JP2020062859A - レンズ形成フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、「水分」とは、気体、液体、固体(気相、液相、固相)のいずれであってもよく、例えば水であれば、水蒸気、液滴、氷のいずれであってもよい。水分は、単独でなく、他の物質を含んでもよい。例えば、水蒸気に他の成分(例えば香料成分)が混合していてもよい。また、水分子内に水酸基(OH基)を有している物質、例えばアルコール類も、本発明における「水分」に含まれる。
インキの種類としては、例えば伸縮性を有するインキや伸縮性を有さない固いインキ、導電性を有するインキや様々な色を再現できるカラーインキ、磁性材料を含有する磁性インキ、紫外線発色インキ、蓄光インキなどを挙げることができる。カラーインキを用いる場合、複数のカラーインキを組み合わせてもよい。そして選択するインキによって、体積変化に伴い発現する機能も様々なものとすることが出来る。本実施の形態では白や黒のインキも有色インキとして扱う。インキは、マトリックス11の変形の際に割れない程度の柔軟性(追随性)があればよい。また、インキは、1種類のインキだけでなく、複数のインキを混合してもよい。例えば、同じ色で物性の異なるインキを複数種混合して柔軟性を実現してもよいし、色の異なる複数のインキを混合する場合も、物性の異なるインキを複数種混合して柔軟性を実現しても良い。
まず、基材11のどちらか一方の表面にマトリックス12を形成する。マトリックス12は、溶液流延法で形成できる。溶液流延法としては、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を例示できる。
次に、調整したマトリックス形成用塗液を基材に塗布する。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)製のフィルムなどを使用することができる。基材は、塗液を塗布した後に行われる、熱処理工程、電離放射線照射工程等の工程において変形しない限り、特に限定されない。また、基材については、形成されたマトリックスとの密着性が良いものが特に好ましい。
紫外線硬化の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアークなどの光源を使用できる。紫外線の照射条件としては、照射強度は100〜500mW/cm2が適しており、照射量は、十分な強度を得る観点からは、200mJ/cm2以上が好ましい。
電子線硬化の場合、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型、などの各種電子線加速器から放出される電子線を利用することができる。電子線としては、50KeV以上1000KeV以下程度のエネルギーを有するのが好ましく、100KeV以上300KeV以下程度のエネルギーを有する電子線がより好ましい。
以上の手順で、マトリックス12が形成される。
以上の手順により、本実施形態のレンズ形成フィルム1が完成する。
レンズ形成フィルム1は、マトリックス12が水分を吸着していない通常時において、その基材11と密着していない方の表面12aは平滑な状態に保たれている。
例えば、粘土鉱物の添加率を上げると、マトリックスの架橋密度が増加し、体積変化率(膨張率)が低下する。また、親水性の高い樹脂あるいはモノマー成分を多くすることにより、マトリックスの吸水率が増加し、体積変化率が上昇する。
透明基材下面にさらに三次元模様形成用印刷パターン14を設けたレンズ形成フィルム2の場合、図5に示すように、マトリックス12が水分を吸着し、凸レンズ形成後のレンズの焦点Fが印刷パターンに一致するように設計することで、三次元模様が出現する。すなわち、レンズ形成フィルム2においては、マトリックス12が水分を吸着することにより視覚効果を生じる。この視覚効果は、水分吸着時と非吸着時の概ね二段階である場合もあるし、水分の吸着量変化に伴って連続的に変化する場合もある。
親水性UV硬化性樹脂UA−W2A(新中村化学工業社製、3質量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、41質量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITE RDS(BYK社製、6質量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.1重量部、外添)、溶媒として純水(50質量部)を混合し、塗液を調製した。
塗工後の基材を熱処理して塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。熱処理条件は105℃、1分間とした。
このように、レンズ形成フィルム1は、水分の吸着に伴い、フィルム表面にレンズが形成された。
親水性UV硬化性樹脂UA−W2A(新中村化学工業社製、3質量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、44質量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITE RDS(BYK社製、3質量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.1重量部、外添)、溶媒として純水(50質量部)を混合し、塗液を調製した。
マトリックス上の印刷パターンを格子状のパターンに変更し、他は実施例1と同じ材料組成、作製方法によってレンズ形成フィルム1を作製した。このレンズ形成フィルム1に、水を滴下し3分後、余分な水を拭き取ったところ、フィルム表面の格子印刷パターンのスペース部分に凸レンズが形成されていることを確認した。表2に湿潤前後の膜厚、屈折率および湿潤後の曲率半径、焦点距離を示す。
このように、異なるパターン形状においても、レンズ形成フィルム1は、フィルム表面に凸レンズ形状を形成することができる。
実施例2において、基材厚みを188μmに変更し、他は同じ材料組成、作製方法によってレンズ形成フィルム2を作製した。表2に湿潤前後の膜厚、曲率半径、焦点距離を示す。このフィルムを用いて、基材下面に配置した印刷パターンを観察したところ、印刷パターンの位置と焦点距離がほぼ同程度の値となったことで、レンズと印刷パターンによる三次元モアレ模様が生じ、視覚効果が発現した。
UV硬化性樹脂UA−1280MK(新中村化学工業社製、56質量部)、UV硬化性樹脂紫光UV−7000B(日本合成化学社製、24質量部)、光重合開始剤Irgacure184(BASF社製、3重量部)、溶媒としてMEK(25質量部)を混合し、塗液を調製した。
すなわち、水分を吸着及び脱離する特性を有さない樹脂をマトリックスに用いた場合、平滑なフィルム表面からレンズ形状を形成することはできない。
2 レンズ形成フィルム2
11 基材
12 マトリックス
13 印刷パターン
14 3次元模様形成用印刷パターン
F 焦点
Claims (6)
- シート状の基材と、
前記基材の少なくとも一方の面と密着したマトリックスと、
前記マトリックスの前記基材と密着していない他方の面に複数の細線から形成される印刷パターンとを有し、
前記基材および印刷パターンは、水分の吸着及び脱離に伴う体積変化を実質的に生じない材料であり、
前記マトリックスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する材料からなり、水分の吸着によって前記印刷パターンの細線と隣接する他の細線の間の前記マトリックスが膨張し凸レンズを形成し、かつ水分の脱離によって前記マトリックスが水分を吸着する以前の平滑面に戻ることを特徴とする、レンズ形成フィルム。 - 前記マトリックスは、電離放射線重合性有機モノマーと、粘土鉱物と、電離放射線重合性有機樹脂とを含んだ電離放射線重合性組成物であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ形成フィルム。
- 前記電離放射線重合性有機モノマーが、(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項2に記載のレンズ形成フィルム。
- 前記電離放射線重合性有機樹脂が、ウレタン骨格と1つ以上の(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項2または3に記載のレンズ形成フィルム。
- 前記電離放射線重合性組成物100重量部のうち、前記電離放射線重合性有機樹脂が0.25重量部以上7.00重量部以下である請求項2から4に記載のレンズ形成フィルム。
- 前記基材と前記マトリックスの界面または前記基材の前記マトリックスに密着していない方の表面に配置された印刷パターンをさらに備え、前記マトリックスの体積変化によって形成された凸レンズと前記パターンによるモアレ効果が生じる、請求項1から5のいずれか一項に記載のレンズ形成フィルム。
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