JP2020064726A - ニッケル水素電池筐体用フィルム - Google Patents

ニッケル水素電池筐体用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性が適切に確保できるようにしたニッケル水素電池筐体用フィルムを提供する。【解決手段】ニッケル水素電池用の筐体1の外側面に設けられる多層フィルムであって、筐体1がポリプロピレン系樹脂を含有しており、多層フィルムが、筐体1の外側面に一体化される第一フィルムと第一フィルムの外面に接着剤14によって接着された金属箔11と金属箔11の外面に接着剤によって接着された第二フィルムとを備えており、第一フィルムおよび第二フィルムが、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有しており、接着剤14が、酸変性ポリオレフィン系樹脂と複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、を含有する。耐アルカリ性および高い剥離強度を長期間にわたって発揮させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル水素電池筐体用フィルムに関する。さらに詳しくは、ニッケル水素電池用の筐体の外側面に装着して使用されるニッケル水素電池筐体用フィルムに関する。
近年、ハイブリッド車の需要の増加に伴いハイブリッド車に用いられる電池の需要も増加傾向にある。ハイブリッド車用電池には、大きく2つのタイプの電池が採用されており、一つがニッケル水素電池であり、もう一方がリチウム電池である。航続距離の観点ではリチウム電池が好ましいが、取り扱い性の観点においてはニッケル水素電池が優れているということから、ハイブリッド車用では主としてニッケル水素電池が採用されている。
ここで、一般的に、ニッケル水素電池は、ポリプロピレン単体、或いはポリプロピレンとポリフェニレンエーテルとのポリマーアロイ等の樹脂製の筐体の中に強アルカリ性の電解液を充填した構造を採用しており、水素イオンの移動により充放電を行っている。この際、発生する水素が筐体から漏洩してニッケル水素電池の性能が劣化することを抑制することを目的に筐体外側面には、ガスバリア性を有する多層フィルムが装着されている。
通常、この多層フィルムは、インサート成形で筐体の外側面と一体成形しやすいように、ガスバリア性を有するアルミニウム箔の両面に酸変性ポリプロピレン樹脂層を介して筐体と熱融着性(或いは相溶性)を示すポリプロピレンフィルムが積層された多層構造となっている(例えば、特許文献1)。
特開2005−343105号公報
ここで、ニッケル水素電池用の筐体をインサート成形する際には、金型に供給した溶融状態のポリプロピレン樹脂がある程度溶融状態を維持できる温度(例えば200〜300℃)で行われる。このため、インサート部材として使用する多層フィルムのアルミニウム箔とポリプロピレンフィルムとを接着する酸変性ポリプロピレン樹脂層は、インサート成形する際の熱によって酸変性ポリプロピレン樹脂層が不均一となるように流動したり、外部へ流れ出したりしないような耐熱性が必要である。そこで、特許文献1の多層フィルムでは、比較的融点が高い酸変性ポリプロピレン樹脂が採用されている。
しかるに、特許文献1の多層フィルムでは、比較的融点が高い酸変性ポリプロピレン樹脂を採用しているため結晶性が高く、柔軟性が劣る傾向にある。このため、インサート成形時において、金型に設置した特許文献1の多層フィルムの金型への追従性が低下することによる不具合等によって適切なガスバリア性を発揮できないといった問題が発生している。より具体的には、ニッケル水素電池は充放電に伴う温度上昇によりその性能が低下することから、ニッケル水素電池の周囲に空気を流してニッケル水素電池を冷却しやすくするため、散点状に配置された突状の凸部をニッケル水素電池の筐体の壁に設けることがある。このような凸部を備える筐体をインサート成形する場合、多層フィルムが凸部形状に局所的に引き延ばされる(或いは絞られる)こととなるが、特許文献1の多層フィルムでは酸変性ポリプロピレン樹脂層が硬く、変形に追従できずにアルミニウム箔に割れ(クラック)やピンホールが発生してガスバリア性が損なわれる。
また、電解液を筐体内に供給する際、電解液が筐体の外側面に飛散することがあるが、電解液が筐体に装着された多層フィルムの端面に付着した場合、特許文献1の多層フィルムでは、酸変性ポリプロピレン樹脂層が電解液により膨潤することで剥離強度が低下してデラミ(剥離)が生じたり、アルミニウム箔が溶解したりしてガスバリア性が低下するという不具合も発生している。
本発明は上記事情に鑑み、ガスバリア性が適切に確保できるようにしたニッケル水素電池筐体用フィルムを提供することを目的とする。
本発明のニッケル水素電池筐体用フィルムは、ニッケル水素電池用の筐体の外側面に設けられる多層フィルムであって、前記筐体が、ポリプロピレン系樹脂を含有しており、前記多層フィルムが、前記筐体の外側面に一体化される第一フィルムと、該第一フィルムの外面に接着剤によって接着された金属箔と、該金属箔の外面に接着剤によって接着された第二フィルムと、を備えており、前記第一フィルムおよび前記第二フィルムが、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有しており、前記接着剤が、酸変性ポリオレフィン系樹脂と、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、を含有することを特徴とする。
本発明によれば、第一フィルムと第二フィルムが特定の架橋剤を含有する接着剤によって金属箔に接着されている。このため、多層フィルム内における剥離強度を向上させることができる。また、接着層の耐アルカリ性が向上する為、多層フィルム内のデラミ発生やアルミニウム箔等の金属箔の溶解を抑制することができ、ガスバリア性の低下を抑制することができる。さらに、接着剤のベースポリマーとして融点が比較的低い酸変性ポリオレフィン系樹脂を選定することができる為、柔軟性に優れる接着層とすることができ、ニッケル水素電池用の筐体の外側面に多層フィルムを設けた状態において、ガスバリア機能を適切に発揮させることができる。
本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムの概略説明図であり、(A)は本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムの一部を層毎に剥ぎ取った状態の概略破断平面図であり、(B)は(A)の概略破断斜視図である。 本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムをニッケル水素電池EMの筐体1正面壁1a、背面壁1bに取りつけた状態の概略断面図であり、要部の概略部分拡大断面図である。 本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムをニッケル水素電池EMの筐体1正面壁1aに取りつけた状態の概略説明図であり、(A)は概略斜視図であり、(B)は(A)の概略破断斜視図である。 実験結果を示す図である。
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムは、ニッケル水素電池用の筐体の外側面に設けられる多層フィルムであって、多層フィルムの剥離強度および耐アルカリ性を向上させることができるようにしたことに特徴を有している。
(ニッケル水素電池EM)
本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルム10を説明する前に、ニッケル水素電池EMについて簡単に説明する。
図3(A)には、ニッケル水素電池EMの一例を示している。このニッケル水素電池EMは、内部に中空な収容空間1h(或いは電槽)を有する平面視長方形状の筐体1と、この筐体1の上方に形成された開口に設けられた蓋体2とを備えている。具体的には、図3に示すように、この筐体1は、長方形状の正面壁1aと背面壁1bと、両者の端縁同士を連結する一対の側壁1c、1dと、底壁1eとを備えている。つまり、図3(B)および図2に示すように、この筐体1は、その内部に5つの壁1a〜1eで囲まれた中空な収容空間1hが形成されており、その上方に4つの壁(正面壁1aと背面壁1bと側壁1c、1d)の上端縁によって囲まれた長方形状の開口が形成されている。そして、この筐体1の開口には、図2および図3に示すように、蓋体2が設けられている。
図3(B)および図2に示すように、筐体1は、内部の収容空間1hが複数の隔壁1fによって間仕切りされており、この各部屋(或いは電槽)内には、複数の正極板、複数の負極板がセパレータを介して積層された極板群からなる単電池3が収容されている。そして、筐体1の収容空間1h内には、この単電池3が浸漬するように電解液Lが充填されている。この電解液Lは、例えば、水酸化カリウム水溶液等の強アルカリ水溶液である。
筐体1は、内部の収容空間1h内に収容した電解液Lで腐食されないように、電解液Lに接する部分は少なくとも耐アルカリ性を有する素材で形成されている。例えば、筐体1の各壁1a〜1fおよび蓋体2は、ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とのポリマーアロイ等で形成されている
(本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルム10)
本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルム10(以下、単にニッケル水素電池筐体用フィルム10という)の概略を説明する。
図2および図3に示すように、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、ニッケル水素電池EMの筐体1の外側面に設けられる多層フィルムであり、外側面に設けることによって、筐体1の収容空間1h内で発生したガス(例えば、水素)が筐体1を構成する壁を透過して内部から外部へ漏洩するのを防止する機能を有するものである。
なお、筐体1の外側面とは、筐体1の外方に位置する面を意味し、例えば、図3に示すような矩形状の筐体1であれば、筐体1を構成する各壁1a〜1eの外方に位置する各面が相当する。
また、ニッケル水素電池筐体用フィルム10を筐体1の外側面に設ける位置や領域は、ニッケル水素電池筐体用フィルム10が有するガスバリア性を発揮し得る位置等であれば、とくに限定されない。例えば、図3に示すような矩形状の筐体1であれば、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、正面壁1a或いは背面壁1bにおける筐体1の内部の収容空間1hに相当する箇所を覆うよう設けられていればよく、形状を筐体1の正面壁1aまたは背面壁1bと略相似形とし、面積を正面壁1aまたは背面壁1bと同等かやや小さくなるように形成することができる。
図1および図2に示すように、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、金属箔11が、ポリプロピレンフィルム12、13(以下、単にPPフィルム12、13という)で挟まれるようにして積層して形成された多層フィルムである。つまり、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、一の面がPPフィルム12で形成された場合、他の面がPPフィルム13で形成されるように積層されている。そして、金属箔11とPPフィルム12、13とは接着剤14によって接着されている。
例えば、図1に示すように、PPフィルム12の背面(図1では金属箔11に対向する面)が接着剤14によって金属箔11の表面(図1ではPPフィルム12の背面に対向する面)に接着されており、金属箔11の背面(図1ではPPフィルム13に対向する面)が接着剤14によってPPフィルム13の表面(図1では金属箔11の背面に対向する面)に接着されている。
ニッケル水素電池筐体用フィルム10の金属箔11は、水素、酸素などのガスが透過しにくい金属を薄く成形した金属箔である。
ニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12、13は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有するフィルムである。
ニッケル水素電池筐体用フィルム10の接着剤14は、酸変性ポリオレフィン系樹脂と、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、を含有するものである。
なお、金属箔11、PPフィルム12、13および接着剤14の詳細は後述する。
図2および図3に示すように、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、ニッケル水素電池EMの筐体1の外側面に一体化するように設けられる。
ニッケル水素電池筐体用フィルム10を筐体1の外側面に設ける方法は、筐体1の外側面とニッケル水素電池筐体用フィルム10が一体化するように設けることができれば、その方法はとくに限定されない。例えば、インサート成形で筐体1と一体化して成形してもよいし、筐体1を成形した後に外側面に接着剤14を介して貼り合わせて一体となるように成形してもよい。
以下では、インサート成形により筐体1と一体化する場合を代表として説明する。
なお、成形する筐体1は、図3に示すような平面視長方形の矩形状とし、表面(図3では正面壁1aの表面)と背面(図3では背面壁1bの表面)に、上述したニッケル水素電池筐体用フィルム10を一体化するように設ける場合を代表として説明する。
ここで、従来の多層フィルムでは、アルミニウム箔とポリプロピレンフィルムとの接着層として、比較的融点の高い酸変性ポリプロピレン樹脂が用いられているので、結晶性が高く、柔軟性に劣る傾向があるため、インサート成形時にアルミニウム箔の割れやピンホールが発生するという問題が生じている。
一方、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の接着剤14には、接着機能を有する酸変性ポリオレフィン系樹脂と反応して架橋構造を有するエポキシ化合物が含有されている。このエポキシ化合物により、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の金属箔11とPPフィルム12、13とは、酸変性ポリオレフィン系樹脂のみからなる接着層を設けた従来の多層フィルムと比べて強固に接着することができる。
このため、接着層のベースポリマーとして比較的融点が低い酸変性ポリオレフィン系樹脂を選定して柔軟性に優れる接着層とし、ニッケル水素電池EM用の筐体1の外側面にニッケル水素電池筐体用フィルム10を設けた状態において、インサート成形時に金属箔の割れやピンホールが発生することなくガスバリア機能を適切に発揮させることができる。
また、接着剤14からなる接着層が架橋構造を有することにより、水酸化カリウム水溶液等の強アルカリ水溶液による膨潤を抑制することができ、剥離強度の低下によるデラミやアルミニウム箔の溶解によるガスバリア性の低下を抑制することができる。
以下、上記のごとき機能を有するニッケル水素電池筐体用フィルム10を用いてインサート成形により筐体1と一体化する場合について具体的に説明する。
まず、金型の筐体1の正面壁1aと背面壁1bに相当する箇所にニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12が位置するように配置する。このとき、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、上記のごとく柔軟性を有しているので、金型にニッケル水素電池筐体用フィルム10をインサート部材として配置する際に適切な位置に簡単に配置することができるようになる。
ついで、かかる状態の金型内に筐体1の原料であるポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とのポリマーアロイ等の溶融物を流し込む。
筐体1の原料の溶融物と接触するニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12には、上述したように筐体1と熱融着性を示すポリプロピレン系樹脂が含有されている。このため、筐体1の原料の溶融物の熱によってPPフィルム12中のポリプロピレン系樹脂が溶融し、両者を一体化させることができる(図2参照)。
一方、PPフィルム12の背面と金属箔11の表面との間および金属箔11の背面とPPフィルム13の表面との間には、それぞれ接着剤14からなる接着層が形成されている。この接着剤14に含まれる酸変性ポリオレフィン系樹脂は、柔軟性に優れるとともに、接着層を形成する際の加工適正(例えば、ドライラミネートにおける接着剤の塗布加工)に優れる為、比較的融点が低いものが採用される。このため、成形時において、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、固体状態から溶融状態へ移行し易い状態となる。
しかし、接着剤14からなる接着層において、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、接着剤14中に含有されたエポキシ化合物と架橋構造を形成して一部が硬化した状態となっている。このため、上記のごとく酸変性ポリオレフィン系樹脂が溶融状態へ移行し易い温度下となった場合であってもエポキシ化合物により形成された架橋構造によって酸変性ポリオレフィン系樹脂の流動性を低下させることができ、成形時の熱によって酸変性ポリオレフィン系樹脂が、不均一となるように流動したり、金属箔11とPPフィルム12、13との間から外部へ流れ出したりするのを防止することができる。
ついで、筐体1の原料の溶融物の流し込みが完了し、溶融物が固化した後に金型から取り出せば、図2および図3に示すように、筐体1の正面壁1aおよび背面壁1bにそれぞれニッケル水素電池筐体用フィルム10が適切に一体化して設けられた筐体1を成形することができる。
なお、図2では、符号IFがニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12と筐体1の正面壁1aとの界面を示す。
以上のごとく、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、接着剤14として酸変性ポリオレフィン系樹脂と、かかる樹脂と反応して架橋構造を形成するエポキシ化合物と、を含有する構成とすることにより、ベースポリマーとして比較的融点が低い酸変性ポリオレフィン系樹脂を選定することができるため、接着剤14からなる接着層に柔軟性を付与しつつも、インサート成形時の熱に対する耐熱性及び金属箔11とPPフィルム12、13との密着性を向上させることができ、散点状に配置された突状の凸部を備える筐体をインサート成形する場合においても、金属箔の割れやピンホールが発生してガスバリア性が損なわれることを抑制することができる。
さらに、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の金属箔11とPPフィルム12、13との対向面同士は、接着剤14に含まれるエポキシ化合物による架橋構造によって強固に接着されている。このため、ニッケル水素電池EMを製造する際に飛散した電解液Lが、筐体1の外側面に設けられたニッケル水素電池筐体用フィルム10に付着し、かかる電解液Lがニッケル水素電池筐体用フィルム10の端面に到達したとしても、接着剤14からなる接着層が電解液Lによって膨潤することを抑制することができる。
ここで、従来の多層フィルムの場合、金属箔とポリプロピレンフィルムとの接着層として比較的融点が高い酸変性ポリプロピレン樹脂が用いられているものの、架橋構造を有するものではないため、飛散した電解液Lの付着によって接着層が膨潤し、多層フィルムの剥離強度が低下してデラミが生じたり、金属箔が溶解したりしてガスバリア性が急激に低下するという事象が発生する。
しかし、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の場合には、接着剤14が特定の架橋剤による架橋構造を有するため、飛散した電解液Lの付着によって接着剤14からなる接着層が膨潤して金属箔11とPPフィルム12、13との間でデラミが発生することや金属箔11が溶解することを防止することができるので、ニッケル水素電池EMに高いガスバリア性を付与することができる。
以上をまとめると、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、柔軟性を有しつつ、高い剥離強度を発揮することができる。このため、ニッケル水素電池EMの筐体1の外側面にニッケル水素電池筐体用フィルム10を一体化して設けた状態においても、高い溶媒耐性、とくに強アルカリ性の溶液に対して高い耐性を発揮することができるから、ニッケル水素電池EMのガスバリア性フィルムとして非常に適している。
また、ニッケル水素電池EMを使用する温度下においても、高い剥離強度を発揮させることができるので、ニッケル水素電池EMに対して優れたガスバリア性を長期間にわたって適切に保持させることができる。
なお、上述した説明において、筐体1の正面壁1aまたは背面壁1bの外方に位置する面が特許請求の範囲にいう「外側面」に相当し、これらの壁1a、1bと一体化するニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12が、特許請求項の範囲にいう「第一フィルム」に相当する。また、上述した説明において、ニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム12の背面が特許請求の範囲にいう「第一フィルムの外面」に相当し、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の金属箔11の背面が特許請求の範囲にいう「金属箔の外面」に相当し、ニッケル水素電池筐体用フィルム10のPPフィルム13が特許請求の範囲にいう「第二フィルム」に相当する。
なお、特許請求の範囲にいう「外側面」は、筐体1の外方に位置する面であればよく、上記筐体1の正面壁1aまたは背面壁1bに限定されないのは言うまでもない。
(金属箔11、PPフィルム12、13および接着剤14の詳細)
つぎに、ニッケル水素電池筐体用フィルム10の金属箔11、PPフィルム12、13および接着剤14について詳細に説明する。
まず、ニッケル水素電池筐体用フィルム10は、上述したように、金属箔11が、PPフィルム12、13で挟まれるようにして積層して形成された多層フィルムであり、積層されたフィルム同士は接着剤14によって接着されて形成される。このニッケル水素電池筐体用フィルム10を形成する方法は、とくに限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、ドライラミネーション法、サンドラミネーション法、押出ラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネーション法が挙げられる。
以下、ニッケル水素電池筐体用フィルム10を構成する金属箔11、PPフィルム12、13および接着剤14について、順に詳細を説明する。
(金属箔11の詳細)
金属箔11は、水素等が透過するのを防止する(つまりバリア性を発揮させる)機能を有するものであり、金属または合金を薄く展延したものであれば特に限定されるものではない。金属箔11としては、上記機能を有していれば、とくに限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛、鉄、ニッケル、チタン、クロム等の金属箔、アルミニウム合金、ステンレス合金等の合金箔などを挙げることができる。とくに、生産性やコストの観点から、アルミニウムを主原料とするアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を採用するのが好ましい。
なお、金属箔11は、耐腐食性を向上させるという観点から、クロメート処理等の表面処理を施したものを採用してもよい。このような処理としては、例えば、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等を用いた非クロム系(塗布型)化成処理等が挙げられる。これらの処理は単独で行ってもよいし、適宜、有機バインダー成分を併用して処理してもよい。
金属箔11の厚みは、上記機能を発揮すれば、とくに限定されない。例えば、1μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは6μm以上35μm以下である。
(PPフィルム12、13の詳細)
PPフィルム12およびPPフィルム13は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有するフィルムである。ここで、本発明において、「主成分とする」とはフィルムを構成する樹脂成分のうち、構成比率が50質量%以上であることを意味するものであり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンランダムコポリマー、ホモポリプロピレン中にポリエチレンやエチレン−プロピレンゴム(EPR)等が分散したブロックポリプロピレンなどが挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂は、ニッケル水素電池EMの筐体1の原料となるポリプロピレン系樹脂と熱融着性を示し、融点が近い樹脂を採用するのが望ましい。
なお、PPフィルム12およびPPフィルム13の組成は、それぞれ異なっていてもよい。
PPフィルム12およびPPフィルム13は、本発明の目的を達成しうる範囲で他の樹脂成分を含有してもよい。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等のポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また必要に応じて、公知の充填剤、顔料、核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ワックス、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤などの添加剤を添加することができる。
PPフィルム12およびPPフィルム13の厚みは、上記機能を発揮すれば、とくに限定されない。例えば、5μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上80μm以下である。
なお、PPフィルム12とPPフィルム13の厚みは、それぞれ異なってもよいが、カール(反り)を抑えるという観点から略同じ厚さとなるように形成するのが好ましい。
(接着剤14の詳細)
接着剤14は、酸変性ポリオレフィン系樹脂と、架橋剤としてエポキシ化合物とを含有するものであり、酸変性ポリオレフィン系樹脂を主成分として含むことが好ましい。
エポキシ化合物は、酸変性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上5質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以上3質量部以下となるように含有される。
なお、接着剤14は、本発明の目的を達成しうる範囲で熱可塑性エラストマー等の他の樹脂成分、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等の他の架橋剤を含んでいてもよい。
また、金属箔11とPPフィルム12との間に配置される接着剤14及び金属箔11とPPフィルム13との間に配置される接着剤14の組成は、それぞれ異なっていてもよい。
接着剤14からなる接着層の厚みは、金属箔11とPPフィルム12、13とを接着できれば、特に限定されない。例えば、0.1μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上5μm以下である。なお、金属箔11とPPフィルム12との間に形成される接着層及び金属箔11とPPフィルム13との間に形成される接着層の厚みは、それぞれ異なっていてもよい。
(接着剤14の酸変性ポリオレフィン系樹脂)
接着剤14の酸変性ポリオレフィン系樹脂は、接着性を有する樹脂である。
酸変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用される不飽和カルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。これらの中でも、エポキシ基と良好に反応する観点から、カルボン酸無水物基を含有する無水マレイン酸が好ましい。
なお、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、1種類の不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたものを単独で使用してもよいし、2種類以上の不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたものを組み合わせて使用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでもポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂が好ましく、これらは当該樹脂が加熱された際の分子運動が促進され、エポキシ化合物との架橋剤同士が接触する機会が増える結果、剥離強度や耐アルカリ性が向上する。共重合体はブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
なお、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物に代えて共重合することにより、あるいは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合することにより得られるポリマーである。
接着剤14の酸変性ポリオレフィン系樹脂おける不飽和カルボン酸又はその酸無水物の割合は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン系樹脂の融点は、柔軟性に優れる為、50℃以上120℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上110℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上100℃以下である。
なお、本明細中における酸変性オレフィン系樹脂の融点とは、JIS−K7121に準拠し、示差走査熱量計で測定して得られる融解吸熱曲線における吸熱ピーク温度をいう。
酸変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10000以上180000以下が好ましく、より好ましくは40000以上150000以下であり、さらに好ましくは重量平均分子量が60000以上100000以下である。重量平均分子量が上記範囲であれば、凝集力が強く接着性に優れるとともに、エポキシ化合物との硬化反応に優れる。
(接着剤14のエポキシ化合物)
接着剤14のエポキシ化合物は、接着剤14に含有される酸変性ポリオレフィン系樹脂と反応して架橋構造を形成する複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、とくに限定されない。例えば、ポリオールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、キレート変性エポキシ樹脂などを挙げることができ、これらの中から選ばれる1種或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
以下では、本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムが、強アルカリ性の溶液に対して高い耐性を有しつつ、高い剥離強度を発揮させることができることを確認した。
なお、これらの実施例は、本実施形態の一例を示すものであり、本実施形態がこれらに限定されるものではない。
(フィルムの作製)
実験に使用したニッケル水素電池筐体用フィルムは、以下のとおり作製した。
まず、アルミニウム箔(厚さ12μm)の一方の面に、溶剤で希釈された接着剤を塗布し、加熱して溶剤を乾燥した。ついで、ポリプロピレン樹脂(ブロックポリプロピレン)からなるポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)を接着剤(乾燥後の接着剤の厚さ3μm)を塗布したアルミニウム箔の一方の面にドライラミネーション法により貼り合わせた。そして、アルミニウム箔の他方の面に上記と同様の方法及び材料を用いてポリプロピレンフィルムを貼り合わせた。
以上の製法により、ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層/接着剤からなる接着層/アルミニウム箔からなるアルミ箔層/接着剤からなる接着層/ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層を有するニッケル水素電池筐体用フィルムを作製した。
接着剤は、主剤として酸変性ポリオレフィン系樹脂である無水マレイン酸変性プロピレン−1−ブテン共重合体(融点:75℃、無水マレイン酸の割合:1.5質量%、重量平分子量:75000)を使用し、架橋剤としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂を使用した。架橋剤は、主剤100質量部に対して架橋剤が1質量部となるように混合した。
(比較フィルムの作製)
上記方法と同様の方法により比較フィルム1、2を作製した。
比較フィルム1は、ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層/接着剤からなる接着層/アルミニウム箔からなるアルミ箔層/接着剤からなる接着層/ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層を有するように作製した。
ただし、比較フィルム1で使用した接着剤は、架橋剤としてのエポキシ樹脂を含有しないものを使用した。
比較フィルム2は、ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層/接着剤からなる接着層/アルミニウム箔からなるアルミ箔層/接着剤からなる接着層/ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層を有するように作製した。
ただし、比較フィルム2で使用した接着剤は、主剤としてウレタン系樹脂(東洋モートン株式会社製、型番;IS−704)、架橋剤としてイソシアネート化合物(東洋モートン株式会社製、型番;CR−901)からなるものを使用した。架橋剤は、主剤100質量部に対して架橋剤が10質量部となるよう混合した。
上記の方法で作製したニッケル水素電池筐体用フィルム、比較フィルム1および比較フィルム2の耐アルカリ性を評価した。耐アルカリ性の評価は、アルカリ水溶液への浸漬後のフィルム外観及びアルカリ水溶液への浸漬前後の剥離強度によって評価した。
(アルカリ水溶液への浸漬後のフィルム外観)
各フィルムから短冊状サンプル(幅25mm×長さ60mm)を切り出し、水酸化カリウム水溶液(1mol/kg、40℃)に浸漬し、所定時間(浸漬1時間、浸漬3時間)ごとに取り出したサンプルの外観を確認した。
なお、水酸化カリウム水溶液の温度40℃は、ニッケル水素電池の一般的な使用状況で発生する温度と同程度の温度である。
(アルカリ水溶液への浸漬前後の剥離強度)
各フィルムから短冊状サンプル(幅25mm×長さ60mm)を切り出し、水酸化カリウム水溶液(1mol/kg、40℃)に浸漬し、所定時間(浸漬1時間、浸漬3時間、浸漬21時間)ごとに取り出したサンプルを準備した。なお、このときアルカリ水溶液に浸漬しなかった短冊状サンプルも併せて準備した。
上記で準備した短冊状サンプルの長手方向の縁を残すように短冊状サンプルから予備サンプル(幅15mm×長さ60mm)を切り出した。この予備サンプルは、長手方向の端部から約10mmの箇所に一方の面から切れ目をいれた。この切れ目は、アルミニウム箔を切断しないよう幅方向にハーフカットとなるようにした。そして、このハーフカットラインを起点に折り曲げを繰り返してアルミニウム箔を切断した。つまり、予備サンプルは、切れ目を入れた一方の面から、接着剤からなる接着層/ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層だけでつながった状態にした。そして、かかる状態における予備サンプルを、切断箇所を起点に長手方向の左右に引っ張って予備サンプルの一方の端部を引き裂いた。
ついで、引き裂いた予備サンプルの端面から露出しているポリプロピレンフィルムと残りの層とを約10mm剥がして引張試験用サンプルを作製した。
作製した引張試験用サンプルは、残りの層におけるポリプロピレンフィルムの外面をアルミニウム板に両面テープで貼り合わせてニッケル水素電池筐体用フィルムのアルミニウム箔とポリプロピレンフィルムとの剥離強度(180度剥離試験)を測定した。
180度剥離試験は、引張試験機((株)津製作所製、型番AG−500C)を用いて、23℃50%RH雰囲気下において50mm/minで引張試験を行って剥離強度(N/15mm)を測定した。
なお、試験において、ポリプロピレンフィルムは鋭角に折り曲げられた状態になり、残りの層(接着剤からなる接着層/アルミニウム箔からなるアルミ箔層/接着剤からなる接着層/ポリプロピレンフィルムからなるポリプロピレン樹脂層)が直線状態になるようにした。
(結果)
実験結果を図4に示す。
図4に示すように、ニッケル水素電池筐体用フィルム(実施例)は、所定の温度の強アルカリ溶液に浸漬してもその外観に目立った変化はなかった。一方、比較フィルム1では、浸漬3時間で接着層が強アルカリ溶液によって膨潤し、アルミニウム箔が溶解していることが確認できた。
また、ニッケル水素電池筐体用フィルムは、いずれの浸漬時間でも浸漬前(図4では浸漬0時間)の剥離強度とほぼ同じ値を示していた。一方、比較フィルム2では、外観上の変化は確認されなかったが、浸漬時間の経過に伴い剥離強度が低下する傾向にあることが確認できた。つまり、外観上区別できない状態であっても比較フィルム2では、接着層の一部が膨潤することにより、ウレタン系接着剤が加水分解によって低分子量化して凝集力が低下し、その結果、剥離強度が低下したものと推測される。
以上の実験結果から、本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムは、接着剤に特定の架橋剤を含有することによって耐アルカリ性が向上することが確認できた。しかも、ニッケル水素電池の使用温度に近い温度であっても長時間にわたって高い剥離強度を維持することが確認できた。
したがって、本実施形態のニッケル水素電池筐体用フィルムをニッケル水素電池に使用しても長期間に渡ってガスバリア性を適切に保持することができることが確認できた。
本発明のニッケル水素電池筐体用フィルムは、ニッケル水素電池用のガスバリア性を有するフィルムとして適している。
1 ニッケル水素電池用の筐体
2 筐体の蓋体
3 単電池
10 ニッケル水素電池筐体用フィルム
11 金属箔
12、13 PPフィルム
14 接着剤
EM ニッケル水素電池
L 電解液

Claims (11)

  1. ニッケル水素電池用の筐体の外側面に設けられる多層フィルムであって、
    前記筐体が、ポリプロピレン系樹脂を含有しており、
    前記多層フィルムが、
    前記筐体の外側面に一体化される第一フィルムと、該第一フィルムの外面に接着剤によって接着された金属箔と、該金属箔の外面に接着剤によって接着された第二フィルムと、を備えており、
    前記第一フィルムおよび前記第二フィルムが、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有しており、
    前記接着剤が、
    酸変性ポリオレフィン系樹脂と、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、を含有する
    ことを特徴とするニッケル水素電池筐体用フィルム。
  2. 前記接着剤が
    前記酸変性ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有し、
    前記酸変性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物を0.1質量部以上20質量部以下含有する
    ことを特徴とする請求項1記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  3. 前記酸変性ポリオレフィン系樹脂の融点が50℃以上120℃以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  4. 前記酸変性ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が40000以上150000以下である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  5. 前記酸変性ポリオレフィン系樹脂が、
    無水マレイン酸で変性した酸変性ポリプロピレン系樹脂を含有するものである
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  6. 前記酸変性ポリプロピレン樹系脂は、
    無水マレイン酸の割合が0.1質量%以上30質量%以下である
    ことを特徴とする請求項5記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  7. 前記金属箔が、アルミニウムを含有する金属で形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至6記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  8. 前記金属箔の厚みが5μm以上50μm以下であり、
    前記第一フィルムおよび前記第二フィルムの厚みがそれぞれ10μm以上100μm以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至7記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  9. 前記多層フィルムは、
    前記ニッケル水素電池用の筐体を一体形成する際にインサート部材として用いられるものである
    ことを特徴とする請求項1乃至8記載のニッケル水素電池筐体用フィルム。
  10. 請求項1乃至9記載のニッケル水素電池筐体用フィルムが一体化されたことを特徴とするニッケル水素電池用筐体。
  11. 請求項10記載のニッケル水素電池用筐体を用いてなることを特徴とするニッケル水素電池。
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