JP2020098703A - イオン伝導体および蓄電デバイス - Google Patents

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英昭 彦坂
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Abstract

【課題】室温における高いリチウムイオン伝導率を発揮することができるイオン伝導体を提供する。【解決手段】イオン伝導体は、クロソ系錯体水素化物を含み、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、8%以上である。【選択図】図5

Description

本明細書によって開示される技術は、イオン伝導体に関する。
近年、パソコンや携帯電話等の電子機器の普及、電気自動車の普及、太陽光や風力等の自然エネルギーの利用拡大等に伴い、高性能な蓄電デバイスの需要が高まっている。なかでも、電池要素がすべて固体で構成された全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」という)の活用が期待されている。全固体電池は、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液を用いる従来型のリチウムイオン二次電池と比べて、有機電解液の漏洩や発火等のおそれがないため安全であり、また、外装を簡略化することができるため単位質量または単位体積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
全固体電池を構成する固体電解質層や電極に用いる固体電解質としては、例えば、酸化物系リチウムイオン伝導体や硫化物系リチウムイオン伝導体が用いられる。酸化物系リチウムイオン伝導体は、粉末の状態において比較的硬いため、粉末を加圧成形した成形体(圧粉体)の状態においては、粒子間の密着性が低く、リチウムイオン伝導率が低い。酸化物系リチウムイオン伝導体の粉末を用いて焼結や蒸着を行うことにより、リチウムイオン伝導率を高くすることはできるが、粉末を加圧成形する場合と比べて、電池の大型化が困難であると共に、製造工程が煩雑となる。
一方、硫化物系リチウムイオン伝導体は、粉末の状態において比較的柔らかいため、粉末を加圧成形した成形体の状態において、粒子間の密着性が高く、リチウムイオン伝導率が高い。しかし、硫化物系リチウムイオン伝導体は、大気中で水分と反応して硫化水素ガスを発生するため、安全面において好ましくない場合がある。
また、イオン伝導性として、錯体水素化物であるLiBHや、LiBHとLiIとの混合物を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5187703号公報
イオン伝導体として、錯体水素化物であるLiBHや、LiBHとLiIとの混合物を用いる従来の技術では、例えば粒界抵抗が高い等の理由により、室温におけるイオン伝導率が十分に高くなく、この点で向上の余地がある。
なお、このような課題は、全固体リチウムイオン二次電池の固体電解質層や電極に用いられるイオン伝導体に限らず、リチウムイオン伝導性を有するイオン伝導体一般に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるイオン伝導体は、クロソ系錯体水素化物を含み、前記クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、8%以上である。本イオン伝導体によれば、非晶質化度が0%であるイオン伝導体のイオン伝導率に対して、室温(25度)における高いイオン伝導率を実現することができる。
(2)上記イオン伝導体において、前記クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、35%以上である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、室温(25度)におけるさらに高いイオン伝導率を実現することができる。
(3)上記イオン伝導体において、前記クロソ系錯体水素化物は、金属イオンであるカチオンと、一般式:(Cn−m(2−m)−(ただし、0≦m<2、5≦n≦12)で表されるアニオンとを含む構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、上記構成のクロソ系錯体水素化物を用いて室温における高いイオン伝導率を実現することができる。
(4)上記イオン伝導体において、前記一般式において、n=10またはn=12である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、一般的な構成のクロソ系錯体水素化物を用いて室温における高いイオン伝導率を実現することができる。
(5)上記イオン伝導体において、前記一般式において、n=12かつm=0であり、前記クロソ系錯体水素化物の格子定数は、9.62Å以上である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、非晶質化度が0%であるイオン伝導体のイオン伝導率に対して、室温における高いイオン伝導率を実現することができる。
(6)また、本明細書に開示される蓄電デバイスは、固体電解質層と、正極と、負極と、を備え、前記固体電解質層と、前記正極と、前記負極との少なくとも1つは、上記イオン伝導体を含む構成としてもよい。本蓄電デバイスによれば、固体電解質層と正極と負極との少なくとも1つのリチウムイオン伝導性を向上させることができ、ひいては、蓄電デバイスの電気的性能を向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、イオン伝導体、イオン伝導体を含む蓄電デバイス、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池102の断面構成を概略的に示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。 ボールミルによる粉砕時間とクロソ系錯体水素化物の非晶質化度との関係を示す説明図である。 クロソ系錯体水素化物のX線回折パターンを例示する説明図である。 クロソ系錯体水素化物の非晶質化度とリチウムイオン伝導率との関係を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.全固体電池102の構成:
(全体構成)
図1は、本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」という)102の断面構成を概略的に示す説明図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向という。
全固体電池102は、電池本体110と、電池本体110の一方側(上側)に配置された正極側集電部材154と、電池本体110の他方側(下側)に配置された負極側集電部材156とを備える。正極側集電部材154および負極側集電部材156は、導電性を有する略平板形状部材であり、例えば、ステンレス鋼、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、これらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等によって形成されている。以下の説明では、正極側集電部材154と負極側集電部材156とを、まとめて集電部材ともいう。
(電池本体110の構成)
電池本体110は、電池要素がすべて固体で構成されたリチウムイオン二次電池本体である。なお、本明細書において、電池要素がすべて固体で構成されているとは、すべての電池要素の骨格が固体で構成されていることを意味し、例えば該骨格中に液体が含浸した形態等を排除するものではない。電池本体110は、正極114と、負極116と、正極114と負極116との間に配置された固体電解質層112とを備える。以下の説明では、正極114と負極116とを、まとめて電極ともいう。電池本体110は、特許請求の範囲における蓄電デバイスに相当する。
(固体電解質層112の構成)
固体電解質層112は、略平板形状の部材であり、固体電解質であるリチウムイオン伝導体202を含んでいる。より詳細には、固体電解質層112は、リチウムイオン伝導体202の粉末が加圧成形された成形体(圧粉体)である。固体電解質層112の厚さは、例えば数μm〜数百μm程度である。固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成については、後に詳述する。
(正極114の構成)
正極114は、略平板形状の部材であり、正極活物質214を含んでいる。正極114の厚さは、例えば数μm〜数百μm程度である。正極活物質214としては、例えば、S(硫黄)、TiS、LiCoO、LiMn、LiFePO等が用いられる。また、正極114は、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質であるリチウムイオン伝導体204を含んでいる。正極114は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Ag(銀))を含んでいてもよい。また、正極114は、例えばLiNbOによりコートされていてもよい。
(負極116の構成)
負極116は、略平板形状の部材であり、負極活物質216を含んでいる。負極116の厚さは、例えば数μm〜数百μm程度である。負極活物質216としては、例えば、Li金属、Li−Al合金、LiTi12、カーボン、Si(ケイ素)、SiO等が用いられる。また、負極116は、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質であるリチウムイオン伝導体206を含んでいる。負極116は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni、Pt、Ag)を含んでいてもよい。
A−2.リチウムイオン伝導体の構成:
次に、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成について説明する。なお、正極114に含まれるリチウムイオン伝導体204および負極116に含まれるリチウムイオン伝導体206の構成は、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態において、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202は、クロソ系錯体水素化物を含む。クロソ系錯体水素化物は、錯体水素化物の一種であり、より詳細には、クロソ構造を有する籠状のクラスター型錯イオンを有する錯体水素化物である。例えば、クロソ系錯体水素化物は、金属イオンであるカチオンと、一般式:(Cn−m(2−m)−(ただし、0≦m<2、5≦n≦12)で表されるアニオンとを含む。なお、上記一般式において、n=10またはn=12であるものが好適に利用される。
リチウムイオン伝導体202に含まれるクロソ系錯体水素化物の具体例としては、例えば、Li1212、Li1010、Na1212、Na1010、MgB1212、MgB1010、LiCB1112、LiCB10、NaCB1112、NaCB10等が挙げられる。なお、リチウムイオン伝導体202は、上述したクロソ系錯体水素化物を複数種類含むとしてもよい。
クロソ系錯体水素化物は、粉末の状態で比較的柔らかく塑性変形しやすいため、焼成や蒸着を行うことなく、粉末を加圧することによって粒子間の密着性を高めやすい。また、クロソ系錯体水素化物は、他の錯体水素化物(例えば、LiBH)と異なり、大気中で水和物形成が律速となり、発火の危険性が無いため、好適である。また、クロソ系錯体水素化物は、高温(例えば、350℃程度)でのリチウムイオン伝導率が比較的高い(例えば、1.0×10−2S/cm程度以上である)。ただし、クロソ系錯体水素化物は、非晶質化される前の状態においては、室温(25℃)でのリチウムイオン伝導率が極めて低い(例えば、1.0×10−8S/cm程度以下である)。
ここで、本実施形態では、リチウムイオン伝導体202に含まれるクロソ系錯体水素化物として、非晶質化度が8%以上であるもの(すなわち、比較的大きな割合で非晶質化(アモルファス化)しているもの)を用いている。非晶質化度が8%以上であるクロソ系錯体水素化物を用いれば、室温において2.0×10−5S/cm程度以上の高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。なお、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、20%以上であることが好ましく、35%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることが一層好ましく、70%以上であることがさらに一層好ましい。クロソ系錯体水素化物の非晶質化度が8%以上であると高いリチウムイオン伝導率を発現するメカニズムは必ずしも明らかではないが、非晶質化度が上がることにより錯体水素化物の粒子同士の密着性(結着性)が向上することや、粒界部の原子配列が乱れることによりLi伝導経路が増加すること等が起因しているものと推察される。
なお、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、気密試料台を用いてAr雰囲気下で行ったX線回折測定(XRD)によるX線回折パターンの回折角:8度〜40度の範囲において、全ピーク面積(結晶質に由来するピーク面積と非晶質に由来するピーク面積との合計)に対する、非晶質に由来するピーク面積の割合を意味する。非晶質化度を算出する際には、X線回折パターンから、結晶質に由来するピークと非晶質に由来するピークとの分離を行い、結晶質に由来するピーク面積と非晶質に由来するピーク面積を算出し、両者の合計に対する非晶質に由来するピーク面積の割合を非晶質化度として算出する。なお、X線回折測定は、下記条件にて行った。
測定装置:リガク社製 RINT−TTR III
X線出力:50kV−300mA
フィルタ:Kβフィルタ
発散スリット:1.0mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:連続
スキャンスピード:2.0000°/min
サンプリング幅:0.0200°
走査軸:2θ/θ
上述したピーク分離は、解析ソフト「JADE」を用いて下記の条件で行うものとする。すなわち、平滑化、バックグラウンドはマニュアルで固定、Kα2除去無、プロファイル関数はPearson VIIを使用し、収束するまでフィッティングを行う。回折角10〜16度の間に存在する裾部分を非晶質によるハローとみなしてピークを設定し、結果が収束するまでフィッティングを実施し、このピークを非晶質によるハローとみなして非晶質化度を算出する。
また、クロソ系錯体水素化物を表す一般式において、n=12かつm=0である場合(例えば、Li1212を用いる場合)、格子定数が9.62Å以上であることが好ましい。このような構成とすれば、室温において2.0×10−5S/cm程度以上の高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。また、格子定数が9.66Å以上であることがさらに好ましい。このような構成とすれば、室温において5.0×10−5S/cm程度以上の高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。なお、クロソ系錯体水素化物の格子定数は、X線結晶構造解析によるX線回折パターンに見られる代表的な2つのピーク(16度付近のピークと18度付近のピーク)の位置に基づき、解析ソフト「CellCalc」を用いて算出するものとする。
なお、リチウムイオン伝導体202は、クロソ系錯体水素化物に加えて他の物質(例えば、固体電解質(酸化物、硫化物))を含むとしてもよい。この場合において、リチウムイオン伝導体202におけるクロソ系錯体水素化物の含有割合は、50vol%以上であることが好ましい。
A−3.全固体電池102の製造方法:
次に、本実施形態の全固体電池102の製造方法の一例を説明する。はじめに、固体電解質層112を作製する。具体的には、クロソ系錯体水素化物の原料粉末(例えば、Li1212・4HOの粉末)を準備し、真空加熱乾燥(例えば、250℃、20時間)を行うことにより乾燥粉末(Li1212の粉末)を得る。この乾燥粉末に対してボールミルによる粉砕処理(例えば、回転数:400rpm、処理時間:10時間以上(ただし、5時間毎に30分間休止する))を行う。ボールミルによる粉砕処理を長くすることにより、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度を上げることができる。ボールミルによる粉砕処理後の粉末に対して真空加熱乾燥(例えば、160℃、12時間)を行うことにより、乾燥粉末(Li1212の粉末)を得る。この粉末を所定の圧力で加圧成型する。これにより、クロソ系錯体水素化物を含むリチウムイオン伝導体202から構成された固体電解質層112が作製される。
次に、正極114および負極116を作製する。具体的には、正極活物質214の粉末と上述した複合粉末と必要により電子伝導助剤の粉末とを所定の割合で混合し、この粉末を粉砕した後に成型することにより正極114を作製する。また、負極活物質216の粉末と上述した複合粉末と必要により電子伝導助剤の粉末とを混合し、この粉末を粉砕した後に成型することにより負極116を作製する。
次に、正極側集電部材154と、正極114と、固体電解質層112と、負極116と、負極側集電部材156とをこの順に積層して加圧することにより一体化する。以上の工程により、上述した構成の全固体電池102が製造される。
A−4.性能評価:
全固体電池102の各層(固体電解質層112、正極114、負極116)に含まれるリチウムイオン伝導体202、204、206について、リチウムイオン伝導性に関する性能評価を行った。図2は、性能評価結果を示す説明図である。また、図3は、ボールミルによる粉砕時間とクロソ系錯体水素化物の非晶質化度との関係を示す説明図であり、図4は、クロソ系錯体水素化物のX線回折パターンを例示する説明図であり、図5は、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度とリチウムイオン伝導率との関係を示す説明図である。
図2に示すように、性能評価には、6個のリチウムイオン伝導体のサンプル(S1〜S6)が用いられた。各サンプルのリチウムイオン伝導体は、クロソ系錯体水素化物であるLi1212の圧粉体である。
各サンプルの作製方法は、以下の通りである。まず、原料粉末(Li1212・4HOの粉末)を準備し、真空加熱乾燥(例えば、250℃、20時間)を行うことにより乾燥粉末(Li1212の粉末)を得る。この乾燥粉末に対してボールミルによる粉砕処理(例えば、回転数:400rpm)を行う。本性能評価では、この粉砕処理の時間をサンプル毎に異ならせた。具体的には、粉砕時間を、サンプルS1では0時間(すなわち、粉砕処理を行わない)とし、サンプルS2では5時間とし、サンプルS3では10時間とし、サンプルS4では15時間とし、サンプルS5では20時間とし、サンプルS6では55時間とした。なお、粉砕処理の際には、5時間毎に30分間の休止期間を設けた。
図3に示すように、ボールミルによる粉砕時間を長くするほど、サンプルの非晶質化度が大きくなった。このことは、X線結晶構造解析によるX線回折パターンからも確認することができる。図4には、サンプルS1(粉砕時間:0時間)とサンプルS3(粉砕時間:10時間)のX線結晶構造解析によるX線回折パターン(ただし、上述した回折角:8〜40度の回折パターンの内の一部(回折角:14〜20度の部分)を切り出したもの)が示されている。図4に示すように、粉砕時間が10時間であるサンプルS3のX線回折パターンでは、粉砕処理を行っていないサンプルS1のX線回折パターンと比べて、低角度側(〜16度付近)に非晶質部に由来するハローが存在し、このハローの存在によって該低角度側のX線回折強度が強くなっていることがわかる。このように、X線回折パターンからも、ボールミルによる粉砕時間を長くするほど非晶質化度が大きくなることを確認することができる。
ボールミルによる粉砕処理の後、粉末に対して真空加熱乾燥(例えば、160℃、12時間)を行うことにより乾燥粉末(Li1212の粉末)を得る。この粉末を所定の圧力(360MPa)で加圧成型することにより、各サンプルのリチウムイオン伝導体であるLi1212の圧粉体(φ10mm、厚さ0.5mmの円板状)を得る。
得られた各サンプルについて、加圧治具を用いて50MPa相当になるよう加圧固定し、グローブボックス内で室温(25℃)でのリチウムイオン伝導率を測定した。
また、各サンプルについて、上述した算出方法に従い、非晶質化度および格子定数を求めた。
また、各サンプルについて、交流インピーダンス測定を行い、測定結果から描画したナイキストプロットの円弧の大きさから、各サンプルの各抵抗(バルク抵抗(粒内抵抗)、粒界抵抗、両者の和である全抵抗)の値を求めた。なお、サンプルS1では、バルク抵抗と粒界抵抗との分離が困難であったため、便宜上、すべてバルク抵抗とした。
(性能評価の結果)
図2および図5に示すように、非晶質化度が0%であるサンプルS1では、リチウムイオン伝導率が、7.00×10−7S/cm以下の低い値であった。このサンプルでは、非晶質化度が非常に低いために、抵抗の中でも粒界抵抗が非常に高くなっており、そのためにリチウムイオン伝導率が低くなっているものと推察される。
これに対し、非晶質化度が8%以上であるサンプルS2〜S6では、リチウムイオン伝導率が、2.30×10−5S/cm以上の高い値であった。これらのサンプルでは、非晶質化度が比較的高いために、抵抗の中でも粒界抵抗が低くなっており、そのためにリチウムイオン伝導率が高くなっているものと推察される。図5を参照すると、非晶質化度が8%以上であれば、2.0×10−5S/cm程度以上の高いリチウムイオン伝導率を実現することができると言える。
なお、サンプルS2と比較して、サンプルS3〜S6のリチウムイオン伝導率が高いことから、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、35%以上であることが好ましいと言える。非晶質化度が35%以上であれば、8.0×10−5S/cm程度以上の非常に高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。また、サンプルS3と比較して、サンプルS4〜S6のリチウムイオン伝導率が高いことから、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、40%以上であることが一層好ましいと言える。非晶質化度が40%以上であれば、1.0×10−4S/cm程度以上の非常に高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。また、サンプルS4,S5と比較して、サンプルS6のリチウムイオン伝導率が高いことから、クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、70%以上であることがさらに一層好ましいと言える。非晶質化度が70%以上であれば、3.80×10−4S/cm程度以上の極めて高いリチウムイオン伝導率を実現することができる。
なお、本性能評価では、クロソ系錯体水素化物としてLi1212を用いたが、本発明の効果は、非晶質化による粒界抵抗の低減にあり、非晶質化されていることから元の結晶構造には関係がなく、類似の籠状構造を有する他のクロソ系錯体水素化物を用いても、非晶質化度を8%以上とすることによって同様に高いリチウムイオン伝導率を得られることが強く推認される。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における全固体電池102の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、クロソ系錯体水素化物を含有するリチウムイオン伝導体が、固体電解質層112と正極114と負極116とのすべてに含まれているが、該リチウムイオン伝導体が、固体電解質層112と正極114と負極116との少なくとも1つに含まれているとしてもよい。
上記実施形態における全固体電池102の製造方法は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、ボールミルによる粉砕処理を行うことによってクロソ系錯体水素化物の非晶質化度を上げているが、他の手段によりクロソ系錯体水素化物に衝撃を与えることによって非晶質化度を上げてもよいし、衝撃を与えることのない他の方法(例えば、急冷法)によってクロソ系錯体水素化物の非晶質化度を上げてもよい。
また、本明細書に開示される技術は、全固体電池102を構成する固体電解質層や電極に限られず、他の蓄電デバイス(例えば、リチウム空気電池やリチウムフロー電池、固体キャパシタ等)を構成する固体電解質層や電極にも適用可能である。
102:全固体リチウムイオン二次電池 110:電池本体 112:固体電解質層 114:正極 116:負極 154:正極側集電部材 156:負極側集電部材 202:リチウムイオン伝導体 204:リチウムイオン伝導体 206:リチウムイオン伝導体 214:正極活物質 216:負極活物質

Claims (6)

  1. イオン伝導体において、
    クロソ系錯体水素化物を含み、
    前記クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、8%以上である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  2. 請求項1に記載のイオン伝導体において、
    前記クロソ系錯体水素化物の非晶質化度は、35%以上である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のイオン伝導体において、
    前記クロソ系錯体水素化物は、金属イオンであるカチオンと、一般式:(Cn−m(2−m)−(ただし、0≦m<2、5≦n≦12)で表されるアニオンとを含む、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  4. 請求項3に記載のイオン伝導体において、
    前記一般式において、n=10またはn=12である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  5. 請求項3に記載のイオン伝導体において、
    前記一般式において、n=12かつm=0であり、
    前記クロソ系錯体水素化物の格子定数は、9.62Å以上である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  6. 固体電解質層と、正極と、負極と、を備える蓄電デバイスにおいて、
    前記固体電解質層と、前記正極と、前記負極との少なくとも1つは、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のイオン伝導体を含む、
    ことを特徴とする蓄電デバイス。
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