JP2019040674A - リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の正極 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池における正極の比容量を増加させる。【解決手段】リチウムイオン二次電池1は、基板10と、基板10上に積層される正極集電体層20と、正極集電体層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される無機固体電解質層40と、無機固体電解質層40上に積層される負極層50と、負極層50上に積層される負極集電体層60とを備えており、正極層30は、無機固体電解質を含み且つ非晶質化している固体電解質領域31と、正極活物質を含み且つ結晶化している正極領域32とが混在した状態となっている。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池の正極に関する。
携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する、小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、リチウムイオン伝導性を示し且つ正極および負極の間に配置される電解質とを有している。
従来のリチウムイオン二次電池では、電解質として有機電解液等が用いられてきた。これに対し、電解質として無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を用いるとともに、正極としてLixNiyPOz(0<x<8.0、2.0≦y≦10、zはNi、Pの比に応じて酸素が安定に含まれる比)の組成比を有するリチウムリン酸化合物を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
ここで、リチウムイオン二次電池には、さらに、より少ない体積でより多くの容量を確保することが求められている。特に、放電時にリチウムイオンを吸蔵する正極には、より多くのリチウムイオンを吸蔵させたいという要請がある。
本発明は、リチウムイオン二次電池における正極の比容量を増加させることを目的とする。
本発明は、リチウムイオン二次電池における正極の比容量を増加させることを目的とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン伝導性を示す固体電解質を含む固体電解質層と、LiaMbOc(Mは遷移金属、a≠0、b≠0、c≠0)を含む正極活物質と、LixPyOz(x≠0、y≠0、z≠0)を含む無機固体電解質とが混在し、前記固体電解質層と対峙して設けられる正極層とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記正極層では、前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とすることができる。
また、前記正極層では、前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とすることができる。
さらに、前記正極層では、前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とすることができる。
さらにまた、前記固体電解質層を構成する前記固体電解質は、前記正極層を構成する前記無機固体電解質と同じ元素を含んでいることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、LiaMbOc(Mは遷移金属、a≠0、b≠0、c≠0)を含む正極活物質と、LixPyOz(x≠0、y≠0、z≠0)を含む無機固体電解質とが混在している。
このようなリチウムイオン二次電池の正極において、前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とすることができる。
また、前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とすることができる。
さらに、前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、結晶化している結晶部と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含み、非晶質化している非晶質部とを有している。
さらに、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む母材と、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、前記母材に分散される粒子とを有している。
このようなリチウムイオン二次電池において、前記正極層では、前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とすることができる。
また、前記正極層では、前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とすることができる。
さらに、前記正極層では、前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とすることができる。
さらにまた、前記固体電解質層を構成する前記固体電解質は、前記正極層を構成する前記無機固体電解質と同じ元素を含んでいることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、LiaMbOc(Mは遷移金属、a≠0、b≠0、c≠0)を含む正極活物質と、LixPyOz(x≠0、y≠0、z≠0)を含む無機固体電解質とが混在している。
このようなリチウムイオン二次電池の正極において、前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とすることができる。
また、前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とすることができる。
さらに、前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、結晶化している結晶部と、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含み、非晶質化している非晶質部とを有している。
さらに、他の観点から捉えると、本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む母材と、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、前記母材に分散される粒子とを有している。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池における正極の比容量を増加させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
[リチウムイオン二次電池の構成]
図1は、実施の形態が適用されるリチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。
このリチウムイオン二次電池1は、基板10と、基板10上に積層される正極集電体層20と、正極集電体層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される無機固体電解質層40と、無機固体電解質層40上に積層される負極層50と、負極層50上に積層される負極集電体層60とを備えている。
図1は、実施の形態が適用されるリチウムイオン二次電池1の断面構成を示す図である。
このリチウムイオン二次電池1は、基板10と、基板10上に積層される正極集電体層20と、正極集電体層20上に積層される正極層30と、正極層30上に積層される無機固体電解質層40と、無機固体電解質層40上に積層される負極層50と、負極層50上に積層される負極集電体層60とを備えている。
次に、本実施の形態のリチウムイオン二次電池1の各構成要素について、より詳細な説明を行う。
(基板)
基板10としては、特に限定されず、金属、ガラス、セラミックスおよび樹脂など、各種材料で構成されたものを用いることができる。
(基板)
基板10としては、特に限定されず、金属、ガラス、セラミックスおよび樹脂など、各種材料で構成されたものを用いることができる。
本実施の形態では、樹脂製の基板10を用いている。ここで、基板10として使用することが可能な材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)等を挙げることができる。なお、基板10については、吸湿性が低く耐湿性を有する材料を採用することが望ましい。
(正極集電体層)
正極集電体層20は、固体薄膜であって、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)などの金属や、これらの合金を含む導電性材料を用いることができる。
正極集電体層20は、固体薄膜であって、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)などの金属や、これらの合金を含む導電性材料を用いることができる。
正極集電体層20の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。正極集電体層20の厚さが5nm未満であると、集電機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、正極集電体層20の厚さが50μmを超えると、電気的特性が大きく変わらないのにも関わらず、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。
また、正極集電体層20の製造方法としては、各種PVD(物理蒸着)や各種CVD(化学蒸着)など、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法もしくは真空蒸着法を用いることが望ましい。
(正極層)
正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質と、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)とを含んでいる。したがって、本実施の形態の正極層30は、正極活物質と無機固体電解質とを含む合剤電極で構成されていることになる。ここで、本実施の形態の正極層30は、主として無機固体電解質を含む固体電解質領域31と、主として正極活物質を含む正極領域32とを有している。そして、正極層30内では、固体電解質領域31を構成する無機固体電解質と、正極領域32を構成する正極活物質とが、それぞれを維持した状態で混在している。その結果、正極層30では、一方がマトリックス(母材)となっており、他方がフィラー(粒子)となっている。ここで、正極層30においては、固体電解質領域31をマトリックスとし、正極領域32をフィラーとすることが望ましい。
正極層30は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを放出するとともに放電時にはリチウムイオンを吸蔵する正極活物質と、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)とを含んでいる。したがって、本実施の形態の正極層30は、正極活物質と無機固体電解質とを含む合剤電極で構成されていることになる。ここで、本実施の形態の正極層30は、主として無機固体電解質を含む固体電解質領域31と、主として正極活物質を含む正極領域32とを有している。そして、正極層30内では、固体電解質領域31を構成する無機固体電解質と、正極領域32を構成する正極活物質とが、それぞれを維持した状態で混在している。その結果、正極層30では、一方がマトリックス(母材)となっており、他方がフィラー(粒子)となっている。ここで、正極層30においては、固体電解質領域31をマトリックスとし、正極領域32をフィラーとすることが望ましい。
正極層30の厚さは、例えば10nm以上100μm以下とすることができる。正極層30の厚さが10nm未満であると、得られるリチウムイオン二次電池1の容量が小さくなりすぎ、実用的ではなくなる。一方、正極層30の厚さが100μmを超えると、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、正極層30の厚さを100μm超としてもかまわない。
また、正極層30の作製方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
〔固体電解質領域〕
固体電解質領域31は、無機固体電解質を主として含んでいる。固体電解質領域31を構成する無機固体電解質としては、例えば、リチウムリン酸化物(LixPyOz:x≠0、y≠0、z≠0)で構成されたものを用いることができる。
固体電解質領域31は、無機固体電解質を主として含んでいる。固体電解質領域31を構成する無機固体電解質としては、例えば、リチウムリン酸化物(LixPyOz:x≠0、y≠0、z≠0)で構成されたものを用いることができる。
また、固体電解質領域31は、結晶構造を持つものであっても、非晶質構造を持つものであってもかまわないが、Liイオン伝導性が高くなるという点で、非晶質構造を持つこと(非晶質化していること)が好ましい。
〔正極領域〕
正極領域32は、正極活物質を主として含んでいる。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、リチウム(Li)と、各種遷移金属から選ばれる一種以上の金属(Mと表記する)と、酸素を含む、リチウム遷移金属酸化物(LiaMbOc:a≠0、b≠0、c≠0)で構成されたものを用いることができる。
正極領域32は、正極活物質を主として含んでいる。ここで、正極層30を構成する正極活物質としては、例えば、リチウム(Li)と、各種遷移金属から選ばれる一種以上の金属(Mと表記する)と、酸素を含む、リチウム遷移金属酸化物(LiaMbOc:a≠0、b≠0、c≠0)で構成されたものを用いることができる。
また、正極領域32は、結晶構造を持つものであっても、非晶質構造を持つものであってもかまわないが、吸蔵または離脱するリチウムイオンのポテンシャルが一定であるという点で、結晶構造を持つこと(結晶化していること)が好ましい。
〔固体電解質領域と正極領域との関係〕
ここで、本実施の形態の正極層30では、固体電解質領域31において無機固体電解質が非晶質化しており、正極領域32において正極活物質が結晶化していることが好ましい。
また、本実施の形態の正極層30では、無機固体電解質を含む固体電解質領域31をマトリックス(母材)とし、正極活物質を含む正極領域32をフィラー(粒子)として分散していることが好ましい。
さらに、本実施の形態の正極層30では、例えば固体電解質領域31をリン酸化物(LixPyOz)で、正極領域32をリチウム遷移金属酸化物(LiaMbOc)で構成する場合に、リチウム遷移金属酸化物を、モル比で、リチウムリン酸化物よりも多く含んでいることが好ましい。
ここで、本実施の形態の正極層30では、固体電解質領域31において無機固体電解質が非晶質化しており、正極領域32において正極活物質が結晶化していることが好ましい。
また、本実施の形態の正極層30では、無機固体電解質を含む固体電解質領域31をマトリックス(母材)とし、正極活物質を含む正極領域32をフィラー(粒子)として分散していることが好ましい。
さらに、本実施の形態の正極層30では、例えば固体電解質領域31をリン酸化物(LixPyOz)で、正極領域32をリチウム遷移金属酸化物(LiaMbOc)で構成する場合に、リチウム遷移金属酸化物を、モル比で、リチウムリン酸化物よりも多く含んでいることが好ましい。
(無機固体電解質層)
無機固体電解質層40は、固体薄膜であって、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を含んでいる。無機固体電解質層40を構成する無機固体電解質については、リチウムイオン伝導性を示すものであれば、特に限定されるものではなく、酸化物、窒化物、硫化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。ただし、正極層30と無機固体電解質層40との界面におけるリチウムイオンのポテンシャル障壁を低くするという観点からすれば、無機固体電解質層40を構成する無機固体電解質は、上記正極層30において固体電解質領域31を構成する無機固体電解質と、同じ元素を含んでいることが望ましい。例えば、正極層30の固体電解質領域31をLiPO3で構成した場合に、無機固体電解質層40を、固体電解質領域31と同じLiPO3や、さらに窒素を含むLiPON等で構成する場合が挙げられる。
無機固体電解質層40は、固体薄膜であって、無機材料からなる固体電解質(無機固体電解質)を含んでいる。無機固体電解質層40を構成する無機固体電解質については、リチウムイオン伝導性を示すものであれば、特に限定されるものではなく、酸化物、窒化物、硫化物など、各種材料で構成されたものを用いることができる。ただし、正極層30と無機固体電解質層40との界面におけるリチウムイオンのポテンシャル障壁を低くするという観点からすれば、無機固体電解質層40を構成する無機固体電解質は、上記正極層30において固体電解質領域31を構成する無機固体電解質と、同じ元素を含んでいることが望ましい。例えば、正極層30の固体電解質領域31をLiPO3で構成した場合に、無機固体電解質層40を、固体電解質領域31と同じLiPO3や、さらに窒素を含むLiPON等で構成する場合が挙げられる。
無機固体電解質層40の厚さは、例えば10nm以上10μm以下とすることができる。無機固体電解質層40の厚さが10nm未満であると、得られたリチウムイオン二次電池1において、正極層30と負極層50との間での短絡(リーク)が生じやすくなる。一方、無機固体電解質層40の厚さが10μmを超えると、リチウムイオンの移動距離が長くなり、充放電速度が遅くなる。
また、無機固体電解質層40は、結晶構造を持つものであっても、結晶構造を持たない非晶質であってもかまわないが、熱による膨張および収縮がより等方的になるという点で、非晶質であることが好ましい。
さらに、無機固体電解質層40の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法を用いることが望ましい。
(負極層)
負極層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを吸蔵するとともに放電時にはリチウムイオンを放出する負極活物質を含んでいる。ここで、負極層50を構成する負極活物質としては、例えば、炭素やシリコンを用いることができる。また、負極層50には、各種ドーパントを添加してもよい。
負極層50は、固体薄膜であって、充電時にはリチウムイオンを吸蔵するとともに放電時にはリチウムイオンを放出する負極活物質を含んでいる。ここで、負極層50を構成する負極活物質としては、例えば、炭素やシリコンを用いることができる。また、負極層50には、各種ドーパントを添加してもよい。
負極層50の厚さは、例えば10nm以上40μm以下とすることができる。負極層50の厚さが10nm未満であると、得られるリチウムイオン二次電池1の容量が小さくなりすぎ、実用的ではなくなる。一方、負極層50の厚さが40μmを超えると、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。ただし、リチウムイオン二次電池1に要求される電池容量が大きい場合には、負極層50の厚さを40μm超としてもかまわない。
また、負極層50は、結晶構造を持つものであっても、結晶構造を持たない非晶質であってもかまわないが、リチウムイオンの吸蔵および放出に伴う膨張および収縮がより等方的になるという点で、非晶質であることが好ましい。
さらに、負極層50の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法(スパッタリング)を用いることが望ましい。
(負極集電体層)
負極集電体層60は、固体薄膜であって、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)などの金属や、これらの合金を含む導電性材料を用いることができる。
負極集電体層60は、固体薄膜であって、電子伝導性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)などの金属や、これらの合金を含む導電性材料を用いることができる。
負極集電体層60の厚さは、例えば5nm以上50μm以下とすることができる。負極集電体層60の厚さが5nm未満であると、集電機能が低下し、実用的ではなくなる。一方、負極集電体層60の厚さが50μmを超えると、電気的特性が大きく変わらないのにも関わらず、層形成に時間がかかりすぎるようになってしまい、生産性が低下する。
また、負極集電体層60の製造方法としては、各種PVDや各種CVDなど、公知の成膜手法を用いてかまわないが、生産効率の観点からすれば、スパッタ法(スパッタリング)もしくは真空蒸着法を用いることが望ましい。
[リチウムイオン二次電池の動作]
放電状態にあるリチウムイオン二次電池1を充電する場合、正極集電体層20には直流電源の正極が、負極集電体層60には直流電源の負極が、それぞれ接続される。そして、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオンが、無機固体電解質層40を介して負極層50へと移動し、負極層50で負極活物質に収容される。
放電状態にあるリチウムイオン二次電池1を充電する場合、正極集電体層20には直流電源の正極が、負極集電体層60には直流電源の負極が、それぞれ接続される。そして、正極層30で正極活物質を構成するリチウムイオンが、無機固体電解質層40を介して負極層50へと移動し、負極層50で負極活物質に収容される。
また、充電状態にあるリチウムイオン二次電池1を使用(放電)する場合、正極集電体層20には負荷の正極が、負極集電体層60には負荷の負極が、それぞれ接続される。そして、負極層50で負極活物質に収容されるリチウムイオンが、無機固体電解質層40を介して正極層30へと移動し、正極層30で正極活物質を構成する。これに伴って、負荷には直流電流が供給される。
<その他>
なお、本実施の形態では、基板10と正極層30との間に正極集電体層20を設けていたが、基板10を金属等の導電体で構成する場合には、基板10に正極集電体としての機能を持たせることが可能となるため、正極集電体層20を省略してもかまわない。
なお、本実施の形態では、基板10と正極層30との間に正極集電体層20を設けていたが、基板10を金属等の導電体で構成する場合には、基板10に正極集電体としての機能を持たせることが可能となるため、正極集電体層20を省略してもかまわない。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明者は、正極層30の構成を異ならせて、複数のリチウムイオン二次電池1を作製し、得られたリチウムイオン二次電池1における正極層30の結晶構造および組成と、得られたリチウムイオン二次電池1の比容量に関する評価とを行った。
本発明者は、正極層30の構成を異ならせて、複数のリチウムイオン二次電池1を作製し、得られたリチウムイオン二次電池1における正極層30の結晶構造および組成と、得られたリチウムイオン二次電池1の比容量に関する評価とを行った。
ここで、表1および表2は、実施例1および比較例のそれぞれにおけるリチウムイオン二次電池1の各層の構成を示している。
実施例1では、図1に示す積層構造を有するリチウムイオン二次電池1を用いた。これに対し、比較例では、図1に示す積層構造を有するものの、正極層30の構成が実施例1とは異なるリチウムイオン二次電池1を用いた。なお、実施例1および比較例のそれぞれにおいては、基板10に対し、スパッタ法を用いて、他の各層(正極集電体層20〜負極集電体層60)の積層を行った。
[実施例1]
表1に示す実施例1のリチウムイオン二次電池1の構成は次の通りである。
実施例1では、基板10としてポリカーボネート(PC)を用いた。そして、基板10の厚さは1.1mmとした。
実施例1では、正極集電体層20としてチタン(Ti)を用いた。そして、正極集電体層20の厚さは300nmとした。
実施例1では、正極層30としてLi3PO4を含む固体電解質領域31とLiNiO2を含む正極領域32との混在物(合剤電極)を用いた。そして、正極層30の厚さは175nmとした。ここで、正極層30を形成するためのスパッタリングターゲットにおけるLi3PO4とLiNiO2との比率(モル比)は、Li3PO4:LiNiO2≒1:4とした。
実施例1では、無機固体電解質層40としてLi3PO4における酸素の一部を窒素に置き換えたLiPONを用いた。そして、無機固体電解質層40の厚さは550nmとした。
実施例1では、負極層50としてホウ素(B)が添加されたシリコン(Si)を用いた。なお、表1には、「Si(B)」と表記した(以下同じ。)。そして、負極層50の厚さは200nmとした。
実施例1では、負極集電体層60としてチタン(Ti)を用いた。そして、負極集電体層60の厚さは350nmとした。
表1に示す実施例1のリチウムイオン二次電池1の構成は次の通りである。
実施例1では、基板10としてポリカーボネート(PC)を用いた。そして、基板10の厚さは1.1mmとした。
実施例1では、正極集電体層20としてチタン(Ti)を用いた。そして、正極集電体層20の厚さは300nmとした。
実施例1では、正極層30としてLi3PO4を含む固体電解質領域31とLiNiO2を含む正極領域32との混在物(合剤電極)を用いた。そして、正極層30の厚さは175nmとした。ここで、正極層30を形成するためのスパッタリングターゲットにおけるLi3PO4とLiNiO2との比率(モル比)は、Li3PO4:LiNiO2≒1:4とした。
実施例1では、無機固体電解質層40としてLi3PO4における酸素の一部を窒素に置き換えたLiPONを用いた。そして、無機固体電解質層40の厚さは550nmとした。
実施例1では、負極層50としてホウ素(B)が添加されたシリコン(Si)を用いた。なお、表1には、「Si(B)」と表記した(以下同じ。)。そして、負極層50の厚さは200nmとした。
実施例1では、負極集電体層60としてチタン(Ti)を用いた。そして、負極集電体層60の厚さは350nmとした。
[比較例]
表2に示す比較例のリチウムイオン二次電池1の構成は、正極層30の構成を除けば実施例1と同じである。したがって、基板10、正極集電体層20、無機固体電解質層40、負極層50および負極集電体層60については、詳細な説明を省略する。
表2に示す比較例のリチウムイオン二次電池1の構成は、正極層30の構成を除けば実施例1と同じである。したがって、基板10、正極集電体層20、無機固体電解質層40、負極層50および負極集電体層60については、詳細な説明を省略する。
比較例では、正極層30としてLiNiO2を用いた。すなわち、比較例では、正極層30を、固体電解質領域31を含まない正極領域32単体で構成した。そして、正極層30の厚さは175nmとした。
[リチウムイオン二次電池の評価]
ここでは、実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1を評価するための尺度として、リチウムイオン二次電池1の正極層30の結晶構造および組成と、リチウムイオン二次電池1における正極層30の比容量とを用いた。
ここでは、実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1を評価するための尺度として、リチウムイオン二次電池1の正極層30の結晶構造および組成と、リチウムイオン二次電池1における正極層30の比容量とを用いた。
(結晶構造)
まず、表1を参照しつつ、実施例1のリチウムイオン二次電池1の結晶構造について説明を行う。
実施例1のリチウムイオン二次電池1において、正極集電体層20および負極集電体層60はそれぞれ結晶化していた。また、無機固体電解質層40および負極層50はそれぞれ非晶質化していた。そして、正極層30は結晶化している領域と非晶質化している領域とが混在していた。
まず、表1を参照しつつ、実施例1のリチウムイオン二次電池1の結晶構造について説明を行う。
実施例1のリチウムイオン二次電池1において、正極集電体層20および負極集電体層60はそれぞれ結晶化していた。また、無機固体電解質層40および負極層50はそれぞれ非晶質化していた。そして、正極層30は結晶化している領域と非晶質化している領域とが混在していた。
次に、表2を参照しつつ、比較例のリチウムイオン二次電池1の結晶構造について説明を行う。
比較例のリチウムイオン二次電池1において、正極集電体層20および負極集電体層60はそれぞれ結晶化していた。また、無機固体電解質層40および負極層50はそれぞれ非晶質化していた。そして、正極層30は全体的に結晶化していた。
比較例のリチウムイオン二次電池1において、正極集電体層20および負極集電体層60はそれぞれ結晶化していた。また、無機固体電解質層40および負極層50はそれぞれ非晶質化していた。そして、正極層30は全体的に結晶化していた。
実施例1と比較例とでは、正極層30の結晶構造が異なっていることがわかる。すなわち、実施例1では、正極層30が結晶化している領域と非晶質化している領域との混在物で構成されているのに対し、比較例では、正極層30が結晶化している領域にて構成されている点で相違する。
次に、実施例1のリチウムイオン二次電池1における正極層30の構造について、より具体的に説明を行う。
図2は、実施例1のリチウムイオン二次電池1のTEM(Transmission Electron Microscope)写真および電子線回折写真を示す図である。ここで、図2(a)はTEM写真を示しており、上段は、正極集電体層20、正極層30および無機固体電解質層40の積層状態を、下段は、正極層30における一部領域の拡大状態を、それぞれ示している。また、図2(b)は、図2(a)の上段に示す(b)領域の電子線回折写真を示している。
なお、図2に示す写真は、日立ハイテクノロジーズ社製HF−2200(電界放出形分析電子顕微鏡)を用いて撮影したものである。ここで、TEMでは、組成情報を反映した像を得ることができるという特徴がある。より具体的に説明すると、TEMでは、重い元素が存在する領域は相対的に黒っぽく表示され、軽い元素が存在する領域は相対的に白っぽく表示される。
実施例1の正極層30は、図2(a)の下段に示すように、相対的に白っぽく表示される領域と、相対的に黒っぽく表示される領域とが混在した状態となっている。これは、実施例1の正極層30が、相対的に軽い元素を含む領域すなわち遷移金属を含まない固体電解質領域31と、相対的に重い元素を含む領域すなわち遷移金属を含む正極領域32との混合物で構成されていることを意味する。
また、実施例1の正極層30は、図2(a)の下段に示すように、相対的に白っぽく表示される固体電解質領域31が母材となり、相対的に黒っぽく表示される正極領域32が粒子となって分散した状態となっている。
そして、図2(b)には、ハローパターンと回折スポットとがみられることから、正極層30は、結晶化している領域と非晶質化している領域とが混在していることがわかる。
なお、比較例のリチウムイオン二次電池1のTEM写真を撮影したところ、比較例の正極層30は、実施例1とは異なり、全体的に黒っぽく表示される領域のみで構成されていた。すなわち、比較例の正極層30は、正極領域32のみによって構成されていた。また、比較例のリチウムイオン二次電池1における正極層30(正極領域32)の電子線回折写真を撮影したところ、多くの回折スポットが観察されたことから、比較例の正極層30(正極領域32)は、結晶構造を有していることがわかった。
(比容量)
実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1のそれぞれにおける正極層30に関し、比容量の評価を行った。ここで、正極層30の比容量は、正極活物質の単位質量あたりの容量を意味する。
実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1のそれぞれにおける正極層30に関し、比容量の評価を行った。ここで、正極層30の比容量は、正極活物質の単位質量あたりの容量を意味する。
なお、ここでは、各リチウムイオン二次電池1に対し、充放電特性を測定することで、比容量の評価を行った。充放電特性の測定機器としては、北斗電工株式会社製充放電装置HJ1020mSD8を用いた。
ここで、実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1に対しては、定電流定電圧(CCCV)方式にて充電を行った。このとき、充電終止電圧は4.2Vとした。
また、実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1に対しては、定電流(CC)方式にて放電を行った。このとき、放電終止電圧は0.5Vとした。
また、実施例1および比較例のリチウムイオン二次電池1に対しては、定電流(CC)方式にて放電を行った。このとき、放電終止電圧は0.5Vとした。
実施例1のリチウムイオン二次電池1に対しては、0.8C、1.6Cおよび3.1Cの3条件で充放電を行った。これに対し、比較例のリチウムイオン二次電池1に対しては、0.9C、1.8Cおよび3.6Cの3条件で充放電を行った。なお、ここでいう「C」は、ある公称容量値の容量を有するセルを定電流放電した場合に、1時間で放電終了となる電流値を意味する。例えば、3.5Ahの公称容量値のセルでは1C=3.5Aとなる。なお、以下では、このことを充放電レートと称することがある。
図3は、実施例1および比較例の正極層30の比容量−電圧特性を示す図である。ここで、図3(a)は実施例1の結果を、図3(b)は比較例の結果を、それぞれ示している。なお、図3(a)、(b)のそれぞれにおいて、横軸は正極層30の比容量(mAh/g)であり、縦軸は正極層30の電極電位を意味する電圧(V)である。
図3から明らかなように、実施例1の正極層30は、比較例の正極層30と比べて、比容量が大きくなっていることがわかる。これは、正極活物質(リチウム遷移金属酸化物(LiaMbOc:a≠0、b≠0、c≠0))と無機固体電解質(リチウムリン酸化物(LixPyOz:x≠0、y≠0、z≠0))とが混在した正極層30を用いることが、正極活物質と無機固体電解質とが混在しない正極層30を用いるよりも、比容量の観点からは好ましいことを意味する。
図4は、実施例1および比較例の充放電レートと容量比との関係を示す図である。ここで、図4(a)は、実施例1および比較例の正極層30の、実際の放電容量と理論容量とを示す図である。また、図4(b)は、実施例1および比較例の正極層30の充放電レート−容量比特性を示す図である。なお、図4(b)の縦軸となる容量比は、各正極層30の各放電容量を、それぞれの最小の充放電レートにおける放電容量(実施例1では0.8C、比較例では0.9C)で除した値(放電容量の比率)である。
まず、図4(a)を参照しつつ、実施例1および比較例の正極層30の理論容量について比較を行う。
実施例1では、正極層30の理論容量が319(mAh/g)となった。これに対し、比較例では、正極層30の理論容量が274(mAh/g)となった。このように、比較例の正極層30の理論容量は、実施例1の正極層30の理論容量よりも小さいことになる。
実施例1では、正極層30の理論容量が319(mAh/g)となった。これに対し、比較例では、正極層30の理論容量が274(mAh/g)となった。このように、比較例の正極層30の理論容量は、実施例1の正極層30の理論容量よりも小さいことになる。
次に、図4(a)を参照しつつ、実施例1および比較例の正極層30の実際の放電容量について比較を行う。
実施例1では、充放電レート3.1Cのときの放電容量が315(mAh/g)、充放電レート1.6Cのときの放電容量が318(mAh/g)、充放電レート0.8Cのときの放電容量が322(mAh/g)であった。これに対し、比較例では、充放電レート3.6Cのときの放電容量が191(mAh/g)、充放電レート1.8Cのときの放電容量が201(mAh/g)、充放電レート0.9Cのときの放電容量が224(mAh/g)であった。
実施例1では、充放電レート3.1Cのときの放電容量が315(mAh/g)、充放電レート1.6Cのときの放電容量が318(mAh/g)、充放電レート0.8Cのときの放電容量が322(mAh/g)であった。これに対し、比較例では、充放電レート3.6Cのときの放電容量が191(mAh/g)、充放電レート1.8Cのときの放電容量が201(mAh/g)、充放電レート0.9Cのときの放電容量が224(mAh/g)であった。
続いて、図4(b)を参照しつつ、実施例1および比較例の正極層30の、充放電レートと容量比との関係について説明を行う。
実施例1では、充放電レートの高低に関わらず、容量比が100%に近いレベルで安定していることがわかる。これに対し、比較例では、充放電レートが高くなるほど、容量比が低下していくことがわかる。
実施例1では、充放電レートの高低に関わらず、容量比が100%に近いレベルで安定していることがわかる。これに対し、比較例では、充放電レートが高くなるほど、容量比が低下していくことがわかる。
1…リチウムイオン二次電池、10…基板、20…正極集電体層、30…正極層、31…固体電解質領域、32…正極領域、40…無機固体電解質層、50…負極層、60…負極集電体層
Claims (11)
- リチウムイオン伝導性を示す固体電解質を含む固体電解質層と、
LiaMbOc(Mは遷移金属、a≠0、b≠0、c≠0)を含む正極活物質と、LixPyOz(x≠0、y≠0、z≠0)を含む無機固体電解質とが混在し、前記固体電解質層と対峙して設けられる正極層と
を有するリチウムイオン二次電池。 - 前記正極層では、前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極層では、前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極層では、前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記固体電解質層を構成する前記固体電解質は、前記正極層を構成する前記無機固体電解質と同じ元素を含んでいることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
- LiaMbOc(Mは遷移金属、a≠0、b≠0、c≠0)を含む正極活物質と、
LixPyOz(x≠0、y≠0、z≠0)を含む無機固体電解質と
が混在している、リチウムイオン二次電池の正極。 - 前記正極活物質が結晶化しており、前記無機固体電解質が非晶質化していることを特徴とする請求項6記載のリチウムイオン二次電池の正極。
- 前記無機固体電解質からなる母材に、前記正極活物質からなる粒子が分散していることを特徴とする請求項6または7記載のリチウムイオン二次電池の正極。
- 前記LiaMbOcを、モル比で、前記LixPyOzよりも多く含んでいることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池の正極。
- リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、結晶化している結晶部と、
リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含み、非晶質化している非晶質部と
を有するリチウムイオン二次電池の正極。 - リチウムイオン伝導性を示す無機固体電解質を含む母材と、
リチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含み、前記母材に分散される粒子と
を有するリチウムイオン二次電池の正極。
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