JP2020070477A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術よりも優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安定して製造することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。【解決手段】mass%で、C:0.02〜0.10%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.01〜1.00%、sol.Al:0.01〜0.04%、N:0.004〜0.020%、SおよびSeを合計で0.002〜0.040%を含有する鋼スラブを1250℃以上に再加熱し、熱間圧延し、熱延板焼鈍し、冷間圧延し、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施して方向性電磁鋼板を製造する際、上記熱延板焼鈍を、200℃から400℃までの平均昇温速度を50℃/s以上、800℃から950℃までの平均昇温速度を10℃/s以下として加熱し、950〜1200℃で焼鈍する。【選択図】なし

Description

本発明は、変圧器や発電機の鉄心材料等に用いて好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機、電動機等の鉄心材料として用いられる軟磁性材料であり、鉄の磁化容易軸である<001>方位が、鋼板の圧延方向に高度に揃った集合組織を有していることが特徴である。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程の仕上焼鈍において、二次再結晶を起こさせることで形成される。ここで、上記二次再結晶とは、粒界エネルギーを利用して、いわゆるゴス(Goss)方位と称される{110}<001>方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる現象をいう。
上記二次再結晶を生じさせる代表的な技術として、インヒビタと呼ばれる析出物を利用する方法がある。この方法では、AlNやMnS、MnSeなどの析出物を鋼中に微細に分散させることで仕上焼鈍における結晶粒の成長を制御し、最終的にGoss方位を有する結晶粒を選択的に成長させる技術である。
ところで、上記技術では、結晶方位の集積度を高めて高磁束密度を得ようとすると、それにともない必然的に結晶粒が粗大化し、磁気特性が不安定化する。これを抑制すべく結晶粒の細粒化を図ると、逆に結晶方向集積度が低下し磁束密度の低下を招くという問題がある。この問題に対して、特許文献1には、AlNをインヒビタとする方向性電磁鋼板を製造する方法において、熱延板焼鈍の800℃の温度までの昇温速度を5〜25℃/sの範囲に制御することによって、AlNを微細に析出させ、1次再結晶粒の成長に対し強い抑制効果を発現させる技術が開示されている。
特開平10−121135号公報
上記特許文献1に開示の技術を適用することで、方向性電磁鋼板の磁気特性は、ある程度の改善がなされた。しかし、近年、地球環境を保護する観点から、省エネルギー化に向けた動きが世界的に広がっており、変圧器や発電機の鉄心等に使用される方向性電磁鋼板には、さらなる磁気特性の向上が求められるようになってきており、それに伴い、製品厚が0.23mmを下回るような薄手材が開発されている。しかしながら、薄手化すると、二次再結晶させる仕上焼鈍時のコイルの外巻部や内巻部において、二次再結晶の発現が不安定化し、ひいては、磁気特性が不安定となるという新たな問題が発生した。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来技術よりも優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安定して製造することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、インヒビタ形成成分を含有する鋼素材を用いて方向性電磁鋼板を製造する方法において、方向性電磁鋼板の磁気特性に及ぼす熱延板焼鈍の昇温過程の影響に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、熱延板焼鈍における昇温過程の低温域の昇温速度を大幅に高めるとともに、それより高温の特定の温度領域の昇温速度を逆に抑制することで、インヒビタの微細析出が促進され、その結果、良好な磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安定して製造することができることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.02〜0.10mass%、Si:2.0〜5.0mass%、Mn:0.01〜1.00mass%、sol.Al:0.01〜0.04mass%、N:0.004〜0.020mass%、SおよびSeのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.002〜0.040mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを1250℃以上の温度に再加熱し、熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記熱延板焼鈍は、200℃から400℃までの平均昇温速度を50℃/s以上、800℃から950℃までの平均昇温速度を10℃/s以下として加熱し、950〜1200℃で焼鈍することを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上焼鈍の加熱過程において、800〜950℃間の温度域に5〜200hr保持する保定処理した後、引き続き、もしくは、一旦、700℃以下まで降温した後、再加熱して、950〜1050℃間の温度域を5〜30℃/hrの昇温速度で加熱し、さらに、1100℃以上の温度に2hr以上保持して純化処理することを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、Ni:0.01〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、Sn:0.010〜0.400mass%、Sb:0.010〜0.150mass%、Mo:0.010〜0.200mass%およびP:0.010〜0.150mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、熱延板焼鈍の昇温過程の低温域の昇温速度を大幅に高めるとともに、それより高温の特定の温度領域の昇温速度を逆に抑制することで、インヒビタの微細析出が促進され、その結果、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安定して提供することが可能となる。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
C:0.063mass%、Si:3.50mass%、Mn:0.15mass%、sol.Al:0.020mass%、N:0.0075mass%、S:0.002mass%およびSe:0.020mass%を含有する鋼スラブを連続鋳造法で製造し、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.5mmの熱延板とした。次いで、上記熱延板に、均熱条件を1000℃×30秒とする熱延板焼鈍を施した。この際、上記熱延板焼鈍の昇温条件を表1に示したように種々に変化させた。
次いで、上記熱延板焼鈍板に、冷間圧延を施して中間板厚1.5mmとし、1100℃×150sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して板厚0.20mmの冷延板とした。次いで、上記冷延板に50vol%H−50vol%N、露点60℃の雰囲気下で、830℃×150sの脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、水素雰囲気下で、1200℃の温度に5hr保持して純化処理する仕上焼鈍を施した後、850℃×30sの平坦化焼鈍を施して製品板とした。この際、室温から950℃までの加熱は、保定処理することなく、平均焼鈍速度15℃/hrで加熱し、950〜1050℃までは平均昇温速度25℃/hrで加熱し、1050℃から1200℃までは平均昇温速度20℃/hrで加熱した。
次いで、上記製品コイルから仕上焼鈍時の外巻部、中巻部(中央部)および内巻部に相当するそれぞれの位置からエプスタイン試験片を採取し、磁束密度B(磁化力800A/mでの磁束密度)と鉄損W17/50(磁束密度1.7T、周波数50Hzでの鉄損)をJIS C2550に記載の方法で測定し、その結果を、表1中に併記した。
Figure 2020070477
上記表1の結果から、200℃から400℃までの昇温速度が50℃/s以上、かつ、800℃から950℃までの昇温速度が10℃/s以下の範囲で、仕上焼鈍時の外巻部、中巻部および内巻部の全ての位置の磁気特性(磁束密度)が向上することがわかった。
この理由については、現時点では十分に明らかとなっていないが、発明者らは以下のように考えている。
上記実験における熱延板焼鈍の昇温速度制御は、主にインヒビタの析出密度制御に大きく影響したと考えられる。すなわち、インヒビタは、スラブの再加熱時に全て固溶し、そのほとんどが熱延板焼鈍の昇温過程において析出すると考えられる。また、インヒビタは、析出密度が均一に析出するほど、方向性電磁鋼板の製造において最も重要な二次再結晶時における粒成長の抑制力が高まり、磁気特性が向上すると考えられる。上述した実験では、400℃以下の低温域を高い昇熱速度で通過させるので、歪の大きさにより回復のし易さに差が出る低温領域を速く通過することになる。その結果、歪の回復が全体的かつ同時に進行して、インヒビタの析出核となる歪の分布が均一化するため、インヒビタの析出密度も均一化し、磁気特性が向上したものと考えている。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成の限定理由について説明する。
C:0.02〜0.10mass%
Cは、0.02mass%に満たないと、組織がα単相となり、鋳造時や熱延時に鋼が脆化し、スラブに割れが生じたり、熱延後の鋼板エッジに耳割れが生じたりして、製造に支障を来たす欠陥を生ずるようになる。一方、0.10mass%を超えると、脱炭焼鈍で、磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.02〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは0.025〜0.08mass%の範囲である。
Si:2.0〜5.0mass%
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.0mass%未満では十分ではなく、一方、5.0mass%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造すること困難となる。よって、Siは2.0〜5.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.0mass%の範囲である。
Mn:0.01〜1.0mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.01mass%未満では十分ではなく、一方、1.0mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.01〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.30mass%の範囲である。
sol.Al:0.01〜0.04mass%
Alは、AlNを形成して析出し、二次再結晶させる仕上焼鈍において、正常粒成長を抑制するインヒビタとして機能する元素であり、方向性電磁鋼板の製造においては重要な元素である。しかし、Al含有量が、酸可溶性Al(sol.Al)で0.01mass%に満たないと、インヒビタの絶対量が不足し、正常粒成長の抑制力が不足する。一方、0.04mass%を超えると、AlNがオストワルド成長して粗大化し、やはり正常粒成長の抑制力が不足する。そのため、Alの含有量はsol.Alで0.01〜0.04mass%の範囲とする。好ましくは0.012〜0.030mass%の範囲である
N:0.004〜0.020mass%
Nは、Alと結合して、インヒビタとなるAlNを形成し、析出するが、含有量が0.004mass%未満では、インヒビタの絶対量が不足し、正常粒成長の抑制力が不足する。一方、含有量が0.020mass%を超えると、熱間圧延時にスラブが膨れを起こすおそれがある。そのため、Nの含有量は0.004〜0.020mass%の範囲とする。好ましくは0.006〜0.010mass%の範囲である
SおよびSeのうちの1種または2種:合計で0.002〜0.040mass%
SおよびSeは、Mnと結合してインヒビタとなるMnSおよびMnSeを形成する。しかし、単独もしくは合計で0.002mass%に満たないと、インヒビタ効果が十分に得られない。一方、0.040mass%を超えると、インヒビタがオストワルド成長して粗大化し、正常粒成長の抑制力が不足する。よって、SおよびSeの含有量は、合計で0.002〜0.040mass%の範囲とする。好ましくは0.005〜0.030mass%の範囲である。
本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(スラブ)は、上記成分以外の残部は、実質的にFeおよび不可避的不純物である。しかし、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、Ni:0.01〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、Sn:0.010〜0.400mass%、Sb:0.010〜0.150mass%、Mo:0.010〜0.200mass%およびP:0.010〜0.150mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。上記各元素は、方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させる効果を有しているが、含有量が上記下限値より低いと、十分な磁気特性向上効果を得ることができない。一方、含有量が上記上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるようになり、却って磁気特性が劣化するおそれがある。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる鋼素材(スラブ)は、上記に説明した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で製造することができる。また、直接鋳造法を用いて、厚さ100mm以下の薄鋳片を製造し、これを鋼スラブとして用いることもできる。
次いで、上記鋼素材(スラブ)は、1250℃以上の温度に再加熱した後、熱間圧延し、所定の板厚の熱延板とする。スラブの再加熱温度が1250℃未満では、添加したインヒビタ形成成分が鋼中に十分に固溶しない。好ましいスラブ加熱温度は1300℃以上である。スラブを加熱する手段は、ガス炉、誘導加熱炉、通電炉などの公知の手段を用いることができる。なお、スラブの再加熱に続く熱間圧延は、従来公知の条件で行なえばよく、特に制限はない。
次いで、上記熱間圧延して得た熱延板は、熱延板焼鈍を施す。熱延板焼鈍の温度は950〜1200℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱延板焼鈍の効果が十分に得られず、一方、1200℃を超えると、粒径が粗大化し過ぎて、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなる。好ましくは、1000〜1100℃の範囲である。
ここで、本発明において重要なことは、上記熱延板焼鈍の昇温過程は、200℃から400℃までの平均昇温速度を50℃/s以上、800℃から950℃までの平均昇温速度を10℃/s以下として加熱することである。これにより磁気特性(磁束密度)を高めることができる。なお、上記昇温過程の、常温から200℃までは、組織の変化が遅いので、急速加熱する必要はないが、生産性を高める観点から、10℃/s以上とするのが好ましい。また、400℃から800℃までの温度範囲についても、急速加熱する必要は必ずしもないが、やはり、生産性を高める観点から10℃/s以上とするのが好ましい。
次いで、上記熱延板焼鈍を施した熱延板は、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚(製品板厚)の冷延板とする。なお、中間焼鈍を行なう場合の焼鈍温度は900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。焼鈍温度が900℃未満では、再結晶粒が微細化し、一次再結晶組織におけるGoss核が減少するため、磁気特性が低下するようになる。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、粒径が粗大化し過ぎるため、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなる。
また、上記冷間圧延は、常法に準じて行えばよいが、再結晶集合組織を改善し、磁気特性を向上させるため、最終冷間圧延は、鋼板温度を100〜300℃の範囲に高めて行う温間圧延を採用したり、冷間圧延の途中で100〜300℃の温度で時効を1回または複数回行うパス間時効を採用したりすることが好ましい。
次いで、上記冷延板には、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施す。上記一次再結晶焼鈍は、脱炭を促進する観点から、露点が10℃以上の湿潤雰囲気下で、800〜900℃の温度域で行うことが好ましい。また、一次再結晶焼鈍の昇温過程は、冷間圧延組織が回復を起こす500〜700℃間の昇温速度は、50℃/s以上で急速加熱するのが好ましい。上記温度範囲を急速加熱することで、ゴス方位の回復が抑制され、上記温度域より高い温度域で優先的に再結晶を起こすため、一次再結晶組織中のゴス方位比率を高め、二次再結晶をより安定して発現させて、磁束密度を高めることができるだけでなく、二次再結晶粒を細粒化し、鉄損特性を改善することができる。より好ましくは80℃/s以上である。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板は、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、仕上焼鈍を施す。
上記仕上焼鈍は、室温から950℃までを5〜20℃/hrの昇温速度で加熱した後、引続き950〜1050℃間を5〜30℃/hrの平均昇温速度で加熱して二次再結晶を完了させた後、もしくは、上記加熱処理を施した後、一旦、700℃以下まで冷却した後、再加熱し、950〜1050℃間を5〜30℃/hrの昇温速度で加熱して二次再結晶を完了させた後、さらに加熱して、1100℃以上の温度に2hr以上保持する純化処理を施すことが好ましい。ここで、上記純化処理は、二次再結晶組織をさらに発達させ、さらに、鋼板中の不純物を排出して、磁気特性の向上を図るとともに、フォルステライト被膜を形成させる役割を担う。なお、上記800〜950℃の温度域における保定処理に代えて、同温度域を低速加熱してもよく、その場合の昇温速度は5℃/hr以下の範囲とするのが好ましい。
また、上記仕上焼鈍は、昇温過程の800〜950℃の温度域において5〜200hr保持する保定処理を施し、引続き950〜1050℃間を5〜30℃/hrの平均昇温速度で加熱して二次再結晶を完了させた後、もしくは、上記保定処理を施した後、一旦、700℃以下まで冷却し、その後、再加熱し、950〜1050℃間を5〜30℃/hrの昇温速度で加熱して二次再結晶を完了させた後、さらに加熱して、1100℃以上の温度に2hr以上保持する純化処理を施してもよい。ここで、上記保定処理を施す理由は、保定処理を施すことで仕上焼鈍時のコイル内の温度分布が均一になることに加えて、一定の温度に保持することで、インヒビタの析出物の粗大化を抑制できるため、コイル内の磁気特性のバラツキがさらに改善されるからである。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板は、水洗やブラッシング、酸洗等で鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、仕上焼鈍時の巻き癖や熱歪等を矯正したり、磁気特性を改善したりするため、平坦化焼鈍を施すことが好ましい。
なお、方向性電磁鋼板の製品板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するため、上記平坦化焼鈍において、あるいはその前または後において、鋼板表面に絶縁被膜を被成するのが好ましい。上記絶縁被膜は、鉄損を低減する観点から、鋼板に張力を付与する張力付与被膜を採用するのが好ましい。また、被膜密着性をより向上したり、より優れた鉄損低減効果を得るためには、バインダーを介して張力付与被膜を被成したり、鋼板表面に物理蒸着法や化学蒸着法で無機被膜を形成した後、張力付与被膜を被成したりするのが好ましい。
さらに、製品板の鉄損をより低減するためには、磁区細分化処理を施してもよい。上記磁区細分化の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、最終製品とした鋼板表面にレーザーやプラズマ等を照射し、線状または点列状の熱歪や衝撃歪を導入したりする方法や、最終板厚とした鋼板表面にいずれかの工程で溝を形成したりする方法等を用いることができる。
C:0.055mass%、Si:3.20mass%、Mn:0.05mass%、sol.Al:0.018mass%、N:0.0075mass%、S:0.002mass%、Se:0.020mass%、Sb:0.05mass%およびSn:0.10mass%を含有する鋼スラブを連続鋳造法で製造し、1380℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした。次いで、上記熱延板に1080℃×30秒均熱する熱延板焼鈍を施した。この際、上記熱延板焼鈍の昇温条件を表2に示したように変化させた。
次いで、上記熱延板焼鈍板に、冷間圧延を施して中間板厚1.5mmとし、1100℃×100sの中間焼鈍を施した後、最終冷間圧延して板厚0.18mmの冷延板とした。次いで、上記冷延板に50vol%H−50vol%N、露点60℃の雰囲気下で、830℃×150sの脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、水素雰囲気下で、1220℃の温度に5hr保持して純化処理する仕上焼鈍を施した後、850℃×30sの平坦化焼鈍を施して製品板とした。この際、仕上焼鈍のパターン(A)では、室温から950℃までの加熱において、保定処理することなく平均焼鈍速度15℃/hrで加熱し、950から1050℃までは平均昇温速度25℃/hrで加熱し、1050℃から1220℃までは平均昇温速度20℃/hrで加熱した。一方、仕上焼鈍のパターン(B)では、室温から900℃まで加熱した後、該温度に50hr保持する保定処理を行った後、900〜1050℃までは平均昇温速度25℃/hrで加熱し、1050℃から1220℃までは平均昇温速度20℃/hrで加熱した。
次いで、上記製品コイルから仕上焼鈍時の外巻部、中巻部(中央部)および内巻部のそれぞれの位置からエプスタイン試験片を採取し、磁束密度B(磁化力800A/mでの磁束密度)と鉄損W17/50(磁束密度1.7T、周波数50Hzでの鉄損)をJIS C2550に記載の方法で測定し、その結果を、表2中に併記した。
表2から、本発明に適合する条件で熱延板焼鈍を行なった鋼板は、仕上焼鈍時の外巻部、中巻部(中央部)および内巻部の全ての位置で優れた磁気特性を有していることがわかる。
Figure 2020070477
表3に示した鋼符号A〜Xの成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造法で製造し、該鋼スラブを1420℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1050℃×40sの熱延板焼鈍を施した。この際、上記熱延板焼鈍の昇温過程における200℃から400℃までの平均昇温速度は70℃/sとし、800℃から950℃までの平均昇温速度は8℃/sとした。
次いで、上記熱延板を、1回の冷間圧延で、最終板厚0.20mmの冷延板とした後、52vol%H−48vol%N、露点60℃の雰囲気下で860℃×70sの脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。なお、この際、上記一次再結晶焼鈍の昇温過程の500−700℃間の平均昇温速度は80℃/sとした。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布、乾燥した後、さらに、二次再結晶させた後、水素雰囲気下で1225℃の温度に10hr保持して純化処理する仕上焼鈍を施した。この際、上記仕上焼鈍の昇温過程では、880℃で30hr保持する保定処理を施した後、1050℃までを平均昇温速度25℃/hrで加熱し、1050℃から1225℃までを平均昇温速度20℃/hrで加熱した。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板は、800℃×40sの平坦化焼鈍を施した後、仕上焼鈍時の外巻部、中巻部、内巻部のそれぞれの位置から試験片を採取し、磁束密度B(800A/mで励磁した時の磁束密度)をJIS C2550に記載の方法で測定し、その結果を、熱延板焼鈍条件、仕上焼鈍昇温パターンとともに表4に記載した。表4から明らかなように、本発明の成分組成を満たす鋼素材を用いて製造した鋼板は、仕上焼鈍時の外巻部、中巻部(中央部)および内巻部の全ての位置で優れた磁気特性を有していることがわかる。
Figure 2020070477
Figure 2020070477

Claims (3)

  1. C:0.02〜0.10mass%、Si:2.0〜5.0mass%、Mn:0.01〜1.00mass%、sol.Al:0.01〜0.04mass%、N:0.004〜0.020mass%、SおよびSeのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.002〜0.040mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを1250℃以上の温度に再加熱し、熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記熱延板焼鈍は、200℃から400℃までの平均昇温速度を50℃/s以上、800℃から950℃までの平均昇温速度を10℃/s以下として加熱し、950〜1200℃で焼鈍することを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 上記仕上焼鈍の加熱過程において、800〜950℃間の温度域に5〜200hr保持する保定処理した後、引き続き、もしくは、一旦、700℃以下まで降温した後、再加熱して、950〜1050℃間の温度域を5〜30℃/hrの昇温速度で加熱し、さらに、1100℃以上の温度に2hr以上保持して純化処理することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、Ni:0.01〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、Sn:0.010〜0.400mass%、Sb:0.010〜0.150mass%、Mo:0.010〜0.200mass%およびP:0.010〜0.150mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。

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