JP2020090175A - 乗物用シート - Google Patents

Abstract

【課題】機能を損なわず、シートクッションの薄型化を図る。【解決手段】乗物用シート１Ａのシートクッション２は、パッド２１と、パッド２１を支持する支持部５３と、を備え、支持部５３は、パッド２１にかかる荷重に応じて変形し、変形することによってパッドの沈み込みを許容し、所定荷重以上の高荷重域における支持部５３の単位荷重あたりの変形量は、所定荷重未満の低荷重域における支持部５３の単位荷重あたりの変形量よりも小さい。【選択図】図１

Description

本発明は、乗物用シートに関する。

自動車などの車両に設置されるシートのシートクッションは、パッドと、パッドを支持するフレームとを備える。フレームは、典型的には、一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームを連結するフロントフレーム及びリヤフレームと、フロントフレームとリヤフレームとの間に架け渡される複数のバネとを有する。着座者の荷重がパッドにかかり、パッドにかかる荷重に応じてバネが撓むことによってパッドが沈み、クッション性が高められている。

また、パッドによって覆われるチャンバーと、チャンバーに空気を送り込むファンとをさらに備え、パッドを通してシートクッションの表面から空気を吹き出す空調により、座り心地が高められたシートも知られている（例えば、特許文献１，２参照）。

特開２００３−１６５３２５号公報 特開２０１２−１０５８１６号公報

シートクッションの下には、例えば収納スペースが設けられ、シートクッションの薄型化によって収納スペースが拡大され得る。空調用のチャンバーが設置されるシートでは、チャンバーの設置に起因してシートクッションが厚くなる傾向にあるため、シートクッションの薄型化が特に望まれる。シートクッションの薄型化を図る方策の一つとして、パッドの厚みを小さくすることが考えられる。

しかしながら、パッドの厚みが減少するとクッション性が低下する。パッドを支持する複数のバネのバネ定数を小さくすることにより、パッドの厚みの減少に伴うクッション性の低下を補うことはできるが、パッドが過度に沈む虞がある。着座者に提供される視界との関係から着座者のヒップポイントの高さは概ね定められており、パッドが過度に沈むと、ヒップポイントの変動に起因して着座者の視界が狭まる可能性があり、また、シートクッション下の収納スペースが圧迫される可能性があった。

本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、機能を損なわず、シートクッションの薄型化を図ることを目的とする。

本発明の一態様の乗物用シートは、パッドと、前記パッドを支持する支持部と、をシートクッションに備え、前記支持部は、前記パッドにかかる荷重に応じて変形し、変形することによって前記パッドの沈み込みを許容し、所定荷重以上の高荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量は、所定荷重未満の低荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量よりも小さい。

本発明によれば、機能を損なわず、シートクッションの薄型化を図ることができる。

本発明の実施形態を説明するための、乗物用シートの一例の断面図である。 図１の乗物用シートのパッドが沈み込んだ状態の断面図である。 図１の乗物用シートのパッドを支持する支持部の一例の斜視図である。 図３の矩形枠ＩＶで囲まれた部分の拡大図である。 図３の支持部の作用を示す模式図である。 図３の支持部の荷重−たわみ線図である。 図３の支持部の変形例の模式図である。 本発明の実施形態を説明するための、支持部の他の例の模式図である。

図１及び図２は、本発明の実施形態を説明するための、乗物用シートの一例を示す。

図１に示す乗物用シート（以下単にシートともいう。）１Ａは、例えば自動車などの車両に設置されるシートであり、シート１Ａに着座した乗員（以下、着座者という）の臀部及び大腿部を支持するシートクッション２と、着座者の腰部及び背部を支持するシートバック（不図示）と、を備える。

シートクッション２は、ウレタンフォームなどの発泡材からなるパッド２１と、パッド２１を支持するフレーム５とを備え、図１及び図２に示す例では、さらに、シートクッション２の表面側をパッド２１によって覆われているチャンバー３と、チャンバー３に空気を送り込むファン４とを備える。ファン４によってチャンバー３に送り込まれた空気は、チャンバー３を流通し、パッド２１を通してシートクッション２の表面から吹き出される。空気がシートクッション２の表面から吹き出されることにより、着座者に接するシートクッション２の表面の温度及び湿度が調節される。なお、パッド２１は、例えば皮革、織物及び編物等からなるトリムカバーによって覆われ、このうちトリムカバーが皮革からなる場合に、トリムカバーには多数の通気孔が穿設され、トリムカバーの通気性が確保される。

フレーム５は、一対のサイドフレーム（不図示）を連結するフロントフレーム５１及びリヤフレーム５２と、フロントフレーム５１とリヤフレーム５２との間に架け渡される複数のバネ５３とを有する。フロントフレーム５１は、シートクッション２の前部側においてパッド２１及びチャンバー３の下方に配置されており、パッド２１及びチャンバー３の前部はフロントフレーム５１によって支持される。複数のバネ５３は、シートクッション２の後部側においてパッド２１及びチャンバー３の下方に配置されており、パッド２１及びチャンバー３の後部は複数のバネ５３によって支持される。

図２に示すように、着座者の荷重がシートクッション２にかかった際には、パッド２１が圧縮される。さらに、着座者の臀部を支持し、相対的に高荷重がかかるシートクッション２の後部側において、パッド２１及びチャンバー３は複数のバネ５３によって弾性支持されており、複数のバネ５３の撓みを伴ってパッド２１及びチャンバー３の後部が下方に沈む。

なお、図１及び図２に示す例では、チャンバー３の後部のバネ５３側に向く下面が露呈されているが、チャンバー３の後部の下面もパッド２１によって覆われていてもよい。ただし、チャンバー３の設置に伴うシートクッション２の厚みの増加を抑制する観点では、チャンバー３の後部の下面は露呈されていることが好ましい。

図３及び図４は、複数のバネ５３を含む支持部の一例を示す。

上述したように、パッド２１及びチャンバー３の後部は、フロントフレーム５１とリヤフレーム５２との間に架け渡された複数のバネ５３によって支持され、図３及び図４に示す例では、４本のバネ５３によって支持されている。バネ５３は、金属製のワイヤ部材を波状且つ面状に曲げたものであり、シートクッション２の前後方向に伸縮可能である。バネ５３の前端部はフロントフレーム５１の固定部５４に固定されており、バネ５３の後端部はリヤフレーム５２の固定部５５に固定されている。

フロントフレーム５１は、４本のバネ５３のうち中央に配置される２本のバネ５３ａの中間部に係合可能な二つの係合部５６を有する。係合部５６は、バネ５３ａの前端部を固定している固定部５４から後方に向けて延びており、バネ５３ａの下方に配置されている。係合部５６の先端部にはフック部５７が設けられており、フック部５７は、バネ５３ａの二つのＵ字状の折り曲げ部の間の直線部に係合可能である。ただし、着座者の荷重がバネ５３ａにかかっていない状態で、バネ５３ａとフック部５７とは非係合である。

図５及び図６は、図３及び図４に示した支持部の作用を示す。図５（Ａ）は、着座者の荷重がバネ５３ａを含む複数のバネ５３にかかっていない状態を示し、図５（Ｂ）は、着座者の荷重が複数のバネ５３にかかっている状態を示している。

図５（Ａ）に示すように、着座者の荷重がバネ５３ａを含む複数のバネ５３にかかっていない状態では、バネ５３ａと係合部５６のフック部５７とは非係合である。したがって、バネ５３ａの撓み可能な有効長さは、フロントフレーム５１の固定部５４とリヤフレーム５２の固定部５５との間に配置されている区間の長さＬ１である。

図５（Ｂ）に示すように、着座者の荷重が複数のバネ５３にかかっている状態で、２本のバネ５３ａを含む複数のバネ５３には撓みが生じている。着座者の荷重が所定荷重以上であるものとして、バネ５３ａに生じた撓みが所定荷重に対応する撓みに達した時点で、係合部５６のフック部５７がバネ５３ａに係合する。フック部５７がバネ５３ａに係合することにより、バネ５３ａのうちフロントフレーム５１の固定部５４とフック部５７との間に配置される区間は、撓みを阻止される。したがって、バネ５３ａの撓み可能な有効長さは、フック部５７とリヤフレーム５２の固定部５５との間に配置されている区間の長さＬ２（Ｌ１＞Ｌ２）に短縮される。

このように、バネ５３ａの撓みに基づき、係合部５６がバネ５３ａに係合し、バネ５３ａの撓み可能な有効長さがＬ１からＬ２に短縮される。バネ５３ａの撓み可能な有効長さが短縮されることにより、単位荷重当たりのバネ５３ａの撓み量は小さくなる。したがって、図６に示すように、所定荷重Ｆ_０以上の高荷重域Ａ１における複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量は、所定荷重Ｆ_０未満の低荷重域Ａ２における複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量よりも小さくなる。低荷重域Ａ２においては、パッド２１及びチャンバー３の後部が比較的容易に沈み込むので、クッション性を保ってパッド２１を薄くできる。一方、高荷重域Ａ１においては、パッド２１及びチャンバー３の後部の沈み込みが抑制されるので、着座者のヒップポイントを適正高さに維持でき、また、シートクッション２の下方スペースが圧迫されることも回避できる。

複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量が変化する所定荷重Ｆ_０は、着座者の荷重が複数のバネ５３にかかっていない状態において、バネ５３ａと係合部５６のフック部５７との間におかれる間隔に基づいて設定可能である。また、所定荷重Ｆ_０以上の高荷重域Ａ１における複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量は、撓み可能な有効長さが係合部５６によってＬ２に短縮されるバネ５３ａの数及びバネ５３ａの撓み可能な有効長さＬ２に基づいて設定可能である。なお、図３及び図４に示した例では、係合部５６がフロントフレーム５１に設けられているが、リヤフレーム５２に設けられてもよい。

また、係合部５６は、フロントフレーム５１及びリヤフレーム５２とは別に設けられ、バネ５３ａに取り付けられてもよい。図７に示す係合部５６は、バネ５３ａに沿って延びており、係合部５６の一方の端部にはフック部５７が設けられており、係合部５６の他方の端部には、バネ５３ａに取り付けられる取付部５８が設けられている。

図７（Ａ）に示すように、着座者の荷重がバネ５３ａを含む複数のバネ５３にかかっていない状態では、バネ５３ａと係合部５６のフック部５７とは非係合である。バネ５３ａの撓み可能な有効長さは、フロントフレーム５１の固定部５４とリヤフレーム５２の固定部５５との間に配置されている区間の長さＬ１である。

図７（Ｂ）に示すように、着座者の荷重が複数のバネ５３にかかっている状態で、バネ５３ａに生じた撓みが所定荷重に対応する撓みに達した時点で、係合部５６のフック部５７がバネ５３ａに係合する。フック部５７がバネ５３ａに係合することにより、バネ５３ａのうち係合部５６の取付部５８とフック部５７との間に配置される区間は、係合部５６によって拘束され、撓みを阻止される。したがって、バネ５３ａの撓み可能な有効長さは、係合部５６によって拘束された区間を除いた区間の長さＬ２（Ｌ１＞Ｌ２）に短縮される。

バネ５３ａに取り付けられる係合部５６によれば、既存のフロントフレーム５１及びリヤフレーム５２を用いることができる。

図８は、本発明の実施形態を説明するための、乗物用シートの他の例を示す。なお、上述した乗物用シート１Ａと共通する要素には共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。

図８に示す乗物用シート１Ｂでは、上述した乗物用シート１Ａと同様に、パッド２１及びチャンバー３の後部が、フロントフレーム５１とリヤフレーム５２との間に架け渡される複数のバネ５３によって支持される。着座者の荷重がシートクッション２にかかった際には、パッド２１及びチャンバー３の後部が、複数のバネ５３の撓みを伴って下方に沈む。

乗物用シート１Ｂでは、パッド２１及びチャンバー３を支持する複数のバネ５３のうち一部のバネ５３ｂの自然長が、他のバネ５３ａの自然長よりも長く、相対的に長いバネ５３ｂは、下方に湾曲してフロントフレーム５１とリヤフレーム５２との間に架け渡されている。着座者の荷重がかかっていない場合に、相対的に長いバネ５３ｂは、相対的に短いバネ５３ａよりもパッド２１及びチャンバー３から離間して配置される（Ｄ１＜Ｄ２）。

所定荷重未満の低荷重域において、パッド２１及びチャンバー３は、相対的に短いバネ５３ａによって支持され、バネ５３ａの撓みを伴って下方に沈む。バネ５３ａに生じた撓みが所定荷重に対応する撓みに達した時点で、パッド２１及びチャンバー３は、相対的に長いバネ５３ｂに接する。そして、所定荷重以上の高荷重域においては、パッド２１及びチャンバー３は、バネ５３ａ及びバネ５３ｂによって支持され、バネ５３ａ及びバネ５３ｂの撓みを伴って下方に沈む。したがって、所定荷重以上の高荷重域における複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量は、所定荷重未満の低荷重域における複数のバネ５３の単位荷重あたりの撓み量よりも小さくなる。低荷重域においては、パッド２１及びチャンバー３の後部が比較的容易に沈み込むので、クッション性を保ってパッド２１を薄くできる。一方、高荷重域においては、パッド２１及びチャンバー３の後部の沈み込みが抑制されるので、着座者のヒップポイントを適正高さに維持でき、また、シートクッション２の下方スペースが圧迫されることも回避できる。

以上、自動車などの車両に設置されるシート１Ａ，１Ｂを例にして本発明を説明したが、本発明は、船舶や航空機といった車両以外の乗物用のシートにも適用可能である。

以上、説明したとおり、本明細書に開示された乗物用シートは、パッドと、前記パッドを支持する支持部と、をシートクッションに備え、前記支持部は、前記パッドにかかる荷重に応じて変形し、変形することによって前記パッドの沈み込みを許容し、所定荷重以上の高荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量は、所定荷重未満の低荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量よりも小さい。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、前記支持部は、前記シートクッションの前部側に配置されるフロントフレームと、前記シートクッションの後部側に配置されるリヤフレームと、前記パッドの下方において前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡されており、前記パッドにかかる荷重に応じて撓む複数のバネと、前記複数のバネの撓みに基づき、前記複数のバネのうち一つ以上のバネに係合し、当該バネの撓み可能な有効長さを変更する係合部と、を有する。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、前記係合部は、前記フロントフレーム及び前記リヤフレームのうち少なくとも一方のフレームに設けられており、前記バネの中間部を前記フレームに係止する。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、前記係合部は、前記バネの長さの一部区間を拘束する。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、前記支持部は、前記シートクッションの前部側に配置されるフロントフレームと、前記シートクッションの後部側に配置されるリヤフレームと、前記パッドの下方において前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡されており、前記パッドにかかる荷重に応じて撓む複数のバネと、を有し、無荷重時において、前記複数のバネのうち一部のバネは、他のバネよりも前記パッドから離間して配置されている。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、少なくとも前記シートクッションの表面側を前記パッドによって覆われており、前記パッドを通して前記シートクッションの表面から吹き出される空気を流通させるチャンバーと、前記チャンバーに空気を送り込むファンと、をさらに備える。

１Ａ，１Ｂ 乗物用シート
２ シートクッション
３ チャンバー
４ ファン
５ フレーム
２１ パッド
５１ フロントフレーム
５２ リヤフレーム
５３，５３ａ，５３ｂ バネ
５４ 固定部
５５ 固定部
５６ 係合部
５７ フック部
５８ 取付部

Claims (6)

1. パッドと、
   前記パッドを支持する支持部と、
   をシートクッションに備え、
   前記支持部は、前記パッドにかかる荷重に応じて変形し、変形することによって前記パッドの沈み込みを許容し、
   所定荷重以上の高荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量は、所定荷重未満の低荷重域における前記支持部の単位荷重あたりの変形量よりも小さい乗物用シート。
2. 請求項１記載の乗物用シートであって、
   前記支持部は、
   前記シートクッションの前部側に配置されるフロントフレームと、
   前記シートクッションの後部側に配置されるリヤフレームと、
   前記パッドの下方において前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡されており、前記パッドにかかる荷重に応じて撓む複数のバネと、
   前記複数のバネの撓みに基づき、前記複数のバネのうち一つ以上のバネに係合し、当該バネの撓み可能な有効長さを変更する係合部と、
   を有する乗物用シート。
3. 請求項２記載の乗物用シートであって、
   前記係合部は、前記フロントフレーム及び前記リヤフレームのうち少なくとも一方のフレームに設けられており、前記バネの中間部を前記フレームに係止する乗物用シート。
4. 請求項２記載の乗物用シートであって、
   前記係合部は、前記バネの長さの一部区間を拘束する乗物用シート。
5. 請求項１記載の乗物用シートであって、
   前記支持部は、
   前記シートクッションの前部側に配置されるフロントフレームと、
   前記シートクッションの後部側に配置されるリヤフレームと、
   前記パッドの下方において前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡されており、前記パッドにかかる荷重に応じて撓む複数のバネと、
   を有し、
   無荷重時において、前記複数のバネのうち一部のバネは、他のバネよりも前記パッドから離間して配置されている乗物用シート。
6. 請求項１から５のいずれか一項記載の乗物用シートであって、
   少なくとも前記シートクッションの表面側を前記パッドによって覆われており、前記パッドを通して前記シートクッションの表面から吹き出される空気を流通させるチャンバーと、
   前記チャンバーに空気を送り込むファンと、
   をさらに備える乗物用シート。

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