JP2020070307A - 粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極及びセパレータなどの電池部材に、高い接着性を発現可能な粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法、を提供する。【解決手段】 ガラス転移温度(Tg)が15〜60℃であり、トルエン不溶分率が10〜90%である粒子状共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池に代表される蓄電デバイスの開発が、活発に行われている。通常、リチウム電池には、セパレータが正負極間に設けられている。セパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、かつ微多孔中に保持した電解液を通し、イオンを透過させる機能を有する。
リチウムイオン二次電池の電気特性及び安全性を確保しながらセパレータにさまざまな性質を付与するために、セパレータ基材表面に無機フィラー及び樹脂バインダーを含む層を配置したセパレータが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2には、セパレータ上にポリマー粒子と無機フィラーを含む多孔膜を設けた後、さらに電極との接着層を設ける技術が記載されている。
一方、リチウムイオン二次電池製造プロセスにおいては、リチウムイオン二次電池用接着剤をセパレータに塗布して乾燥させて接着層を形成したセパレータでは、保管の際に接着層を介して隣接する電池部材同士が相互に接着してしまう、すなわち、ブロッキングすることによる不良発生、生産性低下が生じることが問題になっている。
特許文献3には、ガラス転移温度(Tg)の低い粒子状重合体と、Tgが高く所定の粒子径及び電解液膨潤度を有する粒子状重合体とを組み合わせることで、電池部材の耐ブロッキング性を向上させつつ、電解液浸漬後の電池部材間の接着性を向上させる技術が記載されている。
特許第5708872号公報 特開2015−28842号公報 特開2015−41603公報
リチウムイオン二次電池においては、充放電に伴って電極の膨張及び収縮が発生し、その結果、電極とセパレータとの接着性が損なわれてしまい、リチウムイオン二次電池の機械的特性及び電気的特性が低下する問題が発生することがある。
また、リチウム二次電池の製造プロセスにおいては、電解液に浸漬する前の電池部材同士を積層、切断、運搬することがある。その際、電池部材同士の高い接着性を兼ね備えることも求められている。このようなプロセス接着性に対するニーズは、電池の大型化が進む近年において特に高まっている。
しかしながら、上記従来技術においては、接着層を備えるリチウム二次電池の製造プロセス中における電池部材間の接着性を高いレベルで発現させるという点において改善の余地があった。
そこで本発明は、高い接着性を発現可能な粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法、等を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、所定の性状を有する粒子状共重合体を用いることにより、高い接着性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕
ガラス転移温度(Tg)が15〜60℃であり、トルエン不溶分率が10〜90%である粒子状共重合体。
〔2〕
(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体と、不飽和カルボン酸単量体と、架橋性単量体とをモノマー単位として含む〔1〕の粒子状共重合体。
〔3〕
前記架橋性単量体が、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する単量体
、エポキシ基含有ビニル単量体、メチロール基含有ビニル単量体、アルコキシメチル基含有ビニル単量体、及び加水分解性シリル基含有ビニル単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種である〔2〕の粒子状共重合体。
〔4〕
粒径D50が200nm以上900nm以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかの粒子状共重合体。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかの粒子状共重合体を含むリチウムイオン二次電池用接着剤。。
〔6〕
水と、無機フィラーと、〔1〕〜〔4〕のいずれかの粒子状共重合体と、を含むリチウム二次電池多孔層用スラリー。
〔7〕
〔6〕のリチウム二次電池多孔層用スラリーを乾燥する工程を含む、リチウム二次電池用多孔層の製造方法。
〔8〕
〔6〕のリチウム二次電池多孔層用スラリーをセパレータ基材に塗布し、乾燥する工程を含む、リチウム二次電池用セパレータの製造方法。
本発明によれば、高い接着性を発現可能な粒子状共重合体、リチウム二次電池用接着剤、リチウム二次電池多孔層用スラリー、リチウム二次電池用多孔層の製造方法及びリチウム二次電池用セパレータの製造方法、等が提供される。
以下に本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、本明細書において、本実施形態の粒子状共重合体を構成する単量体単位の含有量、及び本実施形態の粒子状共重合体の重合成分として用いられる原料(単量体)の仕込み量又は添加量は、特に断らない場合、それぞれ、単量体単位の総量(100質量部)及び単量体の総量(100質量部)に対する質量部で表す。
また、本明細書において、「単量体」という場合、この「単量体」とは、本実施形態の粒子状共重合体を構成する各単量体の全てを包含する意味で用いている。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタアクリレート及びアクリレートの双方を包含する意味で用いている。
[粒子状共重合体]
本実施形態の粒子状共重合体は、15℃〜60℃のガラス転移温度(Tg)を有し、10〜90%のトルエン不溶分を有する。本実施形態の粒子状共重合体は、上記構成を有することにより、例えば、電極や、セパレータ基材との高い接着性を発現可能であり、リチウムイオン二次電池用接着剤の成分に用いると、機械特性や電気特性を向上可能である。
本実施形態の粒子状共重合体が、上記構成を有することにより、高い接着性を発現可能である要因は以下のように考えられる。但し、要因はこれに限定されない。例えば、電極との高い接着性を発現するためには、接着層と電極との界面の接着性と、接着層内部の凝集破壊強度とを何れも高めることが望まれるが、粒子状共重合体の適度な分子運動性(Tg)と、適度な架橋度合い(トルエン不溶分率)とを組み合わせることで、両者の両立が実現された結果であると推定される。電極は通常、多孔性の表面を有するが、上記特定のTg範囲と特定のトルエン不溶分率範囲とが、接着時には粒子形状を維持する共重合体に適度な流動性を与え、且つ、電極の多孔構造を塞いでしまうことなく電極表面に満遍なく存在することができ、しかも接着層内部も均一化される結果、接着界面の密着性と、凝集破壊強度とが両立されているのではないかと考えられる。
(ガラス転移温度Tg)
本実施形態の粒子状共重合体のガラス転移温度Tgは、15〜60℃であり、20〜50℃であることが好ましく、25〜35℃であることがより好ましい。Tgがこのような範囲であることは、電極との高い接着性や良好な電気特性を実現する観点から好ましい。
(トルエン不溶分)
本実施形態のトルエン不溶分は、10〜90%であり、50〜88%であることが好ましく、65〜85%であることがより好ましい。トルエン不溶分がこのような範囲であることにより、電極との高い接着性や良好な電気特性を実現する観点から好ましい。
本実施形態の粒子状共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体と、不飽和カルボン酸単量体と、架橋性単量体とをモノマー単位として含むことが好ましい。このようなモノマー単位を含むことは、良好な接着性や重合安定性を発現する観点から好適である。なお、粒子状共重合体の前記Tgやトルエン不溶分は、粒子状共重合体を構成するモノマー種の組み合わせや、各モノマー種の配合割合を種々選択することにより調整することができる。
((メタ)アクリル酸エステル単量体)
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、エチレン性不飽和結合を1つ有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エチレン性不飽和結合を1つ有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、などのアルキル基を有する(メタ)アクリレート(より好ましくはアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどの芳香環を有する(メタ)アクリレート(より好ましくは芳香環と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、炭素数4以上のアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、炭素数6以上のアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体がより好ましく、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、イソボルニルアクリレート、及びt−ブチルシクロヘキシルアクリレートからなる群より選ばれる1つ以上が好ましく、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、及びt−ブチルシクロヘキシルアクリレートからなる群より選ばれる1つ以上がより好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることは、乳化重合時の重合安定性を向上させる観点や、電極との接着性を向上させる観点から好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は、共重合体100質量%に対して、例えば、50〜98質量%であってもよく、70〜95質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましい。このような範囲にあることにより、粒子状共重合体は、ガラス転移温度Tg及びトルエン不溶分をバランスよく所望の範囲とすることができる傾向となり好ましい。
(不飽和カルボン酸体)
不飽和カルボン酸体としては、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフエステル及びフマール酸のハーフエステルなどのモノカルボン酸単量体、並びに、イタコン酸、フマール酸及びマレイン酸などのジカルボン酸単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸であることが好ましい。このような不飽和カルボン酸を用いると、フィラーとの結着性が一層向上する傾向となり好ましい。
不飽和カルボン酸体の含有量は、共重合体100質量%に対して、例えば、0.1〜10質量%であってもよく、0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜2質量%であることがより好ましい。このような範囲にあることにより、粒子状共重合体は、ガラス転移温度Tg及びトルエン不溶分をバランスよく所望の範囲とすることができる傾向となり好ましい。
(架橋性単量体)
架橋性単量体としては、例えば、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体、重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体としては、例えば、エポキシ基を含有するエポキシ基含有ビニル単量体、メチロール基を含有するメチロール基含有ビニル単量体、アルコキシメチル基を含有するアルコキシメチル基含有ビニル単量体、及び加水分解性シリル基を含有する加水分解性シリル基含有ビニル単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋性単量体は、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、メチロール基含有単量体、アルコキシメチル基含有単量体、及び加水分解性シリル基を有するビニル単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような架橋性単量体を用いると、例えば、後述するようにリチウム二次電池用接着剤等として、電極やセパレータを接着させる際に、適度な流動性を保ちつつ接着可能であるため、取り扱い性に優れる傾向となり好ましい。
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン及び多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。少量でもより良好な耐電解液性を発現できる観点から、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレートのいずれであってもよい。例えば、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、上記と同様の観点から、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、及びメチルグリシジルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
メチロール基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、及びジメチロールメタクリルアミドが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルコキシメチル基含有ビニル単量体しては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、及びN−ブトキシメチルメタクリルアミドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
加水分解性シリル基含有ビニル単量体としては、例えば、ビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋性単量体の含有量は、共重合体100質量%に対して、例えば、0.1〜10質量%であってもよく、0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜2質量%であることがより好ましい。このような範囲とすることは、粒子状共重合体について、ガラス転移温度Tg及びトルエン不溶分をバランスよく所望の範囲とする観点から好ましい。
(水酸基含有ビニル単量体)
本実施形態の粒子状共重合体は、水酸基含有ビニル単量体を更に含むことが好ましい。水酸基含有ビニル単量体を含むことは、粒子状共重合体の、ガラス転移温度Tg及びトルエン不溶分をバランスよく所望の範囲とする観点から好ましい。
水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、及び2−ヒドロキシエチルメチルフマレートが挙げられる。これらの水酸基含有ビニル単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有ビニル単量体の含有量は、共重合体100質量%に対して、例えば、0.1〜10質量%であってもよく、0.3〜5質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましい。このような範囲とすることは、粒子状共重合体の、ガラス転移温度Tg及びトルエン不溶分をバランスよく所望の範囲とする観点から好ましい。
本実施形態の粒子状共重合体は、例えば、上記の単量体単位を含有する共重合体成分(ラテックス粒子)が水中で分散した分散液の形態を有している。共重合体ラテックス中の固形分濃度は、特に限定されないが、例えば、10〜60質量%程度であってもよい。
本実施形態の粒子状共重合体を含有した分散液のpHは、特に限定されないが、安定性と取り扱い性の観点から、pH3〜10であることが好ましい。
共重合体ラテックスの粒径D50は、200nm以上900nm以下であることが好ましく、300nm以上750nm以下であることがより好ましく、450nm以上600nm以下であることが更に好ましい。粒径D50がこのような範囲にあることは、後述するようにリチウム二次電池用接着剤等として、セパレータを接着させる際に、適度な空隙を残すことができる傾向となり、電解液中のイオンを透過させるセパレータの機能を損なわない傾向となるため好ましい。粒径D50は、例えば、シードラテックス、界面活性剤を所望の割合で使用することにより調整できる。通常、その使用量を大きくすることにより、粒径D50は小さくなる傾向にある。
粒子状共重合体は、例えば、水分散液に分散した形態で、リチウムイオン二次電池等のような蓄電デバイス用のバインダー(接着剤)に用いられる。このため、粒子状共重合体は、例えば、蓄電デバイス用バインダー組成物の形態として用いられる。
[粒子状共重合体の製造方法]
本実施形態の粒子状共重合体は、既知の重合方法により製造することができる。重合方法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の適宜の方法が用いられる。
粒子形状の分散体として得る目的で、乳化重合法を用いることが好ましい。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、水性媒体中で上述の単量体、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分(例えば、分子量調整剤)を基本組成成分とする分散系において、上記各単量体からなる単量体組成物を重合することにより共重合体が得られる。重合に際しては、供給する単量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や、重合過程で逐次又は連続的に変化させることによって、生成する樹脂分散体の粒子の形態的な組成変化を与える方法等、必要に応じて様々な方法が利用できる。共重合体を乳化重合により得る場合、例えば、水と、その水中に分散した粒子状の共重合体とを含む水分散体(ラテックス)の形態であってもよい。
ラジカル重合開始剤としては、熱又は還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性又は油溶性の重合開始剤を用いることができる。水溶性の重合開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物−還元剤のレドックス系が挙げられる。ペルオキソ二硫酸塩としては、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NPS)、及びペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)が挙げられ、過酸化物としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、及び過酸化ベンゾイルが挙げられ、水溶性のアゾビス化合物としては、例えば、2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩化水素、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)が挙げられ、過酸化物−還元剤のレドックス系としては、例えば、上記過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、及びその塩、第一銅塩、並びに第一鉄塩等の還元剤の1種又は2種以上を組み合わせたものが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、単量体総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜2質量部用いることができる。
分子量調整剤としては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類等の他、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等、通常の乳化重合において使用可能なものをすべて使用できる。これらのうち、n−ドデシルメルカプタンが好ましく使用される。
分子量調整剤の使用量は、各部を重合する際に使用する単量体総量100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
また、分散体は、長期の分散安定性を保つため、そのpHを5〜12の範囲に調整されることが好ましい。pHの調整には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いることが好ましく、アンモニア(水)又は水酸化ナトリウムによりpHを調整することがより好ましい。
本実施形態における水分散体は、上記の特定の単量体を含む単量体組成物を共重合して得られる共重合体を、水中に分散した粒子(共重合体粒子)として含む。水分散体には、水及び共重合体以外に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の溶媒や、分散剤、滑剤、増粘剤、殺菌剤等が含まれていてもよい。
[リチウムイオン二次電池用接着剤]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用接着剤は、本実施形態の粒子状共重合体を含む。このリチウムイオン二次電池用接着剤は、例えば、セパレータと、電極とを接着するために用いられる。具体的には、本実施形態のリチウムイオン二次電池用接着剤は、リチウムイオン二次電池のセパレータや、電極上に接着層を形成する際に用いられる。
[リチウム二次電池多孔層用スラリー]
本実施形態のリチウム二次電池多孔層用スラリーは、水と、無機フィラーと、本実施形態の粒子状共重合体と、を含む。
このスラリーは、これを、例えば、蓄電デバイス用セパレータ基材表面に塗布した後、乾燥して、その基板上に無機フィラーと共重合体を含む多孔層を形成するために用いられる分散液である。必要に応じて、導電助剤、増粘剤、非水系溶剤等を含有してもよい。
(無機フィラー)
前記多孔層(以下、「フィラー多孔層」と記載することがある)に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
これらの中でも電気化学的安定性及びセパレータの耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、水酸化アルミニウム等の酸化アルミニウム化合物;及びカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等の、イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。
なお、アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等の多くの結晶形態が存在するが、いずれも好適に使用することができる。これらの中でも、α−アルミナが熱的・化学的にも安定なので好ましい。
酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))が特に好ましい。水酸化酸化アルミニウムとしては、リチウムデンドライトの発生に起因する内部短絡を防止する観点から、ベーマイトがより好ましい。多孔層を構成する無機フィラーとして、ベーマイトを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層を実現できる上に、より薄い多孔層においても多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。電気化学デバイスの特性に悪影響を与えるイオン性の不純物を低減できる合成ベーマイトがさらに好ましい。
イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、主としてカオリン鉱物から構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには、湿式カオリン及びこれを焼成処理して成る焼成カオリンが知られている。本実施形態では、焼成カオリンが特に好ましい。焼成カオリンは、焼成処理の際に、結晶水が放出されており、更に不純物も除去されていることから、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.01μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.2μmを超えて3.5μm以下であることがより好ましく、0.4μmを超えて3.0μm以下であることが更に好ましい。無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、フィラー多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温における熱収縮を抑制する観点から好ましい。無機フィラーの粒径及びその分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の適宜の粉砕装置を用いて無機フィラーを粉砕して粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
無機フィラーの形状としては、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられる。これらの形状を有する無機フィラーの複数種を組み合わせて用いてもよい。
無機フィラーが、フィラー多孔層中に占める割合は、無機フィラーの結着性、セパレータの透過性、及び耐熱性等の観点から適宜決定されることができる。フィラー多孔層中の無機フィラーの割合は、20質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上99.99質量%以下、更に好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
フィラー多孔層の厚さは、耐熱性及び絶縁性を向上させる観点から、0.5μm以上であることが好ましく、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましい。
フィラー多孔層の層密度は、0.5g/cm3〜3.0g/cm3であることが好ましく、0.7g/cm3〜2.0g/cm3であることがより好ましい。フィラー多孔層の層密度が0.5g/cm3以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、3.0g/cm3以下であると、透気度が低下する傾向にある。
フィラー多孔層(例えば、リチウム二次電池用多孔層)の製造方法は、本実施形態のリチウム二次電池多孔層用スラリーを乾燥する工程を含む。この工程では、例えば、基材の少なくとも片面に、本実施形態のリチウム二次電池多孔層用スラリーを塗工し、乾燥する方法を挙げることができる。この場合、塗工液は、分散安定性及び塗工性及び保管性の向上のために、溶剤、分散剤、増粘剤等を含んでいてもよい。
[リチウム二次電池用セパレータ及びその製造方法]
本実施形態のリチウム二次電池用セパレータ(セパレータ)は、本実施形態のリチウム二次電池多孔層用スラリーをセパレータ基材に塗布し、乾燥して得ることができる。セパレータは、多孔性基材、及び当該多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された多孔層を含むことができる。多孔層は、本実施形態の粒子状共重合体を含むことが好ましい。このセパレータは、多孔性基材及び多孔層のみから成っていてもよいし、これら以外に電極との接着層を更に有していてもよい。
セパレータがフィラー多孔層を有する場合、フィラー多孔層は、当該セパレータ基材としてのポリオレフィン多孔性基材の片面又は両面に配置される。
セパレータを構成する各部材、及びセパレータの製造方法の好ましい実施形態について、以下に詳細に説明する。
[多孔性基材]
多孔性基材は、内部に空孔ないし空隙を有する基材のことであるが、当該基材には、それ自体が、従来セパレータとして用いられていたものを使用することができる。これらの中でも、塗工工程を経てポリマー層を得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。なお、ここで「主成分として含む」とは、50質量%を超えて含むことを意味し、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、なおも更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上含み、100質量%であってもよい。
ポリオレフィン多孔性基材表面に表面処理を施しておくと、その後に塗工液を塗工し易くなると共に、ポリオレフィン多孔性基材とフィラー多孔層又は多孔層との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
[フィラー多孔層の配置方法]
フィラー多孔層は、例えば、無機フィラー、共重合体、及び所望により、溶剤(例えば水)、分散剤等の追加成分を含む塗工液を基材の少なくとも片面に塗工することにより、基材上に配置することができる。共重合体を乳化重合によって合成し、得られたエマルジョンをそのまま塗工液として使用してもよい。
塗工液を基材に塗工する方法は、必要とする層厚及び塗工面積を実現できる限り特に限定されない。塗工方法としては、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法、インクジェット塗工法等が挙げられる。中でも、グラビアコーター法は、塗工形状の自由度が高いため好ましい。
塗工後に塗工膜から溶剤を除去する方法は、基材及び多孔層に悪影響を及ぼさないのであれば限定されない。例えば、基材を固定しながら、基材の融点以下の温度で乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。
[多孔層の配置方法]
共重合体は、例えば、共重合体を含む塗工液を基材に塗工することにより基材上に配置されることができる。共重合体を乳化重合によって合成し、得られたエマルジョン(水分散体)をそのまま塗工液として使用してもよい。塗工液は、水、水と水溶性有機媒体(例えば、メタノール又はエタノール)の混合溶媒等の貧溶媒を含むことが好ましい。
ポリオレフィン多孔性基材上に、共重合体を含有する塗工液を塗工する方法についてはグラビアコーター塗工法やダイコーター塗工法が好ましい。
塗工後に塗工膜から溶媒を除去する方法については、多孔性基材及びポリマー層に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン多孔性基材を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、共重合体に対する貧溶媒に浸漬して当該共重合体を粒子状に凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータを含む。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のセパレータを含むこと以外の構成は、例えば、特開2018−92701号公報に記載されているように、従来知られているリチウムイオン二次電池と同様であってもよい。なお、上述した各種パラメータについては特に断りの無い限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[シードラテックス、実施例1〜27、及び比較例1〜6]
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、各表に示すモノマー、シードラテックス、分子量調整剤、及び重合開始剤を、各表に示す含有量で投入し、十分に攪拌した後、80℃に加温して重合を開始した。なお、各表の原材料名の略称と化学名称若しくは商品名との関係は表5に示す。
重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状重合体を含む混合物を得た。上記粒子状重合体Aを含む混合物を30℃以下まで冷却し、25%アンモニア水溶液を添加して、pH8である水分散液を得た。得られた粒子状重合体Aのガラス転移温度(Tg)、トルエン不溶分(%)の測定結果を各表に示す。各物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔Tgの評価方法〕
共重合体を含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=8.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。
乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、型番:DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は、下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分30℃の割合で降温。−50℃に到達後4分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線と、変曲点における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
〔トルエン不溶分〕
トルエン不溶分は、以下の方法にて測定した。すなわち、まず、得られた各粒子状共重合体の水分散液を、130℃、30分間乾燥させ、乾燥皮膜を得た。次に、得られた乾燥皮膜を0.5g取り、25℃のトルエン30mLに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせ、320SUSメッシュを用いて濾過し、メッシュの不通過分を130℃、1時間乾燥させた後、重量A(g)を測定した。測定したA(g)を用いて、下記式(1a)にてトルエン不溶分を算出した。
トルエン不溶分G(%)=A(g)/0.5(g)×100…(1a)
〔粒径(D50)〕
光散乱法による粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製MICROTRACTMUPA150)を用い、得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径(nm)を測定し、平均粒径とした。
〔剥離強度試験〕
得られた粒子状共重合体を用いて、以下のようにして剥離強度試験を行った。試験結果を各表に示す。
まず、各粒子状共重合体を0.5質量部、94.5質量部の水に均一に分散させて、塗布液を調整した。次に、各塗布液を、コロナ処理したポリエチレン多孔性基材の表面に、バーコーターを用いて、0.05g/m2となるように塗布した。その後、60℃において乾燥して水を除去した。このようにして多孔層(セパレータ)を形成した。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、正極の活物質塗布量は200g/m2、活物質嵩密度は2.80g/cm3になるようにした。
上記方法により得られた電極を幅15mm、長さ60mmに切断した。上記電極とセパレータとを重ねた後にアルミニウム箔を重ね、90℃、1MPaの条件で、5秒間プレスを行い、剥離強度試験用のサンプルとした。得られた試験用サンプルの基材と電極との間の90°剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、引張速度100mm/分で測定した。
Figure 2020070307
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Claims (8)

  1. ガラス転移温度(Tg)が15〜60℃であり、トルエン不溶分率が10〜90%である粒子状共重合体。
  2. (メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体と、不飽和カルボン酸単量体と、架橋性単量体とをモノマー単位として含む請求項1記載の粒子状共重合体。
  3. 前記架橋性単量体が、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有する単量体
    、エポキシ基含有ビニル単量体、メチロール基含有ビニル単量体、アルコキシメチル基含有ビニル単量体、及び加水分解性シリル基含有ビニル単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の粒子状共重合体。
  4. 粒径D50が200nm以上900nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒子状共重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子状共重合体を含むリチウムイオン二次電池用接着剤。
  6. 水と、無機フィラーと、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子状共重合体と、を含むリチウム二次電池多孔層用スラリー。
  7. 請求項6記載のリチウム二次電池多孔層用スラリーを乾燥する工程を含む、リチウム二次電池用多孔層の製造方法。
  8. 請求項6記載のリチウム二次電池多孔層用スラリーをセパレータ基材に塗布し、乾燥する工程を含む、リチウム二次電池用セパレータの製造方法。
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