以下、本発明の属する技術分野における当業者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似する部分に対しては同一の図面符号を付した。
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、同一の用語を互いに区別するために使用される。また、単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
本明細書において、炭化ホウ素は、ホウ素と炭素をベース(base)とするあらゆる化合物を指す。前記炭化ホウ素は、炭化ホウ素材料に添加剤及び/又はドーピング材料が含まれているまたは含まれていないものであってもよく、具体的には、ホウ素と炭素との合計が90モル%以上であるものであり、95モル%以上であるものであってもよく、98モル%以上であるものであってもよく、99モル%であるものであってもよい。本明細書において、炭化ホウ素は、単一相又は複合相であってもよく、これらが混合されたものであってもよい。炭化ホウ素の単一相は、ホウ素及び炭素の化学量論的相(phase)、及び化学量論的組成から外れた非化学量論的相の両方を含み、複合相とは、ホウ素及び炭素をベース(base)とする化合物のうちの少なくとも2つが所定の比率で混合されたことをいう。また、本明細書での炭化ホウ素は、前記炭化ホウ素の単一相又は複合相に不純物が追加されて固溶体をなす場合、または炭化ホウ素を製造する工程で不可避に追加される不純物が混入された場合のいずれも含む。前記不純物の例としては、鉄、銅、クロム、ニッケル、アルミニウムなどの金属などが挙げられる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
前記目的を達成するために、本発明の一実施例に係る炭化ホウ素焼結体は、炭化ホウ素含有粒子がネッキングされたものであって、400℃で測定した熱伝導度の値が27W/(m*k)以下である。
前記炭化ホウ素焼結体は、25℃で測定した熱伝導度の値(HC25)と、800℃で測定した熱伝導度の値(HC800)との比率(HC25:HC800)が1:0.2〜3である特徴を有することができる。具体的には、前記比率(HC25:HC800)が1:0.26〜1であってもよく、1:0.26〜0.6であってもよい。
このような熱伝導度の値を有する場合、前記焼結体が適用される雰囲気の温度の変化が大きくても、熱伝導度の値が一定の範囲内の値を有するので、温度変化が大きい雰囲気に適用しても比較的一定の熱的特性を有することができ、安定的に工程の進行が可能である。前記焼結体の熱伝導度を調節するために、シリコンカーバイドまたはシリコンなどの添加剤が使用されてもよい。
前記焼結体の熱伝導度は、25〜800℃から選択されたいずれかの温度で約60W/(m*k)以下であってもよく、約40W/(m*K)以下であってもよく、約30W/(m*K)以下であってもよく、約27W/(m*K)以下であってもよい。また、前記焼結体の熱伝導度は、25〜800℃から選択されたいずれかの温度で約4W/(m*K)以上であってもよく、約5W/(m*K)以上であってもよい。
前記焼結体の熱伝導度は、25℃で約80W/(m*K)以下であってもよく、約31W/(m*K)以下であってもよい。また、前記焼結体の熱伝導度は、25℃で約20W/(m*K)以上であってもよく、約22W/(m*K)以上であってもよい。
前記焼結体の熱伝導度は、400℃で約70W/(m*K)以下であってもよく、約22W/(m*K)以下であってもよい。また、前記焼結体の熱伝導度は、400℃で約7W/(m*K)以上であってもよく、約8W/(m*K)以上であってもよい。
前記焼結体の熱伝導度は、800℃で約50W/(m*K)以下であってもよく、約16W/(m*K)以下であってもよい。また、前記焼結体の熱伝導度は、800℃で約5W/(m*K)以上であってもよく、約6W/(m*K)以上であってもよい。
このような熱伝導度を有する場合、焼結体がより優れた耐エッチング性を有することができる。
前記焼結体は、粒径(D50)が1.5μm以下である炭化ホウ素含有粒子が焼結及びネッキングされたものであり得る。具体的な焼結及びネッキングする方法についての内容は、後述する製造方法についての説明と重複するので、その記載を省略する。
前記炭化ホウ素焼結体のRa粗さは約1.0μm〜約1.2μmであり得る。前記ポリッシングされた焼結体のRa粗さは約0.2μm〜約0.4μmであり得る。前記測定には3次元測定器を適用することができる。このような表面粗さを有する前記炭化ホウ素焼結体は、より滑らかな表面を有することで、エッチング装置の一部、またはエッチング装置に適用される部品の一部又は全部に適用されても、優れた物性を示すことができる。
前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約10%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約5%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約3%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約2%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約1%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約0.5%以下であってもよい。より詳細には、前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約0.1%以下であってもよい。前記炭化ホウ素焼結体の空隙率は約0.001%以上であってもよい。このように空隙率の低い焼結体は、粒子間の炭素領域などがより低い焼結体を意味し、より強い耐食性を有することができる。
前記炭化ホウ素焼結体において、前記断面を基準として気孔の平均直径は5μm以下であり得る。このとき、前記気孔の平均直径は、前記気孔の断面積と同じ面積の円の直径で導出する。前記気孔の平均直径は3μm以下であってもよい。より詳細には、前記気孔の平均直径は1μm以下であってもよい。また、前記気孔の全面積を基準として、前記気孔の直径が10μm以上である部分の面積は、5%以下であり得る。これは、前記炭化ホウ素焼結体は、相対的に緻密な構造を有し、焼結体全体的にこのような緻密な構造がよく分布しているということを意味する。また、前記炭化ホウ素焼結体は、このように緻密な構造を有するので、向上した耐食性を有することができる。
前記炭化ホウ素焼結体は、金属性副産物(不純物)が500ppm以下で含有されてもよく、300ppm以下で含有されてもよく、100ppm以下で含有されてもよく、10ppm以下であってもよく、1ppm以下であってもよく、実質的に金属性副産物(不純物)を含まなくてもよい。
前記炭化ホウ素焼結体は、エッチング装置内でハロゲンイオンと反応してパーティクル(粒子性の異物)を形成しない利点を有することができる。このとき、前記パーティクルは、粒径1μm以上の物質をいう。具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、プラズマエッチング装置内でフッ素イオンと反応してパーティクルを形成しないことができる。具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、プラズマエッチング装置内で塩素イオンと反応してパーティクルを形成しないことができる。このような特徴は、イリジウムなどを適用した焼結体がハロゲンイオンと反応して粒子性の異物を形成し得るという点などと区別されるものであって、前記炭化ホウ素焼結体がエッチング装置内に適用されるのに有利であるという特徴を有する。
前記炭化ホウ素焼結体は、低エッチング率の特徴を有する。具体的には、シリコン(Si、単結晶シリコン、グローイング法で製造したもの)のエッチング率が100%であるとき、前記炭化ホウ素焼結体は、55%以下のエッチング率を有することができ、10〜50%のエッチング率を有することができ、または20〜45%のエッチング率を有することができる。このようなエッチング率特性は、厚さ減少率(%)に基づいた評価であって、具体的には、前記のエッチング率は、プラズマ装置でRF powerを2,000W、露出時間を280hrとして適用した同一の条件でエッチングされる割合を評価した結果である。
前記炭化ホウ素焼結体の低エッチング率の特徴は、CVD−SiCと比較して遥かに優れる結果、非常に優れた耐エッチング率を示す。より具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、CVD−SiCのエッチング率を100%とするとき、70%以下のエッチング率を有することができる。
前記炭化ホウ素焼結体は、高抵抗、中抵抗、または低抵抗の特性を有することができる。
具体的には、高抵抗特性を有する炭化ホウ素焼結体は、約10Ω・cm〜約103Ω・cmの比抵抗を有することができる。このとき、前記高抵抗炭化ホウ素焼結体は、主に炭化ホウ素で形成され、焼結特性改善剤としてシリコンカーバイドまたはシリコンナイトライドを含むことができる。
具体的には、中抵抗特性を有する炭化ホウ素焼結体は、約1Ω・cm〜10Ω・cm未満の比抵抗を有することができる。このとき、前記中抵抗炭化ホウ素焼結体は、主に炭化ホウ素で形成され、焼結特性改善剤としてボロンナイトライドを含むことができる。
具体的には、低抵抗特性を有する炭化ホウ素焼結体は、約10−1Ω・cm〜約10−2Ω・cmの比抵抗を有することができる。このとき、前記低抵抗炭化ホウ素焼結体は、主に炭化ホウ素で形成され、焼結特性改善剤としてカーボンを含むことができる。
より具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、5.0Ω・cm以下の低抵抗特性を有することができ、1.0Ω・cm以下の低抵抗特性を有することができ、または8×10−1Ω・cm以下の低抵抗特性を有することができる。
本発明の炭化ホウ素焼結体は低エッチング率の特性を有し、断面観察の結果から、全体的に均一でかつ減少した炭素領域などの優れた微細構造特性を有するので、耐エッチング性部材などその活用度に優れる。
本発明の他の一実施例に係るエッチング装置は、上述した炭化ホウ素焼結体を少なくともその一部に含む。具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、プラズマ反応器の壁、処理ガス用ノズル、処理ガス用シャワーヘッドなどに適用することができる。
本発明の他の一実施例に係るエッチング装置用部品は、上述した炭化ホウ素焼結体を少なくともその一部に含むか、または前記炭化ホウ素焼結体からなることができる。具体的には、前記炭化ホウ素焼結体は、フォーカスリング、エッジリングなどの消耗性部品に適用することができ、エッチング装置が行うエッチング工程において不良率をさらに低減すると共に、より長く消耗性部品が適用されるようにすることができ、さらに効率を向上させることができる。
本発明の更に他の一実施例に係る炭化ホウ素焼結体の製造方法は、1次成形ステップ及び焼結体形成ステップを含む。前記製造方法は、前記1次成形ステップの前に顆粒化ステップをさらに含むことができる。前記製造方法は、前記焼結体形成ステップの後に加工ステップをさらに含むことができる。
前記顆粒化ステップは、炭素、ホウ素、炭化ホウ素またはこれらの混合物を含有する原料物質を溶媒と混合してスラリー化された原料物質を製造するスラリー化過程、そして、前記スラリー化された原料物質を乾燥させて球状の顆粒原料物質として製造する顆粒化過程を含む。
前記原料物質は、炭化ホウ素と焼結特性改善剤を含む原料物質であってもよい。
前記炭化ホウ素(ボロンカーバイド、boron carbide)はB4Cに代表され、前記原料物質の炭化ホウ素は、粉末状の炭化ホウ素が適用され得る。
前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約1.5μm以下の平均粒径を有することができ、約0.3μm〜約1.5μmの平均粒径を有することができ、または約0.4μm〜約1.0μmの平均粒径を有することができる。また、前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約0.4μm〜約0.8μmの平均粒径を有することができる。平均粒径が過度に大きい炭化ホウ素粉末を適用する場合には、製造された焼結体の密度が低下し、耐食性が低下することがあり、粒径が過度に小さい場合には、作業性が低下したり、生産性が低下したりすることがある。
前記焼結特性改善剤は、前記原料物質に含まれて炭化ホウ素焼結体の物性を向上させる。具体的には、前記焼結特性改善剤は、カーボン、ボロンオキサイド、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンオキサイド、ボロンナイトライド、シリコンナイトライド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。
前記焼結特性改善剤は、前記原料物質全体を基準として、約0.1重量%〜約30重量%含有されてもよく、1〜25重量%含有されてもよく、または5〜25重量%含有されてもよい。前記焼結特性改善剤が、前記原料物質全体を基準として0.1重量%未満で含まれる場合、焼結特性の改善効果が僅かであり、30重量%を超えて含まれる場合には、むしろ焼結体の強度を低下させることがある。
前記原料物質は、前記焼結特性改善剤以外の残量として、炭化ホウ素粉末などの炭化ホウ素原料を含むことができる。
前記焼結特性改善剤は、ボロンオキサイド、カーボンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
前記焼結特性改善剤としてカーボンが適用される場合、前記カーボンは樹脂の形態で添加されてもよく、前記樹脂が炭化工程を通じて炭化した形態のカーボンとして適用されてもよい。前記樹脂の炭化工程は、通常の高分子樹脂を炭化させる工程が適用され得る。
前記焼結特性改善剤としてカーボンが適用される場合、前記カーボンは、1〜30重量%で適用されてもよく、5〜30重量%で適用されてもよく、8〜28重量%で適用されてもよく、または13〜23重量%で適用されてもよい。このような含量で前記焼結特性改善剤としてカーボンを適用する場合、粒子間のネッキング現象が増加し、粒子サイズが比較的大きく、相対密度が比較的高い炭化ホウ素焼結体を得ることができる。ただし、前記カーボンを30重量%を超えて含む場合、残留炭素によるカーボン領域の発生により硬度が減少することがある。
前記焼結特性改善剤はボロンオキサイドを適用することができる。前記ボロンオキサイドはB2O3に代表されるものであって、前記ボロンオキサイドを適用すると、焼結体の気孔内に存在する炭素との化学反応などを通じて炭化ホウ素を生成し、残留炭素の排出を助けることで、より緻密化された焼結体を提供することができる。
前記焼結特性改善剤として前記ボロンオキサイドと前記カーボンが共に適用される場合、前記焼結体の相対密度をさらに高めることができ、これは、気孔内に存在するカーボン領域が減少し、より緻密度が向上した焼結体を製造することができる。
前記ボロンオキサイドと前記カーボンは、1:0.8〜4の重量比で適用されてもよく、1:1.2〜3の重量比で適用されてもよく、または1:1.5〜2.5の重量比で適用されてもよい。このような場合、より相対密度が向上した焼結体を得ることができる。より具体的には、前記原料物質は、前記ボロンオキサイドを1〜9重量%、そして、前記カーボンを5〜15重量%含有することができ、このような場合、緻密度が非常に優れ、欠陥の少ない焼結体を製造することができる。
また、前記焼結特性改善剤は、その融点が約100℃〜約1000℃であってもよい。より詳細には、前記添加剤の融点は約150℃〜約800℃であってもよい。前記添加剤の融点は約200℃〜約400℃であってもよい。これによって、前記添加剤は、前記原料物質が焼結される過程で前記炭化ホウ素の間に容易に拡散することができる。
前記顆粒化ステップにおいてスラリー化のために適用される溶媒は、エタノールなどのようなアルコール、または水が適用されてもよい。前記溶媒は、前記スラリー全体を基準として約60体積%〜約80体積%の含量で適用され得る。
前記スラリー化過程はボールミル方式を適用することができる。前記ボールミル方式は、具体的にポリマーボールを適用することができ、前記スラリー配合工程は、約5時間〜約20時間行うことができる。
また、前記顆粒化工程は、前記スラリーが噴射されながら、前記スラリーに含まれた溶媒が蒸発などによって除去され、原料物質が顆粒化される方式で行うことができる。このように製造される顆粒化された原料物質粒子は、粒子自体が全体的に丸い形状を有し、粒度が比較的一定であるという特徴を有する。
前記顆粒化された原料物質粒子の直径は、D50を基準として、約0.3μm〜約1.5μmであってもよく、約0.4μm〜約1.0μmであってもよく、または約0.4μm〜約0.8μmであってもよい。
このように顆粒化された原料物質粒子を適用すると、後述する1次成形ステップにおいてグリーン体(green body)の製造時にモールドへの充填が容易であり、作業性がより向上することができる。
前記1次成形ステップは、炭化ホウ素を含有する原料物質を成形してグリーン体を製造するステップである。具体的には、前記成形は、前記原料物質をモールド(ゴムなど)に入れ、加圧する方式が適用され得る。より具体的には、前記成形は、冷間等方圧加圧法(Cold Isostatic Pressing、CIP)が適用され得る。
前記1次成形ステップを冷間等方圧加圧法を適用して行う場合、圧力は、約100MPa〜約200MPaを適用することがより効率的である。
前記グリーン体は、製造される焼結体の用途に適した大きさ及び形状を考慮して製造できる。
前記グリーン体は、製造しようとする最終焼結体の大きさより多少大きい大きさに形成することがよく、焼結体の強度がグリーン体の強度よりも強いので、焼結体の加工時間を短縮する目的で、前記1次成形ステップの後にグリーン体から不要な部分を除去する形状加工過程をさらに行うことができる。
前記焼結体形成ステップは、前記グリーン体を炭化及び焼結させて炭化ホウ素焼結体を製造するステップである。
前記炭化は、約600℃〜約900℃の温度で行うことができ、このような過程でグリーン体内のバインダーや不要な異物などが除去され得る。
前記焼結は、約1800℃〜約2500℃の焼結温度で約10時間〜約20時間の焼結時間の間維持する方式で行うことができる。このような焼結過程で原料物質粒子間の成長及びネッキングが行われ、緻密化された焼結体を得ることができる。
前記焼結を、具体的に昇温、維持、冷却の温度プロファイルで行うことができ、具体的に1次昇温−1次温度維持−2次昇温−2次温度維持−3次昇温−3次温度維持−冷却の温度プロファイルで行うことができる。
前記焼結における昇温速度は、約1℃/分〜約10℃/分であってもよい。より詳細には、前記焼結での昇温速度は、約2℃/分〜約5℃/分であってもよい。
前記焼結において、約100℃〜約250℃の温度が約20分〜約40分間維持され得る。また、前記焼結において、約250℃〜約350℃の温度区間が約4時間〜約8時間維持され得る。また、前記焼結において、約360℃〜約500℃の温度区間が約4時間〜約8時間維持され得る。前記のような温度区間で一定時間維持される場合、前記添加剤がより容易に拡散することができ、より均一な相の炭化ホウ素焼結体を製造することができる。
前記焼結は、約1800℃〜約2500℃の温度区間が約10時間〜約20時間維持され得る。このような場合、より強固な焼結体を製造することができる。
前記焼結での冷却速度は、約1℃/分〜約10℃/分であってもよい。より詳細には、前記焼結での冷却速度は、約2℃/分〜約5℃/分であってもよい。
前記焼結体形成ステップで製造された炭化ホウ素焼結体は、さらに面加工及び/又は形状加工を含む加工ステップを経ることができる。
前記面加工は、前記焼結体の面を平坦化する作業であり、通常のセラミックを平坦化するのに適用される方法を適用できる。
前記形状加工は、前記焼結体の一部を除去したり削ったりして意図する形状を有するように加工する過程である。前記形状加工は、前記炭化ホウ素焼結体が緻密度に優れ、強度が強い点を考慮して、放電加工の方式で行うことができ、具体的には放電ワイヤー加工方式で行うことができる。
具体的には、前記焼結体を水槽に入れ、前記焼結体及びワイヤーにそれぞれ直流電源を接続した後、前記ワイヤーが往復運動しながら、前記焼結体から除去しようとする部分をカッティングすることができる。このとき、前記直流電源の電圧は、約100ボルト〜約120ボルトであってもよく、加工速度は、約2mm/分〜約7mm/分であってもよく、ワイヤーのスピードは、約10rpm〜約15rpmであってもよく、ワイヤーの張力は、約8g〜約13gであってもよく、前記ワイヤーの直径は、約0.1mm〜約0.5mmであってもよい。
このように製造される前記焼結体は、上述した特徴を有する。
本発明の他の一実施例に係る炭化ホウ素焼結体の製造方法は、準備ステップ、配置ステップ、及び成形ステップを含む。
前記準備ステップは、炭化ホウ素を含有する原料物質を、成形ダイ内に位置する中空に装入させるステップである。
前記中空は、円筒状または円盤状であってもよく、互いにその大きさ及び高さが異なる2以上の円筒状または円盤状が積層された形態であり得る。具体的には、前記中空は、互いに上下に位置し、互いに区分されるように、その大きさ及び高さに差がある第1中空及び第2中空を含むことができる。前記第1中空の高さは、前記第2中空の高さより高くてもよい。前記第1中空の大きさは、前記第2中空の大きさより小さくてもよい。
前記炭化ホウ素(ボロンカーバイド、boron carbide)はB4Cに代表され、前記原料物質の炭化ホウ素は、粉末状の炭化ホウ素が適用され得る。
前記原料物質は、炭化ホウ素粉末を含有することができ、炭化ホウ素粉末及び添加剤を含有することができ、または炭化ホウ素粉末からなることができる。前記炭化ホウ素粉末は、高純度(炭化ホウ素含量が99.9重量%以上)が適用されてもよく、低純度(炭化ホウ素含量が95重量%以上99.9重量%未満)が適用されてもよい。
前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約1.5μm以下の平均粒径を有することができ、約0.3μm〜約1.5μmの平均粒径を有することができ、または約0.4μm〜約1.0μmの平均粒径を有することができる。また、前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約0.4μm〜約0.8μmの平均粒径を有することができる。このような炭化ホウ素粉末を適用する場合、より空隙の形成が少ない緻密な構造の炭化ホウ素焼結体を製造することができる。
前記添加剤は、前記炭化ホウ素焼結体においてその一部又は全部で炭化ホウ素固溶体を形成して炭化ホウ素焼結体に機能性を付与する機能性添加剤であり得る。
前記添加剤は、前記炭化ホウ素焼結体の焼結特性を向上させる目的で適用される焼結特性改善剤であり得る。前記焼結特性改善剤は、カーボン、ボロンオキサイド、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンオキサイド、ボロンナイトライド、シリコンナイトライド及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。前記焼結特性改善剤は、ボロンオキサイド、カーボン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記焼結特性改善剤としてカーボンが適用される場合、前記カーボンは樹脂の形態で添加されてもよく、前記樹脂が炭化工程を通じて炭化した形態のカーボンとして適用されてもよい。前記樹脂の炭化工程は、通常の高分子樹脂を炭化させる工程が適用され得る。
具体的には、前記焼結特性改善剤は、前記原料物質全体を基準として、約30重量%以下で含有されてもよく、約0.001重量%〜約30重量%で含有されてもよく、0.1〜25重量%で含有されてもよく、5〜25重量%で含有されてもよい。
前記焼結特性改善剤が前記原料物質全体を基準として30重量%を超えて含まれる場合には、むしろ、製造された焼結体の強度を低下させることがある。
前記ダイは、2以上の分割された断片が互いに結合して形成され得る。
前記炭化ホウ素焼結体の製造方法は、強い焼結圧力が適用され得るように、前記成形ダイを高温で比較的強度が強いグラファイトのような材料で製造することができ、必要に応じて、成形ダイを補強する補強部を適用することができる。
前記配置ステップは、前記ダイを焼結炉またはチャンバ内に装入し、加圧部をセッティングするステップである。前記配置ステップで適用される焼結炉またはチャンバは、高温加圧雰囲気で前記炭化ホウ素焼結体を製造できる装置であれば、制限なく適用可能である。
前記成形ステップは、前記ダイに焼結温度及び焼結圧力を加えることで前記原料物質から炭化ホウ素焼結体を形成するステップである。
前記ダイは、後述するように、本発明の炭化ホウ素焼結体が製造しようとする形状に予め中空を形成することで、比較的容易に意図する製品の形態を有するように製造することができる。
前記焼結温度は、約1800℃〜約2500℃であってもよく、約1800℃〜約2200℃であってもよい。前記焼結圧力は、約10MPa〜約110MPaであってもよく、約15MPa〜約60MPaであってもよく、約17MPa〜約30MPaであってもよい。このような焼結温度及び焼結圧力下で前記成形ステップを行う場合、より効率的に高品質の炭化ホウ素焼結体を製造することができる。
前記焼結時間は、0.5〜10時間が適用されてもよく、0.5〜7時間が適用されてもよく、0.5〜6時間が適用されてもよい。
前記焼結時間は、常圧で行う焼結工程と比較して非常に短い時間であり、このように短い時間を適用しても、同等またはさらに優れた品質を有する焼結体を製造することができる。
前記成形ステップは、還元雰囲気で行うことができる。前記成形ステップが還元雰囲気で行われる場合、炭化ホウ素粉末が空気中の酸素と反応して形成され得るボロンオキサイドのような物質を還元させることで、炭化ホウ素の含量がより高くなった炭化ホウ素焼結体を製造することができる。
前記成形ステップは、前記焼結炉内の粒子間の間隙にスパークを発生させながら行われ得る。このような場合、加圧部と接続された電極によって前記ダイにパルス状の電気エネルギーを印加する方式で行われ得る。このようにパルス状の電気エネルギーを印加しながら前記成形ステップを行う場合、前記電気エネルギーによって、より短時間で前記緻密状の焼結体を得ることができる。
前記成形ステップでの焼結温度の最高温度区間は、約1900℃〜約2200℃であり得、約2時間〜約5時間維持され得る。このとき、前記ダイに加わる圧力は、約15MPa〜約60MPaであり得る。より詳細には、前記ダイに加わる圧力は、約17MPa〜約30MPaであり得る。
具体的には、前記成形ステップがスパークプラズマ焼結装置で行われる場合、チャンバ内の昇温が行われ、これと共にまたは別途にダイに加圧が行われることで、焼結が行われ得る。このとき、前記チャンバ内に印加される電気エネルギーが前記原料物質の焼結を促進することができ、例えば、直流パルス電流を印加することができる。
本発明の他の一実施例に係る炭化ホウ素焼結体の製造方法は、基板及びガス状物質を準備する準備ステップと、前記基板に炭化ホウ素層を蒸着する蒸着ステップとを含む。
前記炭化ホウ素焼結体は、蒸着工程によって製造することができる。例えば、前記炭化ホウ素焼結体は、バルクCVDのような気相蒸着法によって基板の表面全体にわたって製造することができる。具体的には、前記炭化ホウ素焼結体をCVD方式(CVD気相蒸着バルク製造方式)で適用する場合、前記炭化ホウ素焼結体は、基板上にCVD炭化ホウ素(BC)蒸着、基板除去、形状加工、ポリッシング、測定及び洗浄の過程を含んで製造され得る。
前記CVD炭化ホウ素蒸着過程は、基板(主に黒鉛、またはSiC)に炭化ホウ素蒸着膜を形成する過程である。ガス状の物質が基板上に物理的に蒸着されるようにする方式で蒸着が十分に行われた後には、基板が除去され得る。
形状加工過程は、機械的な加工により、炭化ホウ素焼結体が予め定められた形状を有するように完成する過程である。ポリッシング過程は、表面粗さを滑らかにする過程であり、以降に品質を確認し、汚染物を除去する。本発明の範囲内で前記工程中の一部は省略されてもよく、他の工程が追加されてもよい。
前記CVD工程には、ガス状物質として、ホウ素源ガス及び炭素源ガスを使用することができる。前記CVD工程に適用されるホウ素源ガスは、B2H6、BCl3、BF3及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含有することができる。また、前記CVD工程に使用される炭素源ガスはCF4を含有することができる。
例えば、前記炭化ホウ素焼結体は、ホウ素前駆体としてB2H6を使用し、蒸着温度は、500℃〜1500℃として化学気相蒸着装置により蒸着したものであってもよい。
前記炭化ホウ素焼結体の形成のために、様々な蒸着またはコーティング工程が適用され得る。基板などに炭化ホウ素コーティング層を厚膜でコーティングする方法は制限がなく、物理気相蒸着法、常温噴射法、低温噴射法、エアロゾル噴射法、プラズマ溶射法などがある。
前記物理気相蒸着法は、例えば、炭化ホウ素ターゲット(target)をアルゴン(Ar)ガス雰囲気でスパッタリング(sputtering)することができる。物理気相蒸着法により形成されたコーティング層は、厚膜PVD炭化ホウ素コーティング層ということができる。
前記常温噴射法は、常温で炭化ホウ素粉末に圧力を加えて複数個の吐出口を介して母材に噴射することで炭化ホウ素焼結体層を形成することができる。このとき、炭化ホウ素粉末は、真空顆粒の形態を使用することができる。前記低温噴射法は、常温より略60℃程度高い温度で、圧縮ガスの流動によって炭化ホウ素粉末を複数個の吐出口を介して母材に噴射することでコーティング層の形態の炭化ホウ素焼結体を形成することができる。前記エアロゾル噴射法は、ポリエチレングリコール、イソプロピルアルコールなどのような揮発性溶媒に炭化ホウ素粉末を混合してエアロゾルの形態とした後、前記エアロゾルを母材に噴射して炭化ホウ素焼結体を形成することである。前記プラズマ溶射法は、高温のプラズマジェット中に炭化ホウ素粉末を注入させることによってプラズマジェット中で溶融された前記粉末を超高速で母材に噴射して炭化ホウ素焼結体を形成する。
このように製造される炭化ホウ素焼結体は上述した物性を有し、前記方法によれば、優れた物性を有する炭化ホウ素焼結体をより短時間内に製造することができる。
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
1.製造例1〜8の炭化ホウ素焼結体の製造
炭化ホウ素粒子(粒度、D50=0.7μm)、炭素などの原料物質と溶媒をスラリー配合機に入れ、ボールミル方式で混合して、スラリー化された原料物質を製造した。このスラリー化された原料物質を噴霧乾燥させて顆粒化し、顆粒化された原料物質を製造した。
この原料物質をそれぞれゴムモールドに充填し、CIP機器にローディングした後、加圧してグリーン体をそれぞれ製造した。このグリーン体は、炭化過程を経て汚染物質などを除去し、焼結炉で常圧焼結して、各製造例の焼結体を製造した。
2.製造例9の炭化ホウ素焼結体の製造
炭化ホウ素粒子(粒度D50=0.7μm)をダイに充填し、加圧成形装置に装入した後、下記表1に提示された温度、圧力及び時間で焼結して、製造例9の焼結体を製造した。
各製造例に適用した原料物質の含量、焼結温度及び時間は、下記の表1にまとめた。
*焼結特性改善剤1としては炭素を適用する。
**焼結特性改善剤2としてはボロンオキサイドを適用する。
3.比較例1及び比較例2
比較例1として、CVD方式により製造したSiCを適用した。具体的には、炭化ケイ素母材層の一側面に、母材層と同一の成分である化学気相蒸着炭化ケイ素(chemical vapor deposition silicon carbide、CVD−SiC)層を形成する方法で比較例1のSiCを製造した。
比較例2として、単結晶シリコンを適用した。
4.物性の評価
(1)相対密度の評価及び表面観察
相対密度(%)はアルキメデス法で測定した。その結果を下記の表2に示す。また、表面特性は電子顕微鏡で観察し、それぞれの表面特性を添付の図面に提示した。"−"表示は、測定しなかったことを意味する。
前記表2を参照して、製造例1〜4を参照すると、同一に炭素を焼結特性改善剤として適用する場合に、約20重量%までは、その適用量が増加するほど、同じ条件で製造される焼結体の相対密度が増加することを確認した。すなわち、炭素を焼結特性改善剤として適用する場合、12〜23重量%の範囲で適用時に特に高い相対密度を得ることができた。
また、製造例5及び6の結果を製造例1〜4の結果と比較すると、焼結時間が増加すると、相対密度が増加することを確認し、このような場合には、焼結特性改善剤の適用量を減らした場合が、むしろ焼結特性がさらに向上できるという点も確認した。
製造例9の場合、別途の焼結特性改善剤を適用せずに加圧焼結し、焼結特性が非常に優れた炭化ホウ素焼結体を得ることができた。
焼結体の表面を観察した図1乃至図3を参照しても、相対密度が増加するほど、ネッキング現象が増加し、密度が緻密化されるという点を確認することができた。
(2)熱伝導率、抵抗特性及びエッチング率特性
熱伝導率[W/(m*k)]は、Laser Flash Apparatus(LFA457)で測定した。
抵抗特性(Ω・cm)は、比抵抗表面抵抗測定器(MCP−T610)で測定した。
エッチング率(%)は、プラズマ装置に2000WのRF powerを適用して同一の温度及び雰囲気下で測定した。
前記物性評価の結果を、下記の表3及び表4にそれぞれ示す。
前記の実験結果を参照すると、焼結特性改善剤を適用していない製造例1と比較して、製造例2〜8の相対密度特性がさらに高いことを確認できたが、同一の焼結特性改善剤を入れる容量に比例して相対密度が高くなるものではないと確認され、実験の結果、25重量%の炭素を適用した場合、20重量%の炭素を適用した場合と比較して、むしろ相対密度が低下するものと確認された。
ボロンオキサイドを焼結特性改善剤として適用する製造例7の場合が、同量の炭素を適用した製造例6と比較して、より高い相対密度を有し、炭素とボロンオキサイドを共に適用した製造例8の場合が、焼結条件を同一に適用した製造例5〜7と比較したとき、遥かに優れた相対密度の値を有した。また、表面特性を観察した結果を見ても、炭素領域が均一に全体的に広がっているので、気孔に存在する比較的大きさの大きい炭素領域は現れないか、またはその発生密度が著しく減少したことが確認できた。
このように製造されたサンプルは、一定の範囲の熱伝導率特性を有し、炭化ケイ素やシリコンと比較して遥かに優れたエッチング率を示し、耐食性も非常に優れるものと評価された。特に、製造方法を異なるようにした製造例9の場合、最も優れた耐エッチング特性を示し、類似の製造方法で製造した製造例1〜8の中では、製造例8が非常に優れた結果を示し、このような結果は、いずれも、CVD−SiCやSiと比較して遥かに優れた結果であると考えられる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。