JP2016166611A - エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】改質気筒から通常気筒への改質ガス量を十分に多くした場合等であっても、当該改質ガス量に対する燃焼促進性ガスの含有率を調整することで、通常気筒での燃焼安定性を確保する。
【解決手段】通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dへ導かれる燃料Fを供給する第1燃料供給部と、改質気筒40dへ導かれる燃料Fを供給する第2燃料供給部とを各別に備え、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料供給部による燃料Fの供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、吸気本管20から分岐され改質気筒40dに接続される改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mの温度を制御する混合気温度制御手段を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気を燃焼室にて燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステム、及び燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムに関する。
一般的なエンジンにおいては、熱効率の向上と排気エミッション低減の観点から、燃焼室から排出される排ガスを、再度燃焼室へ再循環する排ガス再循環システムを用いる場合がある。しかし、排ガスを大量に再循環すると燃焼性が悪化し、燃焼室における燃焼の安定性が損なわれる虞があると共に、熱効率の低下に繋がる場合がある。
そこで、大量の排ガスを再循環するための方法として、燃焼室に燃焼速度の速い(反応性の高い)水素を供給する方法がある。具体的には、多気筒エンジンにおいて、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を燃焼室にて不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも通常気筒へ導くエンジンが知られている(特許文献1を参照)。当該多気筒エンジンにおいて、改質気筒で、例えば、メタンを主成分とする燃料を含む過濃混合気を不完全燃焼させることで、水素等の燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスを生成することができ、当該改質ガスを通常気筒へ導くことで、例えば、通常気筒の燃焼室での火花伝播速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減でき、ひいては、熱効率を改善できる。
米国特許公開第2009/0308070号明細書
上記特許文献1に開示の技術において、特定のエンジン出力域毎に、熱効率の向上や排気エミッションの向上を図るためには、改質気筒から通常気筒への改質ガス量(従来のEGR量に相当)の最適化が必要となる。しかしながら、当該改質ガス量(従来のEGR量に相当)を過度に大きくし過ぎると、機関の不安定化を招くため、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を、改質ガス量(従来のEGR量に相当)に追従する形態で、調整する必要がある。
特に、改質ガス量(従来のEGR量に相当)が、多量である場合には、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を上限まで高めた場合であっても、機関の安定性を改善できない場合があり、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、改質気筒からの改質ガス量を十分に多くした場合等であっても、当該改質ガス量に対する燃焼促進性ガスの含有率を調整することで、気筒での燃焼安定性を確保し得るエンジンシステムを提供する点にある。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えている点にある。
上記特徴構成によれば、まずもって、通常気筒及び改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備えるから、通常気筒と改質気筒との空気過剰率を各別に設定することができる。そして、第2燃料供給量調整手段が、改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料供給部による燃料の供給量を調整するから、改質気筒にて過濃混合気を形成し不完全燃焼させることで、水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスを、良好に生成できる。
ここで、例えば、熱効率の向上と排気エミッション低減を促進するべく、複数の気筒に対する改質気筒の割合を多くする構成を採用する場合等には、改質ガス量の流量が多くなり過ぎることがあり、このような場合には、通常気筒での混合気の燃焼性が悪化し、失火や燃焼変動等が発生することで機関が不安定になることがある。
本願の発明者らは、鋭意研究することにより、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率は、当該改質ガスを生成する改質気筒へ導かれる混合気の温度を調整することで、制御できることを新たに見出した。
説明を追加すると、改質気筒での混合気の過濃側の限界空気過剰率は、改質気筒へ導かれる混合気の温度と相関があること、即ち、改質気筒へ導かれる混合気の温度を上げるほど、改質気筒での混合気の過濃側の限界空気過剰率を低減できることを見出した。
更には、改質気筒へ導かれる混合気の空気過剰率は、改質気筒にて改質された改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率に相関があること、即ち、改質気筒へ導かれる混合気の空気過剰率を低下させるほど、改質気筒にて改質された改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できることを見出した。
これらのことから、本願の発明者らは、改質気筒へ導かれる混合気の温度を上昇させるという比較的簡易な制御により、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率の上限を広げることができるという知見を得たのである。
即ち、上記特徴構成によれば、混合気温度制御手段により改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御可能であるから、例えば、改質気筒用吸気支管を通流する混合気を加熱して、改質気筒における過濃側の限界空気過剰率を低下させることができ、これにより改質気筒にて生成される改質ガスに含まれる燃焼促進性ガスの発生量(及び含有率)を増加させることができる。
結果、改質ガス量が多く通常気筒での燃焼性が悪化するような場合であっても、増加した燃焼促進性ガスが、通常気筒の燃焼室内で火花伝搬速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減する形態で、燃焼の安定性を向上させることができ、ひいては、熱効率の向上及び排気エミッションの低減を図ることができる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点にある。
特に、前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することが好ましい。
ここで、改質気筒に導かれる混合気を空気過剰率が1より小さい過濃混合気としているが、当該混合気は空気過剰率が小さくなり過濃側の限界空気過剰率に近づくと、失火や燃焼変動等が発生して、機関の燃焼の安定性が悪化することが知られている。
そこで、上記特徴構成にあっては、混合気温度制御手段が、改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御することで、燃料過濃状態で燃焼している改質気筒において失火や燃焼変動が起きる可能性が高くなるほど、改質気筒内の過濃側の燃焼限界を広げて失火や燃焼変動の発生を良好に抑制できる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点にある。
特に、前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することが好ましい。
エンジンの起動時や暖気時等でエンジンの負荷が低い場合には、エンジンが十分に暖まっておらず、回転数も一定でないため、エンジンの運転状態が不安定な状態となっている。
上記特徴構成によれば、混合気温度制御手段は、エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低く、エンジンの運転状態が不安定な状態に近いときほど、改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御するから、改質気筒の過濃側の限界空気過剰率を低下させることができる。これにより、例えば、改質気筒へ低い空気過剰率の混合気を供給する形態で、改質気筒にて生成される改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できる。結果、エンジン負荷が低く、通常気筒での燃焼安定性が悪化し易い場合であっても、増加した燃焼促進性ガスが、通常気筒の燃焼室内で火花伝搬速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減する形態で、燃焼の安定性を向上できる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記通常気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点にある。
上記特徴構成によれば、改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御して、改質気筒の過濃側の限界空気過剰率を低下できるから、例えば、改質気筒へ低い空気過剰率の混合気を供給する形態で、改質気筒にて生成される改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できる。結果、改質気筒から通常気筒への改質ガスの総流量が多く、通常気筒での燃焼性が悪化して、機関が不安定になるような場合であっても、増加した燃焼促進性ガスが、通常気筒の燃焼室内で火花伝搬速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減する形態で、燃焼の安定性を向上することができる。
本発明のエンジンシステムにあっては、
前記混合気温度制御手段の一形態として、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することができる。
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムであって、その特徴構成は、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えている点にある。
即ち、本発明のエンジンシステムとしては、改質ガスを生成するための改質エンジンとは別に、外部出力用の外部出力エンジンを備える構成をも権利範囲に含むものである。
改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムであっても、これまで説明してきた混合気温度制御手段による混合気温度の制御による改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率の制御を、良好に実行できる。
即ち、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点を、更なる特徴構成としている。
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記混合気温度制御手段が、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記外部出力エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点を、更なる特徴構成としている。
即ち、上記特徴構成によれば、改質エンジンに加えて外部出力エンジンを備えるエンジンシステムにおいて、外部出力エンジンの負荷に基づいて、改質エンジンから外部出力エンジンへ導かれる改質ガスに含まれる燃焼促進性ガスの含有率を制御するから、外部出力エンジンの失火や燃焼変動を良好に低減することができる。
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記混合気温度制御手段が、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記外部出力気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記混合気温度制御手段が、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒又は前記外部出力気筒の少なくとも何れか一方からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
即ち、上記特徴構成によれば、改質エンジンに加えて外部出力エンジンを備えるエンジンシステムにおいて、改質エンジンの通常気筒からの排ガス、又は外部出力エンジンの外部出力気筒からの排ガスの少なくとも何れか一方が保有する排熱にて、熱交換器で改質気筒へ導かれる混合気を加熱する形態で、混合気の温度を良好に制御できる。
第1実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図 過濃側の限界可燃空気過剰率の改質気筒への吸気温度依存性を示すグラフ図 改質ガスに対する燃焼促進性ガス含有率の空気過剰率依存性を示すグラフ図 第2実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
実施形態に係るエンジンシステム100は、図1に示すように、エンジン本体40に、都市ガス13A等の燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mを燃焼する通常気筒40a、40b、40cと、混合気Mの少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒40dとを備え、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導くエンジンシステムに関するものであり、改質気筒40dから通常気筒40a、40b、40cへの改質ガスの流量を十分に多くした場合であっても、当該改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を調整することで、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼安定性を確保し得るエンジンシステムに関するものである。
〔第1実施形態〕
以下、図1、2、3に基づいて、第1実施形態に係るエンジンシステム100について説明する。
第1実施形態のエンジンシステム100は、ターボ過給式エンジンシステムとして構成されており、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では3つ)の通常気筒40a、40b、40cと、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では1つ)の改質気筒40dとを備えている。更には、エンジンの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいてターボ過給式エンジンの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
この種のエンジンシステム100は、詳細な図示は省略するが、吸気本管20から通常気筒40a、40b、40cの燃焼室(図示せず)へ吸気弁(図示せず)を介して吸気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒40a、40b、40cの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路27に押し出され、外部へ排出される。
尚、詳細については後述するが、吸気本管20から供給される新気は、改質気筒40dにも供給され、改質気筒40dでもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒40dにて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して吸気本管20へ戻され、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dへ導かれることとなる。
吸気本管20には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ21、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ14、及びミキサ14にて混合された混合気Mを圧縮する過給機30としてのコンプレッサ31、当該コンプレッサ31の昇圧により昇温した混合気Mを冷却するインタークーラ22、開度調整により通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dへの混合気Mの吸気量を調整可能なスロットル弁23が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、吸気本管20において、ミキサ14で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、過給機30としてのコンプレッサ31にて圧縮された後に、インタークーラ22にて冷却され、スロットル弁23を介して所定の流量に調整されて、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dの燃焼室へ導入される。
ミキサ14に燃料Fを導く第1燃料供給路11には、ミキサ14の上流側の吸気本管20における燃焼用空気Aの圧力と第1燃料供給路11における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ12、ミキサ14を介して通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第1燃料流量制御弁13が設けられている。即ち、第1燃料供給路11、差圧レギュレータ12、ミキサ14、及び第1燃料流量制御弁13が、第1燃料供給部として機能する。
過給機30は、通常気筒40a、40b、40cに接続される排気路27に設けられるタービン32に、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEを供給し、タービン32に連結される状態で吸気本管20に設けられるコンプレッサ31により、通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室に吸気される混合気Mを圧縮するターボ式の過給機30として構成されている。即ち、当該過給機30は、排気路27を通流する排ガスEの運動エネルギによりタービン32を回転させ、当該タービン32の回転力により吸気本管20を通流する新気としての混合気Mを圧縮して、通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室へ供給する、所謂、過給を行う。
エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、当該回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサとして運転状態検出部41が設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁23の開度を制御する。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサとして運転状態検出部41が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁13やスロットル弁23の開度を制御可能に構成されている。
吸気本管20は、スロットル弁23の下流側において、通常気筒40a、40b、40cの夫々へ混合気Mを導く複数の通常気筒用吸気支管20a、20b、20cに接続されると共に、改質気筒40dへ混合気Mを導く改質気筒用吸気支管20dに接続されている。
改質気筒40dは、自身の燃焼室において、混合気Mを不完全燃焼させて、燃料F(例えば、メタン)よりも燃焼速度の速い水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスKを生成するように構成されている。ここで、水素は、メタン及び空気を混合して燃焼する場合、空気過剰率が1より小さい燃料過濃領域に、その発生量のピークがあることが知られている(「燃焼の基礎と応用(共立出版株式会社)」の第2章を参照)。
そこで、当該第1実施形態にあっては、改質気筒40dへ新気を供給する改質気筒用吸気支管20dに、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第2燃料供給路29が接続されており、当該第2燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁15が設けられている。第2燃料供給路29の第2燃料流量制御弁15の上流側には、燃料Fの供給圧を吸気本管20のコンプレッサ31出口の過給圧まで昇圧するべく、圧縮機(図示せず)等が設けられている。
更に、改質気筒40dには、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、吸気本管20のスロットル弁23の下流側に接続されている。即ち、当該第1実施形態にあっては、改質ガスKは、そのすべてが通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dに導かれるように構成されている。
第2燃料供給量調整部51としての制御装置50は、改質気筒40dへの新気の空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する。つまり、第2燃料供給路29、ミキサ16、及び第2燃料流量制御弁15が、第2燃料供給部として機能すると共に、第2燃料供給部及び第2燃料供給量調整部51としての制御装置50が、第2燃料供給量調整手段として働く。
尚、改質ガス通流路28には、当該改質ガス通流路28を通流する改質ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、当該酸素センサで検出された改質ガスKの酸素濃度に基づいて、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する形態で、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率(又は空気比)を所望の値に調整する空気過剰率調整制御を実行可能に構成されている。
さて、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率は、高くなるほど、改質ガスKが導かれる通常気筒40a、40b、40cの燃焼室での着火後の火花伝搬速度が上昇し、失火や燃焼変動を低減できるから、燃焼の安定性を向上できるという効果がある。
一方、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率は、低くなるほど、当該改質ガスKが導かれる通常気筒40a、40b、40cの燃焼室での吸気行程初期から圧縮行程後期における温度上昇速度が低下するため、アンチノック性が高くなり、ノッキングの発生を抑制できるという効果がある。
本願の発明者らは、鋭意研究することにより、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率は、当該改質ガスKを生成する改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を調整することで、制御できることを新たに見出した。この点に関し、図2、3に基づいて説明を加える。
図2は、改質気筒40dでの過濃側の限界可燃空気過剰率と、改質気筒40dへの吸気温度との関係を示すグラフ図である。当該グラフ図から、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度と相関があり、その相関関係は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を上げるほど、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率を低減できるものであることがわかる。
図3は、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率と空気過剰率との関係を示すグラフ図であり、当該グラフ図から、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率は、改質気筒40dにて改質された改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率に相関があり、その相関関係は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を低下させるほど、改質気筒40dにて改質された改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できるものであることがわかる。
そこで、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mと通常気筒40a、40b、40cからの排ガスEとを熱交換する熱交換器26と、当該熱交換器26を通流する排ガスEの流量を制御する排ガス流量制御弁25とを備えている。
説明を追加すると、通常気筒40a、40b、40cからの排ガスEを通流する排気路27には、過給機30としてのタービン32の下流側にて、分岐する排気分岐流路91が設けられている。熱交換器26では、当該排気分岐流路91を通流する排ガスEと、改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mとが熱交換するように構成されている。
更に、排気分岐流路91には、当該排気分岐流路91を通流する排ガスEの流量を制御する排ガス流量制御弁25が設けられており、混合気温度制御部52としての制御装置50は、熱交換器26の混合気Mの出口温度を測定する温度センサ(図示せず)の測定温度に基づいて、排ガス流量制御弁25の開度を調整して、熱交換器26にて混合気Mと熱交換する排ガスEの流量を制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を制御している。
以上より、排気分岐流路91、排ガス流量制御弁25、熱交換器26、及び混合気温度制御部52としての制御装置50が、混合気温度制御手段として働く。
更に、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、混合気温度制御部52としての制御装置50が、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率に基づいて、改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mの温度を制御しており、より詳しくは、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率が低いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mの温度を高い側へ制御する。これにより、特に、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率が過濃側の限界可燃空気過剰率に近づいた場合にも、改質気筒40dでの失火や燃焼変動等を良好に抑制し、改質ガスKに含まれる燃焼促進性ガスの含有率を高く維持することができる。つまりは、改質気筒40dでの過濃側の限界可燃空気過剰率を広げることができ、これにより、改質気筒40dから通常気筒40a、40b、40cへ導かれる燃焼促進性ガスの含有率を、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を高い側へ制御する前に比べて、高めることができる。
尚、吸気温度が上昇すると、改質気筒40dに流入する混合気Mの質量流量が低下するため、混合気温度制御部52としての制御装置50は、例えば、エンジン本体40の回転数とスロットル弁23の開度と混合気温度の関係を示す運転マップに基づいて、混合気温度を制御することが好ましい。
例えば、エンジン本体40の回転数とスロットル弁23の開度とが高くなる高負荷ほど、混合気温度を低くして、改質気筒40dに導かれる混合気Mの質量流量を増加するように制御することが好適である。
更に、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、エンジン負荷測定手段としてエンジン本体40の回転軸の回転数や、回転軸にかかるトルクを検出する運転状態検出部41を備えており、混合気温度制御部52としての制御装置50は、運転状態検出部41にて検出される回転数やトルクから導出されるエンジン出力(エンジン負荷)に基づいて、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を制御しており、より詳しくは、導出されるエンジン出力(エンジン負荷)が低いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、混合気Mの温度を高い側へ制御する。これにより、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率を更に低くすることができるから、第2燃料供給量調整部51としての制御装置50が、第2燃料流量制御弁15の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を更に低い側へ制御でき、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を高めることができる。結果、エンジン出力(エンジン負荷)が低く、エンジン本体40が起動状態や暖気状態にあり、通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室での燃焼状態が不安定になっている場合でも、当該燃焼室での失火や燃焼変動等を良好に抑制し、燃焼の安定性を向上できると共に排気エミッションを低減できる。
別の制御としては、改質ガス通流路28を通流する改質ガスKの温度を測定する温度センサSを備え、混合気温度制御部52としての制御装置50が、当該温度センサの温度が低下した場合に、失火が発生したと判定して、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dに導かれる混合気Mの温度を高い側へ制御する構成を採用することができる。
また、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、図示は省略するが、改質気筒用吸気支管20dには、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの流量を制御する混合気流量制御弁(図示せず)を設ける構成を採用できる。
このような構成を採用する場合、混合気温度制御部52としての制御装置50は、混合気流量制御弁の開度が大きいほど(改質ガスKの総流量が多いほど)、即ち、通常気筒40a、40b、40cへ導かれる改質ガスKの総流量が多く、通常気筒40a、40b、40cの燃焼状態が不安定になる虞が高いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を高い側へ制御する構成を採用できる。これにより、改質気筒40dに導かれる混合気Mの空気過剰率を高めることができ、改質ガスKに含まれる燃焼促進性ガスの含有率を高めることができる。結果、改質気筒40dから通常気筒40a、40b、40cへ導かれる改質ガスKの総流量が多く、通常気筒40a、40b、40cの燃焼が不安定になる場合であっても、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼の安定性を向上できると共に、排気エミッションの低減を図ることができる。
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導く構成例を示した。
当該第2実施形態に係るエンジンシステム200は、図4に示すように、改質気筒40dにて混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる外部出力エンジン200bを備えて構成されている。尚、当該エンジンシステム200には、改質エンジン200a及び外部出力エンジン200bの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいて外部出力エンジン200bの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
第2実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aは、第1実施形態に係るエンジンシステム100における運転状態検出部41を設けず、運転状態を判定する制御を実行しない点、改質気筒40dにて生成された改質ガスKを、改質エンジン200aの吸気本管20に戻していない点を除き、上述した第1実施形態に係るエンジンシステム100と実質的に同一の構成をしており、同一の制御を実行する。
以下、上記第1実施形態に係るエンジンシステム100と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
外部出力エンジン200bは、図4に示すように、吸気本管70から複数の気筒80a、80b、80c、80d(外部出力気筒の一例)の燃焼室(図示せず)へ吸気弁(図示せず)を介して吸気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路に押し出され、外部へ排出される。
吸気本管70には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ71、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ64、開度調整により複数の気筒80a、80b、80c、80dへの混合気Mの吸気量を調整可能なスロットル弁73が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、吸気本管70において、ミキサ64で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、スロットル弁73を介して所定の流量に調整されて、複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ導入される。
ミキサ64に燃料Fを導く第3燃料供給路61には、ミキサ64の上流側の吸気本管70における燃焼用空気Aの圧力と第3燃料供給路61における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ62、ミキサ64を介して複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第3燃料流量制御弁63が設けられている。
外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、当該回転軸の回転数を計測する回転数センサである運転状態検出部81が設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁73の開度を制御する。
更に、エンジン本体80の回転軸には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサである運転状態検出部81が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第3燃料流量制御弁63やスロットル弁73の開度を制御する。
吸気本管70は、スロットル弁73の下流側において、複数の気筒80a、80b、80c、80dへ混合気Mを導く複数の吸気支管70a、70b、70c、70dに接続されている。
当該吸気本管70においてスロットル弁73の下流側で複数の吸気支管70a、70b、70c、70dの上流側には、改質エンジン200aの改質気筒40dにて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の吸気支管70a、70b、70c、70dのすべてに対して、改質ガスKが略均等に通流することになる。
以上の如く構成されたエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aにおいて、第1実施形態にて説明した混合気温度制御手段が第1実施形態と同一の制御を実行することで、外部出力エンジン200bの運転状態毎に発生する異常燃焼や、燃焼の不安定を改善することが可能となる。
更に、当該第2実施形態に係るエンジンシステム200独特の構成及び制御として、エンジン負荷測定手段として外部出力エンジン200bの回転軸の回転数や、回転軸にかかるトルクを検出する運転状態検出部81を備えており、混合気温度制御部52としての制御装置50は、運転状態検出部81にて検出される回転数やトルクから導出されるエンジン出力(エンジン負荷)に基づいて、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を制御しており、より詳しくは、導出される外部出力エンジン200bの出力(外部出力エンジン200bの負荷)が低いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、混合気Mの温度を高い側へ制御する。これにより、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率を更に低くすることができるから、第2燃料供給量調整部51としての制御装置50が、第2燃料流量制御弁15の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を更に低い側へ制御でき、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を高めることができる。結果、外部出力エンジン200bの出力(外部出力エンジン200bの負荷)が低く、外部出力エンジン200bが起動状態や暖気状態にあり、外部出力気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室での燃焼状態が不安定になっている場合でも、当該燃焼室での失火や燃焼変動等を良好に抑制し、燃焼の安定性を向上できると共に排気エミッションを低減できる。
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態では、通常気筒40a、40b、40cを3つとし、改質気筒40dの数を1つとした。しかしながら、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
また、上記第2実施形態でも同様に、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
ただし、第2実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aは、改質ガスKの生成用のエンジンであるので、改質気筒40dの数は、多いほうが好ましい。また、改質エンジン200aは、その軸出力を取り出して発電等に用いる構成としても良い。
(2)上記第1実施形態は、改質気筒40dの排気ポートに接続される改質ガス通流路28は、吸気本管20に接続される構成を有すると共に、改質ガスKを、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの双方に導く例を示した。
しかしながら、例えば、改質ガス通流路28は、改質気筒40dの排気ポートと、通常気筒40a、40b、40cのみに新気を供給する通常気筒用吸気支管20a、20b、20cの夫々に接続される構成を採用しても構わない。
これにより、改質ガスKを改質気筒40dに導くことなく、通常気筒40a、40b、40cのみに導くことができ、より一層の熱効率の向上が期待できる。
(3)上記第1、2実施形態では、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、改質気筒用吸気支管20dでミキサ16の上流側に設けられる例を示したが、別に、当該ミキサ16の下流側に設けるように構成しても構わない。
(4)上記第2実施形態では、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、改質エンジン200aの通常気筒40a、40b、40cからの排ガスEのみと、改質気筒40dへ導かれる混合気Mとを熱交換する構成とした。
しかしながら、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、改質エンジン200aの通常気筒40a、40b、40cからの排ガスE及び外部出力エンジン200bの外部出力気筒80a、80b、80c、80dからの排ガスEと、改質気筒40dへ導かれる混合気Mとを熱交換する構成を採用しても構わない。
更には、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、外部出力エンジン200bの外部出力気筒80a、80b、80c、80dからの排ガスEのみと、改質気筒40dへ導かれる混合気Mとを熱交換する構成を採用しても構わない。
(5)上記第2実施形態においては、単一の改質エンジン200aと単一の外部出力エンジン200bとを備える構成例を示したが、改質エンジン200aを複数備える構成や、外部出力エンジン200bを複数備える構成を採用することもできる。
(6)上記第2実施形態において、制御装置50は、単一の制御装置として示しているが、改質エンジン200a用の制御装置と、外部出力エンジン200bの制御装置とを、各別に備えることも可能である。
(7)上記第2実施形態において、外部出力エンジン200bは、多気筒エンジンとして構成しているが、別に、単気筒であってもあっても構わない。
(8)上記第2実施形態においては、改質ガス通流路が、吸気本管70に接続される構成例を示した。しかしながら、当該改質ガス通流路は、吸気支管70a、70b、70c、70dの少なくとも1つ以上に接続される構成、即ち、複数の気筒80a、80b、80c、80dの少なくとも1つ以上に改質ガスKが導かれる構成を採用しても構わない。
(9)上記第1、2実施形態にあっては、エンジンの回転軸のトルクを直接測定する構成例を示したが、当該構成に替えて、例えば、スロットル開度やブースト圧などから回転軸のトルクを推定するトルク推定手段を備える構成を採用しても構わない。
(10)上記第1、2実施形態にあっては、燃料Fは、都市ガス13Aとしたが、本発明の本質的意味からは、ガス燃料に限らずガソリン等の液体燃料であっても構わない。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明のエンジンシステムは、改質気筒からの改質ガス量を十分に多くした場合等であっても、当該改質ガス量に対する燃焼促進性ガスの含有率を調整することで、気筒での燃焼安定性を確保し得るエンジンシステムとして、有効に利用可能である。
11 :第1燃料供給路
12 :差圧レギュレータ
13 :第1燃料流量制御弁
14 :ミキサ
15 :第2燃料流量制御弁
16 :ミキサ
20d :改質気筒用吸気支管
25 :排ガス流量制御弁
26 :熱交換器
29 :第2燃料供給路
40a、40b、40c:通常気筒
40d :改質気筒
50 :制御装置
51 :第2燃料供給量調整部
52 :混合気温度制御部
80a、80b、80c、80d:外部出力気筒
100 :エンジンシステム
200 :エンジンシステム
200a :改質エンジン
200b :外部出力エンジン
A :燃焼用空気
E :排ガス
F :燃料
K :改質ガス
M :混合気

Claims (14)

  1. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムにおいて、
    前記通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
    前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
    前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
    前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えているエンジンシステム。
  2. 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項2に記載のエンジンシステム。
  4. エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
    前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  5. 前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項4に記載のエンジンシステム。
  6. 前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記通常気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項1〜5の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  7. 前記混合気温度制御手段は、
    前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項1〜6の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  8. 燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムにおいて、
    燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
    前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
    前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
    前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
    前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
    前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えているエンジンシステム。
  9. 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項8に記載のエンジンシステム。
  10. 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項9に記載のエンジンシステム。
  11. 前記外部出力エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
    前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項8〜10の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  12. 前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項11に記載のエンジンシステム。
  13. 前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記外部出力気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項8〜12の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  14. 前記混合気温度制御手段は、
    前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒又は前記外部出力気筒の少なくとも何れか一方からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項8〜13の何れか一項に記載のエンジンシステム。
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