JP6004183B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には、低鉄損かつ高磁束密度の方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、変圧器やモータの鉄心等として広く用いられている軟磁性材料であり、中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位がGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積し、磁気特性に優れているため、主として大型の変圧器の鉄心材料等として使用されている。
ところで、変圧器における無負荷損(エネルギーロス)を低減するためには、低鉄損であることが必要である。方向性電磁鋼板の鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損に大別される。ヒステリシス損は、外部磁場によって鋼板中の磁束が変化する際、ヒステリシスをもつことに起因する損失であり、また、渦電流損は、鋼板中の磁束の時間的な変化によって、あるいは、磁壁の移動によって生じる渦電流に起因する損失である。
方向性電磁鋼板において、渦電流損を低減する方法としては、Si含有量の増加や、板厚の低減、鋼板への張力付与、二次再結晶組織の細粒化などが有効であり、一方、ヒステリシス損を低減する方法としては、結晶方位の配向性向上や、鋼板表面の平滑化などが有効である。
これらの方法のうち、渦電流損の低減に有効とされる二次再結晶を細粒化する技術としては、一次再結晶焼鈍時に急速加熱したり、一次再結晶焼鈍直前に急速加熱する熱処理を施したりすることで、一次再結晶集合組織を改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、一次再結晶焼鈍において、700℃までの温度域を平均昇温速度30℃/s以上で加熱し、次いで、800〜1000℃までをα単相の状態で加熱することで、低鉄損を実現する技術が開示されている。また、特許文献2には、最終板厚まで圧延した冷延板を一次再結晶焼鈍する際、PH2O/PH2が0.2以下の非酸化性雰囲気中で、100℃/s以上で700℃以上の温度に急速加熱することで、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。また、特許文献3には、熱延板中のAlNとしてのN量を25ppm以下に制限し、かつ一次再結晶焼鈍時に加熱速度80℃/sで700℃以上まで加熱することで、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。さらに、特許文献4には、600℃以上の温度域を95℃/s以上の昇温速度で800℃以上に加熱し、かつ、この温度域の雰囲気を適正に制御することによって、被膜特性と磁気特性に優れる電磁鋼板を得る技術が開示されている。
急速加熱することで一次再結晶集合組織を改善するこれらの技術は、急速加熱する温度範囲を室温から700℃以上とし、昇温速度も一義的に規定するものである。この技術思想は、再結晶温度近傍までを短時間で昇温することで、通常の加熱速度であれば優先的に形成されるγファイバー(<111>//ND方位)の発達を抑制し、二次再結晶の核となる{110}<001>組織の発生を促進することで、一次再結晶集合組織を改善しようとするものである。この技術の適用により、二次再結晶後の結晶粒(Goss方位粒)が細粒化し、鉄損特性が改善される。
特開平04−160114号公報 特開平07−062436号公報 特開平10−130729号公報 特開2003−027194号公報
前述したように、鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損に分けられが、上記急速加熱により一次再結晶集合組織を改善する技術は、二次再結晶粒の細粒化による渦電流損の低減には有効であるものの、磁束密度の向上にはあまり寄与しない。そこで、鉄損の向上に加えて、磁束密度を向上することができれば、ヒステリシス損を低減し、鉄損特性のさらなる向上が図れるとともに、鉄心の小型化などにも有効であると考えられる。
本発明は、従来技術における上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低鉄損かつ高磁束密度の方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、一次再結晶焼鈍の加熱過程における加熱パターンと一次再結晶焼鈍前の最終冷延圧下率に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、従来よりも最終冷間圧延の圧下率を高くするとともに、一次再結晶焼鈍の加熱過程で急速加熱する際、回復が起こる温度域で所定温度に所定時間保持する保定処理を施すことで、<111>//ND方位が優先的に回復を起こして一次再結晶後の<111>//ND方位が減少し、代わりにGoss核が増加し、二次再結晶後の再結晶がより細粒化されるとともに、二次再結晶粒の結晶方位の圧延方向への集積度が向上して磁束密度を高めることができることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.01〜0.8mass%を含有し、かつ、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、あるいは、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記冷間圧延の最終冷延圧下率を82〜94%とし、かつ、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜600℃間のいずれかの温度を保定開始温度とし、当該保定開始温度から1〜10秒間の平均温度変化率を−5〜+10℃/sの範囲に制御する保定処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
また、本発明は、C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.01〜0.8mass%を含有し、かつ、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、Se:0.0030mass%未満およびS:0.0050mass%未満に低減してなり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記冷間圧延の最終冷延圧下率を82〜94%とし、かつ、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜600℃間のいずれかの温度を保定開始温度とし、当該保定開始温度から1〜10秒間の平均温度変化率を−5〜+10℃/sの範囲に制御する保定処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%およびP:0.005〜0.50mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.0
05〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記最終圧延圧下率を89〜94%とすることを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、冷間圧延後のいずれかの工程で、板幅方向に線状の溝を鋼板表面に形成する、あるいは、絶縁被膜を被成した後、板幅方向にレーザ、プラズマおよび電子ビームのいずれかを鋼板表面に照射して線状または点列状の歪を付与することを特徴とする。
本発明によれば、最終冷延圧下率を高くするとともに、一次再結晶焼鈍の加熱過程における加熱パターンを適正化することによって、従来よりも低鉄損かつ高磁束密度の方向性電磁鋼板を安定して製造することが可能となる。
本発明の一次再結晶焼鈍における加熱パターンを説明する図である。 保定処理の保定時間が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 保定中の温度変化率が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 最終冷延の圧下率と、200〜700℃間の平均昇温速度が磁気特性に及ぼす影響を示すグラフである。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
<実験1>
C:0.060mass%、Si:3.40mass%、Mn:0.06mass%、Al:0.025mass%、N:0.010mass%、S:0.020mass%およびSe:0.020mass%を含有する鋼スラブ連続鋳造にて製造し、1410℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、1050℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して中間板厚1.5mmとし、1120℃×80秒の中間焼鈍を施した後、200℃の温度で温間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で840℃×80秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍は、室温から840℃までの加熱は、図1に示したように、200〜700℃間を、温度TおよびTによって3つの区間に分け、200℃〜T間、T〜T間およびT〜700℃間における加熱条件を種々に変化させた。具体的には、200℃〜T間およびT〜700℃間の昇温速度の平均、すなわち((700−T)+(T−200))/(t+t)を200〜700℃間の平均昇温速度、温度Tを保定開始温度、時間tを保定時間、時間tにおける平均温度変化率(T−T)/tを保定中の平均温度変化率としたとき、平均昇温速度を100℃/s、T=T(平均温度変化率が0℃/s)とし、保定開始温度を200〜620℃間の6水準で変化させ、さらに、保定時間を種々に変化させた。
その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を含む仕上焼鈍を施し、製品板とした。
斯くして得た製品板から、鋼板幅方向に幅100mm×長さ280mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し、平均値を求めた。その結果を、各保定開始温度Tからの保定時間tと、鉄損W17/50との関係として図2に示した。この図から、保定開始温度Tを250〜600℃、保定時間を1〜10秒の範囲として保定処理を施すことで、鉄損を低減できることがわかる。
<実験2>
実験1で得られた最終板厚0.23mmの冷延板に、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で、840℃×80秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍における200〜700℃間の平均昇温速度は100℃/sとし、保定開始温度は450℃、保定時間は4秒とし、温度T〜T間、すなわち、時間tにおける平均温度変化率を種々に変化させた。
その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を含む仕上焼鈍を施し、製品板とした。
斯くして得た製品板から実験1と同様にして試験片を採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定した。その結果を、保定中の平均温度変化率と、鉄損W17/50との関係として図3に示した。この図から、保定中の平均温度変化率が−5〜+10℃/sの範囲において、良好な鉄損が得られることがわかる。
<実験3>
実験1で得られた板厚2.4mmの熱延板を冷間圧延して種々の中間板厚とし、1120℃×80秒の中間焼鈍を施した後、種々の最終冷延圧下率で、200℃の温度で温間圧延を施し、最終板厚0.23mmの冷延板とした。
次いで、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で840℃×80秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍における保定開始温度は500℃、保定時間は2秒、保定中の平均温度変化率は0℃/sとし、200〜700℃間の平均昇温速度を種々に変化させた。
その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を含む仕上焼鈍を施した。
斯くして得た製品板から、<実験1>と同様にして試験片を採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50と磁束密度Bを測定した。
図4に、上記測定により得られた磁気特性(鉄損W17/50、磁束密度B)と、200〜700℃間の平均昇温速度および最終冷延圧下率との関係を示した。なお、図4中の◎印は、鉄損W17/50:0.81W/kg以下かつ磁束密度B:1.945T以上が得られる領域を、○印は、鉄損W17/50:0.81W/kg以下かつ磁束密度B:1.945T未満1.938T以上が得られる領域を、また、×印は、鉄損W17/50:0.81W/kg超えおよび/または磁束密度B:1.938T未満である領域を示す。この図から、200〜700℃間の平均昇温速度が50℃/s以上かつ最終冷延圧下率が82〜97%の範囲において、鉄損および磁束密度が共に良好な鋼板が得られること、さらに、最終冷延圧下率が89〜97%の範囲において、より高い磁束密度の鋼板が得られることがわかる。
上記<実験1>および<実験2>のように、一次再結晶焼鈍の急速加熱過程において、適正温度で適正時間保持する保定処理を施すことによって、鉄損が低減する理由は、まだ十分明らかとなっていないが、発明者らは次のように考えている。
急速加熱処理は、前述したように、再結晶集合組織における<111>//ND方位の発達を抑制し、二次再結晶の核となるGoss方位粒({110}<001>)の発生を促進する効果がある。というのは、一般に、冷間圧延では、<111>//ND方位は、他の方位と比較して多くの歪が導入されるため、蓄積される歪エネルギーが高い状態にある。そのため、通常の昇温速度で加熱する一次再結晶焼鈍では、蓄積された歪エネルギーが高い<111>//ND方位の圧延組織から優先的に再結晶を起こす。再結晶では、通常、<111>//ND方位の圧延組織からは<111>//ND方位粒が出現するため、再結晶後の組織は<111>//ND方位が主方位となる。
しかし、上記一次再結晶焼鈍で急速加熱を行うと、再結晶によって放出できるエネルギーよりも多くの熱エネルギーが付与されることから、比較的蓄積された歪エネルギーの低いGoss方位でも再結晶が起こるようになり、再結晶後の<111>//ND方位が相対的に減少し、Goss方位({110}<001>)が増加する。Goss方位が多くなると、二次再結晶においても多くのGoss方位粒が出現するため、二次再結晶粒が細粒化し、鉄損が低減する。これが、従来技術における急速加熱を行う理由である。
ここで、急速加熱の途中で、回復が起こる温度に所定時間保持する保定処理を施した場合には、歪エネルギーが高い<111>//ND方位が優先的に回復を起こす。そのため、<111>//ND方位の圧延組織から生じる<111>//ND方位の再結晶を起こす駆動力が選択的に低下し、再結晶後の<111>//ND方位以外の方位が再結晶を起こすようになる。その結果、従来の急速加熱を行う場合よりも、再結晶後の<111>//ND方位がさらに減少し、Goss方位が増加する。これによって、二次再結晶粒がより微細化し、渦電流損が低減する。ただし、保定処理の保持温度が高過ぎたり、保定時間が10秒を超えたりすると、広い範囲で回復が起こってしまうため、回復組織がそのまま残り、上記の一次再結晶組織とは異なる組織となってしまう。その結果、二次再結晶に大きな悪影響を与え、鉄損特性の低下につながるものと考えている。
また、上記保定処理中に、何らかの原因で鋼板温度が上昇し、その平均温度変化率が10℃/s以上となると、歪エネルギーの高い<111>//ND方位の優先的な回復が阻害されてしまう。逆に、上記保定処理中に、何らかの原因で鋼板温度が大きく降下し、その平均温度変化率が−5℃/s未満となると、<111>//ND方位の回復そのものが十分に進行しなくなると考えられる。したがって、保定処理中における大きな温度変化は、鉄損特性改善効果を弱めることになるので、保定処理中の鋼板温度の変化は適正範囲に制御する必要がある。
なお、上記考えによれば、加熱途中の回復が起こる温度で短時間の保定処理を施すことによる磁気特性向上効果が得られるのは、従来のラジアントチューブ等を用いた昇温速度(10〜20℃/s)よりも速い昇温速度、具体的には50℃/s以上の昇温速度の場合に限られると考えられる。そこで、本発明においては、一次再結晶焼鈍の200〜700℃の温度範囲における昇温速度を50℃/s以上と規定する。
また、上記<実験3>のように、急速加熱処理を施す冷延板の最終冷延圧下率を従来よりも高くすることによって、磁束密度がより向上して良好な磁気特性が得られる理由について、発明者らは以下のように考えている。
最終冷延圧下率を高くすると、一次再結晶焼鈍後の集合組織中の{12 4 1}<148>方位への集積度が顕著に高くなる。この{12 4 1}<148>方位は、二次再結晶中にGoss方位をもつ核が蚕食するのに適した方位角を有している。そのため、二次再結晶におけるGoss方位粒の成長の優位性が向上し、Goss方位からずれた方位粒の成長が抑制されるため、二次再結晶後に、磁束密度が向上する。そして、磁束密度の向上は、急速加熱処理のみでは改善しないヒステリシス損の低減にも有効であるため、鉄損の改善にも有効であると考えられる。
上記の効果は、急速加熱の途中で施す保定処理と組み合わせたときに、特に効果を発揮すると考えられる。というのは、先述した通り、急速加熱および加熱途中での保定処理を施すことによって、一次再結晶集合組織中の{111}<211>方位は相対的に低下し、Goss方位が増大する。<111>//ND方位中の{111}<211>方位は、{12 4 1}<148>方位と同様に、二次再結晶中にGoss方位によって蚕食されやすく、Goss方位粒の選択的成長を促す役割を担っている。そのため、{111}<211>方位が低下すると、二次再結晶におけるGoss方位粒の選択的成長が阻害され、Goss方位からずれた方位粒も成長するようになる。その結果、磁束密度が低下することがある。
つまり、高圧下率として、{12 4 1}<148>方位への集積度を高めることによって、二次再結晶におけるGoss方位粒の選択的成長を確保し、急速加熱によって一次再結晶集合組織中のGoss方位を増大させることで、磁束密度が高くかつ微細な二次再結晶粒を得ることができる。特に、急速加熱の途中で保定処理を施した場合には、一次再結晶集合組織中のGoss方位がさらに増大するので、より磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を得ることが可能となるものと考えている。
本発明は、上記実験結果に基き開発したものである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の素材に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。
C:0.002〜0.10mass%
Cは、0.002mass%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして、製造に支障を来たすようになる。一方、0.10mass%を超えると、脱炭焼鈍で、Cを磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは0.030〜0.080mass%の範囲である。
Si:2.0〜8.0mass%
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.0mass%未満では十分ではなく、一方、8.0mass%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造することが困難となる。よって、Siは2.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.5mass%の範囲である。
Mn:0.01〜0.8mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.01mass%未満では十分ではなく、一方、0.8mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.01〜0.8mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.20mass%の範囲である。
上記C,SiおよびMn以外の成分については、二次再結晶を生じさせるために、インヒビターを利用する場合と、しない場合とに分けられる。
まず、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用する場合で、例えば、AlN系インヒビターを利用するときには、AlおよびNを、それぞれAl:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%の範囲で含有させるのが好ましい。また、MnS・MnSe系インヒビターを利用するときには、前述した量のMnと、S:0.002〜0.030mass%および/またはSe:0.003〜0.030mass%を含有させることが好ましい。それぞれ添加量が、上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上限値を超えると、インヒビター成分がスラブ加熱時に未固溶で残存し、インヒビター効果が低減し、十分な磁気特性が得られなくなる。なお、AlN系とMnS・MnSe系のインヒビターを併用してもよいことは勿論である。
一方、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用しない場合には、上述したインヒビター形成成分であるAl,N,SおよびSeの含有量を極力低減し、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、S:0.0050mass%未満およびSe:0.0030mass%未満に低減した鋼素材を用いるのが好ましい。
なお、本発明の方向性電磁鋼板に用いる鋼素材は、鉄損を低減させる目的で、上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%およびP:0.005〜0.50mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。それぞれの添加量が、上記下限値より少ないと、十分な鉄損低減効果が得られず、一方、上記上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害され、却って磁気特性が低下するので、添加する場合は上記範囲とするのが好ましい。
また、本発明に用いる鋼スラブは、磁束密度を向上させる目的で、Ni:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。それぞれの添加量が、上記下限値より少ないと、十分な磁束密度向上効果が得られず、一方、上記上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害され、却って磁気特性が低下するので、添加する場合は上記範囲とするのが好ましい。
本発明に用いる鋼スラブは、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の作用効果を害しない範囲内であれば、他の成分の含有を拒むものではない。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
前述した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊−分塊圧延法または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは、常法に従い、例えば、インヒビター成分を含有する場合には、1400℃程度の温度に再加熱し、一方、インヒビター成分を含まない場合には、1250℃以下の温度に再加熱した後、熱間圧延に供する。なお、インヒビター成分を含有しない場合には、鋳造後、スラブを再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
次いで、熱間圧延して得た熱延板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この熱延板焼鈍の温度は、良好な磁気特性を得るためには、800〜1150℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱間圧延で形成されたバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなり、二次再結晶粒の成長が阻害される。一方、1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎて、やはり、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
熱延後あるいは熱延板焼鈍後の鋼板は、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とする。上記中間焼鈍の焼鈍温度は、900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、中間焼鈍後の再結晶粒が細かくなり、さらに、一次再結晶組織におけるGoss核が減少して製品板の磁気特性が低下する。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、結晶粒が粗大化し過ぎて、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
なお、最終板厚とする冷間圧延(最終冷間圧延)は、磁束密度を向上させるために、図4に示したように、最終冷延圧下率を82〜97%の範囲とする必要がある。磁束密度をより高めるためには、最終冷延圧下率は89〜97%の範囲とするのが好ましい。また、最終冷間圧延は、鋼板温度を100〜300℃の温度に上げて圧延する温間圧延としたり、圧延の途中で100〜300℃の温度で時効処理を1回または複数回施したりすることが、一次再結晶集合組織を改善し、磁気特性を向上させるのに有効である。
最終板厚とした冷延板は、その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍における焼鈍温度は、脱炭焼鈍を伴う場合は、脱炭反応を速やかに進行させる観点から、800〜900℃の範囲とするのが好ましく、また、雰囲気は湿潤雰囲気とするのが好ましい。ただし、脱炭が不要なC:0.005mass%以下の鋼素材を用いる場合は、この限りではない。また、一次再結晶焼鈍と脱炭焼鈍を別々に行ってもよい。
ここで、本発明において重要なことは、上記一次再結晶焼鈍の加熱過程において、200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜600℃間のいずれかの温度で1〜10秒間保持する保定処理を施す必要があることである。ここで、上記200〜700℃の区間における昇温速度(50℃/s以上)は、保定する時間を除いた時間と保定する間の温度変化を除いたときの昇温速度である。
また、上記保定処理は、250〜600℃間のいずれかの温度で行えばよいが、保定の効果を得るためには、図3に示したように、保定処理中の温度変化率を保定時間で平均して−5〜+10℃/sの範囲に制御する必要がある。
一次再結晶焼鈍を施した鋼板は、鉄損特性やトランスの騒音を重視する場合には、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、仕上焼鈍を施し、Goss方位に高度に集積させた二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させるのが好ましい。一方、打抜加工性を重視し、フォルステライト被膜を形成させない場合には、焼鈍分離剤を適用しないか、あるいは、シリカやアルミナ等を主体とした焼鈍分離剤を用いて仕上焼鈍を施すのが好ましい。なお、フォルステライト被膜を形成しない場合、焼鈍分離剤の塗布に水分を持ち込まない静電塗布を行うことも有効である。また、焼鈍分離剤に代えて、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いてもよい。
仕上焼鈍の焼鈍温度は、フォルステライト被膜を形成させない場合には、850〜950℃の範囲とするのが好ましい。このとき、二次再結晶の完了のみを目的とするときには、上記温度域で数時間以上保持するだけで仕上焼鈍を完了することができる。一方、フォルステライト被膜を形成させる場合や、鉄損特性を重視し、純化処理を施す場合には、さらに1200℃程度の温度まで昇温するのが好ましい。
仕上焼鈍後の鋼板は、その後、水洗やブラッシング、酸洗等で、鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、平坦化焼鈍を施して形状矯正することが、鉄損の低減には有効である。これは、仕上焼鈍は、通常、コイル状態で行うため、コイルの巻き癖が付き、これが原因で、鉄損測定時に特性が劣化することがあるためである。
さらに、鋼板を積層して使用する場合には、上記平坦化焼鈍において、あるいは、その前後において、鋼板表面に絶縁被膜を被成することが有効である。特に、鉄損の低減を図るためには、絶縁被膜として、鋼板に張力を付与する張力付与被膜を適用するのが好ましい。張力付与被膜の形成には、バインダーを介して張力被膜を塗布する方法や、物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させる方法を採用することが、被膜密着性に優れかつ著しく鉄損低減効果が大きい絶縁被膜を形成することができるので、より好ましい。
また、鉄損をより低減するためには、磁区細分化処理を施すことが好ましい。処理方法としては、一般的に実施されている、最終製品板に線状に溝を形成したり、電子ビーム照射やレーザ照射、プラズマ照射等によって線状または点状に熱歪や衝撃歪を導入する方法、最終板厚に冷間圧延した鋼板や中間工程の鋼板表面にエッチング加工を施して線状に溝を形成したりする方法等を用いることができる。
なお、上記のような方法で方向性電磁鋼板に磁区細分化処理を施すと、一般に、製品板の磁束密度が低下し、ヒステリシス損が劣化する傾向にあるが、本発明によれば製品板の磁束密度が向上するので、磁区細分化処理による磁束密度の低下を抑制し、ヒステリシス損の劣化を従来の磁区細分化処理よりも抑えることができる。
C:0.070mass%、Si:3.30mass%、Mn:0.09mass%、Al:0.025mass%、N:0.012mass%およびSe:0.025mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼スラブを連続鋳造法で製造し、1420℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、1000℃×50秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して種々の中間板厚とし、1100℃×20秒の中間焼鈍を施した後、種々の最終冷延圧下率にて二次冷間圧延(最終冷間圧延)して最終板厚0.23mmの冷延板に仕上げた。
その後、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で、840℃×100秒の脱炭を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、850℃までの加熱過程における200〜700℃間の平均昇温速度および保定処理条件(保定開始温度、保定時間、保定中の平均温度変化率)を表1に記載のごとく変化させた。
次いで、MgOを主体とした焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と、1200℃×10時間の純化処理を伴う仕上焼鈍を施した。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH、昇温時および降温時はNとした。
Figure 0006004183
上記のようにして得た仕上焼鈍後の鋼板から、鋼板幅方向に幅100mm×長さ280mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50と磁束密度Bを測定し、10枚の平均値を求めた。その結果を表1に併記した。同表から、本発明を適用することで、低鉄損でかつ磁束密度の高い方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
表2に記載の成分組成を有するNo.1〜17の鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1380℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1030℃×10秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板に仕上げた。
Figure 0006004183
その後、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で、840℃×60秒の脱炭を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、840℃までの加熱過程における200〜700℃間の平均昇温速度を120℃/sとし、保定開始温度を450℃、保定時間を3秒、保定中の平均温度変化率を0℃/sとする保定処理を施した。
次いで、MgOを主体とした焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と、1220℃×4時間の純化処理を伴う仕上焼鈍を施した。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1220℃保定時はH、昇温時および降温時はArとした。
さらに、上記仕上焼鈍後の鋼板の一部に、加速電圧60kV、ビーム電流10mA、走査速度30m/s、ビーム径0.3mmの条件で、鋼板表面に、圧延方向に対して直角方向に5mm間隔で線状に電子ビームを照射し、磁区細分化処理を施した。
上記のようにして得た鋼板から、鋼板幅方向に幅100mm×長さ280mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し、10枚の平均値を求めた。その結果を表2に併記した。同表から、本発明に適合する条件では、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
本発明の技術は、冷延鋼板の集合組織の制御に適しているので、加工性が要求される自動車用鋼板等の製造方法にも適用することができる。

Claims (6)

  1. C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.01〜0.8mass%を含有し、かつ、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、あるいは、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記冷間圧延の最終冷延圧下率を82〜94%とし、かつ、
    前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜600℃間のいずれかの温度を保定開始温度とし、当該保定開始温度から1〜10秒間の平均温度変化率を−5〜+10℃/sの範囲に制御する保定処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.01〜0.8mass%を含有し、かつ、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、Se:0.0030mass%未満およびS:0.0050mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記冷間圧延の最終冷延圧下率を82〜94%とし、かつ、
    前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜600℃間のいずれかの温度を保定開始温度とし、当該保定開始温度から1〜10秒間の平均温度変化率を−5〜+10℃/sの範囲に制御する保定処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼素材は、前記成分組成に加えてさらに、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%およびP:0.005〜0.50mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼素材は、前記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記最終圧延圧下率を89〜94%とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 冷間圧延後のいずれかの工程で、板幅方向に線状の溝を鋼板表面に形成する、あるいは、絶縁被膜を被成した後、板幅方向にレーザ、プラズマおよび電子ビームのいずれかを鋼板表面に照射して線状または点列状の歪を付与することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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