JP2020075991A - 保冷剤、保冷具、貨物、輸送機器、輸送方法及び保冷方法 - Google Patents
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以下では、説明の便宜上、「塩分濃度」又は「塩の濃度」の語は、特に断りがない限り、水及び塩の合計質量に対する塩の質量の割合(質量%)を指すものとする。例えば、保冷剤が、水及び塩の他に、添加物を含む場合においても、塩分濃度は、塩の質量/(水の質量+塩の質量)である。すなわち、添加物の質量は、塩分濃度を算出するときの分母に含めない。また、保冷剤に含まれる塩が種々の塩(例えばNaCl、MgCl2及びCaCl2)の混合物である場合においては、上記の塩の質量は、当該混合物の質量(種々の塩の合計質量)である。
本開示の実施形態に係る保冷剤は、水と塩とを含んでいる。保冷剤が塩を含むことにより、例えば、保冷剤の凝固点(特に断りがない限り、融点と同じ。以下、同様。)が降下する。一方、保冷剤は、通常、潜熱を吸収している間、凝固点付近の温度を維持する。従って、保冷剤は、塩を含まない場合に比較して、低い温度(例えば−20℃以下)を維持する時間が長くなる。
保冷剤の温度は、例えば、保冷剤の冷却完了時において、又は保冷剤の使用開始時(例えば保冷対象物と共に梱包された時)若しくはその直前(例えば使用開始時の10分以内)において−100℃以下又は−120℃以下とされる。保冷剤は、−100℃以下に冷却されることによって凍結する。換言すれば、保冷剤は、冷却完了時、使用開始時又はその直前において氷からなる。
以下では、塩としてNaClを例に取り、保冷剤の温度変化の実験結果を示す。そして、塩の濃度が保冷に及ぼす影響を説明するとともに、塩の濃度の範囲の例を提示する。
水(水道水)及びNaClのみからなる溶液により保冷剤を作製した。この保冷剤を−120℃の雰囲気によって十分に冷却し、容器(一般家庭用に市販されている発泡ケース)に収容した。容器内の保冷剤の質量は2000gとした。そして、当該容器を室温下に置き、容器内の温度変化を調べた。このような実験をNaClの濃度が互いに異なる複数ケースについて行った。
特に図示しないが、NaClの濃度を20%とした1000gの保冷剤を一般に市販されている冷凍庫(概ね−20℃の雰囲気)によって十分に冷却した後、当該保冷剤を収容した容器内の温度変化を調べる実験も行った。その結果、容器内の温度が−20℃付近に維持される現象は確認できなかった。これは、−20℃の雰囲気では保冷剤は殆ど凝固していないことからである。このことから、NaClの添加によって−20℃保持時間を長くする効果が得られるのは、十分に低い温度(例えば−100℃以下)まで保冷剤を冷却した場合に限られることが確認できた。
水(水道水)、NaCl及び不純物(NaClの塩水にとっての不純物の意味である。)からなる保冷剤を作製した。不純物としては、H3BO3を用いた。この保冷剤を約350mlの容積のペットボトルに260g収容し、−120℃の雰囲気によって十分に冷却した。そして、当該ペットボトルを室温下に置き、保冷剤の温度の変化を調べた。このような実験をNaClの濃度が互いに異なる複数ケースについて行った。
% 1h 2h 3h 4h 5h 6h
0 −59.3 −27.7 −10.4 −3.1 −0.9 −0.5
5 −58.7 −26.6 −21.5 −17.2 −12.1 −9.7
10 −57.2 −26.0 −20.8 −20.0 −17.0 −13.8
24 −61.2 −29.5 −20.9 −20.8 −20.5 −19.5
水及び塩としてのMgCl2(濃度30%)を含む保冷剤を作製した。この保冷剤として、ゲル化剤を含んでおり、凍結前にゲル状のものと、ゲル化剤を含んでいないものとの2種を用意した。ゲル化剤の量は、市販の保冷剤におけるゲル化剤の量と同等とした。そして、第2実験と同様に、260gの保冷剤を収容した約350mlの容積のペットボトルを−120℃の雰囲気によって十分に冷却した後、その温度変化を調べた。このような実験を、ゲル化剤を含む保冷剤3つ(G1〜G3とする。)と、ゲル化剤を含まない保冷剤3つ(G4〜G6とする。)との合計6ケースについて行った。
4h 7h 9h 12h 16h
G1 −29.6 −27.1 −19.8 −13.1 −0.2
G2 −29.3 −27.0 −19.7 −13.2 −0.2
G3 −30.7 −27.9 −20.3 −13.5 −0.2
G4 −29.5 −27.3 −20.3 −13.2 −0.0
G5 −30.5 −28.1 −21.0 −13.7 −0.1
G6 −29.4 −26.4 −19.6 −12.4 +0.2
以上の実験結果から、NaClの濃度の下限の例として、5%、20%又は23%を挙げることができる(小数点以下は四捨五入するものとする。以下、上限等についても同様。)。NaClの濃度が少なくとも5%であれば、濃度が0%(純水)の場合に比較して−20℃保持時間が長くなる。また、NaClの濃度を高くしていくことによる保冷剤の凝固点の降下は、濃度が23.3%のときに限界に到達する。従って、濃度が20%以上又は23%以上であれば、−20℃保持時間を極力長くすることができる。
上記では、濃度によって保冷剤を規定したが、融点によって保冷剤が規定されてもよい。例えば、NaClの濃度5%の場合、融点は約3℃である。また、NaClの濃度を高くしていくことによる保冷剤の融点の降下は、約−21℃が限界である。従って、例えば、保冷剤は、融点が−25℃以上−3℃以下とされてよい。なお、−21℃ではなく、−25℃としたのは、NaCl以外の他の添加物の影響も考慮したものである。
以下、本実施形態に係る保冷剤の応用例について説明する。具体的には、保冷剤を利用している保冷具、貨物、輸送機器、輸送方法及び保冷方法について説明する。
Claims (11)
- 水及び塩を含んでいるとともに−100℃以下の氷からなる保冷剤。
- 前記塩の質量が前記水及び前記塩の合計質量に対して5%以上である
請求項1に記載の保冷剤。 - 前記塩としてNaClを含み、NaClの質量が前記水及びNaClの合計質量に対して5%以上である
請求項2に記載の保冷剤。 - NaClの質量が前記水及びNaClの合計質量に対して20%以上26%以下である
請求項3に記載の保冷剤。 - NaClの質量が前記水及びNaClの合計質量に対して10%以下である
請求項3に記載の保冷剤。 - 融点が−25℃以上−3℃以下である
請求項1〜5のいずれか1項に記載の保冷剤。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の保冷剤と、
前記保冷剤が封入されている封入容器と、
を有している保冷具。 - 請求項7に記載の保冷具と、
保冷対象物と、
前記保冷具と前記保冷対象物とを共に収容している収容容器と、
を有している貨物。 - 請求項7に記載の保冷具と、
保冷対象物と、
前記保冷具と前記保冷対象物とを共に収容している収容容器と、
を有している輸送機器。 - 請求項7に記載の保冷具と保冷対象物とを共に収容容器に収容するステップと、
前記保冷具及び前記保冷対象物を共に収容している前記収容容器を移送するステップと、
を有している輸送方法。 - 請求項7に記載の保冷具と保冷対象物とを共に収容容器に収容するステップ
を有している保冷方法。
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