JP2020057560A - リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無機固体電解質を備えた薄膜積層型のリチウムイオン二次電池において、容量維持率の低下を抑制する。【解決手段】リチウムイオン二次電池1は、正極集電体層を兼ねる基板10と、下地層20と、正極活物質を含む正極層30と、無機固体電解質を含む固体電解質層40と、貴金属等で構成された保持層50と、非晶質合金で構成された拡散防止層60と、貴金属で構成された負極集電体層70とを、この順に積層して構成される。そして、基板10のうち下地層20乃至負極集電体層70を積層する表面10aは、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下に設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する、小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、リチウムイオン伝導性を示し且つ正極および負極の間に配置される電解質とを有している。
従来のリチウムイオン二次電池では、電解質として有機電解液等が用いられてきた。これに対し、電解質として無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を用いるとともに、負極、固体電解質および正極をすべて薄膜で構成した、全固体型且つ薄膜積層型のリチウムイオン二次電池が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献1には、ガラス、半導体シリコン、セラミック、ステンレス、樹脂等からなる基板の上に、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体層を積層することで、リチウムイオン二次電池を形成することが記載されている。
特開2008−226728号公報
一般に、リチウムイオン二次電池の容量は、充電後、特に使用しなくても、時間の経過とともに漸次減少していく。ここで、リチウムイオン二次電池の、充電完了後の初期の容量に対する、予め定められた期間が経過した時点における容量の比を百分率で表したものを、容量維持率と称する。
そして、無機固体電解質を含む薄膜積層型のリチウムイオン二次電池の場合、上記容量維持率が低下しやすくなり、充電後、特に使用しなくても、リチウムイオン二次電池が電源として機能しなくなるまでの時間が短くなることがあった。
本発明は、無機固体電解質を備えた薄膜積層型のリチウムイオン二次電池において、容量維持率の低下を抑制することを目的とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、表面および裏面を有する基板と、前記基板における前記表面側に設けられ、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層と、前記第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層とを順に有し、前記基板における前記表面は、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下であることを特徴としている。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記基板がSUS316Lで構成され、前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記基板が前記表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成され、前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記第2の極性が負であり、前記固体電解質層は、前記第1極性層と対峙して設けられ、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層と、前記第2極性層と対峙して設けられ、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層とを順に有することを特徴とすることができる。
また、前記第1極性層は、LiNiOおよびLiPOを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記基板の前記表面と前記第1極性層との間に設けられ、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記固体電解質層と対峙して設けられ、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層をさらに有し、前記第2極性層は、前記金属層を構成する金属と合金化したリチウムによって構成されることを特徴とすることができる。
また、前記金属層と対峙して設けられ、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記基板における前記表面の前記最大最小高低差が、2.7nm以下であることを特徴とすることができる。
また、前記基板における前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下であることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下となる表面が設けられた基板を準備する基板準備工程と、前記基板における前記表面側に、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層を形成する第1極性層形成工程と、前記基板上に設けられた前記第1極性層側に、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記基板準備工程では、SUS316Lで構成された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、Ni−Pめっきを施した金属材料で構成された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記基板上に設けられた前記固体電解質層に、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層を形成する金属層形成工程と、前記基板、前記第1極性層、前記固体電解質層および前記金属層を含む積層体に対し、当該第1極性層から当該固体電解質層を介して当該金属層にリチウムイオンを移動させることで充電を行う充電工程と、充電された前記積層体に対し、前記金属層から前記固体電解質層を介して前記第1極性層にリチウムイオンを移動させることで放電を行う放電工程とをさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記金属層形成工程と前記充電工程との間において、前記金属層に、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層を形成する非晶質層形成工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記第1極性層形成工程では、LiNiOおよびLiPOを含む合材正極を形成し、前記固体電解質層形成工程では、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層を形成した後、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程と前記第1極性層形成工程との間において、前記基板における前記表面に、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層を形成する下地層形成工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、前記表面の前記最大最小高低差が2.7nm以下に設定された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下に設定された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
本発明によれば、無機固体電解質を備えた薄膜積層型のリチウムイオン二次電池において、容量維持率の低下を抑制することができる。
実施の形態のリチウムイオン二次電池の断面構成を示す図である。 (a)、(b)は、実施の形態のリチウムイオン二次電池を構成する基板の断面構成例を示す図である。 実施の形態のリチウムイオン二次電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。 (a)〜(c)は、保持層を多孔質化する手順を説明するための図である。 (a)、(b)は、比較例のリチウムイオン二次電池の初回充放電前および7回充放電後における断面STEM写真である。 (a)、(b)は、比較例のリチウムイオン二次電池の初回充放電前および7回充放電後における拡大断面STEM写真である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
[リチウムイオン二次電池の構成]
図1は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。本実施の形態のリチウムイオン二次電池1は、後述するように、複数の層を積層した構造を有しており、所謂成膜プロセスによって基本的な構造を形成した後、初回の充放電動作によってその構造を完成させるようになっている。
図1に示すリチウムイオン二次電池1は、基板10と、基板10上に積層される下地層20と、下地層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される固体電解質層40とを備えている。ここで、固体電解質層40は、下地層20および正極層30の両者の周縁を覆うとともにその端部が基板10に直接積層されることで、基板10とともに下地層20および正極層30を覆っている。また、このリチウムイオン二次電池1は、固体電解質層40上に積層される保持層50と、保持層50上に積層される拡散防止層60と、拡散防止層60上に積層される負極集電体層70とをさらに備えている。
(基板)
基板10は、下地層20乃至負極集電体層70を、成膜プロセスによって積層するための土台となるものである。そして、この基板10は、表面10aと裏面10bとを有しており、表面10a側に、下地層20乃至負極集電体層70が積層されるようになっている。なお、基板10の詳細については後述する。
(下地層)
下地層20は、固体薄膜であって、基板10と正極層30との密着性を高めるとともに、基板10を構成する材料(特に金属材料)と、正極層30を構成するLiPO(リン酸リチウム:詳細は後述する)とが、直接に接触するのを抑制するための障壁となるものである。
下地層20としては、電子伝導性を有するとともに、LiPOを構成するLi(リチウムイオン)やPO 3−(リン酸イオン)による腐食が生じ難い、金属または金属化合物等で構成されたものを用いることができる。
ここで、本実施の形態では、下地層20を、LiNiO(リン酸ニッケル)で構成している。LiNiOは、リチウムイオン二次電池1の正極材料として用いられることがあるものである。
下地層20の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。下地層20の厚さが5nm未満であると、障壁としての機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、下地層20の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
また、下地層20の製造方法としては、各種PVD(物理蒸着)や各種CVD(化学蒸着)など、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法もしくは真空蒸着法を用いることが望ましい。
(正極層)
第1極性層の一例としての正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質を含むものである。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)から選ばれる一種以上の金属を含む、酸化物、硫化物あるいはリン酸化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。また、正極層30は、さらに固体電解質を含んだ合材正極であってもよい。なお、本実施の形態では、第1の極性に正極性が対応している。
ここで、本実施の形態では、正極層30を、正極活物質と、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)とを含む合材正極で構成している。より具体的に説明すると、本実施の形態の正極層30は、主として無機固体電解質を含む固体電解質領域と、主として正極活物質を含む正極領域とを有している。そして、正極層30内では、固体電解質領域を構成する無機固体電解質と、正極領域を構成する正極活物質とが、それぞれを維持した状態で混在している。その結果、正極層30では、一方がマトリックス(母材)となっており、他方がフィラー(粒子)となっている。ここで、正極層30においては、固体電解質領域をマトリックスとし、正極領域をフィラーとすることが望ましい。
そして、本実施の形態では、正極層30を構成する正極活物質として、上記下地層20と同じLiNiOを用いている。また、正極層30を構成する無機固体電解質として、LiPO(リン酸リチウム)を用いている。ここで、正極層30における正極活物質と無機固体電解質との比率については、適宜選択して差し支えない。ただし、容量および導電性の両者を確保するという観点からすれば、正極活物質と無機固体電解質との比率を、モル比で9:1(90%:10%)乃至3:2(60%:40%)の範囲とすることが好ましい。
正極層30の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。正極層30の厚さが10nm未満であると、得られるリチウムイオン二次電池1の容量が小さくなりすぎ、実用的ではなくなる。一方、正極層30の厚さが40μmを超えると、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、正極層30の厚さを40μm超としてもかまわない。
さらに、正極層30の作製方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(固体電解質層)
固体電解質層40は、無機材料からなる固体薄膜であって、外部から加えられた電場によってリチウムイオンを移動させることのできる無機固体電解質を含むものである。
そして、本実施の形態の固体電解質層40は、正極層30上に積層される第1固体電解質層41と、第1固体電解質層41上に積層されるとともに、保持層50の積層対象となる第2固体電解質層42とを備えている。
〔第1固体電解質層〕
本実施の形態の第1固体電解質層41は、正極層30における無機固体電解質と同じLiPOで構成されている。
第1固体電解質層41の厚さは、例えば5nm以上50nm以下とすることができる。第1固体電解質層41の厚さが5nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池1において、正極層30と保持層50との間での電流の漏れ(リーク)が生じやすくなる。一方、第1固体電解質層41の厚さが50nmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
さらに、第1固体電解質層41の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔第2固体電解質層〕
本実施の形態の第2固体電解質層42は、第1固体電解質層41を構成するLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPON(LiPO4−x(0<x<1))で構成されている。
第2固体電解質層42の厚さは、例えば10nm以上10μm以下とすることができる。第2固体電解質層42の厚さが10nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池1において、正極層30と保持層50との間での電流の漏れ(リーク)が生じやすくなる。一方、第2固体電解質層42の厚さが10μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
さらに、第2固体電解質層42の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔第1固体電解質層と第2固体電解質層との関係〕
このように、本実施の形態では、第1固体電解質層41がLiPOで構成され、第2固体電解質層42がLiPONで構成される。すなわち、第1固体電解質層41および第2固体電解質層42の両者が、それぞれ、リチウム、リンおよび酸素を含んでいる。
ここで、第1固体電解質層41を構成するLiPOは、第2固体電解質層42を構成するLiPONよりも体積抵抗率が高い。このため、本実施の形態の固体電解質層40では、正極層30と接する、第1固体電解質層41を設けている側が、保持層50と接する、第2固体電解質層42を設けている側よりも、単位厚さあたりの抵抗値が高くなっている。
また、第1固体電解質層41および第2固体電解質層42の厚さの関係については、どちらが厚くてもかまわないし、同じであってもよい。ただし、電池の内部抵抗の増大を抑制するという観点からすれば、第1固体電解質層41の厚さを、第2固体電解質層42の厚さよりも小さくすることが好ましく、2桁以上のオーダーで小さくすることがさらに好ましい。
(保持層)
金属層の一例としての保持層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを保持するとともに放電時にはリチウムイオンを放棄する機能を備えるものである。ここで、本実施の形態の保持層50は、自身は負極活物質を含んでおらず、負極活物質として機能するリチウムを内部に保持するようになっている点が、一般的な負極層とは異なる。ここで、本実施の形態の保持層50は、リチウムを内部に保持した場合に、第2極性層の一例としての機能も果たすようになっている。なお、本実施の形態では、第2の極性に負極性が対応している。
そして、本実施の形態の保持層50は、多孔質構造を有しており、多数の空孔が形成された多孔質部(図示せず)によって構成されている。なお、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部の形成は、成膜後の初回の充放電動作に伴って行われるのであるが、その詳細については後述する。
保持層50を構成する材料としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)、アルミニウム(Al)あるいはこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、より酸化されにくい白金または金で保持層50を構成することが望ましい。また、本実施の形態の保持層50は、上述した貴金属および金属あるいはこれらの合金の多結晶体で構成することができる。
ここで、本実施の形態では、保持層50を白金で構成している。
保持層50の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。保持層50の厚さが10nm未満であると、リチウムを保持する能力が不十分となる。一方、保持層50の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、保持層50の厚さを40μm超としてもかまわない。
さらに、保持層50の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。そして、多孔質化した保持層50の製造方法としては、後述するような、充電と放電とを行う手法を採用することが望ましい。
(拡散防止層)
非晶質層の一例としての拡散防止層60は、固体薄膜であって、保持層50に保持されたリチウムイオンの、リチウムイオン二次電池1の外部への拡散を抑制するためのものである。
拡散防止層60としては、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されたものを用いることができる。また、拡散防止層60は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることが好ましく、これらの中でも、耐腐食性の観点から、クロム(Cr)単体またはクロムを含む合金であることが好ましい。なお、拡散防止層60は、構成材料が異なる非晶質層を、複数積層して構成する(例えば非晶質クロム層および非晶質クロムチタン合金層の積層構造とする)こともできる。また、本実施の形態における「非晶質構造」には、全体が非晶質構造を有しているものはもちろんのこと、非晶質構造中に微結晶が析出しているものも含まれる。
ここで、本実施の形態では、拡散防止層60を、クロムおよびチタンの合金(CrTi)で構成している。また、拡散防止層60に用いることが可能な金属(合金)としては、CrTi以外に、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を挙げることができる。
拡散防止層60の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。拡散防止層60の厚さが10nm未満であると、固体電解質層40側から保持層50を通過してきたリチウムを、拡散防止層60でせき止めにくくなる。一方、拡散防止層60の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
さらに、拡散防止層60の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。特に、拡散防止層60を、上述したクロムチタン合金で構成する場合、スパッタ法を採用すると、クロムチタン合金が非晶質化しやすい。
(負極集電体層)
負極集電体層70は、電子伝導性を有する固体薄膜であって、保持層50への集電を行う機能を備えるものである。ここで、負極集電体層70を構成する材料は、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、各種金属や、各種金属の合金を含む導電性材料を用いることができる。ただし、拡散防止層60の腐食を抑制するという観点からすれば、化学的に安定した材料を用いることが好ましく、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)あるいはこれらの合金で構成することが好ましい。
ここで、本実施の形態では、負極集電体層70を、保持層50と同じ白金で構成している。ただし、負極集電体層70は、保持層50とは異なり、多孔質構造を有していない。
負極集電体層70の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。負極集電体層70の厚さが5nm未満であると、耐腐食性および集電機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、負極集電体層70の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
また、負極集電体層70の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
[基板の構成]
次に、本実施の形態で用いた基板10について説明を行う。
基板10を構成する材料は、特に限定されるものではなく、金属、ガラス、セラミックス、樹脂など、各種材料を採用することができる。
ここで、本実施の形態では、基板10を、電子伝導性を有する金属製の板材で構成している。これにより、基板10を、下地層20を介して正極層30への集電を行う正極集電体層として機能させるようになっている。
基板10の厚さは、例えば20μm以上2000μm以下とすることができる。基板10の厚さが20μm未満であると、リチウムイオン二次電池1の強度が不足するおそれがある。一方、基板10の厚さが2000μmを超えると、電池の厚さおよび重量の増加により体積エネルギー密度および重量エネルギー密度が低下する。
図2は、実施の形態のリチウムイオン二次電池1を構成する基板10の断面構成例を示す図である。以下では、図2(a)に示す基板10を第1の構成例、また、図2(b)に示す基板10を第2の構成例と称し、それぞれについて説明を行う。
(第1の構成例)
図2(a)に示す第1の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11を備えている。
第1の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金等を用いることができる。ここで、第1の構成例において、リン酸に起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてステンレスを用いることが望ましく、特に、粒界腐食を抑止するという観点からすれば、SUS316、より好ましくはSUS316Lを用いることが望ましい。また、本実施の形態のように、基材11上に積層する下地層20としてLiNiOを採用する場合は、基材11を構成する金属材料として、熱膨張率がLiNiOに近いステンレスを用いることが好ましい。さらに、本実施の形態のように、基材11を正極集電体層としても利用する場合は、基材11を構成する金属材料として、高電圧環境下においても腐食されにくく、過放電に強いステンレスを用いることが好ましい。
なお、第1の構成例において、基板10を構成する基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
(第2の構成例)
図2(b)に示す第2の構成例において、基板10は、単層の金属板で構成された基材11と、基材11の全面を覆う被覆層12とを備えている。
第2の構成例において、基材11を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、第2の構成例において、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基材11としてアルミニウムを用いることが望ましい。
なお、第2の構成例において、基材11は、単層の金属板に限られるものではなく、複数の金属板の積層体で構成されていてもかまわない。
また、第2の構成例において、被覆層12を構成する材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、基材11に被覆層12を形成してなる基板10を採用する場合、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、CrTi、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を用いることが好ましい。そして、これらの中でも、機械研磨が可能な硬質な外周面を設けるという観点からすれば、例えば、無電解ニッケルメッキ法により成膜されるNiP(ニッケル−リン、以下では「Ni−P」と表記することがある)を用いることが望ましい。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。
なお、図2(b)に示す例では、基材11の全面を被覆層12で覆うことによって基板10を形成しているが、これに限られるものではない。例えば図1に示したように、基板10の表面10aにのみ電池構造を形成する場合は、基材11のうち、少なくとも基板10において表面10aとなる側に、被覆層12を設ければよい。
(最大最小高低差)
次に、本実施の形態の基板10における最大最小高低差Rmmについて説明を行う。
最大最小高低差Rmmは、基板10における電池構造の積層面(本実施の形態では基板10の表面10a)の平滑度を規定する尺度である。そして、本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲(正方形状の領域)の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差によって定義される。したがって、最大最小高低差Rmmは、例えばJIS B 0601に規定される最大高さRzとは定義が異なる。
では、最大最小高低差Rmmの定義について、より詳細な説明を行う。
本実施の形態における最大最小高低差Rmmは、例えばAFM装置(原子間力顕微鏡システム)であるブルカー社製D3100を用い、20μm×20μmの領域内のデータを取得した後、スキャンライン毎に基準面を作成する際に、近似多項式として3次式を用い、基準面からの変位(+変位および−変位が存在し得る)に変換した(「平滑化」処理した)像を準備し、像における垂直方向(z変位)の「最大値−最小値」によって求めることができる。
本実施の形態では、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定されている。ここで、図2(a)に示す第1の構成例の基板10では、表面10a側に位置する基材11の最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定される。また、図2(b)に示す第2の構成例の基板10では、表面10a側に位置する被覆層12の最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定される。
(算術平均粗さ)
続いて、本実施の形態の基板10における算術平均粗さRaについて説明を行う。
算術平均粗さRaは、例えばJIS B 0601に規定されているものである。
そして、本実施の形態では、基板10における表面10aの算術平均粗さRaが、1.1nm以下であることが好ましい。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
では、上述したリチウムイオン二次電池1の製造方法について説明を行う。
図3は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。
(基板準備工程)
まず、表面10aの最大最小高低差Rmmが78(nm)以下となるように表面処理が施された基板10を準備する、基板準備工程を実行する(ステップ10)。
ここで、図2(a)に示す第1の構成例にかかる基板10は、例えば以下の手順にて製造される。まず、圧延法等によって金属板を製造し、この金属板を切断して得られた基材11の表面10a側に、一般的な機械研磨処理を施した後、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法等を用いた精密研磨処理を施すことで、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定された基板10を得る。
また、図2(b)に示す第2の構成例にかかる基板10は、例えば以下の手順にて製造される。まず圧延法等によって金属板を製造し、この金属板を切断して得られた基材11の全面に、無電解ニッケルメッキ法等によってNi−Pからなる被覆層12を形成することで、基材11と被覆層12との積層体を得る。そして、このようにして得られた積層体の表面10a側に位置する被覆層12に、一般的な機械研磨処理を施した後、CMP法等を用いた研磨処理を施すことで、表面10aの最大最小高低差Rmmが78nm以下に設定された基板10を得る。
(下地層形成工程)
そして、図示しないスパッタ装置に基板10を装着し、基板10の表面10a上に下地層20を形成する下地層形成工程を実行する(ステップ20)。
(正極層形成工程)
次に、上記スパッタ装置にて、下地層20上に正極層30を形成する正極層形成工程(第1極性層形成工程の一例)を実行する(ステップ30)。
なお、正極層30として合材正極を用いる場合、正極活物質と無機固体電解質とを含むスパッタリングターゲットを用いたスパッタを行ってもよいし、正極活物質を含むスパッタリングターゲットと無機固体電解質を含む他のスパッタリングターゲットとを用いたコスパッタを行ってもよい。
(固体電解質層形成工程)
続いて、上記スパッタ装置にて、正極層30上に固体電解質層40を形成する固体電解質層形成工程を実行する(ステップ40)。ここで、ステップ40の固体電解質層形成工程では、正極層30上に第1固体電解質層41を形成する第1固体電解質層形成工程を実行し(ステップ41)、第1固体電解質層41上に第2固体電解質層42を形成する第2固体電解質層形成工程を実行する(ステップ42)。
なお、第1固体電解質層41としてLiPOを用い、第2固体電解質層42としてLiPONを用いる場合、リチウム、リンおよび酸素を含むスパッタリングターゲットを用い、最初は窒素を含まない雰囲気下で第1固体電解質層41の形成を行い、続いて、窒素を含む雰囲気下で第2固体電解質層42の形成を行うことが好ましい。
(保持層形成工程)
次いで、上記スパッタ装置にて、固体電解質層40の第2固体電解質層42上に保持層50を形成する保持層形成工程(金属層形成工程の一例)を実行する(ステップ50)。
(拡散防止層形成工程)
それから、上記スパッタ装置にて、保持層50上に拡散防止層60を形成する拡散防止層形成工程(非晶質層形成工程の一例)を実行する(ステップ60)。
(負極集電体層形成工程)
そして、上記スパッタ装置にて、拡散防止層60上に負極集電体層70を形成する負極集電体層形成工程を実行する(ステップ70)。
これらステップ10〜70を実行することにより、リチウムイオン二次電池1の基本構造体が得られる。そして、このリチウムイオン二次電池1の基本構造体を、スパッタ装置から取り外す。
(初回充電工程)
続いて、スパッタ装置から取り外したリチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、1回目の充電を行わせる初回充電工程(充電工程の一例)を実行する(ステップ80)。
(初回放電工程)
それから、充電がなされたリチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、1回目の放電を行わせる初回放電工程(放電工程の一例)を実行する(ステップ90)。これら初回充電と初回放電とにより、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部および多数の空孔の形成が行われ、図1に示すリチウムイオン二次電池1が得られる。
[保持層の多孔質化]
では、上述した保持層50の多孔質化について、より詳細な説明を行う。
図4は、保持層50を多孔質化する手順を説明するための図であり、保持層50およびその周辺を拡大して示した図である。ここで、図4(a)は成膜後且つ初回充電前(ステップ70とステップ80との間)の状態を、図4(b)は初回充電後且つ初回放電前(ステップ80とステップ90との間)の状態を、図4(c)は初回放電後(ステップ90の後)の状態を、それぞれ示している。
(成膜後且つ初回充電前)
まず、図4(a)に示す「成膜後且つ初回充電前」の状態では、保持層50が緻密化している。また、保持層50の厚さは保持層厚さt50であり、拡散防止層60の厚さは拡散防止層厚さt60であり、負極集電体層70の厚さは負極集電体層厚さt70である。
(初回充電後且つ初回放電前)
図4(a)に示すリチウムイオン二次電池1を充電(初回充電)する場合、基板10(図1参照)には直流電源の正の電極が、負極集電体層70には直流電源の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図4(b)に示すように、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオン(Li)が、固体電解質層40を介して保持層50へと移動する。すなわち、充電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池1の厚さ方向(図4(b)において上方向)に移動する。
このとき、正極層30側から保持層50側に移動してきたリチウムイオンは、保持層50を構成する金属と合金化する。例えば保持層50を白金(Pt)で構成した場合、保持層50では、リチウムと白金とが合金化(固溶体化、金属間化合物の形成あるいは共晶化)する。
また、保持層50内に入り込んできたリチウムイオンの一部は、保持層50を通過して拡散防止層60との境界部に到達する。ここで、本実施の形態の拡散防止層60は、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されており、多結晶構造を有する保持層50と比べて、粒界の数が著しく少なくなっている。このため、保持層50と拡散防止層60との境界部に到達したリチウムイオンは、拡散防止層60に入り込みにくくなることから、保持層50内に保持された状態を維持する。
そして、初回充電動作が終了した状態において、正極層30から保持層50に移動したリチウムイオンは、保持層50に保持される。このとき、保持層50に移動してきたリチウムイオンは、白金との合金化あるいは白金内での金属リチウムの析出化等によって、保持層50に保持されるものと考えられる。
ここで、図4(b)に示すように、初回充電後且つ初回放電前のリチウムイオン二次電池1では、保持層厚さt50が、図4(a)に示す成膜後且つ初回充電前の状態よりも増加する。すなわち、保持層50の体積は、初回充電によって増加する。これは、保持層50において、リチウムと白金とが合金化することに起因しているものと考えられる。これに対し、拡散防止層厚さt60は、初回充電の前後でほぼ変わらない。すなわち、拡散防止層60の体積は、初回充電によってほぼ変わらない。これは、拡散防止層60に、リチウムが入り込みにくいことに起因するものと考えられる。そして、このことは、負極集電体層厚さt70が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと、すなわち、負極集電体層70の体積が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと(負極集電体層70を構成する白金が、保持層50を構成する白金のように多孔質化しておらず、緻密なままであること)によって裏付けられるものと考えられる。
(初回放電後)
図4(b)に示すリチウムイオン二次電池1を放電(初回放電)する場合、基板10(図1参照)には負荷の正の電極が、負極集電体層70には負荷の負の電極が、それぞれ接続される。すると、図4(c)に示すように、保持層50に保持されるリチウムイオン(Li)が、固体電解質層40を介して正極層30へと移動する。すなわち、放電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池1の厚さ方向(図4(c)において下方向)へと移動し、正極層30に保持される。これに伴って、負荷には直流電流が供給される。
このとき、保持層50では、リチウムが離脱することに伴い、リチウムと白金との合金の脱合金化(金属リチウムが析出した場合は金属リチウムの溶解化)が行われる。そして、保持層50で脱合金化が行われた結果、保持層50が多孔質化され、多数の空孔52が形成された多孔質部51となる。このようにして得られる多孔質部51は、ほぼ金属(例えば白金)で構成されることになる。ただし、初回放電が終了した状態において、保持層50の内部でリチウムは完全に消失するわけではなく、放電動作による移動を行わない一部のリチウムが残存する。
ここで、図4(c)に示すように、初回放電後のリチウムイオン二次電池1では、保持層厚さt50が、図4(b)に示す初回充電後且つ初回放電前の状態よりも減少する。これは、保持層50において、リチウムと白金との合金の脱合金化が行われることに起因するものと考えられる。そして、このことは、初回放電によって保持層50内に形成される空孔52の形状が、面方向に比べて厚さ方向が小さくなるように扁平化していることによって裏付けられる。また、図4(c)に示すように、初回放電後のリチウムイオン二次電池1では、保持層厚さt50が、図4(a)に示す成膜後且つ初回充電前の状態よりも増加する。これは、初回充電および初回放電によって保持層50が多孔質化されること、すなわち、保持層50内に多数の空孔52が形成されることに起因するものと考えられる。なお、これに対し、拡散防止層厚さt60および負極集電体層厚さt70は、初回放電の前後でもほぼ変わらない。
[その他]
なお、本実施の形態では、基板10の表面10a上に、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70の順に積層を行うことで、リチウムイオン二次電池1の基本構造体を形成していた。すなわち、基板10に近い側に正極層30を配置し、基板10から遠い側に保持層50を配置する構成を採用していた。ただし、これに限られるものではなく、基板10に近い側に保持層50を配置し、基板10から遠い側に正極層30を配置する構成を採用してもかまわない。ただし、この場合は、基板10に対する各層の積層順が、上述したものとは逆になる。
また、本実施の形態では、基板10の一方の面すなわち表面10a上に、リチウムイオン二次電池1の基本構造体を形成していた。ただし、これに限られるものではなく、基板10の表面10a上にリチウムイオン二次電池1の基本構造体を形成するのに加えて、基板10の他方の面すなわち裏面10b上に、別のリチウムイオン二次電池1の基本構造体を形成するようにしてもかまわない。この場合は、基板10の裏面10bも、表面10aと同じく、最大最小高低差Rmmを78nm以下に設定しておくことが必要となる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明者は、3種類(実施例1、2および比較例)のリチウムイオン二次電池1を作製し、それぞれの構造と各種電気特性とに関する評価を行った。
[実施例1について]
まず、実施例1では、上記実施の形態で説明したリチウムイオン二次電池1のうち、図2(a)に示す第1の構成例の基板10を適用したものを用いた。すなわち、実施例1では、基材11で構成され、その表面10aが最大最小高低差Rmm≦78nmに研磨されてなる基板10を備えた、リチウムイオン二次電池1を用いた。
[実施例2について]
また、実施例2では、上記実施の形態で説明したリチウムイオン二次電池1のうち、図2(b)に示す第2の構成例の基板10を適用したものを用いた、すなわち、実施例2では、基材11および被覆層12で構成され、その表面10aが最大最小高低差Rmm≦78nmに研磨されてなる基板10を備えた、リチウムイオン二次電池1を用いた。
[比較例について]
一方、比較例では、その基本構成自体は実施例1と同様であるものの、その表面10aが最大最小高低差Rmm>400nmに研磨されてなる基板10を備えた、リチウムイオン二次電池1を用いた。
[実施例および比較例の具体的な構成]
次に、実施例および比較例にかかるリチウムイオン二次電池1の具体的な構成について説明を行う。
(基板の構成)
表1は、実施例1、2および比較例にかかるリチウムイオン二次電池1における、基板10の構成を示している。ここで、表1は、基板10を構成する基材11の構成材料と、基板10における被覆層12の有無(ある場合はその構成材料)と、基板10に対するCMP処理の有無と、基板10の厚さと、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmおよび算術平均粗さRaとの関係を示している。
では、それぞれの基板10について説明を行う。
〔実施例1〕
実施例1では、基板10を、基材11の単層構成とした。すなわち、基板10が被覆層12を備えない構成とした。また、実施例1では、基材11としてSUS316Lを用い、その厚さは0.1(mm)とした。さらに、実施例1では、基板10の表面10aに一般的な機械研磨処理を施した後、さらにCMP処理を施した。その結果、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmは78(nm)となり、その算術平均粗さRaは1.19(nm)となった。
〔実施例2〕
実施例2では、基板10を、基材11および被覆層12の積層構成とした。また、実施例2では、基材11としてAl(アルミニウム)を用い、その厚さは実施例1と同じ0.1(mm)とした。そして、実施例2では、被覆層12としてNi−Pを用いた。なお、被覆層12は、基材11に対し、無電解ニッケルメッキ法を用いて付着させた。さらに、実施例2では、実施例1と同様に、基板10の表面10aに一般的な機械研磨処理を施した後、さらにCMP処理を施した。その結果、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmは、実施例1よりも小さい2.7(nm)となり、その算術平均粗さRaは、実施例1よりも小さい0.499(nm)となった。
〔比較例〕
比較例では、基板10を、実施例1と同じ基材11の単層構成とした。すなわち、基板10が被覆層12を備えない構成とした。また、比較例では、実施例1と同じく、基材11としてSUS316Lを用い、その厚さは0.1(mm)とした。ただし、比較例では、実施例1とは異なり、基板10の表面10aに一般的な機械研磨処理を施すのみとし、CMP処理を施さないようにした。その結果、基板10における表面10aの最大最小高低差Rmmは、実施例1、2よりも大きい438(nm)となり、その算術平均粗さRaは、実施例1、2よりも大きい61.2(nm)となった。
(基板を除く各層の構成)
表2は、実施例1、2および比較例にかかるリチウムイオン二次電池1における、基板10以外の構成を示している。ここで、表2は、基板10を除く各層の名称と、各層を構成する材料およびその厚さとの関係を示している。
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明を行う。
下地層20には、スパッタ法で形成されたLiNiOを用いた。下地層20の厚さは200nmとした。
正極層30には、スパッタ法で形成されたLiNiOおよびLiPOを用いた。正極層30の厚さは1000nmとした。そして、正極層30におけるLiNiOとLiPOとの比率(モル比)は73:27とした。
固体電解質層40を構成する第1固体電解質層41には、スパッタ法で形成されたLiPOを用いた。第1固体電解質層41の厚さは20nmとした。
固体電解質層40を構成する第2固体電解質層42には、スパッタ法で形成されたLiPONを用いた。第2固体電解質層42の厚さは980nmとした。したがって、固体電解質層40の全体の厚さは1000nmとした。
保持層50には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。保持層50の厚さは410nmとした。
拡散防止層60には、スパッタ法で形成されたCrTiを用いた。拡散防止層60の厚さは50nmとした。
負極集電体層70には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。負極集電体層70の厚さは100nmとした。
〔実施例2〕
続いて、実施例2について説明を行う。
下地層20には、スパッタ法で形成されたLiNiOを用いた。下地層20の厚さは200nmとした。
正極層30には、スパッタ法で形成されたLiNiOおよびLiPOを用いた。正極層30の厚さは800nmとした。そして、正極層30におけるLiNiOとLiPOとの比率(モル比)は73:27とした。
固体電解質層40を構成する第1固体電解質層41には、スパッタ法で形成されたLiPOを用いた。第1固体電解質層41の厚さは20nmとした。
固体電解質層40を構成する第2固体電解質層42には、スパッタ法で形成されたLiPONを用いた。第2固体電解質層42の厚さは980nmとした。したがって、固体電解質層40の全体の厚さは1000nmとした。
保持層50には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。保持層50の厚さは60nmとした。
拡散防止層60には、スパッタ法で形成されたCrTiを用いた。拡散防止層60の厚さは200nmとした。
負極集電体層70には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。負極集電体層70の厚さは60nmとした。
〔比較例〕
さらに、比較例について説明を行う。
比較例では、下地層20乃至負極集電体層70の各層の構成材料および厚さを、実施例1と同じにした。したがって、実施例1と比較例とは、基板10(基材11)における表面10aの平坦性のみが異なっていることになる。
このようにして得られた各リチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、初回充放電を行わせることにより、リチウムイオン二次電池1を得た。なお、初回充放電を行わせることにより、保持層50の厚さは、それぞれの初期値よりも増加した。
[リチウムイオン二次電池の評価]
ここでは、実施例1、2および比較例の各リチウムイオン二次電池1を評価するための尺度として、リチウムイオン二次電池1の構造(結晶構造および断面構造)と、電気的特性(容量維持率)とを用いた。
(結晶構造)
まず、結晶構造について説明を行う。本発明者は、実施例1、2および比較例の各リチウムイオン二次電池1に対し、電子線回折パターンを測定することで、リチウムイオン二次電池1を構成する各層の結晶構造(結晶化、非晶質化)に関する評価を行った。
実施例1、2のリチウムイオン二次電池1において、基板10、保持層50および負極集電体層70は、それぞれ結晶化していた。これに対し、下地層20、第1固体電解質層41、第2固体電解質層42および拡散防止層60は、非晶質化していた。また、正極層30については、結晶化している領域と非晶質化している領域とが混在しており、非晶質化している領域に対し、結晶化している領域が点在していた。
一方、比較例のリチウムイオン二次電池1も、上記実施例1、2のリチウムイオン二次電池1を構成する各層と、同様の結晶構造を呈していた。
(断面構造)
次に、断面構造について説明を行う。
〔比較例〕
図5(a)は、比較例のリチウムイオン二次電池1の初回充放電前における断面STEM写真である。また、図5(b)は、比較例のリチウムイオン二次電池1の7回充放電後における断面STEM写真である。さらに、図6(a)は、比較例のリチウムイオン二次電池1の初回充放電前における拡大断面STEM写真である。さらにまた、図6(b)は、比較例のリチウムイオン二次電池1の7回充放電後における拡大断面STEM写真である。これらのSTEM写真は、日立ハイテクノロジーズ社製HD−2300型超薄膜評価装置を用いて撮影したものである(以下も同様)。ここで、図5(a)には図6(a)が対応し、また、図5(b)には図6(b)が対応している。ただし、図5(a)および図6(a)に示すSTEM写真と、図5(b)および図6(b)に示すSTEM写真とでは、撮影位置が異なるため、これらの断面形状は一致していない。
なお、以下の説明においては、初回充放電前の状態を単に「充放電前」と称し、7回充放電後の状態を単に「充放電後」と称することがある。
では、図5および図6を参照しつつ、比較例のリチウムイオン二次電池1の断面構造について説明を行う。
まず、保持層50に着目すると、充放電後は、充放電前よりも厚さが大きくなっていることがわかる。また、拡散防止層60および負極集電体層70に着目すると、充放電前と充放電後とで、それぞれの厚さがほとんど変わっていないこともわかる。
また、充放電前において、下地層20乃至負極集電体層70には、これらの積層対象となる基板10の表面10aの平坦性の影響を受けたことにより、凹凸(うねり)が生じていることがわかる。これに対し、充放電後において、下地層20乃至負極集電体層70には、上述した基板10の表面10aの平坦性の影響に加え、リチウムイオンの移動に伴う正極層30乃至保持層50の厚さ方向への伸縮の影響を受けたことにより、生じる凹凸がさらに大きくなっていることがわかる。
特に、図5(b)および図6(b)に示すように、充放電後では、保持層50と拡散防止層60との界面のうち、V字状の断面を呈している部位において、保持層50側に巨大なボイド(図5(b)では白っぽく、図6(b)では黒っぽい領域)が発生していることがわかる。このようなボイドは、充放電に伴って保持層50内に形成される空孔52(図4(c)参照)よりもはるかに大きく、断面がV字状を呈する領域において、負極集電体層70側へのリチウムの漏れ(リーク)が生じる要因となり得る。また、このようなボイドは、保持層50と拡散防止層60とを剥離させる要因にもなり得る。
(容量維持率)
実施例1、2および比較例の各リチウムイオン二次電池1に対して、充放電特性の測定を行うとともに、充放電特性の測定結果を用いて容量維持率の評価を行った。充放電特性の測定機器としては、北斗電工株式会社製 充放電装置HJ1020mSD8を用いた。
ここで、容量維持率は、リチウムイオン二次電池1の、充電完了後の初期の容量に対する、予め定められた期間が経過した時点における容量の比を、百分率で表したものである。この場合、容量維持率の値は、高いほどよく、最高で100%となる。ここでは、満充電後且つ3時間後の容量維持率の評価を行った。
表3は、実施例1、2および比較例にかかるリチウムイオン二次電池1の容量維持率を示している。ここで、表3は、基板10の構成と、それぞれの表面10aにおける最大最小高低差Rmmおよび算術平均粗さRaと、満充電直後および満充電後且つ3時間後の放電容量の比として表される容量維持率との関係を示している。ここで、実施例1および比較例では、充電時の電流値を20mAとし、実施例2では、充電時の電流値を2.7mAとした。これは、実施例1および比較例では、リチウムイオン二次電池1の面積(フットプリント)を同じ大きさとしたのに対し、実施例2では、リチウムイオン二次電池1の面積を実施例1および比較例よりも小さくしたことに起因するものである。
実施例1における容量維持率は、98.8%となった。また、実施例2における容量維持率は、実施例1よりも高い99.9%となった。これに対し、比較例における容量維持率は、実施例1および実施例2よりも低い77.6%となった。
〔容量維持率の傾向について〕
以上より、容量維持率について、以下のような傾向がみられるといえる。
まず、基板10の最大最小高低差Rmmが78(nm)以下に設定される実施例1、2は、最大最小高低差Rmmが400(nm)超に設定される比較例よりも、容量維持率が高かった。これは、基板10の表面10aの平坦性が従来よりも著しく高く設定されることにより、基板10上に形成される下地層20乃至負極集電体層70の平坦性が向上したこと、そして、これに伴って、比較例のようなV字状の断面構造(図5および図6参照)に起因するリチウムの漏れが抑制されたこと、に起因するものと考えられる。なお、リチウムの漏れが生じるような場合は、拡散防止層60にリチウムを通過させるパスが形成されることになるため、容量維持率は低下する。
また、基板10の最大最小高低差Rmmが2.7(nm)に設定される実施例2は、最大最小高低差Rmmが78(nm)に設定される実施例1よりも、容量維持率が高かった。これも、実施例2が実施例1と比べて、基板10の表面10aの平坦性が高いことに起因するものと考えられる。
1…リチウムイオン二次電池、10…基板、10a…表面、10b…裏面、11…基材、12…被覆層、20…下地層、30…正極層、40…固体電解質層、41…第1固体電解質層、42…第2固体電解質層、50…保持層、51…多孔質部、52…空孔、60…拡散防止層、70…負極集電体層
本発明のリチウムイオン二次電池は、表面および裏面を有する基板と、前記基板における前記表面側に設けられ、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層と、前記第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層とを順に有し、前記基板における前記表面は、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下であることを特徴としている。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記基板がSUS316Lで構成され、前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記基板が前記表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成され、前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記第2の極性が負であり、前記固体電解質層は、前記第1極性層と対峙して設けられ、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層と、前記第2極性層と対峙して設けられ、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層とを順に有することを特徴とすることができる。
また、前記第1極性層は、LiNiOおよびLiPOを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記基板の前記表面と前記第1極性層との間に設けられ、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記固体電解質層と対峙して設けられ、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層をさらに有し、前記第2極性層は、前記金属層を構成する金属と合金化したリチウムを含んでいることを特徴とすることができる。
また、前記金属層と対峙して設けられ、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記基板における前記表面の前記最大最小高低差が、2.7nm以下であることを特徴とすることができる。
また、前記基板における前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下であることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下となる表面が設けられた基板を準備する基板準備工程と、前記基板における前記表面側に、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層を形成する第1極性層形成工程と、前記基板上に設けられた前記第1極性層側に、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池の製造方法において、前記基板準備工程では、SUS316Lで構成された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、Ni−Pめっきを施した金属材料で構成された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記基板上に設けられた前記固体電解質層に、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層を形成する金属層形成工程と、前記基板、前記第1極性層、前記固体電解質層および前記金属層を含む積層体に対し、当該第1極性層から当該固体電解質層を介して当該金属層にリチウムイオンを移動させることで充電を行う充電工程と、充電された前記積層体に対し、前記金属層から前記固体電解質層を介して前記第1極性層にリチウムイオンを移動させることで放電を行う放電工程とをさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記金属層形成工程と前記充電工程との間において、前記金属層に、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層を形成する非晶質層形成工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記第1の極性が正であり、前記第1極性層形成工程では、LiNiOおよびLiPOを含む合材正極を形成し、前記固体電解質層形成工程では、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層を形成した後、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程と前記第1極性層形成工程との間において、前記基板における前記表面に、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層を形成する下地層形成工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、前記表面の前記最大最小高低差が2.7nm以下に設定された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
また、前記基板準備工程では、前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下に設定された前記基板を準備することを特徴とすることができる。
(保持層)
金属層の一例としての保持層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを保持するとともに放電時にはリチウムイオンを放出する機能を備えるものである。ここで、本実施の形態の保持層50は、自身は負極活物質を含んでおらず、負極活物質として機能するリチウムを内部に保持するようになっている点が、一般的な負極層とは異なる。ここで、本実施の形態の保持層50は、リチウムを内部に保持した場合に、第2極性層の一例としての機能も果たすようになっている。なお、本実施の形態では、第2の極性に負極性が対応している。
また、第2の構成例において、被覆層12を構成する材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物等を用いることができる。ここで、基材11に被覆層12を形成してなる基板10を採用する場合、リチウムに起因する腐食を抑制するという観点からすれば、CrTi、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を用いることが好ましい。そして、これらの中でも、機械研磨が可能な硬質な外周面を設けるという観点からすれば、例えば、無電解ニッケルメッキ法により成膜されるNiP(ニッケル−リン、以下では「Ni−P」と表記することがある)を用いることが望ましい。
ただし、被覆層12の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。

Claims (19)

  1. 表面および裏面を有する基板と、
    前記基板における前記表面側に設けられ、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層と、
    リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層と、
    前記第1の極性とは逆の第2の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第2極性層と
    を順に有し、
    前記基板における前記表面は、AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下であること
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記基板がSUS316Lで構成され、
    前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいること
    を特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記基板が前記表面にNi−Pめっきを施した金属材料で構成され、
    前記固体電解質層がLiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含んでいること
    を特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記第1の極性が正であり、前記第2の極性が負であり、
    前記固体電解質層は、
    前記第1極性層と対峙して設けられ、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層と、
    前記第2極性層と対峙して設けられ、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層と
    を順に有することを特徴とする請求項2または3記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記第1極性層は、LiNiOおよびLiPOを含んでいること
    を特徴とする請求項4記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記基板の前記表面と前記第1極性層との間に設けられ、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層をさらに有すること
    を特徴とする請求項5記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記固体電解質層と対峙して設けられ、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層をさらに有し、
    前記第2極性層は、前記金属層を構成する金属と合金化したリチウムによって構成されること
    を特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記金属層と対峙して設けられ、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層をさらに有すること
    を特徴とする請求項7記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記基板における前記表面の前記最大最小高低差が、2.7nm以下であること
    を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
  10. 前記基板における前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下であること
    を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
  11. AFM(Atomic Force Microscope)にて20μm×20μmの範囲の凹凸を測定して得られた最大高さと最小高さとの高低差である最大最小高低差が、78nm以下となる表面が設けられた基板を準備する基板準備工程と、
    前記基板における前記表面側に、第1の極性にてリチウムイオンを吸蔵および放出する第1極性層を形成する第1極性層形成工程と、
    前記基板上に設けられた前記第1極性層側に、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質を含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と
    を有するリチウムイオン二次電池の製造方法。
  12. 前記基板準備工程では、SUS316Lで構成された前記基板を準備すること
    を特徴とする請求項11記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  13. 前記基板準備工程では、Ni−Pめっきを施した金属材料で構成された前記基板を準備すること
    を特徴とする請求項11記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  14. 前記第1の極性が正であり、
    前記基板上に設けられた前記固体電解質層に、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成される金属層を形成する金属層形成工程と、
    前記基板、前記第1極性層、前記固体電解質層および前記金属層を含む積層体に対し、当該第1極性層から当該固体電解質層を介して当該金属層にリチウムイオンを移動させることで充電を行う充電工程と、
    充電された前記積層体に対し、前記金属層から前記固体電解質層を介して前記第1極性層にリチウムイオンを移動させることで放電を行う放電工程と
    をさらに有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  15. 前記金属層形成工程と前記充電工程との間において、前記金属層に、非晶質構造を有する、金属または合金で構成される非晶質層を形成する非晶質層形成工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項14記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  16. 前記第1の極性が正であり、
    前記第1極性層形成工程では、LiNiOおよびLiPOを含む合材正極を形成し、
    前記固体電解質層形成工程では、LiPOを含みLiNiOを含まない第1固体電解質層を形成した後、LiPOにおける酸素の一部を窒素で置換したLiPONを含む第2固体電解質層を形成すること
    を特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  17. 前記基板準備工程と前記第1極性層形成工程との間において、前記基板における前記表面に、LiNiOを含みLiPOを含まない下地層を形成する下地層形成工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  18. 前記基板準備工程では、前記表面の前記最大最小高低差が2.7nm以下に設定された前記基板を準備すること
    を特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  19. 前記基板準備工程では、前記表面の算術平均粗さRaが1.1nm以下に設定された前記基板を準備すること
    を特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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