JP2020076977A - 球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサー - Google Patents

球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサー Download PDF

Info

Publication number
JP2020076977A
JP2020076977A JP2019188386A JP2019188386A JP2020076977A JP 2020076977 A JP2020076977 A JP 2020076977A JP 2019188386 A JP2019188386 A JP 2019188386A JP 2019188386 A JP2019188386 A JP 2019188386A JP 2020076977 A JP2020076977 A JP 2020076977A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spherical polymethylsilsesquioxane
liquid crystal
polymethylsilsesquioxane
spacer
spherical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019188386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7209609B2 (ja
Inventor
岩田 徹
Toru Iwata
徹 岩田
陽平 近重
Yohei Chikashige
陽平 近重
胆治 小松原
Tanchi Komatsubara
胆治 小松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Publication of JP2020076977A publication Critical patent/JP2020076977A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7209609B2 publication Critical patent/JP7209609B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

【課題】液晶表示板のガラス基板への接着性に優れた液晶用スペーサーを提供する。【解決手段】物性(a)〜(c)を全て満足する球状ポリメチルシルセスオキサンの液晶用スペーサ。(a)レーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(D50)が0.11〜3.0μm、(b)窒素吸着BET一点法による比表面積(S1)が60〜350m2/g、(c)D50から下記式で求められる比表面積S2が、S1/S2≧6.0の関係にある、S2=6/(ρ×D50)、〔式中、ρは粒子密度を表す。〕さらに、球状ポリメチルシルセスキオキサンのD50が0.3μmを超え、かつアルコキシ基と水酸基の合計(100%)に対するアルコキシ基の割合が10%以上であるものは、より優れた密着性を示す。アルコキシ基と水酸基の量は、13C DDMAS NMR測定により把握できる。【選択図】図7

Description

本発明は、球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサーに関する。詳しくは、粒子表面に微小な凹凸を数多く有するポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーであり、無機材料等への接着性に優れた特徴を有する該スペーサーを提供することである。
液晶表示板はテレビなどのデジタル化された電子機器の普及に伴い、一般的な表示装置として液晶表示板が使用されている。液晶表示板は、2枚のガラス基板間に液晶物質が配置され、2枚のガラス基板の間隔を均一かつ一定に保つためのギャップ制御材としてスペーサーが用いられている。この液晶表示板用スペーサーには耐薬品性や低透湿性が求められ、2枚のガラス基板の間隔を均一かつ一定に保持する必要があることから、適度な機械的復元性を持つことが好ましい。
上記の液晶表示板用スペーサーとして各種の粒子が提案されており、特許文献1ではゾル-ゲル法で製造したシリカ粒子が、特許文献2では前記シリカ粒子を焼成したものが報告されている。
しかしながら、シリカ粒子は非常に硬く、また変形しにくいため、液晶表示板用スペーサーとして使用すると、液晶表示板の作成工程で基板上に物理的損傷を与えやすく、画像ムラなどの欠陥を引き起こすことがある。
そのため、粒子表面および内部に疎水性アルキル基を有するポリアルキルシルセスキオキサンが液晶表示板用スペーサーとして提案されている。
ポリメチルシルセスキオキサンの製造方法としては、例えば特許文献3には塗料の添加剤として、メチルトリアルコキシシランを加水分解・縮合させ、その生成物を水洗後乾燥させてポリメチルシルセスキオキサン粉末を得られることが報告されている。特許文献4には、オルガノトリアルコキシシランの加水分解・部分縮合物をアルカリ水溶液中で重縮合反応させてポリオルガノシルセスキオキサン微粒子が得られることが報告されている。
特許文献5には、液晶ディスプレイの防反射フィルム用途として、オルガノトリアルコキシシランを加水分解・部分縮合させ、静置によって層別した下層の部分縮合物のアルコール混合物をアルカリ水溶液と混合させて球状ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を得られることが報告されている。また特許文献6にはトナー用外添剤等として有用なメジアン径が0.05〜0.3μmの範囲にある疎水化された球状ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子が開示されている。
特開昭62−269933号公報 特開平1−234826号公報 特開昭60−13813号公報 特開平1−217039号公報 特開2008−208158号公報 国際公開第2015/107961号パンフレット
近年、スマートフォンなどの携帯情報端末の急速な進展によって、液晶表示板の軽量化や薄型化が進んでいるが、移動などに伴う振動・衝撃によってスペーサーの移動、脱落が生じやすくなり、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持できなくなるという問題がある。またテレビなどでは、画面が著しく大型化されており、電極基板のたわみが生じやすくなったため、スペーサーの移動が生じ、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持できなくなるという問題も発生している。そのため、液晶表示板のガラス基板への接着が良いスペーサーが要求されるようになった。
しかし特許文献3〜5に記載された製法で製造したポリメチルシルセスキオキサン粉末は、本発明者らの検討によればガラスなどの無機表面への密着性が低く、液晶用スペーサーとして適用した場合にガラス基板から移動や脱落が起こりやすいといった課題があった。また特許文献6に記載された製法で製造した疎水化ポリメチルシルセスキオキサン粉末はトナー用外添剤として有用であることは記載されているが、液晶用スペーサーとして使用することは記載されておらず、また無機材料への密着性など、液晶用スペーサーとして必要な物性についても言及がない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、粒子表面に微小な凹凸を数多く有するポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーであり、液晶表示板のガラス基板への接着性に優れた液晶用スペーサーを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、従来の方法で製造されるポリメチルシルセスキオキサンよりも粒子表面の微小な凹凸を多く有する球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は下記物性(a)〜(c)を全て満足する球状ポリメチルシルセスオキサンからなることを特徴とする液晶用スペーサーである。
(a)レーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(D50)が0.11〜3.0μm
(b)窒素吸着BET一点法による比表面積(S)が60〜350m/g
(c)D50から下記式で求められる比表面積S/S≧6.0
=6/(ρ×D50)
〔上式中、ρは粒子密度を表す。〕
本発明により、液晶表示板のガラス基板への接着性に優れた球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーが提供される。
本実施形態の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の製造方法に用いられる反応装置の一例を示す概略模式図である。 図1中に示す管型反応器の断面構造の一例を示す拡大断面図である。 実施例A3において得られた粉末の13C DDMAS NMRチャートを示す。 実施例B2において得られた粉末の13C DDMAS NMRチャートを示す。 実施例A3において得られた粉末の29Si DDMAS NMRチャートを示す。 実施例B2において得られた粉末の29Si DDMAS NMRチャートを示す。 HMDS処理したものと未処理品別の、D50と接着量の関係を示す図である。
本発明の液晶用スペーサーは、球状ポリメチルシルセスキオキサンからなり、当該ポリメチルシルセスキオキサンとは、下記式(1)で表わされる基本構造を有する。
CHSiO3/2 (1)
即ち、ケイ素原子が有する4つの結合手のうち一つにはメチル基が結合しており、他の3つの結合手は、原則、酸素原子を介して他のケイ素原子と3次元架橋し網目構造を形成しているただし、後述するように一部の酸素原子は他のケイ素原子と結合せず、水酸基、アルコキシ基又はトリアルキルシリルオキシ基等を形成していてもよい。
本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、当該球状ポリメチルシルセスキオキサンのレーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(以下、「D50」)が0.11〜3.0μmである。
当該体積基準での累積50%径(D50)はレーザー回折散乱法による測定で求める。具体的には、乾燥した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末0.1gを内径4cm高さ11cmのガラス製容器に投入し、そこに2−プロパノール50gを添加し、次に、超音波分散機のプローブ(先端の内径7mm)の先端より4.5cmを上記溶液に浸し、出力20Wで15分間超音波分散することで分散液を得る。続いて、この分散液を用いて、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター(株)製、LS13 320)を使用し、体積基準での累積50%径(D50)を測定する。
本発明の球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーにおいては、当該球状ポリメチルシルセスキオキサンのD50は0.11〜3.0μmであればよいが、好ましくは、下限は0.14μm以上、より好ましくは0.20μm以上、特に好ましくは0.3μmを超えるものである。また上限は、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。
なお、液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンのD50が上記範囲内であると液晶表示板の隙間間隔が適度になり、衝撃吸収性が高くなる。一方、D50が小さいほど無機材料への接着性が良好になるが、体積基準での累積50%径(D50)が上記範囲、特に下限を外れると液晶表示板の隙間間隔を達成できない場合がある。
また前記測定方法にて、レーザー回折散乱法による体積基準での累積90%径や累積10%径等も求めることができる。当該累積90%径(D90)を累積10%径(D10)で除した値(D90/D10)は粒度分布幅の幅を示し、値が小さいほど粒度分布の幅が狭いことを意味する。液晶用スペーサーとして使用する場合、D90/D10は小さい方が好ましく、1.5〜7.0であることが好ましく、5.0以下がより好ましい。液晶用スペーサーとして使用する場合、D90/D10が7.0よりも大きいと液晶表示板の隙間距離の均一性が低下して画像ムラを起こしやすくなる場合がある。
本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、窒素吸着BET一点法による比表面積(S)が60〜350m/gである。好ましくは90〜300m/gであり、より好ましくは250m/g以下である。
また本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、上記の比表面積Sと、前記D50から下記式で求められる比表面積S/S≧6.0の範囲内にある。好ましくはS/S≧10.0であり、より好ましくはS/S≧12.0である。
=6/(ρ×D50)
〔上式中、ρは粒子密度を表す。〕
ここでSは、粒子の実際の比表面積(BET法により測定される比表面積)を意味し、Sは、粒子の粒径等から計算される比表面積(理論比表面積)を意味している。即ち、上記割合S/Sはこれらの2つの比表面積の比率であり、当該S/Sの値が1に近い程、粒子の表面がより平滑であることを意味し、比表面積比率S/Sの値が大きい程、粒子の表面が平滑でなくなること、言い換えれば、粒子の表面に微細な凹凸等が多数形成されていることを意味する。
そのため、本発明の如く、S/Sが6.0以上と大きな球状ポリメチルシルセスキオキサンを液晶用スペーサーとして使用した場合には、液晶表示板のガラス基板との接触面積が大きくなり、優れた密着性を発揮できる。
一方、上記割合が小さいことは粒子表面の微小な凹凸が少ないことを示し、液晶表示板のガラス基板との接触面積が小さいため、液晶用スペーサーの移動や脱落が起こりやすくなる場合がある。上限は特に限定されないが、一般にS/S≦100であり、より好ましくはS/S≦60.0であり、特に好ましくはS/S≦25.0である。
また上記に示す比表面積Sの計算に用いる粒子密度ρは、ヘリウムガスを用いた定容積膨張法にて乾式で測定すればよい。このような測定装置は種々市販されている。なお当該測定に際してはポリメチルシルセスキオキサンは、事前に120℃で24時間程度減圧乾燥しておく。
本発明の液晶用スペーサーを構成するポリメチルシルセスキオキサンの粒子は、その形状が球状である。球状の程度は、液晶のスペーサーとして使用可能な程度であれば従来公知の範囲で良く、通常は電子顕微鏡観察でほぼ真球状と認識できる程度であれば問題ない。具体的に数値範囲で示すと、下記定義式で円形度が0.80以上あることが好ましく、より好ましくは0.90以上であり、特に好ましくは0.92以上である。
円形度=4π×(S/I
(ただし、Iは画像上における粒子の周囲長さ(nm)を示し、Sは粒子の投影面積(nm)を表わす。)
なおここで、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)により得られた画像データを画像解析ソフトにより解析し、粒子の周囲長、及び投影面積から上記式を用いて100個の粒子について求め、その円形度を昇順にならべて50番目の値を本発明における円形度(以下、累積50%円形度)とする。
上記の円形度が1に近いほど粒子が真球に近いことを表す。一次粒子の円形度が0.80未満であると球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子同士の付着性が高くなり、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の凝集塊の解砕性が悪くなる場合がある。
前記の通り、ポリメチルシルセスキオキサンは、一つのメチル基と3つの酸素原子が結合したケイ素原子(以下、「ケイ素原子(n)」とする)が、該酸素原子を介して他のケイ素原子と結合し、3次元架橋し網目構造を形成しているが、ポリメチルシルセスキオキサンは通常は、その製造方法に由来して、ケイ素原子(n)に結合した酸素原子の一部は、他のケイ素原子と結合せずに水酸基(シラノール基)を形成している。
さらに、本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、当該球状ポリメチルシルセスキオキサンのケイ素原子(n)に結合する酸素原子の少なくとも一部がアルキル基と結合し、アルコキシ基を形成していることが好ましい。別の表現をすれば、球状ポリメチルシルセスキオキサンのケイ素原子(n)の少なくとも一部は、アルコキシ基により置換されていることが好ましい。
当該アルコキシ基の存在は、13C DDMAS NMRの測定により確認できる。例えば、外部標準をグリシンのカルボニルのピーク(176.03ppm)として測定すれば、アルコキシ基がメトキシ基の場合は、−50ppm付近に酸素原子に結合した炭素原子に基づくピークが検出される。
またアルコキシ基は、FT−IRによる測定でも確認できる。例えば、当該アルコキシ基がメトキシ基の場合、FT−IRの測定により、吸光波数2850cm−1付近に酸素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピークが観測できる。
本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、上記アルコキシ基の量が一定の範囲にあることがさらに好ましい。即ち、上記13C DDMAS NMRにより測定される、酸素原子に結合した炭素原子(アルコキシ基を構成する炭素原子のうちの1位の炭素原子)に基づくピーク(以下、ピークaとする)の面積Aと、ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子に直接結合したメチル基(前記式(1)におけるメチル基)の炭素原子に基づくピーク(以下、ピークbとする)の面積Bとの比(A/B)が、0.005以上であることが好ましく、0.012以上がより好ましく、0.0015以上がさらに好ましく、0.020以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、一般的には0.030以下である。
一般に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を液晶用スペーサーとして使用した場合、粒子径が大きくなるほど液晶表示板のガラス基板への密着性が悪化し、ガラス基板からの移動や脱落が起こりやすくなる。しかしながら、その理由は明確でないが、ポリメチルシルセスキオキサン粒子に上記アルコキシ基が存在する場合、一般的な無機材料の表面に存在するヒドロキシ基等の置換基との相互作用で密着性を向上させるものと推測される。
上記割合(A/B)が大きい粉末は、該粒子に存在するアルコキシ基の含有量が多いことを意味し、従ってその数値が大きいほど上述の理由によってガラスなどの無機材料との強い相互作用により、優れた密着性を発揮し、液晶用スペーサーとして使用した場合、ガラス基板からの移動や脱落の抑制効果を高くできる。
なお当該ピークaの面積A、ピークbの面積Bは前記の通り、13C DDMAS NMRにより測定することができる。具体的には、4mmΦ固体測定用プローブを用い、測定核種13C、MAS回転速度7kHz、パルスプログラムhpdec、繰返し時間10sec、積算回数6000回以上、外部標準はグリシンのカルボニルのピーク(176.03ppm)とし、ピーク波形分離プログラムを用いて算出すればよい。ピークaは例えばメトキシ基の場合は−50ppm付近に、ピークbは−4ppm付近に現れる。
また本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンでは、FT−IRでの測定から求められる、酸素原子に結合した炭素原子(アルコキシ基における1位の炭素原子)におけるC−H伸縮に基づく吸収のピーク面積Xと、ケイ素原子に結合した炭素原子(メチル基)におけるC−H伸縮に基づく吸収のピーク面積Yとが、0.08≦X/Y≦0.20の範囲にあることが好ましく、0.10以上がより好ましい。
当該ピーク面積Xとピーク面積YはFT−IRによる測定で求める。具体的には、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末をKBr粉末で10倍に希釈し、メノウ乳鉢で粉砕混合後、フーリエ変換赤外分光光度計(例えば、バリアンテクノロジーズ製FTS−3000)を使用して拡散反射法で測定し、得られたIRスペクトルを解析する。算出するピークは測定するアルコキシ基、及びアルキル基によって適宜選択することができる。例えば、メトキシ基の場合、吸光波数2850cm−1付近の酸素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピークを面積Xとする。またメチル基の場合は、吸光波数1409cm−1付近のケイ素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピークの面積Yとし、その比を求めればよい。
当該X/Yが大きいということは、やはりアルコキシ基の含有量が多いことを意味する。
前述の通り、球状ポリメチルシルセスキオキサンには、前記したアルコキシ基のみならず、通常は水酸基も存在する
そして当該ポリメチルシルセスキオキサンにおけるアルコキシ基と水酸基の合計(100%)に対するアルコキシ基の割合が、以下の方法により把握できる。
即ち、前記した13C DDMAS NMRにより求めたピーク面積比「A/B」は、「アルコキシ基/ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子(n)に結合したメチル基」を示すものである。
そして以下に示す29Si DDMAS NMRを用いた方法で、「(アルコキシ基+水酸基)/ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子(n)に結合したメチル基」を算出し、これで上記(A/B)を除することで、「アルコキシ基/(アルコキシ基+水酸基)」を求めることができる。
上記計算において分母とする「ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子(n)に結合したメチル基の量」は、下記式(2)におけるメチル基が結合したケイ素原子のピーク(以下、ピークdとする)の面積D、および下記式(3)におけるケイ素原子のピーク(以下、ピークeとする)の面積Eを求め、その合計値(D+E)とできる(ここで、実際に測定するのはケイ素原子であるが、下記の化学式に表されているように、測定するケイ素原子はメチル基と1:1で対応するため、メチル基の総量と対応するパラメーターとして扱える。
Figure 2020076977
(上記式(2)においてRはアルコキシ基あるいは水酸基である。)
Figure 2020076977
そして、(アルコキシ基+水酸基)の量は、上記式(2)におけるポリメチルシルセスキオキサンを構成するメチル基が結合したケイ素原子の量に等しいから、「D/(D+E)」は、「(アルコキシ基+水酸基)/ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子に結合したメチル基」の割合として扱える(以下、Fとする)。
前記「A/B」を上記方法で求めた「F」で除すると、『[アルコキシ基/ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子に結合したメチル基]』÷『[アルコキシ基+水酸基]/ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子に結合したメチル基』であるから、これは「アルコキシ基/(アルコキシ基+水酸基)」として扱える(以下、Gとする)。このGが大きいほどアルコキシ基の割合が多く、Gが小さいほど水酸基の割合が多い。
本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンにおいては、当該アルコキシ基と当該水酸基の合計に対するアルコキシ基の割合(G)が、0.06(6%)以上であることが好ましく、0.07(7%)以上であることがより好ましく、0.10(10%)以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されるものではないが、0.15(15%)以下が好ましく、0.13(13%)以下がより好ましい。
なお、「A/B」と、「F」とは測定方法が異なるから、測定により得られた絶対値を用いて直接計算することはできず、「A/B」と「D/(D+E)」(=F)とは、各々先に計算しておく必要がある。
前述したように一般的に粒子表面および内部に水酸基が多く存在するほど水素結合により粒子同士が強固な凝集体を生成し易くなるため、液晶スペーサーとして用いた場合、液晶表示板の隙間距離の均一性が低下し画像ムラを起こしやすくなる場合がある。それに対し、水酸基の少なくとも一部がアルキル基で置換されてアルコキシ基になっている場合には、相対的に水酸基が少なくなるため、上記のような強固な凝集体の生成を抑制でき、液晶用スペーサーとして使用した場合、液晶表示板の隙間距離の均一性の低下を抑制でき、画像ムラを起こしにくくなる。
また後述する疎水化度(M値)が大きい方が密着性が高くなる傾向があるが、上記アルコキシ基の割合が多いと、特にD50が大きい場合には、疎水化度(M値)が同等であっても、より密着性が高くなる傾向がある。
上記のポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子のピーク面積D、Eは29Si DDMAS NMRにより測定することができる。例えば、Bruker Biospin製AVANCE IIを用いて測定できる。具体的には、4mmΦ固体測定用プローブを用い、測定核種29Si、MAS回転速度8kHz、パルスプログラムhpdec、繰返し時間20sec、積算回数4000回以上、外部標準はポリジメチルシランのピーク(34ppm)として測定すればよい。例えば、Rが水酸基又はメトキシ基の場合は、ピークdは−56ppm付近に、ピークeは−65ppm付近に現れる。
さらに、本発明の液晶用スペーサーを構成する球状ポリメチルシルセスキオキサンは、高い疎水性を有し、メタノール滴定法による疎水化度(M値)は20〜70容量%であることが好ましく、50容量%以上がより好ましく、55容量%以上が特に好ましい。このような高い疎水性は、耐薬品性や耐湿性が高く、液晶用スペーサーとして使用した場合、高湿下での信頼性を高めることができる。
疎水化度(M値)は、メタノール滴定法によって測定する。測定は以下の手順で行う。まず、容積200mlの容器(ビーカー)中に純水50mlと球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末0.2gを入れたものを準備する。次に、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の全量が湿潤し液中に分散された状態となるまで、容器の内容物を撹拌しながら、容器中にビュレットからメタノールを滴下する。滴下終了時点での純水(50ml)と滴下したメタノールの総量に対する滴下したメタノールの量の体積百分率の値が疎水化度(M値)である。疎水化度(M値)が高いほど疎水性が高く、値が低いほど親水性が高いことを示す。
本発明の液晶用スペーサーとする球状ポリメチルシルセスキオキサンは、トリアルキルシリルオキシ基を有することが好ましい。より具体的には前記ケイ素原子(n)に結合する酸素原子の一部がトリアルキルシリル基と結合してトリアルキルシリルオキシ基を形成していることが好ましい。これにより、球状ポリメチルシルセスキオキサンの疎水化度(M値)が50〜70容量%となりやすい。
このようなトリアルキルシリルオキシ基が多いほど疎水化度(M値)が大きくなり、ガラス等の無機材料への密着性がより向上するという効果を発現する。この理由は定かではないが、トリアルキルシリルオキシ基が存在すると、粉末表面のシラノール基の水素結合による粒子同士の強固な凝集体の生成を抑制でき、粒子の分散性を向上できる。凝集体は粒子径が大きく、ガラス基板との接触面積が小さいため、ガラス基板からの移動、脱落が起こりやすいため、疎水化度が高いと密着性をより良好なものとできると考えられる。
このため、本発明の液晶用スペーサーにおいては、球状ポリメチルシルセスキオキサンが前記した特定の物性に加えて、高い疎水化度(特にトリアルキルシリルオキシ基による疎水化)をさらに併せ持つことにより、強固な凝集体の生成を抑制でき、ガラス基板に散布する際の分散性に優れるためガラス基板への密着性がより向上する。
また強固な凝集体があるとガラス基板に散布した場合に凝集体が解れず、ガラス基板上に目的の隙間距離よりも大きな間隔が発生し、液晶表示板の隙間距離の均一性が低下し画像ムラを起こしやすくなる場合があるが、疎水化度が高い球状ポリメチルシルセスキオキサンを採用することにより、凝集体の生成が抑制され、このような問題の発生も抑制しやすい。
当該トリアルキルシリルオキシ基を構成するアルキル基は、各々が炭素数1乃至3であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
当該トリアルキルシリルオキシ基の存在は、前述した13C DDMAS NMRによる測定で把握できる。具体的には、トリアルキルシリルオキシ基のケイ素原子に結合した1位の炭素原子に基づくピーク(以下、ピークc)として検出でき、例えばトリメチルシリル基の場合は、−1ppm付近に当該ピークが現れる。
なお、当該トリアルキルシリルオキシ基を構成するケイ素原子は4つの結合の内の3つが炭素原子(アルキル基)に結合しているため、該ケイ素原子に結合したアルキル基のピークは、4つの結合の内の1つしか炭素原子に結合していない前記ポリメチルシルセスキオキサンを構成するケイ素原子(n)に直接結合したメチル基のピークとは別のピークとして把握可能である。
当該ピークcの面積(以下、ピーク面積C)は、ピークaの面積A、ピークbの面積B及びピークcの面積Cの合計を100%とした際に、2.0%以上であることが好ましく、より好ましくは4.0%以上であり、さらに好ましくは6.0%以上である。
本発明の球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーの球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の製造方法は特に限定されないが、(i)メチルトリアルコキシシランの加水分解物、(ii)前記加水分解物の部分縮合物、および、(iii)前記加水分解物と前記部分縮合物との混合物、からなる群より選択される粒子前駆体を得(第1の工程)、
当該粒子前駆体ならびに有機溶媒を含む原料溶液と、アルカリ性水系媒体とを混合して、前記粒子前駆体を重縮合させることで重縮合反応液を得、(第2の工程)、
次に、前記重縮合反応液と水性溶液とを混合することで球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を分散させた球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得(第3の工程)、該分散液から固形分を回収する方法により、好適に製造できる。
球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の疎水化度(M値)を高くしたい場合には、上記球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液に疎水化剤を配合して球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の表面を疎水化処理(第4の工程)を実施してもよい。
この製造方法は、重縮合反応液と混合する水性溶液とを混合後の有機溶媒の割合と、重縮合反応液と混合する水性溶液の有機溶媒濃度に特徴を持つ以外は、前記特許文献6に開示の方法とほぼ同じであるが、以下に概略を述べる。
この方法では、第1の工程として、原料のメチルトリアルコキシシランを酸触媒存在下で加水分解させて(i)メチルトリアルコキシシランの加水分解物、(ii)加水分解物の部分縮合物、および(iii)加水分解物と部分縮合物との混合物からなる群より選択される微粒子前駆体、ならびに、有機溶媒を含む原料溶液を得る。
ここで、メチルトリアルコキシシランは、下記一般式(4)で表される化合物である。
CHSi(OR (4)
(一般式(4)中、Rは、アルキル基、環状アルキル基のいずれかである)
上記メチルトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シランなどを例示することができる。これらは1種類を用いても2種類以上を併用しても差し支えない。
触媒としては公知の触媒を好適に使用することができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、プロピオン酸等の有機酸が挙げられる。
触媒の使用量は、アルキルトリアルコキシシランおよび酸の種類によって適宜調整すれば良いが、アルキルトリアルコキシシランを加水分解する場合に用いる水の量100質量部に対して1×10−3〜1質量部の範囲で選ばれる。触媒の使用量が1×10−3質量部未満の場合には反応が十分に進行せず、1質量部を超える場合には微粒子中に不純物として残存する濃度が高くなるばかりでなく、生成した加水分解物が縮合しやすくなる。水の使用量は、アルキルトリアルコキシシラン1モルに対して2〜15モルが好ましい。水の量が2モル未満の場合には加水分解反応が十分に進行せず、15モルを超えて使用するのは生産性が悪くなる場合がある。
反応温度はとくに制限されず、常温または加熱状態で行なってもよいが、短時間で加水分解物が得られ、かつ生成した加水分解物の部分縮合反応を抑制できることから、10〜60℃に保持した状態で反応を行なうことが好ましい。反応時間はとくに制限されず、用いるアルキルトリアルコキシシランの反応性や、アルキルトリアルコキシシランと酸と水とを調合した反応液の組成、生産性を考慮して適宜選択すればよいが、一般的には10分〜10時間程度である。
このような操作を行うことにより、メチルトリアルコキシシランの少なくとも一部のアルコキシが加水分解してアルコールを生じるため。得られた原料溶液にはメチルトリアルコキシシランの加水分解及び縮合により生じた粒子前駆体に加えて、当該アルコール(有機溶媒)が含まれることになる。
第2の工程として、上記第1の工程で得られた原料溶液と、有機溶媒を含有するアルカリ性水系媒体とを混合して、微粒子前駆体を重縮合反応させる。これにより重縮合反応液を得る。ここで、アルカリ性水系媒体は、アルカリ成分と、水と、有機溶媒とを混合して得られる液である。
アルカリ性水系媒体に使用されるアルカリ成分は、その水溶液が塩基性を示すものであり、第1の工程で用いられた酸の中和剤として、また第2の工程の重縮合反応の触媒として作用するものである。かかるアルカリ成分としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;アンモニア;およびモノメチルアミン、ジメチルアミンのような有機アミン類を例示することができる。
当該第2の工程においては、アルカリ性水系媒体を調製するために、アルカリ成分および水に加えて、さらに有機溶媒を使用する。かかる有機溶媒は水に対して相溶性を有するものであれば、特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒が好適である。上記の溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等が例示できる。有機溶媒の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以下であることが好ましい。
アルカリ成分の使用量は、酸を中和し、重縮合反応の触媒として有効に作用する量であり、例えばアルカリ成分としてアンモニアを用いた場合には水と有機溶媒との混合物100質量部に対して、通常は0.01質量%以上12.5質量%以下の範囲で選ばれる。アルカリ成分の使用量が0.01質量%未満の場合は、続く第3の工程において球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子が得難くなり、収率が低下しやすくなる。また、アルカリ成分の使用量が12.5質量%を超える場合は、析出物が生成し易くなるため均一な反応液が得られ難く、続く第3の工程において球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子の生成が不安定化することがある。また、廃液の処理も煩雑になりやすい。
当該アルカリ性水系媒体の混合量は、微粒子前駆体の濃度が1〜20%となる程度の範囲が好ましい。
重縮合反応液の反応時間は、反応温度、原料溶液の組成、アルカリ性水系媒体の組成等を考慮して適宜決定され、具体的には混合直後の透明な反応液に濁りが生じる時間以上、且つ反応液に析出物が生じ始める時間未満である。混合時間が短すぎても長すぎても、続く第3の工程で得られる球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の球形度が低下したり凝集物が生成する不具合が発生しやすい。
第3の工程として、上記第2の工程で得られた重縮合反応液と水性溶液とを混合することで、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子が分散した球状ポリアルキルシルセスキオキサン分散液を得る。
重縮合反応液と混合する水性溶液は水(水道水、純水等)以外に有機溶媒を含む水性溶液でもよい。有機溶媒を含む水性溶液に使用する有機溶媒は、水に対して相溶性を有するものであれば特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒が好適である。上記の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等が例示できる。重縮合反応液と混合する有機溶媒を含む水性溶液の有機溶媒濃度は0〜50質量%あればよいが、好ましくは8〜48質量%であり、より好ましくは15〜45質量%である。
この製造方法においては、重縮合反応液と水性溶液の全量を混合し終えた混合溶液中において、有機溶媒の含有量が高いほど、最終的なD50が大きくなる。D50が0.11μm以上となうようにするには、一般には有機溶媒の含有量が10質量%を超えるように調整される必要があり、30質量%以上となるように調整されることがより好ましく、35質量%以上となるように調整されることがさらに好ましい。また、有機溶媒を含む水性溶媒の有機溶媒の含有量が高いと前記ピーク面積の割合(A/B)や(X/Y)も高くなる傾向がある。
また、重縮合反応液と混合させる有機溶媒を含む水性溶媒の有機溶媒の含有量が10質量%以下の場合は、前記ピーク面積の割合(A/B)が小さく、ガラス基板との密着性が不足する場合がある。また、有機溶媒の含有量が60%質量%以上の場合は、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子を安定的に生成することが難しくなる。
また有機溶媒の含有量が多いほど、D50は大きくなる傾向がある。
重縮合反応液と有機溶媒を含む水性溶液とを混合する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。以下に示す態様で実施することが好ましい。
即ち、重縮合反応液と有機溶媒を含む水性溶液とを混合した混合液の組成が時間の経過に対して常に一定に保たれるように、重縮合反応液と有機溶媒を含む水性溶液とを混合する。これにより、得られる球状ポリメチルシルセキスオキサン微粒子分散液中の球状ポリメチルシルセキスオキサン粉末の粒度分布を十分に狭くすることが容易となる。
なお、重縮合反応液と有機溶媒を含む水性溶液との混合が不十分であると生成する球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子が凝集し、BET一点法により測定されるBET比表面積Sと、D50から下記式で求められる比表面積S/S<6.0となりやすい。
混合方法の具体例としては、たとえば、i)空の容器内に、重縮合反応液供給管から重縮合反応液を供給すると共に水性溶液供給管から水性溶液を供給して、容器内にて重縮合反応液と水性溶液とを混合する方法や、ii)3分岐管を用いて重縮合反応液と水性溶液とを混合する方法、などが挙げられる。
この中でも、Y字管、T字管等の3分岐管からなる管型反応器を用いた混合方法が好ましい。この場合、流量の安定性等の観点から、特開2003−221222号公報や特許第6116711号公報に開示されるような、接続部に向けて液体を供給する流路(第一の流路および第二の流路)に絞り部が設けられたY字状の管型反応器を用いることが好ましい。
重縮合反応液と有機溶媒を含む水性溶液の混合液は、しばらくの間、静置することが好ましい。これにより、粒子が熟成することで液中に生成する球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子が安定化されると共に、よりBET比表面積が大きい(よりS/Sが大きい)粒子を得ることができる。また、前記ピーク面積の割合(A/B)も高くなる傾向がある。
熟成温度や熟成時間は特に限定されず、それぞれの用途によって好ましい物性を有するように調整すれば良い。例えば、20℃で熟成する場合の熟成時間は、好ましくは6時間以上であり、より好ましくは15時間以上であり、さらに好ましくは160時間以上である。以上により、レーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(D50)が0.11〜3.0μmである球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液が得られる。これを固液分離することにより固形分を回収して球状ポリメチルシルセスキオキサンを得ることが可能である。回収した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末はそのまま使用することもできるが、不純物の少ない球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末が得られるために後述する方法で粉体を乾燥して使用することが好ましい。
球状ポリメチルシルセスキオキサンの疎水化度(M値)をさらに高くしたい場合には、上記の球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液に、さらに疎水化剤を配合し球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の表面を疎水化処理してもよい。これにより、得られる粉末のM値を確実に50容量%以上とすることが可能となる。また、トリアルキルシリル基を導入できる疎水化剤を用いれば、得られる球状ポリメチルシルセスキオキサンがトリアルキルシリルオキシ基を有するものとなる。
なお、疎水化の方法としては、第3の工程で得られた球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液から、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を回収した後で疎水化処理に供する方法もあるが、前記のとおり球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の分離工程や乾燥工程で、粒子同士が強固に凝集して凝集塊を生成するのが通常であり、このため疎水化処理後に得られる粉末は粒度分布幅が広く、解砕性の悪い粉末となってしまう傾向が強い。
これに対して上記の如くに球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液に直接に疎水化剤を配合して疎水化処理すれば、得られる疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末は凝集塊を形成してもその解砕性に優れる。
上記疎水化処理に用いる疎水化剤は、通常、有機ケイ素化合物が用いられる。係る有機ケイ素化合物としては特に制限されないが、例示するならば、ヘキサメチルジシラザンのようなアルキルシラザン系化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシランのようなアルキルアルコキシシラン系化合物、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランのようなクロロシラン系化合物、あるいはシリコーンオイル、シリコーンワニスなどを挙げることができる。これらの疎水化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良く、有機溶剤等で希釈して用いても構わない。
上記の疎水化剤のうち、トリアルキルシリル基を導入できる疎水化剤が好ましく、各々のアルキル基の炭素数が1乃至3のトリアルキルシリル基を導入できる疎水化剤がより好ましい。また、反応性の良さ、取り扱いの容易さ等から、アルキルシラザン系化合物または(トリアルキル)アルコキシシラン系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましく、得られる疎水化球状ポリアルキルシルセスキオキサン粒子の流動性がよいことから、ヘキサメチルジシラザンを使用することが最も好ましい。
疎水化剤の使用量は、特に制限されないが、少なすぎると疎水化処理が不十分となる虞があり、多すぎると後処理が煩雑となるため、疎水化処理する球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の(乾燥重量)100質量部に対して、0.01〜300質量部が好ましく、1〜200質量部とすることがより好ましい。
球状ポリメチルシルセキスオキサン粒子分散液への疎水化剤の配合方法は特に制限されず、常温、常圧で液体のものであれば、球状ポリメチルシルセキスオキサン粒子分散液中に滴下してもよいし、シャワーしてもよい。操作上、簡便であることから滴下が好ましい。
処理温度は、特に制限はなく、使用する疎水化剤の反応性を考慮して決定すればよいが、たとえば、0度〜100度とすることができる。また、処理時間は、たとえば、0.1〜72時間とすることができる。しかしながら、処理時間を短縮する観点では、処理温度は高い方が好ましく、具体的には第2の工程で用いた有機溶媒の沸点近傍の温度とすることが好ましい。
疎水化剤により球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子表面を疎水化処理することにより、得られる疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子は球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液の上層部に浮遊するのが一般的である(以下、この液を「紛体浮遊液」という)。紛体浮遊液から疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を回収する方法は、公知の方法を特に制限なく使用することができる。例えば浮遊する粉体をすくい取ることもできるし濾過法を採用しても良いが、操作が簡便であることから濾過法が好ましい。濾過の方法は特に制限されず、減圧濾過や遠心濾過、加圧濾過等、公知の方法を選択すればよい。濾過で使用する濾紙やフィルター、濾布等は工業的に入手可能なものであれば特に制限されることはなく、使用する装置に応じて適宜選択することができる。濾過時には、更に必要に応じて純水やメタノール等により固形分を洗浄してもよい。
前述したように回収した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末はそのまま使用することもできるが、不純物の少ない球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末が得られるために、粉末を乾燥して使用することが好ましい。粉末の乾燥方法は特に制限されず、送風乾燥や減圧乾燥等の公知の方法から選択できる。その中でも特に減圧乾燥は、解れやすい乾燥粉末が得られるためより好ましい。乾燥温度は、球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子に含まれるアルキル基などの官能基が分解しない温度であれば、特に制限されず、65〜350℃の範囲、特に、80〜250℃の範囲より、好適な温度を適宜設定すればよい。また、乾燥時間は特に制限されないが、2〜48時間にすることにより、十分乾燥した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得ることができる。
上記のようにして、下記物性を全て満足する球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得ることができる。
(1)レーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(D50)が0.11〜3.0μm
(2)窒素一点法によるBET比表面積(S)が60〜350m/g
(3)D50から下記式で求められる比表面積S/S≧6.0の関係にある
=6/ρd
(ただし、dはD50の値であり、ρは粒子密度である。)
本発明の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末は、公知の方法により液晶用スペーサーとして使用すればよく、このようなこのような液晶用スペーサーは液晶表示板のガラス基板への接着性に優れた特徴をもつ。
本発明において、上記のようにして入手可能な球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサーは、単独で使用しても良いし、目的に応じて、他の添加剤と併用しても良い。例えば、上記の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末と、他のシリコーンゴム粉末などのゴム粉末やゾルーゲル法で製造したシリカ粒子等を併用することができる。
以下、実施例、及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお作製したサンプルの諸物性は、下記の方法により評価した。
(1)累積10%径(D10)、累積50%径(D50)、累積90%径(D90)、及び変動係数の測定
体積基準での累積10%径(D10)、累積50%径(D50)、累積90%径(D90)はレーザー回折散乱法による測定で求めた。
具体的には、まず、ガラス製容器(内径4cm、高さ11cm)内に、乾燥した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末0.1gを投入した後、さらに2−プロパノール50gを添加することで混合液を得た。次に、超音波分散機のプローブ(先端の内径7mm)を、その先端から4.5cmまでの部分を混合液に浸した状態で、出力20Wで15分間超音波分散処理することで分散液を得た。続いて、この分散液を用いて、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置(ベックマン・コールター(株)製、LS13 320)を使用し、体積基準での累積10%径(D10)、累積50%径(D50)、累積90%径(D90)およびD90/D10を測定・算出した。
D90をD10で除した値(D90/D10)は粒度分布幅の幅を示し、値が小さいほど粒度分布の幅が狭いことを意味する。
(2)累積50%円形度の測定
粒子の円形度は、FE−SEMにより10万倍の視野で観察して得られた画像データを画像解析ソフトにより、粒子の周囲長、及び投影面積を求め、下記式より100個の粒子について円形度を算出した。次に得られた円形度の値を昇順に並べて50番目の値を累積50%円形度とした。
円形度=4π×(S/I
[上式において、Iは、粒子を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)により撮像して得られたSEM画像上における粒子の周囲長さ(nm)を示し、Sは、SEM画像上における粒子の投影面積(nm)を表わす。]
(3)BET比表面積の測定
BET比表面積は、窒素吸着BET1点法により測定した。具体的には、まず、秤量した測定セルに、0.12g前後の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を計り入れた。次に、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末が充填された測定セルをマントルヒーター内に設置した後、マントルヒーター内を窒素置換しつつ200℃で80分間加熱する前処理を実施した。その後、室温まで冷却した測定セルをBET比表面積測定装置(柴田化学社製SA−1000)内に設置し、液体窒素を用いて球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の表面に窒素ガスを吸着させた。そして、その吸着量からBET1点法により比表面積Sを得た。測定後の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末が充填された測定セルの質量を計測し、この値から先に測定しておいた測定セル自体の質量を引いて、前処理により脱離する水分等の質量分が除かれた球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の質量mを算出する。
前記BET表面積Sを、この質量mで除して比表面積Sを求めた。この計算の際には、BET表面積SXは単位をmとして表記したときの数値の小数点第1位を四捨五入してから計算に用い、質量mは、単位をgとして表記したときの数値の小数点第3位を四捨五入してから計算に用いた。そして、この計算により得られた数値の小数点第2位を四捨五入して得られた値を、BET比表面積Sとした。
(4)粒子密度の測定、及び理論比表面積(S)の算出
粒子密度(ρ)は、島津製作所製 乾式自動密度計AccuPyc1330型により測定した。測定は以下の手順で実施した。まず、120℃で24時間減圧乾燥処理した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を10mlサンプル容器に、0.0001gの単位まで秤量した。次に、サンプル容器を乾式自動密度計の測定室内にセットした後、測定室内にHeガスを流しながら、測定温度25℃にて粒子密度を測定した。上記乾式自動密度計では測定に供した粉末の質量を入力すると、粒子密度は小数点以下5桁までg/cmを単位として表示される。このため、比表面積Sの計算に用いる粒子密度ρの値としては、g/cmで表記される粒子密度の小数点第3位を四捨五入して得られた数値を用いた。
D50およびρの測定値を用いて下式により、理論比表面積S(m/g)を算出した。この際、下式の右辺に基づき計算された数値の小数点第2位を四捨五入した値を、理論比表面積Sとした。
S2=6/(ρ×D50)
〔上式中、ρは粒子密度を表す。〕
(5)13C DDMAS NMRの測定
下記に示す3種類のピークおよびその面積を、13C DDMAS NMRにより測定した。測定装置はBruker Biospin製AVANCE IIを用いた。
<i>アルコキシル基の1位の炭素原子に由来するピークaおよびその面積A
<ii>メチル基に含まれる炭素原子に由来するピークbおよびその面積B
<iii>トリアルキルシリルオキシ基を構成するケイ素原子に結合した炭素原子に由来するピークcおよびその面積C
測定条件は、固体測定用プローブ(直径4mm)を用い、測定核種13C、MAS回転速度7kHz、パルスプログラムhpdec、繰返し時間10sec、積算回数6000回以上、外部標準はグリシンのカルボニルのピーク(176.03ppm)とした。また、各ピークの面積は、ピーク波形分離プログラムを用いて算出した。なお、後述するNMR測定の結果を示す表には、ピークaの面積A、ピークbの面積Bおよびピークcの面積Cの合計を100%として記載した。
また、上述した測定条件にてNMR測定を行った場合、(c)アルコキシル基がメトキシ基の場合、ピークaは−50ppm付近に観測され、(b)メチル基の場合、ピークbは−4ppm付近に観測され、(e)その他の基がトリメチルシリル基の場合、ピークcは−1ppm付近に観測される。よって、後述するNMR測定の結果において、ピークaの存在は、測定された粒子がアルコキシル基を含むことを意味し、ピークbの面積が100%よりも小さいことは、ポリメチルシルセスキオキサン由来のメチル基以外の炭素が存在していることを意味し、ピークcの面積Cは、疎水化処理に起因して粒子の表面近傍に含まれるトリアルキルシリルオキシ基に由来する炭素の存在割合を意味する。
(6)疎水化度(M値)の測定
疎水化度(M値)は、メタノール滴定法によって測定する。測定は以下の手順で行う。まず、容積200mlの容器(ビーカー)中に純水50mlと球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末0.2gを入れたものを準備する。次に、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末の全量が湿潤し液中に分散された状態となるまで、容器の内容物を撹拌しながら、容器中にビュレットからメタノールを滴下する。滴下終了時点での純水(50ml)と滴下したメタノールの総量に対する滴下したメタノールの量の体積百分率の値が疎水化度(M値)である。疎水化度(M値)が高いほど疎水性が高く、値が低いほど親水性が高いことを示す。
(7)FT−IRの測定
酸素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピーク面積Xと、ケイ素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピーク面積Yの割合(X/Y)はFT−IRによる測定で求めた。測定は以下の手順で実施した。球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末をKBr粉末で10倍に希釈し、メノウ乳鉢で粉砕混合後、フーリエ変換赤外分光光度計(バリアンテクノロジーズ製フーリエ変換赤外分光光度計FTS−3000)を使用して拡散反射法で測定した。得られたIRスペクトルをバリアンテクノロジーズ製FT−IRソフトウエアVarianResolutions4.0を用いて解析した。
本実施例では、アルコキシ基がメトキシ基であり、吸光波数2850cm−1付近の酸素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピークを面積Xとした。またメチル基の場合は、吸光波数1409cm−1付近のケイ素原子に結合した炭素原子におけるC−H伸縮に基づく吸収のピークの面積Yを各々求め、またその比を求めた。
(8)29Si DDMAS NMRの測定
構造式(1)中の符号Dで示すケイ素原子(n)に由来するピークdの面積D、および、構造式(2)中の符号Eで示すケイ素原子(n)に由来するピークeの面積Eを、29Si DDMAS NMRにより測定した。測定装置はBruker Biospin製AVANCE IIを用いた。測定条件は、固体測定用プローブ(直径4mm)を用い、測定核種29Si、MAS回転速度8kHz、パルスプログラムhpdec、繰返し時間20sec、積算回数4000回以上、外部標準はポリジメチルシランのピーク(34ppm)として測定を行った。また、各ピークの面積は、ピーク波形分離プログラムを用いて算出した。なお、後述するNMR測定の結果を示す表には、ピーク面積Eを100%(基準値)とした際の、ピーク面積Dの相対的割合(%)示した。−56ppm付近に観測されるピークがピークdに該当し、−65ppm付近に観測されるピークがピークeに該当する。
(9)炭素量の測定
球状ポリメチルシルセスキオキサンに含まれる炭素原子の総量(炭素量)は、株式会社住化分析センター製のスミグラフNC−22Fにより測定した。具体的には、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末30mgを秤量し、反応炉温度900℃で燃焼させ、還元炉温度600℃で炭素量を測定した。
(10)固体表面に対する粒子の付着力(接着量)の測定
固体表面に対する粒子の付着量(接着量)の測定は以下の手順にて実施した。まず、ガラス製容器(内径4cm、高さ11cm)内に乾燥した球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末1gを投入した後、さらに2−プロパノール50gを添加することで混合液を得た。次に、超音波分散機のプローブ(先端の内径7mm)を、その先端から4.5cmまでの部分を混合液に浸した状態で、出力20Wで15分間超音波分散処理することで分散液を得た。この分散液4ccを質量W1(g)のスライドガラス(松波硝子工業株式会社 品番:S1111、品名:白縁磨No.1、幅26mm、長さ76mm)の片面に均一に滴下した後、スライドガラスを120℃で3時間真空乾燥した。真空乾燥処理した後のスライドガラスをホソカワミクロン製 パウダテスタPT−Xを用いて、ストローク長18mm、タッピング速度60回/minで10回タッピングした。そして、タッピング後のスライドガラスの重量W2(g)を測定した。ここで、ガラスへの接着量は、下式に基づいて算出した。
ガラスへの接着量(g/m)=(W2−W1)/0.001976
2.粒子の製造
実施例A1
第1の工程
1000mlナスフラスコに、水56g、及び触媒として酢酸0.01gを仕込み、30℃で攪拌した。ここにメチルトリメトキシシラン70gを加えて1時間撹拌して、原料溶液126gを得た。このとき、メチルトリメトキシシランの加水分解反応により生成するメタノール量は49.5gである。なお、当該アルコール量は、100%加水分解した場合における理論計算値であり、以下の各実施例および比較例についても同様である。
第2の工程
1000mlナスフラスコに、25%アンモニア水2.9g、水91.2g、メタノール313.8gを投入して30℃で撹拌し、アルカリ性水系媒体を調製した。このアルカリ性水系媒体に、第1の工程で得た原料溶液126.0gを1分間かけて滴下した。この原料溶液を滴下後の混合液をそのまま25分撹拌して、微粒子前駆体の重縮合反応を進行させ重縮合反応液533.9gを得た。
第3の工程
第3の工程は、図1に示す反応装置10を用いて実施した。なお、使用したY字状の3分岐管反応器20は、第一の流路110の中心軸と第二の流路120の中心軸との成す角度(以下、「分岐角度」と称す場合がある)が90度であり、絞り部112(及び絞り部114)の流出口側から中心点Cまでの距離Rと絞り部径d1(及びd2)の比R/d1(及びR/d2)が12.5である。
ここで、第一の流路110の入口側から重縮合反応液533.9gを接続部140近傍における流速1.9m/秒、第二の流路120の入口側から水性溶液として水533.9gを接続部140近傍における流速1.9m/秒(水性溶液の流速/重縮合反応液の流速=1、以下、流速比と言う)になるように、それぞれを同時に供給し、接続部140で衝突混合させた。そして、第三の流路130から排出された混合液、すなわち、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む分散液1067.8gを得た。この分散液(混合溶液)に含まれる球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子は3.2質量%であり、また分散液(混合溶液)に含まれる有機溶媒の含有量は34質量%であった。
この分散液を20℃で24時間静置(熟成処理)した後に、吸引濾過で球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を乾燥し、120℃で24時間減圧乾燥して白色の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末34gを得た。
各種評価結果を表1〜表4に記す。
実施例A2
第3の工程で使用する水性溶媒を10質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は39質量%であった。
実施例A3
第3の工程で使用する水性溶媒を20質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は44質量%であった。
実施例A4
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は47質量%であった。
実施例A5
第3の工程で使用する水性溶媒を30質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は49質量%であった。
実施例A6
第3の工程で使用する水性溶媒として35質量%メタノール水溶液を使用した以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は52質量%であった。
実施例A7
第3の工程で使用する水性溶媒を40質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は54質量%であった。
実施例A8
第3の工程で使用する水性溶媒を45質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は57質量%であった。
実施例A9
第3の工程で使用する水性溶媒を20質量%エタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は44質量%であった。
実施例A10
第3の工程で使用する水性溶媒を30質量%エタノール水溶液とし、かつ、第3の工程で得た分散液を静置する時間(熟成時間)を144時間とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は49質量%であった。
実施例A11
第3の工程で使用する水性溶媒を20質量%イソプロピルアルコール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は44質量%であった。
実施例A12
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%イソプロピルアルコール水溶液とし、かつ、第3の工程で得た分散液を静置する時間(熟成時間)を144時間とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は47質量%であった。
実施例A13
第3の工程で使用する水性溶媒を15質量%アセトン水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は42質量%であった。
実施例A14
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%アセトン水溶液とし、かつ、第3の工程で得た分散液を静置する時間(熟成時間)を144時間とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は47質量%であった。
実施例A15
第3の工程で使用する水性溶媒を15質量%テトラヒドロフラン水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は42質量%であった。
実施例A16
第1の工程
1000mlナスフラスコに、水62g、及び触媒として酢酸0.55gを仕込み、40℃で攪拌した。ここにメチルトリエトキシシラン98.3gを加えて90分間撹拌して、原料溶液160.9gを得た。このとき、メチルトリエトキシシランの加水分解反応により生成するエタノール量は76gである。
第2の工程
1000mlナスフラスコに、25%アンモニア水4.3g、水91.2g、エタノール313.8gを投入して30℃で撹拌し、アルカリ性水系媒体を調製した。このアルカリ性水系媒体に、第1の工程で得た原料溶液160.9gを1分間かけて滴下した。この原料溶液を滴下後の混合液をそのまま25分撹拌して、微粒子前駆体の重縮合反応を進行させ重縮合反応液570.2gを得た。
第3の工程
第3の工程は、図1に示す反応装置10を用いて実施した。なお、使用したY字状の3分岐管反応器20は、第一の流路110の中心軸と第二の流路120の中心軸との成す角度(以下、「分岐角度」と称す場合がある)が90度であり、絞り部112(及び絞り部114)の流出口側から中心点Cまでの距離Rと絞り部径d1(及びd2)の比R/d1(及びR/d2)が12.5である。
ここで、第一の流路110の入口側から重縮合反応液570.2gを接続部140近傍における流速1.9m/秒、第二の流路120の入口側から水性溶液として20質量%エタノール水溶液570.2gを接続部140近傍における流速1.9m/秒(水性溶液の流速/重縮合反応液の流速=1、以下、流速比と言う)になるように、それぞれを同時に供給し、接続部140で衝突混合させた。そして、第三の流路130から排出された混合液、すなわち、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む分散液1140.4gを得た。この分散液(混合溶液)に含まれる球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子は3.3質量%であり、また分散液(混合溶液)に含まれる有機溶媒の含有量は44質量%であった。
この分散液を20℃で72時間静置(熟成処理)した後に、実施例A1と同様にして、吸引濾過で球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を乾燥し、120℃で24時間減圧乾燥して白色の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例A17
第3の工程において、分岐管反応器20の接続部140における衝突混合条件を下記に示す条件に変更した以外は、実施例A2と同様にして球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。
<衝突混合条件>
(1)第一の流路100の入口側から供給される重縮合反応液の供給量および流速:
実施例A2と同一とした。
(2)第二の流路120の入口側から供給される10質量%メタノール水溶液の供給量および流速:供給量を1016gに変更し、流速を3.6m/秒に変更した。
(3)流速比:流速比を1.9に変更した。
なお、第3の工程を実施することで、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む分散液1550gを得た。また、この分散液(混合溶液)に含まれる球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子は2.2質量%であり、また、分散液(混合溶液)に含まれる有機溶媒の含有量は30質量%であった。
実施例A18
第3の工程により得られた分散液(混合溶液)の熟成時間を0.5時間に変更した以外は、実施例A2と同様にして球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を製造した。
比較例A1
第3の工程で使用する水性溶液を50質量%メタノール水溶液とした以外は、実施例A1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を製造した。第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は59質量%であった。この分散液を20℃で24時間静置して熟成させた後に、吸引濾過で球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粉末の回収を試みた。しかし、回収された固形分はゲル状の塊であった。また、このゲル状の塊について、FE−SEMで確認しても粒子成分は認められなかった。
比較例A2
200mlナスフラスコに、水54、0g、及び触媒として酢酸0.01gを仕込み、30℃で撹拌した。ここにメチルトリメトキシシラン68.0gを加えて4時間撹拌して、反応溶液122.0gを得た。このとき、メチルトリメトキシシランの加水分解により生成するメタノールの量は48.1gである。
この反応溶液122.0gを0.25%アンモニア水14gおよび水498gからなる25℃の混合液に添加すると、すぐに溶液は白濁した。この混合溶液中の有機溶媒の含有量は7.6質量%であった。白濁した混合液を30℃で16時間撹拌した後に5分間静置すると、フラスコの底に白色の沈殿物が生成した。この沈殿物を吸引濾過で回収し、得られたケークを120℃で24時間減圧乾燥させて球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
比較例A3
比較例A2において、25%アンモニア水の量を2.8g、水の量を511gとした以外は同様に実施し、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。この混合溶液中の有機溶媒の含有量は7.6質量%であった。
実施例B1
第3の工程までは実施例A1と同一の操作を行い、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む分散液(混合溶液)を得た。
得られた分散液を20℃で24時間静置(熟成処理)した後、熟成処理後の分散液を65℃に昇温してから、疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン8.6gを添加して3時間撹拌することで第4の工程(疎水化処理)を実施した。疎水化処理後は、実施例A1と同様にして吸引濾過による回収および減圧乾燥を実施し、白色の球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B2
第3の工程で使用する水性溶媒を10質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は39質量%であった。この分散液を実施例B1と同様に熟成処理した後、さらに65℃に昇温してから疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン17.2gを添加して3時間撹拌した。その後、実施例B1と同様に吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B3
第3の工程で使用する水性溶媒を20質量%メタノール水溶液とし、かつ、第3の工程で得た分散液を静置する時間(熟成時間)を15時間とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は44質量%であった。この分散液を実施例B1と同様に熟成処理した後、続いて、熟成後の分散液を、65℃に昇温してから疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン8.6gを添加して3時間撹拌した。その後、実施例B1と同様に吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B4
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は47質量%であった。この分散液を実施例B1と同様に熟成処理した後、さらに65℃に昇温してから疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン17.2gを添加して3時間撹拌した。その後、実施例B1と同様に吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B5
第3の工程で使用する水性溶媒を30質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は49質量%であった。この分散液を実施例B1と同様に熟成処理した後、さらに65℃に昇温してから疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン8.6gを添加して3時間撹拌した。その後、実施例B1と同様に吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B6
疎水化処理時のヘキサメチルジシラザンの添加量を3.4gに変更した以外は実施例B5と同様にして球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B7
実施例B5と同様に製造した球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を20℃で168時間静置して熟成処理した。続いて、熟成処理後の分散液を用いて実施例B3と同様に疎水化処理を実施して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B8
疎水化処理時のヘキサメチルジシラザンの添加量を3.4gに変更した以外は実施例B7と同様にして球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B9
第3の工程で使用する水性溶媒を35質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は52質量%であった。この分散液を20℃で24時間静置して熟成した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B10
第3の工程で使用する水性溶媒を40質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は54質量%であった。この分散液を20℃で24時間静置して熟成した後、実施例B3と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B11
実施例B10と同様にして製造した球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を20℃で168時間静置して熟成処理した。続いて、熟成処理後の分散液を用いて、実施例B3と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B12
第3の工程で使用する水性溶媒を45質量%メタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は57質量%であった。この分散液を20℃で24時間静置して熟成処理した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B13
第3の工程で使用する水性溶媒を30質量%エタノール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は49質量%であった。この分散液を20℃で144時間静置して熟成処理した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B14
第3の工程で使用する水性溶媒を20質量%イソプロピルアルコール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は44質量%であった。この分散液を20℃で24時間静置して熟成処理した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B15
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%イソプロピルアルコール水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は47質量%であった。この分散液を20℃で144時間静置して熟成処理した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B16
第3の工程で使用する水性溶媒を25質量%アセトン水溶液とした以外は実施例B1と同様に球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液を得た。第3の工程で得た分散液尾有機溶媒の含有量は47質量%であった。この分散液を20℃で144時間静置して熟成処理した後、実施例B2と同様に疎水化処理、吸引濾過および減圧乾燥を実施して、球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
実施例B17
第3の工程までは実施例A16と同一の操作を行って、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む分散液1140.4gを得た。なお、第3の工程で得た分散液の有機溶媒の含有量は、実施例A16と同じく44質量%であった。この分散液を20℃で72時間静置(熟成処理)した後に、65℃に昇温してから疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン17.2gを添加して3時間撹拌した。液の上層部に浮かびあがった疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粉体を吸引濾過で回収し、120℃で24時間減圧乾燥して白色の疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末38gを得た。
比較例B1
200mlナスフラスコに、水54.0g、及び触媒として酢酸0.01gを仕込み、30℃で撹拌した。ここにメチルトリメトキシシラン68.0gを加えて4時間撹拌して、反応溶液122.0gを得た。このとき、メチルトリメトキシシランの加水分解反応により生成するメタノールは48.1gである。
この反応溶液122.0gを、25%アンモニア水14gおよび水498gからなる25℃の混合液に添加すると、すぐに溶液は白濁した。この混合液中の有機溶媒の含有量は7.6gであった。白濁した混合液を30℃で16時間撹拌した後にヘキサメチルジシラザンを添加・撹拌した混合液中に生成した沈殿物を吸引濾過で回収して得たケークを120℃で24時間減圧乾燥して球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末を得た。
3.実験結果
表1〜10に、各実施例および比較例における粒子の主要な製造条件および各種の評価結果について示す。なお、表中において、*1〜*8を付した語句の意味は下記のとおりである。
*1:第3の工程において、重縮合液と混合される水性溶液。
*2:第3の工程において、重縮合液と水性溶液とを混合した混合溶液(分散液)。
*3:ヘキサメチルジシラザンによる表面処理(疎水化処理)の有無
*4:13C DDMS NMR測定により得られたピーク面積の相対割合(但し、面積A、B、Cの合計を100%(基準値)とした値)。
*5:29Si DDMS NMR測定により得られたピーク面積の相対割合(但し、面積Dを100%(基準値)とした値)。
*6:[{(c)アルコキシル基+(d)水酸基/(b)メチル基]を意味する比率。
*7:[(c)アルコキシル基/{(c)アルコキシル基+(d)水酸基}]を意味する比率。
*8:FT−IR測定により得られたピーク面積の相対割合。
図7に各実施例および比較例の粒子の固体表面に対する付着量を粒径(D50)に対してプロットしたグラフを示す。実施例A1〜A18および比較例A1〜A3は疎水化処理をしなかった場合の例、実施例B1〜B17と比較例B1は、ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理を行ってトリメチルシリル基を導入した場合の例である。図7に示すように、D50が小さいほど密着性が高く、さらに同等のD50であれば、トリメチルシリル基を導入して疎水化処理を行っている方が密着性が高い傾向がある。
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
Figure 2020076977
10 反応装置
20 3分岐管型反応器
30 第一ポンプ
32 第二ポンプ
40 第一原料タンク
42 第二原料タンク
50 回収タンク
110 第一の流路
112、114 絞り部
120 第二の流路
130 第三の流路
140 接続部

Claims (6)

  1. 下記物性(a)〜(c)を全て満足する球状ポリメチルシルセスキオキサンからなる液晶用スペーサー。
    (a)レーザー回折散乱法による体積基準での累積50%径(D50)が0.11〜3.0μm
    (b)窒素吸着BET一点法による比表面積(S)が60〜350m/g
    (c)D50から下記式で求められる比表面積S/S≧6.0の関係にある
    =6/(ρ×D50)
    〔上式中、ρは粒子密度を表す。〕
  2. 前記球状ポリメチルシルセスキオキサンが、当該ポリメチルシルセスキオキサンを構成する3つの酸素原子が結合したケイ素原子(n)の一部において、当該酸素原子の少なくとも1つにアルキル基が結合してアルコキシル基が形成されている球状ポリメチルシルセスキオキサンである請求項1記載の液晶用スペーサー。
  3. 前記球状ポリメチルシルセスキオキサンが、13C DDMAS NMRにより測定されるピーク面積A及びBが下式を満たす球状ポリメチルシルセスキオキサンである請求項1または2いずれか記載の液晶用スペーサー。
    0.012≦A/B≦0.030
    〔上式中、Aは前記アルコキシル基における1位の炭素原子に由来するピークの面積であり、Bは、前記ケイ素原子(n)に結合したメチル基の炭素原子に由来するピークの面積である。〕
  4. 前記球状ポリメチルシルセスキオキサンが、トリアルキルシリルオキシ基を有する球状ポリメチルシルセスキオキサンである請求項1乃至3いずれか1項記載の液晶用スペーサー。
  5. 前記球状ポリメチルシルセスキオキサンのD50が0.3μmを超え、かつアルコキシル基と水酸基の合計(100%)に対するアルコキシル基の割合が10%以上の球状ポリメチルシルセスキオキサンである、請求項2乃至4記載いずれか1項記載の液晶用スペーサー。
  6. 請求項1乃至5いずれか1項の液晶用スペーサーによりセルギャップが保持されている液晶パネル。
JP2019188386A 2018-10-23 2019-10-15 球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサー Active JP7209609B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018199250 2018-10-23
JP2018199250 2018-10-23

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020076977A true JP2020076977A (ja) 2020-05-21
JP7209609B2 JP7209609B2 (ja) 2023-01-20

Family

ID=70724025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019188386A Active JP7209609B2 (ja) 2018-10-23 2019-10-15 球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7209609B2 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3210208A (en) * 1962-05-01 1965-10-05 Smith Kline French Lab Process of coating organopolysiloxane particles
JPH11152336A (ja) * 1997-08-29 1999-06-08 Ube Nitto Kasei Co Ltd ポリオルガノシロキサン微粒子の製造方法
JP2000204168A (ja) * 1998-11-09 2000-07-25 Catalysts & Chem Ind Co Ltd ポリオルガノシロキサン微粒子の製造方法および液晶表示装置
US20020010300A1 (en) * 1998-12-22 2002-01-24 Hubert Mimoun Porous polymethylsilsesquioxane with adsorbent properties
JP2006058466A (ja) * 2004-08-18 2006-03-02 Sekisui Chem Co Ltd 液晶表示素子用光硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子
JP2011112689A (ja) * 2009-11-24 2011-06-09 Toppan Printing Co Ltd ビーズスペーサ
WO2016181860A1 (ja) * 2015-05-08 2016-11-17 積水化学工業株式会社 シリコーン粒子、シリコーン粒子の製造方法、液晶滴下工法用シール剤及び液晶表示素子
JP2017071740A (ja) * 2015-10-09 2017-04-13 信越化学工業株式会社 球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法
WO2020009068A1 (ja) * 2018-07-03 2020-01-09 株式会社トクヤマ 球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3210208A (en) * 1962-05-01 1965-10-05 Smith Kline French Lab Process of coating organopolysiloxane particles
JPH11152336A (ja) * 1997-08-29 1999-06-08 Ube Nitto Kasei Co Ltd ポリオルガノシロキサン微粒子の製造方法
JP2000204168A (ja) * 1998-11-09 2000-07-25 Catalysts & Chem Ind Co Ltd ポリオルガノシロキサン微粒子の製造方法および液晶表示装置
US20020010300A1 (en) * 1998-12-22 2002-01-24 Hubert Mimoun Porous polymethylsilsesquioxane with adsorbent properties
JP2002533502A (ja) * 1998-12-22 2002-10-08 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム 吸着性を有する多孔質ポリメチルシルセスキオキサン
JP2006058466A (ja) * 2004-08-18 2006-03-02 Sekisui Chem Co Ltd 液晶表示素子用光硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子
JP2011112689A (ja) * 2009-11-24 2011-06-09 Toppan Printing Co Ltd ビーズスペーサ
WO2016181860A1 (ja) * 2015-05-08 2016-11-17 積水化学工業株式会社 シリコーン粒子、シリコーン粒子の製造方法、液晶滴下工法用シール剤及び液晶表示素子
CN107250220A (zh) * 2015-05-08 2017-10-13 积水化学工业株式会社 聚硅氧烷粒子、聚硅氧烷粒子的制造方法、液晶滴下工艺用密封剂及液晶显示元件
KR20180004700A (ko) * 2015-05-08 2018-01-12 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 실리콘 입자, 실리콘 입자의 제조 방법, 액정 적하 공법용 시일제 및 액정 표시 소자
JP2017071740A (ja) * 2015-10-09 2017-04-13 信越化学工業株式会社 球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法
KR20170042478A (ko) * 2015-10-09 2017-04-19 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 구상 폴리오르가노실세스퀴옥산 입자의 제조 방법
WO2020009068A1 (ja) * 2018-07-03 2020-01-09 株式会社トクヤマ 球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP7209609B2 (ja) 2023-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101927277B1 (ko) 소수화 구형 폴리알킬실세스퀴옥산 미립자, 토너용 외첨제, 전자 사진용 건식 토너, 및, 소수화 구형 폴리알킬실세스퀴옥산 미립자의 제조 방법
TWI680152B (zh) 表面改質金屬氧化物粒子分散液及其製造方法、表面改質金屬氧化物粒子-矽酮樹脂複合組成物、表面改質金屬氧化物粒子-矽酮樹脂複合物、光學構件以及發光裝置
JP5795840B2 (ja) シリカ粒子材料、シリカ粒子材料含有組成物、およびシリカ粒子の表面処理方法
CN1411916A (zh) 用氨基表面改性的固体
JP2010143806A (ja) 表面処理シリカ系粒子及びその製造方法
JP7155046B2 (ja) 疎水性シリカ粉末及びトナー樹脂粒子
KR20130008528A (ko) 무기 산화물 입자의 제조 방법
JP2013075822A (ja) 表面処理シリカ系粒子の製造方法
US20230125516A1 (en) Method for producing surface-treated silica powder, resin composition, and slurry
JP2020090406A (ja) 4級アンモニウム基で表面修飾された金属酸化物粒子およびその製造方法
JP7284167B2 (ja) 球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子
JP4803630B2 (ja) 高純度疎水性有機溶媒分散シリカゾルの製造方法
TWI586771B (zh) A paste composition for a solar cell electrode
US11535756B2 (en) Method for producing silica composite particle
JP7209609B2 (ja) 球状ポリメチルシルセスオキサンからなる液晶用スペーサー
JP2014076923A (ja) 金属酸化物ナノ粒子分散液の製造方法
JP2011528385A (ja) 疎水化二酸化ケイ素粒子及びその顆粒の分散液
JP7007982B2 (ja) コロイダルシリカ
JP6564551B1 (ja) 表面改質チタン酸バリウム粒子材料、チタン酸バリウム含有樹脂組成物、及びチタン酸バリウム分散液
JP7061000B2 (ja) シリカ粒子又はその分散体の製造方法
CN103922397A (zh) 改性氧化锆微粒粉末、改性氧化锆微粒分散溶胶及其制造方法
JP4065757B2 (ja) トナー用外添剤
JP2013067546A (ja) シリカ粒子分散液の製造方法
JP7470508B2 (ja) シリカ粉体、シリカ粉体の製造方法、および焼成シリカ粉体の製造方法
EP3747831A1 (en) Composite oxide powder and method for production thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220412

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7209609

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150