JP2016166611A - エンジンシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dへ導かれる燃料Fを供給する第1燃料供給部と、改質気筒40dへ導かれる燃料Fを供給する第2燃料供給部とを各別に備え、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料供給部による燃料Fの供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、吸気本管20から分岐され改質気筒40dに接続される改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mの温度を制御する混合気温度制御手段を備えている。
【選択図】図1
Description
そこで、大量の排ガスを再循環するための方法として、燃焼室に燃焼速度の速い(反応性の高い)水素を供給する方法がある。具体的には、多気筒エンジンにおいて、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を燃焼室にて不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも通常気筒へ導くエンジンが知られている(特許文献1を参照)。当該多気筒エンジンにおいて、改質気筒で、例えば、メタンを主成分とする燃料を含む過濃混合気を不完全燃焼させることで、水素等の燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスを生成することができ、当該改質ガスを通常気筒へ導くことで、例えば、通常気筒の燃焼室での火花伝播速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減でき、ひいては、熱効率を改善できる。
特に、改質ガス量(従来のEGR量に相当)が、多量である場合には、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を上限まで高めた場合であっても、機関の安定性を改善できない場合があり、改善の余地があった。
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えている点にある。
ここで、例えば、熱効率の向上と排気エミッション低減を促進するべく、複数の気筒に対する改質気筒の割合を多くする構成を採用する場合等には、改質ガス量の流量が多くなり過ぎることがあり、このような場合には、通常気筒での混合気の燃焼性が悪化し、失火や燃焼変動等が発生することで機関が不安定になることがある。
本願の発明者らは、鋭意研究することにより、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率は、当該改質ガスを生成する改質気筒へ導かれる混合気の温度を調整することで、制御できることを新たに見出した。
説明を追加すると、改質気筒での混合気の過濃側の限界空気過剰率は、改質気筒へ導かれる混合気の温度と相関があること、即ち、改質気筒へ導かれる混合気の温度を上げるほど、改質気筒での混合気の過濃側の限界空気過剰率を低減できることを見出した。
更には、改質気筒へ導かれる混合気の空気過剰率は、改質気筒にて改質された改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率に相関があること、即ち、改質気筒へ導かれる混合気の空気過剰率を低下させるほど、改質気筒にて改質された改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できることを見出した。
これらのことから、本願の発明者らは、改質気筒へ導かれる混合気の温度を上昇させるという比較的簡易な制御により、改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率の上限を広げることができるという知見を得たのである。
即ち、上記特徴構成によれば、混合気温度制御手段により改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御可能であるから、例えば、改質気筒用吸気支管を通流する混合気を加熱して、改質気筒における過濃側の限界空気過剰率を低下させることができ、これにより改質気筒にて生成される改質ガスに含まれる燃焼促進性ガスの発生量(及び含有率)を増加させることができる。
結果、改質ガス量が多く通常気筒での燃焼性が悪化するような場合であっても、増加した燃焼促進性ガスが、通常気筒の燃焼室内で火花伝搬速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減する形態で、燃焼の安定性を向上させることができ、ひいては、熱効率の向上及び排気エミッションの低減を図ることができる。
前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点にある。
特に、前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することが好ましい。
そこで、上記特徴構成にあっては、混合気温度制御手段が、改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御することで、燃料過濃状態で燃焼している改質気筒において失火や燃焼変動が起きる可能性が高くなるほど、改質気筒内の過濃側の燃焼限界を広げて失火や燃焼変動の発生を良好に抑制できる。
エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点にある。
特に、前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することが好ましい。
上記特徴構成によれば、混合気温度制御手段は、エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低く、エンジンの運転状態が不安定な状態に近いときほど、改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御するから、改質気筒の過濃側の限界空気過剰率を低下させることができる。これにより、例えば、改質気筒へ低い空気過剰率の混合気を供給する形態で、改質気筒にて生成される改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できる。結果、エンジン負荷が低く、通常気筒での燃焼安定性が悪化し易い場合であっても、増加した燃焼促進性ガスが、通常気筒の燃焼室内で火花伝搬速度を上昇させ、失火や燃焼変動を低減する形態で、燃焼の安定性を向上できる。
前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記通常気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点にある。
前記混合気温度制御手段の一形態として、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する構成を採用することができる。
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムであって、その特徴構成は、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えている点にある。
改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムであっても、これまで説明してきた混合気温度制御手段による混合気温度の制御による改質ガスに対する燃焼促進性ガスの含有率の制御を、良好に実行できる。
前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点を、更なる特徴構成としている。
前記混合気温度制御手段が、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
前記外部出力エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する点を、更なる特徴構成としている。
前記混合気温度制御手段が、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記外部出力気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
前記混合気温度制御手段が、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒又は前記外部出力気筒の少なくとも何れか一方からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する点を、更なる特徴構成としている。
即ち、上記特徴構成によれば、改質エンジンに加えて外部出力エンジンを備えるエンジンシステムにおいて、改質エンジンの通常気筒からの排ガス、又は外部出力エンジンの外部出力気筒からの排ガスの少なくとも何れか一方が保有する排熱にて、熱交換器で改質気筒へ導かれる混合気を加熱する形態で、混合気の温度を良好に制御できる。
以下、図1、2、3に基づいて、第1実施形態に係るエンジンシステム100について説明する。
第1実施形態のエンジンシステム100は、ターボ過給式エンジンシステムとして構成されており、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では3つ)の通常気筒40a、40b、40cと、少なくとも1つ以上(当該第1実施形態では1つ)の改質気筒40dとを備えている。更には、エンジンの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいてターボ過給式エンジンの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
尚、詳細については後述するが、吸気本管20から供給される新気は、改質気筒40dにも供給され、改質気筒40dでもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒40dにて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して吸気本管20へ戻され、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dへ導かれることとなる。
即ち、吸気本管20において、ミキサ14で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、過給機30としてのコンプレッサ31にて圧縮された後に、インタークーラ22にて冷却され、スロットル弁23を介して所定の流量に調整されて、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dの燃焼室へ導入される。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサとして運転状態検出部41が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁13やスロットル弁23の開度を制御可能に構成されている。
改質気筒40dは、自身の燃焼室において、混合気Mを不完全燃焼させて、燃料F(例えば、メタン)よりも燃焼速度の速い水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスKを生成するように構成されている。ここで、水素は、メタン及び空気を混合して燃焼する場合、空気過剰率が1より小さい燃料過濃領域に、その発生量のピークがあることが知られている(「燃焼の基礎と応用(共立出版株式会社)」の第2章を参照)。
そこで、当該第1実施形態にあっては、改質気筒40dへ新気を供給する改質気筒用吸気支管20dに、ベンチュリー式のミキサ16を介する形態で燃料Fを供給する第2燃料供給路29が接続されており、当該第2燃料供給路29には、燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁15が設けられている。第2燃料供給路29の第2燃料流量制御弁15の上流側には、燃料Fの供給圧を吸気本管20のコンプレッサ31出口の過給圧まで昇圧するべく、圧縮機(図示せず)等が設けられている。
更に、改質気筒40dには、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、吸気本管20のスロットル弁23の下流側に接続されている。即ち、当該第1実施形態にあっては、改質ガスKは、そのすべてが通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dに導かれるように構成されている。
第2燃料供給量調整部51としての制御装置50は、改質気筒40dへの新気の空気過剰率が1より小さくなるように、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する。つまり、第2燃料供給路29、ミキサ16、及び第2燃料流量制御弁15が、第2燃料供給部として機能すると共に、第2燃料供給部及び第2燃料供給量調整部51としての制御装置50が、第2燃料供給量調整手段として働く。
尚、改質ガス通流路28には、当該改質ガス通流路28を通流する改質ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、当該酸素センサで検出された改質ガスKの酸素濃度に基づいて、第2燃料流量制御弁15の開度を制御する形態で、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率(又は空気比)を所望の値に調整する空気過剰率調整制御を実行可能に構成されている。
一方、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率は、低くなるほど、当該改質ガスKが導かれる通常気筒40a、40b、40cの燃焼室での吸気行程初期から圧縮行程後期における温度上昇速度が低下するため、アンチノック性が高くなり、ノッキングの発生を抑制できるという効果がある。
図2は、改質気筒40dでの過濃側の限界可燃空気過剰率と、改質気筒40dへの吸気温度との関係を示すグラフ図である。当該グラフ図から、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度と相関があり、その相関関係は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を上げるほど、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率を低減できるものであることがわかる。
図3は、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率と空気過剰率との関係を示すグラフ図であり、当該グラフ図から、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率は、改質気筒40dにて改質された改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率に相関があり、その相関関係は、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を低下させるほど、改質気筒40dにて改質された改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を増加できるものであることがわかる。
説明を追加すると、通常気筒40a、40b、40cからの排ガスEを通流する排気路27には、過給機30としてのタービン32の下流側にて、分岐する排気分岐流路91が設けられている。熱交換器26では、当該排気分岐流路91を通流する排ガスEと、改質気筒用吸気支管20dを通流する混合気Mとが熱交換するように構成されている。
更に、排気分岐流路91には、当該排気分岐流路91を通流する排ガスEの流量を制御する排ガス流量制御弁25が設けられており、混合気温度制御部52としての制御装置50は、熱交換器26の混合気Mの出口温度を測定する温度センサ(図示せず)の測定温度に基づいて、排ガス流量制御弁25の開度を調整して、熱交換器26にて混合気Mと熱交換する排ガスEの流量を制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を制御している。
以上より、排気分岐流路91、排ガス流量制御弁25、熱交換器26、及び混合気温度制御部52としての制御装置50が、混合気温度制御手段として働く。
尚、吸気温度が上昇すると、改質気筒40dに流入する混合気Mの質量流量が低下するため、混合気温度制御部52としての制御装置50は、例えば、エンジン本体40の回転数とスロットル弁23の開度と混合気温度の関係を示す運転マップに基づいて、混合気温度を制御することが好ましい。
例えば、エンジン本体40の回転数とスロットル弁23の開度とが高くなる高負荷ほど、混合気温度を低くして、改質気筒40dに導かれる混合気Mの質量流量を増加するように制御することが好適である。
このような構成を採用する場合、混合気温度制御部52としての制御装置50は、混合気流量制御弁の開度が大きいほど(改質ガスKの総流量が多いほど)、即ち、通常気筒40a、40b、40cへ導かれる改質ガスKの総流量が多く、通常気筒40a、40b、40cの燃焼状態が不安定になる虞が高いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を高い側へ制御する構成を採用できる。これにより、改質気筒40dに導かれる混合気Mの空気過剰率を高めることができ、改質ガスKに含まれる燃焼促進性ガスの含有率を高めることができる。結果、改質気筒40dから通常気筒40a、40b、40cへ導かれる改質ガスKの総流量が多く、通常気筒40a、40b、40cの燃焼が不安定になる場合であっても、通常気筒40a、40b、40cでの燃焼の安定性を向上できると共に、排気エミッションの低減を図ることができる。
上記第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導く構成例を示した。
当該第2実施形態に係るエンジンシステム200は、図4に示すように、改質気筒40dにて混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる外部出力エンジン200bを備えて構成されている。尚、当該エンジンシステム200には、改質エンジン200a及び外部出力エンジン200bの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいて外部出力エンジン200bの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
以下、上記第1実施形態に係るエンジンシステム100と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
即ち、吸気本管70において、ミキサ64で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、スロットル弁73を介して所定の流量に調整されて、複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ導入される。
更に、エンジン本体80の回転軸には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサである運転状態検出部81が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第3燃料流量制御弁63やスロットル弁73の開度を制御する。
当該吸気本管70においてスロットル弁73の下流側で複数の吸気支管70a、70b、70c、70dの上流側には、改質エンジン200aの改質気筒40dにて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の吸気支管70a、70b、70c、70dのすべてに対して、改質ガスKが略均等に通流することになる。
以上の如く構成されたエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aにおいて、第1実施形態にて説明した混合気温度制御手段が第1実施形態と同一の制御を実行することで、外部出力エンジン200bの運転状態毎に発生する異常燃焼や、燃焼の不安定を改善することが可能となる。
更に、当該第2実施形態に係るエンジンシステム200独特の構成及び制御として、エンジン負荷測定手段として外部出力エンジン200bの回転軸の回転数や、回転軸にかかるトルクを検出する運転状態検出部81を備えており、混合気温度制御部52としての制御装置50は、運転状態検出部81にて検出される回転数やトルクから導出されるエンジン出力(エンジン負荷)に基づいて、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの温度を制御しており、より詳しくは、導出される外部出力エンジン200bの出力(外部出力エンジン200bの負荷)が低いほど、排ガス流量制御弁25の開度を開き側へ制御する形態で、混合気Mの温度を高い側へ制御する。これにより、改質気筒40dでの混合気Mの過濃側の限界可燃空気過剰率を更に低くすることができるから、第2燃料供給量調整部51としての制御装置50が、第2燃料流量制御弁15の開度を開き側へ制御する形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を更に低い側へ制御でき、改質ガスKに対する燃焼促進性ガスの含有率を高めることができる。結果、外部出力エンジン200bの出力(外部出力エンジン200bの負荷)が低く、外部出力エンジン200bが起動状態や暖気状態にあり、外部出力気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室での燃焼状態が不安定になっている場合でも、当該燃焼室での失火や燃焼変動等を良好に抑制し、燃焼の安定性を向上できると共に排気エミッションを低減できる。
(1)上記第1実施形態では、通常気筒40a、40b、40cを3つとし、改質気筒40dの数を1つとした。しかしながら、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
また、上記第2実施形態でも同様に、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
ただし、第2実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aは、改質ガスKの生成用のエンジンであるので、改質気筒40dの数は、多いほうが好ましい。また、改質エンジン200aは、その軸出力を取り出して発電等に用いる構成としても良い。
しかしながら、例えば、改質ガス通流路28は、改質気筒40dの排気ポートと、通常気筒40a、40b、40cのみに新気を供給する通常気筒用吸気支管20a、20b、20cの夫々に接続される構成を採用しても構わない。
これにより、改質ガスKを改質気筒40dに導くことなく、通常気筒40a、40b、40cのみに導くことができ、より一層の熱効率の向上が期待できる。
しかしながら、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、改質エンジン200aの通常気筒40a、40b、40cからの排ガスE及び外部出力エンジン200bの外部出力気筒80a、80b、80c、80dからの排ガスEと、改質気筒40dへ導かれる混合気Mとを熱交換する構成を採用しても構わない。
更には、混合気温度制御手段としての熱交換器26は、外部出力エンジン200bの外部出力気筒80a、80b、80c、80dからの排ガスEのみと、改質気筒40dへ導かれる混合気Mとを熱交換する構成を採用しても構わない。
12 :差圧レギュレータ
13 :第1燃料流量制御弁
14 :ミキサ
15 :第2燃料流量制御弁
16 :ミキサ
20d :改質気筒用吸気支管
25 :排ガス流量制御弁
26 :熱交換器
29 :第2燃料供給路
40a、40b、40c:通常気筒
40d :改質気筒
50 :制御装置
51 :第2燃料供給量調整部
52 :混合気温度制御部
80a、80b、80c、80d:外部出力気筒
100 :エンジンシステム
200 :エンジンシステム
200a :改質エンジン
200b :外部出力エンジン
A :燃焼用空気
E :排ガス
F :燃料
K :改質ガス
M :混合気
Claims (14)
- 燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムにおいて、
前記通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えているエンジンシステム。 - 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項1に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項2に記載のエンジンシステム。
- エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンシステム。 - 前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定されるエンジン負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項4に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記通常気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項1〜5の何れか一項に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項1〜6の何れか一項に記載のエンジンシステム。 - 燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムにおいて、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒からの排気本管に設けられると共に排気本管を通流する排ガスにて回転されるタービンと、前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管に設けられると共に前記タービンに連結されて回転される形態で前記吸気本管を通流する混合気を圧縮するコンプレッサとを有する過給機を備え、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第1燃料供給部と、前記改質気筒へ導かれる燃料を供給する第2燃料供給部とを各別に備え、
前記改質気筒での混合気の空気過剰率が1より小さくなるように、前記第2燃料供給部による燃料の供給量を調整する第2燃料供給量調整手段を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒に接続される改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する混合気温度制御手段を備えているエンジンシステム。 - 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整される前記改質気筒での混合気の空気過剰率に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項8に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、前記第2燃料供給量調整手段にて調整する前記改質気筒での混合気の空気過剰率が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項9に記載のエンジンシステム。
- 前記外部出力エンジンの負荷を測定するエンジン負荷測定手段を備え、
前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷に基づいて、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を制御する請求項8〜10の何れか一項に記載のエンジンシステム。 - 前記混合気温度制御手段は、前記エンジン負荷測定手段にて測定される前記外部出力エンジンの負荷が低いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項11に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、前記改質気筒から前記外部出力気筒へ導かれる改質ガスの総流量が多いほど、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項8〜12の何れか一項に記載のエンジンシステム。
- 前記混合気温度制御手段は、
前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気と前記通常気筒又は前記外部出力気筒の少なくとも何れか一方からの排ガスとを熱交換する熱交換器と、当該熱交換器を通流する排ガスの流量を制御する排ガス流量制御弁とを備え、当該排ガス流量制御弁の開度を調整する形態で、前記改質気筒用吸気支管を通流する混合気の温度を高い側へ制御する請求項8〜13の何れか一項に記載のエンジンシステム。
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