WO2020137449A1 - リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

リチウムイオン二次電池1は、正極集電体層として機能する基板10上に、下地層20、正極層30、固体電解質層40、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70を、この順に積層して構成される。基板10のうち、上記各層の積層対象となる表面11には、平坦部111aと複数の凸部111bとを含む表面中央部が設けられている。保持層50と拡散防止層60との境界部のうち、表面中央部の上方であって各凸部111bの直上となる部位には、充電時にリチウムが析出するとともに放電時にリチウムが除去されることにより、複数の空隙部90が形成される。

Description

リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法
 本発明は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
 携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する、小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、リチウムイオン伝導性を示し且つ正極および負極の間に配置される電解質とを有している。
 従来のリチウムイオン二次電池では、電解質として有機電解液等が用いられてきた。これに対し、電解質として無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を用いるとともに、負極活物質としてリチウム金属および/またはリチウムを過剰に含むリチウム過剰層を用いることが提案されている(特許文献1参照)。そして、特許文献1では、正極側集電体膜、正極活物質膜、固体電解質膜および負極集電体膜を、この順に積層した後、正極集電体膜および負極集電体膜を介した充電を行うことに伴って、固体電解質膜と負極集電体膜との間にリチウム過剰層を生じさせている。
特開2013-164971号公報
 ここで、固体電解質膜と負極集電体膜との間に、充電によりリチウム過剰層を生じさせる構成を採用した場合には、リチウム過剰層の形成・消失に伴って固体電解質膜と負極集電体膜との間に剥離を引き起こし、充放電のサイクル寿命が短くなるという問題があった。
 本発明は、全固体型のリチウムイオン二次電池における内部の剥離を抑制することを目的とする。
 本発明のリチウムイオン二次電池は、表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、負極活物質を含む負極層と、電子伝導性を示す負極集電体層とを順に有し、前記正極集電体層の前記表面における中央側に位置する中央部は、当該中央部の周縁側に位置する周縁部よりも、凹凸の高低差が大きいことを特徴としている。
 このようなリチウムイオン二次電池において、前記負極層は、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じてリチウムが析出した、複数の析出部によって構成されることを特徴とすることができる。
 また、前記固体電解質層と前記負極層との間に設けられ、リチウムと合金化する金属層をさらに有することを特徴とすることができる。
 また、前記金属層は、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成されることを特徴とすることができる。
 また、前記負極集電体層は、非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層を有していることを特徴とすることができる。
 また、前記非晶質金属層は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることを特徴とすることができる。
 また、前記正極集電体層が、ステンレスまたは前記表面にNiPめっきが施された金属材料で構成されることを特徴とすることができる。
 また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池は、表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、電子伝導性を示す負極集電体層とを順に有し、前記固体電解質層と前記負極集電体層との間には、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じてリチウムが析出した、複数の析出部が設けられていることを特徴としている。
 このようなリチウムイオン二次電池において、複数の前記析出部は、前記正極集電体層の前記表面のうち、前記負極集電体層に向かって突出する凸部に対峙していることを特徴とすることができる。
 また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池は、表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、電子伝導性を示す負極集電体層とを順に有し、前記固体電解質層と前記負極集電体層との間には、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じて空隙が形成された、複数の空隙部が設けられていることを特徴としている。
 このようなリチウムイオン二次電池において、複数の前記空隙部は、前記正極集電体層の前記表面のうち、前記負極集電体層に向かって突出する凸部に対峙していることを特徴とすることができる。
 また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池は、電子伝導性を示す正極集電体層と、正極活物質を含む正極層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、リチウムを保持可能な保持層と、非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層とを順に有し、前記保持層と前記非晶質金属層との間には、リチウムが析出した複数の析出部が設けられていることを特徴としている。
 また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池は、電子伝導性を示す正極集電体層と、正極活物質を含む正極層と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、リチウムを保持可能な保持層と、非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層とを順に有し、前記保持層と前記非晶質金属層との間には、複数の空隙部が設けられていることを特徴としている。
 また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、表面の中央側に位置する中央部を、当該中央部の周縁側に位置する周縁部よりも、凹凸の高低差を大きくした正極集電体層の当該表面側に、正極活物質を含む正極層を形成する正極層形成工程と、前記正極層側に、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、前記固体電解質層側に、リチウムと合金化する金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層側に、非晶質構造を有する金属または合金からなる非晶質金属層を形成する非晶質金属層形成工程と、前記正極層、前記固体電解質層、前記金属層および前記非晶質金属層を含む積層体に対し、当該正極層から当該固体電解質層を介して当該金属層側にリチウムイオンを移動させることで充電を行うとともに、当該金属層と当該非晶質金属層との間に、リチウムが析出した複数の析出部を形成する析出部形成工程とを有している。
 このようなリチウムイオン二次電池の製造方法において、充電された前記積層体に対し、前記金属層および複数の前記析出部から前記固体電解質層を介して前記正極層にリチウムイオンを移動させることで放電を行うとともに、複数の当該析出部を空孔化することで複数の空隙部を形成する空隙部形成工程とをさらに有することを特徴とすることができる。
 また、前記金属層形成工程では、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金からなる前記金属層を形成し、前記非晶質金属層形成工程では、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSiのいずれかからなる前記非晶質金属層を形成することを特徴とすることができる。
 本発明によれば、全固体型のリチウムイオン二次電池における内部の剥離を抑制することができる。
実施の形態のリチウムイオン二次電池(初回放電工程終了後のリチウムイオン二次電池)の断面構成を示す図である。 リチウムイオン二次電池を構成する基板を説明するための図であって、(a)は上面図であり、(b)は下面図である。 リチウムイオン二次電池に設けられる空隙部を説明するための図である。 リチウムイオン二次電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。 負極集電体層形成工程終了後且つ初回充電工程開始前の、リチウムイオン二次電池の断面構成を示す図である。 初回充電工程終了後且つ初回放電工程開始前の、リチウムイオン二次電池の断面構成を示す図である。 (a)~(c)は、実験例のリチウムイオン二次電池を、図1における上側から撮影した光学顕微鏡写真を示している。 保持層と拡散防止層との間に形成される空隙部を撮影した光学顕微鏡写真および断面STEM写真である。
 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
[リチウムイオン二次電池の構成]
 図1は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。本実施の形態のリチウムイオン二次電池1は、後述するように、複数の層(膜)を積層した構造を有しており、所謂成膜プロセスによって基本的な構造を形成した後、初回の充放電動作によってその構造を完成させるようになっている。ここで、図1は、初回放電までが完了することにより、リチウムイオン二次電池1の構造が完成した状態を示している。
 図1に示すリチウムイオン二次電池1は、表面11および裏面12を有する基板10と、基板10における表面11上に積層される下地層20と、下地層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される固体電解質層40とを備えている。ここで、固体電解質層40は、下地層20および正極層30の両者の周縁を覆うとともにその端部が基板10の表面11に直接積層されることで、基板10とともに下地層20および正極層30を覆っている。また、このリチウムイオン二次電池1は、固体電解質層40上に積層される保持層50と、保持層50上に積層される拡散防止層60と、拡散防止層60上に積層される負極集電体層70とを備えている。さらに、このリチウムイオン二次電池1のうち、保持層50と拡散防止層60との間には、複数の空隙部90が設けられている。
(基板)
 基板10は、下地層20乃至負極集電体層70を、成膜プロセスによって積層するための土台となるものである。そして、この基板10は、表面11と裏面12とを有しており、表面11側に、下地層20乃至負極集電体層70が積層されている。
 図2は、リチウムイオン二次電池1を構成する基板10を説明するための図である。ここで、図2(a)は、基板10を図1における上側からみた上面図を示している。また、図2(b)は、基板10を図1における下側からみた下面図を示している。以下では、図1に加えて図2も参照しつつ、基板10の説明を行う。
 基板10は、上方からみたときに矩形状(この例では正方形状)を呈するようになっている。そして、基板10のうち、表面11は、そのほぼ中央側に位置する表面中央部111(中央部の一例)、表面中央部111の周縁側に位置する表面周縁部112(周縁部の一例)とを有している。ここで、表面中央部111は、上方からみたときに矩形状(この例では正方形状)を呈するようになっており、表面周縁部112は、上方からみたときに矩形の枠状(額縁状)を呈するようになっている。そして、基板10の表面11において、表面中央部111は、表面周縁部によって囲われている。
 ここで、表面11に設けられた表面中央部111は、格子状に設けられるとともに略平坦な面を有する平坦部111aと、平坦部111aによって形成される網目状の部位から、それぞれが上方に向かって突出する複数の凸部111bとを有している。この例において、表面中央部111には、9行×9列=81個の凸部111bが、規則的に配置されている。
 なお、ここでは、基板10の表面11に設けられた表面中央部111に、複数の凸部111bを規則的に配置する場合を例として説明を行うが、これに限られるものではない。すなわち、基板10の表面11に設けられた表面中央部111に、複数の凸部111bを不規則的に配置するようにしてもかまわない。
 また、表面11に設けられた表面周縁部112は、上述した表面中央部111における平坦部111aと略同じ高さに設定された略平坦な面を有している。
 ここで、表面11に設けられた表面中央部111は、上方からみたときに、保持層50(拡散保持層60および負極集電体層70も同様)の周縁よりも内側に位置している。また、表面中央部111は、上方からみたときに、固体電解質層40の周縁よりも内側に位置している。さらに、表面中央部111は、上方からみたときに、正極層30(下地層20も同様)の周縁よりも内側に位置している。
 なお、このリチウムイオン二次電池1では、上方からみたときに、固体電解質層40の周縁が、基板10の周縁よりも内側に位置している。また、このリチウムイオン二次電池1では、上方からみたときに、保持層50(拡散防止層60および負極集電体層70も同様)の周縁が、固体電解質層40の周縁よりも内側に位置している。さらに、このリチウムイオン二次電池1では、上方からみたときに、正極層30(および下地層20も同様)の周縁が、保持層50の周縁よりも内側に位置している。
 一方、基板10の裏面12は、上述した表面周縁部112と同様に、略平坦な面を有している。
 本実施の形態では、基板10を、電子伝導性を示す金属製の板材で構成している。これにより、基板10を、下地層20を介して正極層30への集電を行う正極集電体層として機能させるようになっている。
 本実施の形態では、基板10を、単層の金属板で構成することができる。この場合、基板10を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金等を用いることができる。そして、リン酸に起因する腐食を抑制するという観点からすれば、基板10としてステンレスを用いることが望ましく、特に、粒界腐食を抑止するという観点からすれば、SUS316、より好ましくはSUS316Lを用いることが望ましい。また、基板10上に積層する下地層20としてLiNiO2を採用する場合は、基板10を構成する金属材料として、熱膨張率がLiNiO2に近いステンレスを用いることが好ましい。さらに、本実施の形態のように、基板10を正極集電体層としても利用する場合は、基板10を構成する金属材料として、高電圧環境下においても腐食されにくく、過放電に強いステンレスを用いることが好ましい。ただし、これに限られるものではなく、基板10を、複数の金属板の積層体で構成してもかまわない。
 また、本実施の形態では、基板10を、金属板で構成された基材と、基材の外面を覆う被覆層との積層体で構成することもできる。この場合、基材を構成する金属材料としては、各種金属やこれらの合金あるいは金属化合物(例えばアルミニウム合金)等を用いることができる。また、基板10として、基材上に被覆層を形成してなる基板10を採用する場合、リチウムに起因する基材の腐食を抑制するという観点からすれば、被覆層として、CrTi、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を用いることが好ましい。そして、これらの中でも、機械研磨が可能な硬質な外面を設けるという観点からすれば、例えば、無電解ニッケルメッキ法により成膜されるNiP(ニッケル-リン)を用いることが望ましい。ただし、被覆層の形成手法としては、メッキ法に限られるものではなく、各種成膜手法を採用してかまわない。また、基材上に被覆層を形成してなる基板10を採用する場合、被覆層を全面に設ける必要はなく、少なくとも基板10の表面11側に形成すればよい。
 基板10の厚さは、例えば20μm以上2000μm以下とすることができる。基板10の厚さが20μm未満であると、リチウムイオン二次電池1の強度が不足するおそれがある。一方、基板10の厚さが2000μmを超えると、電池の厚さおよび重量の増加により体積エネルギー密度および重量エネルギー密度が低下する。
 ここで、基板10の製造方法としては、圧延によって得られた金属板の一方の面(表面11)に対し、選択的にエッチングを施すことが挙げられる。この手法は、複数の凸部111bを規則的に配置してなる基板10を製造する場合に有用である。
 また、基板10の他の製造方法としては、圧延によって得られた金属板の一方の面(表面11)に対し、選択的に異なる研磨を施すことが挙げられる。この手法は、複数の凸部111bを不規則的に配置してなる基板10を製造する場合に有用である。
(下地層)
 下地層20は、固体薄膜であって、基板10と正極層30との密着性を高めるとともに、基板10を構成する材料(特に金属材料)と、正極層30を合材正極で構成した場合に正極層30で使用される無機固体電解質(例えばLi3PO4(リン酸リチウム))とが、直接に接触するのを抑制するための障壁となるものである。
 下地層20としては、電子伝導性を有するとともに、Li3PO4を構成するLi+(リチウムイオン)やPO4 3-(リン酸イオン)による腐食が生じ難い、金属または金属化合物等で構成されたものを用いることができる。
 ここで、下地層20は、例えばLiNiO2(ニッケル酸リチウム)で構成することができる。LiNiO2は、リチウムイオン二次電池1の正極材料として用いられることがあるものである。
 下地層20の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。下地層20の厚さが5nm未満であると、障壁としての機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、下地層20の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
 また、下地層20の製造方法としては、各種PVD(物理蒸着)や各種CVD(化学蒸着)など、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法もしくは真空蒸着法を用いることが望ましい。
(正極層)
 正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質を含むものである。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)から選ばれる一種以上の金属を含む、酸化物、硫化物あるいはリン酸化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。また、正極層30は、さらに固体電解質を含んだ合材正極であってもよい。
 ここで、本実施の形態では、正極層30を、正極活物質と、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)とを含む合材正極で構成している。より具体的に説明すると、本実施の形態の正極層30は、主として無機固体電解質を含む固体電解質領域と、主として正極活物質を含む正極領域とを有している。そして、正極層30内では、固体電解質領域を構成する無機固体電解質と、正極領域を構成する正極活物質とが、それぞれを維持した状態で混在している。その結果、正極層30では、一方がマトリックス(母材)となっており、他方がフィラー(粒子)となっている。ここで、正極層30においては、固体電解質領域をマトリックスとし、正極領域をフィラーとすることが望ましい。
 本実施の形態では、正極層30を構成する正極活物質として、上記下地層20と同じ材料(例えばLiNiO2)を用いることができる。また、正極層30を構成する無機固体電解質として、Li3PO4(リン酸リチウム)を用いることができる。ここで、正極層30における正極活物質と無機固体電解質との比率については、適宜選択して差し支えない。ただし、容量および導電性の両者を確保するという観点からすれば、正極活物質と無機固体電解質との比率を、モル比で9:1(90%:10%)乃至3:2(60%:40%)の範囲とすることが好ましい。
 正極層30の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。正極層30の厚さが10nm未満であると、得られるリチウムイオン二次電池1の容量が小さくなりすぎ、実用的ではなくなる。一方、正極層30の厚さが40μmを超えると、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、正極層30の厚さを40μm超としてもかまわない。
 さらに、正極層30の作製方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(固体電解質層)
 固体電解質層40は、無機材料からなる固体薄膜であって、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含むものである。
 そして、本実施の形態の固体電解質層40は、正極層30上に積層される第1固体電解質層41と、第1固体電解質層41上に積層されるとともに、保持層50の積層対象となる第2固体電解質層42とを備えている。
〔第1固体電解質層〕
 本実施の形態の第1固体電解質層41は、正極層30における無機固体電解質と同じ材料(例えばLi3PO4)で構成することができる。
 第1固体電解質層41の厚さは、例えば5nm以上50nm以下とすることができる。第1固体電解質層41の厚さが5nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池1において、正極層30と保持層50との間での電流の漏れ(リーク)が生じやすくなる。一方、第1固体電解質層41の厚さが50nmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
 さらに、第1固体電解質層41の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔第2固体電解質層〕
 本実施の形態の第2固体電解質層42は、第1固体電解質層41を構成する無機固体電解質と同系統の材料(例えばLi3PO4における酸素の一部を窒素で置換したLiPON(Li3PO4-xx(0<x<1))で構成することができる。
 第2固体電解質層42の厚さは、例えば10nm以上10μm以下とすることができる。第2固体電解質層42の厚さが10nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池1において、正極層30と保持層50との間での電流の漏れ(リーク)が生じやすくなる。一方、第2固体電解質層42の厚さが10μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
 さらに、第2固体電解質層42の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(保持層)
 金属層の一例としての保持層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを保持するとともに放電時にはリチウムイオンを放棄する機能を備えるものである。ここで、本実施の形態の保持層50は、自身は負極活物質を含んでおらず、負極活物質として機能するリチウムを内部に保持するようになっている点が、一般的な負極層とは異なる。
 そして、本実施の形態の保持層50は、多孔質構造を有しており、多数の空孔が形成された多孔質部(図示せず)によって構成されている。なお、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部の形成は、成膜後の初回の充放電動作に伴って行われるのであるが、その詳細については後述する。
 保持層50を構成する材料としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)、アルミニウム(Al)あるいはこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、より酸化されにくい白金または金で保持層50を構成することが望ましい。また、本実施の形態の保持層50は、上述した貴金属および金属あるいはこれらの合金の多結晶体で構成することができる。
 保持層50の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。保持層50の厚さが10nm未満であると、リチウムを保持する能力が不十分となる。一方、保持層50の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、保持層50の厚さを40μm超としてもかまわない。
 さらに、保持層50の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。そして、多孔質化した保持層50の製造方法としては、後述するような、充電と放電とを行う手法を採用することが望ましい。
(拡散防止層)
 非晶質金属層の一例としての拡散防止層60は、電子伝導性を示す固体薄膜であって、保持層50に保持されたリチウムイオンの、リチウムイオン二次電池1の外部への拡散を抑制するためのものである。
 拡散防止層60としては、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されたものを用いることができる。また、拡散防止層60は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることが好ましく、これらの中でも、耐腐食性の観点から、クロム(Cr)単体またはクロムを含む合金であることが好ましい。なお、拡散防止層60は、構成材料が異なる非晶質層を、複数積層して構成する(例えば非晶質クロム層および非晶質クロムチタン合金層の積層構造とする)こともできる。また、本実施の形態における「非晶質構造」には、全体が非晶質構造を有しているものはもちろんのこと、非晶質構造中に微結晶が析出しているものも含まれる。
 なお、拡散防止層60に用いることが可能な金属(合金)としては、CrTi以外に、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、AlTi、FeSiB、AuSi等を挙げることができる。
 拡散防止層60の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。拡散防止層60の厚さが10nm未満であると、固体電解質層40側から保持層50を通過してきたリチウムを、拡散防止層60でせき止めにくくなる。一方、拡散防止層60の厚さが40μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
 さらに、拡散防止層60の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。特に、拡散防止層60を、上述したクロムチタン合金で構成する場合、スパッタ法を採用すると、クロムチタン合金が非晶質化しやすい。
(負極集電体層)
 負極集電体層70は、電子伝導性を示す固体薄膜であって、保持層50への集電を行う機能を備えるものである。ここで、負極集電体層70を構成する材料は、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、各種金属や、各種金属の合金を含む導電性材料を用いることができる。ただし、拡散防止層60の腐食を抑制するという観点からすれば、化学的に安定した材料を用いることが好ましく、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)または金(Au)あるいはこれらの合金で構成することが好ましい。
 負極集電体層70の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。負極集電体層70の厚さが5nm未満であると、耐腐食性および集電機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、負極集電体層70の厚さが50μmを超えると、電池の内部抵抗が高くなり、高速での充放電には不利である。
 また、負極集電体層70の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(空隙部)
 図3は、図1に示すリチウムイオン二次電池1に設けられる空隙部90を説明するための図である。ここで、図3は、空隙部90および空隙部90の背後に位置する保持層50を、図1における上側からみた上面図を示している。以下では、図1および図2に加えて図3も参照しつつ、空隙部90の説明を行う。
 この例において、複数の空隙部90は、上述した、基板10の表面11における表面中央部111の凹凸に対応した位置関係を有している。より具体的に説明すると、各空隙部90は、表面中央部111に設けられた複数の凸部111bのそれぞれに対応した位置にある。したがって、リチウムイオン二次電池1を、図1における上側からみたときに、基板10の表面中央部111に設けられた複数の凸部111bと、保持層50と拡散防止層60との間に設けられた複数の空隙部90とは、重なる位置関係にある。それゆえ、この例では、複数の凸部111bに倣って、9行×9列=81個の空隙部90が、保持層50と拡散防止層60との間に、規則的に配置されている。また、この例において、複数の空隙部90は、上方からみたときに、保持層50(拡散保持層60および負極集電体層70も同様)の周縁よりも内側に位置している。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
 では、上述したリチウムイオン二次電池1の製造方法について説明を行う。
 図4は、本実施の形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法を説明するためのフローチャートである。
(基板準備工程)
 まず、表面11における表面中央部111に、格子状の平坦部111aと複数の凸部111bとを設けた基板10を準備する、基板準備工程を実行する(ステップ10)。
(下地層形成工程)
 そして、図示しないスパッタ装置に基板10を装着し、基板10の表面11上に下地層20を形成する下地層形成工程を実行する(ステップ20)。
(正極層形成工程)
 次に、上記スパッタ装置にて、下地層20上に正極層30を形成する正極層形成工程を実行する(ステップ30)。
 なお、正極層30として合材正極を用いる場合、正極活物質と無機固体電解質とを含むスパッタリングターゲットを用いたスパッタを行ってもよいし、正極活物質を含むスパッタリングターゲットと無機固体電解質を含む他のスパッタリングターゲットとを用いたコスパッタを行ってもよい。
(固体電解質層形成工程)
 続いて、上記スパッタ装置にて、正極層30上に固体電解質層40を形成する固体電解質層形成工程を実行する(ステップ40)。ここで、ステップ40の固体電解質層形成工程では、正極層30上に第1固体電解質層41を形成する第1固体電解質層形成工程を実行し(ステップ41)、第1固体電解質層41上に第2固体電解質層42を形成する第2固体電解質層形成工程を実行する(ステップ42)。
 なお、第1固体電解質層41としてLi3PO4を用い、第2固体電解質層42としてLiPONを用いる場合、リチウム、リンおよび酸素を含むスパッタリングターゲットを用い、最初は窒素を含まない雰囲気下で第1固体電解質層41の形成を行い、続いて、窒素を含む雰囲気下で第2固体電解質層42の形成を行うことが好ましい。
(保持層形成工程)
 次いで、上記スパッタ装置にて、固体電解質層40の第2固体電解質層42上に保持層50を形成する保持層形成工程を実行する(ステップ50)。なお、本実施の形態では、ステップ50の保持層形成工程が、金属層形成工程に対応している。
(拡散防止層形成工程)
 それから、上記スパッタ装置にて、保持層50上に拡散防止層60を形成する拡散防止層形成工程を実行する(ステップ60)。なお、本実施の形態では、ステップ60の拡散防止層形成工程が、非晶質金属層形成工程に対応している。
(負極集電体層形成工程)
 そして、上記スパッタ装置にて、拡散防止層60上に負極集電体層70を形成する負極集電体層形成工程を実行する(ステップ70)。
 これらステップ10~70を実行することにより、リチウムイオン二次電池1の基本構造体が得られる。そして、このリチウムイオン二次電池1の基本構造体を、スパッタ装置から取り外す。
(初回充電工程)
 続いて、スパッタ装置から取り外したリチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、1回目の充電を行わせる初回充電工程を実行する(ステップ80)。なお、本実施の形態では、ステップ80の初回充電工程が、析出部形成工程に対応している。
(初回放電工程)
 それから、充電がなされたリチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、1回目の放電を行わせる初回放電工程を実行する(ステップ90)。これら初回充電と初回放電とにより、保持層50の多孔質化すなわち多孔質部および多数の空孔の形成が行われる。また、これら初回充電と初回放電とにより、保持層50と拡散防止層60との境界部に複数の空隙部90の形成が行われる。さらに、複数の空隙部90の形成に伴って、拡散防止層60および負極集電体層70には変形(凹凸の形成)が生じる。その結果、図1に示すリチウムイオン二次電池1が得られる。
[空隙部の形成]
 では、上述した空隙部90の形成について、より詳細な説明を行う。
 図5は、負極集電体層形成工程(ステップ70)終了後且つ初回充電工程(ステップ80)開始前の、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。また、図6は、初回充電工程(ステップ80)終了後且つ初回放電工程(ステップ90)開始前の、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。なお、図1は、上述したように、初回放電工程(ステップ90)終了後の、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図となっている。以下では、図5、図6および図1を参照しつつ、リチウムイオン二次電池1における空隙部90の形成手順、換言すれば、充放電に伴うリチウムイオン二次電池1の製造手順について説明を行う。
(成膜後且つ初回充電前)
 まず、図5に示す「成膜後且つ初回充電前」の状態では、保持層50が緻密化している。また、保持層50と拡散防止層60との間には、空隙部90が形成されておらず、保持層50と拡散防止層60とが密着している。このため、保持層50と拡散防止層60との境界部における保持層50および拡散防止層60の各境界面は、ほぼ平坦となっている。また、これに伴い、拡散防止層60と負極集電体層70との境界部における拡散防止層60および負極集電体層70の各境界面は、それぞれほぼ平坦となっており、負極集電体層70の上面(露出面)も、ほぼ平坦となっている。
 そして、図5に示す「成膜後且つ初回充電前」の状態において、保持層50の厚さは保持層厚さt50であり、拡散防止層60の厚さは拡散防止層厚さt60であり、負極集電体層70の厚さは負極集電体層厚さt70である。
(初回充電後且つ初回放電前)
 図5に示すリチウムイオン二次電池1を充電(初回充電)する場合、基板10には直流電源の正の電極が、負極集電体層70には直流電源の負の電極が、それぞれ接続される。すると、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオン(Li+)が、正極層30から固体電解質層40を介して保持層50へと移動する。すなわち、充電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池1の厚さ方向(図5において上方向)に移動する。
 このとき、正極層30側から保持層50側に移動してきたリチウムイオンの一部は、保持層50を構成する金属と合金化する。例えば保持層50を白金(Pt)で構成した場合、保持層50では、リチウムと白金とが合金化(固溶体化、金属間化合物の形成あるいは共晶化)する。
 また、保持層50内に入り込んできたリチウムイオンの一部は、保持層50を通過して拡散防止層60との境界部に到達する。ここで、本実施の形態の拡散防止層60は、非晶質構造を有する、金属または合金で構成されており、多結晶構造を有する保持層50と比べて、粒界の数が著しく少なくなっている。このため、保持層50と拡散防止層60との境界部に到達したリチウムイオンは、拡散防止層60に入り込みにくくなることから、保持層50内に保持された状態を維持する。また、保持層50と拡散防止層60との境界部に到達したリチウムイオンの一部は、保持層50と合金化することなく、金属リチウムとして析出する。
 そして、図6に示す「初回充電後且つ初回放電前」の状態において、正極層30から保持層50に移動してきたリチウムイオンの一部は、合金化に伴って保持層50内に保持される。また、正極層30から保持層50に移動してきたリチウムイオンの一部は、保持層50と拡散防止層60との境界部において、自身が金属リチウムとして析出することにより、負極層の一例としての複数の析出部80を形成する。
 ここで、本実施の形態では、正極集電体(層)として機能する基板10と、負極集電体層70とともに実質的な負極集電体(層)として機能する拡散防止層60との間に、充電動作に伴って電界が作用する。このとき、基板10の表面11のうち、表面中央部111に設けられた平坦部111aと複数の凸部111bとでは、保持層50と拡散防止層60との境界部に対する距離が異なる。より具体的に説明すると、平坦部111aと比べて、複数の凸部111bの方が、保持層50と拡散防止層60との境界部に対する距離が近くなる。このため、保持層50と拡散防止層60との境界部のうち、複数の凸部111bの直上となる部位には、平坦部111aの直上となる部位に比べて、かかる電界がより大きくなる。それゆえ、保持層50と拡散防止層60との境界部には、電界が集中する部位と集中しない部位とが生じ、電界が集中する部位すなわち各凸部111bの直上となる部位に、析出部80が形成されることになる。その結果、析出部80の配置パターンには、基板10の表面11に設けられた表面中央部111の凹凸形状(凸部111bの形成パターン)が反映される。
 また、図6に示す「初回充電後且つ初回放電前」の状態において、保持層厚さt50は、図5に示す「成膜後且つ初回充電前」の状態よりも増加する。すなわち、保持層50の体積は、初回充電によって増加する。これは、保持層50において、リチウムと白金とが合金化することに起因しているものと考えられる。これに対し、拡散防止層厚さt60は、初回充電の前後でほぼ変わらない。すなわち、拡散防止層60の体積は、初回充電によってほぼ変わらない。これは、拡散防止層60に、リチウムが入り込みにくいことに起因するものと考えられる。そして、このことは、負極集電体層厚さt70が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと、すなわち、負極集電体層70の体積が、初回充電の前後でほぼ変わらないこと(負極集電体層70を構成する白金が、保持層50を構成する白金のように膨張しておらず、緻密なままであること)によって裏付けられるものと考えられる。
 そして、図6に示す「初回充電後且つ初回放電前」の状態では、保持層50と拡散防止層60との間に複数の析出部80が形成されることに伴い、保持層50と拡散防止層60とが密着している部位と、密着していない部位(析出部80を介して対峙する部位)とが生じる。このとき、保持層50と拡散防止層60との境界部では、保持層50の境界面がほぼ平坦な状態を維持するのに対し、拡散防止層60の境界面には、各析出部80に対応する凹部が生じる。また、これに伴い、拡散防止層60と負極集電体層70との境界部における拡散防止層60および負極集電体層70の各境界面には、析出部80に応じた凹凸が生じ、負極集電体層70の上面(露出面)にも、析出部80に応じた凹凸が生じる。
 また、図6に示す「初回充電後且つ初回放電前」の状態では、複数の析出部80が、基板10の表面11における表面中央部111の直上に形成される一方、基板10における表面周縁部112の直上には形成されない。これは、基板10における表面周縁部112が、略平坦な面で構成されているために、保持層50と拡散防止層60との境界部のうち表面周縁部112の直上となる領域では、上述したような電界の集中が生じ難くなるためである。
(初回放電後)
 図6に示すリチウムイオン二次電池1を放電(初回放電)する場合、基板10には負荷の正の電極が、負極集電体層70には負荷の負の電極が、それぞれ接続される。すると、保持層50および析出部80に存在するリチウムイオンが、固体電解質層40を介して正極層30へと移動する。すなわち、放電動作において、リチウムイオンはリチウムイオン二次電池1の厚さ方向(図6において下方向)に移動し、正極層30に保持される。これに伴って、負荷には電流が供給される。
 このとき、保持層50では、リチウムが離脱することに伴い、リチウムと白金との脱合金化が行われる。そして、保持層50で脱合金化が行われた結果、保持層50が多孔質化され、多数の空孔(図示せず)が形成された多孔質部となる。このようにして得られる多孔質部は、ほぼ金属(例えば白金)で構成されることになる。ただし、初回放電が終了した状態において、保持層50の内部でリチウムは完全に消失するわけではなく、放電動作による移動を行わない一部のリチウムが残存する。
 また、このとき、析出部80でも、リチウムの離脱が行われる。そして、析出部80からリチウムが離脱した結果、析出部80が空孔化され、図1に示す空隙部90が形成されることになる。ただし、初回放電が終了した状態において、空隙部90の内部でリチウムは完全に消失するわけではなく、放電動作による移動を行わない一部のリチウムが残存する。
 ここで、図1に示す「初回放電後」の状態において、保持層厚さt50は、図6に示す「初回充電後且つ初回放電前」の状態よりも減少する。これは、保持層50において、リチウムと白金との合金の脱合金化が行われることに起因するものと考えられる。そして、このことは、初回放電によって保持層50内に形成される空孔(図示せず)の形状が、面方向に比べて厚さ方向が小さくなるように扁平化していることによって裏付けられる。また、図1に示す「初回放電後」のリチウムイオン二次電池1では、保持層厚さt50が、図5に示す「成膜後且つ初回充電前」の状態よりも増加する。これは、初回充電および初回放電によって保持層50が多孔質化されること、すなわち、保持層50内に多数の空孔が形成されることに起因するものと考えられる。なお、これに対し、拡散防止層厚さt60および負極集電体層厚さt70は、初回放電の前後でもほぼ変わらない。
 そして、図1に示す「初回放電後」の状態では、保持層50と拡散防止層60との間に、複数の析出部80に対応した複数の空隙部90が形成されることに伴い、保持層50と拡散防止層60とが密着している部位と、密着していない部位とが生じる。すなわち、放電動作に伴って、保持層50と拡散防止層60との間に存在していた複数の析出部80は、それぞれが空隙部90へと変化する。このとき、各空隙部90の高さ(厚さ方向)は、各析出部80の高さ(厚さ方向)よりも縮む。
 また、図1に示す「初回放電後」の状態では、複数の空隙部90が、基板10の表面11における表面中央部111の直上に形成される一方、基板10における表面周縁部112の直上には形成されない。これは、各空隙部90が、各析出部80が存在していた位置に形成されるためである。
[まとめ]
 以上説明したように、本実施の形態では、薄膜型全固体型のリチウムイオン二次電池1における保持層50と拡散防止層60との間に、充電に伴って複数の析出部80からなる負極層を形成するとともに、放電に伴ってこれら複数の析出部80を複数の空隙部90へと変化させるようにした。これにより、複数の析出部80(複数の空隙部90)が形成されていない領域については、充放電にかかわらず、保持層50と拡散防止層60とを密着させておくことができる。このため、例えば保持層50と拡散防止層60との間に、充電に伴って一様な負極層が形成されることにより、保持層50と拡散防止層60とが離隔してしまう場合と比較して、保持層50と拡散防止層60との密着力の低下を抑制することができる。その結果、充放電に伴う、保持層50と拡散防止層60との分離(剥がれ)を抑制することができる。
 また、本実施の形態では、薄膜型全固体型のリチウムイオン二次電池1を構成する各層(下地層20乃至負極集電体層70)を積層するための土台となる基板10の表面11に、予め凹凸を設けておくようにした。これにより、充放電動作に伴って形成される複数の析出部80(複数の空隙部90)の配置パターンに、基板10の表面11に存在する凹凸形状を反映させることができる。すなわち、基板10から複数の層を介して配置される保持層50と拡散防止層60との間に形成される複数の析出部80(複数の空隙部90)を、より容易に形成することができる。
 さらに、本実施の形態では、基板10の表面11に、凹凸を有する表面中央部111と凹凸を有しない表面周縁部112とを設け、この表面11の上に、薄膜型全固体型のリチウムイオン二次電池1を構成する各層を積層するようにした。これにより、表面周縁部112の上方となる部位では、表面中央部111の上方となる部位に比べて、析出部80(空隙部90)を形成しにくくすることができる。その結果、リチウムイオン二次電池1を充放電する際に、リチウムイオン二次電池1の側面からリチウムが漏れ出すという事態の発生を抑制することができる。
[その他]
 なお、本実施の形態では、基板10の表面11において、表面中央部111における平坦部111aと表面周縁部112とを、略同じ高さに設定していたが、これに限られるものではなく、両者の高さが異なっていてもかまわない。
 また、本実施の形態では、図1に示す初回放電後のリチウムイオン二次電池1だけでなく、図5に示す成膜後且つ初回充電前のリチウムイオン二次電池1、あるいは、図6に示す初回充電後且つ初回放電前のリチウムイオン二次電池1についても、それぞれの状態での販売等が可能である。
[リチウムイオン二次電池の構成例]
 以下、本発明者が行った実験および評価について説明を行う。
 表1は、実験および評価で使用した、実験例のリチウムイオン二次電池1の具体的な構成例を示している。
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 基板10には、ステンレス合金の一種であるSUS316Lを用いた。
 基板10は、以下の手順によって製造した。まず、圧延法によって、SUS316Lからなる合金板を製造し、この合金板を切断することによって基板10の基材を得た。このようにして得られた基材の一方の面(表面11となる側)の全面に、一般的な機械研磨を施した。そして、機械研磨が施された表面11のうち、表面中央部111となる部位にマスキングを施した状態で、表面周縁部112となる部位にCMP法等を用いた精密研磨処理を施し、その後マスキングを取り外した。以上の手順により、ほぼ平坦な表面周縁部112と不規則な凸部111bが複数形成された表面中央部111とが、表面11に設けられた基板10を得た。
 また、基板10の大きさは12mm×12mmとし、基板10の厚さは0.1mmとした。また、基板10の表面11における表面中央部111の大きさは4mm×4mmとした。
 下地層20には、スパッタ法で形成されたLiNiO2を用いた。下地層20の厚さは200nmとした。
 正極層30には、スパッタ法で形成されたLiNiO2およびLi3PO4を用いた。すなわち、正極層30は合材正極とした。正極層30の厚さは1000nmとした。そして、正極層30におけるLiNiO2とLi3PO4との比率(モル比)は73:27とした。
 ここで、下地層20および正極層30の大きさは6mm×6mmとした。
 固体電解質層40を構成する第1固体電解質層41には、スパッタ法で形成されたLi3PO4を用いた。第1固体電解質層41の厚さは20nmとした。
 固体電解質層40を構成する第2固体電解質層42には、スパッタ法で形成されたLiPONを用いた。第2固体電解質層42の厚さは980nmとした。したがって、固体電解質層40の全体の厚さは1000nmとした。
 ここで、固体電解質層40の大きさは10mm×10mmとした。
 保持層50には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。保持層50の厚さは410nmとした。
 拡散防止層60には、スパッタ法で形成されたCrTiを用いた。拡散防止層60の厚さは50nmとした。
 負極集電体層70には、スパッタ法で形成されたPtを用いた。負極集電体層70の厚さは100nmとした。
 ここで、保持層50、拡散防止層60および負極集電体層70の大きさは8mm×8mmとした。
 このようにして得られたリチウムイオン二次電池1の基本構造体に対し、初回充放電動作を行うことにより、実験例のリチウムイオン二次電池1を得た。なお、初回充放電を行わせることにより、保持層50の厚さは、それぞれの初期値よりも増加した。また、初回充放電を行わせることにより、保持層50と拡散防止層60との間に、複数の空隙部90を形成した。
 図7は、実験例のリチウムイオン二次電池1を、図1における上側から撮影した光学顕微鏡写真を示している。ここで、図7(a)は、負極集電体層形成工程(ステップ70)終了後且つ初回充電工程(ステップ80)開始前のリチウムイオン二次電池1における、基板10の表面周縁部112の直上となる部位を、負極集電体層70側から撮影した光学顕微鏡写真である。また、図7(b)は、負極集電体層形成工程(ステップ70)終了後且つ初回充電工程(ステップ80)開始前のリチウムイオン二次電池1における、基板10の表面中央部111の直上となる部位を、負極集電体層70側から撮影した光学顕微鏡写真である。これに対し、図7(c)は、初回放電工程(ステップ90)終了後のリチウムイオン二次電池1における、基板10の表面中央部111の直上となる部位を、負極集電体層70側から撮影した光学顕微鏡写真である。
 図7(a)に示すように、「成膜後且つ初回充電前」の状態において、負極集電体層70のうち、基板10の表面周縁部112の直上となる部位は、略平坦となっていることがわかる。また、図7(b)に示すように、「成膜後且つ初回充電前」の状態において、負極集電体層70のうち、基板10の表面中央部111の直上となる部位も、略平坦となっていることがわかる。
 一方、図7(c)に示すように、「初回充放電後」の状態において、負極集電体層70のうち、基板10の表面中央部111の直上となる部位には、凹凸が形成されていることがわかる。なお、「初回充放電後」の状態において、負極集電体層70のうち、基板10の表面周縁部112の直上となる部位は、図7(a)に示す状態のままであった。したがって、基板10の表面11の凹凸状態(凹凸が設けられた表面中央部111および平坦な表面周縁部112)に応じて、その直上に位置する負極集電体層70の状態に違いが生じていることが理解される。
 図8は、保持層50と拡散防止層60との間に形成される空隙部90を撮影した光学顕微鏡写真および断面STEM写真である。ここで、図8の上段は、初回放電工程(ステップ90)終了後のリチウムイオン二次電池1における、基板10の表面中央部111の直上となる部位を、負極集電体層70側から撮影した光学顕微鏡写真である。なお、図8の上段は、上述した図7(c)の要部を拡大したものとなっている。また、図8の下段は、初回放電工程(ステップ90)終了後のリチウムイオン二次電池1を、側方から撮影した断面STEM写真である。なお、このSTEM写真は、日立ハイテクノロジーズ社製HD-2300型超薄膜評価装置を用いて撮影したものである。
 図8の上段に示す光学顕微鏡写真では、相対的に黒っぽく写っている複数の島状の領域が、それぞれ、空隙部90に対応している。そして、図8の下段に示すSTEM写真からは、空隙部90が、保持層50と拡散防止層60との間に形成されていること、および、空隙部90が存在しない部位では、保持層50と拡散防止層60とが密着していること、がわかる。
1…リチウムイオン二次電池、10…基板、11…表面、12…裏面、20…下地層、30…正極層、40…固体電解質層、41…第1固体電解質層、42…第2固体電解質層、50…保持層、60…拡散防止層、70…負極集電体層、80…析出部、90…空隙部、111…表面中央部、111a…平坦部、111b…凸部、112…表面周縁部

Claims (16)

  1.  表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、
     正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、
     リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、
     負極活物質を含む負極層と、
     電子伝導性を示す負極集電体層と
    を順に有し、
     前記正極集電体層の前記表面における中央側に位置する中央部は、当該中央部の周縁側に位置する周縁部よりも、凹凸の高低差が大きいこと
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2.  前記負極層は、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じてリチウムが析出した、複数の析出部によって構成されることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3.  前記固体電解質層と前記負極層との間に設けられ、リチウムと合金化する金属層をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン二次電池。
  4.  前記金属層は、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金で構成されることを特徴とする請求項3記載のリチウムイオン二次電池。
  5.  前記負極集電体層は、非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
  6.  前記非晶質金属層は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属または合金で構成されることを特徴とする請求項5記載のリチウムイオン二次電池。
  7.  前記正極集電体層が、ステンレスまたは前記表面にNiPめっきが施された金属材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
  8.  表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、
     正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、
     リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、
     電子伝導性を示す負極集電体層と
    を順に有し、
     前記固体電解質層と前記負極集電体層との間には、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じてリチウムが析出した、複数の析出部が設けられていること
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  9.  複数の前記析出部は、前記正極集電体層の前記表面のうち、前記負極集電体層に向かって突出する凸部に対峙していることを特徴とする請求項8記載のリチウムイオン二次電池。
  10.  表面および裏面を有し且つ電子伝導性を示す正極集電体層と、
     正極活物質を含み且つ前記正極集電体層の前記表面側に設けられる正極層と、
     リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、
     電子伝導性を示す負極集電体層と
    を順に有し、
     前記固体電解質層と前記負極集電体層との間には、前記正極集電体層における前記表面の凹凸形状に応じて空隙が形成された、複数の空隙部が設けられていること
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  11.  複数の前記空隙部は、前記正極集電体層の前記表面のうち、前記負極集電体層に向かって突出する凸部に対峙していることを特徴とする請求項10記載のリチウムイオン二次電池。
  12.  電子伝導性を示す正極集電体層と、
     正極活物質を含む正極層と、
     リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、
     リチウムを保持可能な保持層と、
     非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層と
    を順に有し、
     前記保持層と前記非晶質金属層との間には、リチウムが析出した複数の析出部が設けられていること
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  13.  電子伝導性を示す正極集電体層と、
     正極活物質を含む正極層と、
     リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層と、
     リチウムを保持可能な保持層と、
     非晶質構造を有する金属または合金で構成される非晶質金属層と
    を順に有し、
     前記保持層と前記非晶質金属層との間には、複数の空隙部が設けられていること
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
  14.  表面の中央側に位置する中央部を、当該中央部の周縁側に位置する周縁部よりも、凹凸の高低差を大きくした正極集電体層の当該表面側に、正極活物質を含む正極層を形成する正極層形成工程と、
     前記正極層側に、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、
     前記固体電解質層側に、リチウムと合金化する金属層を形成する金属層形成工程と、
     前記金属層側に、非晶質構造を有する金属または合金からなる非晶質金属層を形成する非晶質金属層形成工程と、
     前記正極層、前記固体電解質層、前記金属層および前記非晶質金属層を含む積層体に対し、当該正極層から当該固体電解質層を介して当該金属層側にリチウムイオンを移動させることで充電を行うとともに、当該金属層と当該非晶質金属層との間に、リチウムが析出した複数の析出部を形成する析出部形成工程と
    を有するリチウムイオン二次電池の製造方法。
  15.  充電された前記積層体に対し、前記金属層および複数の前記析出部から前記固体電解質層を介して前記正極層にリチウムイオンを移動させることで放電を行うとともに、複数の当該析出部を空孔化することで複数の空隙部を形成する空隙部形成工程と
    をさらに有することを特徴とする請求項14記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  16.  前記金属層形成工程では、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、金(Au)またはアルミニウム(Al)あるいはこれらの合金からなる前記金属層を形成し、
     前記非晶質金属層形成工程では、ZrCuAlNiPdP、CuZr、FeZr、TiZr、CoZrNb、NiNb、NiTiNb、NiP、CuP、NiPCu、NiTi、CrTi、AlTi、FeSiB、AuSiのいずれかからなる前記非晶質金属層を形成すること
    を特徴とする請求項14または15記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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