JP6292147B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶粒がミラー指数で板面に{110}面、圧延方向に<001>方位が集積したいわゆる方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。方向性電磁鋼板は、軟磁性材料であり、主に変圧器等の電気機器の鉄芯として用いられる。
方向性電磁鋼板は、二次再結晶焼鈍により、結晶粒を{110}<001>方位(以降、Goss方位という)に集積させることで、優れた磁気特性を示すことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、磁気特性の指標としては、磁場の強さ:800A/mにおける磁束密度Bおよび励磁周波数:50Hzの交流磁場で1.7Tまで磁化したときの鋼板1kgあたりの鉄損W17/50が主に用いられている。
方向性電磁鋼板の磁気特性向上のために行われる低鉄損化手段の一つとして、二次再結晶焼鈍後の結晶粒をGoss方位に高度に集積させることが挙げられるが、Goss方位の集積度を高めるためには、先鋭なGoss方位粒のみが優先的に成長するように粒界易動度差をつけること、すなわち一次再結晶板の集合組織を所定の組織に形成すること、およびインヒビターと呼ばれる析出物を利用してGoss方位以外の再結晶粒の成長を抑制することが重要である。
このインヒビターを利用する技術としては、例えば特許文献1に、AlN、MnSを利用する方法が、また特許文献2には、MnS、MnSeを利用する方法がそれぞれ開示されており、いずれも工業的に実用化されている。
一方、先鋭なGoss方位粒のみが優先成長できる所定の一次再結晶組織としては、{554}<225>方位粒、{411]<148>方位粒等が知られている。これらの方位粒を、一次再結晶板のマトリックス中にバランス良くかつ高度に集積させることによって、二次再結晶焼鈍後にGoss方位粒を高度に集積させることができる(例えば、特許文献3参照)。
また、優れた磁気特性を示す二次再結晶板を得るための手段として、特許文献4には、1回の冷間圧延で圧下率85%以上の圧延をし、あるいは、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延で、最終冷延の圧下率を80%以上とした圧延を施して最終板厚の冷延板とし、その後、一次再結晶焼鈍および二次再結晶焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記冷間圧延における総圧下率が50%以下の段階で、ひずみ速度:150s−1以下の低ひずみ速度冷間圧延を1パス以上施すことで、上記低ひずみ速度による冷間圧延後の鋼板組織の{001}<110>強度を10以下とすることによって、優れた磁気特性を示す二次再結晶板が得られることが開示されている。
また、特許文献5には、中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、800℃以上で熱延板焼鈍後、750℃から200〜300℃間の冷却停止温度までを冷却速度45℃/s以上で冷却し、その後、放冷して、1回目の冷間圧延は、1パス以上で、総圧下率を25〜50%として行い、かつ、全パスを200mmφ以上のロールを用いて、最初のロールへの噛込温度を100℃以下として行い、2回目の冷間圧延は、2パス以上で、総圧下率を80〜95%として行い、かつ、少なくとも1パス間で、200〜300℃の温度でパス間時効を行うことにより、優れた磁気特性を示す二次再結晶板が得られることが開示されている。
特公昭40−15644号公報 特公昭51−13469号公報 特開2001−60505号公報 特開2012−184497号公報 特開2013−139629号公報
しかしながら、特許文献4に記載された技術においては、冷間圧延初期に低ひずみ速度で製造するため、生産性に劣るという問題があった。
また、特許文献5に記載された技術においては、2回目の冷間圧延において数分〜数十分のパス間時効を付与しなければ、良好な磁気特性が得られないため、やはり生産性に劣るという問題があった。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来技術に比べて優れた磁気特性を発現し、しかも生産性が高い方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、最終冷間圧延直前の焼鈍後の冷却時における冷却速度を増加させ、その後72時間以内に最終冷間圧延を開始することが、鋼板の磁気特性の向上には特に重要であることを知見した。また、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、冷間圧延時のひずみ速度を増加させることや、臨界ひずみ速度を素材C量、Si量および圧延温度を用いた計算結果で制御することで、長時間のパス間時効を付与せずとも良好な一次再結晶集合組織の造り込みが可能となり、二次再結晶焼鈍後に高磁束密度を有する鋼板が発現することを知見し、本発明を開発するに至った。
本発明は、上記した知見に立脚するもので、その要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.002〜0.100mass%、Si:2.00〜4.50mass%、Mn:0.03〜1.00mass%、sol.Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、さらに、S:0.002〜0.030mass%および/またはSe:0.002〜0.030mass%(SおよびSeのうちから選んだ1種または2種は、合計量で0.002〜0.030mass%)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、あるいは、該熱延板に熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、該最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、下記(1)式から算出される臨界ひずみ速度:X(s−1)以上のひずみ速度で、かつ1パスの圧下率が10%以上の冷間圧延を少なくとも1回施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

X(s−1)=f([%C],[%Si])・g(T) ・・・ (1)
但し、f([%C],[%Si])=1/([%C]+[%Si]/150)
g(T)=exp(−100/T)
また、[%M]は、鋼板中の元素Mの含有量(質量%)を表す。
2.前記最終冷間圧延によって、最終冷間圧延直前の再結晶粒に変形双晶を導入することを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記スラブに、さらに、Ni:0.01〜1.50mass%、Cr:0.03〜0.50mass%、Cu:0.03〜0.50mass%、P:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.500mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.001〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上の成分組成を含有することを特徴とする前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とすることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
5.前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とし、さらに上記昇温過程の250〜600℃間のいずれかの温度で1〜10s間、保定することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
6.前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とし、さらに上記昇温過程の250℃以上500℃未満のいずれかの温度で、0.5〜10s間、1〜4回保定し、かつ500℃以上〜700℃以下のいずれかの温度で、0.5〜3s間、1〜2回保定することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法。
7.前記一次再結晶焼鈍から前記二次再結晶焼鈍までのいずれかの段階で窒化処理を施すことを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、最終冷間圧延直前の焼鈍後の冷却速度を増加し、その後72時間以内に最終冷間圧延を開始すること、および、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、素材のC量およびSi量に応じてひずみ速度を増すことで、一次再結晶集合組織を効果的に改善させることができるので、従来技術に比べて優れた磁気特性を発現し、かつ、生産性が高い方向性電磁鋼板を得ることができる。
一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比に及ぼす最終冷間圧延1パス目のひずみ速度の影響を示す図である。 製品板の磁束密度Bに及ぼす最終冷間圧延1パス目のひずみ速度の影響を示す図である。 製品板の鉄損W17/50に及ぼす一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度(20℃/s)並びに昇温途中での保定温度および保定時間の影響を示す図である。 製品板の鉄損W17/50に及ぼす一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度(50℃/s)並びに昇温途中での保定温度および保定時間の影響を示す図である。 製品板の鉄損W17/50に及ぼす一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度(100℃/s)並びに昇温途中での保定温度および保定時間の影響を示す図である。 製品板の鉄損W17/50に及ぼす一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度(200℃/s)並びに昇温途中での保定温度および保定時間の影響を示す図である。 本発明の昇温速度の求め方を示す図である。 製品板の鉄損W17/50と一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
《実験1》
残部がFeおよび不可避的不純物からなる3種類の鋼、鋼A(C:0.021mass%、Si:3.05mass%、Mn:0.064mass%、sol.Al:0.018mass%、N:0.006mass%、S:0.002mass%)、鋼B(C:0.040mass%、Si:3.36mass%、Mn:0.062mass%、sol.Al:0.021mass%、N:0.006mass%、S:0.002mass%)および鋼C(C:0.078mass%、Si:3.77mass%、Mn:0.068mass%、sol.Al:0.020mass%、N:0.006mass%、S:0.002mass%)を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.5mmの熱延板とし、1020℃×60sの熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して中間板厚1.8mmとし、さらに1120℃×80sの中間焼鈍を施した後、この中間焼鈍の800〜300℃間の冷却を、平均冷却速度:60℃/sで冷却した。その後、18時間経過後に4スタンドのタンデム圧延を開始して、最終板厚0.26mmの冷延板とした。
ここで、入側温度25℃で実施した1パス目の圧延速度を変更し、図1に示す種々のひずみ速度でサンプルを作製した。ここで、圧延時のひずみ速度(ε)は、以下のEkelundの式を用いて算出した。
Figure 0006292147
また、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)は鋼A、BおよびCで、それぞれ、17.3(s−1)、11.5(s−1)、6.9(s−1)であった。
次いで、上記冷延板を、50vol%H−50vol%N、露点:57℃の湿潤雰囲気下で、840℃×100sの条件の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍は、840℃までの昇温過程における200〜700℃間の昇温速度を20℃/sとした。
その後、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃で10時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とし、それぞれの条件下での試験片を得た。
図1に、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比に及ぼす最終冷間圧延1パス目のひずみ速度の影響について調べた結果を示す。一次再結晶焼鈍板の結晶方位については、板厚中心層まで研磨して減厚したサンプルを10%硝酸で30s間エッチングし、X線シュルツ法にて(110)、(200)、(211)面を測定し、そのデータからODF(Orientation Distribution Function)解析を行い、各結晶方位の強度を算出した。解析にはResmat社のソフトウェアTextoolsを用い、ADC(Arbitrarily Defined Cell)法で算出した。ランダム強度に対する{411}<148>方位の強度比については、Bungeのオイラー角表示で(φ、Φ、φ)=(20、20、45)とした。
図1に示したように、最終冷間圧延1パス目のひずみ速度が臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件において、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比が増加していた。
なお、本発明において、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層とは、全板厚をtとすると、板厚0.5t±0.1tの範囲のことを指す。
次に、図2に、製品板の磁束密度Bに及ぼす最終冷間圧延1パス目のひずみ速度の影響について調べた結果を示す。
図2に示したように、最終冷間圧延1パス目のひずみ速度が臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件で、製品板の磁束密度Bが増加していた。
上記最終冷間圧延の1パス目のひずみ速度が臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件で圧延を施すことによって、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比が増加した理由については、まだ十分に明らかとなっていないが、発明者らは次のように考えている。
最終冷間圧延の1パス後の種々のサンプルを後方散乱電子線回折(Electron Back Scattering Diffraction Pattern:EBSD)を用いて結晶方位解析した結果、臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件のサンプルにおいては、種々の初期粒内に母相とは方位差が異なった数百nm〜数μm程度の幅を持った線状領域が確認された。
当該領域は、初期粒界とぶつかったところで方位の連続性が途切れており、母相と<111>軸回りに大きな方位差角をなす結晶方位関係にあることと、線状領域の両側でその方位関係が同じであることとから、変形双晶であると特定できる。ここで、BCC結晶構造の変形双晶は、母相と<111>軸回りに60°の方位関係となることが知られている。ただし、最終冷間圧延の1パス中に、上述の結晶方位関係を有する変形双晶が形成された後にも、圧延加工による結晶方位回転がさらに起こるため、1パス後のサンプルにおいて、上述のような正確な双晶方位関係は維持していない。
よって、本発明における変形双晶とは、最終冷間圧延1パス後のサンプルに存在する上記線状領域のうち、100nm以上20μm以下の幅を有し、かつ、隣接する母相と<111>軸回りに40°以上の方位関係を有する領域のことを意味する。
なお、一般に引張試験においては、素材Si量の増加に伴って変形双晶が増加することが知られている。
今回、2.5mass%以上のSiを添加した電磁鋼板において、C無添加の材料では変形双晶は形成されなかった。これは、引張加工と圧延加工では変形モードが異なるためであると考えている。一方、素材C量を増加させることで圧延加工によって変形双晶が形成されることが確認された。この理由については、Si添加によりベースとしてすべり変形が抑制される、つまり、双晶変形が誘発されるような応力状態となっていることに加え、C添加によりすべり変形がさらに抑制された結果、双晶変形が相対的に活性化したものと推定される。以上より、SiおよびCを併せて添加することは、鋼板の変形双晶を増加させる作用があるものと考えられる。
また、本発明は、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、その後72時間以内に最終冷間圧延を開始する条件下において、さらに、製品板の高磁束密度化効果を発揮することが明らかとなった。この理由についてはまだ十分に明らかとなっていないが、発明者らは次のように考えている。
焼鈍後の800〜300℃間の冷却速度を増加させること、その後短時間で最終冷間圧延を開始することは、最終冷間圧延母材内に炭化物を析出させず固溶Cを十分に残存させた状態で最終冷間圧延を施すことを意味する。すなわち、最終冷間圧延鋼板内に固溶Cを十分に残存させておくことが、双晶変形を誘発する結果、一次再結晶{411}<148>粒の増加につながって、本発明における製品板の高磁束密度化効果を発揮するのではないかと考えている。
さらに、最終冷間圧延1パス目のひずみ速度を増加させることで、双晶変形の誘発がより顕著となる理由については以下のように考えている。
金属の変形のうち、すべり変形は熱活性化過程であることから、すべり変形の臨界分解剪断応力(Critical Resolved Shear Stress:CRSS)は温度依存性があり、温度低下に伴いCRSSが増加することが知られている。また、すべり変形のCRSSは、ひずみ速度にも依存性があることも知られていて、ひずみ速度が増加すると、すべり変形のCRSSが増加することが知られている。一方、金属の変形のうち、双晶変形のCRSSは、すべり変形のCRSSに比べて温度依存性が極めて小さいことが知られている。すなわち、双晶変形は熱活性化過程ではない、もしくはその影響が極めて小さいことが推定される。
従って、加工温度を低下させた場合、もしくはひずみ速度を増加させた場合には、すべり変形のCRSSは増加するのに対し、双晶変形のCRSSは増加しない、もしくは僅かにしか増加しないため、すべり変形のCRSSよりも双晶変形のCRSSの方が低くなるので、双晶変形が起きやすくなって、変形双晶が優先的に形成されたものと推定される。
BCC構造の双晶面は{112}であって、バーガースベクトルは<111>であるため、冷間圧延初期に形成された双晶領域では特定の結晶方位を有することになり、冷間圧延後期ですべり変形が起こった際に、従来とは異なる結晶方位が形成される。
本発明では、上記のような最終冷間圧延板に対して一次再結晶焼鈍を施すことで、一次再結晶{411}<148>粒が増加しているものと推定される。
そして、一次再結晶{411}<148>粒の増加に伴い、二次再結晶Goss方位粒のズレ角は低減して、製品板の高磁束密度化が成される。さらに、上記したように、最終冷間圧延1パス目のひずみ速度を、臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件とした圧延を施すことで、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比が増加し、製品板の高磁束密度化を達成したものと推定される。
《実験2》
次に、一次再結晶焼鈍の昇温速度の影響について調査した。C:0.031mass%、Si:3.23mass%、Mn:0.077mass%、sol.Al:0.026mass%、N:0.008mass%、S:0.002mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1240℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1050℃×30sの熱延板焼鈍を施した後、この熱延板焼鈍の800〜300℃間の冷却中の平均冷却速度を45℃/sとし、70時間経過後に4スタンドのタンデム圧延を開始して、最終板厚0.26mmの冷延板とした。各スタンド入側温度はそれぞれ、50℃、60℃、70℃、80℃、各スタンド出側板厚はそれぞれ、1.2mm、0.68mm、0.40mm、0.26mmだった。また、各スタンドにおけるひずみ速度は、それぞれ、31.2s−1、71.9s−1、156.1s−1、277.9s−1だった。なお、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:Xは13.2s−1である。
次いで、上記冷延板を、60vol%H−40vol%Nの、露点:55℃の湿潤雰囲気下で820℃×100sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。上記一次再結晶焼鈍は、820℃までの昇温過程における200〜700℃間の種々の昇温速度について検討し、さらにその昇温途中で種々の温度で5s保定する処理も施した。なお、保定温度は図3〜6に示すとおり、100、250、400、600および700℃である。
また、本発明において、昇温速度は、図7に示したように、200℃から700℃まで到達する時間から保定時間t、tを除いたt、t、tにおける平均昇温速度((700−200)/(t+t+t))のことをいう。
その後、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃で10時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とし、それぞれの条件下での試験片を得た。
図3〜6に、製品板の鉄損W17/50に及ぼす一次再結晶焼鈍の200〜700℃間の昇温速度並びに昇温途中での保定温度および保定時間の影響について調べた結果を示した。
図3〜6に示したように、最終冷間圧延1パス目のひずみ速度が臨界ひずみ速度:X(s−1)を超える条件下で、かつ一次再結晶焼鈍の昇温過程における200〜700℃間を50℃/s以上で急速加熱処理を施すことで、製品板の鉄損W17/50が低減することが分かる。また、一次再結晶焼鈍の昇温過程における200〜700℃の間を50℃/s以上の昇温速度で加熱するとともに、昇温過程の250〜600℃間から選択したいずれかの温度で1〜10s間保定する保定処理を施すことで、製品板の鉄損W17/50がさらに低減することが分かる。
上記した《実験2》に示された結果、すなわち一次再結晶焼鈍の昇温過程を急速加熱することで製品板の鉄損W17/50が低減した理由は、まだ十分に明らかとなっていないが、発明者らは、次のように考えている。
鋼板の再結晶温度近傍まで短時間で昇温することによって、通常の加熱速度であれば優先的に形成されるγファイバー(<111>//ND方位)の発達が抑制されるので、二次再結晶の核となる{110}<001>組織の発生が促進され、先鋭な{110}<001>が増加したものと推定される。さらに、その結果、二次再結晶後の結晶粒(Goss方位粒)が細粒化して、鋼板の鉄損特性が改善されたものと推定される。
上記昇温過程において、昇温速度を上げることは、前述したように再結晶集合組織における<111>//ND方位の発達を抑制し、二次再結晶の核となるGoss方位粒({110}<001>)の発生を促進する効果があると考えられる。というのは、一般に、冷間圧延では、<111>//ND方位は、他の方位に比較して多くの歪が導入され、蓄積される歪エネルギーが高い状態にあるため、通常の昇温速度で加熱する一次再結晶焼鈍では、蓄積された歪エネルギーが高い<111>//ND方位の圧延組織から優先的に再結晶を起こしてしまう。その結果、再結晶では、通常、<111>//ND方位の圧延組織から<111>//ND方位粒が優先出現し、再結晶後の組織は<111>//ND方位が主方位となる。
これに対し、昇温速度を上げることで、再結晶によって放出されるエネルギーよりも多くの熱エネルギーが鋼板に供給されるから、比較的蓄積された歪エネルギーの低いGoss方位でも再結晶が起こるようになって、相対的に再結晶後の<111>//ND方位が減少し、Goss方位({110}<001>)が増加する。Goss方位が多くなると、二次再結晶においても多くのGoss方位粒が出現するため、二次再結晶粒が細粒化し、鉄損が低減するからである。
一次再結晶焼鈍の昇温過程において、適正温度で適正時間保定する保定処理を施すことで、鉄損がさらに低減する理由は、まだ十分に明らかとなっていないが、発明者らは、次のように考えている。
昇温の途中、回復が起こる温度で所定時間保定する保定処理を施した場合には、歪エネルギーが高い<111>//ND方位が優先的に回復を起こす。そのため、<111>//ND方位の圧延組織から生じる<111>//ND方位の再結晶を起こす駆動力が選択的に低下し、それ以外の方位が再結晶を起こすようになる。その結果、再結晶後の<111>//ND方位が相対的に減少することになる。
一方、保定処理の保定温度が高過ぎたり、保定時間が10sを超えたりすると、鋼板の広い範囲で回復が起こってしまうため、回復組織がそのまま残り、上記の一次再結晶組織とは異なる組織となってしまう。その結果、二次再結晶に大きな悪影響を及ぼし、鉄損特性が劣化してしまう。
また、昇温途中の回復が起こる温度で短時間の保定処理を施すことにより磁気特性向上効果が得られるのは、従来のラジアントチューブ等を用いた昇温速度(10〜30℃/s)よりも速い昇温速度、具体的には50℃/s以上の昇温速度の場合に限られる。そこで、本発明においては、一次再結晶焼鈍の200〜700℃の温度範囲における昇温速度を50℃/s以上と規定する。なお、この昇温速度の上限に制限はないが、設備的には、500℃/s程度である。
ここで、一次再結晶焼鈍時に上記したような急速加熱を行う際のデメリットとして、昇温中の初期酸化に費やす時間が短くなるため、一次再結晶焼鈍後のサブスケール構造が変化して、仕上焼鈍中に被膜不良が生じると共に、二次再結晶不良が生じて、磁気特性が劣化することが考えられる。しかしながら、昇温中に保定処理を行うことで、急速加熱時にも適正な初期酸化が行われ、被膜劣化を防止して磁気特性が向上したと考えられる。
そして、上記のような被膜改善による更なる磁性改善効果を得るには、昇温途中に少なくとも2回の保定が好ましく、一度は回復が起こる温度域250℃以上500℃未満で、もう一度は初期酸化が活発になる温度域500℃以上700℃以下で保定することが好ましいと考えられる。回復には、少なくとも0.5sは必要であるが、長くとも10sに抑える必要があると考えられる。保定時間を10s以下に抑えることは、回復しすぎると、その後の再結晶粒が発生しなくなるおそれがあるためである。
また、保定は複数回行ってもよいが、保定回数が多いと回復しすぎて再結晶しなくなるおそれがあるので4回以内に収めることが望ましい。より望ましくは、250〜500℃で複数回保定した場合においても、その合計の保定時間は10s以内とすることが、再結晶不良の防止の観点から望ましい。
さらに、初期酸化が活発になる温度域での保定は、0.5s以上が好適であると考えられる。しかし、この温度域は、鋼板の再結晶が起こる温度域でもあるが、この時点での再結晶は極力回避する必要があるため、3s以内が好ましい。なお、この温度域での保定は複数回行ってもよいが、再結晶不良の防止の観点から2回以内に抑えることが望ましい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の素材に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。
C:0.002〜0.100mass%
Cは、0.002mass%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして、製造に支障を来たすようになる。また、本発明の特徴である変形双晶の形成も抑制される。一方、0.100mass%を超えると、脱炭焼鈍で、Cを磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002〜0.100mass%の範囲とする。好ましくは0.010〜0.080mass%の範囲である。
Si:2.00〜4.50mass%
Siは、鋼板の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。2.00mass%未満の添加では、これらの効果が十分に発揮できないだけでなく、本発明の特徴である変形双晶の形成も抑制される。一方、4.50mass%を超えると、鋼板の加工性が低下し、圧延して製造することが困難となる。よって、Siは2.00〜4.50mass%の範囲とする。好ましくは2.50〜4.50mass%の範囲である。
Mn:0.03〜1.00mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.03mass%未満では十分ではなく、一方、1.00mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.03〜1.00mass%の範囲とする。好ましくは0.05〜0.20mass%の範囲である。
酸可溶性Al(Sol.Al):0.010〜0.050mass%
Sol.Alは、二次再結晶焼鈍の昇温過程において、AlNが正常粒成長を抑制する上でのインヒビターの働きをするため、方向性電磁鋼板においては重要な元素である。しかし、Sol.Alの含有量が0.010mass%に満たないと、インヒビターの絶対量が不足するために、正常粒成長の抑制力不足となる。一方、Sol.Alの含有量が0.050mass%を超えるとAlNが粗大析出してしまうために、やはり正常粒成長の抑制力が不足する。そのため、Sol.Alは0.010mass%以上0.050mass%以下とする。
N:0.003〜0.020mass%
Nは、Alと結合してインヒビターを形成するが、含有量が0.003mass%未満では、インヒビターの絶対量が不足し、正常粒成長の抑制力不足となる。一方、含有量が0.020mass%を超えると、冷間圧延時にブリスターと呼ばれる空孔を生じ、鋼板の外観が劣化する。そのため、Nは0.003mass%以上0.020mass%以下とした。
Sおよび/またはSe:0.002〜0.030mass%
SおよびSeは、Mnと結合してインヒビターを形成するが、SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の含有量が0.002mass%未満では、インヒビターの絶対量が不足し、正常粒成長の抑制力不足となる。一方、SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の含有量が0.030mass%を超えると、二次再結晶焼鈍において、脱S、脱Seが不完全となるため、鉄損劣化を引き起こす。そのため、SおよびSeのうちから選んだ1種または2種は、それぞれ0.002〜0.030mass%の範囲とした。
本発明の方向性電磁鋼板に用いる鋼素材は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
なお、本発明では、磁気特性の改善を目的として、さらに、Ni:0.01〜1.50mass%、Cr:0.03〜0.50mass%、Cu:0.03〜0.50mass%、P:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.500mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.001〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を適宜含有していてもよい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
前述した成分組成を有する鋼を、常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊−分塊圧延法または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは、常法に従い、1200〜1400℃程度の温度に再加熱し、熱間圧延に供する。なお、インヒビター成分を含有しない場合には、鋳造後、スラブを再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
次いで、熱間圧延して得た熱延板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この熱延板焼鈍の温度は、良好な磁気特性を得るためには、800〜1150℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱間圧延で形成されたバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなり、二次再結晶粒の成長が阻害される。一方、1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎて、やはり、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
熱延後あるいは熱延板焼鈍後の鋼板は、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とする。上記中間焼鈍の焼鈍温度は、900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、中間焼鈍後の再結晶粒が細かくなり、さらに、一次再結晶組織におけるGoss核が減少して製品板の磁気特性が低下する。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、結晶粒が粗大化し過ぎて、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
さらに、本発明は、最終冷間圧延直前の焼鈍後における800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を40℃/s以上とし、その後72時間以内に最終冷間圧延を開始することを、必須の条件とする。最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の冷却速度が40℃/s未満、および/または、その後72時間を越えて最終冷間圧延を開始すると、最終冷間圧延母材内に炭化物が析出することで十分な固溶C量が確保できずに、本発明の製品板の高磁束密度化効果を十分に発揮できないからである。なお、本発明において最終冷間圧延直前の焼鈍とは、1回の冷間圧延しか行わない場合は、熱延板焼鈍後のことを指し、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行う場合は、最終冷間圧延の直前の中間焼鈍を指す。
また、本発明は、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、下記(1)式から算出される臨界ひずみ速度:X(s−1)以上のひずみ速度で1パスの圧下率10%以上の圧延を少なくとも1回施すことが必要である。

X(s−1)=f([%C],[%Si])・g(T) ・・・ (1)
なお、f([%C],[%Si])=1/([%C]+[%Si]/150)、
g(T)=exp(−100/T)
ここで、[%M]は、鋼板中の元素Mのmass%、Tは圧延スタンド入側温度(K)である。
さらに、本発明の特徴は、上記冷間圧延を施すことで冷間圧延前の再結晶粒に変形双晶が導入されるところにあり、変形双晶が導入された再結晶粒の割合が10%以上あれば、本発明の効果が顕著に現れる。一方、変形双晶が過剰に増加すると圧延中に破断が発生するリスクが高まることから、好ましくは変形双晶が導入された再結晶粒の割合を90%以下とする。なお、変形双晶が導入された再結晶粒の割合とは、板厚中心1/5層領域において、冷間圧延前の全再結晶粒のうち、上述したEBSP方位解析により変形双晶と特定されたものが導入された再結晶粒の数の割合を指す。
最終板厚とする冷間圧延(最終冷間圧延)は、前述したように、タンデム圧延(一方向圧延)でも製品板の磁性改善効果を十分に得ることができる。なお、従来公知である温間圧延技術、もしくはパス間時効技術を用いることで、さらなる特性向上が得られる。その場合には、タンデム圧延(一方向圧延)ではなく、リバース圧延を採用することが好ましい。
最終板厚とした冷延板は、その後、一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍における焼鈍温度は、脱炭焼鈍を兼ねる場合には、脱炭反応を速やかに進行させる観点から、800〜900℃の範囲とするのが好ましく、また、雰囲気は湿潤雰囲気とするのが好ましい。一方、脱炭が不要なC:0.005mass%以下の鋼素材を用いる場合は、800〜1000℃の範囲とするのが好ましい。なお、一次再結晶焼鈍と脱炭焼鈍を別々に行ってもよい。
さらに、本発明では、一次再結晶焼鈍から二次再結晶焼鈍までのいずれかの段階で追加インヒビター処理として窒化処理を適用することができる。この窒化処理は、一次再結晶焼鈍後、アンモニア雰囲気中で熱処理を行うガス窒化や、塩浴中で熱処理を行う塩浴窒化、さらにはプラズマ窒化や、窒化物を焼鈍分離剤中に含有させたり、二次再結晶焼鈍雰囲気を窒化雰囲気としたりするなどの公知の窒化技術がいずれも適用できる。
一次再結晶焼鈍を施した鋼板は、鉄損特性やトランスの騒音を重視する場合には、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布して、乾燥した後、仕上焼鈍を施し、Goss方位に高度に集積させた二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させるのが好ましい。一方、打抜加工性を重視し、フォルステライト被膜を形成させない場合には、焼鈍分離剤を適用しないか、あるいは、シリカやアルミナ等を主体とした焼鈍分離剤を用いて仕上焼鈍を施すのが好ましい。なお、フォルステライト被膜を形成しない場合、焼鈍分離剤の塗布に水分を持ち込まない静電塗布を行うことも有効である。また、焼鈍分離剤に代えて、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いてもよい。
仕上焼鈍の条件としては、フォルステライト被膜を形成させる場合には、800〜1050℃付近に20時間以上保定して二次再結晶を発現、完了させた後、1100℃以上の温度まで昇温することが好ましく、鉄損特性を重視し、純化処理を施す場合には、さらに1200℃程度の温度まで昇温するのがより好ましい。一方、フォルステライト被膜を形成させない場合には、二次再結晶が完了すればよいので、800〜1050℃までの昇温で焼鈍を終了することができる。
また、仕上焼鈍後の鋼板は、その後、水洗やブラッシング、酸洗等で、鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、平坦化焼鈍を施して形状矯正することが、鉄損の低減には有効である。仕上焼鈍は、通常、コイル状態で行うため、コイルの巻き癖が付き、これが原因で、鉄損測定時に特性が劣化することがあるためである。
さらに、鋼板を積層して使用する場合には、上記平坦化焼鈍において、あるいは、その前後において、鋼板表面に絶縁被膜を被成することが有効である。特に、鉄損の低減を図るためには、絶縁被膜として、鋼板に張力を付与する張力付与被膜を適用するのが好ましい。張力付与被膜の形成には、バインダーを介して張力被膜を塗布する方法や、物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させる方法を採用することが、被膜密着性に優れかつ著しく鉄損低減効果が大きい絶縁被膜を形成することができるので、より好ましい。
また、鉄損をより低減するためには、磁区細分化処理を施すことが好ましい。処理方法としては、一般的に実施されている、最終製品板に溝を形成したり、電子ビーム照射やレーザ照射、プラズマ照射等によって線状または点状に熱歪や衝撃歪を導入する方法、最終板厚に冷間圧延した鋼板や中間工程の鋼板表面にエッチング加工を施して溝を形成したりする等、公知公用の磁区細分化処理方法を用いることができる。
[実施例1]
C:0.062mass%、Si:3.30mass%、Mn:0.078mass%、sol.Al:0.025mass%、Se:0.015mass%およびN:0.008mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.5mmの熱延板とし、1000℃×50sの熱延板焼鈍を施し、一次冷間圧延により1.8mmの中間板厚とし、1100℃×20sの中間焼鈍を施した後、この中間焼鈍の800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を40℃/sとし、36時間経過後に表1−1、表1−2に示す条件で最終冷間圧延を開始した。なお、表1−1および表1−2中、記号1〜3はタンデムミル、記号4、5はリバースミルで最終冷間圧延して最終板厚0.26mmの冷延板に仕上げた。また、本サンプルの最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)は、12.2である。
次いで、上記冷延板に、50vol%H−50vol%N、露点:56℃の湿潤雰囲気下で、840℃×100sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、200〜700℃間を25℃/sで昇温した。
さらに、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1180℃で50時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
表1−1および表1−2に、最終冷間圧延の各パス間におけるひずみ速度を、また、表1−3に、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比および製品板の磁束密度B、鉄損W17/50の測定結果を示す。
Figure 0006292147
Figure 0006292147
Figure 0006292147
タンデムミルで最終冷間圧延した材料について、記号1においては、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始した場合であっても、1パス目のひずみ速度が臨界ひずみ速度:X(s−1)以下の5.7であったため、良好な製品板の磁気特性が得られなかった。記号2、3については、それぞれ1パス目および1パス目と2パス目において臨界ひずみ速度以上を達成したため、良好な製品板の磁気特性が得られた。また、リバースミルで圧延した記号4、5は、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、さらに1パス目において臨界ひずみ速度以上でかつ1パスの圧下率が10%以上の冷間圧延を達成したことや、パス間時効の効果も相まって極めて良好な磁気特性が得られた。
[実施例2]
C:0.055mass%、Si:3.43mass%、Mn:0.069mass%、sol.Al:0.021mass%、S:0.027mass%およびN:0.006mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1380℃の温度に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1120℃×60sの熱延板焼鈍を施した。この熱延板焼鈍の800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を表2に示す種々の値とし、表2に示す種々の時間経過後にリバース圧延を開始して、最終板厚0.22mmの冷延板に仕上げた。各スタンド入側温度はそれぞれ、40℃、100℃、140℃、170℃、190℃、100℃、各スタンド出側板厚はそれぞれ、1.4mm、0.90mm、0.60mm、0.42mm、0.30mm、0.22mmだった。また、各スタンドにおけるひずみ速度はそれぞれ、234.2s−1、289.9s−1、344.3s−1、392.2s−1、453.6s−1、512.8s−1だった。なお、本鋼の最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)=8.9である。
次いで、上記冷延板に、55vol%H−45vol%N、露点:60℃の湿潤雰囲気下で、840℃×100sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、200〜700℃間を25℃/sで昇温した。
さらに、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1180℃で50時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
表2に、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比および製品板の磁束密度B、鉄損W17/50の測定結果を示す。
Figure 0006292147
表2より、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、臨界ひずみ速度:X(s−1)以上のひずみ速度で、かつ1パスの圧下率が10%以上の冷間圧延を行うと共に、熱延板焼鈍後(最終冷間圧延直前)の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、さらに、その後72時間以内に最終冷間圧延を開始することで、良好な製品板の磁気特性が得られることが分かる。
[実施例3]
表3に記載の成分組成を有する記号A〜Lの鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとし、1400℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚1.8mmの熱延板とし、1050℃×30sの熱延板焼鈍を施した後、この熱延板焼鈍の800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を70℃/sとし、12時間経過後に4スタンドのタンデム圧延を開始して、最終板厚0.22mmの冷延板に仕上げた。
各スタンド入側温度は、それぞれ、40℃、50℃、60℃、70℃、各スタンド出側板厚は、それぞれ、1.3mm、0.71mm、0.40mm、0.22mmだった。また、各スタンドにおけるひずみ速度はそれぞれ、54.6s−1、167.5s−1、390.2s−1、967.7s−1だった。
その後、上記冷延板に、60vol%H−40vol%N、露点:58℃の湿潤雰囲気下で、850℃×120sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この一次再結晶焼鈍の際、200〜700℃間を昇温速度:15℃/sで昇温した。
ついで、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1180℃で10時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
表3に、最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比および製品板の磁束密度B、鉄損W17/50を併記する。
Figure 0006292147
表3に示したように、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、さらに総圧下率が50%以下の段階において、各サンプルの臨界ひずみ速度:X(s−1)以上でかつ1パスの圧下率が10%以上の最終冷間圧延を施すことで、一次再結晶焼鈍板の板厚中心層の{411}<148>方位の対ランダム強度比は増加し、良好な製品板磁気特性が得られた。
[実施例4]
表3に記載の記号Jの鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとし、1440℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1020℃×30sの熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延により1.8mmの中間板厚とし、1020℃×60sの中間焼鈍を施した後、この中間焼鈍の800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を50℃/sとし、18時間経過後に4スタンドのタンデム圧延を開始して、最終板厚0.22mmの冷延板に仕上げた。各スタンド入側温度は全て50℃、各スタンド出側板厚はそれぞれ、1.0mm、0.58mm、0.35mm、0.22mmだった。また、各スタンドにおけるひずみ速度はそれぞれ、86.1s−1、190.6s−1、397.2s−1、775.1s−1だった。なお。記号Jの鋼の最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)=12.9である。
次いで、上記冷延板に、60vol%H−40vol%N、露点:54℃の湿潤雰囲気下で、840℃×120sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。
この一次再結晶焼鈍の際、840℃までの昇温過程のうち、200〜700℃間を昇温速度:120℃/sで昇温し、さらにその昇温途中で種々の温度や、時間、回数で保定する保定処理を施した。その条件を表3に併記する。
さらに、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1180℃で10時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
表4に、製品板の磁束密度B、鉄損W17/50の測定結果を併記する。
Figure 0006292147
表4に示すように、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、さらに総圧下率が50%以下の段階において、各サンプルの臨界ひずみ速度:X(s−1)以上でかつ1パスの圧下率が10%以上の最終冷間圧延を施すことで、良好な製品板磁気特性が得られた。
[実施例5]
表3に記載の記号Bの鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとし、1220℃に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1120℃×30sの熱延板焼鈍を施した後、この熱延板焼鈍の800〜300℃間の冷却時の平均冷却速度を55℃/sとし、24時間経過後にリバース圧延を開始して、最終板厚0.26mmの冷延板に仕上げた。各スタンド入側温度はそれぞれ、40℃、100℃、140℃、160℃、180℃、180℃、各スタンド出側板厚はそれぞれ、1.4mm、0.90mm、0.63mm、0.45mm、0.34mm、0.26mmだった。また、各スタンドにおけるひずみ速度はそれぞれ、234.2s−1、289.9s−1、320.2s−1、370.4s−1、395.8s−1、444.4s−1だった。なお、記号Bの鋼の最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階における臨界ひずみ速度:X(s−1)=11.5である。
次いで、上記冷延板に、60vol%H−40vol%N、露点:57℃の湿潤雰囲気下で、840℃×120sの脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。
この一次再結晶焼鈍の際、840℃までの昇温過程のうち、200〜700℃間を図8に示す種々の昇温速度で昇温した。ついで、アンモニアと窒素と水素の混合雰囲気中、750℃で30sのガス窒化処理を施したのち、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃で50時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行い、引き続きリン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布、焼付けと鋼帯の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品とした。
図8に、製品板の鉄損W17/50を示す。
図8に示したように、最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、さらに総圧下率が50%以下の段階において、臨界ひずみ速度:X(s−1)以上でかつ1パスの圧下率が10%以上の最終冷間圧延を施し、一次再結晶焼鈍の昇温過程における200〜700℃間で急速加熱処理を施すことで、さらに良好な製品板磁気特性が得られていることが分かる。
本発明の技術は、冷延鋼板の集合組織の制御に適しているので、加工性が要求される自動車用鋼板や、リジング抑制が要求されるフェライト系ステンレス鋼の製造方法にも適用することができる。

Claims (7)

  1. C:0.002〜0.100mass%、Si:2.00〜4.50mass%、Mn:0.03〜1.00mass%、sol.Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、さらに、S:0.002〜0.030mass%および/またはSe:0.002〜0.030mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、あるいは、該熱延板に熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    最終冷間圧延直前の焼鈍後の800〜300℃間の平均冷却速度を40℃/s以上とし、次いで72時間以内に最終冷間圧延を開始し、該最終冷間圧延の総圧下率が50%以下の段階において、下記(1)式から算出される臨界ひずみ速度:X(s-1)以上かつ229.9(s -1 )以上のひずみ速度で、かつ1パスの圧下率が10%以上の冷間圧延を少なくとも1回施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    X(s-1)=f([%C],[%Si])・g(T) ・・・ (1)
    但し、f([%C],[%Si])=1/([%C]+[%Si]/150)
    g(T)=exp(−100/T)
    また、[%M]は、鋼板中の元素Mの含有量(質量%)、Tは圧延スタンド入側温度(K)を表す。
  2. 前記最終冷間圧延によって、最終冷間圧延直前の再結晶粒に変形双晶を導入することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記スラブに、さらに、Ni:0.01〜1.50mass%、Cr:0.03〜0.50mass%、Cu:0.03〜0.50mass%、P:0.005〜0.500mass%、Sb:0.005〜0.500mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.500mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.001〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上の成分組成を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とし、さらに上記昇温過程の250〜600℃間のいずれかの温度で1〜10s間、保定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記一次再結晶焼鈍の昇温過程の200〜700℃間の加熱速度を、50℃/s以上とし、さらに上記昇温過程の250℃以上500℃未満のいずれかの温度で、0.5〜10s間、1〜4回保定し、かつ500℃以上700℃以下のいずれかの温度で、0.5〜3s間、1〜2回保定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 前記一次再結晶焼鈍から前記仕上焼鈍までのいずれかの段階で窒化処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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