JP2020084040A - 発泡性アクリル系樹脂粒子、アクリル系樹脂発泡粒子、アクリル系樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

発泡性アクリル系樹脂粒子、アクリル系樹脂発泡粒子、アクリル系樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱分解時にススの発生が少なく、熱分解ガスの発生速度を低減することができ、良好な成形体を成形可能な成形圧力の範囲が広く、幅広い成形条件において、成形性に優れたアクリル系樹脂発泡粒子を得ることができるアクリル系樹脂発泡粒子、この発泡粒子を得るための発泡性アクリル系樹脂粒子及びこの発泡粒子からなるアクリル系樹脂発泡成形体を提供する。【解決手段】発泡性アクリル系樹脂粒子はアクリル系樹脂と物理発泡剤とを含んでいる。アクリル系樹脂はメタクリル酸エステル成分(A)とアクリル酸エステル成分(B)とを特定の比率で含有し、重量平均分子量が5〜11万であり、ガラス転移温度が112〜125℃であり、多環式飽和炭化水素基を有する成分を含有している。物理発泡剤には、特定の量の鎖式飽和炭化水素と脂環式飽和炭化水素とが含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、物理発泡剤が含浸された発泡性アクリル系樹脂粒子、この発泡性粒子を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡粒子及びこの発泡粒子を型内成形してなるアクリル系樹脂発泡粒子成形体に関する。
従来より、鋳造用の消失模型として発泡樹脂成形体が用いられている。具体的には、発泡樹脂成形体は、次のような鋳造法に用いられる。まず、所望形状の発泡樹脂成形体が鋳型となる砂中に埋設される。次いで、砂中の発泡樹脂成形体に溶融金属が流し込まれる。このとき、発泡樹脂成形体が熱分解して溶融金属に置き換わる。その後、溶融金属を冷却して凝固させることにより、発泡樹脂成形体の形状と同様の形状を有する金属の鋳物を得ることができる。
消失模型用の発泡樹脂成形体としては、ポリスチレン系樹脂からなる発泡粒子成形体等が用いられてきた。しかしながら、ポリスチレン系樹脂からなる発泡粒子成形体を用いた場合には、成形体の熱分解時に多量のススが発生するという問題があった。このススは、鋳肌を汚し、鋳物の内部にピンホールを発生させる原因にもなる。ススの発生原因は、ポリスチレン系樹脂が芳香族環を有するためと考えられる。
ススの発生量を低減するため、特許文献1には、芳香族環を有していない(メタ)アクリル酸エステルの重合体からなる発泡成形体を消失模型として用いる技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載された重合体は、熱分解速度が比較的高い。そのため、特許文献1の発泡成形体を用いて鋳造する場合、溶融金属を鋳型内に流し込む際に、発泡成形体から生じる熱分解ガスの発生速度が、鋳型内から外部への熱分解ガスの放散速度よりも高くなり、鋳型内の圧力の上昇を招くおそれがある。そして、鋳型内の圧力が過度に上昇すると、溶融金属が鋳型内部に十分に行き渡り難くなるおそれや、溶融金属が鋳型の外へ吹き出すおそれがある。
そこで、ススの発生量を低減しつつ、鋳型内の圧力上昇による鋳造性の悪化を回避するため、発泡成形体の基材樹脂として、多環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル成分を含むアクリル系樹脂を使用する技術が提案されている。
例えば特許文献2には、メタクリル酸エステル成分とアクリル酸エステル成分とを含有し、その少なくとも一方は、多環式飽和炭化水素基を有する成分を含有するアクリル系樹脂発泡粒子及びこのアクリル系樹脂発泡粒子を型内成形してなるアクリル系樹脂発泡粒子成形体が開示されている。特許文献2の発泡粒子成形体は、特許文献1の発泡成形体に比べて熱分解ガスの発生速度が低いため、鋳型内の圧力上昇による鋳造性の悪化を回避することができる。
特開平1−126348号公報 特開2015−183111号公報
消失模型を用いた鋳造において平滑な鋳肌を有する鋳物を得るためには、表面の平滑性の高い発泡粒子成形体を消失模型として用いることが好ましい。しかし、特許文献2のアクリル系樹脂発泡粒子をスチーム等の加熱媒体により型内成形する際、複雑なキャビティ形状を有する金型を用いる場合等においては、キャビティの部位により発泡粒子の加熱のされ方が異なる場合がある。そのため、成形スチーム圧(以下、単に成形圧力ともいう。)を低くすると、発泡粒子同士が十分に融着していない部分が生じるおそれや、発泡粒子同士の間に隙間が形成され、発泡粒子成形体の平滑性が低下するおそれがあった。
このように、特許文献2のアクリル系樹脂発泡粒子は、発泡粒子同士を十分に融着させると共に、成形体の平滑性を高めるために型内成形時の成形スチーム圧を比較的高くする必要があり、型内成形における成形性及び成形条件の広さの観点から、未だ改善の余地がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、熱分解時にススの発生が少なく、熱分解ガスの発生速度を低減することができ、良好な成形体を成形可能な成形圧力の範囲が広く、幅広い成形条件において、成形性に優れたアクリル系樹脂発泡粒子を得ることができる発泡性アクリル系樹脂粒子及びこの発泡粒子を型内成形してなるアクリル系樹脂発泡粒子成形体を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アクリル系樹脂と物理発泡剤とを含む発泡性アクリル系樹脂粒子であって、
前記アクリル系樹脂は、
メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体であり、
前記アクリル系樹脂中の、メタクリル酸エステル成分(A)とアクリル酸エステル成分(B)との合計100モル%に対する前記メタクリル酸エステル成分(A)のモル比が85〜99モル%であり、
前記メタクリル酸エステル成分(A)及び前記アクリル酸エステル成分(B)のうち少なくとも一方が多環式飽和炭化水素基を有する成分を含有し、
前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は112〜125℃であり、
前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は5〜11万であり、
前記物理発泡剤は、
炭素数3〜6の鎖式飽和炭化水素と炭素数5〜7の脂環式飽和炭化水素とを含有し、
前記発泡性アクリル系樹脂粒子中の前記物理発泡剤の含有量が6〜10質量%であり、
前記発泡性アクリル系樹脂粒子中の前記脂環式飽和炭化水素の含有量が0.2〜2.5質量%である、発泡性アクリル系樹脂粒子にある。
本発明の他の態様は、前記の態様の発泡性アクリル系樹脂粒子を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡粒子にある。
本発明のさらに他の態様は、前記の態様のアクリル系樹脂発泡粒子を型内成形してなるアクリル系樹脂発泡粒子成形体にある。
前記発泡性アクリル系樹脂粒子(以下、適宜「発泡性粒子」という)には、前記特定の組成を有するアクリル系樹脂と、物理発泡剤とが含まれている。これにより、熱分解時にススの発生が少なく、熱分解ガスの発生速度を低減することができるアクリル系樹脂発泡粒子(以下、適宜「発泡粒子」という)を得ることができる。
また、前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は前記特定の範囲内であり、かつ、前記発泡性粒子中の前記脂環式飽和炭化水素の含有量は前記特定の範囲内である。かかる発泡性粒子を発泡させて得られる発泡粒子は、型内成形時の成形スチーム圧を低くした場合にも優れた融着性を有する。それ故、前記発泡粒子は、幅広い成形条件において優れた成形性を有している。
そして、前記発泡粒子を型内成形して得られるアクリル系樹脂発泡粒子成形体(以下、適宜「発泡粒子成形体」という)は、燃焼や鋳造時のススの発生量を低減するとともに、熱分解ガスの発生速度を遅くすることができる。これらの結果、鋳造性を向上させることができる。また、前記発泡粒子によれば、複雑な形状の発泡粒子成形体を容易に作製することができる。更に、前記発泡粒子によれば、寸法安定性に優れるとともに、発泡粒子成形体表面における間隙や溶融が少なく、平滑性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。それ故、前記発泡粒子成形体は、特に鋳造用の消失模型に好適である。
実施例における、アクリル系樹脂の重量平均分子量と脂環式飽和炭化水素の含有量との関係を示す説明図である。
次に、前記発泡性粒子、前記発泡粒子及び前記発泡粒子成形体の好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
発泡性粒子中には、少なくとも、アクリル系樹脂と物理発泡剤とが含まれている。アクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルと、アクリル酸エステルとの共重合体である。アクリル系樹脂中には、メタクリル酸エステル成分(A)とアクリル酸エステル成分(B)とが含まれている。
成分(A)としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステルを使用することができる。成分(A)としては、メタクリル酸エステルのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。成分(A)としては、これらのメタクリル酸エステルの中でも、メタクリル酸メチルを使用することが好ましい。
成分(B)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルを採用することができる。成分(B)としては、アクリル酸エステルのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。成分(B)としては、これらのアクリル酸エステルの中でも、アクリル酸メチルを使用することが好ましい。
前記アクリル系樹脂において、成分(A)と成分(B)との合計100モル%に対する成分(A)のモル比は、上述のごとく85〜99モル%である。成分(A)のモル比を前記特定の範囲とすることにより、熱分解ガスの発生速度を低減するとともに、発泡性粒子の発泡性および型内成形時の成形性を向上させることができる。
成分(A)のモル比は98モル%以下であることが好ましく、97モル%以下であることがより好ましい。この場合には、発泡性粒子の発泡性および型内成形時の成形性を向上させる効果を得つつ、熱分解ガスの発生速度をより低減し、鋳造性をより向上させることができる。また、成分(A)のモル比は90モル%以上であることが好ましく、92モル%以上であることがより好ましい。この場合には、熱分解ガスの発生速度をより低減する効果を得つつ、発泡性粒子の発泡性および型内成形時の成形性を向上させることができる。
成分(A)のモル比が高すぎる場合には、アクリル系樹脂の分解時に、成分(A)の熱分解により多量の3級ラジカルが生じやすい。3級ラジカルは比較的安定であるため、3級ラジカルの量が多くなると、ジッパー反応と呼ばれる解重合が進行しやすい。そのため、この場合には、アクリル系樹脂の分解反応速度が速くなり、熱分解ガスの発生速度の上昇を招くおそれがある。
一方、成分(A)のモル比が低すぎる場合には、ジッパー反応を抑制して熱分解ガスの発生速度を低減することはできるものの、発泡性粒子の発泡性や型内成形時の成形性が低下してしまうおそれがある。
前記成分(A)及び前記成分(B)のうち少なくとも一方には、多環式飽和炭化水素基を有する成分が含まれている。即ち、多環式飽和炭化水素基を含有する成分は、メタクリル酸エステル成分(A)であってもよいし、アクリル酸エステル成分(B)であってもよい。また、メタクリル酸エステル成分(A)及びアクリル酸エステル成分(B)の両方に多環式飽和炭化水素基を有する成分が含まれていてもよい。
また、成分(A)に多環式飽和炭化水素基を有する成分が含まれている場合には、成分(A)のうちの一部が多環式飽和炭化水素基を有する成分であってもよいし、全部が多環式飽和炭化水素基を有する成分であってもよい。同様に、成分(B)が多環式飽和炭化水素基を有する成分が含まれている場合には、成分(B)のうちの一部が多環式飽和炭化水素基を有する成分であってもよいし、全部が多環式飽和炭化水素基を有する成分であってもよい。
また、成分(A)及び/又は成分(B)において、多環式飽和炭化水素基は、(メタ)アクリル酸にエステル結合している。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む概念である。多環式飽和炭化水素基は、成分(A)に含まれていることがより好ましい。
多環式飽和炭化水素基を有する成分は、アクリル系樹脂への発泡剤の含浸性を高めることができる。それ故、多環式飽和炭化水素基を有する成分を含むアクリル系樹脂は、発泡性粒子の発泡性を向上させることができる。さらに、多環式飽和炭化水素基が嵩高い置換基であることに起因して、アクリル系樹脂のガラス転移温度を上述の範囲に調整することが容易になる。したがって、型内成形時の成形性が向上するので、複雑な形状のキャビティを有する金型を用いて成形した場合であっても、平滑性に優れ、外観が良好な発泡粒子成形体を容易に得ることが可能になる。
前記アクリル系樹脂中には、1種の多環式飽和炭化水素基が含まれていてもよいし、2種以上の多環式飽和炭化水素基が含まれていてもよい。多環式飽和炭化水素基は、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、又はイソボルニル基であることが好ましく、ジシクロペンタニル基またはイソボルニル基であることがより好ましく、イソボルニル基であることがさらに好ましい。この場合には、前述した作用効果をより高めることができる。同様の観点から、前記アクリル系樹脂においては、成分(A)がメタクリル酸メチル及びメタクリル酸イソボルニルであり、成分(B)がアクリル酸メチルであることが特に好ましい。
成分(A)と成分(B)との合計100モル%に対する多環式飽和炭化水素基を有する成分のモル比は、7モル%以下であることが好ましい。この範囲内であれば、ガラス転移温度を上述の範囲に調整することがより容易になり、型内成形時の成形性をより向上させることができる。同様の観点から、多環式飽和炭化水素基を含有する成分のモル比は、成分(A)と成分(B)との合計100モル%に対して6モル%以下であることがより好ましい。また、前述した作用効果をより確実に得る観点から、多環式飽和炭化水素基を含有する成分のモル比は、成分(A)と成分(B)との合計100モル%に対して1モル%以上であることがより好ましく、2モル%以上であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、5〜11万である。重量平均分子量が小さすぎると、成形体表面における樹脂の溶融や、成形体の平滑性の低下、外観の悪化等の問題が生じやすくなるおそれがある。また、この場合には、得られる成形体の機械的物性が低下するおそれがある。一方、重量平均分子量が大きすぎると、成形スチーム圧を低くした際に、発泡粒子同士が融着しにくくなるおそれや、得られる成形体表面において発泡粒子同士の間に間隙が生じやすくなるおそれがある。これらの問題をより確実に回避する観点から、アクリル系樹脂の重量平均分子量は、6万〜10万であることがより好ましい。
なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定されたポリスチレン換算分子量である。アクリル系樹脂の重量平均分子量の測定方法は実施例にてより具体的に説明する。
アクリル系樹脂のガラス転移温度は、上述のように112〜125℃である。アクリル系樹脂のガラス転移温度は、例えば成分(A)と成分(B)との配合割合、多環式飽和炭化水素基の種類及び量によって調整することができる。アクリル系樹脂のガラス転移温度が低すぎる場合には、発泡粒子を型内成形した際に、発泡粒子成形体の表面が型内成形時のスチームの熱に耐えられず、表面の一部が溶融するおそれや、発泡粒子が過度に発泡して成形体の表面の平滑性が低下するおそれがある。一方、アクリル系樹脂のガラス転移温度が高すぎる場合には、発泡性ポリスチレン粒子等の発泡に用いられる一般的な発泡機を用いて発泡性粒子を発泡させることが困難となり、見掛け密度の低い発泡粒子が得られにくくなる。また、この場合には、成形スチーム圧が低い条件において、発泡粒子の型内成形性が低下するおそれがある。
成形体表面における溶融や間隙の発生をより確実に回避する観点から、アクリル系樹脂のガラス転移温度は、114℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。また、ガラス転移温度は、123℃以下であることが好ましく、122℃以下であることがより好ましく、121℃以下であることがさらに好ましい。この場合には、型内成形における発泡粒子の成形条件幅がより広くなり、複雑な形状の発泡粒子成形体をより容易に作製することができる。
アクリル系樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲内において、前記成分(A)と前記成分(B)の他に、他のモノマー成分を含有してもよい。即ち、アクリル系樹脂は、前記成分(A)と前記成分(B)と他のモノマー成分との共重合体であってもよい。但し、芳香族環を有するモノマー成分の含有量が過度に多くなると、鋳造時に発生するススの量の増加を招くおそれがある。ススの量の増加を回避する観点から、前記アクリル系樹脂中の芳香族環を備えた成分の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、0質量%、つまり、芳香族環を備えた成分を含まないことが最も好ましい。
また、発泡性粒子には、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の樹脂や添加剤等を配合することができる。他の成分の含有量は、アクリル系樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
発泡性粒子には、物理発泡剤として、炭素数3〜6の鎖式飽和炭化水素と炭素数5〜7の脂環式飽和炭化水素とが含まれている。炭素数3〜6の鎖式飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン等を使用することができる。これらの鎖式飽和炭化水素は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。鎖式飽和炭化水素としては、これらの中でも、ペンタンを用いることが好ましい。
また、炭素数5〜7の脂環式飽和炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等を使用することができる。これらの脂環式飽和炭化水素は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素は、発泡剤の機能に加えて、可塑剤の機能を有している。
発泡性粒子中の物理発泡剤の含有量は、6〜10質量%である。これにより、優れた発泡性を有する発泡性粒子を得ることができる。
また、発泡性粒子中の脂環式飽和炭化水素の含有量は、0.2〜2.5質量%である。脂環式飽和炭化水素の含有量が少なすぎると、発泡粒子同士の融着が悪化するおそれや、得られる成形体表面において発泡粒子同士の間に間隙が生じるおそれがある。一方、脂環式飽和炭化水素の含有量が多すぎると、成形体表面において樹脂の溶融が生じ、成形体の平滑性が低下するおそれや外観が悪化するおそれがある。発泡性粒子中の脂環式飽和炭化水素の含有量を0.2〜2.5質量%、好ましくは0.3〜2.0質量%、より好ましくは0.4〜1.8質量%、さらに好ましくは0.5〜1.6質量%とすることにより、これらの問題を容易に回避することができる。
発泡粒子の型内成形時の成形性を高める観点からは、物理発泡剤中の脂環式飽和炭化水素の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましく、16質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、アクリル系樹脂の重量平均分子量及び発泡性粒子中の前記脂環式飽和炭化水素の含有量をそれぞれ前記特定の範囲内とすることにより、発泡粒子を型内成形する際に、低い成形スチーム圧でも発泡粒子同士を融着させることができると共に、発泡粒子同士の間の間隙が少なく、平滑性の高い成形体を得ることができる。そのため、幅広い成形条件において、良好な成形体を成形可能な発泡粒子を得ることができる。
発泡性粒子における、脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]とアクリル系樹脂の重量平均分子量Mwとは、下記式(1)の関係を満足していることが好ましい。
Mw≦(−10×CCH+25)×104 ・・・(1)
前記式(1)を満たす発泡性粒子によれば得られる発泡粒子成形体における発泡粒子同士の融着性をより向上させるとともに、機械的強度をより高めることができる。
同様の観点から、脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]とアクリル系樹脂の重量平均分子量Mwとは、下記式(2)の関係を満足していることが好ましい。
(−10×CCH+12)×104≦Mw ・・・(2)
また、発泡性粒子における、脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]とアクリル系樹脂の重量平均分子量Mwとは、下記式(3)の関係を満足していることがより好ましい。
Mw<(−10×CCH+23)×104 ・・・(3)
前記式(3)を満たす発泡性粒子は、前記式(1)を満たすことによる作用効果に加えて、得られる発泡粒子の融着性を向上させ、低い成形スチーム圧でも発泡粒子同士を融着させることができる。更に、この場合には、得られる成形体における発泡粒子同士の間の間隙を小さくするとともに、表面の平滑性をより向上させることができる。
同様の観点から、脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]とアクリル系樹脂の重量平均分子量Mwとは、下記式(4)の関係を満足していることが好ましい。
(−10×CCH+14)×104≦Mw ・・・(4)
発泡性粒子における揮発成分の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましい。揮発成分の含有割合がこの範囲内であれば、型内成形時の成形性がより向上し、発泡粒子中の気泡構成がより良好になる。その結果、発泡粒子成形体の強度をより向上させることができる。なお、発泡性粒子における揮発成分の含有割合は、概ね5質量%以上である。
発泡性粒子の平均粒子径は、0.3〜1.5mmであることが好ましい。平均粒子径がこの範囲内にあれば、発泡性粒子を発泡させることで得られる発泡粒子の金型への充填性がより向上するため、例えば消失模型のような複雑な形状の成形体をより容易に得ることが可能となるとともに、発泡粒子成形体の外観がより向上する。同様の観点から、発泡性粒子の平均粒子径は、0.4〜1.0mmであることがより好ましい。
発泡性粒子の製造方法は特に限定されることはなく、例えば懸濁重合等の、従来公知の方法により製造することができる。発泡性粒子を懸濁重合により製造する場合には、まず、撹拌装置の付いた密閉容器内で、適当な懸濁剤や懸濁助剤を分散させた水性媒体中に、前述したメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルを、可塑剤、重合開始剤、連鎖移動剤等と共に添加し、メタクリル酸エステル等を水性媒体中に分散させる。次に、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの重合反応を開始する。そして、重合途中あるいは重合完了後に物理発泡剤を密閉容器内に添加し、前記重合反応によって生じたアクリル系樹脂に含浸させる。このようにして、発泡性粒子を得ることができる。
なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量は、重合時における連鎖移動剤の添加量等により調整することができる。連鎖移動剤の添加量は、(メタ)アクリル酸エステル系100質量部に対して、概ね0.20〜0.60質量部であることが好ましく、0.25〜0.50質量部であることがより好ましい。連鎖移動剤の添加量を前記特定の範囲とすることにより、アクリル系樹脂の重量平均分子量を前記特定の範囲に調整しやすくすることができる。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタンや、αメチルスチレンダイマー等、従来公知の連鎖移動剤を用いることができるが、n−オクチルメルカプタンを用いることがより好ましい。
発泡粒子は、発泡性粒子を、例えば従来公知の方法により発泡させることにより得られる。発泡は、例えば発泡性粒子にスチーム等の加熱媒体を供給し、発泡性粒子を加熱することにより行うことができる。具体的には、例えば撹拌装置の付いた円筒形の発泡機を用いて、スチーム等により発泡性粒子を加熱して発泡させる方法がある。
発泡粒子の見掛け密度は、10〜100kg/m3であることが好ましい。この場合には、強度などの物性と軽量性とを両立した発泡粒子成形体を得ることができる。物性と軽量性とのバランスにより優れた発泡粒子成形体を得られる観点から、発泡粒子の見掛け密度は、12〜80kg/m3であることがより好ましく、15〜60kg/m3であることがさらに好ましい。
後述の方法により算出する、発泡粒子の二次発泡率は1.0〜1.5であることが好ましい。二次発泡率がこの範囲にあれば、型内成形時にスチームが成形体内部まで効率良く到達し、内部融着の良好な成形体が得られやすくなる。かかる観点から、二次発泡率は1.0〜1.3であることがより好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。
発泡粒子成形体は、例えば次のようにして製造される。まず、所望する成形体の形状に対応したキャビティを有する金型内に発泡粒子を充填し、蒸気などの加熱媒体により金型内で多数の発泡粒子を加熱する。キャビティ内の発泡粒子は、加熱によってさらに発泡すると共に、相互に融着する。これにより、多数の発泡粒子が一体化し、キャビティの形状に応じた発泡粒子成形体が得られる。
発泡粒子成形体の見掛け密度は、10〜100kg/m3であることが好ましい。この場合には、強度などの機械的物性と軽量性とを両立することができる。発泡粒子の見掛け密度は、12〜80kg/m3であることがより好ましく、15〜60kg/m3であることがさらに好ましい。この場合には、機械的物性と軽量性とのバランスにより優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
前記発泡粒子成形体は、燃焼時にススの発生が少なく、熱分解ガスの発生速度が低く、表面の平滑性に優れるという、鋳造用の消失模型として好適な特性を有している。それ故、前記発泡粒子成形体は、鋳造用の消失模型として好適である。
発泡粒子成形体中の水の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましい。水分量がこの範囲内であれば、鋳造時の欠陥がより発生しにくくなる。なお、発泡性粒子における水の含有割合の下限は、概ね0.3質量%である。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の要旨を超えない限り、種々の変更が可能である。オートクレーブ内の温度は、水性媒体の温度を意味する。
(実施例1)
まず、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブ内に、脱イオン水700g、懸濁剤6.0g、界面活性剤4.2g、電解質としての酢酸ナトリウム1.1g、懸濁助剤2.5gを投入した。なお、懸濁剤は、具体的には20.5質量%の第三リン酸カルシウムを含むスラリー(太平化学産業株式会社製)である。また、界面活性剤は、具体的には濃度1質量%のドデシルジフェニルエーテルスルホン酸二ナトリウム水溶液(具体的には、花王株式会社製「ペレックス(登録商標)SSH」)である。また、懸濁助剤は、具体的には濃度0.01質量%の過硫酸カリウム水溶液である。
モノマー成分としてメタクリル酸メチル425gと、メタクリル酸イソボルニル50gと、アクリル酸メチル25gの混合物を準備した。なお、本例における、メタクリル酸エステル成分とアクリル酸エステル成分の合計100モル%に対するメタクリル酸メチルの配合量は89モル%に相当し、メタクリル酸イソボルニルの配合量は5モル%に相当し、アクリル酸メチルの配合量は6モル%に相当する。
この混合物に、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(具体的には、日油株式会社製「パーブチル(登録商標)O」)0.66g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(具体的には、日油株式会社製「パーブチルE」)0.66gと、物理発泡剤としてのシクロヘキサン10gと、連鎖移動剤としてのn−オクチルメルカプタン(東京化成工業株式会社製)1.40gと、を溶解させた。なお、シクロヘキサンは、前述したように、物理発泡剤としての機能に加えて可塑剤としての機能を有している。
オートクレーブ内を撹拌速度400rpmで撹拌しながら脱イオン水中に溶解物を投入した。オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、オートクレーブ内を密閉した。
オートクレーブ内を引き続き攪拌しながら1時間15分かけてオートクレーブ内の温度を70℃まで昇温させ、70℃の温度を6時間保持して前段重合工程を行った。なお、前段重合工程においては、70℃に到達してから5時間経過した時点で、物理発泡剤としてのペンタン(具体的には、n−ペンタン80質量%とi−ペンタン20質量%の混合物)80gを1時間かけて添加した。そして、発泡剤の添加後に、撹拌速度を350rpmに下げた。
前段重合工程が完了した後、オートクレーブ内の温度を4時間かけて115℃まで昇温させ、115℃の温度を5時間保持して後段重合工程を行った。後段重合工程を完了した後、オートクレーブ内の温度を4時間かけて35℃まで冷却し、更に室温まで冷却した。
冷却後、オートクレーブの内容物から発泡性粒子を取り出した。この発泡性粒子を硝酸で洗浄して表面に付着した第三リン酸カルシウムを溶解させた。その後、遠心分離機を用いて発泡性粒子の脱水及び洗浄を行い、さらに気流乾燥装置を用いて発泡性粒子の表面に付着した水分を除去した。
次に、発泡性粒子を篩にかけて、直径が0.30〜0.54mmの粒子を取り出した。次いで、発泡性粒子100質量部に対して、液体状添加剤としてのジメチルシリコーン0.03質量部、帯電防止剤としてのN,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.04質量部を添加した。さらに、発泡性粒子100質量部に対して、ステアリン酸亜鉛0.20質量部と、ステアリン酸カルシウム0.30質量部と、グリセリンモノステアレート0.07質量部との混合物を添加し混合した。このようにして、各種添加剤で発泡性粒子を被覆した。
本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。表中において、MMAはメタクリル酸メチル、IBOMAはメタクリル酸イソボルニル、MADMAはメタクリル酸アダマンチル、MAはアクリル酸メチルを示す。これらは単量体である。また、表中の「多環式飽和炭化水素基を有する成分のモル比」欄に示した値は、成分(A)と成分(B)との合計100モル%に対する多環式飽和炭化水素基を有する成分のモル比であり、「n−ペンタン」「i−ペンタン」「シクロヘキサン」欄に示した値は、発泡性粒子中に取り込まれた各物理発泡剤の含有量である。
以上により得られた発泡性粒子を用い、後述する方法によりアクリル系樹脂の分子量、ガラス転移温度、揮発成分の含有量、水分量の測定及び発泡性の評価を行った。
次に、発泡性粒子200gを容積30Lの常圧予備発泡機内に投入した。次いで、発泡性粒子を撹拌しながら予備発泡機内にスチームを供給して発泡性粒子を発泡させることにより、見掛け密度23kg/m3の発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を室温で1日間放置して熟成させた。
その後、型物成形機(DABO社製のDSM−0705VS)の金型のキャビティ内に発泡粒子を充填した。次いで、キャビティ内に0.04MPa、0.06MPa、0.08MPaまたは0.10MPa(いずれもゲージ圧力)のいずれかの圧力を有するスチームを供給して発泡粒子を20秒間加熱した後、所定時間冷却した。その後、金型から発泡粒子成形体を取り出した。得られた発泡粒子成形体の見掛け密度は23kg/m3であった。なお、金型のキャビティは、縦300mm×横75mm×厚さ25mmの直方体形状である。得られた発泡粒子成形体を温度40℃で1日間乾燥させた後、後述する方法により成形性の評価を行った。
(実施例2)
シクロヘキサンの添加量を7gに、連鎖移動剤の添加量を2.00gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。
(実施例3)
シクロヘキサンの添加量を4.50gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。
(実施例4)
連鎖移動剤の添加量を1.60gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。
(実施例5)
メタクリル酸エステル成分(A)としてのメタクリル酸イソボルニル50gをメタクリル酸メチルアダマンチル50gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。
(実施例6)
シクロヘキサンの添加量を2.5gに、連鎖移動剤の添加量を2.5gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表1に示す。
(実施例7)
シクロヘキサンの添加量を18.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(実施例8)
シクロヘキサンの添加量を14.0gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(実施例9)
シクロヘキサンの添加量を14gに、連鎖移動剤の添加量を1.6gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(実施例10)
シクロヘキサンの添加量を12gに、連鎖移動剤の添加量を1.9gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(実施例11)
メタクリル酸メチルの添加量を465gに、メタクリル酸イソボルニルの添加量を10gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(実施例12)
メタクリル酸メチルの添加量を415gに、メタクリル酸イソボルニルの添加量を60gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表2に示す。
(比較例1)
シクロヘキサンの添加量を30gに、連鎖移動剤の添加量を0.85gに、70℃での保持時間を8時間に、70℃から115℃の昇温時間を2時間に、ペンタン添加の時期を70℃に到達してから6時間後に、ペンタンの添加に要する時間を30分にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例2)
メタクリル酸イソボルニル50gをメタクリル酸メチルアダマンチル50gに変更した以外は、比較例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例3)
シクロヘキサンの添加量を3.5gに、連鎖移動剤の添加量を0.85gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例4)
連鎖移動剤の添加量を3.50gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例5)
連鎖移動剤の添加量を0.85gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例6)
シクロヘキサンの添加量を30gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例7)
シクロヘキサンの添加量を1gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表3に示す。
(比較例8)
連鎖移動剤の添加量を1gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
(比較例9)
シクロヘキサンを無添加に、連鎖移動剤の添加量を1.2gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
(比較例10)
シクロヘキサンの添加量を20.0gに、連鎖移動剤の添加量を2.5gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
(比較例11)
連鎖移動剤の添加量を3.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
(比較例12)
シクロヘキサンの添加量を4gに、連鎖移動剤の添加量を1.1gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
(比較例13)
連鎖移動剤の添加量を1.1gに変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡性粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。本例の仕込み組成等を後述する表4に示す。
発泡性粒子を用いた、アクリル系樹脂の分子量、ガラス転移温度、揮発成分の含有量、水分量の測定方法及び発泡性の評価方法を以下に説明する。
「分子量の測定」
ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりアクリル系樹脂のクロマトグラムを取得した。そして、得られたクロマトグラムに基づき、アクリル系樹脂の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及びz平均分子量Mzを算出した。
クロマトグラムの取得には東ソー(株)製のHLC−8320GPC EcoSECを使用した。測定試料としての発泡性粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて濃度0.1wt%の試料溶液を調製した後、TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK−GEL SuperHM−H×2本を直列に接続したカラムを用い、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、THF流量:0.6ml/分という分離条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定試料を分子量の違いによって分離し、クロマトグラムを得た。なお、測定試料としては、発泡性粒子に替えて発泡粒子を用いてもよいし、発泡粒子成形体を用いてもよい。
そして、標準ポリスチレンを用いて作成した較正曲線によって得られたクロマトグラムにおける保持時間を分子量に換算し、微分分子量分布曲線を得た。この微分分子量分布曲線からアクリル系樹脂の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及びz平均分子量Mzを算出した。これらの値は表1〜表4に示す通りであった。
「ガラス転移温度の測定」
メタノールを用いた再沈殿精製により、発泡性粒子からアクリル系樹脂を抽出した。具体的には、発泡性粒子1gをメチルエチルケトン10mLに溶解させた。次いで、500mLのメタノールを入れた容器を準備し、容器内のメタノールを攪拌しながら、メタノールにメチルエチルケトン溶液を滴下した。この滴下により、樹脂を沈殿させた。沈殿物をろ取し、室温で恒量になるまで真空乾燥させた。このようにして得られた沈殿物がアクリル系樹脂である。なお、発泡性粒子に替えて、発泡粒子、発泡粒子成形体を用いて再沈殿精製を行っても、アクリル系樹脂を抽出することが可能である。
発泡性粒子から抽出されたアクリル系樹脂2mgを秤量し、簡易密閉パンに充填し、ガラス転移温度の測定に用いた。ガラス転移温度の測定には示差走査熱量計(ティ・エイ・インスツルメンツ社製「Q1000」)を用い、JIS K 7121(1987年)に準拠して測定を行った。なお、DSC曲線の中間点温度をガラス転移温度とした。アクリル系樹脂のガラス転移温度は、表1〜表4に示す通りであった。
「水分量の測定」
まず、約0.28gの発泡性粒子を秤量した。加熱水分気化装置を用いて発泡性粒子を温度160℃まで加熱することにより、発泡性粒子の内部の水分を気化させた。この水分を加熱水分気化装置に接続されたカールフィッシャー水分測定装置(平沼産業株式会社製「AQ−6」)へ導き、水分量を測定した。発泡性粒子中の水分量は表1〜表4に示す通りであった。
「揮発成分の含有量の測定」
小数点以下4桁まで正確に秤量した約1gの発泡性粒子を温度120℃に設定した熱風乾燥機内で4時間乾燥させた。乾燥後の発泡性粒子を室温まで冷却した後、発泡性粒子を秤量した。加熱前後の質量変化から総揮発分量を求め、総揮発分量から水分量を減じることにより揮発成分の含有量を求めた。計算式はそれぞれ以下のとおりである。発泡性粒子中の揮発成分の含有量は表1〜表4に示す通りであった。
総揮発分(質量%)={加熱前質量(g)−加熱後質量(g)}÷加熱前質量(g)×100
揮発成分の含有量(質量%)=総揮発分(質量%)−水分(質量%)
「発泡性粒子中の物理発泡剤(シクロヘキサン、ペンタン)の含有量の測定」
精秤した発泡性粒子1gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)25mlに溶解させ、ガスクロマトグラフィー(GC)による測定を行い、発泡性粒子中の物理発泡剤(シクロヘキサン、ペンタン)の含有量を定量した。なお、ガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通りである。
測定装置:株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフGC−9A
カラム材質:内径3mm、長さ3000mmのガラスカラム
カラム充填剤:
〔液相名〕PEG−20M
〔液相含浸率〕25質量%
〔担体粒度〕60/80メッシュ
〔担体処理方法〕AW−DMCS(水洗、焼成、酸処理、シラン処理)
キャリアガス:N2
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
定量方法:内部標準法
「平均粒子径の測定」
JIS Z8801の規定に適合する試験用篩を用いて発泡性粒子をふるい分けし、発泡性粒子を粒径範囲に基づいて分級した。篩上に残った発泡性粒子の質量を測定することにより、各粒径範囲の発泡粒子の質量分率を算出した。これらの質量分率からロジン・ラムラー分布式を用いて粒径分布を決定した後、得られた粒径分布に基づいて、積算ふるい下百分率、つまり、小粒子側から積算した質量分率の累積値が63質量%となる粒径を算出した。この値を発泡性粒子の平均粒子径とした。発泡性粒子の平均粒子径は表1〜表4に示す通りであった。
「発泡性の評価」
発泡性の評価は、棚式発泡機を用いて発泡性粒子を発泡させ、得られた発泡粒子の見掛け密度を測定することにより行った。具体的には、まず、棚式発泡機内の発泡性粒子に3kPa(ゲージ圧力)のスチームを270秒間供給することにより、発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を室温で1日間風乾させた。その後、発泡粒子を1Lのメスシリンダーに充填し、この体積1Lあたりの発泡粒子の質量(g)を計量した。次いで、体積1L当たりの質量を単位換算することにより、見掛け密度(kg/m3)を算出した。なお、該見掛け密度が低いほど、発泡性が高いことを示している。発泡性の評価結果は表1〜表4に示す通りであった。
次に、発泡粒子を用いた二次発泡性の評価方法を以下に説明する。
「二次発泡性の評価」
二次発泡性の評価は、見掛け密度20kg/m3の発泡粒子をさらに発泡(二次発泡)させた際の発泡倍率である二次発泡率に基づいて行った。具体的には、まず、棚式発泡機を用いて発泡性粒子を発泡させ、見掛け密度20kg/m3の発泡粒子を準備した。この発泡粒子を棚式発泡機内に配置し、棚式発泡機内に3kPa(ゲージ圧力)のスチームを60秒間供給することにより、発泡粒子を二次発泡させて二次発泡粒子を得た。得られた二次発泡粒子を室温で1日間風乾させた。その後、二次発泡粒子を1Lのメスシリンダーに充填し、体積1Lあたりの二次発泡粒子の質量を(g)を計量した。次いで、体積1L当たりの二次発泡粒子の質量を単位換算することにより、二次発泡後の見掛け密度(kg/m3)を算出した。
二次発泡率は、二次発泡後の見掛け密度(つまり、二次発泡粒子の見掛け密度)を二次発泡前の見掛け密度(20kg/m3)で除することにより算出される値である。各実施例及び比較例の二次発泡率は表1〜表4に示す通りであった。
次に、発泡粒子成形体を用いた成形性、鋳造性、燃焼性及び強度の評価方法を以下に説明する。
「成形性」
型内成形時の成形性は、型内成形時のスチーム圧を変更して作製した発泡粒子成形体のそれぞれにおける発泡粒子同士の融着率及び表面性状(間隙及び表面溶融)に基づいて評価することができる。
・融着率
発泡粒子成形体を長さ方向に略等分となるように折り曲げて成形体を破断させた。その後、試験片の破断面を観察し、目視により成形体内部で破断(材料破壊)した発泡粒子数と発泡粒子界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測した。次いで、成形体内部で破断した発泡粒子数と界面で剥離した発泡粒子数との合計に対する成形体内部で破断した発泡粒子数の割合を算出し、これを百分率で表して融着率(%)とした。発泡粒子成形体における発泡粒子同士の融着率は表1〜表4に示す通りであった。融着率の評価においては、融着率が60%以上の場合を合格と判定し、融着率が60%未満の場合を不合格と判定した。
・表面性状(間隙、表面溶融)
発泡粒子成形体の表面を目視観察し、表面に露出した発泡粒子同士の間に隙間が存在しているか否か、及び、発泡粒子成形体の表面に溶融痕が存在しているか否かを評価した。
表1〜表4の「間隙」欄には、発泡粒子成形体の表面に発泡粒子間の隙間がほとんど確認されず、表面全体が平滑である場合に記号「A」、発泡粒子成形体の表面に発泡粒子間の隙間が散見される場合に記号「B」、発泡粒子成形体の表面に発泡粒子間の隙間が多く確認される場合に記号「C」を記載した。間隙の評価においては、記号「A」及び記号「B」の場合を、表面性状が良好であるため合格と判定し、記号「C」の場合を、表面性状が悪いため不合格と判定した。
また、表1〜表4の「表面溶融」欄には、発泡粒子成形体の表面に溶融痕がほとんど確認されない場合に記号「A」、発泡粒子成形体の表面に溶融痕が散見される場合に記号「B」、発泡粒子成形体の表面の至る所に溶融痕が確認される場合に記号「C」を記載した。表面溶融の評価においては、記号「A」及び記号「B」の場合を、表面性状が良好であるため合格と判定し、記号「C」の場合を、表面性状が悪いため不合格と判定した。
成形性の評価は、以上のようにして0.04MPa、0.06MPa及び0.08MPaの成形スチーム圧で作製した発泡粒子成形体の融着率、間隙及び表面溶融の評価結果と、後述する曲げ強度とに基づいて行った。表1〜表4の「成形性」欄には、0.04〜0.08MPaの成形スチーム圧で作製した成形体のいずれにおいても、間隙及び表面溶融が「A」であり、融着率が60%以上である場合に記号「A」を記載した。また、0.04〜0.08MPaの成形スチーム圧で作製した成形体のいずれにおいても間隙及び表面溶融が「B」以上(但し、少なくとも1つの「B」を含む)であり、融着率が60%以上であり、曲げ強度が270kPa以上である場合には同欄に記号「B」を記載した。
また、0.04〜0.08MPaの成形スチーム圧で作製した成形体のいずれにおいても間隙及び表面溶融が「B」以上(但し、少なくとも1つの「B」を含む)であり、融着率が60%以上であり、曲げ強度が270kPa未満である場合には同欄に記号「C」を記載した。そして、0.04〜0.08MPaの成形スチーム圧で作製した発泡粒子成形体のうち少なくとも1つの成形体における間隙または表面溶融が「C」である場合、または、融着率が60%未満である場合には同欄に記号「D」を記載した。
成形性の評価においては、前述した記号「A」、「B」、「C」の場合を成形性が良好であるため合格と判定し、記号「D」の場合を成形性に劣るため不合格と判定した。
「発泡粒子成形体の水分量の測定」
まず、約0.3gの発泡粒子成形体を秤取した。この発泡粒子成形体を加熱水分気化装置に配置し、温度160℃まで加熱することにより、成形体内部の水分を気化させた。気化させた水分を加熱水分気化装置に接続されたカールフィッシャー水分測定装置(平沼産業株式会社製「AQ−6」)へ導き、成形体中の水分量を測定した。成形体中の水分量は表1〜表4に示す通りであった。
更に、以下の方法により、鋳造性、燃焼性及び強度の評価を行った。
「鋳造性」
鋳造性は、鋳造物の鋳肌及び鋳造時の様子により評価した。まず、発泡性粒子を発泡させて見掛け密度約30kg/m3の発泡粒子を作製した。次に、この発泡粒子を型内成形して、30kg/m3の見掛け密度を有し、横75mm×縦150mm×厚み40mmの直方体状を呈する発泡粒子成形体を作製した。
この発泡粒子成形体を消失模型として用い、フルモールド鋳造法により金属の鋳造を行った。具体的には、まず、ジルコン系塗型剤を塗布した発泡粒子成形体を、湯道及び堰とともに鋳枠内に配置した。そして、鋳枠内に鋳型となる砂を充填した。砂としては、アルカリフェノールガス硬化バインダー樹脂(花王株式会社製 カオーステップ(登録商標)C−800)を使用した。
次に、二酸化炭素ガスを鋳枠全体に行き渡るように充填し、砂を硬化させた。湯口と逃がし口を取り付けた後、溶融金属を湯口より流し込み、鋳込みを行った。なお、溶融金属としては、球状黒鉛鋳鉄(つまり、FCD)を使用した。鋳込み時の溶融金属の温度は約1400℃であった。鋳込みが完了した後、鋳枠内で金属が凝固することにより、発泡粒子成形体に対応した形状の鋳物が形成された。鋳枠内で鋳物の温度を十分に低下させた後、鋳物を鋳枠から取り出し、ショットブラスト処理を行った。
・鋳肌の評価
鋳物を目視観察してスス欠陥の有無を評価した。なお、スス欠陥とは、鋳造時に発泡粒子成形体(すなわち、消失模型)の熱分解物がうまく排出されずに砂型内に残ることによって引き起こされる、鋳肌や鋳物の内部に生じた空洞やへこみのことである。スス欠陥がない場合や少ない場合は燃焼時にススの発生がほとんどないか少ないことを意味する。
表1〜表4の「鋳肌」欄には、鋳物がスス欠陥を有しない場合には記号「A」、鋳物にスス欠陥がわずかに見られる場合には記号「B」、鋳物にスス欠陥が多く見られる場合には記号「C」を記載した。
・注湯時の様子
上記のようにして溶融金属を湯口に流し込んだ際の溶融金属の吹き返し、つまり、発泡粒子成形体から生じた熱分解ガスによって湯口から溶融金属が吹き出す現象の有無を目視で判断した。表1〜表4の「注湯時の様子」欄には、吹き返しがない場合には記号「A」、わずかに吹き返しがある場合には記号「B」、吹き返しが激しい場合には記号「C」を記載した。
「ススの発生量」
見掛け密度20kg/m3の発泡粒子成形体から、縦75mm×横25mm×厚さ25mmの寸法の試験片を切り出した。この試験片をクランプに水平に取り付け、試験片に炎を接触させた。このとき、発生したススの量を目視にて観察し、下記の基準で判定した。表1〜表4の「スス量」欄には、ススの発生がほとんどない場合に記号「A」、ススの発生が少ない場合に記号「B」、ススの発生が多い場合に「C」を記載した。
「曲げ強度」
0.08MPaの成形スチーム圧で発泡粒子の型内成形を行うことにより、22kg/m3の見掛け密度を有し、縦300mm×横75mm×厚さ25mmの板状を呈する発泡粒子成形体を作製した。この成形体を試験片とし、JIS K7221−2(1999年)の附属書1に記載された大形試験片による曲げ試験方法に準拠して3点曲げ試験を行い、応力−歪曲線を取得した。この応力−歪曲線に基づいて算出した最大荷重における曲げ応力を発泡粒子成形体の曲げ強度とした。なお、3点曲げ試験には万能試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」)を使用し、下部支点間距離200mm、試験速度10mm/分の条件で試験を行った。発泡粒子成形体の曲げ強度は、表1〜表4に示す通りであった。
「圧縮強度」
0.08MPaの成形スチーム圧で発泡粒子の型内成形を行うことにより作製した見掛け密度22kg/m3の発泡粒子成形体の中央部分から縦50mm、横50mm、厚み25mmの直方体状の試験片を採取した。この試験片を用いて、JIS K6767(1999年)に準拠して3点曲げ試験を行い、ひずみ10%における圧縮荷重を測定した。そして、ひずみ10%における圧縮荷重を試験片の受圧面積で除した値を圧縮応力(10%圧縮応力)とした。なお、3点曲げ試験には万能試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」)を使用し、下部支点間距離200mm、試験速度10mm/分の条件で試験を行った。発泡粒子成形体の10%圧縮応力は、表1〜表4に示す通りであった。
なお、表3及び表4に示す比較例3〜13については、成形スチーム圧0.04〜0.10MPaの範囲内では良好な発泡粒子成形体が得られなかったため、鋳造性、燃焼性及び強度の評価を行わなかった。
また、図1に、実施例1〜12及び比較例1〜13の発泡性粒子における、重量平均分子量Mw(C)の値を縦軸に、脂環式飽和炭化水素の含有量(D)の値を横軸にとったプロットを示す。なお、図1中に示した丸形のマーカーは実施例1〜12を示し、ひし形のマーカーは比較例1〜13を示す。また、図1中には、重量平均分子量Mw(C)が50000である直線L1、重量平均分子量Mw(C)が110000である直線L2、脂環式飽和炭化水素の含有量(D)が0.2質量%である直線L3、脂環式飽和炭化水素の含有量(D)が2.5質量%である直線L4を示した。
Figure 2020084040
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表1及び表2に示すように、実施例1〜12の発泡性粒子には、前記特定の組成を有するアクリル系樹脂と、物理発泡剤とが含まれている。そのため、これらの発泡性粒子から得られた発泡粒子成形体は、熱分解時のススの発生量を低減するとともに、熱分解ガスの発生速度を低減し、鋳造時の吹き返しの発生を抑制することができる。
更に、実施例1〜12の発泡性粒子におけるアクリル系樹脂の重量平均分子量Mw(C)は前記特定の範囲内であり、かつ、発泡性粒子中の脂環式飽和炭化水素の含有量(D)が前記特定の範囲内である。これにより、例えば成形スチーム圧が0.04MPaや0.06MPaの場合など、型内成形時の成形スチーム圧を低くした場合にも、優れた融着性を有すると共に、間隙が少なく平滑性に優れる発泡粒子成形体を得ることができる。それ故、実施例1〜12の発泡性粒子から得られた発泡粒子は、幅広い成形条件において、優れた型内成形性を有している。
一方、表3及び表4に示す比較例1〜13の発泡性粒子は、アクリル系樹脂の重量平均分子量Mw(C)及び脂環式飽和炭化水素の含有量(D)のうち少なくとも一方が前記特定の範囲を満たしていない。そのため、比較例1〜13の発泡性粒子を発泡させてなる発泡粒子は、例えば成形スチーム圧が0.04MPaや0.06MPaの場合など、低い成形スチーム圧での成形性が実施例1〜12の発泡性粒子から得られた発泡粒子に比べて劣り、成形条件の範囲が狭かった。

Claims (9)

  1. アクリル系樹脂と物理発泡剤とを含む発泡性アクリル系樹脂粒子であって、
    前記アクリル系樹脂は、
    メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体であり、
    前記アクリル系樹脂中の、メタクリル酸エステル成分(A)とアクリル酸エステル成分(B)との合計100モル%に対する前記メタクリル酸エステル成分(A)のモル比が85〜99モル%であり、
    前記メタクリル酸エステル成分(A)及び前記アクリル酸エステル成分(B)のうち少なくとも一方が多環式飽和炭化水素基を有する成分を含有し、
    前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は112〜125℃であり、
    前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は5〜11万であり、
    前記物理発泡剤は、
    炭素数3〜6の鎖式飽和炭化水素と炭素数5〜7の脂環式飽和炭化水素とを含有し、
    前記発泡性アクリル系樹脂粒子中の前記物理発泡剤の含有量が6〜10質量%であり、
    前記発泡性アクリル系樹脂粒子中の前記脂環式飽和炭化水素の含有量が0.2〜2.5質量%である、発泡性アクリル系樹脂粒子。
  2. 前記脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]と前記重量平均分子量Mwとが下記式(1)を満たす、請求項1に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子。
    Mw≦(−10×CCH+25)×104 ・・・(1)
  3. 前記脂環式飽和炭化水素の含有量CCH[質量%]と前記重量平均分子量Mwとが下記式(2)を満たす、請求項1または2に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子。
    (−10×CCH+12)×104≦Mw ・・・(2)
  4. 前記メタクリル酸エステル成分(A)と前記アクリル酸エステル成分(B)との合計100モル%に対する前記多環式飽和炭化水素基を含有する成分のモル比が7モル%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子。
  5. 前記多環式飽和炭化水素基は、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、又はイソボルニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子。
  6. 前記物理発泡剤中の前記脂環式飽和炭化水素の含有量は、20質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡性アクリル系樹脂粒子を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡粒子。
  8. 請求項7に記載のアクリル系樹脂発泡粒子を型内成形してなるアクリル系樹脂発泡粒子成形体。
  9. 水分量が1.0質量%以下である、請求項8に記載のアクリル系樹脂発泡粒子成形体。
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