JP2020147528A - ダビガトランエテキシラートを含む製剤および安定化方法 - Google Patents

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将之 安田
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正哉 中西
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広子 樺島
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Abstract

【課題】ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善された新規の製剤を提供する。【解決手段】ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤であり、前記錠剤が湿式造粒により得られた顆粒を含むことを特徴とする、錠剤。【選択図】図1

Description

本発明は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤、および当該製剤の安定化方法に関する。
ダビガトランエテキシラートは、一般に、トロンビン阻害剤として知られており、深部静脈血栓症の術後予防、脳卒中の予防等において有用である。
ダビガトランエテキシラートは、酸性環境下で溶解する特性を有する。従い、ダビガトランエテキシラートの溶解性を担保するためには、酸性環境を付与する必要があり、製剤中に酸を含ませることが多くの場合に行われている。
しかし、ダビガトランエテキシラートは、長時間、酸と接触させた場合に分解されやすくなるため、ダビガトランエテキシラートを含む製剤の保存時においては、ダビガトランエテキシラートと酸とが接触しない状態で維持することが望ましい。
このような状況下で、ダビガトランエテキシラートの製剤設計においては、ダビガトランエテキシラートと酸とが、保存時において直接接触しないような技術が検討されていた。そのような技術として、例えば、以下の特許文献1〜4が報告されている。
特許文献1には、特定の水溶性を有する有機酸を含むコア材料と、水溶性ポリマーからなる分離層と、ダビガトランエテキシラートを含む活性物質層とを含む、経口投与用医薬組成物が開示されている。
特許文献2には、特定の水溶性を有する有機酸を含むコア材料と、断熱層と、ダビガトランエテキシラートを含む有効物質層とを含む、MUPS(Multiple unit pellet system)タブレットが開示されている。
特許文献3には、ダビガトランエテキシラートを含み、かつ、酸を含まない第1の種類の粒子と、有機酸を含む第2の種類の粒子とを含み、少なくとも1種の粒子が、保護コーティング層でコートされたものである、組成物が開示されている。
特許文献4には、ダビガトランエテキシラートを含む第1の層と、薬学的に許容可能な賦形剤等を含む不活性層と、酸等を含む第2の層とを含む、経口投与用の医薬組成物が開示されている。
特許第3866715号公報 特表2015−500853号公報 特許第6215239号公報 国際公開第2018/104387号公報
しかし、特許文献1〜4の技術は、ダビガトランエテキシラートの安定性を保持するために、ダビガトランエテキシラートと酸とを製剤中で分離させる必要があり、製造工程が煩雑になるという問題がある。
また、特許文献1〜4の技術では、酸として使用されている酒石酸等とダビガトランエテキシラートとの配合性が悪く、少なからず、ダビガトランエテキシラートが損傷を受けるという問題がある。
そこで、本発明の一態様は、上記の課題が解決された、とりわけ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善された新規の製剤を実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸としてアスパラギン酸を用いることにより、ダビガトランエテキシラートと酸とが近接した状態であっても、ダビガトランエテキシラートが安定な状態を維持できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成を包含する。
<1>ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤であり、前記錠剤が湿式造粒により得られた顆粒を含むことを特徴とする、錠剤。
<2>前記アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩が、前記顆粒の内部および/または外部に含まれることを特徴とする、<1>に記載の錠剤。
<3>前記ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、前記アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とが、実質的に近接していることを特徴とする、<1>または<2>記載の錠剤。
<4>単層錠である、<1>〜<3>のいずれかに記載の錠剤。
<5>ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤を製造する方法であり、少なくとも湿式造粒工程を含むことを特徴とする、方法。
<6>ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、
前記錠剤の製造工程において、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩を含む顆粒を生成させ、
前記顆粒の生成が、湿式造粒により行われることを特徴とする、方法。
本発明の一態様によれば、煩雑な製造工程を回避しつつ、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む、安定な製剤を提供することができる。本発明の一態様によれば、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤の安定化方法を提供することができる。
実施例、比較例および参考例における、錠剤およびカプセル製剤の性状の評価結果を示す図である。 実施例および参考例における、溶出試験の結果を示す図である。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。
なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.概要〕
本発明の一実施形態に係る錠剤(以下、「本発明の錠剤」と称する。)は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩(以下、単に「ダビガトランエテキシラート」と称する場合がある。)と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩(以下、単に「アスパラギン酸」と称する場合がある。)とを含む錠剤であり、前記錠剤が湿式造粒により得られた顆粒を含むことを特徴とする、錠剤である。
本発明者らは、ダビガトランエテキシラートを含む製剤、とりわけ、ダビガトランエテキシラートとともに含まれる酸について詳細に検討を行った結果、以下の知見を得ることに成功した。なお、「ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩」は、その一例として「ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩」を用いた。また、「アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩」は、その一例として「アスパラギン酸」を用いた。
・酸としてアスパラギン酸を用いることにより、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩とアスパラギン酸とが近接した状態であっても、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が安定に維持される。
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩と、アスパラギン酸とを含む製剤は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が安定に維持されるとともに、該製剤の外観の変化(着色等)も抑えられる。
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩と、アスパラギン酸とを含む製剤は、従来の製剤(先発製剤)と同程度の溶出率を有する。
アスパラギン酸は酒石酸よりも弱い酸であるため、酒石酸等と比して、ダビガトランエテキシラートの溶出率を十分に担保できるかは不明であった。このような中、アスパラギン酸が酒石酸等と同程度の溶出率を達成できたことは、驚くべきことである。
本発明の錠剤は、ダビガトランエテキシラートと酸とを分離させる必要がないことから、錠剤の製造工程において、分離工程(例えば、被覆工程、遮蔽層構築工程、二層化工程等)を省くことができる。すなわち、本発明の錠剤は、簡便な製造方法で製剤化できる。
このように、本発明の錠剤は、上記の知見に基づく有利な効果を奏することから、極めて有用な新規のダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む製剤を提供することができる。
〔2.本発明の錠剤〕
本発明の錠剤は、有効成分として、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む。ダビガトランエテキシラートは、下記の式(1)で表される化合物である。
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、医学的に、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、ヒトまたはその他の哺乳動物の組織と接触させて使用するのに適した塩を意味する。
ダビガトランエテキシラートの薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知であり、任意のものが使用可能である。ダビガトランエテキシラートの薬学的に許容される塩としては、好ましくは、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩が用いられる。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれるダビガトランエテキシラートの量は、錠剤の重量を基準として、例えば、10〜70重量%であり、好ましくは、20〜50重量%であり、より好ましくは、25〜35重量%である。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれるダビガトランエテキシラートの量は、例えば、10〜300mgであり、好ましくは、50〜200mgであり、より好ましくは、75〜150mgである。
本発明の錠剤は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩とともに、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩を含む。上述したとおり、ダビガトランエテキシラートは、アスパラギン酸と近接した状態であっても、ダビガトランエテキシラートの安定性を維持できる。したがって、本発明の錠剤は、アスパラギン酸を含むことにより、ダビガトランエテキシラートを安定に維持するとともに、ダビガトランエテキシラートと、酸とを、製剤中で分離するという煩雑な製造工程を回避できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態において、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩は、本発明の錠剤における効果を奏する限り、特に限定されない。
本発明の一実施形態において、アスパラギン酸は、L体であってもよいし、D体であってもよい。また、本発明の錠剤における効果を奏する限りにおいて、アスパラギン酸は、化学的に修飾されていてもよい。
本発明の一実施形態において、アスパラギン酸の水和物としては、例えば、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等が挙げられる。
また、本発明の一実施形態において、アスパラギン酸の酸性塩としては、例えば、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれるアスパラギン酸の量は、錠剤の重量を基準として、例えば、10〜60重量%であり、好ましくは、20〜50重量%であり、より好ましくは、25〜35重量%である。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれるアスパラギン酸の量は、例えば、40〜150mgであり、好ましくは、40〜140mgであり、より好ましくは、50〜120mgである。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれる、ダビガトランエテキシラートと、アスパラギン酸との量の比率は、重量を基準として、例えば、35:65〜80:20、好ましくは、40:60〜60:40、より好ましくは、45:55〜55:45である。
本発明の他の実施形態において、本発明の錠剤は、アスパラギン酸に加えて、他の酸を含み得る。本発明の錠剤は、他の酸を含むことにより、錠剤に含まれるダビガトランエテキシラートの溶出率を高める等の効果を得ることができる。
本発明の錠剤に含まれる他の酸としては、その配合量において、ダビガトランエテキシラートの安定性を実質的に害さずに、かつ、ダビガトランエテキシラートに好影響を与える(例えば、ダビガトランエテキシラートの溶出率を高める)ものであれば、特に限定されない。
本発明の一実施形態において、その他の酸は、有機酸であっても、無機酸であってもよい。また、本発明の一実施形態において、その他の酸は、水和物であってもよいし、酸性塩であってもよい。
有機酸としては、特に限定されないが、例えば、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタミン酸等が挙げられる。好ましくは、グルタミン酸、酒石酸が用いられる。
無機酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、その他の酸は、一種類の酸であってもよいし、複数の酸を混合した混合酸であってもよい。混合酸としては、異なる有機酸を混合したものであってもよいし、異なる無機酸を混合したものであってもよいし、有機酸と無機酸とを混合したものであってもよい。
本発明の錠剤は、その製造工程において、湿式造粒工程を含む。本発明の一実施形態において、本発明の錠剤は、湿式造粒により得られた顆粒を含む。湿式造粒は、撹拌造粒機や流動層造粒機を用いて、水や結合剤の付着力を利用して造粒する方法である。湿式造粒で造粒した顆粒は、粒度が比較的均一になり、流動性に優れる等の性質を有するので、取扱いが容易となる。さらに、湿式造粒で造粒した顆粒を用いることで、含量均一性に優れ、良好な硬度をもった錠剤を得ることができる、等の利点を有する。
一方、湿式造粒に対する造粒方法として、乾式造粒が知られている。乾式造粒は、乾式造粒機を用いて、水や結合剤を使用せず、材料を高圧下で造粒する方法である。乾式造粒で造粒した場合には、粗大粒子および微粒子が生じやすくなるため、粒度が均一となりにくく、取扱い性が悪くなる。
したがって、本発明の錠剤が湿式造粒工程を含むことは、本発明の一実施形態における一つの特徴である。
本発明の錠剤は、湿式造粒により得られた顆粒を含む(湿式造粒工程を含む)ことを一つの特徴としている。また、本発明の錠剤は、湿式造粒により得られた顆粒を含むことにより、上記で示した複数の利点を有する。このように本発明の錠剤における効果の一つは、湿式造粒を採用することにより発揮されるものであり、それ故、本発明の錠剤の構成の一部として湿式造粒を規定している。ここで、湿式造粒とそれ以外の方法(例えば、乾式造粒)で得られた錠剤につき、構成、物性等で区別することは極めて困難である。例えば、区別するべく構成、物性等として、流動性、含量均一性等のパラメータが想定し得るが、これらは錠剤の製造条件等により変動するものであるため、これらの指標によって区別することは極めて困難であり、実際的ではない。
本発明の一実施形態において、アスパラギン酸は、前記湿式造粒により得られた顆粒の内部および外部のいずれか、またはその両方に含まれていてもよい。好ましくは、アスパラギン酸は、前記顆粒の内部、または内部および外部の両方に含まれる。
本発明の錠剤の硬度は、取扱い性の観点から、100N以上であれば特に限定されないが、好ましくは、110N以上であり、より好ましくは、120N以上である。
本発明の錠剤の硬度の測定は、後述する実施例に記載の方法に基づき行われる。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤に含まれる、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とが、実質的に近接している。
本明細書において、「実質的に近接している」とは、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の全部または一部が、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩の全部または一部の近傍に存在していること、あるいは、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩の全部または一部が、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の全部または一部の近傍に存在していることを意味する。
ダビガトランエテキシラートとアスパラギン酸とが、実質的に近接している状態は、上記の定義に含まれる限り特に限定されないが、例えば、ダビガトランエテキシラートとアスパラギン酸とが混合された混合物の状態や、ダビガトランエテキシラートまたはアスパラギン酸のいずれか一方を含む造粒部と他方が粉末で混合された状態、あるいはダビガトランエテキシラートを含む造粒部とアスパラギン酸を含む造粒部とが混合された状態等が挙げられる。
本発明の錠剤の種類は、特に限定されない。本発明の錠剤は、製造工程の簡略化の観点から、単層錠が好ましいが、二層錠、三層錠等の多層錠であってもよい。
本発明の錠剤の形状は、特に限定されることなく、例えば、円形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状等であり得る。また、本発明の錠剤は、錠剤の表面がコーティング剤により被膜されていてもよい。
本発明の錠剤は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩との他に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含んでいてもよい。
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、D−マンニトール、乳糖、白糖、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、リン酸カルシウム、ソルビット、結晶セルロース等が挙げられる。好ましくは、D−マンニトールが用いられる。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「ヒプロメロース」とも称する。)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、またはこれらの重合体の組み合わせ、アルファー化デンプン、ゼラチン、カンテン、アラビアゴム等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒプロメロースが用いられる。
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、バレイショデンプン等が挙げられる。好ましくは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。
滑沢剤としては、特に限定されないが、例えば、カルナウバロウ、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セタノール、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、無水ケイ酸水加物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
前記添加剤の含有率は、特に限定されることなく、従来公知の技術に基づいて、適宜設定され得る。
本発明の一実施形態において、本発明の錠剤は、錠剤の外側にさらにフィルムコーティングを設けてもよい。フィルムコーティングに用いられるコーティング剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、珪酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールとアクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体等が挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク等が用いられる。
また、本発明の一実施形態において、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤を製造する方法であり、少なくとも湿式造粒工程を含むことを特徴とする方法(以下、「本発明の製造方法」と称する。)を提供する。
本発明の製造方法における湿式造粒および湿式造粒の利点については、上述した通りである。
本発明の製造方法は、湿式造粒を含み、かつ、ダビガトランエテキシラートとアスパラギン酸とを含む錠剤が製造できる方法であれば特に限定されない。
本発明の製造方法は、例えば、造粒部製造工程、および打錠用顆粒製造工程を含み得る。例えば、実施例に記載の方法により、まず、ダビガトランエテキシラートを含む造粒部を製造し、得られた造粒部を種々の添加剤と混合して打錠用顆粒を製造する。その後、得られた打錠用顆粒を単発打錠することにより、本発明の錠剤を得ることができる。アスパラギン酸の添加の段階は、造粒部製造工程であってもよく、打錠用顆粒製造工程であってもよい。アスパラギン酸が造粒部製造工程で添加された場合は、アスパラギン酸は造粒物(顆粒)の内部、または内部および外部の両方に含まれる。また、アスパラギン酸が打錠用顆粒製造工程で添加された場合は、アスパラギン酸は造粒物(顆粒)の外部に含まれる。
また、本発明の一実施形態において、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、前記錠剤の製造工程において、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩を含む顆粒を生成させ、前記顆粒の生成が、湿式造粒により行われることを特徴とする方法(以下、「本発明の安定化方法」と称する。)を提供する。
本発明の安定化方法における湿式造粒および湿式造粒の利点については、上述した通りである。
本発明の安定化方法は、湿式造粒によりアスパラギン酸を含む顆粒を生成させ、その結果得られる錠剤の安定性が高まる方法であれば特に限定されない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について以下に説明する。
[測定および評価方法]
実施例および比較例における各評価を、以下の方法で行った。
(1.安定性試験)
実施例1〜2および比較例1〜3で製造した錠剤を、シャーレの上に置き、加湿条件下で安定性を評価した。
具体的には、上記錠剤を置いたシャーレを、25℃75%RHで2週間、開放条件で放置した後、錠剤を取り出し、類縁物質(加水分解体および総類縁)の量を測定した。
各処方につき、錠剤を一定量の抽出溶媒(アセトニトリル/水混液=9/1)にて抽出し、メンブレンフィルターで濾過して、試料溶液とした。
上記試料溶液を、下記の条件でHPLCに付し、各試料溶液中のダビガトランおよび類縁物質のピーク面積から、類縁物質の生成率(%)を算出した。
<HPLC測定条件>
・測定波長:UV検出器(測定波長317nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
・カラム温度:40℃
・移動相A:酢酸アンモニウム溶液
・移動相B:アセトニトリル
・流量:1mL/min
・送液:移動相Aおよび移動相Bの混合比を変えて、濃度勾配を制御。
(2.性状の評価)
実施例1および比較例2で製造した錠剤、ならびに参考例1のカプセル製剤を、安定性試験の前後で写真撮影し、その外観を観察した。
(3.溶出試験)
実施例1で製造した錠剤および参考例1のカプセル製剤をそれぞれ1個とり、試験液に水900mLを用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行った。ダビガトランの定量は、1.安定性試験で記載した方法により行った。
(4.硬度の測定)
硬度計(ERWEKA製)を用いて硬度を測定した。
[実施例1]
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(以下、「有効成分」と称する。)、D−マンニトールおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部とした。
上記造粒部と、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、L−アスパラギン酸およびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力11kNで打錠し、錠剤を製造した。得られた錠剤の硬度は、120Nであった。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[実施例2]
有効成分、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびL−アスパラギン酸を流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部とした。
上記造粒部と、ステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力11kNで打錠し、錠剤を製造した。得られた錠剤の硬度は、257Nであった。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[比較例1]
有効成分、D−マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、乾式造粒にて造粒し、造粒部とした。次いで、上記造粒部と、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、L−アスパラギン酸およびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力12kNで打錠し、錠剤を製造した。得られた錠剤の硬度は、90Nであった。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[比較例2]
有効成分、D−マンニトールおよび酒石酸を撹拌造粒機に投入し、ヒプロメロース溶液で造粒し、造粒部とした。
上記造粒部と、D−マンニトール、クロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力8kNで打錠し、錠剤を製造した。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[比較例3]
有効成分、D−マンニトールおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部とした。
上記造粒部と、D−マンニトール、クロスポビドン、酒石酸およびステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とした。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力14kNで打錠し、錠剤を製造した。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行った。
[参考例1]
市販されているプラザキサ(登録商標)カプセル110mgを用いた。
[結果]
上記実施例1〜2および比較例1〜3で製造した錠剤について、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の安定性試験を行った結果を表2に示す。また、実施例1および比較例2で製造した錠剤、ならびに参考例1のカプセル製剤について、性状の評価を行った結果を図1に示す。さらに、実施例1で製造した錠剤および参考例1のカプセル製剤について、溶出試験を行った結果を図2に示す。
表2では、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の加水分解体および総類縁の割合を指標として、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の安定性を評価した。加水分解体および総類縁は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の分解産物であり、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩の分解に伴いその割合が増加する。実施例では、比較例に比して、加水分解体および総類縁の増加量(すなわち、表2では、「2W」−「INITIAL」で示される値)が低い結果となった。
詳細には、実施例1と比較例3、および実施例2と比較例2の比較より、酸として酒石酸を用いるよりも、アスパラギン酸を用いた方が、安定性は良好になることが分かった。また、実施例1、実施例2および比較例1の比較により、乾式造粒よりも、湿式造粒を採用した方が、安定性は良好であり、さらに錠剤硬度が高いことが分かった。なお、比較例1では、成型性が悪いために錠剤硬度が低くなったと考えられる。
また、錠剤およびカプセル製剤の性状の評価を行った図1によると、実施例は、比較例に比して、錠剤が着色しにくいということが分かった(実施例1および比較例2の比較)。特に、比較例では、錠剤の表面にマーブル状の斑点(変色)が見られたのに対して、実施例では、そのような斑点はほとんど見られなかった。一方、カプセル製剤(参考例1)は、内容物が潮解し、真っ黒な外観となった。
さらに、図2より、実施例の錠剤は、従来品と同レベルの溶出率を有することが分かった。
以上の結果より、ダビガトランエテキシラート製剤において、酸としてアスパラギン酸を用いることにより、ダビガトランエテキシラートが安定に維持されるとともに、該製剤の外観の変化(着色等)も抑えられ、さらに、従来品と同レベルの溶出率が維持されることが示された。
[処方例1]
有効成分、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、L−アスパラギン酸およびL−グルタミン酸を流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部とする。
上記造粒部と、ステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とする。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力11kNで打錠し、錠剤を製造する。
なお、各成分の分量は、表1に記載の分量で行う。
[処方例2]
有効成分、D−マンニトール、部分α化デンプンおよびL−アスパラギン酸を流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルセルロース溶液で造粒し、造粒部とする。
上記造粒部と、ステアリン酸マグネシウムとを混合し、打錠用顆粒とする。
その後、単発打錠機を用いて、打錠用顆粒を打錠圧力11kNで打錠し、錠剤を製造する。
続いて、上記錠剤をコーティングパン機に入れ、ポリビニルアルコールとヒドロキシプロピルセルロースとの溶解液にタルクを分散したコーティング液を用いてコーティングし、フィルムコーティング錠とする。
なお、各成分の分量は、表3に記載の分量で行う。
[処方例3]
コーティング剤として、ポリビニルアルコールをヒプロメロースに変更した以外は、処方例2と同様の方法により、フィルムコーティング錠を得る。
なお、各成分の分量は、表3に記載の分量で行う。
本発明の錠剤は、ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩の安定性が改善されているため、ダビガトランエテキシラートの新規製剤として(例えば、深部静脈血栓症の術後予防、脳卒中の予防等において)、好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤であり、前記錠剤が湿式造粒により得られた顆粒を含むことを特徴とする、錠剤。
  2. 前記アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩が、前記顆粒の内部および/または外部に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の錠剤。
  3. 前記ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、前記アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とが、実質的に近接していることを特徴とする、請求項1または2に記載の錠剤。
  4. 単層錠である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の錠剤。
  5. ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩と、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩とを含む錠剤を製造する方法であり、少なくとも湿式造粒工程を含むことを特徴とする、方法。
  6. ダビガトランエテキシラートまたは薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の安定化方法であって、
    前記錠剤の製造工程において、アスパラギン酸またはその水和物もしくは酸性塩を含む顆粒を生成させ、
    前記顆粒の生成が、湿式造粒により行われることを特徴とする、方法。
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