JP2020090464A - ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れかを有効成分として含有する錠剤 - Google Patents
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非特許文献1及び2によれば、これらの有効成分である、原薬のゾピクロン及びエスゾピクロンは、光苛酷試験において、前者は色が微褐色となり、24時間後には4パーセント含量が低下すること、後者も類縁物質が生成することが報告されている。
また、非特許文献1によれば、アモバン(登録商標)錠7.5は、PTP包装下、直射日光下、320時間の苛酷試験において、含量が4%低下し、主光分解物として、類縁物質VIが生成し、不純物Vも増加した旨の記載がある。
一方、非特許文献2によれば、ルネスタ(登録商標)錠1mg,同2mg,同3mgは、無包装下、25℃75%RHの保存安定性試験において、何れも1か月後に水分が増加した旨の記載がある。
本発明者らは、エスゾピクロンを含有する保存安定性に優れた錠剤に関する鋭意研究を進めた結果、本発明を完成した。
(1)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(2)無水リン酸水素カルシウム、D−マンニトール又は乳糖水和物の少なくとも1つ、
(3)L−メチオニン、硬化油又はショ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを
含有する錠剤に関する。
また、本発明は、エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する錠剤に関する。
(1)本発明は、
(a)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(b)無水リン酸水素カルシウム、D−マンニトール又は乳糖水和物の少なくとも1つ、
(c)L−メチオニン、硬化油又はショ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを
含有する錠剤に関する。
(2)また、本発明は、エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する錠剤に関する。
(3)また、本発明は、エスゾピクロンを1錠中、0.5〜10mg含有する上記(1)又は(2)記載の錠剤に関する。
(4)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、5〜45%含有する上記(1)〜(3)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(5)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、10〜30%含有する上記(1)〜(3)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(6)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムのBET表面積が、20m2/g以下である上記(1)〜(5)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(7)また、本発明は、硬化油を錠剤中、0.5〜5%含有する上記(1)〜(6)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(8)また、本発明は、さらに賦形剤を含有していても良い上記(1)〜(7)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(9)また、本発明は、賦形剤がコムギデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物及び結晶セルロースから選択される上記(2)〜(8)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(10)また、本発明は、さらに崩壊剤を含有していても良い上記(1)〜(9)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(11)また、本発明は、崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム及びL−HPCから選択される上記(10)記載の錠剤に関する。
(12)また、本発明は、さらに結合剤を含有していても良い上記(1)〜(11)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(13)また、本発明は、結合剤がHPC及びα化デンプンから選択される上記(12)記載の錠剤に関する。
(14)また、本発明は、さらに滑沢剤を含有していても良い上記(1)〜(13)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(15)また、本発明は、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムから選択される上記(14)記載の錠剤に関する。
(16)また、本発明は、湿式造粒法で製造される上記(1)〜(15)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(17)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムが、顆粒外に存在する上記(1)〜(16)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(18)さらにまた、本発明は、さらにフィルムコーティングされていても良い上記(1)〜(17)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
本発明で用いることができる崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、L−HPC、部分α化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、カルメロースカルシウム、L−HPC、部分α化デンプンが挙げられる。
本発明で用いることができる結合剤としては、HPC、結晶セルロース、ヒプロメロース、α化デンプン、PVP、ゼラチン、デンプン類等が挙げられ、好ましくは、HPC、結晶セルロース、ヒプロメロース、α化デンプン、PVPが挙げられる。
本発明で用いることができる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが挙げられ、更に好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明の素錠には、さらに流動化剤、界面活性剤、着色剤を含有していても良い。
更に、本発明の錠剤は、フィルムコーティングされていても良い。フィルムコーティング層には、酸化チタン等の遮光剤、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の着色剤、PEG,クエン酸トリエチル、トリアセチン等の可塑剤、HPC,ヒプロメロース等のフィルム基剤、カルナウバロウ等の艶出し剤等が使用できる。
エスゾピクロンは苦味を有することが知られおり、フィルムコーティング層、素錠に苦味マスキング剤を添加することもできる。
本発明の錠剤は、顆粒打錠法、直接打錠法(直打法)何れでも使用でき、また普通錠(素錠)の他、フィルムコーティング錠、OD錠であっても良い。
例えば顆粒打錠法では、
(1)エスゾピクロン,賦形剤,崩壊剤,硬化油を混合する。
(2)結合剤溶液により造粒し造粒顆粒を得る。
(3)造粒顆粒を乾燥し、整粒顆粒を得る。
(4)整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,滑沢剤を混合する。
(5)打錠機で錠剤し錠剤を得る。
本発明のエスゾピクロン製剤において、硬化油が存在すると類縁物質の生成が抑制されることは図1から明らかである。
本発明のエスゾピクロン製剤において、リン酸水素カルシウムの量は、素錠中、10〜40%含有することが好ましいが、素錠中、30,40%含有する製剤よりも15%含有する製剤の方が類縁物質の生成が抑制されることは図2,3から判明した。
本発明のエスゾピクロン製剤においてリン酸水素カルシウムの添加は顆粒内よりも顆粒外である方が好ましい。(図4,5)
本発明のエスゾピクロン製剤においてリン酸水素カルシウムの比表面咳はBET表面積が、20m2/g以下が好ましい。(図6,7)
配合変化試験
エスゾピクロンと添加剤を混合し、60℃密栓下4週間、40℃75%RH4週間における配合変化試験を行った。
類縁物質量はHPLCで測定した。
その結果を表1に記載する。
一方、メグルミン、無水クエン酸、酸化マグネシウムは40℃75%RH開放4週間で、配合変化が確認された。
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,カルメロースカルシウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,ロータリー打錠機で錠剤質量が100mgの表2の錠剤(製剤1)を得た。
実施例1で得られた製剤1及び下記表3の参考製剤Aについて、40℃75%RH開放条件における4週間の保存安定性試験を行った。
参考製剤A
(参考製剤Aの製造方法)
エスゾピクロン,結晶セルロース,カルメロースカルシウムを混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,ロータリー打錠機で錠剤質量が100mgの錠剤を得た。
下記の方法で試験を行い、その試験結果を図1に示す。
図1から明らかなように硬化油を配合することで、類縁物質の生成が抑制されることが明らかになった。
(測定方法)
本品を粉末とし、エスゾピクロン10mgに対応する量をとり、pH4.0のリン酸塩溶液/アセトニトリル(62:38)20mLを加えて5分間超音波処理をした後、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過する。初めのろ液2mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。この液1mLを正確に量り、pH4.0のリン酸塩溶液/アセトニトリル(62:38)を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィー(HPLC)により試験を行う。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:303nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:pH4.0のリン酸塩溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た.
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,錠剤質量が100mgとなるようにロータリー打錠機で打錠し、表5の製剤2,3,4を得た。
試験方法
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を図2,3に記載する。
図2,3から明らかなように、無水リン酸水素カルシウムを15%含有する製剤が類縁物質の生成が抑制された。
製剤5の製造方法(造粒まで)
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
製剤6の製造方法(造粒まで)
エスゾピクロン,結晶セルロース,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
造粒後(共通)
造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た.
得られた整粒顆粒と後末部を混合し、ロータリー打錠機にて、質量が100mgの表6の錠剤5,6を得た。
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を図4,5に記載する。
図4,5から明らかなように、無水リン酸水素カルシウムを後末添加した製剤の方が、顆粒内に存在する製剤に比べ、保存安定性が優れていた。
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒と後末(ステアリン酸マグネシウム)を混合し,ロータリー打錠機で質量が100mgの表7の製剤7,8を得た。
製剤7,8は表8の物性値を有する無水リン酸水素カルシウムを使用した。
無水リン酸水素カルシウムの物性値
試験方法
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を図6,7に記載する。
図6,7から明らかなように比表面積の小さい無水リン酸水素カルシウムが大きなものに比べ、保存安定性が優れていた。
Claims (18)
- (a)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(b)無水リン酸水素カルシウム、D−マンニトール又は乳糖水和物の少なくとも1つ、
(c)L−メチオニン、硬化油又はショ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを
含有する錠剤。 - エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する錠剤。
- エスゾピクロンを1錠中、0.5〜10mg含有する請求項1又は2記載の錠剤。
- 無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、5〜45%含有する請求項1〜3の何れかの項に記載の錠剤。
- 無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、10〜30%含有する請求項1〜3の何れかの項に記載の錠剤。
- 無水リン酸水素カルシウムのBET表面積が、20m2/g以下である請求項1〜5の何れかの項に記載の錠剤。
- 硬化油を錠剤中、0.5〜5%含有する請求項1〜6の何れかの項に記載の錠剤。
- さらに賦形剤を含有していても良い請求項1〜7の何れかの項に記載の錠剤。
- 賦形剤がコムギデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物及び結晶セルロースから選択される請求項2〜8の何れかの項に記載の錠剤。
- さらに崩壊剤を含有していても良い請求項1〜9の何れかの項に記載の錠剤。
- 崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム及びL−HPCから選択される請求項10記載の錠剤。
- さらに結合剤を含有していても良い請求項1〜11の何れかの項に記載の錠剤。
- 結合剤がHPC及びα化デンプンから選択される請求項12記載の錠剤。
- さらに滑沢剤を含有していても良い請求項1〜13の何れかの項に記載の錠剤。
- 滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムから選択される請求項14記載の錠剤。
- 湿式造粒法で製造される請求項1〜15の何れかの項に記載の錠剤。
- 無水リン酸水素カルシウムが、顆粒外に存在する請求項1〜16の何れかの項に記載の錠剤。
- さらにフィルムコーティングされていても良い請求項1〜17の何れかの項に記載の錠剤。
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