JP2020063326A - 人工木材製造用フェノール樹脂、人工木材製造用組成物、人工木材、および、人工木材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人工木材の強度の向上が可能な樹脂を提供する。【解決手段】以下、一般式(1)で表される構造単位を含む人工木材製造用フェノール樹脂。【化1】(一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R1、R2の少なくともいずれか一方は、炭素数1〜10のアルキル基である。)【選択図】なし
Description
本発明は、人工木材製造用フェノール樹脂、人工木材製造用組成物、人工木材、および、人工木材の製造方法に関する。
樹脂や木粉などを混合または混練して得られた樹脂組成物を、所望の形状に成形して得られる人工木材の研究開発が行われている。
人工木材は、木材の風合いを持ちつつも、天然の木材と比較して耐久性が高い(腐食に強い)、耐水性、耐候性、寸法安定性などが高い、プラスチックのように成形が可能である、等の特徴がある。また、一度使用した人工木材を粉砕して再度成形体を製造するマテリアルリサイクルも可能である。
人工木材は、これまで木材が用いられてきた各種エクステリア製品、住宅用内装材等の建材、各種構造材、例えばデッキ材、手すり、枕木等として使用することができる。人工木材は、木材・プラスチック複合材(Wood Plastic Composite:WPC)と呼ばれることもある。
人工木材は、これまで木材が用いられてきた各種エクステリア製品、住宅用内装材等の建材、各種構造材、例えばデッキ材、手すり、枕木等として使用することができる。人工木材は、木材・プラスチック複合材(Wood Plastic Composite:WPC)と呼ばれることもある。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン樹脂を、木粉などと配合して樹脂組成物を調製し、その樹脂組成物を用いて人工木材を得たことが記載されている。
従来の人工木材には、なお様々な改善の余地がある。特に、強度については更なる改善の余地がある。人工木材は建材や構造材などとしてしばしば用いられるため、強度の向上は重要である。
今回、本発明者は、木粉などと混合する樹脂として新たなものを用いることで、人工木材の強度を向上させられないかと考えた。
つまり、本発明者は、人工木材の強度の向上が可能な樹脂を提供することを課題として、新たな発明を検討した。
つまり、本発明者は、人工木材の強度の向上が可能な樹脂を提供することを課題として、新たな発明を検討した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を達成できることを見出した。
本発明によれば、
以下一般式(1)で表される構造単位を含む人工木材製造用フェノール樹脂が提供される。
以下一般式(1)で表される構造単位を含む人工木材製造用フェノール樹脂が提供される。
また、本発明によれば、
上記の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を含む、人工木材製造用組成物が提供される。
上記の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を含む、人工木材製造用組成物が提供される。
また、本発明によれば、
上記の人工木材製造用組成物により製造された人工木材が提供される。
上記の人工木材製造用組成物により製造された人工木材が提供される。
また、本発明によれば、
上記の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を加熱しながら混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を金型に入れて成形する成形工程と
を含む人工木材の製造方法が提供される。
上記の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を加熱しながら混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を金型に入れて成形する成形工程と
を含む人工木材の製造方法が提供される。
本発明によれば、人工木材の強度の向上が可能な人工木材製造用フェノール樹脂が提供される。また、そのような樹脂を用いて人工木材を製造することで、高強度の人工木材を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<人工木材製造用フェノール樹脂>
本実施形態の人工木材製造用フェノール樹脂は、以下一般式(1)で表される構造単位を含む。
本実施形態の人工木材製造用フェノール樹脂は、以下一般式(1)で表される構造単位を含む。
一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R1、R2の少なくともいずれか一方は、炭素数1〜10のアルキル基である。
なお、以下では、「人工木材製造用フェノール樹脂」を、単に「フェノール樹脂」とも表記する。
本実施形態の人工木材製造用フェノール樹脂が、上記一般式(1)で表される構造単位を含むことにより、人工木材の強度の向上する理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
人工木材は、例えば、木粉と、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主原料とする。ここで、木粉は極性が高く、ポリオレフィン樹脂は極性が低く、両者はなじみにくいため、無水カルボン酸で変性されたポリエチレン等の相溶化剤と混合して生産される。
また、本実施形態のフェノール樹脂は、上記一般的(1)で示されるアルキルフェノールの骨格を有し、少なくとも1つのアルキル基を有するため、従来の、アルキル基を有しない骨格に比べ、極性が低い。そのため、木粉と、オレフィン樹脂とを含む原料を混合する際、オレフィン樹脂もしくは相溶化剤と、従来よりも極性の低い、本実施形態に係るフェノール樹脂とがよくなじみ混和し、木粉とオレフィン樹脂との界面において、両者がよりなじみやすくなることにより、木粉と樹脂の界面強度が向上し、人工木材としたときの強度を向上させることができるものと考えられる。なお、上記の説明は推測を含むものであり、また、上記説明の内容により本発明が限定されるものではない。
人工木材は、例えば、木粉と、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主原料とする。ここで、木粉は極性が高く、ポリオレフィン樹脂は極性が低く、両者はなじみにくいため、無水カルボン酸で変性されたポリエチレン等の相溶化剤と混合して生産される。
また、本実施形態のフェノール樹脂は、上記一般的(1)で示されるアルキルフェノールの骨格を有し、少なくとも1つのアルキル基を有するため、従来の、アルキル基を有しない骨格に比べ、極性が低い。そのため、木粉と、オレフィン樹脂とを含む原料を混合する際、オレフィン樹脂もしくは相溶化剤と、従来よりも極性の低い、本実施形態に係るフェノール樹脂とがよくなじみ混和し、木粉とオレフィン樹脂との界面において、両者がよりなじみやすくなることにより、木粉と樹脂の界面強度が向上し、人工木材としたときの強度を向上させることができるものと考えられる。なお、上記の説明は推測を含むものであり、また、上記説明の内容により本発明が限定されるものではない。
上記したように、一般式(1)中、R1、R2の少なくともいずれか一方は、炭素数1〜10のアルキル基である。R1、R2は、ともに炭素数1〜10のアルキル基であっても構わないし、R1、R2のいずれか一方のみが炭素数1〜10のアルキル基であって、他方は水素原子でも構わないが、R1、R2のいずれか一方のみが炭素数1〜10のアルキル基であって、他方は水素原子である態様がより好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキル基において、炭素数は1〜6であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。アルキル基の炭素数を上記範囲内とすることで、極性バランスに優れたフェノール樹脂とすることができ、木粉と、極性の高い樹脂とがよりなじみよく混和し、木粉の表面に樹脂がよりなじみやすくなることにより、木粉と樹脂の界面強度が向上し、強度をさらに向上させることができる
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
上記、一般式(2)中、R3は、一価の置換基を示し、mは、1〜3の整数である。mが2以上であるとき、複数あるR3は同じ基でもよいし、異なる基であってもよい。
R3が1価の置換基である場合、その置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メチロール等が挙げられる。1価の置換基の炭素数は、例えば1〜10、好ましくは1〜6である。
R3は、メチロール基及びアルキル基であることが好ましく、上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
R3は、メチロール基及びアルキル基であることが好ましく、上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
一般式(1)中のR1、R2と、一般式(2)中のR3は、同じ基でもよいし、異なる基であってもよい。
前記したように、本実施形態に係るフェノール樹脂は、前記式(1)で表される構造単位を含み、前記式(2)で表される構造単位を含むことが好ましい。また、本実施形態に係るフェノール樹脂は、さらに以下式(3)及び/又は(4)で表される構造単位を含むこともできる。
また、本実施形態に係るフェノール樹脂は式(1)〜(4)で表される構造単位以外の構造単位を含むこともできる。
また、本実施形態に係るフェノール樹脂は式(1)〜(4)で表される構造単位以外の構造単位を含むこともできる。
前記人工木材製造用フェノール樹脂は、該フェノール樹脂において、人工木材製造用フェノール樹脂を100としたとき、前記一般式(1)で表される構造単位が、1mol%以上50mol%以下であることが好ましく、3mol%以上40mol%以下であることがより好ましく、5mol%以上30mol%以下であることが特に好ましい。前記一般式(1)で表される構造単位を上記範囲内とすることで、極性バランスに優れたフェノール樹脂とすることができ、木粉と、極性の高い樹脂とがなじみよく混和し、木粉の表面に樹脂がなじみやすくなることにより、木粉と樹脂の界面強度が向上し、強度を向上させることができる。
前記人工木材製造用フェノール樹脂は、該フェノール樹脂において、人工木材製造用フェノール樹脂を100としたとき、前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位の和が、1mol%以上50mol%以下であることが好ましく、3mol%以上40mol%以下であることがより好ましく、5mol%以上30mol%以下であることが特に好ましい。前記一般式(1)で表される構造単位を上記範囲内とすることで、極性バランスに優れたフェノール樹脂とすることができ、木粉と、極性の高い樹脂とがなじみよく混和し、木粉の表面に樹脂がなじみやすくなることにより、木粉と樹脂の界面強度が向上し、強度を向上させることができる。
また、本実施形態においては、フェノール樹脂中の官能基の量、例えば、一般式(1)で表される構造単位に含まれるアルキル基の量、一般式(2)で表される構造単位に含まれるアルキル基(メチル基)の量、さらに、フェノール樹脂中に含まれる水酸基の量等を適切に調整することで、一層、木粉と、極性の高い樹脂とのなじみが向上し、人工木材の強度を高めることができるものと考えられる。具体的には、
・フェノール樹脂中の式(1)に含まれるR1及び/又はR2、並びに、式(2)に含まれるR3に含まれるメチル基のモル量をMAとし、
・フェノール樹脂中のヒドロキシメチル基のモル量をMBとしたとき、
MA/MBは、例えば0.1以上30以下とすることができ、好ましくは0.3以上20以下、より好ましくは0.5以上15以下とすることができる。
・フェノール樹脂中の式(1)に含まれるR1及び/又はR2、並びに、式(2)に含まれるR3に含まれるメチル基のモル量をMAとし、
・フェノール樹脂中のヒドロキシメチル基のモル量をMBとしたとき、
MA/MBは、例えば0.1以上30以下とすることができ、好ましくは0.3以上20以下、より好ましくは0.5以上15以下とすることができる。
前記人工木材製造用フェノール樹脂おいて、前記一般式(1)で表される構造単位の含有量をはじめとする各構造単位の含有量、及び、官能基の量は、フェノール樹脂合成の際の原料の種類、及び、仕込み量を変更することで調整することができる。
ここで、本実施形態の人工木材製造用フェノール樹脂中の式(1)及び(2)であらわされる構造が存在していることの確認や、これらの量比については、例えば、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)や、赤外分光法での測定により知ることができる。1H−NMRにより式(1)及び(2)で表される構造の存在や、量比を確認する方法は、具体的には、以下のように行うことができる。
まず、フェノール樹脂にアセチル化処理をして、メチロール基をアセチルメチル基(−CH2OC(O)CH3)に置換する。ここでアセチル化処理を行う理由は、そのままの状態で分析を行った場合、メチロール基に対応する水酸基のシフト値が測定の度に変化するためである。メチロール基に対応する水酸基をアセチル化させ、メチロール基(−CH2OH)をアセチルメチル基(−CH2OC(O)CH3)に変化させることにより、より正確な分析を行うことができる。
アセチル化処理の方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。まず、フェノール樹脂を、シャーレ上に広げて真空乾燥機で脱水及び脱溶剤を行う。得られたフェノール樹脂を三角フラスコの中に入れ、ピペットでピリジン、無水酢酸を入れて、栓をして樹脂を溶解させ、氷冷しながら、三角フラスコの栓をシールして、回りをアルミ箔で覆い、遮光する。24時間放置した後、純水中に三角フラスコの内容物を入れる。次いで、ろ紙を用いて沈殿物を取り出し、ろ紙上で沈殿物を純水でよく洗浄し、最後に沈殿物をアセトンに溶かして、フラスコに入れて、真空乾燥機で、室温で減圧を行い、溶剤、水分を除去する。以上の工程により、樹脂のアセチル化を行うことができる。
アセチル化した樹脂をフラスコの中に入れ、重アセトン、重クロロホルム、重水などの重溶媒で溶解させ、樹脂溶解液を得る。得られた樹脂溶解液をNMR用試験管へ入れ、1H−NMR装置(JEOL社製、共鳴周波数300MHz)により1H−NMRスペクトルを得る。
例えば、重溶媒として重アセトンを用いた場合、以下のシフト値に対応するシグナルから、各基の存在や量比を知ることができる。
・シフト値が1.0ppm以上1.4ppm以下にある、式(1)におけるR1及び/又はR2、並びに、式(2)におけるR3に含まれるメチル基由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が3.5ppm以上4.0ppm以下にある、フェニレン基(−Ph−)間のメチレン基(−Ph−CH2−Ph−)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が4.3ppm以上4.8ppm以下にある、ジメチレンエーテル基(−CH2−O−CH2)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が4.8ppm以上5.3ppm以下にある、アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が6.5ppm以上7.5ppm以下にある、芳香環のプロトン由来のピークの有無やその面積(積分値)
まず、フェノール樹脂にアセチル化処理をして、メチロール基をアセチルメチル基(−CH2OC(O)CH3)に置換する。ここでアセチル化処理を行う理由は、そのままの状態で分析を行った場合、メチロール基に対応する水酸基のシフト値が測定の度に変化するためである。メチロール基に対応する水酸基をアセチル化させ、メチロール基(−CH2OH)をアセチルメチル基(−CH2OC(O)CH3)に変化させることにより、より正確な分析を行うことができる。
アセチル化処理の方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。まず、フェノール樹脂を、シャーレ上に広げて真空乾燥機で脱水及び脱溶剤を行う。得られたフェノール樹脂を三角フラスコの中に入れ、ピペットでピリジン、無水酢酸を入れて、栓をして樹脂を溶解させ、氷冷しながら、三角フラスコの栓をシールして、回りをアルミ箔で覆い、遮光する。24時間放置した後、純水中に三角フラスコの内容物を入れる。次いで、ろ紙を用いて沈殿物を取り出し、ろ紙上で沈殿物を純水でよく洗浄し、最後に沈殿物をアセトンに溶かして、フラスコに入れて、真空乾燥機で、室温で減圧を行い、溶剤、水分を除去する。以上の工程により、樹脂のアセチル化を行うことができる。
アセチル化した樹脂をフラスコの中に入れ、重アセトン、重クロロホルム、重水などの重溶媒で溶解させ、樹脂溶解液を得る。得られた樹脂溶解液をNMR用試験管へ入れ、1H−NMR装置(JEOL社製、共鳴周波数300MHz)により1H−NMRスペクトルを得る。
例えば、重溶媒として重アセトンを用いた場合、以下のシフト値に対応するシグナルから、各基の存在や量比を知ることができる。
・シフト値が1.0ppm以上1.4ppm以下にある、式(1)におけるR1及び/又はR2、並びに、式(2)におけるR3に含まれるメチル基由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が3.5ppm以上4.0ppm以下にある、フェニレン基(−Ph−)間のメチレン基(−Ph−CH2−Ph−)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が4.3ppm以上4.8ppm以下にある、ジメチレンエーテル基(−CH2−O−CH2)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が4.8ppm以上5.3ppm以下にある、アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピークの有無やその面積(積分値)
・シフト値が6.5ppm以上7.5ppm以下にある、芳香環のプロトン由来のピークの有無やその面積(積分値)
特に、本実施形態では、アセチル化処理したフェノール樹脂の1H−NMRスペクトルにおいて、R1及び/又はR2、並びに、R3におけるメチル基由来のピークの積分値(シフト値が1.0ppm以上1.4ppm以下)を(a)とし、アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピークの積分値(シフト値が4.8ppm以上5.3ppm以下)を(b)としたとき、(a)/(b)が、0.1以上30以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以上20以下であり、特に好ましくは0.5以上15以下である。
なお、(a)/(b)は、上述のMA/MBに対応する。すなわち、(a)/(b)が上記数値範囲内にあることは、フェノール樹脂において、一般式(1)で表される構造単位に含まれるアルキル基の量、及び、一般式(2)で表される構造単位に含まれるアルキル基の量と、フェノール樹脂中に含まれる水酸基の量とが適切なバランスで存在することを示し、アルキル基と水酸基が適切なバランスであることにより、木粉と、極性の高い樹脂とのなじみが向上し、人工木材の強度を高めることができるものと考えられる。
なお、(a)/(b)は、上述のMA/MBに対応する。すなわち、(a)/(b)が上記数値範囲内にあることは、フェノール樹脂において、一般式(1)で表される構造単位に含まれるアルキル基の量、及び、一般式(2)で表される構造単位に含まれるアルキル基の量と、フェノール樹脂中に含まれる水酸基の量とが適切なバランスで存在することを示し、アルキル基と水酸基が適切なバランスであることにより、木粉と、極性の高い樹脂とのなじみが向上し、人工木材の強度を高めることができるものと考えられる。
また、本実施形態においては、芳香環のプロトン由来のピークの積分値を1としたとき、R1及び/又はR2、並びに、R3におけるメチル基由来のピークの積分値を0.1〜1とすることができ、アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピークの積分値を0.01〜0.5とすることができ、フェニレン基(−Ph−)間のメチレン基(−Ph−CH2−Ph−)由来のピークを0.05〜0.5とすることができ、ジメチレンエーテル基(−CH2−O−CH2)由来のピークを0.1〜1とすることができる。
フェノール樹脂としては、特に限定されず、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等をフェノール源として、苛性ソーダ、水酸化バリウム、消石灰等の塩基性触媒や酢酸亜鉛等の二価金属塩触媒の存在下でアルデヒド源と反応して得られるメチロールレゾール型フェノール樹脂及びジメチレンエーテルレゾール型フェノール樹脂、あるいは桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態のフェノール樹脂は、少なくとも、フェノール及び少なくとも1つのアルキル基を有するアルキルフェノールをフェノール源とすることが好ましい。少なくとも1つのアルキル基を有するアルキルフェノールとしては、上記式(1)中のR1、R2を置換基として有するアルキルフェノールをフェノール源とすることが好ましい。少なくとも1つのアルキル基を有するアルキルフェノールとしては、具体的には、クレゾール、キシレノール、4−tert−ブチルフェノール等の1価フェノール、レゾルシン等の多価フェノール等が挙げられる。
合成法については、特開平5−148334号公報などの記載を参考にすることができ、例えば、上記フェノール類とホルムアルデヒドと、好ましくは反応触媒の混合物を加熱撹拌することにより反応させる反応工程を行い、その後、ホルムアルデヒド源に含まれる水分及び縮合水を除去するために脱水工程を行なうことで本実施形態のフェノール樹脂を得ることができる。
ホルムアルデヒドとしてはパラホルムアルデヒド、ホルマリン又はそれらの混合物などが使用できる。
ホルムアルデヒドとしてはパラホルムアルデヒド、ホルマリン又はそれらの混合物などが使用できる。
本実施形態のフェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば300〜10000、好ましくは500〜8000である。また、本実施形態のフェノール樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、例えば1〜10、好ましくは2〜8である。これらの値は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
本実施形態のフェノール樹脂は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、周期共重合体などのいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂の形態、形状については、特に限定されず、これらは1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。つまり、固形、粉末、液状いずれの状態であってもよいが、本実施形態のフェノール樹脂は、25℃で固形であることが好ましい。本実施形態のフェノール樹脂によれば、上記式(1)で表される構造単位を含むため、フェノール樹脂を室温で固形とすることができ、従来の液状のフェノール樹脂に比べ、製造工程において投入が容易である、容器・製造装置が汚れにくい、容器・製造装置の清掃が容易である等、ハンドリング上、大きなメリットがある。
<人工木材製造用組成物>
本実施形態の人工木材製造用組成物は、上述の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を含む。また、人工木材を製造可能な限りにおいて、これら以外に任意の成分を含んでいてもよい。
本実施形態の人工木材製造用組成物は、上述の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を含む。また、人工木材を製造可能な限りにおいて、これら以外に任意の成分を含んでいてもよい。
人工木材製造用組成物の全体を基準としたときの、上述の人工木材製造用フェノール樹脂の含有量は、典型的には0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
以下、フェノール樹脂以外の成分について説明する。
・木粉
本実施形態の人工木材製造用組成物は、木粉を含む。
使用可能な木粉については、特に限定されず、他の成分と混合または混練できる形状および大きさであればよい。具体的には、製材工場から排出されるノコギリ屑(木屑、オガ屑)、木材チップ、廃木材の粉砕チップなどが挙げられる。
木粉の粒度は、10〜200メッシュパス程度のもの、粒径にして20〜150μmのものが好ましい。
木粉は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、木粉の原料は、バージン原料である必要はなく、建築廃材等から再生されたリサイクル原料であってもよい。
本実施形態の人工木材製造用組成物は、木粉を含む。
使用可能な木粉については、特に限定されず、他の成分と混合または混練できる形状および大きさであればよい。具体的には、製材工場から排出されるノコギリ屑(木屑、オガ屑)、木材チップ、廃木材の粉砕チップなどが挙げられる。
木粉の粒度は、10〜200メッシュパス程度のもの、粒径にして20〜150μmのものが好ましい。
木粉は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、木粉の原料は、バージン原料である必要はなく、建築廃材等から再生されたリサイクル原料であってもよい。
人工木材製造用組成物の全体を基準としたときの、木粉の含有量は、典型的には20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
・熱可塑性樹脂
本実施形態の人工木材製造用組成物は、熱可塑性樹脂を含む。
使用可能な熱可塑性樹脂については、特に限定されない。
具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS、EVA、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、アクリル系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフイド、ポリアセタール等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、具体的には、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)等のポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
なかでも、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS等が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、熱可塑性樹脂はバージン原料である必要はなく、容器包装廃棄物、家電廃棄物、産業廃棄物から再生されたリサイクル原料であってもよい。
本実施形態の人工木材製造用組成物は、熱可塑性樹脂を含む。
使用可能な熱可塑性樹脂については、特に限定されない。
具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS、EVA、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、アクリル系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフイド、ポリアセタール等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、具体的には、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)等のポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
なかでも、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS等が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、熱可塑性樹脂はバージン原料である必要はなく、容器包装廃棄物、家電廃棄物、産業廃棄物から再生されたリサイクル原料であってもよい。
人工木材製造用組成物の全体を基準としたときの、熱可塑性樹脂の含有量は、典型的には5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
・相溶化剤
本実施形態の人工木材製造用組成物は、相溶化剤を含む。
使用可能な相溶化剤については、特に限定されない。人工木材に通常用いられるものは、いずれも用いることができる。
具体的には、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンベースポリマーとして、これを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(単量体)の一種又は二種以上の混合物によって変性した変性ポリオレフィンが挙げられる。不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸、又はその誘導体、例えば、無水物、アミド、イミド、エステルなどが挙げられる。なかでも、ポリオレフィンをベースポリマーとする無水カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。
相溶化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
相溶化剤を、上述した本実施形態のフェノール樹脂等と組み合わせて用いることにより、人工木材成形品の強度を向上させることができる。
本実施形態の人工木材製造用組成物は、相溶化剤を含む。
使用可能な相溶化剤については、特に限定されない。人工木材に通常用いられるものは、いずれも用いることができる。
具体的には、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンベースポリマーとして、これを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(単量体)の一種又は二種以上の混合物によって変性した変性ポリオレフィンが挙げられる。不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸、又はその誘導体、例えば、無水物、アミド、イミド、エステルなどが挙げられる。なかでも、ポリオレフィンをベースポリマーとする無水カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、より好ましくは、無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。
相溶化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
相溶化剤を、上述した本実施形態のフェノール樹脂等と組み合わせて用いることにより、人工木材成形品の強度を向上させることができる。
人工木材製造用組成物の全体を基準としたときの、相溶化剤の含有量は、典型的には0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
・その他成分
本実施形態の人工木材製造用組成物は、種々の目的のために、上記以外の任意成分を含んでもよい。例えば、滑剤や充填材などを含んでもよい。
本実施形態の人工木材製造用組成物は、種々の目的のために、上記以外の任意成分を含んでもよい。例えば、滑剤や充填材などを含んでもよい。
例えば、成形性向上のために、滑剤を用いてもよい。使用可能な滑剤については特に限定されない。具体的には、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩が挙げられる。滑剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、人工木材としたときの特性を改善するために、充填材を用いてもよい。使用可能な充填材としては特に限定されない。例えば、一般に樹脂組成物に配合されるタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラストナイト、ガラス繊維、水酸化マグネシウム、高炉スラグ、フライアッシュ等の無機充填材を挙げることができる。充填材は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<人工木材の製造方法および人工木材>
本実施形態の人工木材の製造方法は、上記のフェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤(または、上記の人工木材製造用組成物)を加熱しながら混練して混練物を得る混練工程と、その混練物を金型に入れて成形する成形工程とを含む。また、これら以外の任意の工程を含んでもよいし、含まなくてもよい。
本実施形態の人工木材の製造方法は、上記のフェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤(または、上記の人工木材製造用組成物)を加熱しながら混練して混練物を得る混練工程と、その混練物を金型に入れて成形する成形工程とを含む。また、これら以外の任意の工程を含んでもよいし、含まなくてもよい。
混練工程で用いる混練装置については、特に限定されない。例えば、ヘンシェルミキサー等の高速アジテート式混練機、ニーダー等の高粘性用ブレード型混練機、単軸または多軸押出機等、通常の人工木材組成物の製造で用いられる混練装置を用いることができる。また、これらの混練装置は、回分式混練装置であっても連続式混練装置であってもよい。
なお、各成分は、一括して混練されてもよいし、まず一部の成分のみを混練し、その後他の成分を追添して混練してもよい。例えば、熱可塑性樹脂、木粉及び相溶化剤を含む配合物を混練し、その後、本実施形態のフェノール樹脂を添加してさらに混練してもよい。
人工木材成形品の耐水性や強度を向上させる観点からは、熱可塑性樹脂、木粉及び相溶化剤を含む配合物を混練し、その後、本実施形態のフェノール樹脂を添加してさらに混練する方法が好ましい。
人工木材成形品の耐水性や強度を向上させる観点からは、熱可塑性樹脂、木粉及び相溶化剤を含む配合物を混練し、その後、本実施形態のフェノール樹脂を添加してさらに混練する方法が好ましい。
回分式混練装置を用いる場合は、例えば、熱可塑性樹脂、木粉及び相溶化剤を含む配合物を回分式混練装置に投入して混練し、その後で、フェノール樹脂を回分式混練装置に添加してさらに混練することによって、人工木材組成物を得ることができる。また、連続式混練装置を用いる場合は、例えば、連続式混練装置の原料投入口と組成物排出口との間に中間フィード口を設置して、熱可塑性樹脂、木粉及び相溶化剤を含む配合物を原料投入口から投入して混練した後に、フェノール樹脂を中間フィード口から添加し、さらに混練することによって、人工木材組成物(混練物)を得ることができる。
混練温度は特に限定されるものではなく、好ましくは、熱可塑性樹脂、相溶化剤およびフェノール樹脂の融点以上、木粉の分解温度以下である。具体的には、通常、130〜230℃が好ましく、より好ましくは150〜220℃以下である。混練温度を下限値以上とすることにより、熱可塑性樹脂や相溶化剤が溶融し、十分な混練を実現することができる。また、混練温度を上限値以下とすることにより、木粉が分解することによって人工木材の特性が低下するのを抑制することができる。
混練時間は特に限定されるものではなく、各原料が十分に混練された状態を確保できればよい。通常は1〜60分が好ましく、より好ましくは、5〜30分の範囲である。
成形工程については、典型的には、所望の金型に、上記で得られた混練物を注入するなどして行うことができる。
金型に混練物を注入する方法については特に限定されず、押出成形、射出成形等、公知の成形方法を適用することができる。
金型に混練物を注入する方法については特に限定されず、押出成形、射出成形等、公知の成形方法を適用することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<フェノール樹脂の製造(合成)>
・合成例1
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置を準備した。
この装置内に、フェノール1860質量部、オルトクレゾール620質量部(フェノールとオルトクレゾールの質量比75:25)、92質量%パラホルムアルデヒド1290質量部、酢酸亜鉛を15質量部添加した。これを120℃に加熱昇温させ、3時間撹拌し反応させた。その後、反応縮合物中に30kg/時間の水蒸気を吹き込み、真空度68cmhgで水分除去してレゾール型フェノール樹脂を合成した。
この樹脂を、フェノール樹脂1とする。
以上により、オルトクレゾールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、メチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、メチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する式(3)、及び、式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂1を3400質量部得た。
・合成例1
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置を準備した。
この装置内に、フェノール1860質量部、オルトクレゾール620質量部(フェノールとオルトクレゾールの質量比75:25)、92質量%パラホルムアルデヒド1290質量部、酢酸亜鉛を15質量部添加した。これを120℃に加熱昇温させ、3時間撹拌し反応させた。その後、反応縮合物中に30kg/時間の水蒸気を吹き込み、真空度68cmhgで水分除去してレゾール型フェノール樹脂を合成した。
この樹脂を、フェノール樹脂1とする。
以上により、オルトクレゾールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、メチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、メチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する式(3)、及び、式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂1を3400質量部得た。
・合成例2
オルトクレゾール620質量部に代え、4−tert−ブチルフェノールを372質量部とし、フェノールとオルトクレゾールの質量比85:15)とした以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂2」とする。
以上により、4−tert−ブチルフェノールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、tert−ブチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、tert−ブチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する、式(3)及び式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂2を得た。
また、後述の方法でフェノール樹脂2の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
オルトクレゾール620質量部に代え、4−tert−ブチルフェノールを372質量部とし、フェノールとオルトクレゾールの質量比85:15)とした以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂2」とする。
以上により、4−tert−ブチルフェノールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、tert−ブチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、tert−ブチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する、式(3)及び式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂2を得た。
また、後述の方法でフェノール樹脂2の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
・合成例3
オルトクレゾール620質量部に代え、4−tert−ブチルフェノールを620質量部とし、フェノールとオルトクレゾールの質量比75:25)とした以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂3」とする。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
以上により、4−tert−ブチルフェノールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、tert−ブチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、tert−ブチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する、式(3)及び式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂3を得た。
また、後述の方法でフェノール樹脂3の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
オルトクレゾール620質量部に代え、4−tert−ブチルフェノールを620質量部とし、フェノールとオルトクレゾールの質量比75:25)とした以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂3」とする。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
以上により、4−tert−ブチルフェノールに由来する、一般式(1)において、R1、R2が、tert−ブチル基、水素原子である構造単位、および、一般式(2)において、R3が、tert−ブチル基である構造単位、並びに、フェノールに由来する、式(3)及び式(4)で表される構造単位を含む固形のレゾール型フェノール樹脂3を得た。
また、後述の方法でフェノール樹脂3の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
・合成例4
オルトクレゾールを添加しなかった以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂4」とする。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
また、後述の方法でフェノール樹脂4の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
オルトクレゾールを添加しなかった以外は、合成例1と同様にしてフェノール樹脂を得た。
このフェノール樹脂を「フェノール樹脂4」とする。得られたフェノール樹脂は25℃で固形であった。
また、後述の方法でフェノール樹脂4の構造を評価した。各官能基に由来するピークの積分値を表2に示す。
<フェノール樹脂の構造評価>
以下の方法でフェノール樹脂をアセチル化した。
まず、各フェノール樹脂をシャーレ上に広げて、空乾燥機で水及び溶剤を除去した。
上記の乾燥処理した樹脂1gを、20ml三角フラスコに入れて、三角フラスコを氷水中に浸漬し、これにピリジン10gを添加して樹脂を溶かした。その後、無水酢酸10gを添加した。これを、三角フラスコに入れ、光が当たらないようにして、5℃で24時間放置した。その後、200mlの純水中に三角フラスコ内容物を入れた。ろ紙を用いて沈殿物を取り出し、ろ紙上で沈殿物を純水でよく洗浄した。沈殿物をアセトンに溶かして、ナス型フラスコに入れて、冷エタノールに浸漬して減圧凍結乾燥を行い、溶剤、水分を除去して、樹脂のアセチル化を行った。
アセチル化した樹脂をフラスコの中に入れ、重アセトンで溶解させ、樹脂溶解液を得た。得られた樹脂溶解液をNMR用試験管へ入れ、1H−NMR装置(JEOL社製、共鳴周波数300MHz)により1H−NMRスペクトルを得、各シフト値におけるピークの積分値を測定した。なお、各ピークはそれぞれ以下の構造に由来するものである。
シフト値が1.0ppm以上1.4ppm以下:式(1)におけるR1及び/又はR2、並びに、式(2)におけるR3におけるアルキル基中のメチル基由来のピーク
シフト値が3.5ppm以上4.0ppm以下:フェニレン基(−Ph−)間のメチレン基(−Ph−CH2−Ph−)由来のピーク
シフト値が4.3ppm以上4.8ppm以下:ジメチレンエーテル基(−CH2−O−CH2)由来のピーク
シフト値が4.8ppm以上5.3ppm以下:アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピーク
シフト値が6.5ppm以上7.5ppm以下:芳香環のプロトン由来のピーク
また、上記積分値より、フェノール樹脂を100としたときの、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位のモル比を算出した。結果を表2に示す。
以下の方法でフェノール樹脂をアセチル化した。
まず、各フェノール樹脂をシャーレ上に広げて、空乾燥機で水及び溶剤を除去した。
上記の乾燥処理した樹脂1gを、20ml三角フラスコに入れて、三角フラスコを氷水中に浸漬し、これにピリジン10gを添加して樹脂を溶かした。その後、無水酢酸10gを添加した。これを、三角フラスコに入れ、光が当たらないようにして、5℃で24時間放置した。その後、200mlの純水中に三角フラスコ内容物を入れた。ろ紙を用いて沈殿物を取り出し、ろ紙上で沈殿物を純水でよく洗浄した。沈殿物をアセトンに溶かして、ナス型フラスコに入れて、冷エタノールに浸漬して減圧凍結乾燥を行い、溶剤、水分を除去して、樹脂のアセチル化を行った。
アセチル化した樹脂をフラスコの中に入れ、重アセトンで溶解させ、樹脂溶解液を得た。得られた樹脂溶解液をNMR用試験管へ入れ、1H−NMR装置(JEOL社製、共鳴周波数300MHz)により1H−NMRスペクトルを得、各シフト値におけるピークの積分値を測定した。なお、各ピークはそれぞれ以下の構造に由来するものである。
シフト値が1.0ppm以上1.4ppm以下:式(1)におけるR1及び/又はR2、並びに、式(2)におけるR3におけるアルキル基中のメチル基由来のピーク
シフト値が3.5ppm以上4.0ppm以下:フェニレン基(−Ph−)間のメチレン基(−Ph−CH2−Ph−)由来のピーク
シフト値が4.3ppm以上4.8ppm以下:ジメチレンエーテル基(−CH2−O−CH2)由来のピーク
シフト値が4.8ppm以上5.3ppm以下:アセチル化したメチロール基(−CH2OH)由来のピーク
シフト値が6.5ppm以上7.5ppm以下:芳香環のプロトン由来のピーク
また、上記積分値より、フェノール樹脂を100としたときの、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位のモル比を算出した。結果を表2に示す。
<実施例1:人工木材の製造>
まず、以下の原料を準備した。
・木粉:粒径150μm以下に調整された木粉
・熱可塑性樹脂:低密度ポリエチレン(LDPE、日本ポリエチレン株式会社製、品番:ノバテックLF443)
・相溶化剤:マレイン酸変性直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(マレイン酸変性LLDPE、三菱ケミカル株式会社製、モディックM545)
・フェノール樹脂:上記のフェノール樹脂1
・滑剤:ステアリン酸亜鉛
まず、以下の原料を準備した。
・木粉:粒径150μm以下に調整された木粉
・熱可塑性樹脂:低密度ポリエチレン(LDPE、日本ポリエチレン株式会社製、品番:ノバテックLF443)
・相溶化剤:マレイン酸変性直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(マレイン酸変性LLDPE、三菱ケミカル株式会社製、モディックM545)
・フェノール樹脂:上記のフェノール樹脂1
・滑剤:ステアリン酸亜鉛
上記の木粉60質量部、熱可塑性樹脂36質量部、相溶化剤4質量部、フェノール樹脂2.5質量部および滑剤3.5質量部を乾式混合した。
その後、連続式混練機を用い、190℃で6分加熱混練して混練物を得た。この混練物を、押出機を用いて、長さ80mm、幅10mm、厚み40mmの金型に注入した。これを冷却して、評価用の人工木材を得た。
その後、連続式混練機を用い、190℃で6分加熱混練して混練物を得た。この混練物を、押出機を用いて、長さ80mm、幅10mm、厚み40mmの金型に注入した。これを冷却して、評価用の人工木材を得た。
<実施例2〜3および比較例:人工木材の製造>
フェノール樹脂として、フェノール樹脂1の代わりにフェノール樹脂2〜4を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用の人工木材を得た。
フェノール樹脂として、フェノール樹脂1の代わりにフェノール樹脂2〜4を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用の人工木材を得た。
<曲げ強度の評価>
得られた評価用の人工木材を用いて、プラスチック−曲げ特性の求め方(JIS K 7171 2008)に基づき、曲げ強度を測定した。支点間距離は64mm、試験速度は2mm/minとした。
得られた評価用の人工木材を用いて、プラスチック−曲げ特性の求め方(JIS K 7171 2008)に基づき、曲げ強度を測定した。支点間距離は64mm、試験速度は2mm/minとした。
各実施例および比較例について、用いたフェノール樹脂および曲げ強度をまとめて表1に示す。
表1より、一般式(1)に該当する構造を含むフェノール樹脂を用いることで、人工木材の強度の向上が可能であることが示された。
Claims (7)
- 前記人工木材製造用フェノール樹脂において、前記一般式(1)で表される構造単位が、人工木材製造用フェノール樹脂を100としたとき、1mol%以上50mol%以下である、請求項1又は2に記載の人工木材製造用フェノール樹脂。
- 25℃で固形である、請求項1〜3のいずれかに一項に記載の人工木材製造用フェノール樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を含む、人工木材製造用組成物。
- 請求項5に記載の人工木材製造用組成物により製造された人工木材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工木材製造用フェノール樹脂、木粉、熱可塑性樹脂および相溶化剤を加熱しながら混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を金型に入れて成形する成形工程と
を含む人工木材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018194364A JP2020063326A (ja) | 2018-10-15 | 2018-10-15 | 人工木材製造用フェノール樹脂、人工木材製造用組成物、人工木材、および、人工木材の製造方法 |
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