JP7437878B2 - エンジンシステム - Google Patents
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Description
及び複数の気筒のうち少なくとも一部を、燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒として働かせることが可能な改質エンジンを有すると共に、複数の気筒のうち少なくとも一部を、前記改質気筒は別の通常気筒として働かせることが可能な外部出力エンジンを有し、前記改質気筒にて改質された改質ガスを前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムに関する。
改質気筒では、例えば、メタンを主成分とする燃料を含む過濃混合気を部分酸化反応させることで、水素等の燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスを生成することができる。そして、当該改質ガスを通常気筒へ導くことで、例えば、通常気筒の燃焼室での火花伝播速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低下し、燃焼の安定性を改善できる。
特許文献1に開示の技術では、通常気筒の出力に応じて燃料が供給される改質気筒の気筒数を変更し、又は、改質気筒の回転速度を変更することで、改質ガスの量を変更する点が開示されている。
複数の気筒のうち少なくとも一部を、燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒としても、前記改質気筒にて改質された改質ガスが導かれる通常気筒としても働かせることが可能なエンジンシステムであって、その特徴構成は、
定格負荷よりも低い部分負荷で運転を行う部分負荷運転を実行する場合に、改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積をすべての前記改質気筒の行程容積の和である改質気筒容積で除算した行程容積比が1より大きい値から1に近づくように、前記改質気筒容積を現時点の前記改質気筒容積より増加させる行程容積比制御を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、
複数の前記気筒のうち少なくとも1つを前記改質気筒として働かせ、少なくとも1つを改質ガスが導かれる前記通常気筒として働かせている場合に、前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、すべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒への改質ガスを除く総燃料供給量の比である燃料比を0.0以上0.50以下に制御する燃料比低下制御と、
前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記改質ガスが導かれる前記通常気筒へ、前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転と、
の何れか一方を実行するときに、前記行程容積比制御を実行し、且つ、
起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行する点にある。
複数の気筒のうち少なくとも一部を、燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒として働かせることが可能な改質エンジンを有すると共に、
複数の気筒のうち少なくとも一部を、前記改質気筒とは別の通常気筒として働かせることが可能な外部出力エンジンを有し、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記外部出力エンジンにおいて定格負荷よりも低い部分負荷で運転を行う部分負荷運転を実行する場合に、改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積をすべての前記改質気筒の行程容積の和である改質気筒容積で除算した行程容積比が1より大きい値から1に近づくように、前記改質気筒容積を現時点の前記改質気筒容積より増加させる行程容積比制御を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、
複数の前記気筒のうち少なくとも1つを前記改質気筒として働かせ、少なくとも1つを改質ガスが導かれる前記通常気筒として働かせている場合に、前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、すべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒への改質ガスを除く総燃料供給量の比である燃料比を0.0以上0.50以下に制御する燃料比低下制御と、
前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記改質ガスが導かれる前記通常気筒へ、前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転と、
の何れか一方を実行するときに、前記行程容積比制御を実行し、且つ、
起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行する点にある。
上記特徴構成によれば、制御装置が、すべての改質気筒の行程容積の和である改質気筒容積を増加させて、改質ガスが導かれるすべての通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積を、改質気筒容積で除算した行程容積比が1に近づくように制御する行程容積比制御を実行するから、夫々の気筒での燃焼熱量を同程度に近づけることができ、一般的に、燃焼熱量の比が出力比とほぼ同程度となることから、出力比を近づけて機械損失を低減できるエンジンシステムを実現できる。
前記改質気筒の行程容積と前記通常気筒の行程容積とが等しい構成において、
前記制御装置は、改質ガスが導かれる前記通常気筒の気筒数と前記改質気筒の気筒数とが等しくなるように前記行程容積比制御を実行することが好ましい。
以下に、実測値を基にした分子量ベースでの熱量計算の計算結果を示す。
この場合、通常気筒でのTHC、CO、H2の夫々の1cycle毎のmol量及び燃焼熱量は、それぞれ以下の〔表4〕~〔表6〕の通りと計算され、これらの値を合計すると、0.5250kJ/cycleとなる。
=1.015kJ/cycle
=0.4900kJ/cycle
前記行程容積比制御を実行する前の運転には、改質ガスが導かれない前記通常気筒のみの出力により運転する通常運転が含まれる点にある。
4気筒のエンジンの2つの気筒を改質気筒、残りの2つの気筒を通常気筒とし、改質気筒の空気過剰が0.6であるとき、以下の〔表7〕に示すように、すべての通常気筒に導かれる改質ガスの体積は、改質気筒に給気した燃料ガスと燃焼用空気の合計量の1.12倍であるという前提で、且つストイキ燃焼運転やリーン燃焼運転等の運転方式によって吸気損失以外で出力に影響するものがないと仮定した場合、当該運転において任意の回転数で最高トルクに達するのは、通常気筒の体積効率が100%となるときであり、このときに改質気筒に投入される燃料量は、9.450NLとなる。このとき、全気筒の気体充填率の平均(以下、体積効率と呼ぶ場合がある)は、0.794と計算される。
ただし、上述したように、当該燃料比低下制御を実行すると、通常気筒と改質気筒それぞれの出力の均衡が大きく崩れて機械損失が増大したり、リーン燃焼運転から改質気筒からの改質ガスを通常気筒へ導く運転へ移行する場合に体積効率が低下する場合がある。
そこで、本発明における行程容積比制御と共に当該燃料比低下制御を実行することで、燃料比低下制御のメリットを享受しつつ、機械損失の抑制や体積効率の向上を図ることができるエンジンシステムが達成される。
ただし、上述したように、当該改質ガス運転を実行すると、通常気筒と改質気筒と出力比の均衡が大きく崩れて機械損失が増大したり、リーン燃焼運転から改質気筒からの改質ガスを通常気筒へ導く運転へ移行する場合に体積効率が低下する場合がある。
そこで、本発明における行程容積比制御と共に当該燃料比低下制御を実行することで、燃料比低下制御のメリットを享受しつつ、機械損失の抑制や体積効率の向上を図ることができるエンジンシステムが達成される。
以下、図面に基づいて当該エンジンシステム100の構成を説明する。
第1実施形態に係るエンジンシステム100は、図1に示すように、複数の気筒40a、40b、40c、40dのうち少なくとも一部を、燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mの少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒と、当該改質気筒にて改質された改質ガスKが導かれる通常気筒との何れか一方として働かせることが可能に構成されている。
尚、当該第1実施形態では後述する構成により、複数の気筒としての第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c、第4気筒40dの何れかが、改質気筒又は改質ガスKが導かれる通常気筒として働くことになる。尚、当該第1実施形態においては、すべての気筒を、通常気筒として働かせることができ、この場合は、通常気筒には改質ガスKは導かれないことになる。
尚、詳細については後述するが、給気本管20から供給される燃焼用空気Aは、改質気筒用給気支管21を通じて改質気筒にも供給され、改質気筒でもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒にて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して給気本管20へ戻され、通常気筒へ導かれることとなる。
因みに、当該第1実施形態においては、給気本管20においてミキサ14で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mが、複数の気筒である第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c、第4気筒40dのすべてに導入可能に構成されている。
更に、第3気筒40cに連通接続される給気支管には第4開閉弁V4が設けられ、第4気筒40dに連通接続される給気支管には第5開閉弁V5が設けられており、第3気筒40cが通常気筒として機能する場合、第4開閉弁V4が開放状態に制御され、第4気筒40dが通常気筒として機能する場合、第5開閉弁V5が開放状態に制御され、それ以外の場合、第4開閉弁V4及び第5開閉弁V5は閉止状態に制御される。
つまり、当該第1実施形態においては、過給機30は、通常気筒へ導かれる燃焼用空気Aのみを過給する。
因みに、当該第1実施形態においては、第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c及び第4気筒40dの夫々に連通接続される排気支管が排気路27に接続されており、第3気筒40cと排気路27とを連通接続する排気支管には第7開閉弁V7が設けられており、第4気筒40dと排気路27とを連通接続する排気支管には第8開閉弁V8が設けられている。そして、第3気筒40cが通常気筒として機能する場合は第7開閉弁V7が開放状態に制御され、第4気筒40dが通常気筒として機能する場合は第8開閉弁V8が開放状態に制御され、それ以外の場合は第7開閉弁V7及び第8開閉弁V8は閉止状態に制御される。
因みに、排気路27にはタービン32をバイパスするバイパス流路27aが設けられると共に、排ガスEの流れをタービン32側とバイパス流路27aとで切り替える三方弁V11が設けられ、通常気筒を過給しない場合、排ガスEはバイパス流路27aを通流するよう三方弁V11が制御される。
そこで、当該第1実施形態にあっては、改質気筒の燃料室において燃料過濃状態で混合気を燃焼させるべく、改質気筒へ新気を供給する改質気筒用給気支管21に、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第1燃料供給路29が接続されており、当該第1燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第1燃料流量制御弁V3が設けられている。
因みに、当該第1実施形態においては、改質気筒用給気支管21は、ミキサ16の下流側において分岐して第3気筒40c及び第4気筒40dの夫々に連通接続しており、第3気筒40cに連通接続される給気支管には第6開閉弁V6が設けられている。第3気筒40cが改質気筒として機能する場合、第6開閉弁V6が開放状態に制御され、それ以外の場合、第6開閉弁V6は閉止状態に制御される。
尚、当該第1実施形態においては、第3気筒40cからの排気支管は、第7開閉弁V7の上流側で分岐して改質ガス通流路28に連通接続され、第4気筒40dからの排気支管は、第8開閉弁V8の上流側で分岐して改質ガス通流路28に連通接続されており、第3気筒40cと改質ガス通流路28とを連通接続する排気支管には第9開閉弁V9が設けられており、第4気筒40dと改質ガス通流路28とを連通接続する排気支管には第10開閉弁V10が設けられている。第3気筒40cが改質気筒として機能する場合、第9開閉弁V9が開放状態に制御され、第4気筒40dが改質気筒として機能する場合、第10開閉弁V10が開放状態に制御され、それ以外の場合、第9開閉弁V9及び第10開閉弁V10が閉止状態に制御される。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部41として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第2燃料流量制御弁V2、第1燃料流量制御弁V3、通常気筒用スロットル弁23、並びに改質気筒用スロットル弁25の開度を制御する。
すべての通常気筒、及び改質気筒には、運転状態検出部41として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度を計測する給気温度センサ(図示せず)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
制御装置50は、第1燃料流量制御弁V3による燃料供給量を調整して改質気筒における空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、第1燃料流量制御弁V3によるすべての改質気筒への総燃料供給量に対する第2燃料流量制御弁V2によるすべての通常気筒への総燃料供給量(改質ガスKを除く総燃料供給量)の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する。
そして、燃料比低下制御にて制御される燃料比は、0.0以上0.50以下に制御されることが好ましい。
これにより、通常気筒から排出される排ガスEのNOx濃度を目標値(自主基準として定める目標値で例えば、150ppm)以下に維持すると共にシステム全体の効率の向上を図ることができる。
例えば、制御装置50は、第4気筒40dを改質気筒として働かせると共に第1気筒40aと第2気筒40bと第3気筒40cを改質気筒からの改質ガスKが導かれる通常気筒として働かせている状態で、定格負荷運転から部分負荷運転へ切り替える場合、第3気筒40cを通常気筒から改質気筒に切り替える形態で、行程容積比制御を実行する。即ち、第3気筒40c及び第4気筒40dを改質気筒として働かせると共に、第1気筒40a及び第2気筒40bを通常気筒として働かせる。
当該行程容積比制御を実行する場合、制御装置50は、上述した燃料比低下制御を実行しつつ、給気支管において第4開閉弁V4を開放状態とすると共に第5開閉弁V5及び第6開閉弁V6を閉止状態とし、排気支管において第7開閉弁V7及び第10開閉弁V10を開放状態とすると共に第8開閉弁V8及び第9開閉弁V9を閉止状態としている状態から、給気支管において第6開閉弁V6開放状態とすると共に第4開閉弁V4及び第5開閉弁V5を閉止状態とし、排気支管において第9開閉弁V9及び第10開閉弁V10を開放状態とすると共に第7開閉弁V7及び第8開閉弁V8を閉止状態としている状態へ移行する。
当該行程容積比制御を実行することで、改質気筒と通常気筒との出力比を低減でき機械損失の低減を図ることができる。
因みに、制御装置50は、通常運転を実行している場合、排気路27を通流する排ガスEをバイパス流路27aに通流させてタービン32をバイパスさせるよう三方弁V11を制御すると共に、スロットル弁25を閉止状態とし且つ第1燃料流量制御弁V3を閉止状態とする。
制御装置50は、給気支管において第4開閉弁V4及び第5開閉弁V5を開放状態とすると共に第6開閉弁V6を閉止状態とし、排気支管において第7開閉弁V7及び第8開閉弁V8を開放状態とすると共に第9開閉弁V9及び第10開閉弁V10を閉止状態としている状態から、給気支管において第6開閉弁V6開放状態とすると共に第4開閉弁V4及び第5開閉弁V5を閉止状態とし、排気支管において第9開閉弁V9及び第10開閉弁V10を開放状態とすると共に第7開閉弁V7及び第8開閉弁V8を閉止状態としている状態へ移行する形で、行程容積比制御を実行する。
更に、制御装置50は、当該行程容積比制御を実行すると同時に、排気路27を通流する排ガスEがタービン32を通流するよう三方弁V11を制御すると共に、スロットル弁25を開放状態とし且つ第1燃料流量制御弁V3を開放状態として上述した燃料比低下制御を実行する。
上記第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒にて改質された改質ガスKを通常気筒へ導く構成例を示した。
当該第2実施形態に係るエンジンシステム200は、図2に示すように、混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質気筒を有する改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる通常気筒を有する外部出力エンジン200bを備えて構成されている。
第2実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aでは、複数の気筒のうち少なくとも一部を改質気筒としてはたかせることが可能であると共に、複数の気筒のうち改質気筒以外の気筒の少なくとも一部を改質ガスK以外の燃料を燃焼する非改質気筒とする。即ち、改質エンジン200aでは、改質気筒にて生成された改質ガスKを、改質エンジン200aの給気本管に戻さない構成とする。
更に、改質エンジン200aでは、第2燃料供給路11、差圧レギュレータV1、ミキサ14、及び第2燃料流量制御弁V2を介して供給される燃料Fは、非改質気筒に加え、改質気筒へも導く構成とする。
また、改質エンジン200aでは、詳細については後述するが、複数の気筒のうち改質気筒として働く気筒数を変更可能な構成を有しており、複数の気筒に連通接続される給気支管及び排気支管に係る構成が、上記第1実施形態に係るエンジンシステム100とは異なる。
以下、上記第1実施形態に係るエンジンシステム200と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
即ち、給気本管70において、ミキサ64で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、スロットル弁73を介して所定の流量に調整され、通常気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ導入される。
更に、外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、運転状態検出部81として、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサが設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁V3、第3燃料流量制御弁V42、通常気筒用スロットル弁23、及びスロットル弁73の開度を制御する。
すべての通常気筒80a、80b、80c、80dには、運転状態検出部81として、筒内圧力を検出する筒内圧力センサが設けられており、制御装置50は、当該筒内圧力センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。また、制御装置50は、給気温度(外部出力エンジン200bの給気温度、又は改質エンジン200aの給気温度)を計測する給気温度センサ(図示せず)の計測結果を取得可能に構成されており、当該給気温度センサの計測結果に基づいて、後述する各種制御を実行する。
当該給気本管70でスロットル弁73の下流側で、複数の給気支管の上流側には、改質エンジン200aの改質気筒にて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の給気支管のすべてに対して、改質ガスKが大凡同一流量で通流することになる。
改質エンジン200aでは、スロットル弁23の下流側で、給気本管20が、第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c及び第4気筒40dの夫々に連通接続する分岐支管に分岐しており、第1気筒40aに接続される給気支管には第21開閉弁V21が設けられ、第2気筒40bに接続される給気支管には第22開閉弁V22が設けられ、第3気筒40cに接続される給気支管には第23開閉弁V23が設けられている。
第4気筒40dに連通接続する給気支管には、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ16が設けられると共に、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第1燃料供給路29が接続されており、当該第1燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第1燃料流量制御弁V3が設けられている。第1燃料供給路29の第1燃料流量制御弁V3の上流側には、燃料Fの供給圧を給気本管20のコンプレッサ31出口の過給圧まで昇圧するべく、圧縮機(図示せず)等が設けられている。
第4気筒40dに連通接続する給気支管でミキサ16の下流側には、第1気筒40aに連通接続するすると共に第24開閉弁V24が設けられる給気支管と、第2気筒40bに連通接続するすると共に第25開閉弁V25が設けられる給気支管と、第3気筒40cに連通接続するすると共に第26開閉弁V26が設けられる給気支管とが設けられている。
第3気筒40c及び4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第21開閉弁V21と第22開閉弁V22と第26開閉弁V26が開放状態に制御されると共に第23開閉弁V23と第24開閉弁V24と第25開閉弁V25が閉止状態に制御される。
第2気筒40bと第3気筒40cと4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第21開閉弁V21と第25開閉弁V25と第26開閉弁V26が開放状態に制御されると共に第22開閉弁V22と第23開閉弁V23と第24開閉弁V24が閉止状態に制御される。
第1気筒40aと第2気筒40bと第3気筒40cと4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第24開閉弁V24と第25開閉弁V25と第26開閉弁V26が開放状態に制御されると共に第21開閉弁V21と第22開閉弁V22と第23開閉弁V23が閉止状態に制御される。
以上の構成により、改質エンジン200aは、少なくとも第4気筒40dが改質気筒として働くものとなる。当該改質気筒として働く第4気筒40dには、改質気筒にて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、外部出力エンジン200bの給気本管70のスロットル弁73の下流側に接続されており、改質ガスKは、そのすべてが外部出力エンジン200bの通常気筒80a、80b、80c、80dに導かれるように構成されている。
更に、第1気筒40aからの排気支管は、第27開閉弁V27の上流側で分岐して改質ガス通流路28に連通接続され、第2気筒40bからの排気支管は、第28開閉弁V28の上流側で分岐して改質ガス通流路28に連通接続され、第3気筒40cからの排気支管は、第29開閉弁V29の上流側で分岐して改質ガス通流路28に連通接続されている。更に、第1気筒40aと改質ガス通流路28とを連通接続する排気支管には第30開閉弁V30が設けられており、第2気筒40bと改質ガス通流路28とを連通接続する排気支管には第31開閉弁V31が設けられており、第3気筒40cと改質ガス通流路28とを連通接続する排気支管には第32開閉弁V32が設けられている。
第3気筒40c及び4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第27開閉弁V27と第28開閉弁V28と第32開閉弁V32が開放状態に制御されると共に第29開閉弁V29と第30開閉弁V30と第31開閉弁V31が閉止状態に制御される。
第2気筒40bと第3気筒40cと4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第27開閉弁V27と第31開閉弁V31と第32開閉弁V32が開放状態に制御されると共に第28開閉弁V28と第29開閉弁V29と第30開閉弁V30が閉止状態に制御される。
第1気筒40aと第2気筒40bと第3気筒40cと4気筒40dが改質気筒として気筒する場合、第30開閉弁V30と第31開閉弁V31と第32開閉弁V32が開放状態に制御されると共に第27開閉弁V27と第28開閉弁V28と第29開閉弁V29が閉止状態に制御される。
制御装置50は、第1燃料流量制御弁V3による燃料供給量を調整して改質気筒における空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、第1燃料流量制御弁V3によるすべての改質気筒への総燃料供給量に対する第2燃料流量制御弁V2によるすべての通常気筒への総燃料供給量(改質ガスKを除く総燃料供給量)の比である燃料比を低下する燃料比低下制御を実行する。
例えば、制御装置50は、第4気筒40dを改質気筒として働かせている状態で、外部出力エンジン200bを定格負荷運転から部分負荷運転へ切り替える場合、第1気筒40aと第2気筒40bと第3気筒40cとを改質気筒に切り替える形態で、行程容積比制御を実行する。即ち、改質エンジン200aのすべての気筒である第1気筒40aと第2気筒40bと第3気筒40cと第4気筒40dとを改質気筒として働かせると共に、外部出力エンジン200bのすべての気筒80a、80b、80c、80dを通常気筒として働かせる。
当該行程容積比制御を実行する場合、制御装置50は、上述した燃料比低下制御を実行しつつ、給気支管において第21開閉弁V21と第22開閉弁V22と第23開閉弁V23を開放状態とすると共に第24開閉弁V24と第25開閉弁V25と第26開閉弁V26を閉止状態とし、排気支管において第27開閉弁V27と第28開閉弁V28と第29開閉弁V29を開放状態とすると共に第30開閉弁V30と第31開閉弁V31と第32開閉弁V32を閉止状態としている状態から、給気支管において第21開閉弁V21と第22開閉弁V22と第23開閉弁V23を閉止状態とすると共に第24開閉弁V24と第25開閉弁V25と第26開閉弁V26を開放状態とし、排気支管において第27開閉弁V27と第28開閉弁V28と第29開閉弁V29を閉止状態とすると共に第30開閉弁V30と第31開閉弁V31と第32開閉弁V32を開放状態としている状態へ移行する。
当該行程容積比制御を実行することで、改質気筒と通常気筒との出力比を低減でき機械損失の低減を図ることができる。
外部出力エンジン200bにおいて通常運転が実行されている場合、改質エンジン200aは停止状態にあるか、またはその排気が外部へ排出される。
第3実施形態に係るエンジンシステム100は、図3に示すように、複数の気筒40a、40b、40c、40dのうち少なくとも一部を、燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mの少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒と、当該改質気筒にて改質された改質ガスKが導かれる通常気筒との何れか一方として働かせることが可能に構成されている。
尚、当該第3実施形態では、第1実施形態と同様に、複数の気筒としての第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c、第4気筒40dの何れかが、改質気筒又は改質ガスKが導かれる通常気筒として働くことになる。ただし、当該第3実施形態にあっては、改質ガスKが導かれる通常気筒へ、燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行するため、すべての気筒が通常気筒となることはないものとする。
また、当該改質ガス運転を実行する関係で、第1実施形態において設けられていた、給気本管20にて燃料Fと燃焼用空気Aとを混合するミキサ14、ミキサ14に燃料Fを導く第2燃料供給路11、ミキサ14の上流側の給気本管20における燃焼用空気Aの圧力と第2燃料供給路11における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータV1、ミキサ14を介して通常気筒の燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第2燃料流量制御弁V2は、当該第3実施形態においては設けられない。
制御装置50は、改質気筒における空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、通常気筒へ燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行する。即ち、当該第3実施形態においては、第1燃料流量制御弁V3によるすべての改質気筒への総燃料供給量に対するすべての通常気筒への総燃料供給量の比である燃料比が0.0に維持された状態で、改質ガス運転が実行されることになる。
ただし、起動時にあっては、エンジンの運転を安定させるため、セルモータによるアシストを行うと共に、制御装置50は、改質ガス運転に先立って、改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行することが好ましい。
第4実施形態に係るエンジンシステム100は、図4に示すように、複数の気筒40a、40b、40c、40dのうち少なくとも一部を、燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mの少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒と、当該改質気筒にて改質された改質ガスKが導かれる通常気筒との何れか一方として働かせることが可能に構成されている。
尚、当該第4実施形態では、第2実施形態と同様に、複数の気筒としての第1気筒40a、第2気筒40b、第3気筒40c、第4気筒40dの何れかが、改質気筒として働くことになる。
また、当該第4実施形態にあっては、改質ガスKが導かれる外部出力エンジン200bの通常気筒80a、80b、80c、80dへ、燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行するため、第2実施形態の外部出力エンジン200bにおいて設けられていた、給気本管70にて燃料Fと燃焼用空気Aとを混合するミキサ64、ミキサ64に燃料Fを導く第3燃料供給路61、ミキサ64の上流側の給気本管20における燃焼用空気Aの圧力と第3燃料供給路61における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータV41、ミキサ64を介して通常気筒の燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第3燃料流量制御弁V42は、当該第4実施形態においては設けられない。
制御装置50は、改質気筒における空気過剰率を、改質ガスKを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、通常気筒へ燃料として改質ガスKのみを導く改質ガス運転を実行する。即ち、当該第4実施形態においては、第1燃料流量制御弁V3によるすべての改質気筒への総燃料供給量に対するすべての通常気筒80a、80b、80c、80dへの総燃料供給量の比である燃料比が0.0に維持された状態で、改質ガス運転が実行されることになる。
ただし、起動時にあっては、エンジンの運転を安定させるため、セルモータによるアシストを行うと共に、制御装置50は、改質ガス運転に先立って、改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行することが好ましい。
(1)上記実施形態にあっては、通常気筒の数と改質気筒の数を変更することで行程容積比変更制御を実行する構成例を示したが、通常気筒及び改質気筒の少なくとも何れか一方の圧縮比を変更することで行程容積比を変更しても構わない。
また、複数の気筒の夫々の気筒容積は、必ずしも同一である必要はなく、通常気筒と改質気筒の夫々の気筒の気筒容積についても、必ずしも同一である必要はない。
上記実施形態では、行程容積比制御により、改質ガスが導かれるすべての通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積を、改質気筒容積で除算した行程容積比を1に制御する例を示した。例えば、気筒数が4より多い構成においては、改質気筒の行程容積を増加させると共に通常気筒の行程容積を減少させる形で、行程容積比を1に近づけるようにする制御を採用することも可能である。
100 :エンジンシステム
200 :エンジンシステム
200a :改質エンジン
200b :外部出力エンジン
A :燃焼用空気
E :排ガス
F :燃料
K :改質ガス
M :混合気
Claims (4)
- 複数の気筒のうち少なくとも一部を、燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒としても、前記改質気筒にて改質された改質ガスが導かれる通常気筒としても働かせることが可能なエンジンシステムにおいて、
定格負荷よりも低い部分負荷で運転を行う部分負荷運転を実行する場合に、改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積をすべての前記改質気筒の行程容積の和である改質気筒容積で除算した行程容積比が1より大きい値から1に近づくように、前記改質気筒容積を現時点の前記改質気筒容積より増加させる行程容積比制御を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、
複数の前記気筒のうち少なくとも1つを前記改質気筒として働かせ、少なくとも1つを改質ガスが導かれる前記通常気筒として働かせている場合に、前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、すべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒への改質ガスを除く総燃料供給量の比である燃料比を0.0以上0.50以下に制御する燃料比低下制御と、
前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記改質ガスが導かれる前記通常気筒へ、前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転と、
の何れか一方を実行するときに、前記行程容積比制御を実行し、且つ、
起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行するエンジンシステム。 - 複数の気筒のうち少なくとも一部を、燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を部分酸化反応させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒として働かせることが可能な改質エンジンを有すると共に、
複数の気筒のうち少なくとも一部を、前記改質気筒とは別の通常気筒として働かせることが可能な外部出力エンジンを有し、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを前記通常気筒へ導くように構成されたエンジンシステムにおいて、
前記外部出力エンジンにおいて定格負荷よりも低い部分負荷で運転を行う部分負荷運転を実行する場合に、改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒の行程容積の和である通常気筒容積をすべての前記改質気筒の行程容積の和である改質気筒容積で除算した行程容積比が1より大きい値から1に近づくように、前記改質気筒容積を現時点の前記改質気筒容積より増加させる行程容積比制御を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、
複数の前記気筒のうち少なくとも1つを前記改質気筒として働かせ、少なくとも1つを改質ガスが導かれる前記通常気筒として働かせている場合に、前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、すべての前記改質気筒への総燃料供給量に対する改質ガスが導かれるすべての前記通常気筒への改質ガスを除く総燃料供給量の比である燃料比を0.0以上0.50以下に制御する燃料比低下制御と、
前記改質気筒における空気過剰率を改質ガスを生成する所定の範囲で変動制御する空気過剰率変動制御を実行している状態で、前記改質ガスが導かれる前記通常気筒へ、前記燃料として改質ガスのみを導く改質ガス運転と、
の何れか一方を実行するときに、前記行程容積比制御を実行し、且つ、
起動時に、前記改質ガス運転に先立って、前記改質気筒での出力を一時的に高くする改質気筒高出力運転を実行するエンジンシステム。 - 前記改質気筒の行程容積と前記通常気筒の行程容積とが等しい構成において、
前記制御装置は、改質ガスが導かれる前記通常気筒の気筒数と前記改質気筒の気筒数とが等しくなるように前記行程容積比制御を実行する請求項1又は2に記載のエンジンシステム。 - 前記行程容積比制御を実行する前の運転には、改質ガスが導かれない前記通常気筒のみの出力により運転する通常運転が含まれる請求項1~3の何れか一項に記載のエンジンシステム。
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