JP2020067066A - エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】改質気筒及び通常気筒への燃料供給状態を特定の状態にすることにより、熱効率及び排ガス性状を改善し得るエンジンシステムを提供する。【解決手段】第2燃料供給部による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を、改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、第2燃料供給部によるすべての改質気筒40dへの総燃料供給量に対する第1燃料供給部によるすべての通常気筒40a、40b、40cへの総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する制御装置50を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて前記燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、少なくとも前記通常気筒へ導かれる前記燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる前記燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、前記改質気筒にて改質された前記改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステム、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて前記燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、前記燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を備える外部出力エンジンを備え、前記通常気筒へ導かれる前記燃料を供給する第3燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる前記燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、前記改質気筒にて改質された前記改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステム、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、当該改質気筒とは別に通常気筒を備え、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、前記改質気筒にて改質された前記改質ガスが導かれる通常気筒を備えるエンジンシステム、
及び燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、当該改質気筒とは別に通常気筒を備える外部出力エンジンを有し、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムに関する。
従来、エンジンシステムとして、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を燃焼室にて部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも通常気筒へ導くものが知られている(特許文献1を参照)。
改質気筒では、例えば、メタンを主成分とする燃料を含む過濃混合気を部分酸化反応させることで、水素等の燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスを生成することができる。そして、当該改質ガスを通常気筒へ導くことで、例えば、通常気筒の燃焼室での火花伝播速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低下し、燃焼の安定性を改善できる。
特許文献1に開示の技術では、改質気筒の回転数を変更することで、改質気筒での空気過剰率を維持しながらも、1サイクルあたりでの通常気筒への改質ガスの供給量を制御することが開示されている。
特開2016−94930号公報
上記特許文献1に示すようなエンジンシステムでは、1サイクルあたりで通常気筒への改質ガスの供給量を変更する点については開示があるものの、改質気筒及び通常気筒への燃料供給状態が、エンジンシステムの熱効率や排ガス性状にどのように影響するかについては開示がなく、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、改質気筒及び通常気筒への燃料供給状態を特定の状態にすることにより、熱効率及び排ガス性状を改善するエンジンシステムを提供する点にある。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて前記燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、
少なくとも前記通常気筒へ導かれる前記燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる前記燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒にて改質された前記改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、前記改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
前記第2燃料供給部によるすべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する前記第1燃料供給部によるすべての前記通常気筒への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する制御装置を備える点にある。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて前記燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、前記燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を備える外部出力エンジンを備え、
前記通常気筒へ導かれる前記燃料を供給する第3燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる前記燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒にて改質された前記改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、前記改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
前記第2燃料供給部によるすべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する前記第3燃料供給部によるすべての前記通常気筒への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する制御装置を備える点にある。
本発明の発明者らは、検討を進めることにより、総燃料供給量一定の下、改質気筒からの改質ガスを通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムにおいて、すべての改質気筒への燃料供給量に対するすべての通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行することで、図2に示すように、燃料比を低下するほど、通常気筒からの排ガスの低NOx化を図ることができると共に、熱効率(図示熱効率及び正味熱効率)の向上を図ることができるという知見を見出した。
説明を追加すると、燃料比を低下するほど、通常気筒での燃焼熱量が低下するため、排ガスのNOx濃度が高くなる空気過剰率が1近傍(例えば、1.0以上1.5以下の値)での燃焼温度が低下し、NOxの発生が低下できると考えられる。
一方、熱効率の向上については、燃料比が低下するほど、改質気筒の出力に対する通常気筒での出力の比である出力比が大きくなるため、一のエンジンに改質気筒と通常気筒との双方を有する場合には機械損失が大きくなるものの、燃料比が低下するほど、改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さい側へ以降することで、改質ガス中の水素等の燃焼促進性ガスの割合が増え、通常気筒での燃焼が促進され、また、燃焼効率を向上できるため、熱効率を向上できると考えられる。
しかしながら、改質気筒への燃料供給量に対する通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を単純に低下するのみでは、特に通常気筒での図示平均有効圧の変動係数(COV of IMEP)が増大し、燃焼の安定性が低下し、失火等が発生してストールする危険性が高まる。
そこで、本発明にあっては、改質気筒における空気過剰率を改質ガスが生成する所定の範囲で変動制御している。つまり、改質気筒における空気過剰率を一定の値に固定するのではなく、所定の範囲で変動制御することにより、各気筒における図示平均有効圧の変動係数を低い値に維持でき、安定した燃焼を維持しながらも、低NOx化及び熱効率の向上を良好に図ることができる。
特に、改質気筒を有する改質エンジンとは別に、通常気筒を有する外部出力エンジンを備える場合には、改質気筒での出力に対する通常気筒での出力の比である出力比が大きい場合であっても、出力比由来の機械損失が発生しないため、より一層、熱効率の向上を見込むことができる。
エンジンシステムとしては、
前記制御装置は、前記通常気筒から排出される排ガスのNOx濃度を低下させる場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行することが好ましい。
特に、給気温度を計測する給気温度計測手段を備え、
前記制御装置は、前記給気温度計測手段にて計測される給気温度が、前記通常気筒から排出される排ガスのNOx濃度を低下させる判定を行うNOx低下判定閾値を超える場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行することが好ましい。
上記特徴構成によれば、制御装置は、例えば、給気温度が上昇し、燃焼室における燃焼のピーク温度が上昇し、それに伴うサーマルNOxの発生量が高くなる可能性が高い場合に、改質気筒での空気過剰率変動制御を実行すると共に、燃料比低下制御を実行することで、NOxの発生量を抑制できる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、熱効率を向上させる場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行する点にある。
上述したように、制御装置が、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行する場合には、改質気筒での出力に対する通常気筒での出力の比である出力比が大きくなるため、エンジンの振動が大きくなり、それに伴うエンジンの損傷が発生する虞がある。
上記特徴構成によれば、熱効率を向上する場合にのみ、空気過剰率変動制御を実行している状態で燃料比低下制御を実行するから、エンジンに損傷が発生する虞を低下しつつも、必要な場合には、効率向上を図ることができる制御が実現できる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記通常気筒における筒内圧力を計測する筒内圧力計測手段を備え、
前記制御装置は、前記燃料比低下制御において、前記筒内圧力計測手段により計測された筒内圧力の変動係数が前記通常気筒での燃焼が安定している場合の前記変動係数の範囲である安定燃焼範囲に維持できる下限燃料比まで、前記燃料比を低下させる点にある。
上記特徴構成によれば、制御装置は、改質気筒への燃料供給量に対する通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を低下するのに際し、通常気筒での図示平均有効圧の変動係数が、その燃焼室での燃焼の安定が維持できる範囲となるように、燃料比を低下するから、エンジンのストールを好適に防止しながらも、低NOx化及び熱効率の向上を図ることができる制御を実現できる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御による前記燃料比を0.0以上0.50以下に制御する点にある。
制御装置は、エンジンの燃焼状態が安定している場合には、改質気筒への燃料供給量に対する通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を0.0以上0.50以下とすることが好ましい。
本発明の発明者らは、後述する試験結果により、燃料比を0.0以上0.50以下に制御することで、燃料比を0.50を超える値に制御する場合に比べ、図2のグラフ図に示すように、熱効率を最大まで高めることができると共に、NOx濃度を零近傍まで抑制できることを確認している。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、当該改質気筒とは別に通常気筒を備え、
前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されているエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、前記改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
前記通常気筒へ前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転を実行する制御装置を備える点にある。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、当該改質気筒とは別に通常気筒を備える外部出力エンジンを有し、
前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、
前記改質気筒にて改質された前記改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、前記改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
前記通常気筒へ前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転を実行する制御装置を備える点にある。
これまで説明してきたように、本発明の発明者らは、検討を進めることにより、改質気筒からの改質ガスを通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムにおいて、すべての改質気筒への燃料供給量に対するすべての通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行することで、図2に示すように、燃料比を低下するほど、通常気筒からの排ガスの低NOx化を図ることができると共に、熱効率(図示熱効率及び正味熱効率)の向上を図ることができるという知見を見出した。
上記特徴構成においては、上記知見に基づいて、通常気筒へ燃料を供給する燃料供給機構を省略して構成の簡素化を図ったシステムを採用し、通常気筒へ前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転を実行することで、燃料比が零の状態で燃料供給を実行して、エンジンを良好に運転することができると共に、低NOx化を図りつつ、熱効率の向上を図ることができる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記燃料は、メタンを主成分とする炭化水素ガスであり、
前記空気過剰率変動制御は、前記通常気筒と前記改質気筒との総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整すると共に、前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を0.55以上0.95以下の範囲で変動制御する点にある。
例えば、燃料としてメタンを主成分とする炭化水素ガスを用いる場合、空気過剰率変動制御として、通常気筒と改質気筒との総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整すると共に、第2燃料供給部による燃料供給量を調整して改質気筒における空気過剰率を0.55以上0.95以下の範囲で変動制御している状態で、燃料比低下制御を実行することで、各気筒での燃焼を比較的安定させながらも、通常気筒からの排ガスのNOx濃度を目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)以下に維持しつつ、エンジンシステム全体としての効率の最大化を図ることができる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記制御装置は、起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行する点にある。
上記特徴構成の如く、通常気筒へ直接燃料を供給しない構成にあっては、起動時は、セルモータによるアシスト運転をする構成が考えられるが、例えば、改質気筒へ導かれる新気の流量を増加することで、改質気筒の出力の一時的な増大を図ることで、起動時のエンジンシステムの安定性をより向上させることができる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記空気過剰率変動制御では、前記通常気筒と前記改質気筒との総空気過剰率を1以上1.5以下の範囲で変動制御する点にある。
空気過剰率変動制御として、通常気筒と改質気筒との総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整することで、各気筒での燃焼を比較的安定させながらも、これまで説明してきたエンジンシステムの奏する作用効果を良好に発揮することができる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記改質気筒から排出される改質ガスが通流する改質ガス通流路に、改質ガスを冷却するインタークーラを備えると共に、前記インタークーラによる冷却により生じる凝縮水を改質ガス通流路から排出する凝縮水排出部を備える点にある。
上記特徴構成によれば、改質気筒にて生成された改質ガスを冷却するインタークーラを備えることで、冷却された改質ガスを受け入れる通常気筒での燃焼ピーク温度を低下させ、サーマルNOxの発生量を低下できる。
更に、凝縮水排出部が、インタークーラの冷却により生じる凝縮水を改質ガス通流路から外部へ良好に排出して、当該改質ガス通流路の内壁の凝縮水による腐食を防止できる。
エンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記改質気筒へ導かれる燃焼用空気のみを過給する過給機構を備える点にある。
本発明の発明者らは、後述の〔発明を実施するための形態〕にて詳述するように、特に、本発明の如く燃料比低減制御を実行して燃料比を低下させる状況においては、通常気筒と改質気筒との双方へ導かれる燃焼用空気を過給する場合に比して、改質気筒へ導かれる燃焼用空気のみを過給することで、エンジンシステム全体としての負荷、即ち、通常気筒と改質気筒とを合わせた全体の負荷を高くすることができることを化学計算により確かめている。
第1実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図 第1実施形態に係るエンジンシステムにおいて、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行した場合における熱効率、通常気筒からの排ガスのNOx濃度、通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図 第1実施形態に係るエンジンシステムにおいて、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行した場合における通常気筒及び改質気筒での図示平均有効圧の変動係数の変化を示すグラフ図 第2実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図 従来のエンジンシステムの制御方法において、改質気筒と通常気筒とを合わせた空気過剰率を1.0以上0.5以下に維持しつつ、改質気筒での空気過剰率を一定(0.75)に維持した状態で、改質気筒への燃料供給量に対する通常気筒への燃料供給量の比である燃料比を変更させた場合における熱効率の変化、及び通常気筒からの排ガスのNOx濃度の変化を示すグラフ図 従来のエンジンシステムの制御方法で燃料比を2.0に固定した場合において、熱効率、NOx濃度、及び通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図 従来のエンジンシステムの制御方法で燃料比を0.5に固定した場合において、熱効率、NOx濃度、及び通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図 別実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図 別実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図 改質気筒の空気過剰率と改質気筒のCOV of IMEPとの関係を示すグラフ図 改質気筒の空気過剰率とシステム全体での熱勘定との関係を示すグラフ図 燃料比毎における総空気過剰率と正味熱効率との関係を示すグラフ図 燃料比毎における総空気過剰率と図示熱効率との関係を示すグラフ図 総空気過剰率とシステム全体の熱勘定との関係を示すグラフ図 改質気筒の空気過剰率が一定(0.64)の場合における総空気過剰率と熱効率との関係を示すグラフ図 改質気筒の空気過剰率が一定(0.64)の場合における総空気過剰率と通常気筒のCOV of IMEPとの関係を示すグラフ図 総空気過剰率とシステム全体での熱勘定との関係を示すグラフ図
本発明の実施形態に係るエンジンシステム100、200は、改質気筒及び通常気筒への燃料供給状態を適切に制御することにより、熱効率及び排ガス性状を改善し得るものである。以下、当該エンジンシステム100、200について、図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るエンジンシステム100は、図1に示すように、エンジン本体40に、都市ガス13A等(メタンを主成分とする炭化水素ガスの一例)の燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mを燃焼する通常気筒40a、40b、40cと、混合気Mの少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒40dとを備え、通常気筒40a、40b、40cへ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、改質気筒40dへ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを、少なくとも通常気筒40a、40b、40cへ導く(当該第1実施形態では通常気筒40a、40b、40cのみへ導く)ものである。
以下、図1に基づいて、第1実施形態に係るエンジンシステム100について説明する。
当該第1実施形態のエンジンシステム100は、ターボ過給式エンジンとして構成されており、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では3つ)の通常気筒40a、40b、40cと、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では1つ)の改質気筒40dとを備えている。更には、エンジンの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいてターボ過給式エンジンの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
この種のエンジンシステム100は、詳細な図示は省略するが、給気本管20から通常気筒40a、40b、40cの燃焼室(図示せず)へ給気弁(図示せず)を介して給気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグ(図示せず)にて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒40a、40b、40cの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路27に押し出され、外部へ排出される。
尚、詳細については後述するが、給気本管20から供給される燃焼用空気Aは、改質気筒用給気支管20dを通じて改質気筒40dにも供給され、改質気筒40dでもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒40dにて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して給気本管20へ戻され、通常気筒40a、40b、40cへ導かれることとなる。
給気本管20には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ21、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ14、開度調整により通常気筒40a、40b、40cへの混合気Mの給気量を調整可能な通常気筒用スロットル弁23が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、給気本管20において、ミキサ14で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、通常気筒用スロットル弁23を介して所定の流量に調整されて、通常気筒40a、40b、40cの燃焼室へ導入される。
給気本管20からミキサ14の上流側で分岐する改質気筒用給気支管20dには、燃焼用空気Aを圧縮する過給機30としてのコンプレッサ31、当該コンプレッサ31の昇圧により昇温した燃焼用空気Aを冷却するインタークーラ22、開度調整により改質気筒40dへの混合気Mの給気量を調整可能な改質気筒用スロットル弁25、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ16が、その上流側から記載の順に設けられている。
ミキサ14に燃料Fを導く第1燃料供給路11には、ミキサ14の上流側の給気本管20における燃焼用空気Aの圧力と第1燃料供給路11における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ12、ミキサ14を介して通常気筒40a、40b、40cの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第1燃料流量制御弁13が設けられている。即ち、第1燃料供給路11、差圧レギュレータ12、ミキサ14、及び第1燃料流量制御弁13が、第1燃料供給部として機能する。
過給機30(過給機構の一例)は、通常気筒40a、40b、40cに接続される排気路27に設けられるタービン32に、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEを供給し、タービン32に連結される状態で改質気筒用給気支管20dに設けられるコンプレッサ31により、改質気筒40dの燃焼室に給気される混合気Mを圧縮するターボ式の過給機30として構成されている。即ち、当該過給機30は、排気路27を通流する排ガスEの運動エネルギによりタービン32を回転させ、当該タービン32の回転力により改質気筒用給気支管20dを通流する燃焼用空気Aを圧縮して、改質気筒40dの燃焼室へ供給する、所謂、過給を行う。
つまり、当該第1実施形態においては、過給機30は、改質気筒40dへ導かれる燃焼用空気Aのみを過給する。
給気本管20は、エアクリーナ21の下流側において、通常気筒40a、40b、40cの夫々へ燃焼用空気A1を導く複数の通常気筒用給気支管20a、20b、20cに接続される給気本管20と、改質気筒40dへ燃焼用空気Aを導く改質気筒用給気支管20dに分岐されている。
改質気筒40dは、自身の燃焼室において、新気の一部を部分酸化反応させて、燃料F(例えば、メタン)よりも燃焼速度の速い水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスKを生成するように構成されている。ここで、水素は、メタン及び空気を混合して燃焼する場合、空気過剰率が1より小さい燃料過濃領域に、その発生量のピークがあることが知られている。
そこで、当該第1実施形態にあっては、改質気筒40dの燃料室において燃料過濃状態で混合気を燃焼させるべく、改質気筒40dへ新気を供給する改質気筒用給気支管20dに、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第2燃料供給路29が接続されており、当該第2燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁15が設けられている。第2燃料供給路29の第2燃料流量制御弁15の上流側には、燃料Fの供給圧を給気本管20のコンプレッサ31出口の過給圧まで昇圧するべく、圧縮機(図示せず)等が設けられている。
更に、改質気筒40dには、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、給気本管20の通常気筒用スロットル弁23の下流側に接続されている。即ち、当該第1実施形態にあっては、改質ガスKは、そのすべてが通常気筒40a、40b、40cに導かれるように構成されている。
制御装置50は、改質気筒40dへの新気の空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する。つまり、第2燃料供給路29、ミキサ16、及び第2燃料流量制御弁15が、第2燃料供給部として機能する。
エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部41として、回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサが設けられている。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部41として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁13、第2燃料流量制御弁15、通常気筒用スロットル弁23、並びに改質気筒用スロットル弁25の開度を制御する。
すべての通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dには、運転状態検出部41として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサ(筒内圧力計測手段の一例)が設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度を計測する給気温度センサ(図示せず:給気温度計測手段の一例)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
さて、当該実施形態に係るエンジンシステム100は、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとを備えたエンジンシステムにおいて、熱効率を向上させると共に排ガス性状を改善させるべく、以下の制御を実行する。
制御装置50は、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15によるすべての改質気筒40d(当該第1実施形態では1気筒)への総燃料供給量に対する第1燃料供給部としての第1燃料流量制御弁13によるすべての通常気筒40a、40b、40c(当該第1実施形態では3気筒)への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する。
尚、空気過剰率変動制御では、燃料としてメタンを主成分とする炭化水素ガスを用いる場合、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整すると共に、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を0.55以上0.95以下(より好ましくは、0.60以上0.90以下)の範囲で変動制御することが好ましい。
これにより、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEのNOx濃度を目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)以下に維持すると共にシステム全体の効率の最大化を図ることができる。
ここで、これまでの発明者らの研究により、改質気筒の空気過剰率を小さくすることで、燃焼促進性ガス(H、CO)の割合が増え高効率化することが明らかになってきている。メタンを主成分とする都市ガスでは、改質気筒の空気過剰率は0.95以下とした。
一方で、改質気筒の空気過剰率をどこまで小さくすることが好ましいかについて明らかでない中、メタンが主な成分の都市ガスにおいて、行った試験結果について以下に説明する。
尚、行った試験は、試験の都合上、通常気筒が2気筒で、改質気筒が1気筒のエンジンを用いて取得している。
図10は、通常気筒と改質気筒との総空気過剰率を1.0に制御しつつ、改質気筒の空気過剰率を徐々に低減した場合の試験結果を示すものである。
ここで、図10から、改質気筒の空気過剰率を小さくし過ぎると、燃焼の不安定度が高くなることが判る。更に、空気過剰率を小さくすると失火し運転できないことが試験から明らかになっている。更に、図11に示すように、改質気筒の空気過剰率を小さくすると、わずかながら正味熱効率も下がることが判っている。以上の試験結果より、改質気筒の空気過剰率の下限は0.55とした。
通常気筒と改質気筒との総空気過剰率は、1.0未満の場合に未燃損失が急増することは明らかであるので、1.0以上に設定する。
一方、総空気過剰率の上限について、図12〜14に基づいて説明する。図12〜14の試験は、総燃料流量を一定に制御の下、燃料比及び総空気過剰率を変化させた場合の試験である。
図12に示すように、燃料比が0の場合の正味熱効率から、正味熱効率は、総空気過剰率が大凡1.1で最も高い値を示すことがわかる。更に、通常気筒の燃料比が高くなるにつれ、正味熱効率のピークは、総空気過剰率が大凡1.2へシフトする。即ち、当該試験結果から、正味熱効率を高くする観点からは、総空気過剰率は、燃料比に応じて制御することが好ましいといえる。
これに対し、図示熱効率は、図13に示すように、総空気過剰率が大きいほど高くなっていることがわかる。総空気過剰率が大きくなるに従って、図示熱効率が高くなるが正味熱効率が低くなる理由のひとつは、図14に示すように機械損失の増加によるものである。従って、機械効率が向上した場合、総空気過剰率1.22より高い空気過剰率で運転することが好ましくなる。これにより、メタンを主成分とする都市ガスでは、総空気過剰率を1.5以下とする。
図2、3は、制御装置50が上述の空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行した場合の結果を示すグラフ図であり、図2は、熱効率(図示熱効率、正味熱効率)、通常気筒からの排ガスのNOx濃度、通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図であり、図3は、通常気筒及び改質気筒における図示平均有効圧(筒内圧力の一例)の変動係数の変化を示すグラフ図である。
尚、図2、3の試験データは、試験の都合上、通常気筒が2気筒で、改質気筒が1気筒のエンジンを用いて取得している。
図2の試験結果から判明するように、燃料比を2.0から0.0へ向けて徐々に低下するに従って、図示熱効率及び正味熱効率が向上していると共に、NOx濃度が低下していることがわかる。尚、NOx濃度に関しては、燃料比が0.5未満では、25ppm以下に抑制することができており、図2に示す目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)を大幅に下回っていることがわかる。また、通常気筒からの排ガスの温度も燃料比の低下に伴って低下していることから、燃料比の低下に伴ってサーマルNOxの発生量が低下していると考えられる。
更に、図3の試験結果から判明するように、燃料比を2.0から0.0へ向けて徐々に低下しても、図示平均有効圧の変動係数は、すべての気筒において、2.5未満の十分に小さい値を示しており、安定した燃焼を実現できていると言える。
〔従来技術における試験結果〕
これに対し、以下に従来技術の制御を用いた場合の試験結果を図5〜7に示す。尚、図5〜7の試験データは、図2、3に示した試験データと同様に、通常気筒が2気筒で、改質気筒が1気筒のエンジンを用いて取得している。
図5は、従来のエンジンシステムの制御方法において、改質気筒と通常気筒とを合わせた空気過剰率を量論近傍に維持しつつ改質気筒での空気過剰率を一定(0.75)に維持した状態で、1気筒の改質気筒への総燃料供給量に対する2気筒の通常気筒に対する総燃料供給量の比である燃料比を2.0から0.0へ向けて徐々に低下させた場合における熱効率の変化、及び通常気筒からの排ガスのNOx濃度の変化を示すグラフ図である。
当該試験の如く、改質気筒の空気過剰率を一定(0.75)に維持した場合、燃料比が0.50を下回ったあたりで、通常気筒での図示平均有効圧の変動係数が4を超える程度に燃焼が不安定となり、それより燃料比を低下することが困難となった。
このことから、熱効率の向上及び低NOx化の効果を発揮するべく、燃料比を十分に低下させるためには、本実施形態の空気過剰率変動制御を行うことが必要であると考えられる。
次に、図6に、従来のエンジンシステムの制御方法で、燃料比を2.0に固定した場合において、熱効率、NOx濃度、及び通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図を示し、図7に、従来のエンジンシステムの制御方法で、燃料比を0.5に固定した場合において、熱効率、NOx濃度、及び通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図を示す。
図6、7の何れにおいても、改質気筒の空気過剰率の低下に伴って、熱効率については図示熱効率及び正味熱効率に上昇傾向はみられず、またNOx濃度は上昇してしまっている。このことから、熱効率の向上及び低NOx化を図るためには、本実施形態の燃料比低下制御が必要であると考えられる。
以上の知見により、当該実施形態に係る制御装置50は、例えば、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの出力差に起因する機械損失を許容して、熱効率の向上を優先する場合、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行する。
尚、図5は、改質気筒での空気過剰率を固定している場合であるが、この場合、燃料比を1.0にしているときに、正味熱効率が最大(25.24%)となっている。これは、NOx低減が必要ない場合(目標値に対して裕度が有る場合)、通常気筒へも燃料供給したほうが機械損失を低減でき、全体での熱効率向上が見込めることを意味している。
また、制御装置50は、例えば、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの出力差に起因する機械損失を許容して、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスへのNOx濃度を低下させる場合、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行する。
例えば、給気温度が上昇し、各気筒での燃焼ピーク温度が上昇するときには、サーマルNOxの発生量が増加する傾向にある。そこで、制御装置50は、給気温度センサ(図示せず)により計測される給気温度がNOx低下判定閾値(例えば、80℃程度の温度)を超える場合、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行する。
これにより、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスのNOx濃度の上昇が予想される環境において、良好にNOx濃度の抑制を図ることができる。
尚、当該実施形態のエンジンシステム100にあっては、改質ガス通流路28に、改質ガスKを冷却するインタークーラ42を備えると共に、当該インタークーラ42による冷却により生じる凝縮水を改質ガス通流路28から排出する凝縮水排出部(図示せず)を備えている。当該構成により、改質ガスKを降温でき、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼ピーク温度を低下でき、サーマルNOxの発生量を低下できる。また、凝縮水排出部から、インタークーラ42にて凝縮した凝縮水を、改質ガス通流路28の内部から外部へ排出でき、凝縮水による改質ガス通流路28内壁の腐食を防止することができる。
さて、燃料比低下制御に関し、説明を追加すると、制御装置50は、空気過剰率変動制御を実行している状態で、燃料比低下制御を実行する際に、運転状態検出部41としての筒内圧力センサにより計測された通常気筒40a、40b、40cの図示平均有効圧(筒内圧力の一例)の変動係数が、通常気筒での燃焼が安定している場合の変動係数の範囲である安定燃焼範囲(例えば、0.0以上3.0以下の範囲)に維持できる下限燃料比まで燃料比を低下させる。
上述の図2、3に示す試験データからは、燃料比低下制御では、燃料比を0に近づけるほど、熱効率の向上と低NOx化を見込むことができる。しかしながら、燃料ガスの熱量の変動等の様々な外的要因により、燃料比を0に近づけていく場合に、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼が不安定になる場合がある。
このような場合には、制御装置50は、燃料比を上述の下限燃料比まで低下させる形態で、燃料比低下制御を実行する。
さて、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、過給機30が、改質気筒40dへ導かれる燃焼用空気Aのみを過給する構成を示したが、当該構成をとる理由を以下で説明する。
以下では、通常気筒が3気筒で、改質気筒が1気筒であり、燃料はメタンを主成分とする炭化水素ガスである場合における化学計算を行った例を示す。前提条件として、改質気筒の空気過剰率を0.6とし、通常気筒での空気比(mol/mol)を10.74とし、無過給で各気筒に入る物質量を100.8molとする。尚、当該計算例においては、小数点3以下を四捨五入している。また、燃料比低減制御において燃料比は零に制御されているものとする。
まず、無過給の場合についての計算結果を示す。
改質気筒の燃料割合100%で、無過給において改質気筒で最も改質ガスを生成する場合、燃料、燃焼用空気、燃料と燃焼用空気と混合気の合計の物質量は、以下の〔表1〕のようになる。ここで、上記前提条件の場合、改質気筒の排ガス量は、改質気筒へ流入する混合気の大凡1.12倍になることが、実験と詳細化学計算により判明しており、改質ガスの物質量は、113.27molとなり、当該改質ガスを、3つの通常気筒へ送り、不足している空気を追加して量論燃焼すると、以下の〔表2〕のようになる。尚、上述の前提条件にて示すように、燃料比が零のため、ここでは、通常気筒へ直接燃料は供給されない。〔表2〕から判明するように、各気筒へ無過給で流入可能な物質量100.8molに対し、各通常気筒への流入混合気量は、57.15molとなり、通常気筒では、体積的に不足が生じることになる。
そこで、改質気筒のみを過給する場合、以下の〔表3〕に示すように、改質気筒に177.78molの混合気が過給されるとする。当該値は、過給圧を通常の給気圧の大凡2倍であるとした場合に想定される値である。当該改質気筒にて生成された改質ガスを、3つの通常気筒へ送り、無過給で不足している空気を追加すると、〔表4〕に示すように、通常気筒で最も改質ガスを含んで燃焼することができ、最大負荷に対応した出力を発揮できる。
一方、通常気筒に導かれる燃焼用空気を過給する場合、上記前提条件の空気比を通常気筒にて実現するべく、改質気筒に191.7molより多い過給を行う必要があり、また各気筒それぞれに過給器を具備するなどと構成が複雑になるため、当該実施形態では、改質気筒へ導かれる燃焼用空気のみを過給しているのである。
Figure 2020067066
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〔第2実施形態〕
上記第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導く構成例を示した。
当該第2実施形態に係るエンジンシステム200は、図4に示すように、混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質気筒40dを有する改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる通常気筒80a、80b、80c、80dを有する外部出力エンジン200bを備えて構成されている。
尚、当該エンジンシステム200は、外部出力エンジン200bの運転状態を検出する運転状態検出部81としてのセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいて外部出力エンジン200bの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。即ち、当該第2実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aではなく外部出力エンジン200bの運転状態を積極的に検出するように構成されている。
第2実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aでは、第1実施形態に係るエンジンシステム100における通常気筒40a、40b、40cを、非改質気筒40a、40b、40cとし、通常気筒用給気支管20a、20b、20cを、非改質気筒用給気支管20a、20b、20cとする。
更に、当該第2実施形態に係るエンジンシステム200では、改質気筒40dにて生成された改質ガスKを、改質エンジン200aの給気本管20に戻さない構成、即ち、非改質気筒用給気支管20a、20b、20c、及びそれらが連結される非改質気筒40a、40b、40cには、改質ガスKが導かれない構成とする。
更に、当該第2実施形態に係るエンジンシステム200では、第1燃料供給部にて供給される燃料Fは、非改質気筒40a、40b、40cに加え、改質気筒40dへも導く構成とする。
当該第2実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aは、以上の点を除き、上述した第1実施形態に係るエンジンシステム100と実質的に同一の構成をしており、同一の制御を実行する。
以下、上記第1実施形態に係るエンジンシステム200と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
外部出力エンジン200bは、図4に示すように、給気本管70から通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室(図示せず)へ給気弁(図示せず)を介して給気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路に押し出され、外部へ排出される。
給気本管70には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ71、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ64、開度調整により通常気筒80a、80b、80c、80dへの混合気Mの給気量を調整可能なスロットル弁73が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、給気本管70において、ミキサ64で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、スロットル弁73を介して所定の流量に調整され、通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ導入される。
ミキサ64に燃料Fを導く第3燃料供給路61には、ミキサ64の上流側の給気本管70における燃焼用空気Aの圧力と第3燃料供給路61における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ62、ミキサ64を介して通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第3燃料流量制御弁63が設けられている。
つまり、第3燃料供給路61、ミキサ64、及び第3燃料流量制御弁63が、第3燃料供給部として機能する。
外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部81として、回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサが設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁73の開度を制御する。
更に、外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部81として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第2燃料流量制御弁15、第3燃料流量制御弁63、通常気筒用スロットル弁23、及びスロットル弁73の開度を制御する。
すべての通常気筒80a、80b、80c、80dには、運転状態検出部81として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサが設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度(外部出力エンジン200bの給気温度、又は改質エンジン200aの給気温度)を計測する給気温度センサ(図示せず)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
給気本管70は、スロットル弁73の下流側において、通常気筒80a、80b、80c、80dへ混合気Mを導く複数の給気支管70a、70b、70c、70dに接続されている。
当該給気本管70でスロットル弁73の下流側で、複数の給気支管70a、70b、70c、70dの上流側には、改質エンジン200aの改質気筒40dにて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の給気支管70a、70b、70c、70dのすべてに対して、改質ガスKが大凡同一流量で通流することになる。
以上の如く構成されたエンジンシステム200にあっては、熱効率を向上させると共に排ガス性状を改善させるべく、以下の制御を実行する。
制御装置50は、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15によるすべての改質気筒40d(当該第2実施形態では1気筒)への総燃料供給量に対する第3燃料供給部としての第3燃料流量制御弁63によるすべての通常気筒80a、80b、80c、80d(当該第2実施形態では4気筒)への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する。
尚、空気過剰率変動制御及び燃料比低下制御の詳細については、上記第1実施形態に係るエンジンシステム100と同一であるので、ここではその詳細な説明は割愛する。
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るエンジンシステム100は、図8に示すように、エンジン本体40に、都市ガス13A等(メタンを主成分とする炭化水素ガスの一例)の燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mの少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒40dを少なくとも1つ備え、当該改質気筒40dとは別に通常気筒40a、40b、40cを備え、改質気筒40dへ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを、少なくとも通常気筒40a、40b、40cへ導く(当該第3実施形態では通常気筒40a、40b、40cのみへ導く)ものである。
以下、図1に基づいて、第3実施形態に係るエンジンシステム100について説明する。
当該第3実施形態のエンジンシステム100は、ターボ過給式エンジンとして構成されており、少なくとも1つ以上(当該第3実施形態では3つ)の通常気筒40a、40b、40cと、少なくとも1つ以上(当該第3実施形態では1つ)の改質気筒40dとを備えている。更には、エンジンの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいてターボ過給式エンジンの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
この種のエンジンシステム100は、詳細な図示は省略するが、給気本管20から通常気筒40a、40b、40cの燃焼室(図示せず)へ給気弁(図示せず)を介して給気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグ(図示せず)にて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒40a、40b、40cの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路27に押し出され、外部へ排出される。
尚、詳細については後述するが、給気本管20から供給される燃焼用空気Aは、改質気筒用給気支管20dを通じて改質気筒40dにも供給され、改質気筒40dでもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒40dにて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して給気本管20へ戻され、通常気筒40a、40b、40cへ導かれることとなる。
給気本管20には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ21が設けられている。
給気本管20は、エアクリーナ21の下流側において、通常気筒40a、40b、40cの夫々へ燃焼用空気A1導く複数の通常気筒用給気支管20a、20b、20cに接続される給気本管20と、改質気筒40dへ燃焼用空気Aを導く改質気筒用給気支管20dに分岐されている。
給気本管20からエアクリーナ21の下流側で分岐する改質気筒用給気支管20dには、燃焼用空気Aを圧縮する過給機30としてのコンプレッサ31、当該コンプレッサ31の昇圧により昇温した燃焼用空気Aを冷却するインタークーラ22、開度調整により改質気筒40dへの混合気Mの給気量を調整可能な改質気筒用スロットル弁25、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ16が、その上流側から記載の順に設けられている。
過給機30(過給機構の一例)は、通常気筒40a、40b、40cに接続される排気路27に設けられるタービン32に、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEを供給し、タービン32に連結される状態で改質気筒用給気支管20dに設けられるコンプレッサ31により、改質気筒40dの燃焼室に給気される混合気Mを圧縮するターボ式の過給機30として構成されている。即ち、当該過給機30は、排気路27を通流する排ガスEの運動エネルギによりタービン32を回転させ、当該タービン32の回転力により改質気筒用給気支管20dを通流する燃焼用空気Aを圧縮して、改質気筒40dの燃焼室へ供給する、所謂、過給を行う。
つまり、当該第3実施形態においては、過給機30は、改質気筒40dへ導かれる燃焼用空気Aのみを過給する。
改質気筒40dは、自身の燃焼室において、新気の一部を部分酸化反応させて、燃料F(例えば、メタン)よりも燃焼速度の速い水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスKを生成するように構成されている。ここで、水素は、メタン及び空気を混合して燃焼する場合、空気過剰率が1より小さい燃料過濃領域に、その発生量のピークがあることが知られている。
そこで、当該第3実施形態にあっては、改質気筒40dの燃料室において燃料過濃状態で混合気を燃焼させるべく、改質気筒40dへ新気を供給する改質気筒用給気支管20dに、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第2燃料供給路29が接続されており、当該第2燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁15が設けられている。第2燃料供給路29の第2燃料流量制御弁15の上流側には、燃料Fの供給圧を給気本管20のコンプレッサ31出口の過給圧まで昇圧するべく、圧縮機(図示せず)等が設けられている。
更に、改質気筒40dには、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、給気本管20の通常気筒用スロットル弁23の下流側に接続されている。即ち、当該第3実施形態にあっては、改質ガスKは、そのすべてが通常気筒40a、40b、40cに導かれるように構成されている。
制御装置50は、改質気筒40dへの新気の空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する。つまり、第2燃料供給路29、ミキサ16、及び第2燃料流量制御弁15が、第2燃料供給部として機能する。
エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部41として、回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサが設けられている。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部41として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁13、第2燃料流量制御弁15、通常気筒用スロットル弁23、並びに改質気筒用スロットル弁25の開度を制御する。
すべての通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dには、運転状態検出部41として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサ(筒内圧力計測手段の一例)が設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度を計測する給気温度センサ(図示せず:給気温度計測手段の一例)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
さて、当該実施形態に係るエンジンシステム100は、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとを備えたエンジンシステムにおいて、熱効率を向上させると共に排ガス性状を改善させるべく、以下の制御を実行する。
制御装置50は、第2燃料供給部による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、通常気筒40a、40b、40cへ燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行する。即ち、当該第3実施形態においては、第2燃料供給部としての第2燃料流量制御弁15によるすべての改質気筒40d(当該第1実施形態では1気筒)への総燃料供給量に対するすべての通常気筒40a、40b、40c(当該第3実施形態では3気筒)への総燃料供給量の比である燃料比を零に維持された状態で、改質ガス運転が実行されることになる。
ただし、起動時にあっては、エンジンの運転を安定させるため、セルモータによるアシストを行うと共に、制御装置50は、改質ガス運転に先立って、改質気筒40dでの出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行することが好ましい。
尚、空気過剰率変動制御では、燃料としてメタンを主成分とする炭化水素ガスを用いる場合、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整すると共に、改質気筒40dにおける空気過剰率を0.55以上0.95以下(より好ましくは、0.60以上0.90以下)の範囲で変動制御することが好ましい。
これにより、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEのNOx濃度を目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)以下に維持すると共にシステム全体の効率の最大化を図ることができる。
通常気筒と改質気筒との総空気過剰率は、1.0未満の場合に未燃損失が急増することは明らかであるので、1.0以上に設定する。
一方、総空気過剰率の上限について、図15〜17に基づいて説明する。図15〜17の試験は、総燃料流量を一定で燃料比を零に制御の下、改質気筒の燃料量及び空気過剰率を一定に維持して、総空気過剰率を変化させた場合の試験である。
図15に示すように、燃料比が0の場合、図示熱効率のピークは、総空気過剰率が1.33のときである。しかしながら、当該試験は、試験設備の都合により、総空気過剰率が1.3未満のデータをは取得できておらず、現状の試験データの傾向から、図示熱効率のピークは1.3未満にあると考えられる。
一方、図16に示す試験結果から、総空気過剰率が大きくなるにつれ、通常気筒でのCOV of IMEPの値が高くなっていることが判明している。更に、図17に示す試験結果から、総空気過剰率の増加に伴い、機械損失と未燃損失は増加しているものの、ポンプ損失と冷却損失の低減が望める。従って、今後、一般的なエンジン技術の改良による燃焼改善により、更なる正味熱効率の改善が期待される。
以上より、総空気過剰率の上限は、1.5に設定している。
図2、3は、上述の燃料比を低下させる制御を実行した場合の結果を示すグラフ図であり、図2は、熱効率(図示熱効率、正味熱効率)、通常気筒からの排ガスのNOx濃度、通常気筒からの排ガス温度の変化を示すグラフ図であり、図3は、通常気筒及び改質気筒における図示平均有効圧(筒内圧力の一例)の変動係数の変化を示すグラフ図である。
尚、図2、3の試験データは、試験の都合上、通常気筒が2気筒で、改質気筒が1気筒のエンジンを用いて取得している。当該試験では、燃料比が零の値が、当該実施形態に係るエンジンシステム100での結果に対応する。
図2の試験結果から判明するように、燃料比が零の場合は、他の燃料比に比べて、図示熱効率及び正味熱効率が高い値を示していると共に、NOx濃度が低いことがわかる。尚、NOx濃度に関しては、図2に示す目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)を大幅に下回っていることがわかる。
更に、図3の試験結果から判明するように、燃料比が零の場合であっても、図示平均有効圧の変動係数は、すべての気筒において、2.5未満の十分に小さい値を示しており、安定した燃焼を実現できていると言える。
尚、当該実施形態のエンジンシステム100にあっては、改質ガス通流路28に、改質ガスKを冷却するインタークーラ42を備えると共に、当該インタークーラ42による冷却により生じる凝縮水を改質ガス通流路28から排出する凝縮水排出部(図示せず)を備えている。当該構成により、改質ガスKを降温でき、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼ピーク温度を低下でき、サーマルNOxの発生量を低下できる。また、凝縮水排出部から、インタークーラ42にて凝縮した凝縮水を、改質ガス通流路28の内部から外部へ排出でき、凝縮水による改質ガス通流路28内壁の腐食を防止することができる。
〔第4実施形態〕
上記第3実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導く構成例を示した。
当該第4実施形態に係るエンジンシステム200は、図9に示すように、混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質気筒40dを有する改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる通常気筒80a、80b、80c、80dを有する外部出力エンジン200bを備えて構成されている。
尚、当該エンジンシステム200は、外部出力エンジン200bの運転状態を検出する運転状態検出部81としてのセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいて外部出力エンジン200bの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。即ち、当該第4実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aではなく外部出力エンジン200bの運転状態を積極的に検出するように構成されている。
第4実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aでは、第3実施形態に係るエンジンシステム100における通常気筒40a、40b、40cを、非改質気筒40a、40b、40cとし、通常気筒用給気支管20a、20b、20cを、非改質気筒用給気支管20a、20b、20cとする。
更に、当該第4実施形態に係るエンジンシステム200では、改質気筒40dにて生成された改質ガスKを、改質エンジン200aの給気本管20に戻さない構成、即ち、非改質気筒用給気支管20a、20b、20c、及びそれらが連結される非改質気筒40a、40b、40cには、改質ガスKが導かれない構成とする。
更に、当該第4実施形態に係るエンジンシステム200では、第1燃料供給部にて供給される燃料Fは、非改質気筒40a、40b,40cに加え、改質気筒40dへも導く構成とする。
当該第4実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aは、以上の点を除き、上述した第3実施形態に係るエンジンシステム100と実質的に同一の構成をしており、同一の制御を実行する。
以下、上記第3実施形態に係るエンジンシステム200と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
外部出力エンジン200bは、図9に示すように、給気本管70から通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室(図示せず)へ給気弁(図示せず)を介して給気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路に押し出され、外部へ排出される。
給気本管70には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ71が設けられている。
外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部81として、回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサが設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁73の開度を制御する。
更に、外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部81として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第2燃料流量制御弁15、通常気筒用スロットル弁23、及びスロットル弁73の開度を制御する。
すべての通常気筒80a、80b、80c、80dには、運転状態検出部81として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサが設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度(外部出力エンジン200bの給気温度、又は改質エンジン200aの給気温度)を計測する給気温度センサ(図示せず)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
給気本管70は、スロットル弁73の下流側において、通常気筒80a、80b、80c、80dへ混合気Mを導く複数の給気支管70a、70b、70c、70dに接続されている。
当該給気本管70でスロットル弁73の下流側で、複数の給気支管70a、70b、70c、70dの上流側には、改質エンジン200aの改質気筒40dにて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の給気支管70a、70b、70c、70dのすべてに対して、改質ガスKが大凡同一流量で通流することになる。
以上の如く構成されたエンジンシステム200にあっては、熱効率を向上させると共に排ガス性状を改善させるべく、以下の制御を実行する。
制御装置50は、第2燃料供給部による燃料供給量を調整して改質気筒40dにおける空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、通常気筒80a、80b、80c、80dへ燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行する制御装置50を備える。即ち、当該第4実施形態においては、上記第3実施形態にて説明した燃料比が零に維持された状態で、改質ガス運転が実行されることになる。
尚、詳細な構成及び制御については、上記第3実施形態及び別実施形態と同一であるので、その説明を割愛する。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、排ガスへのNOx濃度を低下させる場合として、給気温度や触媒温度が、排ガスへのNOx濃度が高くなる虞があるNOx低下判定閾値を超える場合であることを例として説明した。
他の構成として、排ガスのNOx濃度を直接測定するNOxセンサを備え、当該NOxセンサの出力が、所定値(例えば、100ppm)を超えた場合を、「排ガスへのNOx濃度を低下させる場合」としても構わない。
また、NOx濃度を低下させる判断は、排ガス温度(排気路の触媒入口温度)に基づいて実行しても構わない。
(2)上記第1〜4実施形態において、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
ただし、第2、4実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aは、改質ガスKの生成用のエンジンであるので、改質気筒40dの数は、多いほうが好ましい。ただし、改質エンジン200aは、その軸出力を取り出して発電等に用いる構成としても良い。
また、第4実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aを改質気筒のみの構成としても構わない。当該構成を採用する場合、改質気筒40dへ新気を供給する改質気筒用給気支管20dには、ベンチュリー式のミキサ16、当該ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第2燃料供給路29、当該第2燃料供給路29において燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁15の何れも、設ける必要がない。
改質気筒には、第1燃料供給路11、差圧レギュレータ12、ミキサ14、及び第1燃料流量制御弁13が適切に働くことにより、燃料が供給され、改質ガスKが生成されることになる。即ち、第1燃料供給路11、差圧レギュレータ12、ミキサ14、及び第1燃料流量制御弁13が、第2燃料供給部として機能する。
また、当該構成を採用する場合には、エンジン200aからの改質ガスKはすべて外部出力エンジン200bへ導かれるため、過給機30は設けない構成が採用される。
(3)上記第3実施形態は、改質気筒40dの排気ポートに接続される改質ガス通流路28は、給気本管20に接続される構成を有すると共に、改質ガスKを、通常気筒40a、40b、40cのみに導く例を示した。
しかしながら、例えば、改質ガス通流路28は、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの双方に新気を供給する通常気筒用給気支管20a、20b、20cの夫々に接続される構成を採用しても構わない。
また、例えば、改質ガス通流路28は、改質気筒40dの排気ポートと、通常気筒40a、40b、40cに新気を供給する通常気筒用給気支管20a、20b、20cの1つ以上に接続される構成を採用しても構わない。
(4)上記第1〜4実施形態では、エンジンシステム100、200が過給機30を備える例を示したが、別に、当該過給機30を備えない構成であっても、本発明の目的は良好に達成される。
尚、上述の如く、過給機30を設けない構成にあっては、改質気筒用給気支管20dは、過給圧まで昇圧されていないため、第2燃料供給部としてミキサ16に供給される燃料Fの圧力を昇圧する必要がなく、昇圧のための圧縮機等を備えない簡易でコンパクトな構成にすることができる。ちなみに、この場合、ミキサ16から改質気筒用給気支管20dへ供給される燃料Fの圧力は、通常の給気圧力に設定される。
更に、上記第1〜4実施形態では、過給機30として、ターボ式のものを備える例を示したが、スーパーチャージャ式のものとしても構わない。
また、上記第1〜4実施形態では、過給機30として、単一のコンプレッサ31と単一のタービン32とを備える、所謂、一段過給の例を示したが、別に、二段以上の多段過給としても構わない。
(5)上記第2、4実施形態においては、単一の改質エンジン200aと単一の外部出力エンジン200bとを備える構成例を示したが、改質エンジン200aを複数備える構成や、外部出力エンジン200bを複数備える構成を採用することもできる。
(6)上記第2、4実施形態において、制御装置50は、単一の制御装置として示しているが、改質エンジン200a用の制御装置と、外部出力エンジン200bの制御装置とを、各別に備えることも可能である。
(7)上記第2実施形態においては、改質ガス通流路28が、給気本管70に接続される構成例を示した。しかしながら、当該改質ガス通流路28は、給気支管70a、70b、70c、70dの少なくとも1つ以上に接続される構成、即ち、通常気筒80a、80b、80c、80dの少なくとも1つ以上に改質ガスKが導かれる構成を採用しても構わない。
(8)上記第1〜4実施形態にあっては、エンジンの回転軸のトルクを直接測定する構成例を示したが、当該構成に替えて、例えば、スロットル開度やブースト圧などから回転軸のトルクを推定するトルク推定手段を備える構成を採用しても構わない。
(9)上記第1〜4実施形態にあっては、燃料Fは、都市ガス13Aとしたが、本発明の本質的意味からは、ガス燃料に限らずガソリン等の液体燃料であっても構わない。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明のエンジンシステムは、改質気筒及び通常気筒への燃料供給状態を特定の状態にすることにより、熱効率及び排ガス性状を改善し得るエンジンシステムとして、有効に利用可能である。
11 :第1燃料供給路
12 :差圧レギュレータ
13 :第1燃料流量制御弁
15 :第2燃料流量制御弁
16 :ミキサ
22 :インタークーラ
29 :第2燃料供給路
40a、40b、40c:通常気筒
40d :改質気筒
42 :インタークーラ
50 :制御装置
61 :第3燃料供給路
62 :差圧レギュレータ
63 :第3燃料流量制御弁
64 :ミキサ
80a、80b、80c、80d:通常気筒
100 :エンジンシステム
200 :エンジンシステム
200a :改質エンジン
200b :外部出力エンジン
A :燃焼用空気
E :排ガス
F :燃料
K :改質ガス
M :混合気

Claims (14)

  1. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、
    少なくとも前記通常気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
    前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムにおいて、
    前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
    前記第2燃料供給部によるすべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する前記第1燃料供給部によるすべての前記通常気筒への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する制御装置を備えるエンジンシステム。
  2. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を備える外部出力エンジンを備え、
    前記通常気筒へ導かれる燃料を供給する第3燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
    前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムにおいて、
    前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
    前記第2燃料供給部によるすべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する前記第3燃料供給部によるすべての前記通常気筒への総燃料供給量の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する制御装置を備えるエンジンシステム。
  3. 前記制御装置は、前記通常気筒から排出される排ガスのNOx濃度を低下させる場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行する請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  4. 給気温度を計測する給気温度計測手段を備え、
    前記制御装置は、前記給気温度計測手段にて計測される給気温度が、前記通常気筒から排出される排ガスのNOx濃度を低下させる判定を行うNOx低下判定閾値を超える場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行する請求項3に記載のエンジンシステム。
  5. 前記制御装置は、熱効率を向上させる場合に、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御を実行する請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  6. 前記通常気筒における筒内圧力を計測する筒内圧力計測手段を備え、
    前記制御装置は、前記燃料比低下制御において、前記筒内圧力計測手段により計測された筒内圧力の変動係数が前記通常気筒での燃焼が安定している場合の前記変動係数の範囲である安定燃焼範囲に維持できる下限燃料比まで、前記燃料比を低下させる請求項1〜5の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  7. 前記制御装置は、前記空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記燃料比低下制御による前記燃料比を0.0以上0.50以下に制御する請求項1〜6の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  8. 前記燃料は、メタンを主成分とする炭化水素ガスであり、
    前記空気過剰率変動制御は、前記通常気筒と前記改質気筒との総空気過剰率を1.0以上1.5以下に調整すると共に、前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を0.55以上0.95以下の範囲で変動制御する請求項1〜7の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  9. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、当該改質気筒とは別に通常気筒を備え、
    前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、
    前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されているエンジンシステムにおいて、
    前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
    前記通常気筒へ前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転を実行する制御装置を備えるエンジンシステム。
  10. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも1つ備えた改質エンジンを有すると共に、当該改質気筒とは別に通常気筒を備える外部出力エンジンを有し、
    前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部を備え、
    前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムにおいて、
    前記第2燃料供給部による燃料供給量を調整して前記改質気筒における空気過剰率を、改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、
    前記通常気筒へ前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転を実行する制御装置を備えるエンジンシステム。
  11. 前記制御装置は、起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行する請求項9又は10に記載のエンジンシステム。
  12. 前記空気過剰率変動制御では、前記通常気筒と前記改質気筒との総空気過剰率を1以上1.5以下の範囲で変動制御する請求項9〜11の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  13. 前記改質気筒から排出される改質ガスが通流する改質ガス通流路に、改質ガスを冷却するインタークーラを備えると共に、前記インタークーラによる冷却により生じる凝縮水を改質ガス通流路から排出する凝縮水排出部を備える請求項1〜12の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  14. 前記改質気筒へ導かれる燃焼用空気のみを過給する過給機構を備える請求項1又は9に記載のエンジンシステム。
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