以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1乃至図13は、本発明の実施の形態1を示す。
まず、構成を簡単に説明すると、図1に示す、本実施の形態の折畳み式帽子10は、例えば緊急災害時に折畳み式ヘルメットとして用いられ、内装材が設けられている構造のものである。この折畳み式帽子10は、折畳み式帽子用帽体10Aと、この折畳み式帽子用帽体10A内に設けられた内装材10Bと、この内装材10Bが設けられた折畳み式帽子用帽体10Aに被着される被覆部材10Cとを備える。
なお、以下の各実施の形態では、折畳み式帽子10を使用者が頭部に被った状態で、前頭部側を前側、後頭部側を後側とし、側頭部の左側、右側をそれぞれ左側、右側として説明する。
図1乃至図12に示す通り、折畳み式帽子用帽体10Aは、左右両側に分離して構成された帽体本体11,11(図11に示す)と、これらの帽体本体11,11上に設けられた強度部材20と、この強度部材20の上部に重ね合わされた補強部材30とを有する。折畳み式帽子用帽体10Aは、折り畳んだ状態と、頭部に被ることが可能な展開した状態との形態に変化させることができる。
図10乃至図12に示す帽体本体11,11は、有色不透明の発泡ポリエチレン等の板状の柔軟性を有する弾性材から打抜き加工により形成されている。帽体本体11,11は、発泡ポリエチレン等のように柔軟性を有する弾性材から形成されているため、一般の帽体本体のようにポリプロピレン等のように剛性が高く、かつ折り曲げ強度に対する強度が高い樹脂と比較して比重が軽くなっている。これにより、本実施の形態では、帽体本体11,11の軽量化を図っている。帽体本体11,11は、厚さが例えば5.0mm程度である。このように帽体本体11,11は、図12に示す折り畳んだ状態と、図10に示す展開した状態との双方の形態に変化させることができる。
帽体本体11,11は、頭部の両側頭部を覆うようにしたものである。これらの帽体本体11,11は、図11に示す通り、互いに同一形状であって長尺の略台形に形成されている。また、各帽体本体11,11は、前後方向に略面対称の形状に形成されている。
各帽体本体11,11には、図11に示す通り、内装材10B及び強度部材20を係止具21で係止するため、それぞれ前後両端に円形の係止孔11aが設けられている。また、各帽体本体11,11には、強度部材20、補強部材30、及び補強板37を係止具21で重ねて係止するため、それぞれ中間位置の前後にも図示しない円形の係止孔が形成されている。
なお、本実施の形態の各帽体本体11,11は、左右に分離して構成したが、これに限らず左右一体に構成したものであってもよい。この場合でも打抜き加工によって容易に製造することが可能となる。
強度部材20は、図1乃至図6、及び図8乃至図12に示す通り、帽体本体11上で、頭頂部の前後に延長して設けられ、帽体本体11よりも高強度であって、頭頂部に対面する部分を介して折り畳み可能に設けられている。強度部材20は、厚さが例えば3.0mm程度である。
強度部材20は、帽体本体11に対して着脱可能に取り付けられている。すなわち、強度部材20の下部は、帽体本体11,11上に前側及び後側に上述したそれぞれ2つの係止具21により内装材10B等とともに、着脱可能に取り付けられている。これらの係止具21は、ポリカーボネート等の合成樹脂により一体に成形されている。係止具21は、棒状の軸の一端に円板部が形成され、その軸の他端に直交する係止部が形成されている。上記円板部には、硬貨が係合可能な溝が直径方向に沿って形成されている。上記係止部は、強度部材20の後述する係止具挿通孔22aの開口長さより短く形成されて係止具挿通孔22aに挿通可能に形成されている。上記係止部は、使用者が指で摘んで回転させ易くするため、角部が面取りして形成されている。
強度部材20は、帽体本体11が取り付けられた状態において、帽体本体11の側頭部側が強度部材20よりも左右両方向に延びている。強度部材20は、発泡ポリプロピレン等、剛性が高く、折り曲げに対する強度が高く、かつ軽量化が図れる合成樹脂により板状に一体に形成されている。
強度部材20は、前頭部被覆用の前側平板22、頭頂部被覆用の連結板23、及び後頭部被覆用の後側平板24が一体に形成されている。すなわち、前側平板22と後側平板24は、連結板23を介して連設されている。
前側平板22と連結板23との間は、左右方向に沿って第一ヒンジ部25が形成され、後側平板24と連結板23との間は、左右方向に沿って第二ヒンジ部26が形成されている。連結板23は、平面視長方形に形成されている。第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26は、頭頂部に対面する部分の左右方向に沿って形成され、強度部材20は、これら第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26を介して前後方向に折畳み可能に構成されている。
前側平板22は、正面視略台形に形成され、その下部の左右にそれぞれ各帽体本体11,11の係止孔11a,11aに対応する位置に係止具挿通孔22a,22aが設けられている。これらの係止具挿通孔22a,22aは、上下方向に長くなるように形成されている。これらの係止具挿通孔22a,22a間には、強度部材20に被覆部材10Cが被着されたとき、被覆部材10Cを係止するための一方の面ファスナ27が接着により固定されている。
同様に、後側平板24は、正面視略台形に形成され、その下部の左右にそれぞれ各帽体本体11,11の係止孔11a,11aに対応する位置に係止具挿通孔24a,24aが設けられている。これらの係止具挿通孔24a,24aも、係止具挿通孔22a,22aと同様に上下方向に長くなるように形成されている。係止具挿通孔24a,24a間には、強度部材20に被覆部材10Cが被着されたとき、被覆部材10Cを係止する面ファスナ27の一方が接着により固定されている。
前側平板22の係止具挿通孔22a,22aと、後側平板24の係止具挿通孔24a,24aは、板材が打抜き加工によって形成される。これらの係止具挿通孔22a,22a,24a,24aを打ち抜くと同時に、第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26も形成される。
被覆部材10Cは、例えば布地の表面にアルミニウムが蒸着された部材等、折畳み自在であって、難燃性の材料によって形成されている。本実施の形態の被覆部材10Cは、頭巾部12とシコロ部13とが一体に形成されている。頭巾部12は、縦断面逆V字状に形成されている。頭巾部12は、折畳み式帽子10を頭部に被った展開状態で形成される強度部材20及び補強部材30の形状に適合するような立体形状に形成されている。シコロ部13は、略扇状に形成されている。
被覆部材10Cは、強度部材20の前側平板22及び後側平板24に接着された一方の面ファスナ27とそれぞれ接合可能な他方の面ファスナ27が頭巾部12の前後双方に接着されている。これにより、被覆部材10Cは、面ファスナ27を介して強度部材20に着脱可能に取り付けられる。被覆部材10Cは、頭巾部12を強度部材20に係止したとき、そのシコロ部13が使用者の後頭部から首周りにかけて覆うように拡がっている。
前側平板22の上部左右には、それぞれ係止具21が挿通する図示しない縦長の係止具挿通孔が設けられている。同様に、後側平板24の上部左右にも、それぞれ係止具21が挿通する図示しない縦長の係止具挿通孔が設けられている。
強度部材20の頭頂部に対面する部分、すなわち連結板23の内面には、図5及び図11に示すように緩衝部材28が接着により固定されている。この緩衝部材28は、発泡スチロールで側面視凸形状に一体に形成されている。緩衝部材28は、幅が連結板23の内面の幅と略同一であって、長さが連結板23の内面の長さよりやや短く、高さが折畳み式帽子10を使用者が頭部に被った状態で頭頂部近傍まで達するように形成されている。
したがって、緩衝部材28は、側面視凸形状に一体に形成されていることから、上下方向に対する強度が大幅に高くなる。そのため、緩衝部材28は、緊急災害時に落下物等の衝撃で頭頂部に接したとしても、頭頂部に対して緩衝して頭部を確実に保護することができる。
強度部材20は、前側平板22及び後側平板24の下端近傍の内面であって、帽体本体11,11間に、隙間閉塞用と緩衝用の双方の機能を有する板材29,29が接着剤によって固定されている。これらの板材29,29は、強度部材20に内装材10Bが装着されたとき、強度部材20と内装材10Bとの間であって帽体本体11,11間に狭小な隙間が形成される。そのため、その隙間を板材29,29によって閉塞し、使用者の指が入らないようにしている。この場合、前側平板22及び後側平板24の下端内側のエッジ部は、成形によって鋭利に形成されることがある。よって、使用者の指が入らないようにすることで、安全性を高めることができる。
板材29,29は、矩形状に形成され、帽体本体11,11と同様の材質で、厚さが例えば5.0mm程度である。そのため、板材29,29は、前側平板22及び後側平板24の下端近傍の緩衝部材となる。
強度部材20の上面には、補強部材30が重ね合わせて設けられている。具体的には、前側平板22の上側、連結板23、及び後側平板24の上側には、それぞれ補強前側平板32、補強連結板33、及び補強後側平板34が重ね合わせて設けられている。補強部材30は、前頭部被覆用の補強前側平板32、頭頂部被覆用の補強連結板33、及び後頭部被覆用の補強後側平板34が一体に形成されている。
すなわち、補強前側平板32と補強後側平板34は、補強連結板33を介して連設されている。補強部材30は、強度部材20と同様に、発泡ポリプロピレン等、剛性が高く、かつ折り曲げに対する強度が高い合成樹脂により板状に一体に形成され、その厚さが例えば3.0mm程度である。
補強前側平板32及び補強後側平板34が前側平板22の上側、及び後側平板24の上側にそれぞれ重ね合わされることから、補強連結板33は、前側平板22と後側平板24の板厚分だけ幅広に形成されている。補強前側平板32は、正面視略台形に形成され、上下方向の長さが前側平板22の長さの半分以下である。同様に、補強後側平板34も正面視略台形に形成され、上下方向の長さが後側平板24の長さの半分以下である。
補強前側平板32と補強連結板33との間は、左右方向に沿って第三ヒンジ部35が形成され、補強後側平板34と補強連結板33との間は、左右方向に沿って第四ヒンジ部36が形成されている。補強連結板33は、連結板23と同様に平面視長方形に形成されている。
補強前側平板32の左右には、それぞれ係止具21が挿通する図示しない係止具挿通孔が設けられている。同様に、補強後側平板34の左右には、それぞれ係止具21が挿通する図示しない係止具挿通孔が設けられている。これらの係止具挿通孔は、強度部材20の係止具挿通孔と同一位置に形成されて連通状態となり、それぞれ同一の係止具21が挿通する。
補強前側平板32及び補強後側平板34の係止具挿通孔は、強度部材20と同様に板材が打抜き加工によって形成される。強度部材20と同様に、これらの係止具挿通孔を打ち抜くと同時に、第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36も形成される。
補強前側平板32上には、例えばポリカーボネート等の白色不透明な合成樹脂から成形された補強板37が重ねて設けられている。この補強板37は、厚さが例えば3.0mm程度である。補強板37は、上部の角部に下部よりも大きなアール部が形成され、それ以外は補強前側平板32と略同様の形状に形成されている。
同様に、補強後側平板34上には、例えばポリカーボネート等の白色不透明な合成樹脂から成形された補強板37が重ねて設けられている。この補強板37は、補強前側平板32に重ねて設けたものと同一構造であって、補強前側平板32の補強板37と対称の位置に取り付けられる。
補強前側平板32及び補強後側平板34上に設けられた補強板37,37は、それぞれ長さ方向に対して中央部分が若干突出するように湾曲形成されている。そのため、補強板37,37の裏面側には、それぞれ補強前側平板32及び補強後側平板34に当接する複数の補強リブ37aが突出形成されている。
補強板37の左右には、帽体本体11,11の係止具挿通孔、前側平板22及び補強前側平板32の左右に設けられた係止具挿通孔と左右同一位置にそれぞれ係止具21が挿通する係止具挿通孔が設けられている。これらの係止具挿通孔の周囲は、係止具21が取り付けられたとき、係止具21が補強板37の上面から突出しないように凹部37bが形成されている。
このように本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、帽体本体11,11が板状の柔軟性を有する弾性材で形成され、これらの帽体本体11,11上で、板状の強度部材20が頭頂部の前後方向に延長して設けられ、帽体本体11,11よりも高強度であることから、高強度を維持することができる。
また、帽体本体11,11が柔軟性を有する弾性材によって形成されているので、剛性が高く、強度が高い樹脂と比較し、より軽量化を図ることが可能になる。そして、強度部材20が頭頂部の前後方向に延長して設けられているので、落下物等による衝撃を未然に防止することができる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、帽体本体11及び強度部材20を板状に成形することにより、金型による成形装置を用いることなく、打抜き成形によって容易に成形することができる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、強度部材20は、少なくとも頭頂部に対面する部分が複数の板材を重ね合わせて構成されていることから、落下物等による衝撃を未然に防止することができる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、強度部材20が帽体本体11に設けられた状態で、帽体本体11の側頭部側が強度部材20よりも側方に延長されていることにより、側方に延長された帽体本体11によって、側頭部も落下物等から保護することができる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、強度部材20は、頭頂部に対面する部分の左右方向に沿って第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26が形成され、これらの第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26を介して前後方向に折畳み可能に構成されているので、折畳み式帽子10を使用者が被ることで、折畳み式帽子用帽体10Aの展開状態が保持される。これにより、容易に扁平状態から展開状態にすることができて、災害時に利便性の高い折畳み式帽子用帽体10Aを提供することができる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、強度部材20の頭頂部に対面する部分に緩衝部材28が固定されていることにより、落下物等による衝撃を一段と未然に防止することができる。
本実施の形態においては、強度部材20は、帽体本体11に対して着脱可能に取り付けられているので、強度部材20と帽体本体11をそれぞれ別々に成形することができる。そのため、製造が容易になる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、強度部材20に着脱可能に係止され、帽体本体11及び強度部材20の全体を被覆する難燃性の被覆部材10Cをさらに備えることで、火災等の高温の環境下でも、熱や炎から使用者の頭部及び首部を確実に保護することができる。
具体的には、被覆部材10Cは、頭巾部12を強度部材20に係止したとき、そのシコロ部13が使用者の後頭部から首周りにかけて覆うことになるため、熱や炎から使用者の頭部から首周りにかけて保護することができる。
本実施の形態の折畳み式帽子用帽体10Aにおいては、左右両側に分離構成された帽体本体11,11は、互いに同一形状に形成されているので、部材の種類が少なくなり、製造コストを削減することができる。
次に、本実施の形態の帽子用内装材としての内装材10Bについて説明する。
図2乃至図5に示す通り、内装材10Bは、折畳み式帽子用帽体10Aの内側に装着され、使用者が折畳み式帽子10を被ったときに頭部を保持するものである。内装材10Bは、内装材本体40と、この内装材本体40に連結された顎紐部材50と、この顎紐部材50が挿通する後頭部保持部材54と、交差紐56(図7及び図8に示す)とを備える。
内装材本体40は、有色不透明の発泡ポリエチレン等の板状の柔軟性を有する弾性材から打抜き加工により一体に形成されている。そのため、内装材本体40は、折り畳んだ状態と展開した状態とに変化させることができる。内装材本体40は、帽体本体11,11と同様に厚さが例えば5.0mm程度である。内装材本体40は、帽体本体11,11と同じ材質の板材を用いている。
内装材本体40は、発泡ポリエチレン等のように柔軟性を有する弾性材から形成されているため、一般の内装材の一部に設けられたヘッドバンドのように所定の剛性を有する合成樹脂と比較して比重が軽くなっている。これにより、本実施の形態では、内装材本体40の軽量化を図っている。
内装材本体40は、図7に示す通り、前頭部側及び後頭部側を覆うように一体に形成されており、また左右面対称の形状に形成されている。内装材本体40は、図8に示す通り、後述する庇部を除いた前後方向長さの略中間から折り曲げられ、その折り曲げた左右両端部がそれぞれ留め具42によって固定されている。そのため、内装材本体40は、図13に示す通り、前頭部被覆用の前側内装材43と、後頭部被覆用の後側内装材44とが形成される。これにより、内装材本体40は、前後方向に折畳み可能に構成される。
前側内装材43の前方には、図1乃至図7に示す通り庇部45が張り出して一体に形成されている。この庇部45は、内装材10Bを折畳み式帽子用帽体10Aに装着したとき、強度部材20より前方に突出するように取り付けられる。前側内装材43の頭頂部側には、図7に示す通り左右方向に長い開口部43aが形成されている。後側内装材44の略中央部には、図7に示す通り略台形状の開口部43cが形成されている。前側内装材43と後側内装材44との間の頭頂部に対面する位置には、開口部43a,43bよりも大きな楕円形の開口部43bが形成されている。これらの開口部43a,43b,43cは、いずれも空気流通孔としての機能を有する。
前側内装材43における庇部45よりも頭頂部側であって、その内側中央部には、略長方形に形成され、かつ前頭部に当接する緩衝板46が設けられている。具体的には、前側内装材43の内側中央部には、図示しない面ファスナの一方が接着され、緩衝板46の長さ方向中間には図示しない面ファスナの他方が接着され、これらの面ファスナが接合することで、前側内装材43に緩衝板46が着脱可能に取り付けられる。内装材10Bを折畳み式帽子用帽体10Aに装着し、使用者が折畳み式帽子10を被ったとき、緩衝板46は、使用者の前頭部に対面する位置の前側内装材43の内面に取り付けられる。
前側内装材43には、図4及び図5に示す通り、緩衝板46の左右近傍にそれぞれ連結紐51を挿通して係止させる紐係止部材47が設けられている。同様に、後側内装材44にも、後端部近傍の左右にそれぞれ連結紐51を挿通して係止させる紐係止部材47が設けられている。
これら4つの紐係止部材47は、それぞれポリプロピレン等の合成樹脂により一体成形されている。4つの紐係止部材47は、図5に示す通り、それぞれ内側に連結紐を係止するための係止歯47aが形成されている。4つの紐係止部材47は、連結紐を横方向から引っ張った場合、その係止歯47aが連結紐に食い込んで抜けないようにしている。そのため、連結紐の長さを調整する場合には、紐係止部材47の係止歯47aに対して連結紐が係止されない方向に繰り出して行う。
前側内装材43及び後側内装材44は、図8に示す通り4つの紐係止部材47の左右方向内側にそれぞれ係止具21が固定されている。これら4つの係止具21は、内装材本体40と、帽体本体11,11と、強度部材20の各部材を順次重ねて固定する。
前側内装材43及び後側内装材44における4つの係止具21の取付位置の周囲には、図1乃至図5に示す通り、それぞれ半円状の切込み部49が形成されている。これらの切込み部49は、前側内装材43及び後側内装材44における4つの係止具21の外側に形成されている。これにより、4つの切込み部49は、それぞれの係止具21の外側の前側内装材43及び後側内装材44を内側に容易に湾曲して変形させることができるようにしている。
顎紐部材50は、図1乃至図5に示す通り使用者の顎部に掛止して内装材本体40内に頭部を保持するものである。顎紐部材50は、内装材本体40内において交差して連結された一対の連結紐51,51と、顎部係止紐52と、紐ストッパ53と、を備える。一対の連結紐51,51、顎部係止紐52、及び交差紐56は、剛性が高く柔軟な合成樹脂繊維によって帯状に形成されている。
後頭部保持部材54は、図3及び図4に示す通り緩衝板46と同様の材質から略V字状に形成されている。後頭部保持部材54は、両端部近傍にそれぞれ端部挿通孔54a,54aが幅方向に形成されるとともに、その中間部に中央挿通孔54bが長さ方向に形成されている。それぞれの端部挿通孔54a,54aには、一対の連結紐51,51のいずれか一方が挿通する。
中央挿通孔54bには、図4に示す通り一対の連結紐51,51の双方が交差するように挿通する。中央挿通孔54bには、その前側の開口端に角カン部55が固定されている。ここで、中央挿通孔54bは、折畳み式帽子10を被ったときに一対の連結紐51,51が摺動することで、その開口端に摩擦負荷がかかる。そのため、中央挿通孔54bの開口端に角カン部55を固定したことで、その開口端が補強されるため、一対の連結紐51,51の摺動による摩擦に対して保護することができる。その結果、後頭部保持部材54の耐久性を高めることができる。
また、角カン部55は、後頭部保持部材54と異なる色で着色され、中央挿通孔54bの前側の開口端に設けられていることで、折畳み式帽子10を被るときにその前後方向を容易に視認することができるようにしている。
一対の連結紐51,51のうち、その一方の連結紐51は、一端が前側内装材43の左の紐係止部材47に挿通されて折り返した後、その折返し部分が係止歯47aによって係止される。一方の連結紐51は、他端が後頭部保持部材54の中央挿通孔54bから右側の端部挿通孔54aを挿通した後、後側内装材44の右の紐係止部材47に挿通されて折り返した後、その折返し部分が係止歯47aによって係止される。
他方の連結紐51は、一端が前側内装材43の左の紐係止部材47に挿通されて折り返した後、その折返し部分が係止歯47aによって係止される。他方の連結紐51は、他端が後頭部保持部材54の中央挿通孔54bから左側の端部挿通孔54aを挿通した後、後側内装材44の左の紐係止部材47に挿通されて折り返した後、その折返し部分が係止歯47aによって固定される。
したがって、一対の連結紐51,51は、後頭部保持部材54の中央挿通孔54bからそれぞれ左右の端部挿通孔54aを挿通する間で交差される。
顎部係止紐52は、一対の連結紐51,51にそれぞれ連結されている。顎部係止紐52は、1本の帯状の紐を中央から折り返して形成されている。これにより、顎部係止紐52は、2つの一端部と、1つの他端部を有する。顎部係止紐52の各一端は、一対の連結紐51,51における前側内装材43の左右の紐係止部材47と後頭部保持部材54との間にそれぞれ巻き掛けられて留め具57によって固定されている。また、顎部係止紐52の各他端は、紐ストッパ53に挿通された後、重ね合わされて留め具57によって固定されている。紐ストッパ53は、合成樹脂から一体成形され、顎部係止紐52の上下方向に移動して締結部分の長さを調節する。
したがって、使用者が折畳み式帽子10を頭部に被った状態で、顎紐部材50の紐ストッパ53を引き上げることにより、顎部係止紐52で顎部を保持するとともに、後頭部保持部材54に後頭部が接するようにしている。
前側内装材43及び後側内装材44の上面には、図8に示す通り、それぞれ2本の交差紐56の前端と後端が取り付けられる。2本の交差紐56の前端と後端には、それぞれ係止用の取付長孔56aが設けられている。これらの取付長孔56aは、交差紐56の長さ方向に沿って長く形成されている。また、上述したように前側内装材43及び後側内装材44には、それぞれ係止具21が2つ取り付けられている。
したがって、図8に示す通り、2本の交差紐56の前端と後端は、それぞれ係止用の取付長孔56aを通して前側内装材43と後側内装材44に取り付けられた係止具21に係止される。係止用の取付長孔56aは、折畳み式帽子10を折り畳んだ場合と、展開した場合とで、係止具21に対する相対位置が異なるため、係止具21が移動可能な長さに形成されている。2本の交差紐56は、前側内装材43と後側内装材44との間で、頭頂部に対面する位置で交差するように設けられている。
前側内装材43と後側内装材44にそれぞれ2つ取り付けた係止具21は、2本の交差紐56の前端と後端、帽体本体11の4つの係止具挿通孔を経て、さらに強度部材20の前側平板22の係止具挿通孔、及び後側平板24の係止具挿通孔を挿通する。これにより、内装材本体40に帽体本体11及び強度部材20が装着される。すなわち、折畳み式帽子用帽体10Aに内装材10Bが装着されることとなる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、内装材本体40が板状の柔軟性を有する弾性材で形成されているので、軽量化を維持するとともに、容易に成形することができて製造が容易になる。また、内装材本体40が頭部の前側及び後側を覆うように形成されていることから、頭部全体に接する部分が柔軟性を有する弾性材となるため、折畳み式帽子10を被ったときのフィット感を良好にすることができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、内装材本体40は、折畳み可能に構成されていることにより、容易に扁平状態から展開状態にすることができて、災害時に利便性の高い折畳み式帽子10を提供することができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、内装材本体40には、帽体本体11の前方に突出した庇部45が形成されていることにより、屋外では日除けになり、屋外及び屋内では粉塵や落下物等から顔面を保護することができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、一対の連結紐51,51に跨って後頭部を保持する後頭部保持部材54が取り付けられ、紐ストッパ53を引き上げて顎部係止紐52で顎部を保持するとともに、後頭部保持部材54に後頭部が接することにより、折畳み式帽子10を被るとき、後頭部保持部材54が使用者にとって前後方向の目印となり、前後逆に被るのを未然に防止することができるとともに、被ったときのフィット感を良好にすることができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、帽体本体11の前方の位置に対応する内装材本体40の内側に、前頭部に当接する緩衝板46をさらに設けたことにより、前頭部を保護することができ、前頭部のフィット感を一段と良好にすることができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、緩衝板46は、長さ方向中央において内装材本体40の内側の左右方向中間に取り付けられていることにより、内装材本体40を折り畳んだ状態から展開状態としたとき、内装材本体40の形状に追従することができる。そのため、展開状態での前頭部のフィット感を一段と良好にすることができる。また、緩衝板46は、内装材本体40の内側に図示しない面ファスナを介して着脱可能に取り付けられているため、他のものと容易に交換することができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、内装材本体40の前部及び後部にそれぞれ前端と後端が取り付けられ、内装材本体40の前部と後部との間の上側に交差して設けられた交差紐56をさらに備えたことにより、内装材本体40が必要以上に展開するのを防止するとともに、その交差部分において落下物による衝撃を吸収することができる。
この場合、交差紐56の交差部分には、強度部材20に設けられた緩衝部材28が重ね合わされるので、強度部材20の頭頂部に対面する部分への落下物等による衝撃を一段と未然に防止することができる。
本実施の形態の内装材10Bにおいては、それぞれの係止具21の周囲の前側内装材43及び後側内装材44に切込み部49を設けることで、係止具21の外側の前側内装材43及び後側内装材44を内側に容易に湾曲させることができるようにしている。
これにより、使用者が折畳み式帽子10を展開して被り、紐ストッパ53を引き上げて顎部係止紐52で顎部を保持し、左右一対の連結紐51,51を引っ張ったとき、前側内装材43及び後側内装材44が容易に湾曲し、この湾曲部分が両側頭部を覆うことになる。その結果、使用者の両側頭部を落下物等から保護することができる。
次に、本実施の形態の折畳み式帽子10の作用について説明する。
各帽体本体11,11に強度部材20、補強部材30、及び補強板37の各部材を組付けるには、各帽体本体11,11の図示しない係止孔に係止具21の係止部を嵌め込む。この場合、帽体本体11,11は、柔軟性を有する弾性材から形成されているため、係止孔を径方向に伸ばして嵌め込むことができる。
そして、係止具21の係止部を係止具挿通孔22aに挿通した後、さらに強度部材20、補強部材30、及び補強板37の図示しないそれぞれの縦長の係止具挿通孔を挿通し、補強板37の凹部37bの底面から突出するまで押圧し、係止部が突出した状態でその係止部を係止具挿通孔の縦長の方向に対して略直交する方向まで指で回動させる。これにより、各帽体本体11,11に強度部材20、補強部材30、及び補強板37の各部材が固定される。なお、各部材に分解するには、上記組付け順序と逆の順序で行う。
また、内装材本体40に、2本の交差紐56,56、帽体本体11,11、強度部材20の各部材を順次重ねて組付けるには、内装材本体40の図示しない係止孔に係止具21の係止部を嵌め込む。この場合、内装材本体40は、帽体本体11,11と同様に柔軟性を有する弾性材から形成されているため、その係止孔を径方向に伸ばして嵌め込むことができる。
そして、係止具21の係止部を交差紐56,56の一端の取付長孔56aに挿入した後、各帽体本体11,11の係止孔11a,11aに係止具21の係止部を嵌め込む。そして、係止具21の係止部を強度部材20の縦長の係止具挿通孔22aに挿通した後、係止具挿通孔22aの開口面から突出するまで押圧し、係止部が突出した状態で、その係止部を係止具挿通孔22aの縦長方向に対して略直交する方向まで指で回動させる。これにより、内装材本体40に、2本の交差紐56,56、帽体本体11,11と、強度部材20の各部材が固定される。なお、各部材に分解するには、上記組付け順序と逆の順序で行う。
次に、本実施の形態の使用方法について説明する。
本実施の形態の折畳み式帽子10の折畳み状態では、折畳み式帽子用帽体10Aと被覆部材10Cは、互いの面ファスナ27を接合することで、図9に示す通り折畳み式帽子用帽体10Aの全体及び内装材10Bの両側面に被覆部材10Cが装着される。
図12に示すように強度部材20の前側平板22と後側平板24とがそれぞれ平板状態となった折畳み状態において、使用者は、内装材本体40、帽体本体11,11、強度部材20、及び補強部材30が開くように広げる。この場合、内装材本体40及び帽体本体11,11は、それぞれ発泡ポリエチレン等の板状の柔軟性を有する弾性材から形成されているので、極めて容易に広げることができる。
また、強度部材20は、第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26を中心として拡開するとともに、補強部材30は、第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36を中心として拡開する。これにより折畳み式帽子10は、展開状態となり、帽子状態となる。
この状態で使用者は、折畳み式帽子10を頭部に被り、自ら顎紐部材50の顎部係止紐52を把持して、この顎部係止紐52を下方に引き下ろす。次いで、紐ストッパ53を引き上げて顎部係止紐52で顎部を保持し、一対の連結紐51,51を引っ張ったとき、紐係止部材47の近傍の前側内装材43及び後側内装材44が湾曲するように弾性変形し、この湾曲部分が両側頭部を覆うことになる。
同時に、強度部材20の前側平板22及び後側平板24は、弾性力に抗して第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26を介して閉じる方向に回動する。同様に、補強部材30の補強前側平板32及び補強後側平板34も、弾性力に抗して第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36を介して閉じる方向に回動する。
この状態で、折畳み式帽子10の使用者が顎部係止紐52を離すと、第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36の弾性力によって前側内装材43及び後側内装材44を介して連結紐51,51が紐係止部材47側に引っ張られ、連結紐51,51の緊張により顎部係止紐52も引っ張られ、顎部係止紐52が使用者の顎部に係止された状態となり、折畳み式帽子10の展開状態が保持される。
ここで、顎部係止紐52を下方に引っ張るときには、折畳み式帽子10の使用者がさほど大きな力を加えていなくても、強度部材20及び補強部材30を第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36を介して容易に弾性変形させることができる。すなわち、折畳み式帽子10の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で顎部係止紐52を顎部に係止させて展開状態を保持させることができる。
折畳み式帽子10の展開状態が保持された状態になったとき、強度部材20の前側平板22及び後側平板24、補強部材30、帽体本体11,11、及び内装材本体40が頭部及び首部の大半の部分を覆っているので、落下物等の衝撃から頭部を確実に守ることができる。
また、帽体本体11及び強度部材20の全体が難燃性の被覆部材10Cによって覆われているので、火災等の高温の環境下でも、熱や炎から使用者の頭部及び首部を確実に保護することができる。そして、被覆部材10Cは、頭巾部12を強度部材20に係止したとき、そのシコロ部13が使用者の後頭部から首周りにかけて覆うことになるため、熱や炎から使用者の頭部から首周りにかけて保護することができる。
なお、折畳み式帽子10を展開状態から折畳み状態に変形させたいときは、折畳み式帽子10の使用者は、まず折畳み式帽子用帽体10Aを頭部に被った状態のままで、紐ストッパ53を下方に引っ張る。これにより、顎部係止紐52は使用者の顎部への係止状態を解除させて顎部係止紐52を顎部から離脱させる。
このときも、折畳み式帽子10の使用者は、さほど大きな力を加えていなくても、第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36を介して強度部材20及び補強部材30を容易に弾性変形させることができる。
したがって、折畳み式帽子10の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で顎部係止紐52を使用者の顎部への係止状態を解除させて、折畳み式帽子用帽体10Aを容易に折畳み状態とすることができる。
[発明の実施の形態2]
図14乃至図27は、本発明の実施の形態2を示す。
なお、本実施の形態2では、前記実施の形態1と同一の部分又は対応する部分に同一の符号を付して異なる構成及び作用について説明する。
本実施の形態2の折畳み式帽子60の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、実施の形態1の折畳み式帽子10の折畳み式帽子用帽体10Aにおける帽体本体11を除いて、主として帽体強度部材70の前側平板22、後側平板24の左右にそれぞれ前側側頭片71及び前側連結片72、後側側頭片73及び後側連結片74が設けられている点が実施の形態1と異なる。
図14乃至図26に示す通り、折畳み式帽子60は、折畳み式帽子用帽体60Aと、この折畳み式帽子用帽体60A内に設けられた内装材60Bと、この内装材60Bが設けられた折畳み式帽子用帽体60Aに被着される被覆部材60Cとを備える。
図14乃至図26に示す通り、折畳み式帽子用帽体60Aは、帽体強度部材70と、この帽体強度部材70上に設けられた補強部材30と、この補強部材30の上部に被覆部材60Cを介して重ね合わされた補強板37とを有する。折畳み式帽子用帽体60Aは、折り畳んだ状態と、頭部に被ることが可能な展開した状態との形態に変化させることができる。
帽体強度部材70の表面側には、前側及び後側にそれぞれ4つの係止具21により補強部材30、被覆部材60C、及び補強板37が順次重ねるように取り付けられ、帽体強度部材70の裏面側には、同様に内装材60Bが取り付けられている。これらの係止具21は、ポリエチレン(PE)等の軟質の合成樹脂により一体に成形されている。
係止具21は、一方の係止部材に他方の係止部材が嵌り込んで係止される。一方の係止部材は、雄ねじが形成されたねじ軸と、このねじ軸の端部にねじ軸より大径の円板部が一体に設けられている。また、他方の係止部材は、雄ねじのねじ軸が嵌り込む雌ねじが内周面に形成されたねじ軸と、このねじ軸の端部にねじ軸より大径の円環部が一体に設けられている。この大径の円環部の孔は、ねじ軸の雌ねじ孔と連通している。また、大径の円環部には、硬貨が係合可能な係合溝が直径方向に沿って形成されている。
なお、係止具21は、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂により一体に成形されていることから、一方の係止部材の雄ねじのねじ軸を、他方の係止部材の雌ねじのねじ軸に回転して螺合させることなく、雄ねじのねじ軸を雌ねじのねじ軸に押し込むことでねじ山を乗り越えて螺合される。つまり、雌ねじのねじ軸に対する雄ねじのねじ軸は、一方の係止部材が他方の係止部材から容易に抜けないようにしている。
帽体強度部材70は、図14乃至図19、及び図21乃至図26に示す通り、頭頂部の前後に延長して設けられ、頭頂部に対面する部分を介して折り畳み可能に設けられている。
帽体強度部材70は、図23に示す通り、一枚の硬質の平板を打抜いて左右面対称に形成されている。具体的に、帽体強度部材70は、発泡ポリプロピレン等、剛性が高く、折り曲げに対する強度が高く、かつ軽量化が図れる合成樹脂により板状に一体に形成され、その厚さが例えば3.0mm程度である。帽体強度部材70は、係止具挿通孔22a、後述する複数のヒンジ部も打抜き時に形成される。
帽体強度部材70は、前頭部被覆用の前側平板22、頭頂部被覆用の連結板23、及び後頭部被覆用の後側平板24が一体に形成されている。すなわち、前側平板22と後側平板24は、連結板23を介して連設されている。
前側平板22と連結板23との間は、左右方向に沿って第一ヒンジ部25が形成され、後側平板24と連結板23との間は、左右方向に沿って第二ヒンジ部26が形成されている。連結板23は、平面視長方形に形成されている。第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26は、頭頂部に対面する部分の左右方向に沿って形成されている。これら第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26は、本実施の形態の頭頂ヒンジ部を構成する。
前側平板22は、図23に示す通り、それぞれ正面視略六角形に形成され、その下部の左右にそれぞれ内装材本体40の係止孔41,41(図21に示す)と、被覆部材60Cの頭巾部12の係止孔12a,12aにそれぞれ対応する位置に係止具挿通孔22a,22aが設けられている。
同様に、後側平板24は、図23に示す通り、それぞれ正面視略六角形に形成され、その下部の左右にそれぞれ内装材本体40の係止孔41,41(図21に示す)と、被覆部材60Cの頭巾部12の係止孔12a,12aにそれぞれ対応する位置に係止具挿通孔24a,24aが設けられている。
前側平板22は、その上部の左右にそれぞれ補強部材30の係止具挿通孔と、被覆部材60Cの頭巾部12の係止孔12a,12aと、補強板37の係止具挿通孔にそれぞれ対応する位置に係止具挿通孔22a,22aが設けられている。
同様に、後側平板24は、その上部の左右にそれぞれ補強部材30の係止具挿通孔と、被覆部材60Cの頭巾部12の係止孔12a,12aと、補強板37の係止具挿通孔にそれぞれ対応する位置に係止具挿通孔24a,24aが設けられている。
前側平板22の左右には、それぞれ側頭部に対面する三角形の前側側頭片71,71が連続して形成されている。前側平板22の左右と前側側頭片71,71との間は、それぞれ斜め前方に沿って広がるように前側側頭ヒンジ部71a,71aが形成されている。前側側頭片71,71には、それぞれ略長方形の前側連結片72,72が連続して形成されている。前側側頭片71,71と前側連結片72,72との間は、それぞれ前側連結ヒンジ部72a,72aが形成されている。前側連結片72,72には、それぞれ係止具挿通孔72b,72bが形成されている。
同様に、後側平板24の左右には、それぞれ側頭部に対面する略三角形の後側側頭片73,73が連続して形成されている。後側平板24の左右と後側側頭片73,73との間は、それぞれ斜め後方に沿って広がるように後側側頭ヒンジ部73a,73aが形成されている。後側側頭片73,73には、それぞれ略長方形の後側連結片74,74が連続して形成されている。後側連結片74,74は、前側連結片72,72と連結した際、互いに支障とならないように前側連結片72,72よりも長尺に形成されている。後側側頭片73,73と後側連結片74,74との間は、それぞれ後側連結ヒンジ部74a,74aが形成されている。後側連結片74,74には、それぞれ係止具挿通孔74b,74bが設けられている。
前側連結片72,72と後側連結片74,74は、互いに重ね合わせて係止具挿通孔72b,72b,74b,74bにそれぞれ係止具21を挿通して連結することで、帽体強度部材70が立体形状とされる。前側側頭ヒンジ部71a,71a、前側連結ヒンジ部72a,72a、後側側頭ヒンジ部73a,73a、及び後側連結ヒンジ部74a,74aは、本実施の形態の側頭ヒンジ部を構成する。
帽体強度部材70は、前側側頭ヒンジ部71a,71a、前側連結ヒンジ部72a,72a、後側側頭ヒンジ部73a,73a、後側連結ヒンジ部74a,74a、第一ヒンジ部25、及び第二ヒンジ部26を介して前後方向に折畳み可能に構成されている。
帽体強度部材70は、前側平板22の4つの係止具挿通孔22a、後側平板24の4つの係止具挿通孔24a、前側連結片72,72の係止具挿通孔72b,72b、及び後側連結片74,74の係止具挿通孔74b,74bを打ち抜くと同時に、第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、前側側頭ヒンジ部71a,71a、前側連結ヒンジ部72a,72a、後側側頭ヒンジ部73a,73a、及び後側連結ヒンジ部74a,74aも形成される。
被覆部材60Cは、例えばターポリン(塩化ビニル)製等のように防炎性を有し、折畳み自在の材料によって形成されている。本実施の形態の被覆部材60Cは、図14に示す通り、頭巾部12とシコロ部13とが一体に形成されている。頭巾部12は、縦断面逆V字状に形成されている。頭巾部12は、折畳み式帽子60を頭部に被った展開状態で形成される帽体強度部材70及び補強部材30の形状に適合するような立体形状に形成されている。シコロ部13は、略台形状に形成されている。
被覆部材60Cは、頭巾部12が帽体強度部材70及び補強部材30の全体を覆い、前側平板22及び後側平板24の上下2つの各係止具挿通孔22a,22aと、補強部材30の各係止具挿通孔と、被覆部材60Cの頭巾部12の上下2つの各係止孔12a,12aと、補強板37の係止具挿通孔にそれぞれ係止具21を挿通することで、固定される。
頭巾部12は、帽体強度部材70の左右の前側連結片72,72と左右の後側連結片74,74を連結した部分に対面する部分が、帽体強度部材70と同様に前側と後側に側頭片が形成され、これらの側頭片が重ね合わされて留め具14によって連結される。
被覆部材60Cは、シコロ部13において後側平板24の左右両側が切り込まれ、切断されたその両先端は、帽体強度部材70の左右の前側連結片72,72と後側連結片74,74とがそれぞれ連結される際に、その係止具21によって同時に連結される。
このように本実施の形態では、実施の形態1のように面ファスナ27で接合することなく、被覆部材60Cが係止具21によって折畳み式帽子60に強固に固定されることになる。そして、被覆部材60Cは、頭巾部12を帽体強度部材70に固定したとき、そのシコロ部13が使用者の後頭部から首周りにかけて覆うように広がっている。
帽体強度部材70の頭頂部に対面する部分、すなわち連結板23の内面には、図18及び図25に示す通り、緩衝部材28が接着により固定されている。この緩衝部材28は、発泡スチロールで側面視凸形状に一体に形成され、角部が面取りされてアールに形成されている。緩衝部材28は、幅が連結板23の内面の幅と略同一であって、長さが連結板23の内面の長さよりやや短く、高さが折畳み式帽子60を使用者が頭部に被った状態で頭頂部近傍まで達するように形成されている。
したがって、緩衝部材28は、側面視凸形状に一体に形成されていることから、上下方向に対する強度が大幅に高くなる。そのため、緩衝部材28は、緊急災害時に落下物等の衝撃で頭頂部に接したとしても、頭頂部に対して緩衝して頭部を確実に保護することができる。加えて、緩衝部材28は、角部が面取りされてアールに形成されているため、仮に頭頂部に接したとしても、頭頂部を傷付けるのを未然に防止することができる。
帽体強度部材70の上面には、実施の形態1と同様に、補強部材30が重ね合わせて設けられている。具体的には、図18に示す通り、前側平板22の上側、連結板23、及び後側平板24の上側には、それぞれ補強前側平板32、補強連結板33、及び補強後側平板34が重ね合わせて設けられている。補強部材30は、前頭部被覆用の補強前側平板32、頭頂部被覆用の補強連結板33、及び後頭部被覆用の補強後側平板34が一体に形成されている。
すなわち、補強前側平板32と補強後側平板34は、補強連結板33を介して連設されている。補強部材30は、帽体強度部材70と同様に、一枚の硬質の平板を打抜いて左右面対称に形成されている。具体的に、補強部材30は、発泡ポリプロピレン等、剛性が高く、かつ折り曲げに対する強度が高い合成樹脂により板状に一体に形成され、その厚さが例えば3.0mm程度である。
補強前側平板32及び補強後側平板34が前側平板22の上側、及び後側平板24の上側にそれぞれ重ね合わされることから、補強連結板33は、前側平板22と後側平板24の板厚分だけ幅広に形成されている。補強前側平板32は、正面視略長方形に形成され、上下方向の長さが前側平板22の長さの半分以下である。同様に、補強後側平板34も正面視略長方形に形成され、上下方向の長さが後側平板24の長さの半分以下である。
補強前側平板32と補強連結板33との間は、左右方向に沿って第三ヒンジ部35が形成され、補強後側平板34と補強連結板33との間は、左右方向に沿って第四ヒンジ部36が形成されている。補強連結板33は、連結板23と同様に平面視長方形に形成されている。
補強前側平板32の左右には、それぞれ係止具21が挿通する上下方向に長く形成された図示しない係止具挿通孔が設けられている。同様に、補強後側平板34の左右には、それぞれ係止具21が挿通する上下方向に長く形成された図示しない係止具挿通孔が設けられている。これらの係止具挿通孔は、帽体強度部材70の係止具挿通孔と同一位置に形成されて連通状態となり、それぞれ同一の係止具21が挿通する。
補強前側平板32及び補強後側平板34の係止具挿通孔は、帽体強度部材70と同様に板材が打抜き加工によって形成される。帽体強度部材70と同様に、これらの係止具挿通孔を打ち抜くと同時に、第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36も形成される。
補強前側平板32上には、頭巾部12を介して例えばポリカーボネート等の無色透明な合成樹脂から成形された補強板37が重ねて設けられている。この補強板37は、厚さが例えば3.0mm程度である。補強板37は、上部の角部に下部よりも大きなアール部が形成され、それ以外は補強前側平板32と略同様の形状に形成されている。
同様に、補強後側平板34上には、頭巾部12を介して例えばポリカーボネート等の無色透明な合成樹脂から成形された補強板37が重ねて設けられている。この補強板37は、補強前側平板32に重ねて設けたものと同一構造であって、補強前側平板32の補強板37と対称の位置に取り付けられる。
補強前側平板32及び補強後側平板34上に設けられた補強板37,37は、それぞれ長さ方向に対して中央部分が若干突出するように湾曲形成されている。そのため、補強板37,37の裏面側には、それぞれ長さ方向に対して補強前側平板32及び補強後側平板34に当接可能な補強リブ37aが一定間隔をおいて複数突出して形成されている。
補強板37の左右には、前側平板22及び補強前側平板32の左右に設けられた係止具挿通孔22a,22aと左右同一位置にそれぞれ係止具21が挿通する係止具挿通孔が設けられている。これらの係止具挿通孔の周囲は、係止具21が取り付けられたとき、係止具21が補強板37の上面から突出しないように凹部37bが形成されている。
このように本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、帽体強度部材70が一枚の硬質の平板を打抜いて頭頂部の前後方向に形成されているので、高強度を維持するとともに、より軽量化を図ることが可能になる。そして、帽体強度部材70が頭頂部の前後方向に前側平板22及び後側平板24が形成されているので、落下物等による衝撃を未然に防止することができる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、帽体強度部材70が一枚の硬質の平板を打抜いて形成することにより、金型による成形装置を用いることなく、打抜き成形によって容易に成形することができる。
さらに、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、前側平板22及び後側平板24の左右に、それぞれに側頭部に対面する前側側頭片71,71、後側側頭片73,73が連続して形成されているので、打抜き成形によって両側頭部を保護する前側側頭片71,71及び後側側頭片73,73を前側平板22及び後側平板24と同時に形成することができることから、容易に製造することが可能になる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、各前側側頭片71,71と各後側側頭片73,73は、それぞれ前側連結片72,72と後側連結片74,74が互いに重ね合わせて連結されているので、側頭部を一段と強固に保護することができる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、帽体強度部材70に固着され、帽体強度部材70の全体を被覆する防炎性の被覆部材60Cをさらに備えることで、火災等の高温の環境下でも頭部及び首部を確実に保護することができる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、帽体強度部材70は、少なくとも頭頂部に対面する部分が複数の板材を重ね合わせて構成されていることから、落下物等による衝撃を一段と未然に防止することができる。
また、本実施の形態の折畳み式帽子用帽体60Aにおいては、帽体強度部材70の、頭頂部に対面する部分に緩衝部材28が固定されていることにより、落下物等による衝撃を一段と未然に防止することができる。
次に、本実施の形態の帽子用内装材としての内装材60Bについて説明する。
図15乃至図18に示す通り、内装材60Bは、折畳み式帽子用帽体60Aの内側に装着され、使用者が折畳み式帽子60を被ったときに頭部を保持するものである。内装材60Bは、内装材本体40と、この内装材本体40に連結された顎紐部材50と、この顎紐部材50が挿通する後頭部保持部材54とを備える。
なお、実施の形態1の内装材10Bには、図7及び図8に示す通り、交差紐56が設けられていたが、本実施の形態の内装材60Bには、図21に示す通り、交差紐が設けられていない。
内装材本体40は、有色不透明の発泡ポリエチレン等の板状の柔軟性を有する弾性材から打抜き加工により一体に形成されている。そのため、内装材本体40は、折り畳んだ状態と展開した状態とに変化させることができる。内装材本体40は、厚さが例えば5.0mm程度である。
内装材本体40は、発泡ポリエチレン等のように柔軟性を有する弾性材から形成されているため、一般の内装材の一部に設けられたヘッドバンドのように所定の剛性を有する合成樹脂と比較して比重が軽くなっている。これにより、本実施の形態では、内装材本体40の軽量化を図っている。
内装材本体40は、図20に示す通り、前頭部側及び後頭部側を覆うように一体に形成されており、また左右面対称の形状に形成されている。内装材本体40は、図21に示す通り、後述する庇部を除いた前後方向長さの略中間から折り曲げられ、その折り曲げた左右両端部がそれぞれ留め具42によって固定されている。そのため、内装材本体40は、図27に示す通り、前頭部被覆用の前側内装材43と、後頭部被覆用の後側内装材44とが形成される。これにより、内装材本体40は、前後方向に折畳み可能に構成される。
前側内装材43の前方には、図14乃至図20に示す通り庇部45が前側に張り出して一体に形成されている。この庇部45は、内装材60Bを折畳み式帽子用帽体60Aに装着したとき、帽体強度部材70より前方に突出するように取り付けられる。前側内装材43の略中央部には、図20に示す通り左右方向に長い開口部43aが形成されている。後側内装材44の略中央部には、略台形状の開口部43cが形成されている。
前側内装材43と後側内装材44との間の頭頂部に対面する位置には、図20に示す通り前後方向に長い頭頂切込み部48,48が左右に形成されている。これらの頭頂切込み部48,48は、左右対称に略円弧状に形成されている。これら頭頂切込み部48,48間の内装材本体40は、柔軟性を有することから下方に撓むことが可能になる。
これらの開口部43a,43c、左右の頭頂切込み部48,48は、いずれも空気流通孔としての機能を有する。また、左右の頭頂切込み部48,48間は、内装材60Bを折畳み式帽子用帽体60Aに装着したとき、緩衝部材28と対面する位置になる。
前側内装材43における庇部45よりも頭頂部側であって、その内側中央部には、略長方形に形成され、かつ前頭部に当接する緩衝板46が設けられている。具体的には、前側内装材43の内側中央部には、図示しない面ファスナの一方が接着され、緩衝板46の長さ方向中間には図示しない面ファスナの他方が接着され、これらの面ファスナが接合することで、前側内装材43に緩衝板46が着脱可能に取り付けられる。内装材60Bを折畳み式帽子用帽体60Aに装着し、使用者が折畳み式帽子60を被ったとき、緩衝板46は、使用者の前頭部に対面する位置の前側内装材43の内面に取り付けられる。
前側内装材43には、図17及び図18に示す通り、緩衝板46の左右近傍にそれぞれ連結紐51を挿通して係止させる紐係止部材47が設けられている。同様に、後側内装材44にも、後端部近傍の左右にそれぞれ連結紐51を挿通して係止させる紐係止部材47が設けられている。
以下、内装材本体40に連結された顎紐部材50、顎部係止紐52、顎紐部材50が挿通する後頭部保持部材54等の構成及び作用は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
前側内装材43と後側内装材44にそれぞれ2つ取り付けた係止具21は、帽体強度部材70の前側平板22の係止具挿通孔22a、及び後側平板24の係止具挿通孔24aを挿通する。これにより、内装材本体40が帽体強度部材70に装着される。すなわち、折畳み式帽子用帽体60Aに内装材60Bが装着されることとなる。
本実施の形態の内装材60Bにおいては、内装材本体40が板状の柔軟性を有する弾性材で形成され、内装材60Bを折畳み式帽子用帽体60Aに装着したとき、左右の頭頂切込み部48,48間が緩衝部材28と対面する位置になることから、折畳み式帽子60を被ったときの装着感を良好にするとともに、緩衝部材28の緩衝効果と相俟って落下物等による衝撃を一段と未然に防止することができる。その他の効果は、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態の折畳み式帽子60の作用について説明する。
帽体強度部材70に補強部材30及び補強板37の各部材を組付けるには、帽体強度部材70の前側平板22及び後側平板24の上部の係止具係止孔22a,24aに係止具21の一方の係止部材を嵌め込む。
そして、この係止部材を帽体強度部材70の上部の係止具挿通孔22a,22a,24a,24aに挿通し、さらに補強部材30及び補強板37の図示しないそれぞれの係止具挿通孔を挿通した後、一方の係止部材を他方の係止部材に押し込む。これにより、帽体強度部材70に補強部材30及び補強板37の各部材が固定される。
また、内装材本体40に帽体強度部材70を重ねて組付けるには、内装材本体40の係止孔41に係止具21の他方の係止部材を嵌め込む。
そして、係止具21の一方の係止部材を帽体強度部材70の下部の係止具挿通孔22a,22a,24a,24aに挿通した後、これらの係止具挿通孔22a,22a,24a,24aに一方の係止部材を他方の係止部材に押し込む。これにより、帽体強度部材70に内装材本体40が固定される。
次に、本実施の形態の使用方法について説明する。
本実施の形態の折畳み式帽子60の折畳み状態では、折畳み式帽子用帽体60Aと被覆部材60Cは、係止具21によって固定することで、図22に示す通り折畳み式帽子用帽体60Aの全体及び内装材60Bの両側面に被覆部材60Cが装着される。
図26に示す通り、帽体強度部材70の前側平板22及び後側平板24がそれぞれ平板状態となった折畳み状態において、使用者は、内装材本体40、帽体強度部材70、及び補強部材30が開くように広げる。この場合、内装材本体40は、発泡ポリエチレン等の板状の柔軟性を有する弾性材から形成されているので、極めて容易に広げることができる。
また、帽体強度部材70は、第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26、前側連結ヒンジ部72a及び後側連結ヒンジ部74aを中心として拡開するとともに、補強部材30は、第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36を中心として拡開する。これにより折畳み式帽子60は、展開状態となり、帽子状態となる。
この状態で使用者は、折畳み式帽子60を頭部に被り、自ら顎紐部材50の顎部係止紐52を把持して、この顎部係止紐52を下方に引き下ろす。次いで、紐ストッパ53を引き上げて顎部係止紐52で顎部を保持し、一対の連結紐51,51を引っ張ったとき、紐係止部材47の近傍の前側内装材43及び後側内装材44が湾曲するように弾性変形し、この湾曲部分が両側頭部を覆うことになる。
同時に、帽体強度部材70の前側平板22及び後側平板24、前側側頭片71及び後側側頭片73は、弾性力に抗して第一ヒンジ部25及び第二ヒンジ部26、前側連結ヒンジ部72a及び後側連結ヒンジ部74aを介して閉じる方向に回動する。同様に、補強部材30の補強前側平板32及び補強後側平板34も、弾性力に抗して第三ヒンジ部35及び第四ヒンジ部36を介して閉じる方向に回動する。
この状態で、折畳み式帽子10の使用者が顎部係止紐52を離すと、第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、前側連結ヒンジ部72a、後側連結ヒンジ部74a、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36の弾性力によって前側内装材43及び後側内装材44を介して連結紐51,51が紐係止部材47側に引っ張られ、連結紐51,51の緊張により顎部係止紐52も引っ張られ、顎部係止紐52が使用者の顎部に係止された状態となり、折畳み式帽子10の展開状態が保持される。
ここで、顎部係止紐52を下方に引っ張るときには、折畳み式帽子60の使用者がさほど大きな力を加えていなくても、帽体強度部材70及び補強部材30を第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、前側連結ヒンジ部72a、後側連結ヒンジ部74a、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36を介して容易に弾性変形させることができる。すなわち、折畳み式帽子10の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で顎部係止紐52を顎部に係止させて展開状態を保持させることができる。
折畳み式帽子60の展開状態が保持された状態になったとき、帽体強度部材70の前側平板22及び後側平板24、補強部材30、及び内装材本体40が頭部及び首部の大半の部分を覆っているので、落下物等の衝撃から頭部を確実に守ることができる。
また、帽体強度部材70の全体が難燃性の被覆部材60Cによって覆われているので、火災等の高温の環境下でも、熱や炎から使用者の頭部及び首部を確実に保護することができる。そして、被覆部材60Cは、頭巾部12を帽体強度部材70に固定したとき、そのシコロ部13が使用者の後頭部から首周りにかけて覆うことになるため、熱や炎から使用者の頭部から首周りにかけて保護することができる。
なお、折畳み式帽子60を展開状態から折畳み状態に変形させたいときは、折畳み式帽子60の使用者は、まず折畳み式帽子60を頭部に被った状態のままで、紐ストッパ53を下方に引っ張る。これにより、顎部係止紐52は使用者の顎部への係止状態を解除させて顎部係止紐52を顎部から離脱させる。
このときも、折畳み式帽子60の使用者は、さほど大きな力を加えていなくても、第一ヒンジ部25、第二ヒンジ部26、前側側頭ヒンジ部71a、前側連結ヒンジ部72a、後側側頭ヒンジ部73a、後側連結ヒンジ部74a、第三ヒンジ部35、及び第四ヒンジ部36を介して帽体強度部材70及び補強部材30を容易に弾性変形させることができる。
したがって、折畳み式帽子60の使用者は、大きな力を要することなく簡単な操作で顎部係止紐52を使用者の顎部への係止状態を解除させて、折畳み式帽子60を容易に折畳み状態とすることができる。
なお、上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
例えば、上記各実施の形態においては、折畳み式帽子用帽体10Aを構成する強度部材20及び補強部材30、又は折畳み式帽子用帽体60Aを構成する帽体強度部材70及び補強部材30は、それぞれ略展開された状態で形状が安定するように形成されているものとしたが、逆に平板状態で形状が安定するように形成してもよい。
さらに、上記各実施の形態においては、前側平板22及び後側平板24の上部に補強部材30及び補強板37を重ね合わせた例について説明したが、これに限定することなく、少なくとも頭頂部に対面する連結板23に複数の板材を重ね合わせればよい。
そして、上記各実施の形態においては、強度部材20又は帽体強度部材70に補強部材30及び補強板37の2枚の板材を重ね合わせた例について説明したが、これに限定することなく、より多くの板材を重ねるようにしてもよい。
上記各実施の形態においては、係止具21によって各部を固定するようにしたが、これに限らずホック、スナップボタン等、係脱可能な一対の部材によって構成するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、内装材本体40で頭部の前側及び後側を覆うように形成したが、これに限らず頭部の側部も覆うようにしてもよい。