JP7238333B2 - レンズ形成フィルム - Google Patents

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本発明は、レンズ形成フィルム、より詳しくは、液体の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、フィルム表面に可逆的にレンズ形状が形成されるレンズ形成フィルムに関する。
フィルム表面にレンズ形状を賦形したレンズフィルムとして、レンチキュラーレンズやマイクロレンズなどを賦形したフィルムがある。
これらのレンズフィルムの下面に印刷を施したり、印刷物にレンズフィルムを密着させたりすることで、レンズフィルムを介して印刷パターンを見た際に三次元模様の浮き上がりや浮き沈みが観察される立体視シートがある。
例えば、マイクロレンズを使用した立体視シートでは、見る角度を変えたり、シート自体を移動させたりすることで、三次元モアレ模様が動いて見え、またその形状が変化して見えるレンズシートが考案されている。(特許文献1から3参照)。
特開2008-12870号公報 特許第4685101号 特開2012-88584号公報
特許文献1から3に記載の立体視シートにおいては、観察者の見る角度の変化、またはレンズシートの移動によって三次元モアレ模様を連続的に変化させることができるが、立体的に観察されていない模様を三次元模様へ変化させたり、その逆の変化をさせたりするようなスイッチングはできなかった。
上記事情を踏まえ、本発明は、これまでの三次元模様を変化させるという発想ではなく、レンズフィルムを全く移動させることなく、通常時は立体的に観察されていない模様が、特定の刺激によって三次元模様へと変化することで、視覚効果の大きいレンズ形成フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面と密着したマトリックスと、前記マトリックスの前記基材と密着していない他方の面に複数の細線から形成される印刷パターンとを有し、前記基材および印刷パターンは、水分の吸着及び脱離に伴う体積変化を実質的に生じない材料であり、前記マトリックスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する材料からなり、水分の吸着によって前記印刷パターンの細線と隣接する他の細線の間の前記マトリックスが膨張し凸レンズを形成し、かつ水分の脱離によって前記マトリックスが水分を吸着する以前の平滑面に戻ることを特徴とする、レンズ形成フィルムである。
本発明のレンズ形成フィルムは、通常時は平滑である表面から湿潤によってレンズが形成されることで、立体的な模様が観測されるといった、顕著な視覚変化を発現する。
本発明の第一実施形態に係るレンズ形成フィルム1の断面模式図である。 同レンズ形成フィルム1を上面から見た模式図である。 同レンズ形成フィルム1が水分を吸着した状態を表す図である。 本発明の第二実施形態に係るレンズ形成フィルム2の断面模式図である。 本発明のレンズ形成フィルム2の動作原理を示す模式図である。 同レンズ形成フィルム1の寸法の定義を示す図である。
本発明の第一実施形態に係るレンズ形成フィルム1を、図1から図3を参照しながら説明する。
本明細書において、「水分」とは、気体、液体、固体(気相、液相、固相)のいずれであってもよく、例えば水であれば、水蒸気、液滴、氷のいずれであってもよい。水分は、単独でなく、他の物質を含んでもよい。例えば、水蒸気に他の成分(例えば香料成分)が混合していてもよい。また、水分子内に水酸基(OH基)を有している物質、例えばアルコール類も、本発明における「水分」に含まれる。
図1は、本実施形態のレンズ形成フィルム1を示す模式断面図である。図1に示すように、レンズ形成フィルム1は、シート状の基材11と基材11のどちらか一方の表面に密着したシート状のマトリックス12と、マトリックス12の基材と密着していない方の表面12a上に形成された印刷パターン13とを備えている。
基材11は、水分を吸着しない材料、または水分を吸着しても実質的に体積が変化しない材料で、シート状に形成されている。基材11は透明であっても不透明であっても良く、透明な材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)などの非変形樹脂、ガラスが例示でき、不透明な材料として、各種金属や、表面処理により水分吸収が抑制された木材、紙、セラミック等を例示できる。
基材11を透明にするか不透明にするかは、用途等を考慮して適宜決定できる。所定パターンに視覚効果を生じさせる場合は、所定の印刷パターンを、基材とマトリックスとの間に設ければ、基材が不透明であってもよい。レンズ形成フィルム1を任意の物品に張り付け、レンズ形成フィルム1の下にある物に対して視覚効果を生じさせる場合は、基材を透明性のあるものにすればよい。この場合、基材は無色でも有色でもよい。
マトリックス12は、電離放射線重合性有機モノマーと、粘土鉱物と、電離放射線重合性有機樹脂とを含んだ塗液状態の電離放射線重合性組成物を硬化させた膜からなる電離放射線硬化フィルムである。
電離放射線重合性有機モノマーは、(メタ)アクリルアミドより選択され、例えば、ジメチルアクリルアミドやアクリロイルモルフォリン、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩(KJケミカルズ社製)などが挙げられるが、なかでもHEAAが望まれる。HEAAは末端に水酸基を有しており、重合してポリマー化した際に、分子間結合により電離放射線硬化フィルムの靭性を向上させることができる。なお、上記モノマーは一種類以上を混合して用いてもよい。
(メタ)アクリルアミドモノマーおよびその重合体は、アミド基が粘土鉱物の表面と静電相互作用や水素結合により相互作用することにより物理的架橋点を形成し、三次元架橋構造を構築する。この物理的架橋点を有する三次元架橋構造が、水やアルコールに対する膨潤収縮性と高強度で高伸度なゲル特性を発現させる。
本実施の形態に係る粘土鉱物は、水膨潤性の層状粘土鉱物であり、サポナイトやスティブンナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ルーセンタイト、ソマシフなどが挙げられる。層状粘土鉱物は、溶媒中および電離放射線重合性有機モノマー存在下で膨潤し、層状に剥離状態となることが望ましく、さらに、有機性修飾基などを添加して分散時に溶液の粘土を低下させられるものが望まれる。層状粘土鉱物は、溶液中で層状に剥離状態となるとカードハウス構造を形成し、その溶液は強いチキソトロピー性を示すことが知られている。チキソトロピー性は塗工工程において、膜厚の不均一化や面性の悪化を防止することが可能となる。
本実施の形態に係る粘土鉱物としては、例えば、鉱物の端部がリン酸塩で修飾されたLAPONITERDS(BYK社製)が挙げられる。
電離放射線重合性有機樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂より選択され、1分子中にウレタン骨格を有し、1つ以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を含むモノマーを使用する。アクリロイル基またはメタクリロイル基が1分子中に4つ以上である場合、硬化収縮が大きくなることでフィルムにカールが発生するため、アクリロイル基またはメタクリロイル基は1分子中に1~3つ含むことが望ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、水溶性であることが望まれる。非水溶性の樹脂を用いた場合、電離放射線硬化フィルムの湿潤性が低下し、水分の吸着および離脱による電離放射線硬化フィルムの十分な体積変化を得ることができない。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、UA-W2AやUA-7100(新中村化学工業社製)、ビームセットAQ-17(荒川化学工業社製)などが挙げられる。なお、これら樹脂骨格の一部をアルキル基ε―カプロラクトンで置換したウレタン(メタ)アクリレート樹脂なども使用することができ、特にその材料を限定しない。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂には、水分散性エマルジョンなども使用することができ、例えば、ビームセットEM-90やEM-92(荒川化学工業社製)、アクリットWBR-829D(大成ファインケミカル社製)などが挙げられる。なお、これら樹脂骨格の一部をアルキル基ε―カプロラクトンで置換したウレタン(メタ)アクリレート樹脂なども使用することができ、特にその材料を限定しない。
本実施の形態に係る電離放射線硬化フィルムには、電離放射線で硬化させるために、電離放射線重合開始剤を添加する。重合開始剤としては、主に紫外線照射によりラジカルが発生するものが使用でき、例えば、アセトフェノン類やベンゾイン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類を用いることができる。具体的には、例えば、Irgacure2959やIrgacure184(BASF社製)などが挙げられる。なかでもIrgacure2959は水溶性を示し、塗液中に溶解させることができることからより好ましく用いられる。
印刷パターン13に使用されるインキは、印刷方法及び用途によって適宜選択されるが、透明性や有色、無色を問わずマトリックス12に印刷パターンを形成可能であればよい。また、印刷パターンを形成するにあたっては細線ごとに色を変えたり、透明性を変えたり複数種類のインキを使用しても良い。
インキの種類としては、例えば伸縮性を有するインキや伸縮性を有さない固いインキ、導電性を有するインキや様々な色を再現できるカラーインキ、磁性材料を含有する磁性インキ、紫外線発色インキ、蓄光インキなどを挙げることができる。カラーインキを用いる場合、複数のカラーインキを組み合わせてもよい。そして選択するインキによって、体積変化に伴い発現する機能も様々なものとすることが出来る。本実施の形態では白や黒のインキも有色インキとして扱う。インキは、マトリックス11の変形の際に割れない程度の柔軟性(追随性)があればよい。また、インキは、1種類のインキだけでなく、複数のインキを混合してもよい。例えば、同じ色で物性の異なるインキを複数種混合して柔軟性を実現してもよいし、色の異なる複数のインキを混合する場合も、物性の異なるインキを複数種混合して柔軟性を実現しても良い。
レンズ形成フィルム1の製造手順について説明する。
まず、基材11のどちらか一方の表面にマトリックス12を形成する。マトリックス12は、溶液流延法で形成できる。溶液流延法としては、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を例示できる。
上述した材料から適宜選択したものに、必要に応じて溶媒を加え、マトリックス形成用塗液を調整する。
次に、調整したマトリックス形成用塗液を基材に塗布する。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)製のフィルムなどを使用することができる。基材は、塗液を塗布した後に行われる、熱処理工程、電離放射線照射工程等の工程において変形しない限り、特に限定されない。また、基材については、形成されたマトリックスとの密着性が良いものが特に好ましい。
続いて、塗布した塗液を熱処理により乾燥させて塗液内の溶媒を除去し、塗膜を形成する。熱処理は、公知の乾燥手段を適宜採用できる。例えば、乾燥手段として、加熱、送風、熱風などを利用することができる。
次に、形成した塗膜に電離放射線を照射して樹脂を硬化させる。電離放射線としては、紫外線、電子線などを使用できる。
紫外線硬化の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアークなどの光源を使用できる。紫外線の照射条件としては、照射強度は100~500mW/cmが適しており、照射量は、十分な強度を得る観点からは、200mJ/cm以上が好ましい。
電子線硬化の場合、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型、などの各種電子線加速器から放出される電子線を利用することができる。電子線としては、50KeV以上1000KeV以下程度のエネルギーを有するのが好ましく、100KeV以上300KeV以下程度のエネルギーを有する電子線がより好ましい。
以上の手順で、マトリックス12が形成される。
次に、先述したインキを用いて、マトリックス12の基材11と密着していない方の表面12aに印刷パターン13を形成する。印刷パターン13は、公知の方法により形成できる。印刷パターン13の形成方法は、印刷法だけに限られたものではなく、レーザー描画法やフォトリソグラフィ、インプリントなど印刷パターン13やマトリックス12の材質に合わせて適宜選択することができる。印刷法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、活版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
印刷パターンは、マトリックスの膨張に伴い細線と細線の間にレンズ形状が形成されるようなものであれば良く、例えば、細線L/Sパターンや図2に示すような格子状の印刷パターンが挙げられる。
以上の手順により、本実施形態のレンズ形成フィルム1が完成する。
レンズ形成フィルム1の使用時の動作について説明する。
レンズ形成フィルム1は、マトリックス12が水分を吸着していない通常時において、その基材11と密着していない方の表面12aは平滑な状態に保たれている。
レンズ形成フィルム1の周囲が高湿度になったり、レンズ形成フィルム1に水を吹き付けて湿潤状態にしたりすると、マトリックス12が周囲の水分を吸着する。その結果、基材11とマトリックス12が接着しているため平面方向への膨張が抑制されたマトリックス12は印刷パターン13が形成されている膜厚の方向に膨張し、体積を増加させる。
この体積の増加によって、図3に示すように、マトリックス12の基材11と密着していない方の表面12aに設けられた印刷パターン13の細線と細線の間からマトリックス12が凸レンズ形状に膨張する。
レンズ形成フィルム1の周囲の湿度が低下したり、温度が上昇したりすると、マトリックス12は、吸着していた水分を放出し、体積が減少する。最終的に、マトリックス12は水分を吸着する前(通常時)の寸法および体積となり、フィルム表面の凸レンズ形状も消失し、水分を吸着する前の平滑な表面に戻る。
以上説明したように、本実施形態のレンズ形成フィルム1によれば、マトリックス12が水分を吸着することによりフィルム表面に凸レンズを形成し、水分を脱離することで水分を吸着する前の平滑面に戻る。
マトリックスにおける水分吸着時の膨張態様は、様々な方法により制御できる。したがって、用途や所望する視覚効果の態様等に応じて、膨張態様を適宜調節することができる。
例えば、粘土鉱物の添加率を上げると、マトリックスの架橋密度が増加し、体積変化率(膨張率)が低下する。また、親水性の高い樹脂あるいはモノマー成分を多くすることにより、マトリックスの吸水率が増加し、体積変化率が上昇する。
この他、硬化度や重合度を変更することにより、膨張態様を制御することも可能である。例えば、塗液の硬化時の開始剤活性化率を変更する方法が挙げられる。開始剤の活性化率が減少すると、重合反応及び架橋反応の発生点が減少することから、架橋密度や硬化度、重合度が低下する。その結果、マトリックスの内部において、体積変形率が高い部位と低い部位とを発生させ、異方的な体積変化を誘起することができる。開始剤活性化率を変更する方法としては、例えば、紫外線硬化性樹脂を用いた場合、紫外線遮蔽マスクを利用して、紫外線照射量や照度について塗膜内で分布を持たせる方法や、紫外線照射時における塗膜内部での紫外線強度の減衰を利用して、開始剤の活性化率に分布を持たせる方法が挙げられる。
また、印刷パターン13のピッチ、ラインアンドスペース幅を変化させることで、形成されるレンズの曲率半径を制御することができる。
図4は、本発明の第二実施形態に係るレンズ形成フィルム2を示す模式断面図である。レンズ形成フィルム2において、シート状の基材11と基材11のどちらか一方の表面に密着したシート状のマトリックス12と、マトリックス12の基材と密着していない方の表面12aに形成された印刷パターン13は、第一実施形態と同様である。レンズフィルム2においては、さらに基材11とマトリックス12の界面または基材11のマトリックス12と密着していない方の表面に三次元模様形成用印刷パターン14を備える。
レンズ形成フィルム2の使用時の動作について説明する。
透明基材下面にさらに三次元模様形成用印刷パターン14を設けたレンズ形成フィルム2の場合、図5に示すように、マトリックス12が水分を吸着し、凸レンズ形成後のレンズの焦点Fが印刷パターンに一致するように設計することで、三次元模様が出現する。すなわち、レンズ形成フィルム2においては、マトリックス12が水分を吸着することにより視覚効果を生じる。この視覚効果は、水分吸着時と非吸着時の概ね二段階である場合もあるし、水分の吸着量変化に伴って連続的に変化する場合もある。
レンズ形成フィルム2の周囲の湿度が低下したり、温度が上昇したりすると、マトリックス12は、吸着していた水分を放出し、体積が減少する。最終的に、マトリックス12は通常時の寸法および体積となり、フィルム表面の凸レンズ形状も消失し、平滑な表面に戻る。その結果、水分吸着時に観察されていた、三次元モアレ模様も消失する。
以上説明したように、本実施形態のレンズ形成フィルム2によれば、マトリックス12が水分を吸着、脱離することにより、フィルム表面に凸レンズを可逆的に形成し、その結果、三次元模様の出現、消失が観察される。
本発明について、実施例を用いてさらに説明する。本発明は、実施例の内容によって何ら限定されない。
(実施例1)
親水性UV硬化性樹脂UA-W2A(新中村化学工業社製、3質量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、41質量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITE RDS(BYK社製、6質量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.1重量部、外添)、溶媒として純水(50質量部)を混合し、塗液を調製した。
この塗液を基材上に塗布した。基材として表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレート(PET)(ルミラーT60、厚さ75μm、東レ社製)を選択した。塗液の塗工は乾燥膜厚が42μmとなるように設定して行った。
塗工後の基材を熱処理して塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。熱処理条件は105℃、1分間とした。
この状態で塗膜に紫外線を照射し、塗膜を硬化させ、マトリックス20を作製した。紫外線の照射は、コンベア式紫外線硬化装置を用いて露光量550mJ/cmとした。
次に、グラビアオフセット印刷によって、マトリックス上にL/S=75/65の細線パターンを形成した。
このレンズ形成フィルム1に、水を滴下し3分後、余分な水を拭き取った。その結果、フィルム膜厚の増加が観察され、細線のスペース部分が凸レンズ状に膨張した。表1に湿潤前後の膜厚、屈折率および湿潤後の曲率半径、焦点距離を示す。また、図6にレンズフィルムのフィルム厚みDおよび形成された凸レンズの曲率半径Rを定義した。焦点距離の算出には、フィルムの屈折率nと凸レンズの曲率半径平Rを用いて、平凸レンズの焦点距離の式、f=R/(n-1)によって算出した。膜厚は、(株)ニコン製の接触式膜厚計デジマイクロMC-101を用いて計測した。
このように、レンズ形成フィルム1は、水分の吸着に伴い、フィルム表面にレンズが形成された。
Figure 0007238333000001
(実施例2)
親水性UV硬化性樹脂UA-W2A(新中村化学工業社製、3質量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、44質量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITE RDS(BYK社製、3質量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.1重量部、外添)、溶媒として純水(50質量部)を混合し、塗液を調製した。
材料組成以外は、実施例1と同様の手法で、マトリックス及び印刷パターンを形成した。このレンズ形成フィルム1に、水を滴下し3分後、余分な水を拭き取った。その結果、フィルム膜厚の増加が観察され、細線のスペース部分が凸レンズ状に膨張した。表2に湿潤前後の膜厚、屈折率および湿潤後の曲率半径、焦点距離を示す。材料組成を変更してもレンズが形成されることがわかった。
Figure 0007238333000002
(実施例3)
マトリックス上の印刷パターンを格子状のパターンに変更し、他は実施例1と同じ材料組成、作製方法によってレンズ形成フィルム1を作製した。このレンズ形成フィルム1に、水を滴下し3分後、余分な水を拭き取ったところ、フィルム表面の格子印刷パターンのスペース部分に凸レンズが形成されていることを確認した。表2に湿潤前後の膜厚、屈折率および湿潤後の曲率半径、焦点距離を示す。
このように、異なるパターン形状においても、レンズ形成フィルム1は、フィルム表面に凸レンズ形状を形成することができる。
Figure 0007238333000003
(実施例4)
実施例2において、基材厚みを188μmに変更し、他は同じ材料組成、作製方法によってレンズ形成フィルム2を作製した。表2に湿潤前後の膜厚、曲率半径、焦点距離を示す。このフィルムを用いて、基材下面に配置した印刷パターンを観察したところ、印刷パターンの位置と焦点距離がほぼ同程度の値となったことで、レンズと印刷パターンによる三次元モアレ模様が生じ、視覚効果が発現した。
Figure 0007238333000004
(比較例1)
UV硬化性樹脂UA-1280MK(新中村化学工業社製、56質量部)、UV硬化性樹脂紫光UV-7000B(日本合成化学社製、24質量部)、光重合開始剤Irgacure184(BASF社製、3重量部)、溶媒としてMEK(25質量部)を混合し、塗液を調製した。
この塗液を用いて、実施例3と同様に、表面に格子状パターンの印刷を施したフィルムを作製した。この材料からなる光硬化性フィルムは、水分を吸着及び脱離する特性を有しておらず、水を滴下し3分後、余分な水を拭き取ったところ、フィルム表面には実施例3で観察されたような凸レンズ形状は形成されておらず、膜厚、屈折率の変化も生じなかった。
すなわち、水分を吸着及び脱離する特性を有さない樹脂をマトリックスに用いた場合、平滑なフィルム表面からレンズ形状を形成することはできない。
1 レンズ形成フィルム1
2 レンズ形成フィルム2
11 基材
12 マトリックス
13 印刷パターン
14 3次元模様形成用印刷パターン
F 焦点

Claims (5)

  1. シート状の基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面と密着したマトリックスと、
    前記マトリックスの前記基材と密着していない他方の面に複数の細線から形成される印刷パターンとを有し、
    前記基材および印刷パターンは、水分の吸着及び脱離に伴う体積変化を実質的に生じない材料であり、
    前記マトリックスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する材料からなり、水分の吸着によって前記印刷パターンの細線と隣接する他の細線の間の前記マトリックスが膨張し凸レンズを形成し、かつ水分の脱離によって前記マトリックスが水分を吸着する以前の平滑面に戻ることを特徴とする、レンズ形成フィルム。
  2. 前記マトリックスは、電離放射線重合性有機モノマーと、粘土鉱物と、電離放射線重合性有機樹脂とを含んだ電離放射線重合性組成物であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ形成フィルム。
  3. 前記電離放射線重合性有機モノマーが、(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項2に記載のレンズ形成フィルム。
  4. 前記電離放射線重合性有機樹脂が、ウレタン骨格と1つ以上の(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする請求項2または3に記載のレンズ形成フィルム。
  5. 前記基材と前記マトリックスの界面または前記基材の前記マトリックスに密着していない方の表面に配置された印刷パターンをさらに備え、前記マトリックスの体積変化によって形成された凸レンズと前記パターンによるモアレ効果が生じる、請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ形成フィルム。
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