けられている。すなわち、ノズルプレート20の第1の共通液室101に対応する部分には、第1コンプライアンス部494Aが設けられており、第2の共通液室102に対応する部分には、第2コンプライアンス部494Bが設けられている。
本実施形態では、ノズルプレート20を、ポリイミド等の樹脂材料で製造されたフィルムで形成することで、ノズルプレート20の第1の共通液室101及び第2の共通液室102を画成する壁のそれぞれをコンプライアンス部494として機能するようにした。
このように、第1の共通液室101と第2の共通液室102とのそれぞれの壁面の一部に、インクの圧力を吸収可能なコンプライアンス部494を設けることで、第1の共通液室101及び第2の共通液室102内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494が変形することによって吸収することができ、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、ノズルプレート20の一部にコンプライアンス部494を設けたため、ノズルプレート20とコンプライアンス部494とは、個別流路200に対して同じ+Z方向側に配置されている。
このようにコンプライアンス部494をノズル21と同じ側に配置することで、ノズル21が設けられていない領域にコンプライアンス部494を設けることができ、コンプライアンス部494を比較的広い面積で設けることができる。また、コンプライアンス部494とノズル21とを同じ側に配置することで、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収させることができる。
また、ノズルプレート20が第1の共通液室101及び第2の共通液室102の開口を覆うため、連通板15の+Z方向の面のうち、第1の共通液室101とノズル21との間、及び、第2の共通液室102とノズル21との間は、ノズルプレート20で覆われている。このため、ノズルプレート20と連通板15との接合界面に第1の共通液室101及び第2の共通液室102に連通する個別流路200を形成することができる。このため、本実施形態の連通板15は、複数の基板を積層して構成する必要がなく、1枚の基板で構成されている。
ここで、本実施形態の流路基板である流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、ケース部材40等には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
個別流路200としては、図17に示すように、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを有する第1の個別流路200Aと、図18に示すように、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを有する第2の個別流路200Bと、が設けられている。
図17に示すように、第1の個別連通流路201Aは、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−10流路220とを具備する。
本実施形態の第1−1流路211と第1−2流路212とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第1−10流路220は、+Y方向の一端が第1−2流路212と連通し、−Y方向の他端が第2の共通液室102の+Y方向の端部と連通するように、Y方向に沿って延設されている。本実施形態の第1−10流路220は、連通板15にZ方向の面に開口する凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第1−10流路220は特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、凹部を連通板15によって蓋をするようにしてもよく、連通板15とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
このような第1−10流路220は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分を−Y方向の端部側に有する。なお、第1−10流路220のY方向の端部は、Z方向に見て、第2の圧力室12Bの間の領域の外側まで延設されている。また、本実施形態では、第1−10流路220は、Z方向に見て、第2の圧力室12BをX方向で隔てる隔壁に重なる位置のみに設けられている。
また、第1−10流路220は、+Y方向の端部側の流路部220aが、詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bの第2−10流路260を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第1−10流路220の+Y方向の端部側の流路部220aは、第1部分となっている。
また、第1−10流路220は、−Y方向の端部側の流路部220bが、詳しくは後述する第2の個別連通流路201Bを間に挟むことなくX方向に並設されている。すなわち、第1−10流路220の−Y方向の端部側の流路部220bは、第2部分となっている。
また、図18に示すように、第2の個別連通流路201Bは、第2−10流路260と第2−4流路254と第2−5流路255とを有する。
本実施形態の第2−4流路254と第2−5流路255とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第2−10流路260は、+Y方向の一端が第1の共通液室101と連通し、−Y方向の他端が第2−4流路254と連通するように、Y方向に沿って延設されている。本実施形態の第2−10流路260は、連通板15にZ方向の面に開口する凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第2−10流路260は特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、凹部を連通板15によって蓋をするようにしてもよく、連通板15とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
このような第2−10流路260は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分を+Y方向の端部側に有する。なお、第2−10流路260の−Y方向の端部は、Z方向に見て、第1の圧力室12Aの間の領域の外側まで延設されている。また、本実施形態では、第2−10流路260は、Z方向に見て、第1の圧力室12AをX方向で隔てる隔壁に重なる位置のみに設けられている。
また、第2−10流路260は、−Y方向の端部側の流路部260aが、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aの第1−10流路220を間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第2−10流路260の−Y方向の端部側の流路部260aは、第1部分となっている。
また、第2−10流路260は、+Y方向の端部側の流路部260bが、第1の個別連通流路201Aを間に挟むことなくX方向に並設されている。すなわち、第2−10流路260の+Y方向の端部側の流路部260bは、第2部分となっている。
このように、本実施形態では、第1−9流路219と第2−9流路259とを連通板15の−Z方向の面に開口するように設けることで、連通板15をZ方向の厚さの途中でY方向に沿って設けられた流路を設ける必要がなく、連通板15を1枚の基板で形成することができ、記録ヘッド1の構造を簡略化して部品点数を減少させてコストを低減することができる。
また、本実施形態では、ノズルプレート20で第1の共通液室101及び第2の共通液室102の開口を覆い、ノズルプレート20にコンプライアンス部494を設けることで、個別流路200として、第1の共通液室101及び第2の共通液室102とノズル21とを接続する流路、すなわち、第1−10流路220及び第2−10流路260をノズルプレート20と連通板15との接合界面に設けることができる。したがって、個別流路200の構成を簡略化することができ圧力損失を低減することができる。また、第1の共通液室101及び第2の共通液室102とノズル21とを連通する流路である第1−10流路220及び第2−10流路260をノズルプレート20と連通板15との間に設けることで、連通板15を複数の基板を積層して構成する必要がなく、1枚の基板で製造することができるため、連通板15のZ方向の厚さを比較的薄くして、圧力室12とノズル21とを接続する流路長を短くすることができる。これにより、圧力室12からノズル21までの流路の流路抵抗を小さくして、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
また、連通板15を複数の基板を積層して構成する必要がなく、また、上述した実施形態1のようにコンプライアンス基板49をノズルプレート20と別途設ける必要がないため、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
また、上述した例では、ノズルプレート20をポリイミド等の樹脂材料で製造するようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、ノズルプレートの変形例を図19及び図20を参照して説明する。なお、図19は、実施形態4の記録ヘッドの変形例を示す断面図であり、図1のA−A′線に準じた断面図である。図20は、実施形態4の記録ヘッドの変形例を示す断面図であり、図1のB−B′線に準じた断面図である。
図19及び図20に示すように、ノズルプレート20を樹脂フィルムに比べて剛性が高いステンレス鋼等の金属材料で製造し、ノズルプレート20の第1の共通液室101及び第2の共通液室102の壁を形成する部分の厚みを他の部分に比べて薄くすることでノズルプレート20にコンプライアンス部494が形成されている。すなわち、ノズルプレート20の第1の共通液室101及び第2の共通液室102に対応する領域を、ノズル21が形成される領域に比べて薄くする。これにより、ノズルプレート20の第1の共通液室101に対応する部分にはノズル21が形成された領域に比べて剛性が低い第1コンプライアンス部494Aが形成され、第2の共通液室102に対応する部分にはノズル21が形成された領域に比べて剛性が低い第2コンプライアンス部494Bが形成されている。このように、ノズルプレート20を比較的高い剛性の材料で形成しても、第1の共通液室101及び第2の共通液室102を塞ぐ部分の厚さを薄くすることで変形し易くして、第1の共通液室101及び第2の共通液室102の壁の一部に容易にコンプライアンス部494を形成することができる。
また、連通板15とノズルプレート20との間に、封止膜491を設けるようにしてもよい。このような例を図21及び図22を参照して説明する。なお、図21は、実施形態4の記録ヘッドの変形例を示す断面図であり、図1のA−A′線に準じた断面図である。図22は、実施形態4の記録ヘッドの変形例を示す断面図であり、図1のB−B′線に準じた断面図である。
図21及び図22に示すように、ノズルプレート20は、第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口を覆わない大きさで設けられており、第1の共通液室101及び第2の共通液室102が開口するZ方向の面、すなわち、Z方向でノズルプレート20に向かう面は、封止膜491で封止されている。すなわち、連通板15のZ方向の面には、封止膜491とノズルプレート20とがこの順番に積層されている。そして、ノズルプレート20を第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口を覆わない大きさで設けることで、第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口は、封止膜491のみで封止されたコンプライアンス部494、すなわち、第1コンプライアンス部494A及び第2コンプライアンス部494Bとなっている。ちなみに、図21に示すように、第1のノズル21Aと第1−2流路212とを連通する部分には、第1のノズル21Aよりも大きな第1開口495Aが設けられており、第1−2流路212から第1のノズル21Aに向かうインクの流れを阻害しないようになっている。なお、第1開口495Aは、第1のノズル21Aよりも大きい開口面積で設けられていれば、第1−2流路212よりも大きくてもよく、また、第1−2流路212よりも小さくてもよい。同様に、図22に示すように、第2のノズル21Bと第2−4流路254とを連通する部分には、第2のノズル21Bよりも大きな第2開口495Bが設けられており、第2−4流路254から第2のノズル21Bに向かうインクの流れを阻害しないようになっている。なお、第2開口495Bは、第2のノズル21Bよりも大きい開口面積で設けられていれば、第2−4流路254よりも大きくてもよく、また、第2−4流路254よりも小さくてもよい。
このような構成であっても、封止膜491と連通板15との間に個別流路200、すなわち、第1−10流路220及び第2−10流路260を形成することができるため、個別流路200の構造を簡略化して、複数の基板を積層して連通板15を製造する必要がなく、連通板15を1枚の基板で製造することができる。また、ノズルプレート20の面積を小さくすることができるため、コストを低減することができる。
(実施形態5)
図23は、本発明の実施形態5に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの図1のA−A′線に準じた断面図である。図24は、実施形態5に係るインクジェット式記録ヘッドの図1のB−B′線に準じた断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図23及び図24に示すように、流路基板である流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49、ケース部材40等には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
第1の共通液室101を構成する第1連通部16は、−Z方向に設けられた第1幅狭部16aと、Z方向に設けられた第1幅広部16bと、を具備する。
第1幅狭部16aは、第1連通板151の+Z方向の面に開口するように+Z方向の端部に設けられており、第1幅広部16bは、第2連通板152に設けられている。
また、第1幅狭部16aと第1幅広部16bとは、X方向において同じ幅で設けられており、Y方向において第1幅広部16bの方が第1幅狭部16aよりも広い幅で形成されている。また、第1幅広部16bは、第1幅狭部16aよりも−Y方向に拡幅して設けられている。つまり、第1幅広部16bの+Y方向の端部は、第1幅狭部16aと同じ位置に設けられており、第1幅広部16bの−Y方向の端部は、第1幅狭部16aよりもさらに−Y方向の外側に配置されている。
第2の共通液室102を構成する第2連通部17は、−Z方向に設けられた第2幅狭部17aと、Z方向に設けられた第2幅広部17bと、を具備する。
第2幅狭部17aは、第1連通板151の+Z方向の面に開口するように+Z方向の端部に設けられており、第2幅広部17bは、第2連通板152に設けられている。
また、第2幅狭部17aと第2幅広部17bとは、X方向において同じ幅で設けられており、Y方向において第2幅広部17bの方が第2幅狭部17aよりも広い幅で形成されている。また、第2幅広部17bは、第2幅狭部17aよりも+Y方向に拡幅して設けられている。つまり、第2幅広部17bの−Y方向の端部は、第2幅狭部17aと同じ位置に設けられており、第2幅広部17bの+Y方向の端部は、第2幅狭部17aよりもさらに+Y方向の外側に配置されている。
このような第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口は、コンプライアンス基板49によって覆われている。ここで、コンプライアンス基板49が覆う第1の共通液室101の第1幅広部16bの開口面積は、第1幅狭部16aの開口面積よりも大きい。したがって、第1幅狭部16aの開口面積に対して第1コンプライアンス部494Aを設けた場合に比べて、第1幅広部16bの比較的広い開口面積に対して第1コンプライアンス部494Aを設けることで、第1コンプライアンス部494Aの面積を大きくすることができる。
同様に、コンプライアンス基板49が覆う第2の共通液室102の第2幅広部17bの開口面積は、第2幅狭部17aの開口面積よりも大きい。したがって、第2幅狭部17aの開口面積に対して第2コンプライアンス部494Bを設けた場合に比べて、第2幅広部17bの比較的広い開口面積に対して第2コンプライアンス部494Bを設けることで、第2コンプライアンス部494Bの面積を大きくすることができる。
このように第1の共通液室101及び第2の共通液室102の開口を覆うコンプライアンス部494の面積を比較的大きくすることで、第1の共通液室101及び第2の共通液室102内のインクの圧力変動に対応するコンプライアンス部494の変形の反応性を向上することができ、インク滴の吐出周期を短くして、高速印刷を実現することができる。
また、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
本実施形態では、個別流路は、第1のノズル21Aに連通する第1の個別流路200Aと、第2のノズル21Bに連通する第2の個別流路200Bとを有する。
個別流路200としては、図23に示すように、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを有する第1の個別流路200Aと、図24に示すように、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを有する第2の個別流路200Bと、が設けられている。
図23に示すように、第1の個別連通流路201Aは、第1−1流路211と第1−11流路221と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215とを具備する。
本実施形態の第1−1流路211と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第1−11流路221は、+Z方向の開口が、−Z方向の開口よりも−Y方向となるように形成されている。
ここで、第1−11流路221の+Z方向の開口が、−Z方向の開口よりも−Y方向となるように形成されているとは、Z方向に見て、第1−11流路221の+Z方向の開口が、第1−11流路221の−Z方向の開口よりも−Y方向にずれた位置に配置されていることを言う。ちなみに、Z方向に見て、第1−11流路221の+Z方向の開口と−Z方向の開口との一部が重なっていてもよいが、第1−11流路221の+Z方向の開口と−Z方向の開口との何れか一方が、他方に完全に重なったものは含まれない。
具体的には、第1−11流路221は、第1−12流路222と第1−13流路223と第1−14流路224とを具備する。
第1−12流路222は、−Z方向の一端が第1の圧力室12Aの−Y方向の端部に連通するように、第1連通板151をZ方向に貫通して設けられている。
第1−13流路223は、第1−12流路222の+Z方向の他端に連通して、第1連通板151と第2連通板152との間にY方向に沿って延設されている。第1−13流路223は、本実施形態では、第2連通板152に−Z方向の面に開口する凹部を形成し、第2連通板152の凹部の開口を第1連通板151で覆うことで形成されている。もちろん、第1−13流路223は特にこれに限定されず、第1連通板151に凹部を形成するようにしてもよく、第1連通板151及び第2連通板152の両方に凹部を形成するようにしてもよい。
第1−14流路224は、第1−13流路223の−Y方向の端部に連通するように、第2連通板152をZ方向に貫通して設けられている。
このように、第1−11流路221の途中にY方向に沿って延設された第1−13流路223を設けることで、第1−14流路224を第1−12流路222に対して−Y方向に異なる位置に移動させることができる。そして、第1−14流路224を−Y方向に移動することで、第1の共通液室101の第1幅広部16bを第1幅狭部16aよりも−Y方向に向かって拡幅することができる。ちなみに、第1コンプライアンス部494Aの面積を広くするために、第1の共通液室101のZ方向の面の開口を+Y方向に向かって広げると、連通板15がY方向に大型化してしまう。本実施形態では、第1−11流路221の+Z方向の開口を、−Z方向の開口よりも−Y方向に配置することで、第1の共通液室101の+Z方向の面の開口を−Y方向に向かって広げることができるため、連通板15がY方向に大型化するのを抑制して、第1コンプライアンス部494Aの面積を広げることができる。
また、本実施形態の第1−4流路214は、第2の共通液室102に第2幅広部17bを設けた分だけ、+Y方向に移動して配置されている。このため、本実施形態の第1−4流路214は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bの間の領域である隔壁と重ならない位置に配置されている。
すなわち、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aは、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分として第1−5流路215を有する。
また、第1−11流路221の第1−13流路223と第1−14流路224とは、詳しくは後述する第2の圧力室列120Bに対応する第2の個別連通流路201Bの第2−1流路251と第2−2流路252とをそれぞれ間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第1−13流路223と第1−14流路224とは、第1部分となっている。
また、第1−11流路221の第1−12流路222は、詳しくは後述する第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設されている。すなわち、第1−12流路222は、第2部分となっている。
また、第1−5流路215の+Y方向の端部側の流路部215aは、第2の個別連通流路201Bの第2−13流路263を間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。
また、第1−5流路215の−Y方向の端部側の流路部215bは、第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
つまり、第1の個別連通流路201Aは、第1部分として、第1−1流路211と第1−13流路223と第1−14流路224と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215の+Y方向の端部側の流路部215aとを有する。
また、第1の個別連通流路201Aは、第2部分として、第1−5流路215の−Y方向の端部側の流路部215bと第1−12流路222とを有する。
また、図24に示すように、第2の個別連通流路201Bは、第2−1流路251と第2−2流路252と第2−3流路253と第2−11流路261と第2−5流路255とを具備する。
本実施形態の第2−1流路251と第2−2流路252と第2−3流路253と第2−5流路255とは、上述した実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
第2−11流路261は、+Z方向の開口が、−Z方向の開口よりも+Y方向となるように形成されている。
ここで、第2−11流路261の+Z方向の開口が、−Z方向の開口よりも+Y方向となるように形成されているとは、Z方向に見て、第2−11流路261の+Z方向の開口が、第2−11流路261の−Z方向の開口よりも+Y方向にずれた位置に配置されていることを言う。ちなみに、Z方向に見て、第2−11流路261の+Z方向の開口と−Z方向の開口との一部が重なっていてもよいが、第2−11流路261の+Z方向の開口と−Z方向の開口との何れか一方が、他方に完全に重なったものは含まれない。
具体的には、第2−11流路261は、第2−12流路262と第2−13流路263と第2−14流路264とを具備する。
第2−12流路262は、−Z方向の一端が第2の圧力室12Bの+Y方向の端部に連通するように、第1連通板151をZ方向に貫通して設けられている。
第2−13流路263は、第2−12流路262の+Z方向の他端に連通して、第1連通板151と第2連通板152との間にY方向に沿って延設されている。第2−13流路263は、本実施形態では、第2連通板152に−Z方向の面に開口する凹部を形成し、第2連通板152の凹部の開口を第1連通板151で覆うことで形成されている。もちろん、第2−13流路263は特にこれに限定されず、第1連通板151に凹部を形成するようにしてもよく、第1連通板151及び第2連通板152の両方に凹部を形成するようにしてもよい。
第2−14流路264は、第2−13流路263の+Y方向の端部に連通するように、第2連通板152をZ方向に貫通して設けられている。
このように、第2−11流路261の途中にY方向に沿って延設された第2−13流路263を設けることで、第2−14流路264を第2−12流路262に対して+Y方向に異なる位置に移動させることができる。そして、第2−14流路264を+Y方向に移動することで、第2の共通液室102の第2幅広部17bを第2幅狭部17aよりも+Y方向に向かって拡幅することができる。ちなみに、第2コンプライアンス部494Bの面積を広くするために、第2の共通液室102の+Z方向の面の開口を−Y方向に向かって広げると、連通板15がY方向に大型化してしまう。本実施形態では、第2−11流路261のZ方向の開口を、−Z方向の開口よりも+Y方向に配置することで、第2の共通液室102の+Z方向の面の開口を+Y方向に向かって広げることができるため、連通板15がY方向に大型化するのを抑制して、第2コンプライアンス部494Bの面積を広げることができる。
また、本実施形態の第2−2流路252は、第1の共通液室101に第1幅広部16bを設けた分だけ、−Y方向に移動して配置されている。このため、本実施形態の第2−2流路252は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12Aの間の領域である隔壁と重ならない位置に配置されている。
すなわち、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bは、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12A間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分として第2−1流路251を有する。
また、第2−13流路263と第2−14流路264とは、第1の圧力室列120Aに対応する第1の個別連通流路201Aの第1−5流路215と第1−4流路214とをそれぞれ間に挟んでX方向に並設されている。すなわち、第2−13流路263と第2−14流路264とが第1部分となっている。
また、第2−11流路261の第2−12流路262は、第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設されている。すなわち、第2−12流路262は、第2部分となっている。
また、第2−11流路261の−Y方向の端部側の流路部251aは、第1の個別連通流路201Aの第1−13流路223を間に挟んでX方向に並設された第1部分となっている。
また、第2−11流路261の+Y方向の端部側の流路部251bは、第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
つまり、第2の個別連通流路201Bは、第1部分として、第2−1流路251の−Y方向の端部側の流路部251aと第2−2流路252と第2−3流路253と第2−14流路264と第2−13流路263とを有する。
また、第2の個別連通流路201Bは、第2部分として、第2−1流路251の+Y方向の端部側の流路部251bと第2−5流路255とを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる局所流路が、第1部分と第2部分とを有する。すなわち、上述のように、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる第1−14流路224が第1部分となっており、Z方向に延びる第1−12流路222が第2部分となっている。このため、本実施形態では、第1−14流路224と第1−12流路222とがこのような局所流路に相当する。
なお、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、Z方向に延びる局所流路が第1部分と第2部分とを有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、Z方向に延びる第2−14流路264が第1部分となっており、Z方向に延びる第2−12流路262が第2部分となっている。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、本実施形態では、第1−11流路221が、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路であって、第1−11流路221のうち第1−12流路222が、第2の個別連通流路201Bを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
また、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第2の圧力室12Bと第2のノズル21Bとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、第2−11流路261が第2の圧力室12Bと第2のノズル21Bとをつなぐ局所流路であると共に、第2−11流路261のうち第2−12流路262が、第1の個別連通流路201Aを間に挟まずにX方向に並設された第2部分となっている。
また、本実施形態では、図23に示すように、第1の共通液室101には、第1幅狭部16aと第1幅広部16bとによって段差が設けられているため、この段差に気泡が滞留し易い。しかしながら、本実施形態では、図24に示すように、段差部分には、第2の個別流路200Bの第2−1流路251が開口しているため、段差によって滞留した気泡は第2の個別流路200Bを介して第2の共通液室102に排出される。したがって、第1の共通液室101内に気泡が滞留するのを抑制して、第1の共通液室101の気泡が成長し、圧力室12へのインクの供給不良や、気泡が予期せぬタイミングで圧力室12に流れ込むことによるインク滴の吐出不良等を抑制することができる。
また、第2の共通液室102にも第2幅狭部17aと第2幅広部17bとによって段差が設けられているが、段差の気泡は、第2の共通液室102内のインクの流れによって排出口44に向かって移動するため、気泡が第2の共通液室102内で成長することや、圧力室12内に流れ込むのを抑制することができる。
このように、圧力室12とノズル21とを連通する連通路である第1−14流路224及び第2−14流路264をY方向において互いに近づけるように配置することで、連通板15がY方向に大型化することなく、第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口面積が広くなるように拡幅することができ、コンプライアンス部494を広い面積で形成して、個別流路200内のインクの圧力変動を第1の共通液室101及び第2の共通液室102のコンプライアンス部494で吸収することができる。したがって、インク滴の吐出特性のばらつきを低減して、インク滴の吐出を安定させることができる。
また、本実施形態では、第1の共通液室101の第1連通部16に第1幅狭部16aと第1幅広部16bを設けることで、第1の共通液室101のノズル21側の開口面積を流路形成基板10側の開口面積よりも広げるようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、第1の共通液室101と第2の共通液室102との変形例を図25及び図26を参照して説明する。なお、図25は、実施形態5の記録ヘッドの変形例を示す断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。図26は、実施形態5の記録ヘッドの変形例であって、図1のB−B′線に準じた断面図である。
図25及び図26に示すように、第1の共通液室101の第1連通部16の−Y方向の側面は、+Z方向の端部が−Z方向の端部よりも−Y方向の位置となるように傾斜して設けられている。
同様に、第2の共通液室102の第2連通部17の+Y方向の側面は、+Z方向の端部が−Z方向の端部よりも+Y方向の位置となるように傾斜して設けられている。
このような構成であっても、上述したように第1の共通液室101及び第2の共通液室102のZ方向の面の開口の開口面積を広げて、コンプライアンス部494を比較的広い面積で形成することができる。また、第1の共通液室101の側面に段差を設けることなく、側面を傾斜させることで、段差に気泡が滞留するのを抑制することができる。もちろん、このような傾斜した側面は、図23、24に示す第1幅広部16b及び第2幅広部17bの側面のみに適用してもよい。
また、本実施形態では、第1−11流路221と第2−11流路261とのそれぞれの途中にY方向に沿って設けられた第1−13流路223と第2−13流路263とを設けることで、第1−11流路221と第2−11流路261のZ方向の面の開口を−Z方向の面の開口よりもY方向においてノズル21に近づける位置に移動するようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、第1−11流路221と第2−11流路261との変形例を図27及び図28を参照して説明する。なお、図27は、実施形態5の記録ヘッドの変形例を示す断面図であって、図1のA−A′線に準じた断面図である。図28は、実施形態5の記録ヘッドの変形例を示す断面図であって、図1のB−B′線に準じた断面図である。
図27に示すように、第1−11流路221は、Z方向に対して傾斜して設けられている。具体的には、第1−11流路221は、第1の圧力室12Aに連通する−Z方向の端部よりも、第1のノズル21Aに連通する+Z方向の端部が−Y方向に位置するように傾斜して設けられている。これにより、第1の共通液室101の+Z方向の面の開口を−Y方向に向かって拡幅することができ、第1コンプライアンス部494Aを比較的広い面積で形成することができる。
また、図28に示すように、第2−11流路261は、Z方向に対して傾斜して設けられている。具体的には、第2−11流路261は、第2の圧力室12Bに連通する−Z方向の端部よりも、第2のノズル21Bに連通する+Z方向の端部が+Y方向に位置するように傾斜して設けられている。これにより、第2の共通液室102のZ方向の面の開口を+Y方向に向かって拡幅することができ、第2コンプライアンス部494Bを比較的広い面積で形成することができる。
なお、図27及び図28に示す傾斜した第1−11流路221及び第2−11流路261と、図25及び図26に示す第1幅広部16b及び第2幅広部17bの傾斜した壁面とを組み合わせてもよい。
また、本実施形態では、第1のノズル21Aと第2のノズル21Bとを、X方向に見て、Y方向に互いにシフトする位置に設けることで、第1のノズル列22Aと第2のノズル列22Bとの2列がY方向に並設された構成、所謂、ノズル21がX方向に向かって千鳥状に配置された構成を例示したが、特にこれに限定されず、上述した実施形態1の図9と同様に、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをX方向に見て互いに重なる位置に設け、複数のノズル21をX方向に沿った直線上に配置するようにしてもよい。このような構成の場合、特に図示していないが、第1のノズル21Aは、第1−3流路213の途中に連通する位置に設け、第2のノズル21Bは、第2−3流路253の途中に連通するように設ければよい。
(実施形態6)
図29は、本発明の実施形態6に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図であって図1のA−A′線に準じた断面図である。図30は、実施形態6に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図であって図1のB−B′線に準じた断面図である。図31は、流路を表す−Z方向から見た斜視図である。図32は、実施形態6に係る記録ヘッドの断面図であって、図29のF−F′線断面図、G−G′線断面図、H−H′線断面図である。図33は、実施形態6に係る記録ヘッドの要部断面図であって、図32のI−I′線断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図29及び図30に示すように、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49、ケース部材40等には、第1の共通液室101と第2の共通液室102とノズル21毎に設けられた複数の個別流路200とが設けられている。
個別流路200としては、図29に示すように、第1のノズル21Aと第1の圧力室12Aと第1の個別連通流路201Aとを有する第1の個別流路200Aと、図30に示すように、第2のノズル21Bと第2の圧力室12Bと第2の個別連通流路201Bとを有する第2の個別流路200Bと、が設けられている。
図29に示すように、第1の個別連通流路201Aは、第1−1流路211と第1−2流路212と第1−3流路213と第1−4流路214と第1−5流路215とを具備する。
また、図30に示すように、第2の個別連通流路201Bは、第2−1流路251と第2−2流路252と第2−3流路253と第2−4流路254と第2−5流路255とを具備する。
これら第1の個別連通流路201Aと第2の個別連通流路201BとのZ方向に沿って設けられた流路は、X方向に見て互いに重ならないように配置されている。
具体的には、第1の個別連通流路201Aの第1−4流路214は、X方向に見て、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254と重ならないように、第2−4流路254に対して+Y方向にずれた位置に配置されている。このように、第1−4流路214と第2−4流路254とは、Y方向に異なる位置に配置されることで、X方向に沿って、所謂、千鳥状に配置されている。
このため、本実施形態の第1−4流路214は、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12Bの間の領域に重ならない位置に配置されている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド1では、第1の個別連通流路201Aは、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの第2の圧力室12Bの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分である第1−5流路215を有する。なお、第1−5流路215の+Y方向の端部は、第2の圧力室12Bの間の領域よりも外側まで延設されている。したがって、第1−5流路215の−Y方向の端部側に、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bの第2の圧力室12Bの間の領域に重なるように配置されていると共に、X方向に見て第2の圧力室列120Bと重ならない部分を有する。
このように、第1の個別連通流路201Aは、Z方向に見て、第2の圧力室列120Bにおける隣接する第2の圧力室12B間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第2の圧力室列120Bと重ならない部分である第1−5流路215の一部を有する。
また、図31に示すように、第1−4流路214を第2−4流路254よりも+Y方向に配置することで、第2−4流路254と第1−5流路215とは、X方向に見て交差して配置されている。すなわち、第1−5流路215は、第2−4流路254を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部215aと、第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設された第2部分である流路部215bと、を具備する。同様に、第2−4流路254には、第1−5流路215を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部254aと、第2の個別連通流路201Bを挟むことなくX方向に並設された第2部分である流路部254bと、を具備する。つまり、第1部分である流路部215aと流路部254aとは、X方向に見て、互いに重なる部分のことである。
また、第1−5流路215と第2−4流路254との少なくとも一方の第2部分には、X方向に見て互いに重なる第1部分よりもX方向の幅が広くなるように設けられた部分を有する。本実施形態では、第1−5流路215の第2部分である流路部215bに、第1部分である流路部215aよりもX方向の幅が広い部分を設けるようにした。具体的には、第1−5流路215は、第1部分である流路部215aを含む+Y方向の端部側の領域に設けられた第1幅狭部215cと、第2部分である流路部215bの一部であって−Y方向の端部側に第1幅狭部215cよりもX方向の幅が広い第1幅広部215dと、を具備する。このように第1の個別連通流路201Aの第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設された第2部分であれば、X方向の幅を第1部分に比べて広くした部分を設けても、X方向に隔てる隔壁の剛性が著しく低下するのを抑制することができる。
そして、第1−5流路215に第1幅狭部215cと第1幅広部215dとを設けることで、第1−5流路215の全体を第1幅狭部215cと同じ幅だけで設けた場合に比べて、第1−5流路215の流路抵抗及びイナータンスを低減することができ、第2の共通液室102から第1の圧力室12Aへのインクの供給不足が生じるのを抑制して、インク滴を短い周期で連続して吐出させることができる。また、第1−5流路215の流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができるため、第1の共通液室101から第2の共通液室102へのインクの循環量が低減するのを抑制することができる。さらに、第1−5流路215に第1幅狭部215cを設けることで、X方向にみて第1−5流路215と第2−4流路254とが互いに重なる第1部分を隔てる隔壁の剛性が著しく低下するのを抑制して、流路基板が大型化するのを抑制することができる。
同様に、第2の個別連通流路201Bの第2−2流路252は、X方向に見て、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212と重ならないように、第1−2流路212に対して−Y方向にずれた位置に配置されている。このように、第1−2流路212と第2−2流路252とは、Y方向に異なる位置に配置されることで、X方向に沿って、所謂、千鳥状に配置されている。
このため、本実施形態の第2−2流路252は、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aにおける隣接する第1の圧力室12Aの間の領域に重ならない位置に配置されている。すなわち、本実施形態の記録ヘッド1では、第2の個別連通流路201Bは、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの第1の圧力室12Aの間の領域と重なる部分であって、且つX方向に見て、第1の圧力室列120Aと重ならない部分として第2−1流路251を有する。なお、第2−1流路251の−Y方向の端部は、第1の圧力室12Aの間の領域よりも外側まで延設されている。したがって、第2−1流路251のY方向の端部側に、Z方向に見て、第1の圧力室列120Aの第1の圧力室12Aの間の領域に重なるように配置されていると共に、X方向に見て第2の圧力室列120Bと重ならない部分を有する。
また、第2−2流路252を第1−2流路212よりも−Y方向に配置することで、第1−2流路212と第2−1流路251とは、X方向に見て交差して配置されている。すなわち、第1−2流路212は、第2−1流路251を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部212aと、第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設された第2部分である流路部212bと、を具備する。同様に、第2−1流路251は、第1−2流路212を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部251aと、第2の個別連通流路201Bを挟まずにX方向に並設された第2部分である流路部251bとを具備する。つまり、第1部分である流路部212aと流路部251aとは、X方向に見て、互いに重なる部分のことである。
また、第1−2流路212と第2−1流路251との少なくとも一方の第2部分には、X方向に見て互いに重なる第1部分よりもX方向の幅が広くなるように設けられた部分を有する。本実施形態では、第2−1流路251の第2部分である流路部251bに、第1部分である流路部251aよりもX方向の幅が広い部分を設けるようにした。具体的には、第2−1流路251は、第1部分である流路部251aを含む−Y方向の端部側の領域に設けられた第2幅狭部251cと、第2部分である流路部251bの一部であって+Y方向の端部側に第2幅狭部251cよりもX方向の幅が広い第2幅広部251dと、を具備する。このように第2の個別連通流路201Bの第1の個別連通流路201Aを挟まずにX方向に並設された第2部分であれば、X方向の幅を第1部分に比べて広くした部分を設けても、X方向に隔てる隔壁の剛性が著しく低下するのを抑制することができる。
そして、第2−1流路251に第2幅狭部251cと第2幅広部251dとを設けることで、第2−1流路251の全体を第2幅狭部251cと同じ幅だけで設けた場合に比べて、第2−1流路251の流路抵抗及びイナータンスを低減することができ、第1の共通液室101から第2の圧力室12Bへのインクの供給不足が生じるのを抑制して、インク滴を短い周期で連続して吐出させることができる。また、第2−1流路251の流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができるため、第1の共通液室101から第2の共通液室102へのインクの循環量が低減するのを抑制することができる。さらに、第2−1流路251に第2幅狭部251cを設けることで、X方向に見て第1−2流路212と第2−1流路251とを互いに重なる第1部分を隔てる隔壁の剛性が著しく低下するのを抑制して、流路基板が大型化するのを抑制することができる。
さらに、第1−4流路214及び第2−2流路252を互いにY方向に近づくように、すなわち、第1−4流路214及び第2−2流路252のそれぞれを+Y方向及び−Y方向に移動することで、第1−3流路213及び第2−3流路253にも、第1部分と第2部分とが設けられている。
具体的には、第1−3流路213には、−Y方向の端部側に第2−3流路253を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部213aが設けられ、+Y方向の端部側に第2部分である流路部213bが設けられている。また、第2−3流路253には、+Y方向の端部側に第1−3流路213を挟んでX方向に並設された第1部分である流路部253aが設けられ、−Y方向に第2部分となる流路部253bが設けられている。
なお、第1−3流路213及び第2−3流路253は、Y方向に亘ってX方向の幅が同じ幅で設けられているが特にこれに限定されない。例えば、上述した第1−5流路215及び第2−1流路251と同様に、第1−3流路213と第2−3流路253との少なくとも一方の第2部分には、X方向に見て互いに重なる第1部分よりもX方向の幅が広くなるように設けられた部分を設けるようにしてもよい。このように第1の個別連通流路201A及び第2の個別連通流路201Bの第2部分であれば、第1部分に比べてX方向の幅が広い部分を設けても、X方向で隔てる隔壁の剛性を確保することができる。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる局所流路が、第1部分と第2部分とを有する。すなわち、上述のように、第1の個別連通流路201Aのうち、Z方向に延びる第1−2流路212が、第1部分である流路部212aと第2部分である流路部212bとの両方を有するため、本実施形態では、第1−2流路212がこのような局所流路に相当する。
また、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、Z方向に延びる局所流路が第1部分と第2部分とを有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、Z方向に延びる第2−4流路254が第1部分である流路部254aと第2部分である流路部254bとを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、本実施形態では、第1−2流路212が、第1の圧力室12Aと第1のノズル21Aとをつなぎ、第2の個別連通流路201Bの間に設けられていない第2部分として流路部212bを有するため、この第1−2流路212が、このような局所流路に相当する。
また、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第2の圧力室12Bと第2のノズル21Bとをつなぐ局所流路が少なくとも第2部分を有する。すなわち、第2の個別連通流路201Bのうち、第2−4流路254は第2部分である流路部254bを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aのうち、第1のノズル21Aとの接続部からY方向に延びる局所流路が少なくとも第1部分を有する。すなわち、本実施形態では、第1のノズル21Aとの接続部である第1−2流路212からY方向に延びる第1−3流路213は、第1部分である流路部213aと第2部分である流路部213bとを有する。
同様に、実施形態では、第2の個別連通流路201Bのうち、第2のノズル21Bとの接続部からY方向に延びる局所流路が少なくとも第1部分を有する。すなわち、本実施形態では、第2のノズル21Bとの接続部である第2−4流路254からY方向に延びる第2−3流路253が第1部分である流路部253aと第2部分である流路部253bとを有する。
また、本実施形態では、第1の個別連通流路201Aの第2部分の容積は、第1部分の容積よりも大きい。同様に、本実施形態では、第2の個別連通流路201Bの第2部分の容積は、第1部分の容積よりも大きい。
また、第1の個別連通流路201Aにおける第2部分のX方向の最大幅は、第1部分のX方向の最大幅よりも大きい。上述のように本実施形態の第1の個別連通流路201Aの第1部分は、第1−2流路212の流路部212aと、第1−3流路213の流路部213aと、第1−5流路215の流路部215aと、であり、第2部分は、第1−1流路211と、第1−2流路212の流路部212bと、第1−3流路213の流路部213bと、第1−4流路214と、第1−5流路215の流路部215bと、である。
このため、第2部分である第1−1流路211と、第1−2流路212の流路部212bと、第1−3流路213の流路部213bと、第1−4流路214と、第1−5流路215の流路部215bとにおけるX方向の最大幅が、第1部分である第1−3流路213の流路部213aと、第1−5流路215の流路部215aとにおけるX方向の最大幅よりも大きい。すなわち、X方向の最大幅とは、第1部分及び第2部分のそれぞれにおいて流路の途中でX方向の幅が変わっている場合には、そのうち最も大きな幅のことである。
本実施形態では、図31に示すように、第2部分のX方向の最大幅は、第1−5流路215の第2部分である流路部215bに設けられた第1幅広部215dの幅W1である。したがって、第1幅広部215dのX方向の幅は、第1の個別連通流路201Aの第1部分、例えば、第1−5流路215の第1部分である流路部215aの幅W2に比べて大きい。
また、第2の個別連通流路201Bにおける第2部分のX方向の最大幅は、第1部分のX方向の最大幅よりも大きい。すなわち、第2幅広部251dのX方向の幅W3は、第2の個別連通流路201Bの第2幅広部251d以外の流路の幅、例えば、流路部251aのX方向の幅W4に比べて大きい。
また、本実施形態では、第1部分の第1の個別連通流路201Aと第2の圧力室列120Bに対応する個別連通流路である第2の個別連通流路201Bとを隔てる隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の最大厚さの方が大きい。例えば、図32に示すように、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212の第1部分である流路部212aと第2の個別連通流路201Bである第2−1流路251とのX方向で隔てる隔壁の厚さd11よりも、隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第1−2流路212の第2部分である流路部212bをX方向で隔てる隔壁の厚さd12の方が大きくなっている。
また、本実施形態では、特に図示していないが、第1部分の第2の個別連通流路201Bと第1の圧力室列120Aに対応する個別連通流路である第1の個別連通流路201Aとを隔てる隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の最大厚さの方が大きい。
また、本実施形態では、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12Aを隔てる隔壁の厚さよりも、第2部分の隣接する第2の個別連通流路201B間を隔てる隔壁の方が厚い。すなわち、図33に示すように、第1の圧力室12AをX方向で隔てる隔壁の厚さd13よりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第1−2流路212の流路部212bをX方向で隔てる隔壁の厚さd12の方が大きくなっている。
また、本実施形態では、特に図示していないが、第2の圧力室列120Bの隣接する第2の圧力室12Bを隔てる隔壁の厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201A間を隔てる隔壁の方が厚い。
なお、本実施形態では、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向に異なる位置に設けることで、第1のノズル21AがX方向に並設された第1のノズル列22Aと、第2のノズル21BがX方向に並設された第2のノズル列22Bとの2列がY方向に並設された構成、所謂、ノズル21がX方向に向かって千鳥状に配置された構成を例示したが、特にこれに限定されず、上述した実施形態1の図9と同様に、第1のノズル21Aと第2のノズル21BとをY方向で同じ位置に設け、複数のノズル21をX方向に直線上に配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1−4流路214を第2−4流路254よりも+Y方向に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、第1−4流路214は、第2−4流路254よりも−Y方向に配置してもよい。この場合には、第2−4流路254と第1−5流路215とは、X方向に見て交差しないが、第1−3流路213の流路長が長くなり、流路抵抗が増大してしまう虞がある。本実施形態では、第1−4流路214を第2−4流路254よりも+Y方向に配置することで、第1−3流路213の流路長を短くして流路抵抗を低減することができる。
同様に、第2−2流路252を第1−2流路212よりも−Y方向に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、第2−2流路252を第1−2流路よりも+Y方向に配置してもよい。この場合には、第1−2流路212と第2−1流路251とは、X方向に見て交差しないが、第2−3流路253の流路長が長くなり、流路抵抗が増大してしまう虞がある。本実施形態では第2−2流路252を第1−2流路212よりも−Y方向に配置することで、第2−3流路253の流路長を短くして流路抵抗を低減することができる。
なお、上述した例では、第1の個別連通流路201Aの第2部分である第1−5流路215の流路部215bに第1幅広部215dを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、その他の第2部分に第1部分よりもX方向の幅が広くなるように設けられた部分を有してもよい。また、同様に、第2の個別連通流路201Bの第2部分である第2−1流路251の流路部251bに第2幅広部251dを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、その他の第2部分に第1部分よりもX方向の幅が広くなるように設けられた部分を有してもよい。ここで、このような例を図34及び図35に示す。なお、図34は、実施形態7に係る記録ヘッドの流路の変形例を示す−Z方向からの斜視図である。また、図35は、本実施形態の記録ヘッドの変形例を示す要部断面図であって図32のI−I′線に準じた断面図である。
図34及び図35に示すように、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212は、第1部分である流路部215aを含むZ方向の中央部に設けられた第3幅狭部212cと、第2部分である流路部212bの一部であって+Z方向の端部及び−Z方向の端部のそれぞれに設けられて第3幅狭部212cよりもX方向の幅が広い第3幅広部212dと、を具備する。
このように、第1−2流路212に第3幅広部212dを設けることで、第1−2流路212の全体を第3幅狭部212cと同じ幅だけで設けた場合に比べて、流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができる。したがって、第1のノズル21Aを高密度に配置してもインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量を増大させることができる。また、第1−2流路212の流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができるため、第1の共通液室101から第2の共通液室102へのインクの循環量が低下するのを抑制することができる。
また、図34に示すように、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254は、第1部分である流路部254aを含むZ方向の中央部に設けられた第4幅狭部254cと、第2部分である流路部254bの一部であって+Z方向の端部及び−Z方向の端部のそれぞれに設けられて第4幅狭部254cよりもX方向の幅が広い第4幅広部254dと、を具備する。
このように、第2−4流路254に第4幅広部254dを設けることで、第2−4流路254の全体を第4幅狭部254cと同じ幅だけで設けた場合に比べて、第2−4流路254の流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができるため、第2のノズル21Bを高密度に配置してもインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量を増大させることができる。また、第2−4流路254の流路抵抗及びイナータンスを小さくすることができるため、第1の共通液室101から第2の共通液室102へのインクの循環量が低下するのを抑制することができる。
なお、図35に示すように、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212に第3幅広部212dを設けた場合であっても、第1の個別連通流路201Aの第1−2流路212の第1部分である流路部212a、すなわち、第3幅狭部212cと第2の個別連通流路201Bである第2−1流路251との間の隔壁の最大厚さd21よりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第1−2流路212の第2部分である流路部212bの第3幅広部212dを隔てる隔壁の最大厚さd22の方が大きくなっている。
このように第1部分の第1の個別連通流路201Aと第2の個別連通流路201Bとを隔てる隔壁の厚さd21よりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の厚さd22を厚くすることで、第2部分の隔壁の剛性を向上して、隔壁の剛性が低下することによるクロストークの発生を抑制することができる。
また、特に図示しないが、第2の個別連通流路201Bについても同様に、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254に第4幅広部254dを設けた場合であっても、第2の個別連通流路201Bの第2−4流路254の第1部分である流路部254a、すなわち、第4幅狭部254cと第1の個別連通流路201Aである第1−5流路215との間の隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁、すなわち、第2−4流路254の第2部分である流路部254bの第4幅広部254dを隔てる隔壁の最大厚さの方が大きくなっている。
なお、図35に示すように、第1−2流路212の第3幅狭部212cと第3幅広部212dとの間にノズル面20aと平行な段差面が設けられるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、図36に示すように、第3幅狭部212cと第3幅広部212dとの接続部分では、X方向の幅が徐々に変化するようにしてもよい。つまり、第3幅狭部212cと第3幅広部212dとの間の段差面は、Y方向に傾斜して設けられている。すなわち、第3幅広部212dから第3幅狭部212cに向かう+Z方向において、X方向の幅が徐々に漸小するようにし、第3幅狭部212cから第3幅広部212dに向かう+Z方向において、X方向の幅が徐々に漸大するようになっている。
このように、第1−2流路212において、第3幅狭部212cと第3幅広部212dとの接続部分を、X方向の幅が徐々に変化するようにすることで、第1−2流路212を通過するインクに気泡が含まれていても、気泡が段差面によって捕捉され難く、気泡排出性を向上して、気泡の滞留によるインク滴の吐出不良等の不具合を抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
上述した実施形態3〜6においても実施形態1と同様に、第1の個別連通流路201Aの第2部分の容積は、第1部分の容積よりも大きくするのが好ましい。第2の個別連通流路201Bに関しても同様である。
また、上述した実施形態1〜5においても実施形態6と同様に、第1の個別連通流路201Aにおける第2部分のX方向の最大幅は、第1部分のX方向の最大幅よりも大きくするのが好ましい。第2の個別連通流路201Bに関しても同様である。
また、実施形態2〜5においても実施形態1及び6と同様に、第1部分の第1の個別連通流路201Aと第2の圧力室列120Bに対応する個別連通流路である第2の個別連通流路201Bとを隔てる隔壁の最大厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の最大厚さの方を大きくするのが好ましい。第2の個別連通流路201Bに関しても同様である。
また、実施形態2〜5においても実施形態1及び6と同様に、第1の圧力室列120Aの隣接する第1の圧力室12Aを隔てる隔壁の厚さよりも、第2部分の隣接する第1の個別連通流路201Aを隔てる隔壁の方を厚くするのが好ましい。第2の個別連通流路201Bに関しても同様である。
また、上述した実施形態2〜6においても実施形態1と同様に、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において、個別流路200のノズル21よりも第1の共通液室101側の上流流路と、ノズル21よりも第2の共通液室102側の下流流路とは、同じ流路抵抗となるように設けられているのが好ましい。そして、本実施形態では、第1の個別流路200Aと第2の個別流路200Bとは、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かう循環流において互いに反転させた形状とするのが好ましい。
また、実施形態2〜6においても実施形態1と同様に、第1の共通液室101から第2の共通液室102に向かって個別流路200内に循環流が生じている状態で、ノズル21からインク滴を吐出しない非吐出時において、ノズル21内の大気圧を基準としたインクの圧力差は、±2%以内、つまり、−2%以上、+2%以下であることが好ましい。
また、実施形態2〜6においても実施形態1と同様に、第1上流流路と第1下流流路との流路抵抗、及び、第2上流流路と第2下流流路との流路抵抗のそれぞれが異なる場合や、ノズル21内のインクの圧力差が±2%から外れた場合であってもよく、このような場合には、第1の圧力室列120A及び第2の圧力室列120Bに対応する圧電アクチュエーター300に異なる駆動パルスを供給するようにすればよい。
また、上述した各実施形態では、1つの流路基板に第1の共通液室101と第2の共通液室102とが1つずつ設けられた構成を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、第1の共通液室101と第2の共通液室102との組を2組以上設けるようにしてもよい。また、第1の共通液室101と第2の共通液室102とがマトリックス状に配置されていてもよい。
また、上述した各実施形態では、各個別流路200にノズル21と圧力室12とが1つずつ設けられた構成を例示したが、ノズル21と圧力室12との数は特に限定されず、1つの圧力室12に対して2以上の複数のノズル21が設けられていてもよく、また、1つのノズル21に対して2以上の圧力室12が設けられていてもよい。ただし、1つの個別流路200に設けられたノズル21からは、1吐出周期で同時にインク滴が吐出されるものである。つまり、1つの個別流路200に複数のノズル21が設けられていても、複数のノズル21からは同時にインク滴を吐出するか、同時にインク滴を吐出しない非吐出かの何れかのみが行われればよい。すなわち、1つの個別流路200に複数のノズル21を設けた構成では、複数のノズル21からのインク滴の吐出、非吐出が同時に行われればよい。
また、上述した各実施形態では、流路基板は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49、ケース部材40等を有するものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、流路基板は1枚の基板であっても、また、2枚以上の複数の基板が積層されたものであってもよい。例えば、流路基板は、流路形成基板10、と、ノズルプレート20とを含んでいてもよく、連通板15と、コンプライアンス基板49と、ケース部材40とを含んでいなくてもよい。また、複数の流路形成基板10により1つの圧力室12を形成してもよいし、流路形成基板10に圧力室12と第1の共通液室101と第2の共通液室102とを形成してもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力室12に圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、エネルギー発生素子として、圧力室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
ここで、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の一例について図37を参照して説明する。なお、図37は、本発明のインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。
図37に示すように、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iでは、複数の記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されている。記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。本実施形態では、キャリッジ3の移動方向がY方向となっている。
また、装置本体4には、液体としてインクが貯留された貯留手段であるタンク2が設けられている。タンク2は、チューブ等の供給管2aを介して記録ヘッド1と接続されており、タンク2からのインクは供給管2aを介して記録ヘッド1に供給される。また、記録ヘッド1とタンク2とはチューブ等の排出管2bを介して接続されており、記録ヘッド1から排出されたインクは排出管2bを介してタンク2に戻される、所謂、循環が行われる。なお、タンク2は、複数で構成されていてもよい。
そして、駆動モーター7の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7aを介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の被噴射媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラー8に限られずベルトやドラム等であってもよい。本実施形態では、記録シートSの搬送方向がX方向となっている。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、各実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。