JP2020147529A - ダビガトランエテキシラートを含む製剤および安定化方法 - Google Patents

ダビガトランエテキシラートを含む製剤および安定化方法 Download PDF

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将之 安田
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正哉 中西
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広子 樺島
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Abstract

【課題】ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善された新規の製剤を提供する。【解決手段】(A)ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、(B)酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなることを特徴とする、有核錠。【選択図】図1

Description

本発明は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤、および当該製剤の安定化方法に関する。
ダビガトランエテキシラートは、一般に、トロンビン阻害剤として知られており、全身性塞栓症の予防、脳卒中の予防等において有用である。
ダビガトランエテキシラートは、酸性環境下で溶解する特性を有する。従い、ダビガトランエテキシラートの溶解性を担保するためには、酸性環境を付与する必要があり、製剤中に酸を含ませることが多くの場合に行われている。
しかし、ダビガトランエテキシラートは、長時間、酸と接触させた場合に分解されやすくなるため、ダビガトランエテキシラートを含む製剤の保存時においては、ダビガトランエテキシラートと酸とが接触しない状態で維持することが望ましい。
このような状況下で、ダビガトランエテキシラートの製剤設計においては、ダビガトランエテキシラートと酸とが、保存時において直接接触しないような技術が検討されていた。そのような技術として、例えば、以下の特許文献1〜4が報告されている。
特許文献1には、特定の水溶性を有する有機酸を含むコア材料と、水溶性ポリマーからなる分離層と、ダビガトランエテキシラートを含む活性物質層とを含む、経口投与用医薬組成物が開示されている。
特許文献2には、特定の水溶性を有する有機酸を含むコア材料と、断熱層と、ダビガトランエテキシラートを含む有効物質層とを含む、MUPS(Multiple unit pellet system)タブレットが開示されている。
特許文献3には、ダビガトランエテキシラートを含み、かつ、酸を含まない第1の種類の粒子と、有機酸を含む第2の種類の粒子とを含み、少なくとも1種の粒子が、保護コーティング層でコートされたものである、組成物が開示されている。
特許文献4には、ダビガトランエテキシラートを含む第1の層と、薬学的に許容可能な賦形剤等を含む不活性層と、酸等を含む第2の層とを含む、経口投与用の医薬組成物が開示されている。
特許第3866715号公報 特表2015−500853号公報 特許第6215239号公報 国際公開第2018/104387号公報
しかし、特許文献1〜3の技術は、医薬の保存時において、ダビガトランエテキシラートと酸との接触を十分に回避することができず、その結果、ダビガトランエテキシラートを安定に維持できないという問題がある。
また、特許文献4の技術は、三層構造を有しているため、製造上の手間がかかるという問題がある。また、三層錠では、錠剤に物理的な厚みが生じるために、ハンドリングが困難になるという問題もある。
そこで、本発明の一態様は、上記の課題が解決された、とりわけ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善された新規の製剤を実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ダビガトランエテキシラートと、酸とを、錠剤中の別々の部位に、具体的には、錠剤中の外部(外殻)および内部(内核)のそれぞれの部位に配置することにより、ダビガトランエテキシラートの安定性が改善されることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態は以下の構成を包含する。
<1>(A)ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、
(B)酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなることを特徴とする、有核錠。
<2>ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、
ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなる、有核錠とすることを特徴とする、方法。
本発明の一態様によれば、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む、安定な製剤を提供することができる。本発明の一態様によれば、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤の安定化方法を提供することができる。
本発明の一実施形態における有核錠の概念図である。 実施例および比較例における、錠剤の性状の観察結果を示す図である。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。
なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.概要〕
本発明の一実施形態に係る有核錠(以下、「本発明の有核錠」と称する。)は、(A)ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩(以下、単に「ダビガトランエテキシラート」と称する場合がある。)を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、(B)酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなることを特徴とする。
本明細書において、「有核錠」は、当該技術分野において通常使用される意味であり、内核(「内核部」とも称する。)および外殻(「外殻部」とも称する。)の二つの部位から形成される錠剤である。有核錠は、一般に、直径が一定以上の大きさの錠剤であるため、ミニタブレット等は、本明細書における「有核錠」の範囲に含まれない。本発明の有核錠は、好ましくは、経口投与により対象に投与される。
本発明者らは、ダビガトランエテキシラートを含む製剤について詳細に検討を行った結果、以下の知見を得ることに成功した。なお、「ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩」は、その一例として「ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩」を用いた。また、「酸」は、その一例として「酒石酸」を用いた。
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩と、酸とを、錠剤中の外部(外殻)および内部(内核)のそれぞれの部位に配置する(すなわち、有核錠とする)ことにより、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が安定に維持される。
・前記有核錠とすることにより、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が安定に維持されるとともに、該錠剤の外観の変化(着色等)も抑えられる。
本発明の有核錠は、上述の通り、ダビガトランエテキシラートを含む外殻部と、酸を含む内核部とからなる。そのような構成を有することから、本発明の有核錠は、他の錠剤(例えば、二層錠)に比して、外殻部と内核部との接触力を軽減することができ、その結果、ダビガトランエテキシラートと酸との接触頻度を減少させることができる。それ故、本発明の有核錠は、他の錠剤(例えば、二層錠)に比して、ダビガトランエテキシラートの安定性が高いという効果を奏する。このように、本発明の有核錠は、上記の知見に基づく有利な効果を奏することから、極めて有用な新規のダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤を提供することができる。
〔2.本発明の有核錠〕
本発明の有核錠は、図1で示すように、有核錠3の内部に内核1を有し、その周囲を外殻2で覆う形態をとる。外殻2は、有効成分であるダビガトランエテキシラートを含み、内核1は、ダビガトランエテキシラートを溶解させるための酸を含む。本発明の有核錠は、このような形態をとることにより、上記した種々の効果を奏することができる。
(ダビガトランエテキシラート)
本発明の有核錠は、有効成分として、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む。ダビガトランエテキシラートは、下記の式(1)で表される化合物である。
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、医学的に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、ヒトまたはその他の哺乳動物の組織と接触させて使用するのに適した塩を意味する。
ダビガトランエテキシラートの薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知であり、任意のものが使用可能である。ダビガトランエテキシラートの薬学的に許容される塩としては、好ましくは、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が用いられる。
(外殻)
本発明の有核錠における外殻は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む。
本発明の有核錠において、外殻は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含むが、酸を含まない。酸を含まないことにより、保存時において、酸とダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩とが接触する可能性を低減することができ、その結果、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を安定に維持することができる。
本発明の一実施形態において、外殻に含まれるダビガトランエテキシラートの量は、外殻の重量を基準として、例えば、10〜50重量%であり、好ましくは、20〜40重量%であり、より好ましくは、20〜35重量%である。
本発明の一実施形態において、外殻に含まれるダビガトランエテキシラートの量は、例えば、50〜200mgであり、好ましくは、50〜150mgであり、より好ましくは、70〜120mgである。
本発明の一実施形態において、外殻は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含んでいてもよい。
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、D−マンニトール、乳糖、白糖、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、リン酸カルシウム、ソルビット、結晶セルロース等が挙げられる。好ましくは、D−マンニトールが用いられる。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「ヒプロメロース」とも称する。)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、またはこれらの重合体の組み合わせ、アルファー化デンプン、ゼラチン、カンテン、アラビアゴム等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒプロメロースが用いられる。
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、バレイショデンプン等が挙げられる。好ましくは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。
滑沢剤としては、特に限定されないが、例えば、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、無水ケイ酸水加物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
前記添加剤の含有量(含有率)は、特に限定されることなく、従来公知の技術に基づいて、適宜設定され得る。
(内核)
本発明の有核錠における内核は、酸を含む。
本発明の有核錠において、内核は、酸を含むが、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない。ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まないことにより、保存時において、酸とダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩とが接触する可能性を低減することができ、その結果、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を安定に維持することができる。
本発明の一実施形態において、酸は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の溶解性を担保できるものである限り、特に限定されない。
本発明の一実施形態において、酸は、その水和物であってもよく、その酸性塩であってもよい。
本発明の一実施形態において、酸は、有機酸であっても、無機酸であってもよい。本発明の一実施形態において、酸は、好ましくは、有機酸である。
有機酸としては、特に限定されないが、例えば、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。好ましくは、酒石酸が用いられる。
無機酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、酸は、一種類の酸であってもよいし、複数の酸を混合した混合酸であってもよい。混合酸としては、異なる有機酸を混合したものであってもよいし、異なる無機酸を混合したものであってもよいし、有機酸と無機酸とを混合したものであってもよい。混合酸で使用される有機酸および無機酸は、例えば、上述したものが用いられる。
本発明の一実施形態において、内核に含まれる酸の量は、内核の重量を基準として、例えば、20〜90重量%であり、好ましくは、40〜80重量%であり、より好ましくは、50〜70重量%である。
本発明の一実施形態において、内核は、前記酸の他に、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を含んでいてもよい。
賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤としては、例えば、上述した賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤が用いられる。
前記添加剤の含有量(含有率)は、特に限定されることなく、従来公知の技術に基づいて、適宜設定され得る。
本発明の一実施形態において、内核は、遮蔽層で被覆されていてもよい。内核が遮蔽層で被覆されていることにより、保存時において、内核に含まれる酸と、外殻に含まれるダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩とが接触する可能性をより低減することができ、その結果、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を安定に維持することができる。
本発明の一実施形態において、遮蔽層は、結合剤、コーティング剤等を含んでいてもよい。
結合剤としては、例えば、上述した結合剤が用いられる。
コーティング剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、珪酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールとアクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体等が挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク等が用いられる。
(その他)
本発明の有核錠の大きさは、特に限定されないが、取扱い性の観点から、例えば、5mm以上、16mm以下であり、好ましくは、6mm以上、13mm以下であり、より好ましくは、7mm以上、11mm以下である。
本発明の有核錠は、当該技術分野における周知の方法、例えば、実施例に記載の方法により、製造することができる。
本発明の一実施形態において、本発明の有核錠の製造方法は、例えば、造粒部(外殻)の製造工程、造粒部(内核)の製造工程、および有核錠の製造工程(打錠工程)を含み得る。例えば、実施例に記載の処方により、まず、造粒部(外殻)および造粒部(内核)を調製する。得られた造粒部(外殻)および造粒部(内核)を用いて、打錠用混合物(外殻)および打錠用混合物(内核)を調製し、打錠を行うことにより、本発明の有核錠を得ることができる。
本発明の一実施形態において、上記打錠用混合物は、顆粒または粉末のいずれの形態であってもよい。
本発明の有核錠の形状は、特に限定されることなく、例えば、円形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状等であり得る。また、本発明の有核錠は、錠剤の表面がコーティング剤により被膜されていてもよい。
本発明の一実施形態において、本発明の有核錠に含まれる、ダビガトランエテキシラートと、酸との量の比率は、重量を基準として、例えば、80:20〜40:60、好ましくは、70:30〜50:50、より好ましくは、65:35〜55:45である。
本発明の有核錠に含まれる、外殻と、内核との量の比率は、重量を基準として、例えば、80:20〜20:80、好ましくは、70:30〜30:70、より好ましくは、60:40〜40:60である。
本発明の一実施形態において、本発明の有核錠は、外殻の外側にさらにフィルムコーティングを設けてもよい。フィルムコーティングに用いられるコーティング剤としては、例えば、上述したコーティング剤が用いられる。
また、本発明の一実施形態において、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなる、有核錠とすることを特徴とする方法(以下、「本発明の安定化方法」と称する。)を提供する。
本発明の安定化方法は、ダビガトランエテキシラートを含む薬剤を、ダビガトランエテキシラートを含む外殻部と、酸を含む内核部とからなる有核錠として製剤することにより、その安定性が高まる方法であれば特に限定されない。
本発明の有核錠は、トロンビン阻害剤として、とりわけ、全身性塞栓症の予防、脳卒中の予防等において、使用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について以下に説明する。
[測定および評価方法]
実施例および比較例における各評価を、以下の方法で行った。
(1.安定性試験)
実施例1〜3および比較例1〜3で製造した錠剤を、ポリエチレン製の瓶に入れて密栓した。70℃で9日間(70℃ 9D)放置した後、錠剤を取り出し、類縁物質(加水分解体および総類縁)の量を測定した。
具体的には、各処方につき、錠剤を一定量の抽出溶媒(アセトニトリル/水混液=9/1)にて抽出し、メンブレンフィルターで濾過して、試料溶液とした。
上記試料溶液を、下記の条件でHPLCに付し、各試料溶液中のダビガトランおよび類縁物質のピーク面積から、類縁物質の生成率(%)を算出した。
<HPLC測定条件>
・測定波長:UV検出器(測定波長317nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
・カラム温度:40℃
・移動相A:酢酸アンモニウム溶液
・移動相B:アセトニトリル
・流量:1mL/min
・送液:移動相Aおよび移動相Bの混合比を変えて、濃度勾配を制御。
(2.性状の評価)
実施例1および比較例1〜2で製造した錠剤を、安定性試験の前後で写真撮影し、その外観を観察した。
[実施例1]
酒石酸、D−マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠用混合物1(内核)とした。
また、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(以下、「有効成分」と称する。)、D−マンニトールおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部2(外殻)とした。次いで、上記造粒部2(外殻)と、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物2(外殻)とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物1(内核)を打錠圧力8kNで打錠し、内核錠を製造した。次いで、上記内核錠と、打錠用混合物2(外殻)とを、打錠圧力13kNで打錠し、有核錠を製造した。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[実施例2]
酒石酸およびD−マンニトールを流動層造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部1(内核)とした。次いで、上記造粒部1(内核)と、D−マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物1(内核)とした。
また、有効成分、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠用混合物2(外殻)とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物1(内核)を打錠圧力8kNで打錠し、内核錠を製造した。次いで、上記内核錠と、打錠用混合物2(外殻)とを、打錠圧力12kNで打錠し、有核錠を製造した。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[比較例1]
有効成分、D−マンニトールおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部1(主薬層部)とした。次いで、上記造粒部1(主薬層部)と、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物1(主薬層部)とした。
また、酒石酸およびD−マンニトールを流動層造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部2(酒石酸層部)とした。次いで、上記造粒部2(酒石酸層部)と、D−マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物2(酒石酸層部)とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物1(主薬層部)と、打錠用混合物2(酒石酸層部)とを、打錠圧力7kNで打錠し、二層錠を製造した。
なお、各成分の分量は、表2に記載の分量で行った。
[比較例2]
有効成分、D−マンニトールおよび酒石酸を撹拌造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部1(主薬層部)とした。
上記造粒部1(主薬層部)と、D−マンニトール、クロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物1(主薬層部)とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物1(主薬層部)を打錠圧力8kNで打錠し、錠剤を製造した。
なお、各成分の分量は、表2に記載の分量で行った。
[比較例3]
有効成分、D−マンニトールおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部1(主薬層部)とした。
また、酒石酸およびD−マンニトールを流動層造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部2(酒石酸層部)とした。
次いで、上記造粒部1(主薬層部)と、上記造粒部2(酒石酸層部)と、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物を打錠圧力12kNで打錠し、錠剤を製造した。
なお、各成分の分量は、表2に記載の分量で行った。
[結果]
上記実施例1〜2および比較例1〜3で製造した錠剤について、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の安定性試験を行った結果を表3に示す。また、実施例1〜2および比較例1〜2で製造した錠剤について、性状の評価を行った結果を図2に示す。
表3では、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の加水分解体および総類縁の割合を指標として、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の安定性を評価した。加水分解体および総類縁は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の分解産物であり、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の分解に伴いその割合が増加する。実施例では、比較例に比して、加水分解体および総類縁の増加量(すなわち、表3では、「9D」−「INITIAL」で示される値)が低い結果となった。
詳細には、実施例1〜2の比較より、外殻および内核における造粒の有無で、加水分解体および総類縁の増加量に大きな差はなく、いずれも加水分解体および総類縁の増加量を低減させることが分かった。また、実施例1、実施例2および比較例1の比較より、有核錠(実施例1および2)は、二層錠(比較例1)よりも、安定性が良好となることが分かった。
また、錠剤の性状の評価を行った図2によると、実施例は、比較例に比して、錠剤が着色しにくいということが分かった(実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の比較)。特に、比較例では、錠剤の表面にマーブル状の斑点(変色)が見られたのに対して、実施例では、そのような斑点はほとんど見られなかった。
以上の結果より、ダビガトランエテキシラートと、酸とを、錠剤中の外部(外殻)および内部(内核)のそれぞれの部位に配置した有核錠とすることにより、ダビガトランエテキシラートが安定に維持されるとともに、該製剤の外観の変化(着色等)も抑えられることが示された。
[処方例1]
酒石酸および部分α化デンプンを流動層造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部1(内核)とする。次いで、上記造粒部1(内核)と、D−マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物1(内核)とする。
また、有効成分、D−マンニトールおよび部分α化デンプンを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部2(外殻)とする。次いで、上記造粒部2(外殻)と、ステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用混合物2(外殻)とする。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用混合物1(内核)を打錠圧力8kNで打錠し、内核錠を製造する。次いで、上記内核錠をコーティングパン機に入れ、ヒプロメロースとヒドロキシプロピルセルロースとの溶解液にタルクを分散したコーティング液を用いてコーティングし、コーティング内核錠とする。続いて、上記コーティング内核錠と、打錠用混合物2(外殻)とを、打錠圧力8kNで打錠し、有核錠を製造する。
その後、上記有核錠をコーティングパン機に入れ、ポリビニルアルコールとヒドロキシプロピルセルロースとの溶解液にタルクを分散したコーティング液を用いてコーティングし、フィルムコーティング有核錠とする。
なお、各成分の分量は、表4に記載の分量で行う。
[処方例2]
有核錠のコーティング剤として、ポリビニルアルコールをヒプロメロースに変更した以外は、処方例1と同様の方法により、フィルムコーティング有核錠を得る。
なお、各成分の分量は、表4に記載の分量で行う。
本発明の有核錠は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善されているため、ダビガトランエテキシラートの新規製剤として(例えば、全身性塞栓症の予防、脳卒中の予防等において)、好適に利用することができる。
1 内核
2 外殻
3 有核錠

Claims (2)

  1. (A)ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、
    (B)酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなることを特徴とする、有核錠。
  2. ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、
    ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含み、かつ、酸を含まない、外殻部と、酸を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含まない、内核部と、からなる、有核錠とすることを特徴とする、方法。
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CN115006363A (zh) * 2022-06-23 2022-09-06 上海信谊万象药业股份有限公司 一种牡蛎碳酸钙咀嚼片及其制备方法

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