JP2017071740A - 球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法 - Google Patents

球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不定形粒子が混在しない球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を効率よく、また製造スケールを変えても粒径が変化することなく製造できる方法の提供。
【解決手段】
次の工程(i)、(ii)及び(iii)を有することを特徴とする平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法。
(i) 一般式R1Si(OR23
(式中、R1は炭素数1〜20の1価炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
で表されるオルガノトリアルコキシシランをpHが4.0〜7.0の水に添加し、加水分解反応を行い、透明な水溶液を得る工程
(ii) 工程(i)で得られた水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とをラインミキサー中で混合する工程
(iii)工程(ii)の混合後、静置状態でポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を析出させる工程
【選択図】図1

Description

本発明は、平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法に関する。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、光拡散剤、プラスチックフィルムや紙のブロッキング防止剤、ファンデーションやスキンケア製品などの化粧料の使用感の向上剤、塗料の艶消し剤、クリーナーワックスの伸展性向上剤・研磨剤等として使用されている。
球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子を得る方法としては、メチルトリメトキシシランまたはメチルトリエトキシシランを、アルカリ金属水酸化物、アンモニア又は有機アミンの水溶液に撹拌下添加し、加水分解、縮合反応させる方法(特許文献1:特公昭40−16917号公報)、メチルトリアルコキシシランを上層にし、アンモニアまたはアミンの水溶液を下層にし、これらの界面で加水分解、縮合反応させる方法(特許文献2:特開昭63−77940号広報)、メチルトリアルコキシシランを水と撹拌し均一溶液とし、次いでアルカリを添加し撹拌し均一混合した後、撹拌を停止し静置下で縮合反応させる方法(特許文献3:特開平4−88023号広報)等が知られている。また、球状のポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を得る方法としては、例えば、特許文献4(特開平4−202325号広報)に、メチル基以外の有機基を含有するトリアルコキシシランシランを用い特許文献1や特許文献3と同じ方法で製造する方法が開示されている。
しかし、オルガノトリアルコキシシランをアルカリの水溶液に撹拌下に添加し加水分解、縮合反応させる方法では、特にオルガノトリアルコキシシランの配合量を多くすると、部分的に数mmの硬い凝集粒が生成し、これを粉砕しても不定形の粒子となってしまう。この凝集粒は篩を用いて除去できるが、収率が低くなるという問題がある。
メチルトリアルコキシシランを上層にし、アルカリの水溶液を下層にし、これらの界面で加水分解、縮合反応させる方法は、シランとアルカリの水溶液との反応界面維持が困難であり、また製造スケールが大きい場合には製造に時間がかかり生産効率が低くなるという問題がある。
オルガノトリアルコキシシランを水と撹拌し均一溶液とし、次いでアルカリを添加し撹拌し均一混合した後、撹拌を停止し静置下で縮合反応させる方法では、上記の問題はない。しかし、この方法は、製造スケールにより粒径が変わる場合があるという問題がある。
特公昭40−16917号公報 特開昭63−77940号公報 特開平4−88023号公報 特開平4−202325号公報
従って、本発明の目的は、上記問題点の無い球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、以下に示す方法によれば、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子を得る方法において、大スケール製造においても小スケール製造と同じ粒径の粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
次の工程(i)、(ii)及び(iii)を有することを特徴とする平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法を提供するものである。
(i) 下記一般式(1)
1Si(OR23 (1)
(式中、R1は非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
で表されるオルガノトリアルコキシシランをpHが4.0〜7.0の水に添加し、加水分解反応を行い、透明な水溶液を得る工程
(ii) 工程(i)で得られた水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とをラインミキサー中で混合する工程
(iii)工程(ii)の混合後、静置状態でポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を析出させる工程
本発明によれば、不定形粒子が混在しない球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を効率よく、また製造スケールを変えても粒径が変化することなく製造できる。
本発明を適用してポリオルガノシルセスキオキサン粒子を製造する手順の一例を示すフロー図である。
本発明は、下記工程(i)、(ii)及び(iii)を有することを特徴とする平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法である。
(i) 下記一般式(1)
1Si(OR23 (1)
(式中、R1は非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
で表されるオルガノトリアルコキシシランをpHが4.0〜7.0の水に添加し、加水分解反応を行い、透明な水溶液を得る工程
(ii) 工程(i)で得られた水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とをラインミキサー中で混合する工程
(iii)工程(ii)の混合後、静置状態でポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を析出させる工程
以下、上記各工程について詳細に説明する。
工程(i)
本発明では、下記一般式(1)で表されるオルガノトリアルコキシシランを原料として用いる。
1Si(OR23 (1)
(式中、R1は非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を示し、R2は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
ここで、一般式(1)中、R1は非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアミノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。球状の粒子を得るためには、R1はメチル基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又はフェニル基であることが好ましい。
2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、球状の粒子を得るためには、メチル基であることが好ましい。オルガノトリアルコキシシランは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリオルガノシルセスキオキサンは、一般式R1SiO3/2単位から構成されるものであるが、その中にR1 2SiO2/2単位、R1 3SiO1/2単位及びSiO4/2単位の少なくとも1種を導入したい場合には、それぞれに対応するR1 2Si(OR22、R1 3SiOR2及びSi(OR24の少なくとも1種を添加すればよい(これらの式で、R1及びR2は前記のとおりである。)。R1Si(OR23とR1 2Si(OR22、R1 3SiOR2及びSi(OR24の少なくとも1種を用いる場合、R1Si(OR23の含有率は、アルコキシシラン中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。
工程(i)では、一般式(1)で表されるオルガノトリアルコキシシランをpHが4.0〜7.0の水に添加し、加水分解反応を行い、透明な水溶液を得る。
本工程で使用される水は、オルガノトリアルコキシシランを加水分解するために、pHを4.0〜7.0とする必要がある。pHが4.0未満または7.0より高いと、縮合反応が進行してしまい、ゲルが生成する。好ましくは5.0〜6.8の範囲である。例えば、ここで用いる水がイオン交換水であれば、空気中の炭酸の溶解により、pHが前記範囲となるため、そのまま使用できる。なお、前記範囲のpHとするために少量の酸性物質を添加してもよい。この酸性物質は特に限定されず、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、リンゴ酸等のカルボン酸、塩酸;リン酸;硫酸;メタンスルホン酸;トリフロロメタンスルホン酸等を挙げることができる。
本工程では、オルガノトリアルコキシシランの加水分解反応速度向上やポリオルガノシルセスキオキサン粒子の粒径をコントロールする目的等で水に水溶性の有機溶剤を添加してもよい。ここで用いる有機溶剤は水溶性であれば特に限定されず、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類やアセトン等のケトン類が挙げられる。
オルガノトリアルコキシシランの添加量は、工程(i)で使用する水および後記の工程(ii)のアルカリ性物質溶解用の水とを合わせた水100質量部に対しオルガノトリアルコキシシランの量が1〜40質量部となる量が好ましい。オルガノトリアルコキシシランの量が少ないと生産効率が悪くなるし、多いと工程(iii)においてゲルが生成する。より好ましくは10〜30質量部の範囲である。
工程(i)では、水にオルガノトリアルコキシシランを添加し、オルガノトリアルコキシシランの加水分解反応を、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼などの通常の撹拌機を用いて撹拌下で行うことが好ましい。オルガノトリアルコキシシランは、一度に添加してもよいが、時間をかけて徐々に添加してもよい。また、逆にオルガノトリアルコキシシランに水を添加してもよいし、槽に同時に添加混合してもよい。このときの温度は限定されず、0〜100℃の範囲で行えばよい。加水分解反応により、オルガノトリアルコキシシランは、一般式R1Si(OH)3(R1は一般式(1)中のR1同じものを示す)で示されるオルガノシラントリオールとなり、またアルコールが副生する。それで、シランはアルコールを含む水に対して溶解性となり、透明な水溶液となる。
撹拌は透明な水溶液となるまで続ける。その時間は、加水分解反応速度によって、すなわち、オルガノトリアルコキシシランの種類、水のpH、反応温度によって異なる。また、オルガノトリアルコキシシランの添加量によっても異なる。
工程(ii)
本工程は、工程(i)で得られたシランの水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とをラインミキサー中で混合する工程である。
アルカリ性物質は加水分解したオルガノトリアルコキシシラン、すなわちオルガノシラントリオールの縮合反応触媒として作用し、それにより工程(iii)においてポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成する。アルカリ性物質は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。アルカリ性物質はそのまま添加してもよいが、短時間で水に均一に溶解させる必要があるため、固体状および気体状であるものは水溶液にして添加することが望ましい。アルカリ性物質の量は、少なくとも、工程(iii)において縮合反応が進行してポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成する量が必要である。最低必要量は、オルガノトリアルコキシシラン工程(i)における水のpHやオルガノトリアルコキシシランの種類やアルカリ性物質の種類や反応温度により異なるが、水100質量部に対し、例えば28%濃度のアンモニア水の場合で0.001質量部以上が好ましく、特に0.01質量部以上が好ましい。アルカリ性物質が多すぎると、縮合反応速度が速くなり、工程(ii)においてポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成し始めると共にゲルが生成する。そのため、工程(ii)においてポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成しないような量に抑える必要がある。その最大量は、オルガノトリアルコキシシランの種類や水に対するオルガノトリアルコキシシラン量やアルカリ性物質の種類や反応温度により異なるが、水100質量部に対し、例えば28%濃度のアンモニア水の場合で1.0質量部以下が好ましく、特に0.5質量部以下が好ましい。
ここで用いるアルカリ性物質は特に限定されず、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;アンモニア水;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド;又はモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどのアミン類等を使用することができる。なかでも、揮発させることにより、得られるポリオルガノシルセスキオキサン粒子から容易に除去できる、アンモニア水が好ましい。
工程(ii)では、工程(i)で得られたシランの水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液との混合をラインミキサーを用いて行う。バッチ式でシランの水溶液とアルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液の混合を行った場合、すなわちシランの水溶液全量にアルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液の全量を撹拌下に添加した場合、製造スケールが大きくなるほど、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液がシランの水溶液に均一に溶解するまで時間を要することになる。このアルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液が均一に溶解するまで時間の違いが生成するポリオルガノシルセスキオキサンの粒径に影響することがある。一方、ラインミキサーによる混合であれば、製造スケールを大きくしても、混合工程のスケールは小さくすることが可能となることが分かった。
本発明において使用されるラインミキサーは、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液がシランの水溶液に短時間で均一に溶解するものであれば種類や形状は特に限定されず、スタティックミキサーのように駆動部がなく管の内部に分割板と変位板を備えた形状の静止型混合器および管内に回転する撹拌羽根を備えた攪拌機のいずれでもよい。撹拌羽根としては、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼などの通常の撹拌機、リボン・スクリュー型攪拌機、ディスク外周にノコ歯状のエッジを持った形状やホモミキサーのようにタービンとステーターからなる形状などの高速せん断型攪拌機等が挙げられ、またバッフルが設けられていてもよい。大きさ(内径)も限定されないが、大きくしすぎると粒径に違いが生じることがある。内径は好ましくは、3mm〜500mm、特に好ましくは、10mm〜100mmである。長さについても限定されないが、ラインミキサー中でポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成するとゲルが生成するため、ラインミキサー中でポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成しないような長さとする必要がある。従って、長さは、好ましくは、5mm〜10m、特に好ましくは、10mm〜5mである。
シランの水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液は、一定割合で混合されるようになるよう、ラインミキサーへの供給はそれぞれポンプで行うことが望ましい。供給は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子が生成する時間よりラインミキサー内の混合時間が短くなるような速度とする必要がある。ラインミキサー中でポリオルガノシルセスキオキサン微粒子が生成すると、ゲルが生成する。アルカリがシランの水溶液に均一に溶解するのであれば、ラインミキサー内の混合時間は1秒未満という短時間でもよい。
ラインミキサーへの配管は、シランの水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とがラインミキサーの供給口で混合されるようにしてもよいし、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液がラインミキサーの途中で混合されるようにしてもよい。また、シランの水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とがラインミキサーの供給口の手前で合流する配管とした場合は、合流点からラインミキサーの供給口への距離は短い方が好ましい。
混合時の温度は0〜80℃であることが好ましく、より好ましくは0〜60℃の範囲である。該温度が80℃より高いと、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の生成時間が短くなり、生成する前にラインミキサーを通すことが困難となることがある。
工程(iii)
本工程は、ラインミキサー混合後、静置状態でリオルガノシルセスキオキサン微粒子を析出させる工程である。
工程(ii)でのラインミキサー混合後、混合液を槽に受け静置させる。液の流動が激しいとゲルを生成するため、なるべく流動しないよう、槽へは底部から供給する配管とすることが好ましい。
微粒子が生成すると、液は白濁してくる。白濁しても十分に粒子が固化していないため、しばらくの間そのまま静置しておく。固化していない状態で撹拌を行うと粒子が凝集したりゲルを生じたりする。必要とされる静置時間は、縮合反応速度によって、すなわち、オルガノトリアルコキシシランの種類、アルカリ物質の種類および量、反応温度によって異なるが、5分〜24時間が好ましく、特に10分〜12時間が好ましい。
(iii)の工程終了後、球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の表面を変性するために、撹拌下、使用したオルガノトリアルコキシシランとは有機基が異なる種のオルガノトリアルコキシシランや、R1 2Si(OR22、R1 3SiOR2、Si(OR24および[(CHSi]NHの1種以上を添加し、縮合反応させてもよい(これらの式で、R1及びR2は前記のとおりである。)。
また、(iii)の工程後、縮合反応を完結させるために、撹拌下、アルカリ性物質を追加したり、40〜100℃で加熱してもよい。
さらに、(iii)の工程後、必要であれば、撹拌下、酸性物質を投入して中和してもよい。
縮合反応後、得られたポリオルガノシルセスキオキサン粒子の水分散液から水分および加水分解反応で副生したアルコールを除去することによって、目的とする球状のポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を得ることができる。水分の除去は、例えば、反応後の水分散液を常圧下又は減圧下に加熱することにより行うことができ、具体的には、分散液を加熱下で静置して水分を除去する方法、分散液を加熱下で撹拌流動させながら水分を除去する方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させる方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。なお、この操作の前処理として、加熱脱水、濾過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で分散液を濃縮してもよいし、必要ならば分散液を水やアルコールで洗浄してもよい。
反応後の水分散液から水分を除去することにより得られた生成物が凝集している場合には、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル等の粉砕機で解砕すればよい。
以上により、平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径は電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)で測定した25℃における体積基準の平均粒径である。
〔実施例1〕
10リットルのガラスフラスコにイオン交換水8,162gを仕込み、水温を15℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ5.8であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン1,870gを投入したところ発熱が起こり、15分後には透明な状態になった。15〜20℃の温度をたもち、さらに1時間撹拌し、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液を得た。1時間後の温度は15℃とした。
1リットルのガラスフラスコに28%アンモニア水溶液8gおよびイオン交換水792gを仕込み、温度を15℃とした。
図1に示すように、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液およびアンモニア水溶液を撹拌部がホモミキサーとなっているラインミキサー「T.K.パイプラインホモミキサーM型」(プライミクス(株)製)(内径30mm、長さ30mm)に供給した。それぞれのフラスコにビニルホースを入れそこからギアポンプへ吸い込み、ラインミキサーに供給した。ホモミキサーの撹拌速度は3,000rpmとした。それぞれの液の供給時間は2分40秒とし、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液の供給量は9,100g、アンモニア水溶液の供給量は500gであった。
ラインミキサーから排出された液は10リットルのガラスフラスコに流し込んだ。フラスコに流し込む液がなるべく流動しないよう、供給用のビニルホースの先端がフラスコ底部に位置するようにした。供給開始後18分後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液380g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5.0μmであった。
〔比較例1〕
1リットルのガラスフラスコにイオン交換水789gを仕込み、水温を15℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ5.9であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン170gを投入したところ発熱が起こり、15分後には透明な状態になった。15〜20℃の温度を保ち、さらに1時間撹拌し、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液を得た。1時間後の温度を15℃とした。
28%アンモニア水溶液0.5gとイオン交換水2.5gの混合溶解液を投入し、1分撹拌した後、撹拌を停止した。撹拌停止16分後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液38g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5.0μmであった。
〔比較例2〕
10リットルのガラスフラスコにイオン交換水7,890gを仕込み、水温を15℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ6.0であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン1,700gを投入したところ発熱が起こり、15分後には透明な状態になった。さらに1時間撹拌し、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液を得た。1時間後の温度は15℃とした。
28%アンモニア水溶液を5gとイオン交換水25gの混合溶解液を投入し、1分撹拌した後、撹拌を停止した。撹拌停止15分後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液380g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、3.9μmであった。
〔実施例2〕
10リットルのガラスフラスコにイオン交換水8,140gを仕込み、水温を30℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ5.8であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン1,215gを投入したところ発熱が起こり、3分後に透明な状態になり、さらに5分撹拌した。ついでフェニルトリメトキシシラン654gを投入し、30〜35℃の温度を保ち撹拌を続けたところ、60分後に透明な状態となり、さらに5分間撹拌した。55分後かけて、5℃まで冷却した。
1リットルのガラスフラスコに28%アンモニア水溶液8gおよびイオン交換水792gを仕込み、温度を5℃とした。
図1に示すように、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液およびアンモニア水溶液を、撹拌部がホモミキサーとなっているラインミキサー「T.K.パイプラインホモミキサーM型」(プライミクス(株)製)に供給した。それぞれのフラスコにビニルホースを入れそこからギアポンプへ吸い込み、ラインミキサーに供給した。ホモミキサーの撹拌速度は3,000rpmとした。それぞれの液の供給時間は2分40秒とし、メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液の供給量は9,100g、アンモニア水溶液の供給量は520gであった。
ラインミキサーから排出された液は10リットルのガラスフラスコに流し込んだ。フラスコに流し込む液がなるべく流動しないよう、供給用のビニルホースの先端がフラスコ底部に位置するようにした。供給開始後60秒後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液380g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、
2.2μmであった。
〔比較例3〕
1リットルのガラスフラスコにイオン交換水789gを仕込み、水温を30℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ5.9であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン110.5gを投入したところ発熱が起こり、2分後に透明な状態になり、さらに5分撹拌した。ついでフェニルトリメトキシシラン59.5gを投入し、30〜35℃の温度を保ち撹拌を続けたところ、45分後に透明な状態となり、さらに5分間撹拌した。30分後かけて、5℃まで冷却した。
28%アンモニア水溶液0.52gとイオン交換水2.6gの混合溶解液を投入し、30秒間撹拌した後、撹拌を停止した。撹拌停止20秒後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液38g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、
2.1μmであった。
〔比較例4〕
10リットルのガラスフラスコにイオン交換水7,890gを仕込み、水温を30℃とした。イオン交換水のpHを測定したところ5.9であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行い、メチルトリメトキシシラン1,105gを投入したところ発熱が起こり、3分後に透明な状態になり、さらに5分撹拌した。ついでフェニルトリメトキシシラン595gを投入し、30〜35℃の温度を保ち撹拌を続けたところ、60分後に透明な状態となり、さらに5分間撹拌した。55分かけて、5℃まで冷却した。
28%アンモニア水溶液5.2gとイオン交換水26gの混合溶解液を投入し、30秒間撹拌した後、撹拌を停止した。撹拌停止15秒後に白濁が起こった。さらに3時間静置した後、翼回転数150rpmの条件で撹拌を開始した。75℃まで加熱し、28%アンモニア水溶液38g添加し、さらに73〜77℃の温度で1時間撹拌を行った。
得られた液を、加圧濾過器を用いて脱液しケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。
このポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
ポリメチルフェニルシルセスキオキサン粒子の平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、
3.2μmであった。
およそ10kgスケールにおいて、比較例2や比較例4のように、シランの水溶液とアルカリの水溶液の混合をフラスコ内で行った場合には、比較例1や比較例3のように、約1kgスケール製造と得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径は異なるものであったが、実施例1や実施例2のように、シランの水溶液とアルカリの水溶液の混合をラインミキサーで行った場合には、約1kgスケール製造と得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒径はほぼ同じであった。
本発明によれば、不定形粒子が混在しない球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を効率よく、また製造スケールを変えても粒径が変化することなく製造できるので工業的に有利である。
1:メチルトリメトキシシランの加水分解物の水溶液入り10リットルのガラスフラスコ
2:アンモニア水溶液入り1リットルのガラスフラスコ
3:ギアポンプ
4:ラインミキサー
5:10リットルのガラスフラスコ
6:ビニルホース

Claims (1)

  1. 次の工程(i)、(ii)及び(iii)を有することを特徴とする平均粒径が0.5〜30μmの球状ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造方法。
    (i) 下記一般式(1)
    1Si(OR23 (1)
    (式中、R1は非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を示し、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を示す。)
    で表されるオルガノトリアルコキシシランをpHが4.0〜7.0の水に添加し、加水分解反応を行い、透明な水溶液を得る工程
    (ii) 工程(i)で得られた水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性物質を溶解した水溶液とをラインミキサー中で混合する工程
    (iii)工程(ii)の混合後、静置状態でポリオルガノシルセスキオキサン微粒子を析出させる工程
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