JP5839204B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
<実験1>
C:0.060mass%、Si:3.32mass%、Mn:0.066mass%を含有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1050℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して中間板厚1.8mmとし、1120℃×80秒の中間焼鈍を施した後、タンデム圧延もしくはリバース圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。この際、タンデム圧延およびリバース圧延ともに、圧延時の加工発熱による鋼板最高温度は200℃に制御した。
その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶させた後、水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、製品板(コイル)とした。
実験1で得られた最終板厚0.27mmの冷延板に、50vol%H2−50vol%N2の湿潤雰囲気下で840℃×80秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍の加熱過程における昇温速度は100℃/sとし、その加熱過程の200〜700℃の温度範囲の任意の温度で1回、2秒間保持する保定処理を施した。 その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布・乾燥した後、二次再結晶させた後、水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施した。
本発明は、上記実験結果に基き開発したものである。
C:0.002〜0.10mass%
Cは、0.002mass%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして、製造に支障を来たすようになる。一方、0.10mass%を超えると、脱炭焼鈍で、Cを磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは0.010〜0.080mass%の範囲である。
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.0mass%未満では十分ではなく、一方、8.0mass%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造することが困難となる。よって、Siは2.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.5mass%の範囲である。
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.005mass%未満では十分ではなく、一方、1.0mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.005〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.20mass%の範囲である。
まず、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用する場合で、例えば、AlN系インヒビターを利用するときには、AlおよびNを、それぞれAl:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%の範囲で含有させるのが好ましい。また、MnS・MnSe系インヒビターを利用するときには、前述した量のMnと、S:0.002〜0.030mass%および/またはSe:0.003〜0.030mass%を含有させることが好ましい。それぞれ添加量が、上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上限値を超えると、インヒビター成分がスラブ加熱時に未固溶で残存し、インヒビター効果が低減し、十分な磁気特性が得られなくなる。なお、AlN系とMnS・MnSe系のインヒビターを併用してもよいことは勿論である。
ただし、磁気特性の改善を目的として、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を適宜含有していてもよい。
前述した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊−分塊圧延法または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは、常法に従い、例えば、インヒビター成分を含有する場合には、1400℃程度の温度に再加熱し、一方、インヒビター成分を含まない場合には、1250℃以下の温度に再加熱した後、熱間圧延に供する。なお、インヒビター成分を含有しない場合には、鋳造後、スラブを再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
この一次再結晶焼鈍における焼鈍温度は、脱炭焼鈍を伴う場合は、脱炭反応を速やかに進行させる観点から、800〜900℃の範囲とするのが好ましく、また、雰囲気は湿潤雰囲気とするのが好ましい。ただし、脱炭が不要なC:0.005mass%以下の鋼素材を用いる場合は、この限りではない。また、一次再結晶焼鈍と脱炭焼鈍を別々に行ってもよい。
次いで、MgOを主体とした焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布・乾燥した後、二次再結晶させた後、1200℃×10時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、製品コイルとした。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH2、昇温時および降温時はN2とした。
次いで、MgOを主体とした焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布・乾燥した後、二次再結晶させた後、1200℃×10時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、製品コイルとした。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH2、昇温時および降温時はN2とした。
次いで、MgOを主体とした焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布・乾燥した後、さらに、二次再結晶させた後、1180℃×5時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、製品コイルとした。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1180℃保定時はH2、昇温時および降温時はArとした。
Claims (5)
- C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜1.0mass%を含有し、さらに、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延をタンデム圧延で行い、かつ、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、前記加熱過程の250℃以上550℃未満の間のいずれかの温度で0.5〜10秒間保持する保定処理を1〜4回施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
- C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜1.0mass%を含有し、さらに、Se:0.003〜0.030mass%およびS:0.002〜0.03mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延をタンデム圧延で行い、かつ、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、前記加熱過程の250℃以上550℃未満の間のいずれかの温度で0.5〜10秒間保持する保定処理を1〜4回施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
- C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜1.0mass%を含有し、さらに、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、Se:0.0030mass%未満およびS:0.0050mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延をタンデム圧延で行い、かつ、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、前記加熱過程の250℃以上550℃未満の間のいずれかの温度で0.5〜10秒間保持する保定処理を1〜4回施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記加熱過程の250℃以上550℃未満の間での保定処理を施した後、さらに、前記加熱過程の550℃以上700℃未満の間のいずれかの温度で0.5〜3秒間保持する保定処理を1または2回施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記鋼素材は、前記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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