JP2020061281A - リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質を備える薄膜型のリチウムイオン二次電池の構成の簡易化を図る。【解決手段】リチウムイオン二次電池100は、導電性を有し且つ正極集電体層を兼ねる基板10に、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70を積層してなる電池部1と、絶縁性を有し電池部1の側部を被覆する被覆部2とを備える。被覆部2は、電池部1の上方側に位置する負極集電体層70の上面の中央部と、電池部1の下方側に位置する基板10の裏面とを覆わないようになっており、これらは、外部との電気的な接続に用いられる。【選択図】図4
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する、小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、リチウムイオン伝導性を示し且つ正極および負極の間に配置される電解質とを有している。
従来のリチウムイオン二次電池では、電解質として有機電解液等が用いられてきた。これに対し、電解質として無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を用いるとともに、正極、固体電解質および負極をすべて薄膜で構成した、全固体型且つ薄膜積層型のリチウムイオン二次電池が提案されている(特許文献1参照)。
また、この特許文献1には、絶縁性樹脂からなる基板上に、正極層、固体電解質層および負極層を積層するとともに、基板上に形成された、これら正極層、固体電解質層および負極層を含む積層体の全体を覆うように、紫外線硬化樹脂からなる全体保護膜を形成することが記載されている。
また、この特許文献1には、絶縁性樹脂からなる基板上に、正極層、固体電解質層および負極層を積層するとともに、基板上に形成された、これら正極層、固体電解質層および負極層を含む積層体の全体を覆うように、紫外線硬化樹脂からなる全体保護膜を形成することが記載されている。
ここで、絶縁性樹脂からなる基板上に形成された薄膜型の電池部と、基板上に形成された電池部の全体を覆うように形成された全体保護膜とを有する構成を採用した場合、例えば全体保護膜に穴開けを行って、正負の電極を設ける必要があった。
本発明は、固体電解質を備える薄膜型のリチウムイオン二次電池の構成の簡易化を図ることを目的とする。
本発明は、固体電解質を備える薄膜型のリチウムイオン二次電池の構成の簡易化を図ることを目的とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、導電性を有し且つ集電を行う第1集電体層と、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を有する固体電解質層と、当該第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と、導電性を有し且つ集電を行う第2集電体層と、を順に含む電池部と、絶縁性を有し、前記電池部の一方の面側には前記第1集電体層の一部が露出するとともに当該電池部の他方の面側には前記第2集電体層の一部が露出し、前記第1極性層、前記固体電解質層および前記第2極性層が露出しないように当該電池部を被覆する被覆部とを備えている。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記被覆部が、合成樹脂材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記被覆部が、フォトレジスト材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記被覆部が、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記第1集電体層が、SUS316Lで構成されることを特徴とすることができる。
また、前記第1集電体層が、表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、導電性を有し且つ集電を行う第1集電体層と、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を有する固体電解質層と、当該第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と、導電性を有し且つ集電を行う第2集電体層と、を順に含む電池部における当該第2集電体層の上面に対し、絶縁性を有する液状の有機材料を環状に供給する供給工程と、前記液状の有機材料が環状に供給された前記電池部を回転させて、当該液状の有機材料を当該電池部に塗布する塗布工程と、前記電池部に塗布された前記液状の有機材料を加熱する加熱工程とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記液状の有機材料がフォトレジスト材料であり、加熱された前記液状の有機材料を、全域にわたって露光する露光工程をさらに有することを特徴とすることができる。
また、 前記液状の有機材料がパーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体の原材料であることを特徴とすることができる。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記被覆部が、合成樹脂材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記被覆部が、フォトレジスト材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記被覆部が、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体で構成されることを特徴とすることができる。
また、前記第1集電体層が、SUS316Lで構成されることを特徴とすることができる。
また、前記第1集電体層が、表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、導電性を有し且つ集電を行う第1集電体層と、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を有する固体電解質層と、当該第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と、導電性を有し且つ集電を行う第2集電体層と、を順に含む電池部における当該第2集電体層の上面に対し、絶縁性を有する液状の有機材料を環状に供給する供給工程と、前記液状の有機材料が環状に供給された前記電池部を回転させて、当該液状の有機材料を当該電池部に塗布する塗布工程と、前記電池部に塗布された前記液状の有機材料を加熱する加熱工程とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記液状の有機材料がフォトレジスト材料であり、加熱された前記液状の有機材料を、全域にわたって露光する露光工程をさらに有することを特徴とすることができる。
また、 前記液状の有機材料がパーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体の原材料であることを特徴とすることができる。
本発明によれば、固体電解質を備える薄膜型のリチウムイオン二次電池の構成の簡易化を図ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
[リチウムイオン二次電池の構成]
図1は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の全体構成を示す斜視図である。また、図2は、リチウムイオン二次電池100を構成する電池部1の斜視図である。さらに、図3(a)はリチウムイオン二次電池100の正面図であり、図3(b)はその背面図である。さらにまた、図4は、図3(a)、(b)のIV−IV断面図(リチウムイオン二次電池100の縦断面図)である。
図1は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の全体構成を示す斜視図である。また、図2は、リチウムイオン二次電池100を構成する電池部1の斜視図である。さらに、図3(a)はリチウムイオン二次電池100の正面図であり、図3(b)はその背面図である。さらにまた、図4は、図3(a)、(b)のIV−IV断面図(リチウムイオン二次電池100の縦断面図)である。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、充放電可能な充電池すなわち二次電池として機能する電池部1と、絶縁性を有するとともに電池部1の要部を被覆する被覆部2とを備えている。
(電池部)
では最初に、電池部1の構成について説明を行う。
本実施の形態の電池部1は、基板10と、基板10上に積層される下地層20と、下地層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される固体電解質層40とを備えている。ここで、固体電解質層40は、下地層20および正極層30の両者の周縁を覆うとともにその端部が基板10に直接積層されることで、基板10とともに下地層20および正極層30を覆っている。また、このリチウムイオン二次電池100は、固体電解質層40上に積層される保持層50と、保持層50上に積層される拡散防止層60と、拡散防止層60上に積層される負極集電体層70とをさらに備えている。
では最初に、電池部1の構成について説明を行う。
本実施の形態の電池部1は、基板10と、基板10上に積層される下地層20と、下地層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される固体電解質層40とを備えている。ここで、固体電解質層40は、下地層20および正極層30の両者の周縁を覆うとともにその端部が基板10に直接積層されることで、基板10とともに下地層20および正極層30を覆っている。また、このリチウムイオン二次電池100は、固体電解質層40上に積層される保持層50と、保持層50上に積層される拡散防止層60と、拡散防止層60上に積層される負極集電体層70とをさらに備えている。
〔基板〕
第1集電体層の一例としての基板10は、下地層20乃至負極集電体層70を、成膜プロセスによって積層するための土台となるものである。そして、この基板10は、表面10aと裏面10bとを有しており、表面10a側に、下地層20乃至負極集電体層70が積層されるようになっている。なお、基板10の詳細については後述する。
第1集電体層の一例としての基板10は、下地層20乃至負極集電体層70を、成膜プロセスによって積層するための土台となるものである。そして、この基板10は、表面10aと裏面10bとを有しており、表面10a側に、下地層20乃至負極集電体層70が積層されるようになっている。なお、基板10の詳細については後述する。
〔下地層〕
下地層20は、固体薄膜であって、基板10と正極層30との密着性を高めるとともに、基板10を構成する材料(特に金属材料)と、正極層30を構成するLi3PO4(リン酸リチウム:詳細は後述する)とが、直接に接触するのを抑制するための障壁となるものである。
下地層20としては、電子伝導性を有するとともに、Li3PO4を構成するLi+(リチウムイオン)やPO4 3−(リン酸イオン)による腐食が生じ難い、金属または金属化合物等で構成されたものを用いることができる。
下地層20は、固体薄膜であって、基板10と正極層30との密着性を高めるとともに、基板10を構成する材料(特に金属材料)と、正極層30を構成するLi3PO4(リン酸リチウム:詳細は後述する)とが、直接に接触するのを抑制するための障壁となるものである。
下地層20としては、電子伝導性を有するとともに、Li3PO4を構成するLi+(リチウムイオン)やPO4 3−(リン酸イオン)による腐食が生じ難い、金属または金属化合物等で構成されたものを用いることができる。
ここで、本実施の形態では、下地層20を、LiNiO2(リン酸ニッケル)で構成している。LiNiO2は、リチウムイオン二次電池100の正極材料として用いられることがあるものである。
下地層20の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。下地層20の厚さが5nm未満であると、障壁としての機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、下地層20の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
また、下地層20の製造方法としては、各種PVD(物理蒸着)や各種CVD(化学蒸着)など、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法もしくは真空蒸着法を用いることが望ましい。
〔正極層〕
第1極性層の一例としての正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質を含むものである。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)から選ばれる一種以上の金属を含む、酸化物、硫化物あるいはリン酸化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。また、正極層30は、さらに固体電解質を含んだ合材正極であってもよい。
第1極性層の一例としての正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質を含むものである。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)から選ばれる一種以上の金属を含む、酸化物、硫化物あるいはリン酸化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。また、正極層30は、さらに固体電解質を含んだ合材正極であってもよい。
本実施の形態では、正極層30を、正極活物質と、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)とを含む合材正極で構成している。より具体的に説明すると、本実施の形態の正極層30は、主として無機固体電解質を含む固体電解質領域と、主として正極活物質を含む正極領域とを有している。そして、正極層30内では、固体電解質領域を構成する無機固体電解質と、正極領域を構成する正極活物質とが、それぞれを維持した状態で混在している。その結果、正極層30では、一方がマトリックス(母材)となっており、他方がフィラー(粒子)となっている。ここで、正極層30においては、固体電解質領域をマトリックスとし、正極領域をフィラーとすることが望ましい。
そして、本実施の形態では、正極層30を構成する正極活物質として、上記下地層20と同じLiNiO2を用いている。また、正極層30を構成する無機固体電解質として、Li3PO4(リン酸リチウム)を用いている。ここで、正極層30における正極活物質と無機固体電解質との比率については、適宜選択して差し支えない。ただし、容量および導電性の両者を確保するという観点からすれば、正極活物質と無機固体電解質との比率を、モル比で9:1(90%:10%)乃至3:2(60%:40%)の範囲とすることが好ましい。
正極層30の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。正極層30の厚さが10nm未満であると、得られるリチウムイオン二次電池100の容量が小さくなりすぎ、実用的ではなくなる。一方、正極層30の厚さが40μmを超えると、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。ただし、リチウムイオン二次電池100に要求される電池容量が大きい場合には、正極層30の厚さを40μm超としてもかまわない。
さらに、正極層30の作製方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔固体電解質層〕
固体電解質層40は、無機材料からなる固体薄膜であって、外部から加えられた電場によってリチウムイオンを移動させることのできる無機固体電解質を含むものである。
本実施の形態の固体電解質層40は、正極層30における無機固体電解質と同じLi3PO4で構成されている。また、本実施の形態の固体電解質層40は、Li3PO4を含む一方、Li3PO4における酸素の一部を窒素で置換したLiPON(Li3PO4−xNx(0<x<1))を含んでいない。
固体電解質層40は、無機材料からなる固体薄膜であって、外部から加えられた電場によってリチウムイオンを移動させることのできる無機固体電解質を含むものである。
本実施の形態の固体電解質層40は、正極層30における無機固体電解質と同じLi3PO4で構成されている。また、本実施の形態の固体電解質層40は、Li3PO4を含む一方、Li3PO4における酸素の一部を窒素で置換したLiPON(Li3PO4−xNx(0<x<1))を含んでいない。
固体電解質層40の厚さは、例えば400nm以上800nm以下とすることができる。固体電解質層40の厚さが400nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池100において、正極層30と保持層50との間での電流の漏れ(リーク)が生じやすくなる。一方、固体電解質層40の厚さが800nmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。また、固体電解質層40の厚さは、例えば600nm以上800nm以下とすることが好ましい。
ここで、正極層30および固体電解質層40の厚さの関係については、どちらが厚くてもかまわないし、同じであってもよい。ただし、電池の内部抵抗の増大を抑制するという観点からすれば、固体電解質層40の厚さを、正極層30の厚さよりも小さくすることが好ましい。
さらに、固体電解質層40の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔保持層〕
第2極性層の一例としての保持層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを保持するとともに放電時にはリチウムイオンを放出する機能を備えるものである。ここで、本実施の形態の保持層50は、自身は負極活物質を含んでおらず、負極活物質として機能するリチウムを内部に保持するようになっている点が、一般的な負極層とは異なる。
第2極性層の一例としての保持層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを保持するとともに放電時にはリチウムイオンを放出する機能を備えるものである。ここで、本実施の形態の保持層50は、自身は負極活物質を含んでおらず、負極活物質として機能するリチウムを内部に保持するようになっている点が、一般的な負極層とは異なる。
そして、本実施の形態の保持層50は、多孔質構造を有しており、多数の空孔が形成された多孔質部(図示せず)によって構成されている。なお、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部の形成は、成膜後の初回の充放電動作に伴って行われるのであるが、その詳細については後述する。
保持層50を構成する材料としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)、アルミニウム(Al)あるいはこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、より酸化されにくい白金または金で保持層50を構成することが望ましい。また、本実施の形態の保持層50は、上述した貴金属および金属あるいはこれらの合金の多結晶体で構成することができる。
ここで、本実施の形態では、保持層50を白金で構成している。
保持層50の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。保持層50の厚さが10nm未満であると、リチウムを保持する能力が不十分となる。一方、保持層50の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。ただし、リチウムイオン二次電池100に要求される電池容量が大きい場合には、保持層50の厚さを40μm超としてもかまわない。
さらに、保持層50の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。そして、多孔質化した保持層50の製造方法としては、後述するような、充電と放電とを行う手法を採用することが望ましい。
〔拡散防止層〕
拡散防止層60は、固体薄膜であって、保持層50に保持されたリチウムイオンの、リチウムイオン二次電池100の外部への拡散を抑制するためのものである。
拡散防止層60としては、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されたものを用いることができる。また、拡散防止層60は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることが好ましく、これらの中でも、耐腐食性の観点から、クロム(Cr)単体またはクロムを含む合金であることが好ましい。なお、拡散防止層60は、構成材料が異なる非晶質層を、複数積層して構成する(例えば非晶質クロム層および非晶質クロムチタン合金層の積層構造とする)こともできる。また、本実施の形態における「非晶質構造」には、全体が非晶質構造を有しているものはもちろんのこと、非晶質構造中に微結晶が析出しているものも含まれる。
拡散防止層60は、固体薄膜であって、保持層50に保持されたリチウムイオンの、リチウムイオン二次電池100の外部への拡散を抑制するためのものである。
拡散防止層60としては、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されたものを用いることができる。また、拡散防止層60は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることが好ましく、これらの中でも、耐腐食性の観点から、クロム(Cr)単体またはクロムを含む合金であることが好ましい。なお、拡散防止層60は、構成材料が異なる非晶質層を、複数積層して構成する(例えば非晶質クロム層および非晶質クロムチタン合金層の積層構造とする)こともできる。また、本実施の形態における「非晶質構造」には、全体が非晶質構造を有しているものはもちろんのこと、非晶質構造中に微結晶が析出しているものも含まれる。
ここで、本実施の形態では、拡散防止層60を、クロムおよびチタンの合金(CrTi)で構成している。また、拡散防止層60に用いることが可能な金属(合金)としては、CrTi以外に、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を挙げることができる。
拡散防止層60の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。拡散防止層60の厚さが10nm未満であると、固体電解質層40側から保持層50を通過してきたリチウムを、拡散防止層60でせき止めにくくなる。一方、拡散防止層60の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
さらに、拡散防止層60の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。特に、拡散防止層60を、上述したクロムチタン合金で構成する場合、スパッタ法を採用すると、クロムチタン合金が非晶質化しやすい。
〔負極集電体層〕
第2極性層の一例としての負極集電体層70は、電子伝導性を有する固体薄膜であって、保持層50への集電を行う機能を備えるものである。ここで、負極集電体層70を構成する材料は、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、各種金属や、各種金属の合金を含む導電性材料を用いることができる。ただし、拡散防止層60の腐食を抑制するという観点からすれば、化学的に安定した材料を用いることが好ましく、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)あるいはこれらの合金で構成することが好ましい。
第2極性層の一例としての負極集電体層70は、電子伝導性を有する固体薄膜であって、保持層50への集電を行う機能を備えるものである。ここで、負極集電体層70を構成する材料は、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、各種金属や、各種金属の合金を含む導電性材料を用いることができる。ただし、拡散防止層60の腐食を抑制するという観点からすれば、化学的に安定した材料を用いることが好ましく、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)あるいはこれらの合金で構成することが好ましい。
ここで、本実施の形態では、負極集電体層70を、保持層50と同じ白金で構成している。ただし、負極集電体層70は、保持層50とは異なり、多孔質構造を有していない。
負極集電体層70の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。負極集電体層70の厚さが5nm未満であると、耐腐食性および集電機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、負極集電体層70の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
また、負極集電体層70の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(基板の構成)
次に、本実施の形態で用いた基板10について説明を行う。
本実施の形態の基板10は、矩形状(この例では正方形状)を呈しており、一方の面が表面10aとなっており、他方の面が裏面10bとなっている。そして、本実施の形態の基板10は、電子伝導性を有する導電性材料で構成される。これにより、本実施の形態の基板10は、下地層20を介して正極層30への集電を行う正極集電体層として機能するようになっている。
次に、本実施の形態で用いた基板10について説明を行う。
本実施の形態の基板10は、矩形状(この例では正方形状)を呈しており、一方の面が表面10aとなっており、他方の面が裏面10bとなっている。そして、本実施の形態の基板10は、電子伝導性を有する導電性材料で構成される。これにより、本実施の形態の基板10は、下地層20を介して正極層30への集電を行う正極集電体層として機能するようになっている。
基板10の厚さは、例えば20μm以上2000μm以下とすることができる。基板10の厚さが20μm未満であると、リチウムイオン二次電池100の強度が不足するおそれがある。一方、基板10の厚さが2000μmを超えると、電池の厚さおよび重量の増加により体積エネルギー密度および重量エネルギー密度が低下する。
図5は、実施の形態のリチウムイオン二次電池100を構成する基板10の断面構成例を示す図である。以下では、図5(a)に示す基板10を第1の構成例、また、図5(b)に示す基板10を第2の構成例と称し、それぞれについて説明を行う。
〔第1の構成例〕
図5(a)に示す第1の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11を備えている。
第1の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金等を用いることができる。ここで、第1の構成例において、リン酸に起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてステンレスを用いることが望ましく、特に、粒界腐食を抑止するという観点からすれば、SUS316、より好ましくはSUS316Lを用いることが望ましい。また、本実施の形態のように、基板10上に積層する下地層20としてLiNiO2を採用する場合は、基材11を構成する金属材料として、熱膨張率がLiNiO2に近いステンレスを用いることが好ましい。さらに、本実施の形態のように、基板10を正極集電体層としても利用する場合は、基材11を構成する金属材料として、高電圧環境下においても腐食されにくく、過放電に強いステンレスを用いることが好ましい。
なお、第1の構成例において、基板10を構成する基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
図5(a)に示す第1の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11を備えている。
第1の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金等を用いることができる。ここで、第1の構成例において、リン酸に起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてステンレスを用いることが望ましく、特に、粒界腐食を抑止するという観点からすれば、SUS316、より好ましくはSUS316Lを用いることが望ましい。また、本実施の形態のように、基板10上に積層する下地層20としてLiNiO2を採用する場合は、基材11を構成する金属材料として、熱膨張率がLiNiO2に近いステンレスを用いることが好ましい。さらに、本実施の形態のように、基板10を正極集電体層としても利用する場合は、基材11を構成する金属材料として、高電圧環境下においても腐食されにくく、過放電に強いステンレスを用いることが好ましい。
なお、第1の構成例において、基板10を構成する基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
〔第2の構成例〕
図5(b)に示す第2の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11と、基材11の全面を覆う被覆層12とを備えている。
第2の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、第2の構成例において、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてアルミニウムを用いることが望ましい。
なお、第2の構成例において、基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
図5(b)に示す第2の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11と、基材11の全面を覆う被覆層12とを備えている。
第2の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、第2の構成例において、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてアルミニウムを用いることが望ましい。
なお、第2の構成例において、基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
また、第2の構成例において、被覆層12を構成する材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、基材11に被覆層12を形成してなる基板10を採用する場合、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、CrTi、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を用いることが好ましい。そして、これらの中でも、機械研磨が可能な硬質な外周面を設けるという観点からすれば、例えば、無電解ニッケルメッキ法により成膜されるNiP(ニッケル−リン、以下では「Ni−P」と表記することがある)を用いることが望ましい。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。
なお、図5(b)に示す例では、基材11の全面を被覆層12で覆うことによって基板10を形成しているが、これに限られるものではない。例えば本実施の形態のように、基板10の表面10aにのみ電池構造を形成する場合(図4参照)は、基材11のうち、少なくとも基板10において表面10aとなる側に、被覆層12を設ければよい。
〔最大最小高低差〕
次に、本実施の形態の基板10における最大最小高低差Rmmについて説明を行う。
最大最小高低差Rmmは、基板10における電池構造の積層面(本実施の形態では基板10の表面10a)の平滑度を規定する尺度である。そして、本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲(正方形状の領域)の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差によって定義される。したがって、最大最小高低差Rmmは、例えばJIS B 0601に規定される最大高さRzとは定義が異なる。
次に、本実施の形態の基板10における最大最小高低差Rmmについて説明を行う。
最大最小高低差Rmmは、基板10における電池構造の積層面(本実施の形態では基板10の表面10a)の平滑度を規定する尺度である。そして、本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲(正方形状の領域)の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差によって定義される。したがって、最大最小高低差Rmmは、例えばJIS B 0601に規定される最大高さRzとは定義が異なる。
では、最大最小高低差Rmmの定義について、より詳細な説明を行う。
本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、例えばAFM装置(原子間力顕微鏡システム)であるブルカー社製D3100を用い、20μm×20μmの領域内のデータを取得した後、スキャンライン毎に基準面を作成する際に、近似多項式として3次式を用い、基準面からの変位(+変位および−変位が存在し得る)に変換した(「平滑化」処理した)像を準備し、像における垂直方向(z変位)の「最大値−最小値」によって求めることができる。
本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、例えばAFM装置(原子間力顕微鏡システム)であるブルカー社製D3100を用い、20μm×20μmの領域内のデータを取得した後、スキャンライン毎に基準面を作成する際に、近似多項式として3次式を用い、基準面からの変位(+変位および−変位が存在し得る)に変換した(「平滑化」処理した)像を準備し、像における垂直方向(z変位)の「最大値−最小値」によって求めることができる。
本実施の形態では、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定されている。ここで、図5(a)に示す第1の構成例の基板10では、表面10a側に位置する基材11の最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定される。また、図5(b)に示す第2の構成例の基板10では、表面10a側に位置する被覆層12の最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定される。
〔算術平均粗さ〕
続いて、本実施の形態の基板10における算術平均粗さRaについて説明を行う。
算術平均粗さRaは、例えばJIS B 0601に規定されているものである。
そして、本実施の形態では、基板10における表面10aの算術平均粗さRaが、1.1nm以下であることが好ましい。
続いて、本実施の形態の基板10における算術平均粗さRaについて説明を行う。
算術平均粗さRaは、例えばJIS B 0601に規定されているものである。
そして、本実施の形態では、基板10における表面10aの算術平均粗さRaが、1.1nm以下であることが好ましい。
(被覆部)
では、図1〜図4を参照しつつ、被覆部2の構成について説明を行う。
本実施の形態の被覆部2は、固体薄膜であって、電池部1を保護するとともに、電池部1の内部絶縁と外部絶縁とを行うためのものである。
では、図1〜図4を参照しつつ、被覆部2の構成について説明を行う。
本実施の形態の被覆部2は、固体薄膜であって、電池部1を保護するとともに、電池部1の内部絶縁と外部絶縁とを行うためのものである。
被覆部2は、負極集電体層70の上面、負極集電体層70の側面、拡散防止層60の側面、保持層50の側面、固体電解質層40の上面(端部側)および側面、および、基板10の側面を覆っている。ただし、負極集電体層70における上面のほぼ中央部には、被覆部2が存在しない開口部2aが形成されており、この部位には、負極集電体層70が露出する露出部71が設けられている。また、被覆部2は、基板10の下面を覆っておらず、この部位には、基板10の裏面10b(図5参照)が露出している。これにより、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100では、負極集電体層70における露出部71が、外部との電気的な接続に用いられる負の電極として機能し、基板10における裏面10bが、外部との電気的な接続に用いられる正の電極として機能するようになっている。
被覆部2としては、絶縁性を有するものであれば、有機材料や無機材料など、各種材料を用いることができる。ただし、本実施の形態の電池部1は、後述するように、充放電に伴って厚さ方向に伸縮する構造となっていることから、被覆部2として、柔軟性および伸縮性が無機材料よりも高い、有機材料(特に合成樹脂材料)を用いることが望ましい。また、被覆部2は、電池部1の外側に露出する各層(この例では、基板10、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70)との密着性が高い材料を用いることが望ましい。さらに、リチウムイオン二次電池100の外側から電池部1の状態を観察しやすくするという観点からすれば、被覆部2は、可視領域の波長の光に対して透光性を有していることが望ましい。
そして、被覆部2として使用することのできる無機材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)を挙げることができる。また、被覆部2として使用することのできる有機材料としては、合成樹脂材料を挙げることができ、特に、各種フォトレジスト材料や各種エンジニアリングプラスチック材料を用いることが望ましい。ここで、フォトレジスト材料としては、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよいが、被覆部2の製造工程を簡略化するという観点からすれば、ポジ型であることが望ましい。また、エンジニアリングプラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、高い靭性を得るという観点からすれば、熱可塑性樹脂であることが望ましい。さらに、化学薬品に対する耐久力や電気絶縁性を確保するという観点からすれば、フッ素樹脂を用いることが望ましく、高い透光性を得るという観点からすれば、非晶質のフッ素樹脂を用いることがさらに望ましい。非晶質のフッ素樹脂としては、結晶性ポリマーのフッ素樹脂を共重合化してポリマーアロイとして非晶質化させたものや、パーフルオロジオキソールの共重合体(デュポン社製の商品名テフロンAF(登録商標))やパーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体(AGC社製の商品名サイトップ(登録商標))などを挙げることができる。そして、これらの中でも、電池部1との密着性を高めるという観点からすれば、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体を用いることが望ましい。
被覆部2の厚さは、例えば100nm以上2mm以下とすることができる。被覆部2の厚さが100nm未満であると、ピンホール等が形成される可能性が高くなり、大気暴露に伴ってLiが酸化するおそれや、絶縁性を確保できなくなるおそれがある。一方、被覆部2の厚さが2mmを超えると、リチウムイオン二次電池100全体の薄型化が困難となり、また、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。
また、被覆部2の作製方法としては、例えば無機材料を使用する場合には、各種PVDや各種CVD、あるいはゾルゲル法など、公知の成膜手法を採用することができる。一方、例えば有機材料を使用する場合には、ディップコート、スピンコートあるいは刷毛等による、液体状の原材料の塗布を行った後、加熱や露光等により硬化させる成膜手法を採用することができる。また、予め固体状且つシート状に成形された有機材料を原材料とする場合には、この原材料に穴開け加工等を施してから対象物に積載し、加熱により硬化させる成膜手法を採用することもできる。ここで、固体状の原材料としては、熱硬化型エポキシ樹脂シート(京セラ社製の商品名とろけるシート)などを挙げることができる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
では、上述したリチウムイオン二次電池100の製造方法について説明を行う。
図6は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、電池部1を形成する電池部形成工程(ステップ1)、電池部1に被覆部2を形成する被覆部形成工程(ステップ2)、そして、電池部1に被覆部2を形成してなるリチウムイオン二次電池100の基本構造体を電池化する電池化工程(ステップ3)、を経て製造される。以下では、これら3つの工程について、さらに詳細且つ具体的な説明を行う。
では、上述したリチウムイオン二次電池100の製造方法について説明を行う。
図6は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、電池部1を形成する電池部形成工程(ステップ1)、電池部1に被覆部2を形成する被覆部形成工程(ステップ2)、そして、電池部1に被覆部2を形成してなるリチウムイオン二次電池100の基本構造体を電池化する電池化工程(ステップ3)、を経て製造される。以下では、これら3つの工程について、さらに詳細且つ具体的な説明を行う。
(電池部形成工程)
最初に、ステップ1の電池部形成工程について説明を行う。
最初に、ステップ1の電池部形成工程について説明を行う。
〔基板準備工程〕
ステップ1の電池部形成工程では、まず、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下となるように表面処理が施された基板10を準備する、基板準備工程を実行する(ステップ11)。なお、ここでは、1枚の基板10を用いて、4個(2×2)の電池部1を形成する場合を例とし、正方形状の基板10を準備するものとする。
ステップ1の電池部形成工程では、まず、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下となるように表面処理が施された基板10を準備する、基板準備工程を実行する(ステップ11)。なお、ここでは、1枚の基板10を用いて、4個(2×2)の電池部1を形成する場合を例とし、正方形状の基板10を準備するものとする。
ここで、図5(a)に示す第1の構成例にかかる基板10は、例えば以下の手順にて製造される。まず、圧延法等によって金属板を製造し、この金属板を切断して得られた基材11の表面10a側に、一般的な機械研磨処理を施した後、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法等を用いた精密研磨処理を施すことで、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定された基板10を得る。
また、図5(b)に示す第2の構成例にかかる基板10は、例えば以下の手順にて製造される。まず圧延法等によって金属板を製造し、この金属板を切断して得られた基材11の全面に、無電解ニッケルメッキ法等によってNi−Pからなる被覆層12を形成することで、基材11と被覆層12との積層体を得る。そして、このようにして得られた積層体の表面10a側に位置する被覆層12に、一般的な機械研磨処理を施した後、CMP法等を用いた研磨処理を施すことで、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定された基板10を得る。
〔下地層形成工程〕
そして、図示しないスパッタ装置に基板10を装着し、基板10の表面10a上に下地層20を形成する下地層形成工程を実行する(ステップ12)。
図7は、ステップ12の下地層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図7(a)は正面図を、図7(b)は図7(a)のVIIB−VIIB断面図を、それぞれ示している。
そして、図示しないスパッタ装置に基板10を装着し、基板10の表面10a上に下地層20を形成する下地層形成工程を実行する(ステップ12)。
図7は、ステップ12の下地層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図7(a)は正面図を、図7(b)は図7(a)のVIIB−VIIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、基板10の表面10a上に、マトリクス状(2×2=4箇所)に下地層20を形成している。このとき、各下地層20は矩形状(正方形状)とし、それぞれの面積は共通の大きさに設定している。したがって、各下地層20の面積は、基板10の面積よりも小さく(この例では4分の1未満)なる。そして、各下地層20が互いに接触しないように下地層20間にギャップを設けることで、隣接する2つの下地層20の間には、基板10の表面10aが露出している。なお、以下の説明では、基板10上に下地層20を積層したものを、第1積層体と称する。
〔正極層形成工程〕
次に、上記スパッタ装置にて、下地層20上に正極層30を形成する正極層形成工程を実行する(ステップ13)。
図8は、ステップ13の正極層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図8(a)は正面図を、図8(b)は図8(a)のVIIIB−VIIIB断面図を、それぞれ示している。
次に、上記スパッタ装置にて、下地層20上に正極層30を形成する正極層形成工程を実行する(ステップ13)。
図8は、ステップ13の正極層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図8(a)は正面図を、図8(b)は図8(a)のVIIIB−VIIIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第1積層体における各下地層20上に、それぞれ正極層30を形成している。より具体的に説明すると、第1積層体のうち、下地層20が形成されている側の面に、マトリクス状(2×2=4箇所)に正極層30を形成している。このとき、各正極層30は矩形状(正方形状)とし、各正極層30の面積は各下地層20の面積と同じとしている。そして、各正極層30が各下地層20と重なるようにし、各正極層30が基板10と直接に接触しないようにしている。なお、以下の説明では、基板10上に下地層20および正極層30を積層したものを、第2積層体と称する。
〔固体電解質層形成工程〕
続いて、上記スパッタ装置にて、正極層30上に固体電解質層40を形成する固体電解質層形成工程を実行する(ステップ14)。
図9は、ステップ14の固体電解質層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図9(a)は正面図を、図9(b)は図9(a)のIXB−IXB断面図を、それぞれ示している。
続いて、上記スパッタ装置にて、正極層30上に固体電解質層40を形成する固体電解質層形成工程を実行する(ステップ14)。
図9は、ステップ14の固体電解質層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図9(a)は正面図を、図9(b)は図9(a)のIXB−IXB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第2積層体のうち、正極層30が形成されている側の面に、固体電解質層40を形成している。このとき、固体電解質層40は矩形状(正方形状)とし、固体電解質層40の面積は基板10の面積と同じとしている。そして、固体電解質層40は、正極層30の表面および側面と、下地層20の側面と、基板10の表面10aのうち下地層20と接していない領域とを覆うように形成される。ただし、固体電解質層40は、基板10の側面や裏面10bと接触しないように形成される。なお、以下の説明では、基板10上に下地層20〜固体電解質層40を積層したものを、第3積層体と称する。
〔保持層形成工程〕
次いで、上記スパッタ装置にて、固体電解質層40上に保持層50を形成する保持層形成工程を実行する(ステップ15)。
図10は、ステップ15の保持層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図10(a)は正面図を、図10(b)は図10(a)のXB−XB断面図を、それぞれ示している。
次いで、上記スパッタ装置にて、固体電解質層40上に保持層50を形成する保持層形成工程を実行する(ステップ15)。
図10は、ステップ15の保持層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図10(a)は正面図を、図10(b)は図10(a)のXB−XB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第3積層体における固体電解質層40上に、マトリクス状(2×2=4箇所)に保持層50を形成している。このとき、各保持層50は矩形状(正方形状)とし、それぞれの面積は共通の大きさに設定している。ただし、各保持層50の面積は、上述した各下地層20および各正極層30の面積よりも大きくしている。そして、各保持層50は、上方からみたときに各正極層30と重なり、且つ、各保持層50の全外周縁が各正極層30の全外周縁よりも外側に位置するように配置されている。また、各保持層50が互いに接触しないように保持層50間にギャップを設けることで、隣接する2つの保持層50の間には、固体電解質層40の表面が露出している。なお、以下の説明では、基板10上に下地層20〜保持層50を積層したものを、第4積層体と称する。
〔拡散防止層形成工程〕
それから、上記スパッタ装置にて、保持層50上に拡散防止層60を形成する拡散防止層形成工程を実行する(ステップ16)。
図11は、ステップ16の拡散防止層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図11(a)は正面図を、図11(b)は図11(a)のXIB−XIB断面図を、それぞれ示している。
それから、上記スパッタ装置にて、保持層50上に拡散防止層60を形成する拡散防止層形成工程を実行する(ステップ16)。
図11は、ステップ16の拡散防止層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図11(a)は正面図を、図11(b)は図11(a)のXIB−XIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第4積層体における各保持層50上に、それぞれ拡散防止層60を形成している。より具体的に説明すると、第4積層体のうち、保持層50が形成されている側の面に、マトリクス状(2×2=4箇所)に拡散防止層60を形成している。このとき、各拡散防止層60は矩形状(正方形状)とし、各拡散防止層60の面積は各保持層50の面積と同じとしている。そして、各拡散防止層60が各保持層50と重なるようにし、各拡散防止層60が固体電解質層40と直接に接触しないようにしている。なお、以下の説明では、基板10上に下地層20〜拡散防止層60を積層したものを、第5積層体と称する。
〔負極集電体層形成工程〕
そして、上記スパッタ装置にて、拡散防止層60上に負極集電体層70を形成する負極集電体層形成工程を実行する(ステップ17)。
図12は、ステップ17の負極集電体層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図12(a)は正面図を、図12(b)は図12(a)のXIIB−XIIB断面図を、それぞれ示している。
そして、上記スパッタ装置にて、拡散防止層60上に負極集電体層70を形成する負極集電体層形成工程を実行する(ステップ17)。
図12は、ステップ17の負極集電体層形成工程の概要を説明するための図である。ここで、図12(a)は正面図を、図12(b)は図12(a)のXIIB−XIIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第5積層体における各拡散防止層60上に、それぞれ負極集電体層70を形成している。より具体的に説明すると、第5積層体のうち、拡散防止層60が形成されている側の面に、マトリクス状(2×2=4箇所)に負極集電体層70を形成している。このとき、各負極集電体層70は矩形状(正方形状)とし、各負極集電体層70の面積は各拡散防止層60の面積と同じとしている。そして、各負極集電体層70が各拡散防止層60と重なるようにし、各負極集電体層70が各保持層50や固体電解質層40と直接に接触しないようにしている。なお、以下の説明においては、基板10上に下地層20〜負極集電体層70を積層したものを、第6積層体と称する。
このようにして得られた第6積層体は、4個の電池部1を一体化した構成を有していることになる。そして、この第6積層体を、スパッタ装置から取り外す。
〔分割工程〕
その後、スパッタ装置から取り外した第6積層体を分割し、複数(4個)の電池部1を得る分割工程を実行する(ステップ18)。
図13は、ステップ18の分割工程の概要を説明するための図である。ここで、図13(a)は正面図を、図13(b)は図13(a)のXIIIB−XIIIB断面図を、それぞれ示している。
また、図14は、ステップ18の分割工程を経て得られた電池部1の構成を示す図である。ここで、図14(a)は正面図を、図14(b)は図14(a)のXIVB−XIVB断面図を、それぞれ示している。
その後、スパッタ装置から取り外した第6積層体を分割し、複数(4個)の電池部1を得る分割工程を実行する(ステップ18)。
図13は、ステップ18の分割工程の概要を説明するための図である。ここで、図13(a)は正面図を、図13(b)は図13(a)のXIIIB−XIIIB断面図を、それぞれ示している。
また、図14は、ステップ18の分割工程を経て得られた電池部1の構成を示す図である。ここで、図14(a)は正面図を、図14(b)は図14(a)のXIVB−XIVB断面図を、それぞれ示している。
この例では、第6積層体を複数(縦×1、横×1)の分割線Dに沿って切断し個片化することで、電池部1を形成している。より具体的に説明すると、第6積層体を、各々が独立した下地層20、正極層30、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70を含むように分割し、複数(4個)の電池部1を得ている。なお、第6積層体の切断手法としては、例えば、ダイシングブレードを用いるものや、レーザを用いるもの等が挙げられる。
(被覆部形成工程)
続いて、ステップ2の被覆部形成工程について説明を行う。
続いて、ステップ2の被覆部形成工程について説明を行う。
〔供給工程〕
ステップ2の被覆部形成工程では、まず、電池部1に対し、被覆部2の原材料となるフォトレジストを供給する供給工程を実行する(ステップ21)。
図15は、ステップ21の供給工程の概要を説明するための図である。ここで、図15(a)は正面図を、図15(b)は図15(a)のXVB−XVB断面図を、それぞれ示している。
ステップ2の被覆部形成工程では、まず、電池部1に対し、被覆部2の原材料となるフォトレジストを供給する供給工程を実行する(ステップ21)。
図15は、ステップ21の供給工程の概要を説明するための図である。ここで、図15(a)は正面図を、図15(b)は図15(a)のXVB−XVB断面図を、それぞれ示している。
この例では、電池部1を、負極集電体層70側が上方を向くように、スピンコータのステージ(図示せず)に装着する。そして、電池部1における負極集電体層70上に、環状に、液状のフォトレジスト200(液状の有機材料の一例)を供給する。このとき、電池部1に対するフォトレジスト200の供給は、例えば滴下によって行うことができる。このようにして、環状にフォトレジスト200が供給されることにより、負極集電体層70には、周囲がフォトレジスト200によって囲まれた開口部2aが形成され、この部位が、負極集電体層70における露出部71となる。
〔塗布工程〕
次に、このようにして供給されたフォトレジスト200を電池部1に塗布する塗布工程を実行する(ステップ22)。
図16は、ステップ22の塗布工程の概要を説明するための図である。ここで、図16(a)は正面図を、図16(b)は図16(a)のXVIB−XVIB断面図を、それぞれ示している。
次に、このようにして供給されたフォトレジスト200を電池部1に塗布する塗布工程を実行する(ステップ22)。
図16は、ステップ22の塗布工程の概要を説明するための図である。ここで、図16(a)は正面図を、図16(b)は図16(a)のXVIB−XVIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、フォトレジスト200が供給された電池部1を搭載したスピンコータのステージを回転させ、遠心力により、フォトレジスト200を放射状に引き延ばす。このとき、フォトレジスト200は、負極集電体層70の上面から、負極集電体層70、拡散防止層60および保持層50の各側面を介して固体電解質層40の上面に到達し、さらに、固体電解質層40および基板10の各側面に到達する。すなわち、フォトレジスト200は、電池部1の上面および側面を覆う。ただし、フォトレジスト200によって、電池部1の上面すなわち負極集電体層70における上面の中央部に形成されていた開口部2aは、そのままの状態を維持しており、露出部71には負極集電体層70の上面の一部が露出している。また、電池部1の下面すなわち基板10の下面は、フォトレジスト200によって覆われることなく、露出したままの状態を維持する。
〔加熱工程〕
続いて、このようにして電池部1に塗布されたフォトレジスト200を加熱する加熱工程を実行する(ステップ23)。
図17は、ステップ23の加熱工程の概要を説明するための図である。ここで、図17(a)は正面図を、図17(b)は図17(a)のXVIIB−XVIIB断面図を、それぞれ示している。
続いて、このようにして電池部1に塗布されたフォトレジスト200を加熱する加熱工程を実行する(ステップ23)。
図17は、ステップ23の加熱工程の概要を説明するための図である。ここで、図17(a)は正面図を、図17(b)は図17(a)のXVIIB−XVIIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、フォトレジスト200が塗布された電池部1をスピンコータのステージから取り外し、負極集電体層70側が上方を向くように、ホットプレート(図示せず)に搭載する。そして、ホットプレートを動作させ、フォトレジスト200が塗布された電池部1を加熱(ベーク)する。すると、加熱に伴って、フォトレジスト200に含まれる有機溶剤が揮発し、フォトレジスト200が電池部1に密着する。なお、フォトレジストの加熱は、オーブンで行ってもよい。
〔露光工程〕
次いで、このようにして電池部1に密着させたフォトレジスト200に対して露光を施す露光工程を実行する(ステップ24)。
図18は、ステップ24の露光工程の概要を説明するための図である。ここで、図18(a)は正面図を、図18(b)は図18(a)のXVIIIB−XVIIIB断面図を、それぞれ示している。
次いで、このようにして電池部1に密着させたフォトレジスト200に対して露光を施す露光工程を実行する(ステップ24)。
図18は、ステップ24の露光工程の概要を説明するための図である。ここで、図18(a)は正面図を、図18(b)は図18(a)のXVIIIB−XVIIIB断面図を、それぞれ示している。
この例では、電池部1に密着させたフォトレジスト200に対し、特にマスク等を介することなく、全域にわたって、フォトレジスト200が感度を有する波長の光を照射する。これにより、電池部1に密着させたフォトレジスト200は、露光によって硬化し、固体状の被覆部2となる。その結果、電池部1と被覆部2とを有する、リチウムイオン二次電池100の基本構造体が得られる。
(電池化工程)
最後に、ステップ3の電池化工程について説明を行う。
最後に、ステップ3の電池化工程について説明を行う。
〔初回充電工程〕
ステップ3の電池化工程では、まず、電池部1に被覆部2を形成してなるリチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、1回目の充電を行わせる初回充電工程を実行する(ステップ31)。
ステップ3の電池化工程では、まず、電池部1に被覆部2を形成してなるリチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、1回目の充電を行わせる初回充電工程を実行する(ステップ31)。
〔初回放電工程〕
それから、充電がなされたリチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、1回目の放電を行わせる初回放電工程を実行する(ステップ32)。これら初回充電と初回放電とにより、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部および多数の空孔の形成が行われ、図1に示すリチウムイオン二次電池100が得られる。
それから、充電がなされたリチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、1回目の放電を行わせる初回放電工程を実行する(ステップ32)。これら初回充電と初回放電とにより、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部および多数の空孔の形成が行われ、図1に示すリチウムイオン二次電池100が得られる。
〔保持層の多孔質化〕
では、上述した保持層50の多孔質化について、より詳細な説明を行う。
図19は、保持層50を多孔質化する手順を説明するための図であり、保持層50およびその周辺を拡大して示した図である。ここで、図19(a)は初回充電前(ステップ31の前)の状態を、図19(b)は初回充電後且つ初回放電前(ステップ31とステップ32との間)の状態を、図19(c)は初回放電後(ステップ32の後)の状態を、それぞれ示している。
では、上述した保持層50の多孔質化について、より詳細な説明を行う。
図19は、保持層50を多孔質化する手順を説明するための図であり、保持層50およびその周辺を拡大して示した図である。ここで、図19(a)は初回充電前(ステップ31の前)の状態を、図19(b)は初回充電後且つ初回放電前(ステップ31とステップ32との間)の状態を、図19(c)は初回放電後(ステップ32の後)の状態を、それぞれ示している。
{初回充電前}
まず、図19(a)に示す「初回充電前」の状態では、保持層50が緻密化している。また、保持層50の厚さは保持層厚さt50であり、拡散防止層60の厚さは拡散防止層厚さt60であり、負極集電体層70の厚さは負極集電体層厚さt70である。
まず、図19(a)に示す「初回充電前」の状態では、保持層50が緻密化している。また、保持層50の厚さは保持層厚さt50であり、拡散防止層60の厚さは拡散防止層厚さt60であり、負極集電体層70の厚さは負極集電体層厚さt70である。
{初回充電後且つ初回放電前}
図19(a)に示すリチウムイオン二次電池100を充電(初回充電)する場合、基板10(図1参照)には直流電源の正の電極が、負極集電体層70には直流電源の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図19(b)に示すように、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオン(Li+)が、固体電解質層40を介して保持層50へと移動する。すなわち、充電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池100の厚さ方向(図19(b)において上方向)に移動する。
図19(a)に示すリチウムイオン二次電池100を充電(初回充電)する場合、基板10(図1参照)には直流電源の正の電極が、負極集電体層70には直流電源の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図19(b)に示すように、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオン(Li+)が、固体電解質層40を介して保持層50へと移動する。すなわち、充電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池100の厚さ方向(図19(b)において上方向)に移動する。
このとき、正極層30側から保持層50側に移動してきたリチウムイオンは、保持層50を構成する金属と合金化する。例えば保持層50を白金(Pt)で構成した場合、保持層50では、リチウムと白金とが合金化(固溶体化、金属間化合物の形成あるいは共晶化)する。
また、保持層50内に入り込んできたリチウムイオンの一部は、保持層50を通過して拡散防止層60との境界部に到達する。ここで、本実施の形態の拡散防止層60は、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されており、多結晶構造を有する保持層50と比べて、粒界の数が著しく少なくなっている。このため、保持層50と拡散防止層60との境界部に到達したリチウムイオンは、拡散防止層60に入り込みにくくなることから、保持層50内に保持された状態を維持する。
そして、初回充電動作が終了した状態において、正極層30から保持層50に移動したリチウムイオンは、保持層50に保持される。このとき、保持層50に移動してきたリチウムイオンは、白金との合金化あるいは白金内での金属リチウムの析出化等によって、保持層50に保持されるものと考えられる。
ここで、図19(b)に示すように、初回充電後且つ初回放電前のリチウムイオン二次電池100では、保持層厚さt50が、図19(a)に示す成膜後且つ初回充電前の状態よりも増加する。すなわち、保持層50の体積は、初回充電によって増加する。これは、保持層50において、リチウムと白金とが合金化することに起因しているものと考えられる。これに対し、拡散防止層厚さt60は、初回充電の前後でほぼ変わらない。すなわち、拡散防止層60の体積は、初回充電によってほぼ変わらない。これは、拡散防止層60に、リチウムが入り込みにくいことに起因するものと考えられる。そして、このことは、負極集電体層厚さt70が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと、すなわち、負極集電体層70の体積が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと(負極集電体層70を構成する白金が、保持層50を構成する白金のように多孔質化しておらず、緻密なままであること)によって裏付けられるものと考えられる。
{初回放電後}
図19(b)に示すリチウムイオン二次電池100を放電(初回放電)する場合、基板10(図1参照)には負荷の正の電極が、負極集電体層70には負荷の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図19(c)に示すように、保持層50に保持されるリチウムイオン(Li+)が、固体電解質層40を介して正極層30へと移動する。すなわち、放電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池100の厚さ方向(図19(c)において下方向)へと移動し、正極層30に保持される。これに伴って、負荷には直流電流が供給される。
図19(b)に示すリチウムイオン二次電池100を放電(初回放電)する場合、基板10(図1参照)には負荷の正の電極が、負極集電体層70には負荷の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図19(c)に示すように、保持層50に保持されるリチウムイオン(Li+)が、固体電解質層40を介して正極層30へと移動する。すなわち、放電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池100の厚さ方向(図19(c)において下方向)へと移動し、正極層30に保持される。これに伴って、負荷には直流電流が供給される。
このとき、保持層50では、リチウムが離脱することに伴い、リチウムと白金との合金の脱合金化(金属リチウムが析出した場合は金属リチウムの溶解化)が行われる。そして、保持層50で脱合金化が行われた結果、保持層50が多孔質化され、多数の空孔52が形成された多孔質部51となる。このようにして得られる多孔質部51は、ほぼ金属(例えば白金)で構成されることになる。ただし、初回放電が終了した状態において、保持層50の内部でリチウムは完全に消失するわけではなく、放電動作による移動を行わない一部のリチウムが残存する。
ここで、図19(c)に示すように、初回放電後のリチウムイオン二次電池100では、保持層厚さt50が、図19(b)に示す初回充電後且つ初回放電前の状態よりも減少する。これは、保持層50において、リチウムと白金との合金の脱合金化が行われることに起因するものと考えられる。そして、このことは、初回放電によって保持層50内に形成される空孔52の形状が、面方向に比べて厚さ方向が小さくなるように扁平化していることによって裏付けられる。また、図19(c)に示すように、初回放電後のリチウムイオン二次電池100では、保持層厚さt50が、図19(a)に示す成膜後且つ初回充電前の状態よりも増加する。これは、初回充電および初回放電によって保持層50が多孔質化されること、すなわち、保持層50内に多数の空孔52が形成されることに起因するものと考えられる。なお、これに対し、拡散防止層厚さt60および負極集電体層厚さt70は、初回放電の前後でもほぼ変わらない。
[リチウムイオン二次電池の電気的特性]
次に、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の電気的特性について説明を行う。
次に、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の電気的特性について説明を行う。
(リチウムイオン二次電池の構成)
この電気的特性の評価の対象となったリチウムイオン二次電池100の具体的な構成および製造方法は、以下に示すとおりである。
この電気的特性の評価の対象となったリチウムイオン二次電池100の具体的な構成および製造方法は、以下に示すとおりである。
〔電池部の構成〕
基板10には、NiPメッキされたAl基板を用いた。基板10の大きさ(上方から見たとき:以下同じ)は12mm×12mmとし、厚さは8mmとした。
下地層20には、スパッタ法で形成したニッケル酸リチウム(LiNiO2)を用いた。下地層20の大きさは8mm×8mmとし、厚さは200nmとした。
正極層30には、スパッタ法で形成したニッケル酸リチウム(LiNiO2)およびリン酸リチウム(Li3PO4)を用いた。正極層30におけるニッケル酸リチウム(LiNiO2)とリン酸リチウム(Li3PO4)との比率は、重量比で、LiNiO2:Li3PO4=80:20とした。正極層30の大きさは8mm×8mmとし、厚さは800nmとした。
固体電解質層40には、スパッタ法で形成したリン酸リチウム(Li3PO4)を用いた。固体電解質層40の大きさは12mm×12mmとし、厚さは1000nmとした。
保持層50には、スパッタ法で形成した白金(Pt)を用いた。保持層50の大きさは10mm×10mmとし、厚さは60nmとした。
拡散防止層60には、スパッタ法で形成したCoZrNb合金(より具体的には、Co91Zr5Nb4)を用いた。拡散防止層60の大きさは10mm×10mmとし、厚さは200nmとした。
負極集電体層70には、スパッタ法で形成した白金(Pt)を用いた。負極集電体層70の大きさは10mm×10mmとし、厚さは60nmとした。
基板10には、NiPメッキされたAl基板を用いた。基板10の大きさ(上方から見たとき:以下同じ)は12mm×12mmとし、厚さは8mmとした。
下地層20には、スパッタ法で形成したニッケル酸リチウム(LiNiO2)を用いた。下地層20の大きさは8mm×8mmとし、厚さは200nmとした。
正極層30には、スパッタ法で形成したニッケル酸リチウム(LiNiO2)およびリン酸リチウム(Li3PO4)を用いた。正極層30におけるニッケル酸リチウム(LiNiO2)とリン酸リチウム(Li3PO4)との比率は、重量比で、LiNiO2:Li3PO4=80:20とした。正極層30の大きさは8mm×8mmとし、厚さは800nmとした。
固体電解質層40には、スパッタ法で形成したリン酸リチウム(Li3PO4)を用いた。固体電解質層40の大きさは12mm×12mmとし、厚さは1000nmとした。
保持層50には、スパッタ法で形成した白金(Pt)を用いた。保持層50の大きさは10mm×10mmとし、厚さは60nmとした。
拡散防止層60には、スパッタ法で形成したCoZrNb合金(より具体的には、Co91Zr5Nb4)を用いた。拡散防止層60の大きさは10mm×10mmとし、厚さは200nmとした。
負極集電体層70には、スパッタ法で形成した白金(Pt)を用いた。負極集電体層70の大きさは10mm×10mmとし、厚さは60nmとした。
〔被覆部の構成〕
被覆部2には、フォトレジスト材料として知られているS1813G(ローム・アンド・ハース社製)を用いた。被覆部2の厚さは1000nmとした。
被覆部2には、フォトレジスト材料として知られているS1813G(ローム・アンド・ハース社製)を用いた。被覆部2の厚さは1000nmとした。
〔製造方法〕
リチウムイオン二次電池100は、図6に示す製造方法にしたがって製造した。より具体的に説明すると、電池部1については、スパッタ法を用いて各層の形成を行った。また、被覆部2については、上述したS1813Gからなるフォトレジスト200をスピンコートにて電池部1に塗布した後、加熱(ベーク)および露光を行うことで得た。
リチウムイオン二次電池100は、図6に示す製造方法にしたがって製造した。より具体的に説明すると、電池部1については、スパッタ法を用いて各層の形成を行った。また、被覆部2については、上述したS1813Gからなるフォトレジスト200をスピンコートにて電池部1に塗布した後、加熱(ベーク)および露光を行うことで得た。
(電気的特性)
では、評価に用いた電気的特性の詳細について説明を行う。
今回は、電気的特性の評価の尺度として、「初期充放電特性」、「サイクル充放電特性」および「放電容量維持率」を採用した。そして、充放電特性の測定機器としては、北斗電工株式会社製 充放電装置HJ1020mSD8を用いた。
では、評価に用いた電気的特性の詳細について説明を行う。
今回は、電気的特性の評価の尺度として、「初期充放電特性」、「サイクル充放電特性」および「放電容量維持率」を採用した。そして、充放電特性の測定機器としては、北斗電工株式会社製 充放電装置HJ1020mSD8を用いた。
〔初期充放電特性〕
初期充放電特性は、リチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、初回充電および初回放電を含む充放電を3回(3サイクル)繰り返して実行したときの充放電特性である。ここで、表1は、初期充放電の評価条件を示している。
初期充放電特性は、リチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、初回充電および初回放電を含む充放電を3回(3サイクル)繰り返して実行したときの充放電特性である。ここで、表1は、初期充放電の評価条件を示している。
充放電試験では、充放電方式として定電流(Constant Current:CC)充放電を採用し、充電電流の設定値は0.08mA(概ね1C条件)〜2.7mAの範囲で設定した。また、充電における充電終止条件は4.3V到達とした。また、充電後における休止時間は10分とした。そして、放電における放電終止条件は2.0V到達とした。また、放電後における休止時間は10分とした。充電〜休止〜放電時の周囲温度は25℃とした。
また、今回は、充放電における充電電流および放電電流を、それぞれ、80(μA)、400(μA)、800(μA)、1300(μA)および2700(μA)とした。
図20は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の初期充放電特性を示す図である。図20において、横軸は電池容量(μAh)であり、縦軸は電池電圧(V)である。また、図20において、図中右上がりとなっているのが充電特性であり、図中右下がりとなっているのが放電特性である。
図20より、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、充放電電流が80(μA)〜2700(μA)の範囲において、充放電が可能となっていることがわかる。
〔サイクル充放電特性〕
サイクル充放電特性は、リチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、充放電を繰り返し実行したときの充放電特性である。ここで、表2は、サイクル充放電の評価条件を示している。
サイクル充放電特性は、リチウムイオン二次電池100の基本構造体に対し、充放電を繰り返し実行したときの充放電特性である。ここで、表2は、サイクル充放電の評価条件を示している。
サイクル充放電のうちのサイクル充電では、充電方式として定電流(Constant Current:CC)充電を採用し、充電電圧は4.3V、充電電流は0.35mAとした。また、サイクル充電における充電の終止条件は0.2時間とし、充電中の周囲温度は25℃とした。また、サイクル充電における充電の休止時間は1分とし、充電休止中の周囲温度は25℃とした。
これに対し、サイクル充放電のうちのサイクル放電では、放電方式として定電流(Constant Current:CC)放電を採用し、放電電圧は2.0V、放電電流は0.35mAとした。また、サイクル放電における放電の終止条件は0.2時間とし、放電中の周囲温度は25℃とした。また、サイクル放電における放電の休止時間は1分とし、放電休止中の周囲温度は25℃とした。
このように、サイクル充放電における充放電の条件は、上述した初期放電における充放電の条件とは、一部が異なっている。そして、サイクル充電における充放電の繰返し回数は、1回(1サイクル)、500回(500サイクル)および1000回(1000サイクル)とした。
図21は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100のサイクル充放電特性を示す図である。図21において、横軸は電池容量(μAh)であり、縦軸は電池電圧(V)である。また、図21において、図中右上がりとなっているのが充電特性であり、図中右下がりとなっているのが放電特性である。
図21より、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、充放電の繰返し回数が1回〜1000回の範囲において、ほぼ一定のレベルを維持できていること、換言すれば、充放電回数の増加に伴う充放電性能の低下を抑制できていることがわかる。
〔放電容量維持率〕
放電容量維持率は、リチウムイオン二次電池100の、前回の充放電を実行したときの放電容量(前回の放電容量)に対する、今回の充放電を実行したときの放電容量(今回の放電容量)の比を、百分率で表したものである。より具体的に説明すると、放電容量維持率は、n−1回目(例えば2回目)の充電を行い、充電後10分間放置した後に放電を行い、放電後にn回目(例えば3回目)の充電を行い、充電後24時間放置した後に放電を行ったときの、「n回目の放電容量/n−1回目の放電容量」を百分率で表したものである。この場合、放電容量維持率の値は高いほどよく、最高で100%となる。
放電容量維持率は、リチウムイオン二次電池100の、前回の充放電を実行したときの放電容量(前回の放電容量)に対する、今回の充放電を実行したときの放電容量(今回の放電容量)の比を、百分率で表したものである。より具体的に説明すると、放電容量維持率は、n−1回目(例えば2回目)の充電を行い、充電後10分間放置した後に放電を行い、放電後にn回目(例えば3回目)の充電を行い、充電後24時間放置した後に放電を行ったときの、「n回目の放電容量/n−1回目の放電容量」を百分率で表したものである。この場合、放電容量維持率の値は高いほどよく、最高で100%となる。
また、放電容量維持率は、上述したサイクル充放電特性の評価条件(表2参照)にしたがい、充放電特性を測定した結果に基づいて得た。なお、ここでは、充放電の繰返し回数を1300回(1300サイクル)とした。
図22は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の容量維持率を示す図である。図22において、横軸は充放電の繰り返し回数(サイクル数)であり、縦軸は放電容量維持率(%)である。
図22より、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100は、充放電のサイクル数が増加するほど、放電容量維持率が低下していくことがわかる。ただし、充放電のサイクル数が1300となった状態においても、本実施の形態のリチウムイオン二次電池100の放電容量維持率は86%程度を確保できており、充放電回数の増加に伴う充放電性能の低下を抑制できていることがわかる。
[その他]
なお、本実施の形態では、基板10の表面10a上に、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70の順に積層を行うことで、電池部1を構成していた。すなわち、基板10に近い側に正極層30を配置し、基板10から遠い側に保持層50を配置する構成を採用していた。ただし、これに限られるものではなく、基板10に近い側に保持層50を配置し、基板10から遠い側に正極層30を配置する構成を採用してもかまわない。ただし、この場合は、基板10に対する各層の積層順が、上述したものとは逆になり、基板10が負極集電体層70として機能することになる。
なお、本実施の形態では、基板10の表面10a上に、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70の順に積層を行うことで、電池部1を構成していた。すなわち、基板10に近い側に正極層30を配置し、基板10から遠い側に保持層50を配置する構成を採用していた。ただし、これに限られるものではなく、基板10に近い側に保持層50を配置し、基板10から遠い側に正極層30を配置する構成を採用してもかまわない。ただし、この場合は、基板10に対する各層の積層順が、上述したものとは逆になり、基板10が負極集電体層70として機能することになる。
また、本実施の形態では、電池部1が、基板10、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70を備えていたが、電池部1の構成については、適宜変更してかまわない。
さらに、本実施の形態では、フォトレジスト200を原材料として被覆部2を形成する場合を例として説明を行ったが、これにかぎられるものではない。例えばAGC社製の商品名サイトップ(登録商標)を原材料として被覆部2を形成する場合は、ステップ2の被覆部形成工程におけるステップ24の露光工程は不要となる。また、例えば京セラ社製の商品名とろけるシートを原材料として被覆部2を形成する場合は、このシートに、開口部2aに対応する穴開け加工を施した後、電池部1の上に積載し、加熱を行うようにすればよい。したがって、この場合は、ステップ2の被覆部形成工程におけるステップ21の供給工程、ステップ22の塗布工程およびステップ24の露光工程が不要となる。
1…電池部、2…被覆部、2a…開口部、10…基板、10a…表面、10b…裏面、11…基材、12…被覆層、20…下地層、30…正極層、40…固体電解質層、50…保持層、51…多孔質部、52…空孔、60…拡散防止層、70…負極集電体層、71…露出部、100…リチウムイオン二次電池、200…フォトレジスト
ここで、本実施の形態では、拡散防止層60を、クロムおよびチタンの合金(CrTi)で構成している。また、拡散防止層60に用いることが可能な金属(合金)としては、CrTi以外に、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を挙げることができる。
また、第2の構成例において、被覆層12を構成する材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、基材11に被覆層12を形成してなる基板10を採用する場合、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、CrTi、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を用いることが好ましい。そして、これらの中でも、機械研磨が可能な硬質な外周面を設けるという観点からすれば、例えば、無電解ニッケルメッキ法により成膜されるNiP(ニッケル−リン、以下では「Ni−P」と表記することがある)を用いることが望ましい。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。
〔放電容量維持率〕
放電容量維持率は、リチウムイオン二次電池100の、1回目の充放電を実行したときの放電容量(1回目の放電容量)に対する、n回目の充放電を実行したときの放電容量(n回目の放電容量)の比を、百分率で表したものである。すなわち、「n回目の放電容量/1回目の放電容量」を百分率で表したものである。この場合、放電容量維持率の値は高いほどよく、最高で100%となる。
放電容量維持率は、リチウムイオン二次電池100の、1回目の充放電を実行したときの放電容量(1回目の放電容量)に対する、n回目の充放電を実行したときの放電容量(n回目の放電容量)の比を、百分率で表したものである。すなわち、「n回目の放電容量/1回目の放電容量」を百分率で表したものである。この場合、放電容量維持率の値は高いほどよく、最高で100%となる。
Claims (9)
- 導電性を有し且つ集電を行う第1集電体層と、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を有する固体電解質層と、当該第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と、導電性を有し且つ集電を行う第2集電体層と、を順に含む電池部と、
絶縁性を有し、前記電池部の一方の面側には前記第1集電体層の一部が露出するとともに当該電池部の他方の面側には前記第2集電体層の一部が露出し、前記第1極性層、前記固体電解質層および前記第2極性層が露出しないように当該電池部を被覆する被覆部と
を備えるリチウムイオン二次電池。 - 前記被覆部が、合成樹脂材料で構成されること
を特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。 - 前記被覆部が、フォトレジスト材料で構成されること
を特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池。 - 前記被覆部が、パーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体で構成されること
を特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池。 - 前記第1集電体層が、SUS316Lで構成されること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。 - 前記第1集電体層が、表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成されること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。 - 導電性を有し且つ集電を行う第1集電体層と、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を有する固体電解質層と、当該第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と、導電性を有し且つ集電を行う第2集電体層と、を順に含む電池部における当該第2集電体層の上面に対し、絶縁性を有する液状の有機材料を環状に供給する供給工程と、
前記液状の有機材料が環状に供給された前記電池部を回転させて、当該液状の有機材料を当該電池部に塗布する塗布工程と、
前記電池部に塗布された前記液状の有機材料を加熱する加熱工程と
を有するリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記液状の有機材料がフォトレジスト材料であり、
加熱された前記液状の有機材料を、全域にわたって露光する露光工程
をさらに有することを特徴とする請求項7記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記液状の有機材料がパーフルオロブテニルビニルエーテルの環化重合体の原材料であること
を特徴とする請求項7記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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