JP6811458B2 - セルロース繊維組成物及びセルロース繊維複合材料、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

セルロース繊維組成物及びセルロース繊維複合材料、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロース繊維組成物及びセルロース繊維複合材料、並びにこれらの製造方法に関する。
CNF(Cellulose Nano−Fiber)を汎用樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)と混練して強化したセルロース繊維複合材料は、その軽量性、難燃性、及び低熱伝導性などから、例えば、自動車の車体や航空機の機体に用いる次世代新素材として有望視されている。しかしながら、セルロース繊維は汎用樹脂との相溶性が低く、汎用樹脂中に均一に分散されにくいため、製品の品質にバラつきが出るという問題があり、工業化は進んでいない。
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、木質原料からリグニンとセルロースを分離する際に、リグニンとセルロースとを完全には分離させず、多少のリグニンが残存した状態でセルロースを取り出して微細化し、残存したリグニンによって汎用樹脂中におけるセルロース繊維の分散性を向上させて、セルロース繊維複合材料の物理的強度を向上させることが提案されている。
また、例えば、非特許文献1には、木質原料から分離したリグニンをリグノフェノールとして安定化させた後に、このリグノフェノールでセルロース繊維を覆うことによって、セルロース繊維と汎用樹脂との相溶性を向上させることが提案されている。
特開2009−19200号公報
「植物から生成の高強度繊維 実用化へ新素材開発」(徳島新聞、2015年11月17日発行)
しかし、特許文献1で提案されているような、多少のリグニンが残存した状態でセルロースを取出す方法では、リグニンとセルロースを解緩分離する際に希硫酸やリン酸などを使用することから、ヘミセルロースやその他の不純物の混入などが避けられない。そのため、セルロース繊維本体の純度に問題が残り、例えば、汎用樹脂と複合した際に強度が低下するなど、製品の品質に悪影響が生じる可能性がある。
また、非特許文献1には、セルロース繊維をリグノフェノールで覆うことが提案されているが、具体的な方法や数値などについては何ら開示されていない。例えば、リグノフェノールは高価なものであるため、経済性の観点などからは、セルロース繊維をコーティングするリグノフェノールの量を少なくすることが好ましいが、少量のリグノフェノールでセルロース繊維の表面を均一にコーティングすることは困難である。しかも、CNFと所定量のリグノフェノールとを均一に混合するためには、例えば、リグノフェノール自体もナノオーダーまで微細化しなければならないが、非特許文献1には、その具体的な方法は開示されていない。また、リグノフェノールは、セルロース繊維と汎用樹脂との接着剤としての機能を有するものであるが、リグノフェノールの量が少ない場合は、接着剤としての機能が十分に発揮されないおそれがあり、結果として、セルロース繊維複合材料の強度が低下する可能性があった。
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明の課題は、高価なリグノフェノールを少量しか用いずに、汎用樹脂との相溶性が高く、汎用樹脂と複合させてセルロース繊維複合材料とした際に、製品の強度の低下を招く等の悪影響が少ないセルロース繊維組成物を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むセルロース繊維組成物であって、コーティング樹脂がリグノフェノールのプレポリマーである、セルロース繊維組成物。
[2]コーティング樹脂がさらにフェノール樹脂を含む、上記[1]に記載のセルロース繊維組成物。
[3]フェノール樹脂とリグノフェノールの質量比が、40/60〜90/10である、上記[2]に記載のセルロース繊維組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロース繊維組成物が、熱可塑性樹脂と複合された、セルロース繊維複合材料。
[5]リグノフェノールに硬化剤を添加し、リグノフェノールをプレポリマー化させるプレポリマー化工程と、セルロース繊維をリグノフェノールのプレポリマーを含むコーティング樹脂でコーティングするコーティング工程とを有する、セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むセルロース繊維組成物の製造方法。
[6]コーティング工程におけるリグノフェノールのプレポリマーが、リグノフェノールのプレポリマーをアルカリ水溶液又は有機溶媒に溶解したものである、上記[5]に記載のセルロース繊維組成物の製造方法。
[7]コーティング工程が、アイリッヒ・ミキサー、インラインミキサー、単軸混錬押出機、二軸混錬押出機、櫂型撹拌機、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、コンクリートミキサー、水平一軸強制練機、水平二軸強制練機、及び自動計量式ミキシングユニットからなる群より選ばれる1以上の装置を用いる工程である、上記[5]又は[6]のいずれかに記載のセルロース繊維組成物の製造方法。
[8]上記[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法によって得られたセルロース繊維組成物と、熱可塑性樹脂とを、120〜350℃及び5〜60分の条件で混練する工程を有する、セルロース繊維複合材料の製造方法。
本発明によれば、高価なリグノフェノールを少量しか用いずに、汎用樹脂との相溶性が高く、汎用樹脂と複合させて製品とした際に、製品の強度の低下を招く等の悪影響が少ないセルロース繊維組成物を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
<セルロース繊維組成物>
まず、本発明のセルロース繊維組成物について説明をする。本発明のセルロース繊維組成物に用いるセルロース繊維は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、木材やパルプなどの植物資源、ホヤ類などの動物資源、又はアセトバクターなどの微生物産生物などに由来するもの等を用いることができる。これらの中でも、微細な繊維径のものが得られるという観点から、針葉樹や広葉樹などの木材由来のセルロース繊維を用いることが好ましい。また、木材由来のセルロース繊維は、後述のリグノフェノールを製造する際の副生物でもあるため、経済性の観点からも好ましい。
セルロース繊維の平均繊維長は、特に限定されないが、例えば、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。また、セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、1mm以下が好ましい。セルロース繊維の平均繊維長が5μm未満の場合は、セルロース繊維複合材料の強度が不十分となる傾向にある。一方、セルロース繊維の平均繊維長が1mmを超える場合は、汎用樹脂との混合における分散性が低下する傾向にある。
セルロース繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、例えば、4nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。また、セルロース繊維の平均繊維径は、例えば、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。セルロース繊維の平均繊維径が4nm未満の場合は、補強効果が低下する傾向にある。一方、セルロース繊維の平均繊維径が100nmを超える場合は、汎用樹脂との混合における分散性が低下する傾向にある。なお、セルロース繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、例えば、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて、視野内のセルロース繊維の少なくとも50本以上について測定した時の数平均値を採用することができる。
セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、特に限定されないが、例えば、1,250以上が好ましく、また、10,000以下が好ましい。セルロース繊維の平均アスペクト比が1,250未満の場合は、セルロース繊維複合材料の機械的強度が低下する傾向にある。一方、セルロース繊維の平均アスペクト比が10,000を越える場合は、汎用樹脂への分散性が低下する結果、セルロース繊維複合材料の機械的強度が低下する傾向にある。
セルロース繊維組成物におけるセルロース繊維の含有量は、特に限定されないが、例えば、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、セルロース繊維の含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。セルロース繊維の含有量が5質量%未満の場合は、セルロース繊維複合材料とした際の機械的強度が低下する傾向にある。一方、セルロース繊維の含有量が60質量%を越える場合は、加工性が低下するとともに、相対的にコーティング樹脂の含有量が少なくなる結果、セルロース繊維の表面をコーティング樹脂で均一にコーティングすることが困難になる傾向にある。
本発明に用いるコーティング樹脂は、リグノフェノールのプレポリマーを含むものである。本発明のセルロース繊維組成物は、セルロース繊維の表面が、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のリグノフェノールのプレポリマーを含むコーティング樹脂でコーティングされていることによって、汎用樹脂との相溶性に優れたものとなっている。そのため、汎用樹脂と複合させた場合に、強度が高く、品質にバラつきのないセルロース繊維複合材料を提供することができる。また、リグノフェノールのプレポリマーは、加熱することによって硬化し、優れた接着性能を発揮する。そのため、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部という少量であっても、汎用樹脂と混練する際に加熱することで、十分な接着性能を発揮することができ、セルロース繊維複合材料の強度を高めることができる。なお、本明細書において、コーティング樹脂の質量とは、固形分の質量をいう。
なお、セルロース繊維組成物におけるコーティング樹脂の含有量は、セルロース繊維の表面をより均一にコーティングし、相溶性をさらに向上させるという観点からは、セルロース繊維100質量部に対して1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。一方、セルロース繊維組成物におけるコーティング樹脂の含有量は、セルロース繊維の相対的な含有量が減ることによる、複合材料の機械的強度の低下を防ぐという観点からは、セルロース繊維100質量部に対して40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
リグノフェノールは、従来公知の方法で製造することができる。例えば、植物資源である木材資源に酸とフェノール誘導体を添加し、木材資源中のセルロース、ヘミセルロースを加水分解させ、また、木材資源中のリグニンをフェノール誘導体により安定化してリグノフェノールを製造する。木材資源に酸とフェノール誘導体を添加する方法としては、木材資源にフェノール誘導体を添加して含浸させた後、酸を添加し、系の粘度が低下したら、後述する疎水性の溶剤を添加し、さらに撹拌を行う方法が挙げられる。このようにすることで、セルロース及びヘミセルロース由来の糖成分と硫酸からなる層と、リグノフェノール、フェノール誘導体及び疎水性の溶剤からなる層に分離することが可能となる。
上記リグノフェノールの製造方法において使用する木材資源は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンなどから構成されるものであり、例えば、木粉、木質チップなどを挙げることができる。また、使用する木材としては、針葉樹、広葉樹など任意の種類のものを使用することができる。
木材資源に添加する酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることが可能である。酸は、セルロース及びヘミセルロースを加水分解するための触媒としてだけでなく、木材資源を構成するセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの結合を解く役割も果たす。無機酸としては、硫酸、リン酸、塩酸などのいずれかを使用することができる。酸の濃度は、60〜90%が望ましい。酸の濃度が60%より低いと、セルロースとリグニンの解緩反応が進行せず、酸の濃度が90%より高いとリグニン及び添加剤であるp−クレゾールのベンゼン骨格がスルフォン化されやすくなり、不具合が生じる傾向にある。酸の中では、60%以上の硫酸が好ましい。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸などを使用することができる。
木材資源に添加する酸の添加量としては、木材資源100質量部に対して、好ましくは200〜3000質量部、より好ましくは1000〜2000質量部である。酸の添加量が少ないと、木材原料は膨潤するだけで液状にならず、撹拌が困難になり、新しいタイプの押出混練機が必要となる。また、酸の添加量が多すぎると、酸の回収系への負担が増え、経済性が損なわれる。
リグニンを構成するp−クマリルアルコール、シナピルアルコール、コニフェリルアルコール中のフェニルプロパン単位のα炭素は化学的に不安定であるが、フェノール誘導体を添加することで、成形体などの種々の用途に活用できるリグノフェノールを得ることができる。ここで、リグノフェノールとは、リグニン中のフェニルプロパン単位のα炭素にフェノール誘導体が結合したジフェニルプロパン単位を含む重合体をいう。例えば、リグニンを構成するp−クマリルアルコール、シナピルアルコール、コニフェリルアルコールのうち、式(1):
Figure 0006811458
で表されるコニフェリルアルコールに、フェノール誘導体であるp−クレゾールでマスキングをした場合、式(2):
Figure 0006811458
で表される化合物が形成される。p−クマリルアルコール、シナピルアルコールについても、同様にフェノール誘導体が結合して、α炭素を安定化させる。
フェノール誘導体としては、1価のフェノール誘導体、2価のフェノール誘導体または3価のフェノール誘導体などが挙げられる。1価のフェノール誘導体としては、フェノール、ナフトール、アントロール、アントロキオールなどが挙げられる。これらの1価のフェノール誘導体はさらに1以上の置換基を有していてもよい。2価のフェノール誘導体としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどが挙げられる。これらの2価のフェノール誘導体はさらに1以上の置換基を有していてもよい。3価のフェノール誘導体としては、ピロガロールなどが挙げられる。ピロガロールはさらに1以上の置換基を有していてもよい。これらの1価から3価のフェノール誘導体が有する置換基の種類は特に限定されず、任意の置換基を有していてもよい。電子吸引性の基(ハロゲン原子など)以外の基であり、例えば、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、アリール基(フェニル基など)、水酸基などが挙げられる。また、リグニンを構成するフェニルプロパン単位のα炭素との反応性の点から、フェノール誘導体上のフェノール性水酸基の2つあるオルト位のうちの少なくとも片方は無置換であることが好ましい。
フェノール誘導体の好ましい例としては、p−クレゾール、2,6−キシレノール、2,4−キシレノール、2−メトキシフェノール(Guaiacol)、2,6−ジメトキシフェノール、カテコール、レゾルシノール、ホモカテコール、ピロガロール及びフロログルシノールなどが挙げられ、中でもp−クレゾールが好ましい。フェノール誘導体の添加量としては、木材資源100質量部に対して、好ましくは200〜3000質量部、より好ましくは500〜2000質量部である。フェノール誘導体は、リグニンのα−炭素をマスキングするのに必要な化学量論的な量以上を添加しなければならず、また相分離に必要な抽出剤としての量も加味して添加しなければならない。
木材資源に酸とフェノール誘導体を添加することで、主に酸とセルロース及びヘミセルロース由来の糖液とから構成される水層と、リグノフェノールとフェノール誘導体とから構成される油層に分離させるが、より短時間で二層に分離させるために疎水性の溶剤をさらに添加することが好ましい。分離された油層は、濾過機にて固液分離され、固体のリグノフェノールと、液体のp−クレゾールと疎水性溶剤に分離される。固液分離はフィルタープレス等を用いて行うことができ、リグノフェノールはケーク状で得られる。得られたリグノフェノールは、乾燥機にて乾燥される。
リグノフェノールの重量平均分子量は、特に限定されないが、300〜8000であることが好ましく、500〜6000であることがより好ましく、1800〜4000であることがさらに好ましい。リグノフェノールの重量平均分子量が8000を超えると、リグノフェノールのアルカリ性水溶液に対する溶解性が低下する傾向にある。一方、リグノフェノールの重量平均分子量が300未満であると、リグノフェノールの接着性能が低下し、セルロース複合材料とした際の機械的強度が低下する傾向にある。なお、本発明における重量平均分子量は、測定装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)を使用し、リグノフェノールをテトラヒドロフランに溶解させ、濾過し、その濾液をGPCで測定した。
リグノフェノールのプレポリマーは、例えば、上記のような製造方法で得られたリグノフェノールをアルカリ性水溶液に溶解させ、硬化剤を添加して、20〜35℃で撹拌することで得ることができる。なお、本明細書において、リグノフェノールのプレポリマーとは、リグノフェノールが部分的に重合し、例えば、重合度1,000〜6,000程度になったものをいう。プレポリマー化されたリグノフェノールは、例えば、120℃以上の熱を加えた場合にさらに重合が進んでポリマーとなり、高い接着性能を発揮する。なお、重合反応が完全に進行しておらず、例えば、120℃以上の熱を加えた場合に、さらに重合反応が進む状態であれば、リグノフェノールのプレポリマーの重合度は、上記の範囲に限定されない。
リグノフェノールを溶解させるアルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム水溶液が、リグノフェノールの溶解性に優れており、好ましい。これらのアルカリ性水溶液は、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ性水溶液の濃度は、0.5〜4mol/Lに調整することが好ましく、1〜3mol/Lに調整することがより好ましく、1〜2mol/Lに調整することがさらに好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が0.5mol/L未満であると、リグノフェノールのアルカリ性水溶液に対する溶解性が低下する傾向にある。一方、アルカリ性水溶液の濃度が4mol/Lを超えると、ゲル化しやすくなる傾向にある。なお、ここで、アルカリ性水溶液の濃度とは、接着剤中の水1Lに対する、塩基性の塩のモル濃度をいう。
硬化剤としては、アルデヒド、又は、アルデヒドを生成する化合物が挙げられる。アルデヒドとしては、特に限定されず、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどが挙げられる。硬化剤として、アルデヒド、又は、アルデヒドを生成する化合物を用いることにより、リグノフェノールまたは後述のフェノール樹脂におけるフェノール構造と、アルデヒドが硬化反応を行い、接着性能が向上する。製造時における作業者の環境、安全の点で、硬化剤として、アルデヒドを生成する化合物を用いることが好ましい。
また、硬化剤としては、例えば、レゾルシノール系接着剤用硬化剤として用いられるホルムアルデヒドの二量体又は三量体が含まれる硬化剤、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。中でも、汎用的に使用されてきた実績があり、シックハウス症候群のような揮発性有機化合物に起因する健康被害を抑止できるという観点から、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。これらの硬化剤は、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤の添加量は、リグノフェノール100質量部に対し、17質量部以上であることが好ましく、34質量部以上であることがより好ましく、45質量部以上であることがさらに好ましい。また、硬化剤の添加量は、リグノフェノール100質量部に対し、84質量部以下であることが好ましく、67質量部以下であることがより好ましく、55質量部以上であることがさらに好ましい。硬化剤の添加量が、リグノフェノール100質量部に対して17質量部未満の場合は、リグノフェノールのプレポリマー化が十分にはなされないおそれがあり、結果として、汎用樹脂と複合させる際の接着性能が低下し、セルロース繊維複合材料の強度が十分に向上しない傾向にある。一方、硬化剤の添加量が、リグノフェノール100質量部に対して84質量部を越える場合は、それ以上の接着性の向上効果は得られにくい傾向にある。なお、本明細書において、リグノフェノールの質量とは、固形分の質量をいう。
リグノフェノール及び硬化剤が溶解したアルカリ性水溶液を撹拌するときの温度は、例えば、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。また、リグノフェノール及び硬化剤が溶解したアルカリ性水溶液を撹拌するときの温度は、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。リグノフェノール及び硬化剤が溶解したアルカリ性水溶液を撹拌するときの温度が10℃未満の場合は、リグノフェノールのプレポリマー化が十分には行われないおそれがあり、結果として、セルロース繊維複合材料の強度が低下する傾向にある。一方、リグノフェノール及び硬化剤が溶解したアルカリ性水溶液を撹拌するときの温度が50℃を超える場合は、リグノフェノールの硬化反応が進み過ぎてしまうおそれがあり、結果として、セルロース繊維複合材料の強度が低下する傾向にある。
リグノフェノール及び硬化剤が溶解したアルカリ性水溶液を撹拌する時間は、撹拌する際の温度によって、適宜決定することができるが、例えば、10〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましく、20〜30分がさらに好ましい。上記のような条件でリグノフェノールのプレポリマー化を行うことにより、汎用樹脂と複合させる際に、優れた接着性能を発揮することが可能になる。
本発明に用いるコーティング樹脂は、リグノフェノールのプレポリマーに加えて、さらにフェノール樹脂を含むことが好ましい。フェノール樹脂を含むことで、セルロース繊維の汎用樹脂に対する相溶性をさらに向上させ、また、コーティング樹脂を加熱した際の接着性能をさらに向上させることができる傾向にある。フェノール樹脂としては、特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂であることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂は自己反応性の官能基を有するため、硬化剤を用いずとも、加熱することにより硬化させることができる。フェノール樹脂は、従来公知の方法で製造することができ、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性触媒の存在下で反応させることで得られる。
アルカリ性触媒の存在下でフェノールとホルムアルデヒドとを反応させると、フェノールにメチロール基が付加される。その後、該メチロール基とフェノール核のフリーのオルト位またはパラ位の間でメチレン結合が生成され、または、メチロール基同士の間でジメチレンエーテル結合が生成されるなどして、縮合反応が進行する。
コーティング樹脂にフェノール樹脂が含まれる場合は、さらに硬化促進剤を含有することが好ましい。硬化促進剤を含有させることによって、フェノール樹脂の縮合反応を促進させて、セルロース繊維複合材料の機械的強度を向上させることができる傾向にある。硬化促進剤としては、特に限定されないが、炭酸ナトリウム、プロピレンカーボネート、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。中でも、安価かつ少量で硬化反応速度を増大させ、安全性が高く、取り扱いが容易であるという観点から、炭酸ナトリウムが好ましい。これらの硬化促進剤は、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化促進剤の添加量は、フェノール樹脂100質量部に対して、4.4質量部以上であることが好ましく、4.8質量部以上であることがより好ましい。また、硬化促進剤の添加量は、フェノール樹脂100質量部に対して、8.8質量部以下であることが好ましく、7.0質量部以下であることがより好ましい。硬化促進剤の添加量がフェノール樹脂100質量部に対して4.4質量部未満の場合は、硬化反応速度の増大が十分期待できなくなる傾向にあり、一方、8.8質量部を超えても、硬化反応速度のさらなる増大は期待できなくなる傾向にある。なお、本明細書において、フェノール樹脂の質量とは、固形分の質量をいう。
コーティング樹脂中における、フェノール樹脂とリグノフェノールのプレポリマーとの質量比は、40/60以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましい。また、コーティング樹脂中における、フェノール樹脂とリグノフェノールのプレポリマーとの質量比は、90/10以下であることが好ましく、80/20以下であることがより好ましい。フェノール樹脂とリグノフェノールのプレポリマーとの質量比が40/60より小さい、すなわちリグノフェノールのプレポリマー成分が多いと、製造コストが向上する傾向にあり、また、リグノフェノールの添加により得られる分散性及び接着性の向上効果も頭打ちになる、もしくは低下する傾向にある。一方、フェノール樹脂とリグノフェノールのプレポリマーとの質量比が90/10より大きい、すなわちフェノール樹脂成分が多いと、セルロース繊維を均一にコーティングしにくくなるおそれがあり、また、コーティング樹脂の接着性能が低下し、汎用樹脂との複合材料とした際の機械的強度が低下するおそれがある。なお、本明細書において、リグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂との質量比とは、それぞれの固形分の質量比をいう。
リグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂とを混合する方法としては、特に限定されないが、両者が均一に混合されたコーティング樹脂を得るという観点からは、例えば、フェノール樹脂に硬化促進剤などを添加してよく撹拌しておき、リグノフェノールはアルカリ性水溶液に溶解させた後に硬化剤などを添加してよく撹拌して、それぞれ調製を適宜行った後に両者を混合・撹拌することが好ましい。
本発明に用いるコーティング樹脂は、上記のようなプレポリマー化工程によって得ることができるリグノフェノールのプレポリマー、又はリグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂の混合物を含むものである。セルロース繊維をコーティングする際は、コーティング樹脂を粉体などの固体状にして用いてもよいし、アルカリ性水溶液または有機溶媒に溶解した液体状の形態で用いてもよい。例えば、セルロース繊維をコーティングする際に用いるコーティング樹脂の量をより少なくできるという観点からは、液体状の形態で用いることが好ましい。
例えば、上記のプレポリマー化工程によって得られるアルカリ性水溶液を、そのままコーティング樹脂として用いて、セルロース繊維のコーティングを行っても良い。この場合、アルカリ性水溶液におけるコーティング樹脂の濃度は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、アルカリ性水溶液におけるコーティング樹脂の濃度は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。アルカリ性水溶液におけるコーティング樹脂の濃度が5質量%未満の場合は、セルロース繊維のコーティングが不十分となり、汎用樹脂との相溶性が向上しにくくなる傾向にある。一方、アルカリ性水溶液におけるコーティング樹脂の濃度が30質量%を越える場合は、粘度が上がり、セルロース繊維の表面を均一にコーティングしにくくなる傾向にある。なお、アルカリ性水溶液におけるコーティング樹脂の濃度は、リグノフェノールのプレポリマー化工程の段階で調整しても良いし、プレポリマー化工程の後に調整しても良いし、リグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂とを混合する際に調整しても良い。
コーティング樹脂をアルカリ性水溶液に溶解させたものを用いてセルロース繊維をコーティングする場合は、アルカリ性水溶液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。アルカリ性水溶液のpHが9未満の場合は、リグノフェノールのプレポリマーの溶解性が低下するおそれがあり、セルロース繊維の表面を均一にコーティングすることが困難になる傾向にある。
また、コーティング樹脂をアルカリ性水溶液に溶解させたものを用いてセルロース繊維をコーティングする場合は、必要に応じて、粘度調整剤を添加して粘度を調整しても良い。粘度調整剤としては、例えば、小麦粉、大麦粉、大豆粉、でんぷん粉などが挙げられる。中でも、小麦粉が糊液粘度の調整が容易で、微粉化がしやすく、安価かつ大量供給が可能の点で好ましい。これらの粘度調整剤は、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粘度調整剤の添加量は、リグノフェノールのプレポリマー及びフェノール樹脂の合計100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。また、粘度調整剤の添加量は、リグノフェノールのプレポリマー及び後述のフェノール樹脂の合計100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。粘度調整剤の添加量が、リグノフェノールのプレポリマー及びフェノール樹脂の合計100質量部に対し、5質量部未満の場合は、粘度調整効果が小さく繊維セルロースへの均一な添加が困難になる傾向にあり、また、50質量部を越える場合は、粘度が高くなりすぎて、セルロース繊維の表面を均一にコーティングしにくくなる傾向にある。
コーティング樹脂として粉体状のものを用いる場合は、例えば、上記のプレポリマー化工程後に、アルカリ性水溶液からリグノフェノールのプレポリマー又はリグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂の混合物を析出させ、該析出物を粉砕して粉体状にしたもの等を用いることができる。
コーティング樹脂を有機溶媒に溶解させたものを用いてセルロース繊維をコーティングする場合、例えば、上記のプレポリマー化工程後に、アルカリ性水溶液からリグノフェノールのプレポリマー又はリグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂の混合物を析出させ、該析出物を有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。
コーティング樹脂を溶解させる有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、キシレンなどを広く用いることができる。これらの中でも、作業性や入手容易性等の観点からは、アセトン、メタノール、又はエタノールなどを用いることが好ましい。
有機溶媒中のコーティング樹脂の濃度は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、有機溶媒中のコーティング樹脂の濃度は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。有機溶媒中のコーティング樹脂の濃度が5質量%未満の場合は、セルロース繊維のコーティングが不十分となり、汎用樹脂との相溶性が向上しにくくなる傾向にある。一方、有機溶媒中のコーティング樹脂の濃度が50質量%を越える場合は、セルロース繊維への添加容量が小さくなり、均一分散が困難となる傾向にある。
コーティング樹脂を有機溶媒に溶解させたものを用いてセルロース繊維をコーティングする場合における有機溶液の好ましい粘度は、上述のコーティング樹脂水溶液と同様である。粘度調整剤も、上述のコーティング樹脂水溶液に対するものと同様のものを用いることができる。
セルロース繊維をコーティング樹脂でコーティングする方法としては、特に限定されないが、例えば、用いるコーティング樹脂が少量であったとしてもセルロース繊維の表面を均一にコーティングしやすいという観点から、アイリッヒ・ミキサー、インラインミキサー、単軸押出機、二軸押出機、櫂型撹拌機、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、コンクリートミキサー、水平一軸強制練機、水平二軸強制練機、及び自動計量式ミキシングユニットからなる群より選ばれる1以上の装置を用いて、セルロース繊維とコーティング樹脂を混合・撹拌することが好ましく、これらの装置の中でも、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、単軸押出機、又は二軸押出機を用いることがより好ましい。なお、コーティング樹脂をアルカリ性水溶液、又は有機溶媒に溶解させたものを用いる場合は、セルロース繊維をこれらの溶液中に浸漬させることでコーティングを行うこともできる。
ヘンシェルミキサーを用いてコーティングを行う場合、例えば、周速0.1〜10m/sの条件でセルロース繊維を撹拌しながら、常温(例えば、25℃)から50℃の間でコーティング樹脂を徐々に滴下することが好ましい。また、押出機を用いる場合は、例えば、180〜320℃の条件でセルロース繊維及びコーティング樹脂を定量的に押出機に供給しながら、混合を行うことが好ましい。上記のような条件でコーティングを行うことで、セルロース繊維の表面がコーティング樹脂で均一にコーティングされたセルロース繊維組成物を得ることが可能になる。
<セルロース繊維複合材料>
本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、上記のセルロース繊維組成物と汎用樹脂とを加熱しながら溶融混練することで、得ることができる。セルロース繊維複合材料におけるセルロース繊維組成物の含有量は、特に限定されないが、例えば、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、セルロース繊維複合材料におけるセルロース繊維組成物の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。セルロース繊維複合材料におけるセルロース繊維組成物の含有量が5質量%未満の場合は、軽量化、難燃化、熱伝導性の低下などのセルロース繊維を複合させることの効果が得られにくくなる傾向にある。一方、セルロース繊維複合材料におけるセルロース繊維組成物の含有量が50質量%を超える場合は、セルロース繊維複合材料の加工性が低下するおそれがある。
セルロース繊維組成物と複合させる汎用樹脂としては、特に限定されないが、成形性の観点からは、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、6−ナイロン、66ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリフェニレンオキサイド又はアセタール樹脂など、広く用いることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、汎用性という観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、6ナイロン、66ナイロン、又はポリアミドなどが好ましい。
本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、上記のセルロース繊維組成物100質量部に対して、100〜2,000質量部の熱可塑性樹脂を、押出機、射出成型機、晩バリーミキサー、又はロールミキサーなどの一般的な混練機を用いて、加熱しながら十分に溶融混練して、セルロース繊維を熱可塑性樹脂中に分散させることで得ることができる。得られたセルロース繊維複合材料は、例えば、取り扱い性の観点から、ペレタイザーを用いてペレット化することが好ましい。
本発明においては、セルロース繊維がコーティング樹脂によってコーティングされていることにより、熱可塑性樹脂との相溶性が向上しているため、熱可塑性樹脂中に均一に分散させることが可能になっている。そのため、本発明のセルロース繊維複合材料は、セルロース繊維複合材料が本来有している利点を低減させることなく、また、製品の品質にバラつきが出る頻度を低くすることが可能になっている。さらに、コーティング樹脂に含まれるリグノフェノールのプレポリマー、又はリグノフェノールのプレポリマーとフェノール樹脂の混合物は、混練中に加熱されることで硬化反応が促進され、高い接着性能を発揮するため、セルロース繊維と熱可塑性樹脂等との結びつきをより強固にし、機械的強度を従来よりも向上させることが可能になっている。
セルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練する際の温度は、例えば、120℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましい。また、セルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練する際の温度は、350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、260℃以下がさらに好ましい。セルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練する際の温度が120℃未満の場合は、コーティング樹脂の硬化反応が十分に起こらず、コーティング樹脂の接着性能が十分に発揮されにくい傾向にある。また、セルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練する際の温度が350℃を越える場合は、コーティング樹脂が分解するおそれがあり、複合材料の機械的強度の向上効果を得られにくい傾向にある。
セルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練する際の時間は、混練する際の温度によって、適宜決定することができるが、例えば、5〜60分が好ましく、10〜30分が好ましい。上記のような条件でセルロース繊維組成物と熱可塑性樹脂を混練することにより、機械的強度に優れ、製品の品質にバラつきの少ないセルロース繊維複合材料を得ることが可能になる。
本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の趣旨に反しない限り、さらに、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、収縮防止剤、離型剤、潤滑剤、衝撃改良剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、又は防腐剤等の添加剤を含んでいてもよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、リグノフェノールは、島根県隠岐の島町布施地区にあるリグノフェノール製造実証プラントにおいて、スギ木粉試料から相分離系変換システムにより得られたものを用いた。
(コーティング樹脂溶液1の作製)
リグノフェノール(平均分子量3,000)を、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(キシダ化学株式会社製)に溶解させた。該水溶液に、レゾルシノール系接着剤用硬化剤(株式会社オーシカ製、D用硬化剤、ホルムアルデヒドの三量体とヤシ殻を含む)、及び小麦粉(日清製粉株式会社神戸工場製、日清フラワー薄力小麦粉)を添加し、50℃、10分の条件で混合・撹拌することにより、コーティング樹脂溶液1を作製した。水酸化ナトリウム水溶液、リグノフェノール、レゾルシノール系接着剤用硬化剤及び小麦粉の混合割合は、質量比7:3:1.5:0.3である。
(コーティング樹脂溶液2の作製)
フェノール樹脂(株式会社オーシカ製ディアノールD−117、不揮発分45.5%、pH11.3)、小麦粉(赤花)、及びソーダ灰を、質量比10:1.5:0.3の割合で混合・撹拌し、フェノール樹脂水溶液を得た。次いで、得られたフェノール樹脂水溶液と、上記のコーティング樹脂溶液1とを、フェノール樹脂とリグノフェノールの質量比が約75/25となるように混合し、コーティング樹脂溶液2を作製した。
(コーティング樹脂溶液3の作製)
90%メタノール溶液90質量部に、リグノフェノール(平均分子量3,000)10質量部を添加し、40〜50℃の条件で十分に撹拌した。次に、該メタノール溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液10質量部と、35%ホルマリン溶液5質量部とを添加し、60℃、2時間の条件で十分に撹拌し、コーティング樹脂溶液3を作製した。
(コーティング樹脂溶液4の作製)
35%ホルマリン溶液の代わりに、ヘキサメチレンテトラミン1.7質量部を添加したこと以外は、コーティング樹脂溶液3と同様の方法により、コーティング樹脂溶液4を作製した。
(コーティング樹脂溶液5の作製)
90%メタノール溶液160質量部に、リグノフェノール(平均分子量3,000)10質量部と、フェノール樹脂(三井化学株式会社製、大阪工場生産ロット)30質量部とを添加し、40〜50℃の条件で十分に撹拌した。該メタノール溶液におけるフェノール樹脂とリグノフェノールの質量比は、約75/25である。次に、該メタノール溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液20質量部と、35%ホルマリン溶液5質量部とを添加し、60℃、2時間の条件で十分に撹拌し、コーティング樹脂溶液5を作製した。
(コーティング樹脂溶液6の作製)
35%ホルマリン溶液の代わりに、ヘキサメチレンテトラミン6.8質量部を添加したこと以外は、コーティング樹脂溶液5と同様の方法により、コーティング樹脂溶液6を作製した。
(実施例1)
セルロース繊維(平均繊維長10μm、平均繊維径50nm)98質量部と、2質量部のコーティング樹脂溶液1とを、ヘンシェルミキサーを用いて、常温で15分間の条件で混合・撹拌した。次に、得られた組成物を5%塩酸によって中和し、十分に乾燥させて水分を蒸発させることで、セルロース繊維組成物1を作製した。
20質量部のセルロース繊維組成物1と、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックTMHD)100質量部とを、二軸押出機を用いて、250℃、10分の条件で溶融混練し、実施例1のセルロース繊維複合材料を作製した。
(実施例2)
セルロース繊維の添加量を96質量部に変更し、コーティング樹脂溶液1の代わりに4質量部のコーティング樹脂溶液2を用いたこと以外は、セルロース繊維組成物1と同様の方法により、セルロース繊維組成物2を作製した。次いで、セルロース繊維組成物1の代わりに、20質量部のセルロース繊維組成物2を用い、高密度ポリエチレンの代わりにポリスチレン(DIC株式会社製、CR2600)100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のセルロース繊維複合材料を作製した。
(実施例3)
セルロース繊維(平均繊維長10μm、平均繊維径50nm)と、コーティング樹脂溶液3とを、セルロース繊維100質量部に対してコーティング樹脂(固形分)10質量部の混合割合となるように、リボン型ミキサーを用いて、常温で15分間の条件で混合・撹拌した。次に、得られた組成物を、十分に乾燥させてメタノール及び水分を蒸発させることで、セルロース繊維組成物3を作製した。
20質量部のセルロース繊維組成物3と、6−ナイロン(東レプラスチック精工株式会社製、TPS−N6(NC))100質量部とを、二軸押出機を用いて、280℃、15分の条件で溶融混練し、実施例3のセルロース繊維複合材料を作製した。
(実施例4)
コーティング樹脂溶液3の代わりにコーティング樹脂溶液4を用い、混合割合をセルロース繊維100質量部に対してコーティング樹脂(固形分)15質量部に変更したこと以外は、セルロース繊維組成物3と同様の方法により、セルロース繊維組成物4を作製した。次いで、セルロース繊維組成物3の代わりに、20質量部のセルロース繊維組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のセルロース繊維複合材料を作製した。
(実施例5)
コーティング樹脂溶液3の代わりにコーティング樹脂溶液5を用い、混合割合をセルロース繊維100質量部に対してコーティング樹脂(固形分)20質量部に変更したこと以外は、セルロース繊維組成物3と同様の方法により、セルロース繊維組成物5を作製した。次いで、セルロース繊維組成物3の代わりに、20質量部のセルロース繊維組成物5を用い、6−ナイロンの代わりにポリカーボネート(出光興産株式会社製、タフロンナチュラルA2200)100質量部を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法により、実施例5のセルロース繊維複合材料を作製した。
(実施例6)
コーティング樹脂溶液3の代わりにコーティング樹脂溶液6を用い、混合割合をセルロース繊維100質量部に対してコーティング樹脂(固形分)25質量部に変更したこと以外は、セルロース繊維組成物5と同様の方法により、セルロース繊維組成物6を作製した。次いで、セルロース繊維組成物5の代わりに、20質量部のセルロース繊維組成物6を用いたこと以外は、実施例5と同様の方法により、実施例6のセルロース繊維複合材料を作製した。
(比較例1)
セルロース繊維(平均繊維長10μm、平均繊維径50nm)20質量部と、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックTMHD)100質量部とを、二軸押出機を用いて、250℃、10分の条件で溶融混練し、比較例1のセルロース繊維複合材料を作製した。
(比較例2)
高密度ポリエチレンの代わりに、ポリスチレン(DIC株式会社製、CR2600)100質量部を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により、比較例2のセルロース繊維複合材料を作製した。
(比較例3)
高密度ポリエチレンの代わりに、6−ナイロン(東レプラスチック精工株式会社製、TPS−N6(NC))100質量部を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により、比較例3のセルロース繊維複合材料を作製した。
(比較例4)
高密度ポリエチレンの代わりに、ポリカーボネート(出光興産株式会社製、タフロンナチュラルA2200)100質量部を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法により、比較例4のセルロース繊維複合材料を作製した。
(物性測定)
実施例1〜6、及び比較例1〜4のセルロース繊維複合材料のそれぞれについて、試験片厚み1mmのASTM1号ダンベルを作製し、ASTMD638に準拠して、引張強度、破断伸び、弾性率、圧縮強度、曲げ強度、及び耐衝撃性を測定した。得られた測定データを、表1に示す。
実施例1〜6、及び比較例1〜4のセルロース繊維複合材料のそれぞれについて、ASTMD696に準拠して、線形膨張率を測定した。また、実施例1〜6、及び比較例1〜4のセルロース繊維複合材料のそれぞれについて、長さ127mm、幅19.1mm、厚さ4.8mmの試験片を作製し、ASTMD648に準拠して、1.80MPaの荷重により、撓み温度を測定した。得られた測定データを、表1に示す。
実施例及び比較例で用いた、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、6−ナイロン、及びポリカーボネートの樹脂単体についても、それぞれ、上記と同様の方法により、引張強度、破断伸び、弾性率、圧縮強度、曲げ強度、耐衝撃性、線形膨張率、及び撓み温度を測定した。得られた測定データを、表1に示す。
Figure 0006811458

Claims (8)

  1. セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むセルロース繊維組成物であって、
    コーティング樹脂がリグノフェノールのプレポリマーであり、
    リグノフェノールのプレポリマーが、リグノフェノールをアルカリ性水溶液に溶解させ、硬化剤を添加して、10〜40℃で撹拌して得られたものである、セルロース繊維組成物。
  2. コーティング樹脂がさらにフェノール樹脂を含む、請求項1に記載のセルロース繊維組成物。
  3. フェノール樹脂とリグノフェノールのプレポリマーの質量比が、40/60〜90/10である、請求項2に記載のセルロース繊維組成物。
  4. ルロース繊維組成物が熱可塑性樹脂と複合されたセルロース繊維複合材料であって、
    セルロース繊維組成物が、セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むものであり、
    コーティング樹脂がリグノフェノールのプレポリマーである、セルロース繊維複合材料。
  5. リグノフェノールに硬化剤を添加し、リグノフェノールをプレポリマー化させるプレポリマー化工程と、
    セルロース繊維をリグノフェノールのプレポリマーを含むコーティング樹脂でコーティングするコーティング工程とを有し、
    プレポリマー化工程が、リグノフェノールをアルカリ性水溶液に溶解させ、硬化剤を添加して、10〜40℃で撹拌するものである、
    セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むセルロース繊維組成物の製造方法。
  6. コーティング工程におけるリグノフェノールのプレポリマーが、リグノフェノールのプレポリマーをアルカリ水溶液又は有機溶媒に溶解したものである、請求項5に記載のセルロース繊維組成物の製造方法。
  7. リグノフェノールに硬化剤を添加し、リグノフェノールをプレポリマー化させるプレポリマー化工程と、
    セルロース繊維をリグノフェノールのプレポリマーを含むコーティング樹脂でコーティングするコーティング工程とを有し、
    コーティング工程が、アイリッヒ・ミキサー、インラインミキサー、単軸押出機、二軸押出機、櫂型撹拌機、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、コンクリートミキサー、水平一軸強制練機、水平二軸強制練機、及び自動計量式ミキシングユニットからなる群より選ばれる1以上の装置を用いる工程である、
    セルロース繊維と、セルロース繊維100質量部に対して0.5〜50質量部のコーティング樹脂とを含むセルロース繊維組成物の製造方法。
  8. リグノフェノールに硬化剤を添加し、リグノフェノールをプレポリマー化させるプレポリマー化工程と、
    セルロース繊維100質量部に対して、リグノフェノールのプレポリマーを含むコーティング樹脂0.5〜50質量部でコーティングするコーティング工程と、
    コーティング工程により得られたセルロース繊維組成物と、熱可塑性樹脂とを、120〜350℃及び5〜60分の条件で混練する工程と
    を有する、セルロース繊維複合材料の製造方法。
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