JP6176581B1 - 蓄冷剤、保冷収容具及び保冷輸送方法 - Google Patents
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Abstract
家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度帯で凍結し、該温度帯での冷却維持性能に優れた蓄冷剤を提供する。水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含む蓄冷剤において、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たすことを特徴とする。1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
Description
本発明は、蓄冷剤に関する。特に、冷凍食品の一般的な保存条件である−18℃付近の温度帯を保持する蓄冷剤に関する。
また、本発明は保冷対象物を適当な保冷温度に保つための保冷収容具にも関する。
また、保冷対象物の保冷状態を維持したまま輸送する保冷輸送方法にも関する。
また、本発明は保冷対象物を適当な保冷温度に保つための保冷収容具にも関する。
また、保冷対象物の保冷状態を維持したまま輸送する保冷輸送方法にも関する。
従来、塩化カリウム、塩化アンモニウム等の水溶液を蓄冷剤として含む、保冷剤が知られている(特許文献1、特許文献2)。
また、冷凍食品の保存に保冷剤を用いる場合には、プラスチック容器に収容した容器入り保冷剤の形態とすることが行われている(特許文献3)。そして現在、氷・ドライアイス・ポンプを用いた保冷収容具が主流である。また、現在の保冷輸送の現場において、食品等の保冷対象物を輸送する場合、備え付けられた冷却機器でトラック内部全体を冷却することにより食品等の保冷温度を維持し、輸送している。
また、冷凍食品の保存に保冷剤を用いる場合には、プラスチック容器に収容した容器入り保冷剤の形態とすることが行われている(特許文献3)。そして現在、氷・ドライアイス・ポンプを用いた保冷収容具が主流である。また、現在の保冷輸送の現場において、食品等の保冷対象物を輸送する場合、備え付けられた冷却機器でトラック内部全体を冷却することにより食品等の保冷温度を維持し、輸送している。
保冷剤としての蓄冷剤の性能は、冷却温度とその持続時間との関係で評価することができる。通常、家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、−22〜−18℃に設定されているため、食品保存を目的とする場合には、当該温度帯に近い温度の持続時間を延長することが課題となる。
また、一方、金属塩水溶液を蓄冷媒体とする蓄冷剤には、過冷却の問題があることから、使用に際して蓄冷剤を凍結するためにその設備が限定されるという問題があった。そこで、本発明は、使用に際しての凍結を比較的高温で行う(好ましくは、冷却の目標とする温度帯マイナス3℃以内)とすることをさらなる課題とする。
また、一方、金属塩水溶液を蓄冷媒体とする蓄冷剤には、過冷却の問題があることから、使用に際して蓄冷剤を凍結するためにその設備が限定されるという問題があった。そこで、本発明は、使用に際しての凍結を比較的高温で行う(好ましくは、冷却の目標とする温度帯マイナス3℃以内)とすることをさらなる課題とする。
また、氷を用いた保冷収容具は0℃、ドライアイスを用いた保冷収容具は−78.5℃の温度帯となる。食品保存を目的とする場合には、−22〜−18℃に近い温度を維持することが求められているため、氷、ドライアイスを用いた保冷収容具はその用途には適さない。そして、ポンプを用いて冷却を行う保冷収容具は保冷収容具内に冷却機器を設置するスペースを要するため、保冷対象物の収容効率が良くない。加えて、ポンプを用いて冷却を行う保冷収容具は多くの電力を使用するため、環境への影響が問題となる。
また、従来の輸送方法だと、例えば、トラックの容量に対して半分の量の食品を運ぶ場合にも、トラック内部全体を冷却している。そのため、コスト、運搬効率、環境へ影響の観点から、問題とされていた。また、冷却機器を備えていないトラックでは保冷を要する商品の長時間輸送をすることができないため、保冷対象物を輸送することのできる業者が制限される。
上記事情に鑑み本発明は、長時間保冷効果を維持することのできる保冷収容具を提供することを第2の課題とする。
また、本発明は保冷温度帯の異なる保冷対象物を同一空間に載置して、長時間輸送することのできる輸送方法を提供することを第3の課題とする。
また、本発明は保冷温度帯の異なる保冷対象物を同一空間に載置して、長時間輸送することのできる輸送方法を提供することを第3の課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下のとおりである。
水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含む蓄冷剤であって、
塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、蓄冷剤。
塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含む蓄冷剤であって、
塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、蓄冷剤。
塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
本発明の好ましい形態では、塩化アンモニウムの含有量は10.0〜30.0質量%である。
本発明の好ましい形態では、塩化カリウムと硫酸ナトリウムの合計含有量は、5.0〜20.0質量%である。
また、本発明は、前記本発明の蓄冷剤と、これを収容する容器とからなる、容器入り保冷剤も提供する。
また、本発明は、保冷対象物を適当な保冷温度に保つための収容具であって、断熱性の保冷収容具本体と、該保冷収容具本体に内蔵された前記容器入り保冷剤と、を備える保冷収容具も提供する。
本発明の保冷収容具の好ましい形態では、前記保冷収容具本体は、内面に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有する。
前記保冷収容具本体は、内面に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することによって、容器入り保冷剤を保持することが可能となり、運搬の際に保冷剤が保冷収容具の傾きによって移動してしまうことを防ぐことができる。
前記保冷収容具本体は、内面に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することによって、容器入り保冷剤を保持することが可能となり、運搬の際に保冷剤が保冷収容具の傾きによって移動してしまうことを防ぐことができる。
本発明の保冷収容具の好ましい形態では、保冷収容具本体は、前記保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備える。
前記保冷収容具本体は、前記保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えることによって、保冷収容具本体内部の保冷容積を減らすことができるため、保冷効率を向上させることができる。
前記保冷収容具本体は、前記保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えることによって、保冷収容具本体内部の保冷容積を減らすことができるため、保冷効率を向上させることができる。
本発明の保冷収容具の好ましい形態では、前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有する。
前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することによって、前記断熱性シートの内側に容器入り保冷剤を保持することが可能となり、かつ、運搬時の保冷収容具の傾きによって容器入り保冷剤が移動してしまうことを防ぐことができる。
前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することによって、前記断熱性シートの内側に容器入り保冷剤を保持することが可能となり、かつ、運搬時の保冷収容具の傾きによって容器入り保冷剤が移動してしまうことを防ぐことができる。
本発明の保冷収容具の好ましい形態では、保冷収容具を使用した保冷方法は、前記保冷収容具本体の内部底面に断熱性シートを敷設し、前記保冷対象物を該断熱性シート上に載置し、さらに、前記保冷対象物と該保冷対象物を覆う断熱性シートとの間に前記容器入り保冷剤を配置する。
上記保冷方法によることで、保冷収容具本体の内部底面からの冷気の漏出を防ぐため、より効率よく保冷することができる。
上記保冷方法によることで、保冷収容具本体の内部底面からの冷気の漏出を防ぐため、より効率よく保冷することができる。
また、本発明は、前記保冷収容具を用いた保冷輸送方法を提供する。
本発明の保冷輸送方法の好ましい形態は、異なる温度帯で保冷する必要のある複数の保冷対象物を同時に輸送する方法であって、前記異なる温度帯ごとに分けた前記保冷対象物を前記保冷収容具に入れる保冷対象物収容工程と、前記保冷収容具内部を適当な保冷温度とする前記容器入り保冷剤を前記保冷収容具本体内に内蔵させる保冷処理工程と、前記保冷処理を行った複数の該保冷収容具を同一空間内に配置する保冷収容具配置工程と、を行い、保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷し、輸送することを特徴とする。
上記方法であることで、異なる温度帯で保冷する必要のある複数の保冷対象物を同時に、保冷状態を維持したまま、長時間輸送することが可能となる。
本発明の保冷輸送方法の好ましい形態は、前記異なる温度帯が、冷凍・冷蔵・常温の三温度帯である。前記異なる温度帯が冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることで、本発明の保冷輸送方法は食品の輸送に好適に使用することができる。
また、本発明は保冷対象物を収容する収容部に被せられる保冷蓋であって、
断熱性を有する蓋本体と、
前記蓋本体に設けられた保冷剤保持部と、を備え、
前記蓋本体は前記保冷剤保持部が内側になるように、折りたたみ可能に構成されている保冷蓋を提供する。
本発明の保冷蓋は、蓋本体が、保冷剤保持部が内側になるように折りたたみ可能に構成されていることにより、保冷剤を保冷剤保持部に収容した状態で、蓋本体の内側に保冷剤を位置させることができるため、保冷蓋を被せる作業を行う直前まで、保冷剤を外面に露出させることなく、安全に取り扱うことができる。
さらに、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業の準備時に、折りたたみ状態において保冷剤保持部に保持された保冷剤が外面に露出せずに断熱性を有する蓋本体に挟まれる形態となるため、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤の融解を抑制することができる。
そして、保冷蓋を保冷対象物の上に被せる際には、折りたたみ状態の蓋本体を開くことで、保冷蓋の形態にすることができる。
また、本発明の保冷蓋は、蓋本体が断熱性であるため、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、外界に冷気を逃がすことなく、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
断熱性を有する蓋本体と、
前記蓋本体に設けられた保冷剤保持部と、を備え、
前記蓋本体は前記保冷剤保持部が内側になるように、折りたたみ可能に構成されている保冷蓋を提供する。
本発明の保冷蓋は、蓋本体が、保冷剤保持部が内側になるように折りたたみ可能に構成されていることにより、保冷剤を保冷剤保持部に収容した状態で、蓋本体の内側に保冷剤を位置させることができるため、保冷蓋を被せる作業を行う直前まで、保冷剤を外面に露出させることなく、安全に取り扱うことができる。
さらに、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業の準備時に、折りたたみ状態において保冷剤保持部に保持された保冷剤が外面に露出せずに断熱性を有する蓋本体に挟まれる形態となるため、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤の融解を抑制することができる。
そして、保冷蓋を保冷対象物の上に被せる際には、折りたたみ状態の蓋本体を開くことで、保冷蓋の形態にすることができる。
また、本発明の保冷蓋は、蓋本体が断熱性であるため、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、外界に冷気を逃がすことなく、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
本発明の好ましい形態では、前記折りたたみが、二つ折りである。
前記折りたたみが、二つ折りであることによって、折りたたみ状態の蓋本体を開くことで簡便に保冷対象物の上に保冷蓋を被せることができる。
前記折りたたみが、二つ折りであることによって、折りたたみ状態の蓋本体を開くことで簡便に保冷対象物の上に保冷蓋を被せることができる。
本発明の好ましい形態では、前記保冷剤保持部は、前記蓋本体の内側に複数個配置されている。
前記保冷剤保持部が前記蓋本体の内側に複数個配置されていることで、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、複数の保冷剤を保持することができるため、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
前記保冷剤保持部が前記蓋本体の内側に複数個配置されていることで、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、複数の保冷剤を保持することができるため、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
本発明の好ましい形態では、前記保冷剤保持部が複数の通気口を有する袋状に形成されていることを特徴とする。
このような形態とすることによって、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、保冷剤の冷気が直接保冷対象物と接触するため、より効率よく保冷対象物を保冷することができる。
また、保冷剤が保冷機能を失った際に、保冷剤を前記保冷剤保持部に収容したまま冷凍庫内に入れることにより、保冷剤に冷気が直接接触するため、保冷剤の冷却を効率よく行うことができる。
このような形態とすることによって、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、保冷剤の冷気が直接保冷対象物と接触するため、より効率よく保冷対象物を保冷することができる。
また、保冷剤が保冷機能を失った際に、保冷剤を前記保冷剤保持部に収容したまま冷凍庫内に入れることにより、保冷剤に冷気が直接接触するため、保冷剤の冷却を効率よく行うことができる。
本発明の好ましい形態では、前記蓋本体は、取っ手を備えている。
このような形態とすることによって、蓋本体を直接把持する必要がなくなるため、作業性があがり、より安全に、或いは簡便に保冷剤を取り扱うことができる。
このような形態とすることによって、蓋本体を直接把持する必要がなくなるため、作業性があがり、より安全に、或いは簡便に保冷剤を取り扱うことができる。
また、本発明の別の好ましい形態では、前記蓋本体は、蓋本体の折りたたみ状態において、互いに相反する少なくとも2つの取っ手を備えている。
このような形態によれば、作業者は、持ち運び等において、蓋本体を直接把持せずに、折りたたみ状態を維持したまま保冷剤を持ち運ぶことが可能である。
このような形態によれば、作業者は、持ち運び等において、蓋本体を直接把持せずに、折りたたみ状態を維持したまま保冷剤を持ち運ぶことが可能である。
本発明の好ましい形態では、前記取っ手は、ひも材によって輪状に形成されている。
このような形態とすることにより、保冷剤保持部に保持した保冷剤が保冷機能を失った際に、保冷剤を保冷剤保持部から外すことなく、冷凍庫内の適当な位置に保冷蓋を吊り下げて冷却することができる。保冷剤を保冷剤保持部から外すことなく、適当な位置に吊り下げて冷却することができることで、冷凍庫内の空間を有効に利用することができる。
このような形態とすることにより、保冷剤保持部に保持した保冷剤が保冷機能を失った際に、保冷剤を保冷剤保持部から外すことなく、冷凍庫内の適当な位置に保冷蓋を吊り下げて冷却することができる。保冷剤を保冷剤保持部から外すことなく、適当な位置に吊り下げて冷却することができることで、冷凍庫内の空間を有効に利用することができる。
また、本発明の好ましい形態では、前記保冷剤保持部には、保冷剤の出し入れ口が設けられ、この出し入れ口は、前記取っ手により前記蓋本体を吊り下げた状態で、横方向に向いて開口している。
このような形態とすることによって、保冷機能を失った保冷剤を備えた蓋本体を冷凍庫内で冷却する際に、蓋本体を吊り下げた状態においても、保冷剤が落下することがない。
このような形態とすることによって、保冷機能を失った保冷剤を備えた蓋本体を冷凍庫内で冷却する際に、蓋本体を吊り下げた状態においても、保冷剤が落下することがない。
さらに、本発明は、保冷対象物を保冷するための保冷対象物梱包キットであって、下記の要素を含むキットである。
a)前記本発明の保冷蓋、
b)保冷対象物を収容する収容部を備える、保冷収容具、
c)収容部の底面に備えられる、断熱性シート。
このようなキットを用いることによって、保冷対象物の梱包が容易になり、保冷状態を維持したまま、保冷対象物を運搬、輸送することができる。
a)前記本発明の保冷蓋、
b)保冷対象物を収容する収容部を備える、保冷収容具、
c)収容部の底面に備えられる、断熱性シート。
このようなキットを用いることによって、保冷対象物の梱包が容易になり、保冷状態を維持したまま、保冷対象物を運搬、輸送することができる。
本発明の蓄冷剤は、高い保冷性能を有する。特に好ましい形態によれば、−18℃付近の温度で、数時間〜十数時間の保持を可能とする。また、本発明の蓄冷剤は、−22℃〜−18℃という家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度域で凍結させることができるため、特別な冷蔵設備等を要せず利用することもできる。
また、本発明の保冷収容具は、特に好ましい形態によれば、−18℃付近の温度で、数時間〜十数時間の保冷を可能とする。
本発明の保冷蓋は、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業において、作業性、特に安全性を高めることができ、また、従来用いられている食品運搬等に用いられる収容箱に設置するだけで、高い保冷効果を得ることができる。
また、本発明の保冷輸送方法は、特に好ましい形態によれば、−18℃付近の温度で、数時間〜十数時間の保冷を可能とするため、冷却機器を使用することなく、長距離輸送することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳述する。
本発明の蓄冷剤は、水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含み、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たす。
1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
式(1)の値は、好ましくは、4.0より小さく、更に好ましくは3.0より小さく、より好ましくは2.5より小さく、特に好ましくは2.0より小さく、中でも好ましくは1.7より小さい。
下限値としては、好ましくは1.2より大きく、特に好ましくは1.4より大きい。
各成分の比率が、上記条件を満たすことにより、過冷却を抑制しながら、低温での保持時間を延長することができる。ここで、低温とは、好ましくは−18℃付近であり、具体的には、−22℃〜−15℃、好ましくは−22℃から−17℃である。これは家庭用冷蔵庫の冷凍室に準ずる設備で、蓄冷剤を凍結させることが可能であるためである。例えば、−17.5℃付近での保持時間を8時間以上とすることができる。好ましい形態では、当該保持時間を10時間以上、更には12時間以上とすることができる。
本発明の蓄冷剤は、水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含み、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たす。
1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
式(1)の値は、好ましくは、4.0より小さく、更に好ましくは3.0より小さく、より好ましくは2.5より小さく、特に好ましくは2.0より小さく、中でも好ましくは1.7より小さい。
下限値としては、好ましくは1.2より大きく、特に好ましくは1.4より大きい。
各成分の比率が、上記条件を満たすことにより、過冷却を抑制しながら、低温での保持時間を延長することができる。ここで、低温とは、好ましくは−18℃付近であり、具体的には、−22℃〜−15℃、好ましくは−22℃から−17℃である。これは家庭用冷蔵庫の冷凍室に準ずる設備で、蓄冷剤を凍結させることが可能であるためである。例えば、−17.5℃付近での保持時間を8時間以上とすることができる。好ましい形態では、当該保持時間を10時間以上、更には12時間以上とすることができる。
塩化アンモニウムの含有量は、好ましくは10.0〜30.0質量%、更に好ましくは10.0〜25.0質量%、より好ましくは12.0〜22.0質量%、特に好ましくは15.0〜20.0質量%、中でも好ましくは18.0〜20.0質量%である。
塩化アンモニウムの含有量は、目標とする冷却維持温度及び時間に応じて上記範囲で選択することが可能である。
塩化アンモニウムの含有量は、目標とする冷却維持温度及び時間に応じて上記範囲で選択することが可能である。
塩化カリウムの含有量は、好ましくは1.0〜15.0質量%、更に好ましくは2.5〜12.0質量%である。
硫酸ナトリウムの含有量は、好ましくは1.0〜15.0質量%、更に好ましくは2.0〜12.0質量%である。
塩化カリウムと硫酸ナトリウムの合計含有量は、好ましくは5.0〜20.0質量%、更に好ましくは5.5〜16.0質量%である。
後述する実施例に示す通り、当該合計含有量が大きいほど冷却時間が延長される傾向にある。そのため、当該合計含有量についても、目標とする冷却維持温度及び時間に応じて、上記範囲で選択することが可能である。
後述する実施例に示す通り、当該合計含有量が大きいほど冷却時間が延長される傾向にある。そのため、当該合計含有量についても、目標とする冷却維持温度及び時間に応じて、上記範囲で選択することが可能である。
塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの合計含有量は、好ましくは15.0〜40.0質量%、更に好ましくは18.0〜35.0質量%、より好ましくは20.0〜35.0質量%である。
水の含有量は、好ましくは60.0〜85.0質量%、更に好ましくは65.0〜82.0質量%、より好ましくは65.0〜80.0質量%である。
本発明の蓄冷剤は、前記必須成分を、常法により混合することにより製造することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、増粘剤などの任意成分を添加してもよい。
本発明の蓄冷剤は、容器に収容して容器入り保冷剤として、食品保存等に用いることができる。特に、アイスクリーム等の冷凍食品の保存に用いるのに好適である。本発明の蓄冷剤は、ドライアイスに代わる保冷剤として有望である。容器は、プラスチック製等、通常保冷剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
また、本発明は、前記本発明の蓄冷剤と、これを収容する容器とからなる、容器入り保冷剤も提供する。
以下、本発明の保冷収容具の形態について詳述する。
本発明の保冷収容具は、保冷対象物を適当な保冷温度に保つための収容具であって、 断熱性の保冷収容具本体と、該保冷収容具本体に内蔵された前記容器入り保冷剤と、
を備える。
本発明の保冷収容具は、保冷対象物を適当な保冷温度に保つための収容具であって、 断熱性の保冷収容具本体と、該保冷収容具本体に内蔵された前記容器入り保冷剤と、
を備える。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定されないことは言うまでもない。
前記保冷収容具本体の形状は、保冷対象物を収容することができれば特に制限は無く、どのような形状であっても良い。
また、本発明に係る保冷収容具本体は、断熱性を有するものであれば、保冷収容具本体の材質、機構には特に制限はない。保冷収容具本体が断熱性であることで、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、冷気を逃がすことなく、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
また、本発明に係る保冷収容具本体は、断熱性を有するものであれば、保冷収容具本体の材質、機構には特に制限はない。保冷収容具本体が断熱性であることで、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、冷気を逃がすことなく、保冷対象物を効率よく保冷することができる。
また、本発明の保冷収容具の好ましい形態は、内面に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有する。本発明の保冷収容具によれば、保冷収容具の運搬の際に、内蔵された前記容器入り保冷剤の位置が移動してしまい、保冷収容具の一辺に前記容器入り保冷剤が偏ることがない。
なお、前記保冷剤保持部の形状、機構は、保冷剤を保持することができれば特に限定されず、箱型、筒形、袋型などが例示できるが、好ましくは、前記保冷剤保持部の形状は複数の通気口を有する袋状に形成されている。
また、前記保冷剤保持部の個数には特に制限は無く、保冷収容具本体に設けられた保冷剤保持部は1個でもよく、また、2個以上でもよい。
また、前記保冷剤保持部の個数には特に制限は無く、保冷収容具本体に設けられた保冷剤保持部は1個でもよく、また、2個以上でもよい。
また、本発明の保冷収容具は、保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えていても良い。
本発明の保冷収容具は、保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えていることで、冷却する空間容積を減らすことができるため、冷却効率を向上させることができる。
前記断熱性シートは、前記保冷対象物を収容する空間を残せれば、平面形状、大きさ、厚さには特に制限はない。また、前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有していることが、好ましい。
本発明の保冷収容具は、保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えていることで、冷却する空間容積を減らすことができるため、冷却効率を向上させることができる。
前記断熱性シートは、前記保冷対象物を収容する空間を残せれば、平面形状、大きさ、厚さには特に制限はない。また、前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有していることが、好ましい。
なお、本発明の保冷収容具は、断熱性シートを前記保冷収容具本体の内部底面に敷設し、前記保冷対象物を該断熱シート上に載置し、さらに、前記保冷対象物と該保冷対象物とを覆う断熱性シートとの間に前記容器入り保冷剤を配置するものであることが好ましい。
また、本発明の保冷収容具は、保冷蓋を使用する形態も好ましい。
以下、本発明の保冷蓋の実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明の保冷蓋の実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
図1〜4に示す本実施例の保冷蓋1は、断熱性を有する蓋本体2と、蓋本体2に設けられた折りたたみ線3と、保冷剤保持部4と、取っ手5とを備える(図1)。
以下蓋本体2について、図1を用いて説明する。
本実施例において、蓋本体2は長方形に成形されている。長方形とすることにより、従来の食品収容に用いられる直方体型の保冷収容具8の開口部82から、保冷対象物6の上に保冷蓋1を被せ、その開口部82を覆うことが可能となる(図4参照)。ただし、該蓋本体の平面形状に特に制限は無く、正方形、長方形、台形、菱型等の四角形、三角形、円形、楕円形等のいずれであってもよい。
本実施例において、蓋本体2は、断熱性、及び柔軟性を有する材質で形成されている。具体的には、2枚のアルミ蒸着シートの間に発泡性樹脂層を有する、柔軟性のある複合シートで形成されている。ただし、蓋本体は、断熱性を有するものであれば、蓋本体の材質、機構に特に制限はない。蓋本体が断熱性であることで、保冷剤を用いて保冷対象物を保冷する際に、冷気を逃がすことなく、保冷対象物を効率よく保冷することができる。また、蓋本体が柔軟性であることで、保冷蓋を容易に変形させることが可能となり、保冷収容具8の開口部82から保冷対象物6の上に保冷蓋1を設置することが容易になる(図4(b)参照)。
蓋本体2は、図1に示すように蓋本体2の中線を通る折りたたみ線3を有し、図2に示すように、保冷剤保持部4に保冷剤Xを収容した状態(図2(a))で、保冷剤保持部4が内側になるように、半分に折りたたむことができる(図2(b))。
このような折りたたみの機構とすることで、折りたたみ状態の蓋本体を簡単に開くことができるため、作業者は簡便に保冷対象物の上に保冷蓋を被せることができる。
ただし、蓋本体は、保冷剤保持部を内側にして折りたたみ可能であれば、折りたたむ手段、機構には特に制限はなく、1枚の蓋本体を折りたたむ形態であっても、2枚の蓋本体を金具等の連結部によって折りたたみ可能に連結する形態であってもよい。好ましくは、1枚の蓋本体を折りたたむ形態である。
このような折りたたみの機構とすることで、折りたたみ状態の蓋本体を簡単に開くことができるため、作業者は簡便に保冷対象物の上に保冷蓋を被せることができる。
ただし、蓋本体は、保冷剤保持部を内側にして折りたたみ可能であれば、折りたたむ手段、機構には特に制限はなく、1枚の蓋本体を折りたたむ形態であっても、2枚の蓋本体を金具等の連結部によって折りたたみ可能に連結する形態であってもよい。好ましくは、1枚の蓋本体を折りたたむ形態である。
また、蓋本体の折りたたみ位置、折りたたみ回数は、折りたたみ状態において蓋本体に設けられた保冷剤保持部が内側にくる限り、言い換えれば外に露出しない限り、特に制限はない。
蓋本体が折りたたみ可能に構成されていることで、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤を内側にして折りたたんだ状態で作業、準備をすることができるため、保冷剤が外面に露出することなく、安全に作業を行うことができる。また、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業の準備時に、折りたたみ状態において保冷剤保持部に保持された保冷剤が外面に露出せずに断熱性を有する蓋本体に挟まれる形態となるため、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤の融解を抑制することができる。
蓋本体が折りたたみ可能に構成されていることで、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤を内側にして折りたたんだ状態で作業、準備をすることができるため、保冷剤が外面に露出することなく、安全に作業を行うことができる。また、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業の準備時に、折りたたみ状態において保冷剤保持部に保持された保冷剤が外面に露出せずに断熱性を有する蓋本体に挟まれる形態となるため、保冷対象物の上に保冷蓋を被せる作業直前まで保冷剤の融解を抑制することができる。
本実施例において、取っ手5は、ひも材によって輪状に形成されており、折りたたみ線3と平行する蓋本体2の2つの端辺にそれぞれ存在している。これらの取っ手5は、蓋本体2の折りたたみ状態(図2(b))において互いに相反する位置に存在している。
これらの取っ手5が蓋本体2の折りたたみ状態において、互いに相反する位置に存在することで、蓋本体2を二つ折りした状態で、取っ手5を把持して、保冷剤Xを外面に露出させることなく容易に持ち運ぶことができる。
これらの取っ手5が蓋本体2の折りたたみ状態において、互いに相反する位置に存在することで、蓋本体2を二つ折りした状態で、取っ手5を把持して、保冷剤Xを外面に露出させることなく容易に持ち運ぶことができる。
また、取っ手がひも材によって輪状に形成されていることで、保冷機能を失った保冷剤を備えた蓋本体を冷凍庫内で冷却する際に、冷凍庫内に吊り下げることができるため、効率的に保冷剤の冷却をすることができる。また、食品等の保冷対象物用の冷凍庫の空きスペースを用いるため、冷凍庫内の冷却空間の有効な利用が可能となる。
なお、本発明の蓋本体は、必ずしも取っ手を備えている必要はない。また、前記取っ手は、手で把持し蓋本体を持ち上げることを可能とする構成であれば、その位置、個数、機構及び材質に特に制限はない。
なお、本発明の蓋本体は、必ずしも取っ手を備えている必要はない。また、前記取っ手は、手で把持し蓋本体を持ち上げることを可能とする構成であれば、その位置、個数、機構及び材質に特に制限はない。
以下保冷剤保持部4について、図1を用いて説明する。
本実施例において、保冷剤保持部4は2つである。これにより、保冷剤Xを用いて保冷対象物を保冷する際に、より効率よく保冷対象物を保冷することができる。ただし、保冷剤保持部の個数には特に制限は無く、1つでもよく、また、2つ以上でもよい。好ましくは、保冷剤保持部は2つ以上設けられる。
本実施例において、保冷剤保持部4は2つである。これにより、保冷剤Xを用いて保冷対象物を保冷する際に、より効率よく保冷対象物を保冷することができる。ただし、保冷剤保持部の個数には特に制限は無く、1つでもよく、また、2つ以上でもよい。好ましくは、保冷剤保持部は2つ以上設けられる。
また、本実施例において、保冷剤保持部4は、網状材料で袋状に形成されている。
このように、保冷剤保持部4を複数の通気口を有する形態とすることで、保冷剤Xを用いて保冷対象物を保冷する際に、保冷剤の冷気が直接保冷対象物と接触するため、より効率よく保冷することができる。
ただし、前記保冷剤保持部の形状は、保冷剤を保持することができれば特に限定されず、箱型、筒形、袋型などが例示できる。
このように、保冷剤保持部4を複数の通気口を有する形態とすることで、保冷剤Xを用いて保冷対象物を保冷する際に、保冷剤の冷気が直接保冷対象物と接触するため、より効率よく保冷することができる。
ただし、前記保冷剤保持部の形状は、保冷剤を保持することができれば特に限定されず、箱型、筒形、袋型などが例示できる。
また、本実施例において、保冷剤保持部4は開口部41を有し、保冷剤Xを挿入することのできる機構となっている。
保冷剤保持部4は、面ファスナー42を有し、前記開口部41は保冷剤Xを挿入した状態で、閉口することができる。これにより、梱包作業中、或いは、保冷剤Xを備えた状態で保冷蓋1を冷凍庫内に入れて保冷剤Xを冷却する際(図3(b)参照)に保冷剤Xの落下を防ぐことが可能となる。
より具体的には、図3に示すように、蓋本体2を例えば、図3(b)に示すように吊り下げた状態において、保冷剤Xの出し入れのための開口部41は横方向に向いている。開口部41が横方向に向いていることで、保冷蓋1を吊り下げた状態においても、保冷剤Xが落下することがない。
以下、本実施例の保冷蓋1の使用方法について、図2〜図4を参照しながら説明する。
保冷蓋1は、保冷剤保持部4に保冷剤Xを保持した状態で、冷凍庫内で冷却する。冷却した保冷剤Xを備えた保冷蓋1は、折りたたんだ状態(図2(b))で、梱包作業が行われる場所まで移動され、梱包作業直前までその状態で置かれる。
保冷蓋1は、保冷剤保持部4に保冷剤Xを保持した状態で、冷凍庫内で冷却する。冷却した保冷剤Xを備えた保冷蓋1は、折りたたんだ状態(図2(b))で、梱包作業が行われる場所まで移動され、梱包作業直前までその状態で置かれる。
梱包作業は、例えば、図4(a)に示すように、収容部81を有する保冷収容具8の開口部82から、断熱性シート7を収容部81の底面に載置し、その上に保冷対象物6を収容した後、保冷対象物6の上面に本発明の保冷蓋1を載置する。この時に、保冷蓋1を保冷対象物6に概ね接触するように落とし蓋様に使用することで、冷却する空間容積を減らすことができ、保冷対象物6の保冷効率を高めることができる。
収容具としては、従来用いられている折りたたみ式のコンテナシッパー、発泡スチロール製、プラスチック製の箱等任意のものを用いることができる。
なお、保冷収容具8は、その開口部82を閉じる蓋(図示しない)を有していることが、保冷効果を高める観点、輸送車両や保管倉庫において、保冷収容具を重ねて置く必要性を考慮すると、より好ましい。
また、断熱性シート7は、必ずしも必要ではない。
収容具としては、従来用いられている折りたたみ式のコンテナシッパー、発泡スチロール製、プラスチック製の箱等任意のものを用いることができる。
なお、保冷収容具8は、その開口部82を閉じる蓋(図示しない)を有していることが、保冷効果を高める観点、輸送車両や保管倉庫において、保冷収容具を重ねて置く必要性を考慮すると、より好ましい。
また、断熱性シート7は、必ずしも必要ではない。
また、保冷蓋1と、保冷収容具8及び断熱性シート7の少なくとも一つとを組み合わせて、保冷対象物梱包キットを提供することもできる。
以下、本発明の保冷輸送方法の形態について詳述する。
本発明の保冷輸送方法は、前記保冷収容具を用いる。
本発明の保冷輸送方法は、前記保冷収容具を用いる。
本発明の保冷輸送方法は、保冷対象物を輸送する方法であれば、輸送手段、輸送機器については、特に制限がない。
また、輸送機器に積載する保冷収容具の個数、大きさ、形状についても、輸送することのできる範囲であれば、特に制限はない。
また、輸送機器に積載する保冷収容具の個数、大きさ、形状についても、輸送することのできる範囲であれば、特に制限はない。
本発明の保冷輸送方法によれば、異なる温度帯で保冷する必要のある複数の保冷対象物を同時に輸送することができる。
以下、本発明の一実施形態について、説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明の一実施形態について、説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
本実施形態に係る輸送方法は、前記異なる温度帯ごとに分けた前記保冷対象物を前記保冷収容具に入れる保冷対象物収容工程と、
前記保冷収容具内部を適当な保冷温度とする容器入り保冷剤を前記保冷収容具本体内に内蔵させる保冷処理工程と、
前記保冷処理を行った複数の該保冷収容具を同一空間内に配置する保冷収容具配置工程と、を行い、保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷し、輸送する方法である。
以下各工程について、詳細に説明する。
前記保冷収容具内部を適当な保冷温度とする容器入り保冷剤を前記保冷収容具本体内に内蔵させる保冷処理工程と、
前記保冷処理を行った複数の該保冷収容具を同一空間内に配置する保冷収容具配置工程と、を行い、保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷し、輸送する方法である。
以下各工程について、詳細に説明する。
本発明の輸送方法の実施形態において、保冷対象物収容工程では、保冷対象物を、保冷対象物の保冷温度ごとに分類し、その後、異なる温度帯ごとに分けた前記保冷対象物を各々別の前記保冷収容具に入れる作業を行う。このとき、同一保冷温度の複数の保冷対象物をまとめて一つの保冷収容具に入れても良い。
続いて、保冷処理工程では、前記保冷収容具内部を適当な保冷温度とする容器入り保冷剤を前記保冷収容具本体内に内蔵させる。
その後、保冷処理工程を行った異なる温度帯に保冷された保冷収容具を、例えば一台の車両の荷台当の同一空間に配置する。前記異なる温度帯に保冷された保冷収容具を同一空間に配置しても、保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷するため、前記異なる温度帯に保冷する必要のある保冷対象物を同時に輸送することができる。
このとき、前記本発明の容器入り保冷剤を用いるため、−18℃付近の温度で、数時間〜十数時間の保冷を可能とするため、冷却機器を使用することなく、長距離輸送することができる。
また、前記分類は、冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることが好ましい。前記分類が冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることで、例えば、常温で輸送する必要のある野菜、冷蔵で保存する必要のある飲料水、冷凍で保存する必要のある加工食品を、同時に、冷却機器を使用することなく各温度帯での保冷状態を維持したまま輸送することができる。
その後、保冷処理工程を行った異なる温度帯に保冷された保冷収容具を、例えば一台の車両の荷台当の同一空間に配置する。前記異なる温度帯に保冷された保冷収容具を同一空間に配置しても、保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷するため、前記異なる温度帯に保冷する必要のある保冷対象物を同時に輸送することができる。
このとき、前記本発明の容器入り保冷剤を用いるため、−18℃付近の温度で、数時間〜十数時間の保冷を可能とするため、冷却機器を使用することなく、長距離輸送することができる。
また、前記分類は、冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることが好ましい。前記分類が冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることで、例えば、常温で輸送する必要のある野菜、冷蔵で保存する必要のある飲料水、冷凍で保存する必要のある加工食品を、同時に、冷却機器を使用することなく各温度帯での保冷状態を維持したまま輸送することができる。
表1に示す組成(残量は水)の蓄冷剤を収容した容器入り保冷剤を用意し、−20℃に設定した恒温室(山梨県富士工業試験場所有、エスペック社製PR−2KPH)で容器入り保冷剤を冷却し、24時間後の試料の状態で、凍結の可否を判断した。試料No.1及び2については−18℃で24時間冷却した場合についても凍結の可否を確認した。
凍結した容器入り保冷剤を、図5に示すように、2個の容器入り保冷剤1の間に温度センサー2が設けられた状態で、断熱性を有するミラーマット3により、2個1組で包んだ。容器入り保冷剤1を包んだミラーマット3を、断熱性を有する発泡スチロール製の断熱箱4に収納した。そして、断熱箱4をダンボール箱5に収容した。ダンボール箱5を30℃に温度が設定・保持された密閉した実験室に収容し、温度センサー2により温度変化を測定した。即ち、外気温30℃の環境を模した実験環境にて、容器入り保冷剤の低温維持性能を評価した。
表1に、−20℃での凍結可否、及び−17.5℃の温度が維持された時間を示す。
表1に、−20℃での凍結可否、及び−17.5℃の温度が維持された時間を示す。
表1に示すように、何れも、−20℃で24時間冷却後には、完全に凍結していた。試料No.1、2については−18℃であっても24時間後に完全に凍結した。また、試料No.1〜11については、−17.5℃での保持時間が8時間以上であった。中でも、試料No.4〜11については、その保持時間は10時間以上と顕著な効果が得られた。
これらの結果から、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たす場合に、過冷却が抑制され、低温維持性能に優れることが分かった。
1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
例えば、試料No.1〜3と、No.12、13を比較すると分かるように、塩化アンモニウム、塩化カリウムの含有量は同等程度であるが、前記条件を満たすNo.1〜3の方が、低温維持時間が延長されていることが分かる。
また、更に、塩化アンモニウムの含有量を10.0〜20.0質量%程度とすること、塩化カリウムと硫酸ナトリウムの合計含有量を、1.0〜16.0質量%程度とすることにより、家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度帯である−22℃〜−18℃で凍結するので、実用上有用であることが分かった。そのため、この範囲で、各成分を配合することで、凍結温度及び低温維持性能を両立させることができることが分かった。具体的には、凍結温度が、例えば8時間の維持の目標とする温度(保冷温度)の+3℃以内とできることが分かった。
1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1)
例えば、試料No.1〜3と、No.12、13を比較すると分かるように、塩化アンモニウム、塩化カリウムの含有量は同等程度であるが、前記条件を満たすNo.1〜3の方が、低温維持時間が延長されていることが分かる。
また、更に、塩化アンモニウムの含有量を10.0〜20.0質量%程度とすること、塩化カリウムと硫酸ナトリウムの合計含有量を、1.0〜16.0質量%程度とすることにより、家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度帯である−22℃〜−18℃で凍結するので、実用上有用であることが分かった。そのため、この範囲で、各成分を配合することで、凍結温度及び低温維持性能を両立させることができることが分かった。具体的には、凍結温度が、例えば8時間の維持の目標とする温度(保冷温度)の+3℃以内とできることが分かった。
また、塩化アンモニウムと塩化カリウムの合計含有量が大きいほど保冷時間が長くなる傾向にあることも分かった。
図6、7は、それぞれ試料No.5、10の温度変化の実測値を示すグラフである。図7のグラフを図6のグラフと比較すると分かるように、試料No.10では、−18℃以下の温度を維持できる時間が、相対的に長いだけでなく、全体的な傾向にも差が見られる。すなわち、14時間が経過するまで−18℃に維持され、約17時間が経過するまでは、温度変化(すなわち、グラフの傾き)が小さく、約17時間を経過した後に、急峻に温度が上昇している。このように、本発明の特に好ましい形態では、少なくとも14時間以内においては、急激な温度変化が起こらず、安定した保冷性能を確保できる。
本発明の蓄冷剤は、容器入り保冷剤とし、航空機内での食品保存に利用できる。
本発明の保冷収容具及び保冷輸送方法は、航空機内での食品保存の他、冷却機器を使用しない車両による長距離輸送に利用できる。
本発明の保冷収容具及び保冷輸送方法は、航空機内での食品保存の他、冷却機器を使用しない車両による長距離輸送に利用できる。
1 保冷蓋
2 蓋本体
3 折りたたみ線
4 保冷剤保持部
41 開口部
42 面ファスナー
5 取っ手
6 保冷対象物
7 断熱性シート
8 保冷収容具
81 収容部
82 開口部
X 保冷剤
2 蓋本体
3 折りたたみ線
4 保冷剤保持部
41 開口部
42 面ファスナー
5 取っ手
6 保冷対象物
7 断熱性シート
8 保冷収容具
81 収容部
82 開口部
X 保冷剤
Claims (12)
- 水、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムを含む蓄冷剤であって、
塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウムの含有質量が、以下の式(1)を満たすことを特徴とする、蓄冷剤。
1.0<塩化アンモニウム/(塩化カリウム+硫酸ナトリウム)<5.0 式(1) - 塩化アンモニウムの含有量が10.0〜30.0質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の蓄冷剤。
- 塩化カリウムと硫酸ナトリウムの合計含有量が、5.0〜20.0質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の蓄冷剤。
- 請求項1〜3の何れかに記載の蓄冷剤と、これを収容する容器とからなる、容器入り保冷剤。
- 保冷対象物を適当な保冷温度に保つための収容具であって、
断熱性の保冷収容具本体と、
該保冷収容具本体に内蔵された請求項4に記載の容器入り保冷剤と、
を備える保冷収容具。 - 前記保冷収容具本体は、内面に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することを特徴とする、請求項5に記載の保冷収容具。
- 前記保冷対象物の上面を覆う断熱性シートを備えることを特徴とする、請求項5又は6に記載の保冷収容具。
- 前記断熱性シートは、内面側に前記容器入り保冷剤を保持するための保冷剤保持部を有することを特徴とする、請求項7に記載の保冷収容具。
- 請求項5〜8の何れかに記載の保冷収容具を使用した保冷方法であって、
前記保冷収容具本体の内部底面に断熱性シートを敷設し、前記保冷対象物を該断熱性シート上に載置し、さらに、前記保冷対象物と該保冷対象物を覆う断熱性シートとの間に請求項4に記載の容器入り保冷剤を配置することを特徴とする、保冷方法。 - 請求項5〜8の何れか1項に記載の保冷収容具を使用することを特徴とする、保冷輸送方法。
- 異なる温度帯で保冷する必要のある複数の保冷対象物を同時に輸送する方法であって、
前記異なる温度帯ごとに分けた前記保冷対象物を前記保冷収容具に入れる保冷対象物収容工程と、
前記保冷収容具内部を適当な保冷温度とする容器入り保冷剤を前記保冷収容具本体内に内蔵させる保冷処理工程と、
前記保冷処理を行った複数の該保冷収容具を同一空間内に配置する保冷収容具配置工程と、
を行い、
保冷収容具ごとに内部を独立の温度で保冷し、輸送することを特徴とする、請求項10に記載の保冷輸送方法。 - 前記異なる温度帯が、冷凍・冷蔵・常温の三温度帯であることを特徴とする請求項11に記載の保冷輸送方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016025243 | 2016-02-12 | ||
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