以下、添付の図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成を示す正面図である。図2は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成を示す縦断面図である。本開示では、原則として、冷蔵庫1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向が定義される。また、図1および図2によって示される冷蔵庫1を構成する各部材の寸法、位置関係および形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。冷蔵庫1の構成は、図1および図2によって示されるものに限定されない。
本実施の形態の冷蔵庫1は、断熱箱体90を有している。断熱箱体90は、外箱、内箱および断熱材によって構成される。外箱は、例えば、鋼鉄製である。内箱は、例えば、樹脂製である。内箱は、外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば、発泡ウレタン、真空断熱材等である。断熱材は、外箱と内箱との間の空間に充填されている。
断熱箱体90の正面は、開口している。断熱箱体90の内部には、貯蔵空間が形成されている。貯蔵空間は、食品等の被貯蔵物が収納される空間である。断熱箱体90の内部に形成された貯蔵空間は、1つまたは複数の仕切り部材によって、食品を収納保存するための複数の貯蔵室に区画されている。
一例として、冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400および野菜室500を備えている。冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400および野菜室500は、貯蔵室の一例である。上記の各貯蔵室は、断熱箱体90の内部に形成されている。本実施の形態において、上記の各貯蔵室は、上下方向に4段構成となって配置されている。
冷蔵室100は、断熱箱体90の内部の最上段に配置されている。図2に示すように、冷蔵室100の内部には、一例として、複数の棚板が設けられている。冷蔵室100の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。
切替室200は、冷蔵室100の下方における左右の一側に配置されている。切替室200内の温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかに選択的に切り替えることが可能である。切替室200内の温度帯として選択可能な複数の温度帯は、例えば、冷凍温度帯、冷蔵温度帯、チルド温度帯、ソフト冷凍温度帯等である。冷凍温度帯は、例えば、−18℃程度の温度帯である。冷蔵温度帯は、例えば、3℃程度の温度帯である。チルド温度帯は、例えば、0℃程度の温度帯である。ソフト冷凍温度帯は、例えば、−7℃程度の温度帯である。
製氷室300は、切替室200の側方に隣接して配置される。上記したように、切替室200は、冷蔵室100の下方における左右の一側に配置されている。製氷室300は、冷蔵室100の下方における左右の他側に配置されている。
冷凍室400は、切替室200および製氷室300の下方に配置されている。冷凍室400は、被貯蔵物を長期にわたって冷凍保存する際に用いられる。野菜室500は、冷凍室400の下方の配置されている。野菜室500は、断熱箱体90の内部の最下段に配置されている。野菜室500には、例えば、野菜および容量の大きなペットボトル等が収納される。
冷蔵室100の正面部には、当該冷蔵室100を開閉するための冷蔵室扉7が設けられている。冷蔵室扉7は、例えば、両開き式の回転式の扉である。両開き式の冷蔵室扉7は、右扉7aおよび左扉7bにより構成されている。冷蔵室扉7の外側表面には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、例えば、左扉7bに設けられている。操作パネル6は、各貯蔵室の保冷温度等の設定および各貯蔵室の温度等の各種情報の表示のためのものである。
切替室200、製氷室300、冷凍室400および野菜室500は、一例として、それぞれ、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに沿って冷蔵庫1の奥行方向にスライドできるようになっている。本実施の形態の冷蔵庫1の使用者は、引出し式の扉をスライドさせることで、切替室200、製氷室300、冷凍室400および野菜室500を開閉することができる。
切替室200の内部および冷凍室400の内部には、食品等を内部に収納できる切替室収納ケース201および冷凍室収納ケース401が、それぞれ格納されている。切替室収納ケース201および冷凍室収納ケース401は、引き出し自在に設けられている。同様に、野菜室500内には、食品等を内部に収納できる野菜室収納ケース501が、引き出し自在に格納されている。
切替室収納ケース201は、切替室200を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。切替室収納ケース201は、切替室200を開閉する扉に連動して引き出される。冷凍室収納ケース401は、冷凍室400を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。冷凍室収納ケース401は、冷凍室400を開閉する扉に連動して引き出される。同様に、野菜室収納ケース501は、野菜室500を開閉する扉に設けられたフレームによって支持される。野菜室収納ケース501は、野菜室500を開閉する扉に連動して引き出される。
なお、冷蔵庫1に備えられた貯蔵室の数、貯蔵室の配置、貯蔵室を開閉するための扉の構成等は、上記の例に限定されるものではない。例えば、冷蔵室100を開閉するための扉は、スライド式であってもよい。また、切替室200、製氷室300、冷凍室400および野菜室500を開閉するための扉は、回転式であってもよい。切替室収納ケース201、冷凍室収納ケース401および野菜室収納ケース501は、それぞれ、2つ以上設けられてもよい。
冷蔵庫1は、各貯蔵室へ冷却された空気を供給するための手段として、圧縮機2、冷却器3、送風ファン4および風路5等を備える。圧縮機2および冷却器3は、図示を省略している凝縮器および絞り装置等と、冷凍サイクル回路を構成している。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各貯蔵室へ供給される空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の下部に配置される。
風路5は、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するためのものである。風路5は、断熱箱体90の内部に形成されている。風路5は、例えば、冷蔵庫1の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路を構成している冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風ファン4も設置されている。
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路5を通って、冷凍室400、切替室200、製氷室300および冷蔵室100へ送られる。これにより、各貯蔵室内が冷却される。また、野菜室500には、冷蔵室100を通過した冷気が図示しない風路を介して導入される。これにより、野菜室500内が冷却される。野菜室500を通過した空気は、冷却器3が設置されている風路5内へと戻される。風路5内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却される。上記のようにして、冷気が冷蔵庫1内を循環する。
また、風路5からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられている。これらのダンパは、図1および図2においては図示を省略する。各ダンパの開閉状態が変化することで、各貯蔵室へと供給される冷気の風量が調節される。貯蔵室へと供給される冷気の風量は、送風ファン4の運転が制御されることによっても調節される。また、各貯蔵室へと供給される空気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
各貯蔵室には、当該各貯蔵室の内部の温度を検知するサーミスタが設置される。これらのサーミスタは、図1および図2においては図示を省略する。上記のダンパ、送風ファン4および圧縮機2は、サーミスタの検知結果に基いて制御される。ダンパ、送風ファン4および圧縮機2は、各貯蔵室内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。本実施の形態において、圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5およびダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却手段の一例である。
また、本実施の形態の冷蔵庫1は、制御装置8を備える。制御装置8は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の上部に設けられる。制御装置8は、冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4およびダンパ等を制御する機能を有している。制御装置8には、冷蔵庫1の動作を制御するための制御回路等が備えられている。制御装置8の各機能は、この制御回路によって実現される。
図3は、実施の形態1の冷蔵庫1が備える切替室200の周辺の拡大断面図である。本実施の形態において、切替室200には、一例として、炊飯された米飯、ひき肉、および、カットされた野菜等が収納される。炊飯された米飯、ひき肉、および、カットされた野菜は、本開示における「常温において人間の手で小分け可能な食品」の一例である。
ここでいう「常温」とは、各食品の凍結温度よりも高い温度を意味している。炊飯された米飯、ひき肉、および、カットされた野菜は、凍結温度よりも高い温度においては、人間の手で道具を使わずに小分け可能である。また、炊飯された米飯、ひき肉、および、カットされた野菜は、凍結していない状態、すなわち非凍結状態では人間の手で道具を使わずに小分け可能な食品であるとも言える。まとめると、本開示における「常温において人間の手で小分け可能な食品」とは、「凍結温度よりも高い温度において人間の手で道具を使わずに小分け可能な食品」または「非凍結状態では道具を使わずに人間の手で小分け可能な食品」とも言うことができる。なお、本開示における「凍結温度よりも高い温度において人間の手で道具を使わずに小分け可能な食品」には、例えば、複数の小片によって一群を形成する野菜類および茸類、調理後の各種の食品・料理等も該当する。
切替室200を開閉する扉を、図3および以下の説明においては、符号を付して切替室扉9と称する。また、本実施の形態の冷蔵庫1は、図3に示すように、切替室扉9の開閉状態を検知するための扉開閉検知スイッチ10を備えている。扉開閉検知スイッチ10は、切替室扉9の開閉を検知する開閉検知手段の一例である。
また、切替室200内には、図3に示すように、切替室サーミスタ11が設けられる。切替室サーミスタ11は、切替室200の温度を検知する温度検知手段の一例である。また、本実施の形態の冷蔵庫1は、図3に示すように、切替室ダンパ12を備えている。制御手段の一例である制御装置8は、切替室サーミスタ11の検知結果に基づいて切替室ダンパ12を制御する。これにより、切替室200内の温度が調節される。
図4は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成を示すブロック図である。制御装置8の制御回路には、例えば、プロセッサ8aおよびメモリ8bが備えられている。制御装置8は、メモリ8bに記憶されたプログラムをプロセッサ8aが実行することによって予め設定された処理を実行し、冷蔵庫1を制御する。
プロセッサ8aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ8bには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
なお、制御装置8の制御回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置8の制御回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、且つ、当該制御回路にプロセッサ8aおよびメモリ8bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される制御回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
制御装置8には、各貯蔵室の内部の温度を検知するサーミスタから信号が入力される。本実施の形態では、制御装置8には、切替室サーミスタ11から、切替室200の温度情報を含む信号が入力される。制御装置8は、切替室サーミスタ11から入力された信号に基づいて、切替室200内の温度が設定温度に維持されるように、圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12等を制御する。
また、本実施の形態の操作パネル6は、一例として、図4に示すように、操作部6aおよび表示部6bを備えている。操作部6aは、各貯蔵室の設定温度および冷蔵庫1の動作モードを設定するためのスイッチ等によって構成される。表示部6bは、冷蔵庫1に関する各種の情報を表示する液晶ディスプレイおよびLEDランプ等によって構成される。なお、操作パネル6は、操作部6aと表示部6bとを兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。また、操作パネル6には、音声報知を行うスピーカ等が備えられていてもよい。
制御装置8には、操作パネル6の操作部6aからの信号が入力される。操作部6aは、使用者による当該操作部6aの操作に応じた信号を、制御装置8へ出力する。また、制御装置8には、扉開閉検知スイッチ10からの信号も入力される。制御装置8は、操作部6aおよび扉開閉検知スイッチ10から入力された信号に基づいた処理を実行する。また、制御装置8は、操作パネル6の表示部6bの動作も制御する。
次に、上記したように構成された冷蔵庫1の機能および動作の特徴について説明する。本実施の形態の冷蔵庫1は、切替室200に収納された食品を、小分け可能な状態で冷凍保存する機能を有することを特徴としている。
図5は、実施の形態1における切替室200の設定温度、切替室200の庫内温度および切替室200に収納された食品の温度の経時変化の第1の例を示す図である。図5等を参照して、切替室200に収納された食品を小分け可能な状態で冷凍保存する機能について説明する。なお、図5において、切替室200の設定温度、切替室200の庫内温度および切替室200に収納された食品の温度は、それぞれ、破線、細実線および太実線で示される。
冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、凍結工程、分割温度維持工程および保存工程を実行可能に構成されている。凍結工程は、「常温において人間の手で小分け可能な食品」を凍結させることで、第1食品塊を生成する工程である。凍結工程は、本開示に係る第1冷却工程の一例である。
分割温度維持工程は、凍結工程で生成された第1食品塊を、凍結された状態のまま人間の手で小分け可能な状態にする工程である。分割温度維持工程は、本開示に係る第2冷却工程の一例である。冷蔵庫1の使用者は、分割温度維持工程によって凍結された状態のまま人間の手で小分け可能な状態にされた第1食品塊を、道具を使わずに手で複数の第2食品塊に小分けすることができる。なお、使用者が第1食品塊を手で複数の第2食品塊に小分けする工程は、本開示に係る分割工程の一例である。
また、保存工程は、食品を冷凍保存するための工程である。本実施の形態における保存工程は、分割工程によって小分けされた第2食品塊を冷凍保存する第3冷却工程の一例である。まとめると、本実施の形態における圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、第1冷却工程と第2冷却工程と第3冷却工程とを実行可能に構成された冷却手段の一例である。
切替室200に収納された食品が小分け可能な状態で冷凍保存される際には、図5に示すように、上記した凍結工程、分割温度維持工程および保存工程の3つの工程の全てが実行される。凍結工程、分割温度維持工程および保存工程のうち、まず、凍結工程が最初に実行される。分割温度維持工程および保存工程は、凍結工程よりも後に実行される。
本実施の形態の冷蔵庫1は、上記の分割温度維持工程が開始する時点を変更可能に構成されていることを特徴としている。使用者は、操作パネル6の操作部6aを操作することで、分割温度維持工程が開始する時点を任意の時点に設定することができる。例えば、使用者は、操作部6aを操作して、開始時刻TSの情報を入力する。本実施の形態の制御装置8は、使用者が操作部6aを操作して入力した開始時刻TSの情報に基づいて、分割温度維持工程が開始する時点を設定する機能を有している。
図5に示すように、凍結工程は、例えば、第1時間ΔTLだけ実行される。凍結工程が開始してから第1時間ΔTLが経過して時刻TLになると、凍結工程が終了する。図5に示す例は、開始時刻TSが、凍結工程の終了する時刻TLよりも後の時刻として入力された場合の例である。
図5に示す例においては、第1の保存工程と第2の保存工程とが実行される。第1の保存工程は、分割温度維持工程の前に実行される。第1の保存工程は、凍結工程が終了してから開始時刻TSになるまでの間、実行される。第2の保存工程は、分割温度維持工程の終了後に実行される。第1の保存工程は、凍結工程によって生成された第1食品塊を冷凍保存する工程である。第2の保存工程は、分割工程によって小分けされた第2食品塊を冷凍保存する工程である。
引き続き図5を参照しつつ、凍結工程、分割温度維持工程および保存工程について、より具体的に説明する。本実施の形態において、凍結工程における切替室200の設定温度、分割温度維持工程における切替室200の設定温度および保存工程における切替室200の設定温度は、図5に示すように、それぞれ異なる温度に設定される。
凍結工程における切替室200の設定温度は、第1温度θLに設定される。第1温度θLは、食品が凍結する温度である凍結温度θfよりも低い温度として設定される。凍結温度θfおよび第1温度θLは、例えば、0℃以下の温度帯または0℃未満の温度帯に含まれる。第1温度θLは、例えば、−20℃である。
分割温度維持工程における切替室200の設定温度は、第2温度θSに設定される。第2温度θSは、第1温度θLよりも高く、且つ、食品が凍結された状態のまま人間の手で小分け可能な温度として設定される。第2温度θSは、例えば、0℃以下の温度帯に含まれる。第2温度θSは、例えば、−2℃である。
保存工程における切替室200の設定温度は、第3温度θFに設定される。第3温度θFは、第2温度θS以下の温度として設定される。一例として、第3温度θFは、第2温度θSよりも低い温度として設定される。第3温度θFは、例えば、−7℃である。すなわち、本実施の形態においては、第1温度θLと第2温度θSと第3温度θFとのうち、最も低いものは第1温度θLである。また、第1温度θLと第2温度θSと第3温度θFとのうち、最も高いものは第2温度θSである。
切替室200に収納される前の状態の食品は、非凍結状態である。使用者は、非凍結状態の食品を切替室200に収納することで、当該食品を冷凍保存することができる。上記したように、凍結工程における切替室200の設定温度は、凍結温度θfよりも低い第1温度θLである。凍結工程における切替室200の庫内温度は、第1温度θLと同じ温度または第1温度θLと近い温度である。図5に示すように、切替室200に収納された非凍結状態の食品は、凍結工程において、急速に冷却される。切替室200に収納された食品の温度は、凍結工程において、急降下する。
凍結工程において、切替室200に収納されて急冷された食品の温度は、やがて凍結温度θfに到達する。そして、当該食品の温度は、凍結温度θf以下になる。凍結温度θf以下まで急冷された食品は、一時的に過冷却状態になる。過冷却状態とは、凍結温度θf以下であっても凍結しない状態である。不安定な状態である過冷却状態は、すぐに解消される。凍結工程において、切替室200に収納されて急冷された食品は、過冷却状態を経た後に、凍結し始める。凍結工程においては、最終的に、切替室200に収納された食品全体にわたって氷結晶が生成される。切替室200に収納された食品は、全体が凍結することで、第1食品塊となる。
上記したように、凍結工程は、第1時間ΔTLだけ実行される。凍結工程が開始してから第1時間ΔTLが経過して時刻TLになると凍結工程が終了する。第1時間ΔTLは、例えば、120分である。
図5に示す例においては、凍結工程が終了すると、第1の保存工程が開始する。第1の保存工程が開始すると、切替室200の設定温度は、第1温度θLから第3温度θFへ切り替えられる。冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、切替室200の庫内温度が第3温度θFで維持されるように動作する。第1の保存工程において、第1食品塊の温度は、第3温度θFと同じ温度または第3温度θFと近い温度に維持される。
使用者による操作部6aの操作に応じて設定された開始時刻TSになると、第1の保存工程が終了して、分割温度維持工程が開始する。分割温度維持工程が開始すると、切替室200の設定温度は、第3温度θFから第2温度θSへ切り替えられる。冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、切替室200の庫内温度が第2温度θSで維持されるように動作する。分割温度維持工程において、第1食品塊の温度は、第2温度θSと同じ温度または第2温度θSと近い温度に維持される。これにより、第1食品塊は、凍結された状態のまま人間の手で小分け可能な状態になる。
分割温度維持工程は、図5に示すように、第2時間ΔTSだけ行われる。第2時間ΔTSは、例えば、4時間である。使用者は、分割温度維持工程が実行中の任意の時刻T1に、切替室200から第1食品塊を取り出し、手で小分けする。第1食品塊は、複数の第2食品塊へ小分けされる。複数の第2食品塊は、任意の時刻T2において、再び切替室200へ戻される。その後、分割温度維持工程が開始してから第2時間ΔTSが経過して時刻T3になると、分割温度維持工程が終了する。
図5に示す例においては、分割温度維持工程が終了すると、第2の保存工程が開始する。第2の保存工程が開始すると、切替室200の設定温度は、第2温度θSから第3温度θFへ切り替えられる。冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、切替室200の庫内温度が第3温度θFで維持されるように動作する。第2の保存工程において、複数の第2食品塊の温度は、第3温度θFと同じ温度または第3温度θFと近い温度に維持される。複数の第2食品塊は、第3温度θFと同じ温度または第3温度θFと近い温度になった状態で、冷凍保存される。
また、使用者は、操作部6aを操作することで、「分割温度維持工程が凍結工程の直後に行われること」を設定してもよい。すなわち、操作部6aによって入力される情報は、必ずしも開始時刻TSの情報でなくてもよい。本実施の形態における操作部6aは、分割温度維持工程が開始する条件の設定を行うためのものである。制御装置8は、使用者が操作部6aを操作して入力した各種の情報に基づいて、分割温度維持工程が開始する条件を設定する機能を有している。分割温度維持工程は、操作部6aおよび制御装置8によって設定された条件が成立すると開始する。
図6は、実施の形態1における切替室の設定温度、切替室の庫内温度および切替室に収納された食品の温度の経時変化の第2の例を示す図である。図6に示す例において、分割温度維持工程は、凍結工程の直後に実行される。図6に示す例において、分割温度維持工程は、凍結工程の終了時に開始する。また、図6に示す例において、保存工程は、分割温度維持工程の後に実行される。図6に示す例において、保存工程は、分割温度維持工程の前には実行されない。図6に示す例における保存工程は、図5に示す例における第2の保存工程に相当する。図6に示す例では、図5に示す例における第1の保存工程は実行されない。
また、使用者が操作部6aによって入力した開始時刻TSが凍結工程の終了する時刻TLよりも前であった場合には、一例として、表示部6bは、使用者への報知を行う。使用者が操作部6aによって入力した開始時刻TSが凍結工程の終了する時刻TLよりも前であった場合、表示部6bは、例えば、開始時刻TSの再設定を使用者へ促すメッセージを表示する。なお、表示部6bによって行われる各種の報知は、文字の表示によるものに限らず、例えば、音声またはランプの点灯等によるものでもよい。
また、例えば、使用者が操作部6aによって入力した開始時刻TSが凍結工程の終了する時刻TLよりも前であった場合、図6に示すように、凍結工程の終了時に分割温度維持工程が開始してもよい。すなわち、使用者が操作部6aによって入力した開始時刻TSが凍結工程の終了する時刻TLよりも前であった場合、分割温度維持工程が開始する時刻は、凍結工程の終了する時刻TLとして設定されてもよい。この場合、表示部6bは、例えば、「入力された開始時刻TSが凍結工程の終了する時刻TLよりも前であること」および「分割温度維持工程が凍結工程の直後に実行されること」等を文字等で表示するとよい。
次に、分割温度維持工程における切替室200の設定温度である第2温度θSの具体例について、説明する。図7は、実施の形態1の第1食品塊の温度と当該第1食品塊が破断する際の荷重との関係の第1の例を示した図である。図7に示す例は、炊飯した米飯を第1食品塊とした場合の実験結果である。凍結した状態の食品塊を実際に人間の手で分割することができた場合において、当該食品塊の破断荷重は、15kgf程度であることが、実験結果から確認された。そして、凍結した状態の米飯の破断荷重が15kgf以下となる場合において、凍結した状態の米飯の温度は、図7に示すように、温度−4℃以上であることが実験結果から確認された。
上記の実験結果から分かるように、炊飯された米飯を小分け可能な状態で冷凍保存する場合には、第2温度θSは、−4℃から0℃の温度帯に含まれるように設定されるとよい。第2温度θSが−4℃から0℃の温度帯に含まれるように設定されることで、分割温度維持工程における庫内温度は、−4℃から0℃の温度帯に含まれる。これにより、切替室200へ収納された米飯の温度は、分割温度維持工程において、−4℃から0℃の温度帯に含まれる。第2温度θSが−4℃から0℃の温度帯に含まれるように設定されることで、使用者は、米飯を凍結された状態のまま容易に手で分割することができる。
図8は、第2温度θSで維持された米飯を手で小分けする様子を示すイメージ図である。図9は、凍結された状態のまま複数に小分けされた米飯を示すイメージ図である。
炊飯された米飯は、例えば、ビニール袋に収納された状態またはラップフィルムに包まれた状態で、切替室200へ収納される。切替室200へ収納された米飯は、凍結工程によって、全体が凍結して第1米飯塊20aとなる。第1米飯塊20aは、分割温度維持工程によって、第2温度θSで維持され、手で小分け可能な状態になる。
図8に示すように、使用者は、包丁などの道具を使用することなく、第1米飯塊20aを手で小分けすることができる。図8(A)、図7(B)および図7(C)に示すように、使用者は、第1米飯塊20aを、凍結した状態のまま折り曲げるようにして小分けすることができる。折り曲げられた第1米飯塊20aは、図7(D)に示すように、複数の第2米飯塊20bに分割される。使用者は、図8に示すように、第1米飯塊20aを、任意の数の第2米飯塊20bに分割することができる。また、使用者は、図7および図8に示すように、米飯を、例えば、ビニール袋に収納された状態またはラップフィルムに包まれた状態のまま小分けすることができる。
なお、使用者は、第1米飯塊20aを、ばらばらにほぐすように小分けしてもよいし、引きちぎるように小分けしてもよい。第1米飯塊20aは、例えば、粉砕または剥離するようにして、分割されてもよい。
なお、第2温度θSは、上記した例である−4℃から0℃の温度帯に含まれる温度に限られない。第2温度θSは、冷蔵庫1の使用環境等によって、任意に設定され得る。また、第2温度θSは、小分けされた状態のまま冷凍保存される食品の種類に応じても、任意に設定され得る。図9は、実施の形態1の第1食品塊の温度と当該第1食品塊が破断する際の荷重との関係の第2の例を示した図である。図9に示す例は、加熱およびカットがされた状態の葉物野菜を第1食品塊とした場合の実験結果である。
上記したように、凍結した状態の食品塊を実際に人間の手で分割することができる場合において、当該食品塊の破断荷重は、15kgf程度である。そして、加熱およびカットがされた後に凍結することで第1食品塊となった葉物野菜の破断荷重が15kgf以下となる場合において、当該葉物野菜の温度は、図9に示すように、−10℃以上であることが実験結果から確認された。
また、加熱およびカットがされた後に凍結して第1食品塊となった葉物野菜の破断荷重は、加熱されていない生の状態でカットされた後に凍結して第1食品塊となった葉物野菜の破断荷重よりも大きいことが、実験結果から確認された。すなわち、加熱されていない生の状態でカットされた後に凍結した第1食品塊となった葉物野菜は、当該葉物野菜の温度が−10℃以上であれば人間の手で分割することができる。
また、カットされた根菜類および果菜類などの小片同士の接触面積は、カットされた葉物野菜の小片同士の接触面積よりも小さい。カットされた根菜類および果菜類などの小片は、カットされた葉物野菜の小片よりも硬い。このため、カットされた根菜類および果菜類によって形成される第1食品塊は、カットされた葉物野菜によって形成される第1食品塊に比べて、より小さい力で分割することができる。
以上に示したように、カットされた野菜類によって形成される第1食品塊は、当該第1食品塊の温度が−10℃以上であれば、人間の手で分割することができる。この野菜類には、生の葉物野菜、加熱後の葉物野菜、根菜類および果菜類等、多くの種類のものが含まれる。
カットされた野菜類を小分け可能な状態で冷凍保存する場合には、第2温度θSは、−10℃から0℃の温度帯に含まれる温度に設定されるとよい。第2温度θSが−10℃から0℃の温度帯に含まれる温度に設定されることで、第2工程における庫内温度は、−10℃から0℃の温度帯に含まれる。これにより、切替室200へ収納されたカットされた野菜類の温度は、分割温度維持工程において、−10℃から0℃の温度帯に含まれる。第2温度θSが−10℃から0℃の温度帯に含まれる温度に設定されることで、使用者は、野菜類を凍結された状態のまま容易に手で分割することができる。
このように、本実施の形態であれば、使用者は、食品を凍結させる前に予め小分けする必要がなく、凍結後に任意の大きさの任意の数の第2食品塊に小分けすることができる。使用者は、複数の第2食品塊のうち、使用したい分だけを冷蔵庫1から取り出して使用することができる。
また、本実施の形態であれば、使用者は、包丁などの道具を使うことなく、食品を凍結した状態のまま手で小分けすることができる。このため、食品を小分けするための道具を洗う手間等が省かれる。本実施の形態によれば、小分け可能な状態の食品を冷凍保存可能で利便性が高い冷蔵庫1が得られる。
炊飯された米飯は、非凍結状態ではやわらか過ぎて、図8で示すように手で分割をすることが難しい。また、カットされた野菜類は、非凍結状態では食品塊を形成しない。本実施の形態であれば、使用者は、各種の食品を、容易に複数の食品塊に小分けすることができる。さらに、本実施の形態は、凍結工程で食品が急速に冷却されて速やかに凍結するため、食品が小分け可能になるまでの時間が短い。
食品を長期にわたって冷凍保存する場合には、当該食品の温度はなるべく低いことが好ましい。上記した実施の形態においては、第3温度θFは、第2温度θSよりも低い。第3温度θFがより低い温度となることで、小分けされた第2食品塊をより長期にわたって冷凍保存することが可能になる。また、分割温度維持工程が終了した時点で切替室200の設定温度が第2温度θSから第3温度θFへ切り替えられることで、切替室200へ収納された第2食品塊以外の食品の保存性への影響も抑制される。
なお、例えば、第2温度θSと第3温度θFとは、同じ温度に設定されてもよい。第2温度θSと第3温度θFとが同じ温度に設定される場合には、使用者は、凍結工程終了後のどのタイミングでも食品を凍結した状態のまま小分けすることができる。特に、食品がカットされた野菜類である場合には、当該食品は、冷凍保存に適して且つ手で分割することができる温度、例えば−7℃等の温度で冷凍保存されるとよい。
図5に示す例においては、第1の保存工程における切替室200の設定温度および第2の保存工程における切替室200の設定温度は、共に、第3温度θFに設定されている。第1の保存工程における切替室200の設定温度と第2の保存工程における切替室200の設定温度とは、異なる温度であってもよい。例えば、第1の保存工程における切替室200の設定温度は、第3温度θFとは異なる第4温度として設定されてもよい。
上記したように、本実施の形態の冷蔵庫1は、分割温度維持工程が開始する時点を変更可能に構成されていることを特徴としている。制御装置8は、分割温度維持工程が開始する条件を設定する機能を有している。具体例として、制御装置8は、使用者が操作部6aを操作して入力した情報に基づいて、分割温度維持工程が開始する時刻を設定する機能を有している。また、制御装置8は、冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12を制御する機能を有している。図11は、実施の形態1の制御装置8の機能ブロック図である。制御装置8の各種の機能を実現するための、当該制御装置8の機能的な構成の例について、図11等を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置8は、一例として、制御部8c、記憶部8d、時刻設定部8e、時間計測部8fおよび判定部8gを有する。制御部8cは、圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12を制御する機能を有するものである。制御部8cは、冷却手段を制御する制御手段の一例である。記憶部8dは、冷蔵庫1の動作を制御するための各種の情報を記憶する記憶手段の一例である。例えば、記憶部8dには、切替室200の設定温度の情報等が、予め記憶されている。
時刻設定部8eは、使用者が操作部6aを操作して入力した情報に基づいて、分割温度維持工程が開始する時刻を設定する機能を有するものである。なお、本開示では、時刻設定部8eによって設定された分割温度維持工程が開始する時刻を、「設定時刻」とも称することがある。
本実施の形態における操作部6aおよび時刻設定部8eは、第2冷却工程が開始するための条件を設定する開始条件設定手段の一例である。また、操作部6aは、使用者からの操作に応じて第2冷却工程を開始させる時刻の情報を入力する開始時刻入力部の一例である。そして、時刻設定部は、開始時刻入力部の一例である操作部6aによって入力された情報に応じて、設定時刻を設定するように構成されている。
時間計測部8fは、時間を計測するタイマー機能を有するものである。時間計測部8fは、例えば、設定時刻が設定されてからの経過時間を計測する。また、時間計測部8fは、例えば、凍結工程開始されてからの経過時間および分割温度維持工程が開始されてからの経過時間等を計測する。
また、判定部8gは、制御装置8によって実行される処理のための、各種の判定を行う機能を有するものである。判定部8gは、例えば、現在時刻が時刻設定部8eによって設定された時刻になったか否かの判定を行う。本実施の形態における判定部8gは、開始条件設定手段によって設定された条件が成立したか判定する判定手段の一例である。
冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12は、開始条件設定手段の一例である操作部6aおよび時刻設定部8eによって設定された条件が成立すると、第2冷却工程の一例である分割温度維持工程を実行するように構成されている。冷却手段の一例である圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12の動作は、上記したように、制御手段の一例である制御部8cによって制御される。
制御装置8の制御部8c、記憶部8d、時刻設定部8e、時間計測部8fおよび判定部8gの各機能は、制御装置8に搭載された制御回路によって実現される。制御回路には、図4に示すように、例えば、プロセッサ8aおよびメモリ8bが備えられている。また、制御回路は、上記したように、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御部8c、記憶部8d、時刻設定部8e、時間計測部8fおよび判定部8gの各機能を実現することができる。
次に、以上のように構成された冷蔵庫1の動作の一例を、フロー図を参照して説明する。図12は、実施の形態1の冷蔵庫1の動作の一例を示す制御フロー図である。なお、図12に示す動作例は、図5に示す例のように、第1の保存工程と第2の保存工程とが実行される場合の動作例である。すなわち、図12に示す動作例は、分割温度維持工程が開始する時刻が時刻TLよりも後である場合の動作例である。
凍結工程、分割温度維持工程および保存工程を実行するための一連の制御は、例えば、使用者によって操作部6aが操作されることで開始される。本実施の形態において、使用者は、まず、操作部6aを操作して開始時刻TSの情報を入力する。操作部6aは、使用者からの操作に応じて、開始時刻TSの情報を、制御装置8へ入力する(ステップS101)。ステップS101において表示部6bは、例えば、操作部6aによって入力された開始時刻TSの情報を、「TS時に分割」等の文字等で使用者に対して表示する使用者は、表示部6bを確認しながら操作部6aを操作して、任意の開始時刻TSの情報を入力する。本実施の形態におけるこのステップS101の処理は、本開示に係る開始条件設定工程の一例である。
ステップS101の処理の後、開始時刻TSが時刻TL以降であるか判定される(ステップS102)。ステップS102の処理は、判定部8gによって行われる。表示部6bは、開始時刻TSが時刻TLよりも前であった場合には、開始時刻TSの再設定を使用者へ促すエラーメッセージを表示する。表示部6bは、例えば、開始時刻TSが時刻TL以降になるまでエラーメッセージを表示する。ステップS101の処理は、開始時刻TSが時刻TL以降になるまで繰り返される。開始時刻TSが時刻TL以降になると、開始時刻TSが設定時刻として設定される(ステップS103)。
設定時刻の設定が完了すると、時間計測部8fによる計時が行われる。本実施の形態の時間計測部8fは、並行して2つの経過時間を計測する機能を有している。設定時刻の設定が完了すると、時間計測部8fは、第一のタイマーT=0として第一の経過時間の計測を開始する(ステップS104)。時間計測部8fは、第一の経過時間の計測と並行し、第二のタイマーt=0として第二の経過時間の計測を開始する(ステップS105)。また、ステップS105の処理と共に、凍結工程が開始されるように、制御部8cによって圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12が制御される。
凍結工程において、切替室200の設定温度は、第1温度θLに設定される(ステップS106)。判定部8gは、凍結工程が実行されている間、第二のタイマーtが予め設定された第1時間ΔTLに達したか判定する(ステップS107)。判定部8gは、第二のタイマーtが第1時間ΔTLに達するまでステップS106の判定を継続する。
第二のタイマーtが第1時間ΔTLに達したと判定部8gによって判定されると、すなわち、凍結工程が第1時間ΔTLだけ行われると、制御部8cは、凍結工程が終了して第1の保存工程が開始されるように、圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12を制御する。第1の保存工程において、切替室200の設定温度は,第3温度θFに設定される(ステップS108)。
判定部8gは、第1の保存工程が実行されている間、第一のタイマーTの計測結果に応じて、ステップS103で設定された設定時刻に現在時刻が到達したか判定する(ステップS109)。判定部8gは、第一のタイマーTの計測結果に応じて、設定時刻に現在時刻が到達するまでステップS109の判定を継続する。
現在時刻が設定時刻に到達すると、制御部8cは、第1の保存工程が終了して分割温度維持工程が開始されるように、圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12を制御する。時間計測部8fは、分割温度維持工程の開始時点で、第二のタイマーtをリセットする。時間計測部8fは、分割温度維持工程の開始時点で、第二のタイマーt=0として、計時を行う(ステップS110)。分割温度維持工程において、切替室200の設定温度は、第2温度θSに設定される(ステップS111)。
一例として、本実施の形態の冷蔵庫1は、分割温度維持工程が実行されている間に、食品が分割可能であることを使用者へ報知するように構成されている。ステップS111の処理の後、表示部6bは、食品が分割可能であることを文字等で表示する(ステップS112)。これにより、使用者は、第1食品塊を小分け可能なタイミングを容易かつ即座に認識することができる。本実施の形態の表示部6bは、使用者への各種の報知を行う報知手段の一例である。報知手段の一例である表示部6bの動作は、例えば、制御手段の一例である制御部8cによって制御される。
判定部8gは、凍結工程が実行されている間、第二のタイマーtが予め設定された第2時間ΔTSに達したか判定する(ステップS113)。判定部8gは、第二のタイマーtが第2時間ΔTSに達するまでステップS113の判定を継続する。
第二のタイマーtが第2時間ΔTSに達したと判定部8gによって判定されると、すなわち、分割温度維持工程が第2時間ΔTSだけ行われると、制御部8cは、分割温度維持工程が終了して第2の保存工程が開始されるように、圧縮機2、送風ファン4および切替室ダンパ12を制御する。第2の保存工程において、切替室200の設定温度は,第3温度θFに設定されて維持される(ステップS114)。
なお、本実施の形態の冷蔵庫1の動作は、図12の制御フロー図に示されるものに限られず、主旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。図12に示す例は、上記したように、あくまで第1の保存工程と第2の保存工程とが実行される場合の動作例である。例えば、ステップS102の処理は実行されなくてもよい。ステップS101において使用者が操作部6aによって入力した開始時刻TSが時刻TLよりも前であった場合、分割温度維持工程が開始する設定時刻は、凍結工程の終了する時刻TLとして設定されてもよい。
また、ステップS101において使用者が入力する情報は、必ずしも開始時刻TSの情報でなくてもよい。上記したように、使用者は、操作部6aを操作して、「分割温度維持工程が凍結工程の直後に行われること」を設定してもよい。また、使用者は、ステップS101において、「現在からT4時間後に分割温度維持工程を開始させること」を設定してもよい。表示部6bは、例えば、「T4時間後」等の文字情報を使用者に対して表示する。この場合、設定時刻は、操作部6aによって情報が入力されてからT4時間後の時刻として設定される。
また、使用者は、操作部6aを操作して、分割温度維持工程が実行される時間である第2時間ΔTSを任意に設定してもよい。使用者は、操作部6aを操作して、分割温度維持工程が実行される期間を任意に設定してもよい。例えば、使用者は、操作部6aを操作して、「開始時刻TSから終了時刻TS2まで」というように分割温度維持工程が実行される期間を設定してもよい。換言すると、本実施の形態における操作部6aおよび時刻設定部8eは、分割温度維持工程が実行される期間を設定可能に構成されていてもよい。
図12におけるステップS101からステップS104の処理は、凍結工程の前に実行されなくてもよい。すなわち、分割温度維持工程が開始する時刻を設定するための操作部6aの操作および設定時刻を設定するための制御装置8の処理が実行される時点は、凍結工程の前でなくてもよい。分割維持工程が開始する時刻を設定するための操作部6aの操作および設定時刻を設定するための制御装置8の処理が実行される時点は、例えば、凍結工程の実行中であってもよい。また、凍結工程が終了した時点で設定時刻が設定されていない場合には、自動的に第1の保存工程が開始してもよい。分割維持工程が開始する時刻を設定するための操作部6aの操作および設定時刻を設定するための制御装置8の処理が実行される時点は、第1の保存工程の実行中であってもよい。また、設定時刻が一度設定された場合には、翌日以降、毎日当該設定時刻に分割温度維持工程が実行されてもよい。
図5および図6に示すように、切替室200の設定温度の経時変化と食品温度の経時変化との間には、タイムラグがある。図5および図6に示すように、食品温度は、切替室200の設定温度が第2温度θSになってから一定時間だけ経過すると、第2温度θSになる。設定時刻の設定は、上記のタイムラグを考慮して行われてもよい。例えば、分割温度維持工程が開始する設定時刻は、使用者が入力した開始時刻TSよりも予め設定された一定時間だけ前の時刻として設定されてよい。これにより、開始時刻TSにおける食品温度をより確実に第2温度θSとすることができる。一例として、分割温度維持工程が開始する設定時刻は、使用者が入力した開始時刻TSの30分前として設定される。
上記のタイムラグを考慮して、図12におけるステップS112の処理は、分割温度維持工程が開始してから一定時間後に行われてもよい。一例として、表示部6bは、分割温度維持工程が開始してから30分後に食品が分割可能であることを表示する。これにより、使用者は、第1食品塊をより確実に小分けすることができる。また、温度検知手段の一例である切替室サーミスタ11は、例えば、切替室200内の食品の温度を検知可能に構成されていてもよい。切替室200には、切替室サーミスタ11とは別に、切替室200内の食品の温度を検知する温度検知手段が設けられていてもよい。そして、図12におけるステップS112の処理は、この温度検知手段が検知した食品の温度が第2温度θSになった時点で行われてもよい。
また、冷蔵庫1は、分割温度維持工程が開始する設定時刻を切替室200の使用頻度に応じて自動的に設定する機能を有していてもよい。図13は、実施の形態1の切替室扉9の開閉回数と時刻との関係の一例を示す図である。図13は、所定時間における切替室扉9の開閉回数を積算したものを、1時間のブロック毎に示した例である。
切替室扉9の開閉は、開閉検知手段の一例である扉開閉検知スイッチ10によって検知される。制御装置8は、扉開閉検知スイッチ10の検知結果に基づいて、所定期間、例えば1週間の各日における切替室扉9の開閉回数を記憶する。各日における切替室扉9が開閉された時刻の情報は、例えば、図13に示すような時系列データとして、記憶部8dに記憶される。時刻設定部8eは、記憶部8dに蓄積されたデータに基づいて、設定時刻の設定を行う。具体的には、時刻設定部8eは、図13に示すように、一日の中で切替室扉9の開閉が多い時間帯の開始時刻TSを、設定時刻として設定する。また、時刻設定部8eは、開始時刻TSから切替室扉9の開閉が多い時間帯の終了時刻までの時間を第2時間ΔTSとして設定する。本例であれば、分割温度維持が実行される期間が、使用者の冷蔵庫1の使い方に応じた適切なものとして、自動的に設定される。
以上の実施の形態に示した凍結工程、分割温度維持工程および保存工程を実行する冷蔵庫1であれば、複雑な構造を必要とせずに小分け可能な状態の食品を冷凍保存することができる。また、凍結工程、保存工程および分割温度維持工程によって構成される冷凍保存方法によれば、より簡易な構造の機器によって、小分け可能な状態の食品を冷凍保存することができる。
冷蔵庫1および上記の冷凍保存方法は、食品の温度を変化させることにより、小分け可能な状態で当該食品を冷凍保存するものである。冷蔵庫1および上記の冷凍保存方法は、食品の表層部を凍結または融解させることによって、小分け可能な状態で当該食品を冷凍保存するものである。本実施の形態によれば、食品を凍結状態のまま手で簡単に小分けすることができ、且つ、小分けされた食品の品質を劣化させることなく長期保存することができる冷蔵庫1および冷凍保存方法が得られる。本実施の形態に係る冷蔵庫1および冷凍保存方法によれば、使用者は、食品を使い勝手のよい状態で冷凍保存することができる。
また、本実施の形態においては、分割温度維持工程が開始される時点は、使用者によって設定される。これにより、使用者が食品を小分けすることを忘れてしまう可能性が低減される。また、分割温度維持工程が実行されていることに気づかずに、使用者が食品を小分けすることができない可能性が低減される。本実施の形態であれば、使用者にとって利便性が高い冷蔵庫1が得られる。
また、分割温度維持が開始される時点が使用者に設定されるため、分割温度維持工程が行われる第2時間ΔTSを、必要最小限の時間として設定することができる。すなわち、本実施の形態であれば、庫内温度を第2温度θSとする期間を必要最小限とすることができ、庫内温度を第2温度θS以下の温度である第3温度θFとする期間を長くすることができる。本実施の形態であれば、切替室200へ収納された食品をより、より長期間に渡って第3温度θFで保存することができる。これにより、食品の品質をより長期間維持することができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。本実施の形態に係る冷蔵庫1は、基本的には、実施の形態1と同様に構成されている。
本実施の形態において、操作部6aは、分割温度維持工程を開始させるための開始指示を使用者からの操作に応じて入力することが可能に構成されている。本実施の形態における操作部6aは、開始指示入力部の一例である。そして、本実施の形態において、時刻設定部8eは、操作部6aによって開始指示が入力されると設定時刻の設定を行うように、構成されている。
図14は、実施の形態2の冷蔵庫1の動作の一例を示す制御フロー図である。以下、図14等を参照し、実施の形態2の冷蔵庫1の動作の特徴について説明する。
本実施の形態において、凍結工程は、例えば、使用者によって操作部6aが操作されることで開始される。時間計測部8fは、凍結工程の開始時点で、タイマーt=0として、計時を行う(ステップS201)。凍結工程において、切替室200の設定温度は、第1温度θLに設定される(ステップS202)。判定部8gは、凍結工程が実行されている間、タイマーtが第1時間ΔTLに達したか判定する(ステップS203)。判定部8gは、タイマーtが第1時間ΔTLに達するまでステップS203の判定を継続する。
タイマーtが第1時間ΔTLに達したと判定部8gによって判定されると、凍結工程が終了する。凍結工程が終了すると、操作部6aによって開始指示が入力されたか否か判定される(ステップS204)。時刻設定部8eは、開始指示が入力されると、設定時刻の設定を行う(ステップS205)。時刻設定部8eは、開始指示が入力された時点または開始指示が入力された直後の時点を、設定時刻として設定する。すなわち、分割温度維持工程は、開始指示が入力されると開始される。
時間計測部8fは、分割温度維持工程の開始時点で、タイマーt=0として、計時を行う(ステップS206)。図14におけるステップS206からステップS208は、図12におけるステップS110からステップS112に対応する。ステップS206からステップS208の詳細な説明を省略する。
本実施の形態の冷蔵庫1は、使用者が第1食品塊を複数の第2食品塊に小分けした後に操作部6aが操作すると、分割温度維持工程が終了して保存工程が開始するように構成されている。一例として、操作部6aは、分割完了ボタンを有する。分割完了ボタンは、使用者が第1食品塊を複数の第2食品塊に小分けした後に押すボタンである。図14に示すように、判定部8gは、ステップS208の後、分割完了ボタンが使用者によって押されたか否かの判定を行う(ステップS209)。ステップS209において分割完了ボタンが押されていない場合には、図12におけるステップS113と同様の処理が行われる(ステップS210)。
ステップS210において、タイマーtが第2時間ΔTSに達すると、分割温度維持工程が終了して保存工程が開始する。また、ステップS204において開始指示が入力されていない場合にも、保存工程が開始する。保存工程が開始すると、切替室200の設定温度は、第3温度θFに設定されて維持される(ステップS211)。
本実施の形態において、保存工程の実行中には、ステップS204と同様、操作部6aによって開始指示が入力されたか否かの判定が行われる(ステップS212)。ステップS212の判定は、判定部8gによって行われる。ステップS212において開始指示が入力されていない場合には、ステップS211の処理が継続、すなわち保存工程が継続される。また、ステップS212において開始指示が入力された場合には、ステップS205の処理が実行され、分割温度維持工程が開始される。
本実施の形態によれば、使用者は、操作部6aを操作して開始指示を入力することで、凍結工程の後の任意の時点で分割温度維持工程を開始させることができる。本実施の形態においても、実施の形態1と同様、分割温度維持工程の開始時点は、使用者によって設定可能である。
本実施の形態における分割完了ボタンは、第1食品塊が複数の第2食品塊に小分けされたことを検知する分割検知手段の一例である。第1食品塊が複数の第2食品塊に小分けされたことを検知する分割検知手段は、例えば、扉開閉検知スイッチ10であってもよい。制御装置8は、切替室扉9が開閉された時点を第1食品塊が複数の第2食品塊に小分けされた時点として処理を実行してもよい。また、分割検知手段は、赤外線センサおよびカメラなどの、食品の形状の変化を検知する機器によって構成されていてもよい。
また、ステップS208の処理は、実施の形態1と同様、分割温度維持工程が開始してから一定時間後に行われてもよい。ステップS208の処理は、例えば、開始指示が入力されてから予め設定された一定時間後に行われてもよい。
なお、本実施の形態と実施の形態1とは、適宜組み合わせることができる。例えば、時刻設定部8eは、使用者が操作部6aを操作して入力した開始時刻TSに基づいて設定時刻を設定する機能と、操作部6aによって開始指示が入力されると設定時刻を設定する機能と、扉開閉検知スイッチ10の検知結果に基づいて設定時刻を設定する機能と、のうちの任意の2つ以上の機能を有していてもよい。