第1の発明は、炭化水素及び窒素化合物を含む原料を水蒸気改質して水素含有ガスを生成する改質器と、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器と、改質器に原料を供給する原料供給器と、改質器に水を供給する水供給器と、CO除去器に酸化ガスを供給する酸化ガス供給器と、改質器を加熱する加熱器と、制御器と、を備え、制御器は、原料供給量の累積量、水供給量の累積量、酸化ガス供給量の累積量、運転時間のうち1つ以上のパラメータが所定条件を満たすと、改質器の温度を、所定条件を満たす前の目標温度である第一設定値から第一設定値より高い
温度に変更させるよう加熱器を制御し、改質器が水素含有ガスを生成している間は酸化ガスの供給を停止しないよう酸化ガス供給器を制御する事を特徴とする、水素生成装置である。
これにより、改質器の水蒸気改質反応が促進されるので、改質器からCO除去器へ供給される水素含有ガス中の水蒸気分圧が低下し、ニトロシルの分解が促進される。
この結果、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができる。これにより、窒素化合物を含む原料を用いて水素含有ガスを生成する際においても、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
第2の発明は、特に第1の発明の水素生成装置において、制御器は、改質器に供給される水の量を、所定の値より増加させないよう、水供給器を制御する事を特徴とする。
これにより、水素含有ガス中の水蒸気をより確実に減少させ酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができるので、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明の水素生成装置において、制御器は、原料供給量の累積量、水供給量の累積量、酸化ガス供給量の累積量、運転時間のうち1つ以上のパラメータが所定の閾値以上になると、改質器の温度を、第一設定値より高い第二設定値に変更するよう加熱器を制御し、改質器から排出される水素含有ガスの水蒸気分圧を通常運転時より下げるよう水供給器、原料供給器を制御する事を特徴とする。
これにより、酸化触媒のアンモニア被毒により、水素含有ガス中の一酸化炭素濃度が許容範囲を超えるまでは、改質器の温度を第一設定値に保持するため、改質器の温度を第一設定値より高い値に変更することによる改質触媒の劣化を抑制しながら、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができ、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
第4の発明は、特に第3の発明の水素生成装置において、制御器は、改質器の温度を、第二設定値に変更した後に、原料供給量の累積量、水供給量の累積量、酸化ガス供給量の累積量、運転時間のうち1つ以上のパラメータが第二の閾値以上になると、改質器の温度を第二設定値より低い第三設定値に変更する事を特徴とする。
これにより、酸化触媒のアンモニア被毒からの回復に対し、必要な効果が得られたのちに、改質器の温度を第二設定値より低い値に変更することで、従来に比べ改質触媒の劣化を抑制可能となる。このため、改質触媒の劣化を抑制しながら、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
第5の発明は、特に第1から4のいずれか一つの発明の水素生成装置において、改質器は、第一改質部と、同じ温度において生成するアンモニア量が第一改質部より少ない第二改質部から構成され、第二改質部の温度を第一設定値より高い温度に変更した際に、第一改質部の温度は第二改質部の温度より低くなるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、改質器の温度を第一設定値より高い温度に変更する際のアンモニア生成量の増加を抑制することができる。このため、酸化触媒のアンモニア被毒からの回復時にCO除去器に供給される水素含有ガス中のアンモニア量を減らすことができるので、より短時間で酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができ、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
第6の発明は、特に、第1から第5のいずれか一つの発明に記載の水素生成装置と、水素生成装置から供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムであることを特徴とする。
これにより、窒素化合物を含む原料を用いて発電を行う際においても、酸化触媒のアンモニア被毒からの回復のための定期的な起動停止を必要とせず、長時間発電を継続することができる。
第7の発明は、炭化水素及び窒素化合物を含む原料を水蒸気改質して水素含有ガスを生成する改質器と、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器と、改質器に原料を供給する原料供給器と、改質器に水を供給する水供給器と、CO除去器に酸化ガスを供給する酸化ガス供給器と、改質器を加熱する加熱器と、を備える水素生成装置の運転方法であって、原料供給量の累積量、水供給量の累積量、酸化ガス供給量の累積量、運転時間のうち1つ以上のパラメータが所定条件を満たすと、改質器の温度を、所定条件を満たす前の目標温度である第一設定値から第一設定値より高い温度に変更し、改質器が水素含有ガスを生成している間は酸化ガスの供給を停止させない事を特徴とする。
これにより、改質器の水蒸気改質反応が促進されるので、改質器からCO除去器へ供給される水素含有ガス中の水蒸気分圧が低下し、ニトロシルの分解が促進される。
この結果、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができる。これにより、窒素化合物を含む原料を用いて水素含有ガスを生成する際においても、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における水素生成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1における水素生成装置350は、原料、及び燃料ガスとして天然ガスを用い、酸化ガスとして空気を用いて水素含有ガスを生成する水素生成装置350であって、天然ガスを改質して水素含有ガスを生成する改質器100と、改質器100の温度を検知する改質器温度検知器50と、改質器100に天然ガスを供給する原料供給器20と、改質器100に水蒸気を供給する蒸発器31と、蒸発器31に水を供給する水供給器30と、改質器100が生成する水素含有ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器150と、CO除去器150に空気を供給する酸化ガス供給器40と、CO除去器150から外部に水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給流路60と、天然ガスを燃焼させて改質器100を加熱する加熱器10と、天然ガスを加熱器10に供給する燃料ガス供給流路70と、水素生成装置350を制御する制御器300と、を備えている。
改質器100は、天然ガス及び水蒸気を用いて、改質反応により水素含有ガスを生成する。改質器100は、ステンレス構造体で構成され、改質反応を進行させる改質触媒が充填される。
本実施の形態では、改質触媒として、アルミナビーズを担体としてルテニウムを担持させたものを用いる。改質器100は、吸熱反応である水蒸気改質反応を進行させるために
加熱が必要であり、本実施の形態では、改質器100に隣接させた加熱器10で天然ガスを燃焼させて改質器100を加熱する方法を用いる。
蒸発器31は、水供給器30より供給された水を蒸発させ、改質器100に水蒸気を供給する。
改質器温度検知器50は、改質器100の温度を検知するものであり、ここでは改質器100の内部に設置された熱電対であって、改質器100の内部の触媒温度を直接測定する。
原料供給器20は、天然ガスを改質器100に供給するものであり、ここでは、流量調節可能なガス用ポンプを用いる。
水供給器30は、水を蒸発器31に供給するものであり、ここでは、流量調節可能な水用ポンプを用いる。
CO除去器150は、酸化反応により改質器100から出た水素含有ガス中の一酸化炭素の濃度を、水素生成装置350の外部に接続された水素利用機器(図示せず)が利用するのに必要な濃度、たとえば10ppm以下まで低減させるものであり、内部に酸化触媒が充填されている。ここでは、酸化触媒として、アルミナビーズを担体としてルテニウムを担持させたものを用いる。
酸化ガス供給器40は、CO除去器150に空気を供給するものであり、ここでは空気を供給するファンを用いる。
水素含有ガス供給流路60は、CO除去器150において一酸化炭素の濃度が低減された水素含有ガスを水素生成装置350の外部に供給する流路である。
燃料ガス供給流路70は、加熱器10に、燃料ガスとして天然ガスを供給する流路である。
加熱器10は、改質器100を加熱するものであり、ここでは、燃料ガス供給流路70から供給される天然ガスを燃料に用いる燃焼器である。
制御器300は、水素生成装置350の運転を制御するものであり、ここでは、信号入出力部(図示せず)と、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えるマイコンであり、計時機能を有する。
以上のように構成された本実施の形態の水素生成装置350について、その動作、作用について説明する。
図2は本発明の実施の形態1における水素生成装置の運転動作を示すフローチャートである。
図2のフローチャートは、制御器300が水素生成装置350の構成要素である、加熱器10、原料供給器20、水供給器30、酸化ガス供給器40を制御・操作することにより実行される。
ここで、水供給器30は、S/Cの設定値と原料供給器20からの天然ガス供給量によって求められる、必要な量の水を蒸発器31に供給する。ここでS/Cは、改質器100
に供給される天然ガス中の炭化水素の炭素原子数と、改質器100に供給される水蒸気中の水分子数との比率である。
酸化ガス供給器40は、改質器温度検知器50で検知した改質器100の温度と、S/Cの設定値と、原料供給器20からの天然ガス供給量を元に、CO除去器150に供給される一酸化炭素の分子数を平衡計算によって求め、一酸化炭素の分子数の2倍の酸素分子を含む空気をCO除去器150に供給する。また、改質器100の温度が変化した場合、改質器100の温度に応じて空気供給量を調節する。
図2において、まず、制御器300は、水素生成装置350の運転開始要求があるか否かを判定する(S11)。そして、運転開始要求が無かったと判定した場合は(S11)の判定を繰り返し実行する。一方、運転開始要求があったと判定した場合には(S12)に移行する。
次に、制御器300は、加熱器10を動作させ、燃料ガス供給流路70を経由して加熱器10に供給された天然ガスを燃焼させて改質器100を加熱する。改質器100の目標温度は第一設定値である630℃とする(S12)。
次に、制御器300は、改質器100の温度が、630℃に到達したか否かを判定する(S13)。そして、改質器100の温度が630℃に到達していないと判定した場合は(S13)の判定を繰り返し実行する。一方、改質器100の温度が630℃に到達したと判定した場合には、(S14)に移行する。
次に、原料供給器20と、水供給器30と、酸化ガス供給器40と、を動作させる(S14)。
次に、制御器300は、原料供給器20と、水供給器30と、酸化ガス供給器40と、を所定の値に調節することで、水素含有ガス生成を開始する。原料供給器20からの天然ガス供給量は3.0L/minとし、S/Cは2.8とする。このとき、水供給器30からの水供給量は、天然ガス供給量とS/Cから求められる必要な水量である、6.75mL/minに設定する。また、制御器300は、酸化ガス供給器40からの空気供給量を0.61L/minに設定する(S15)。
次に、制御器300は、タイマー指示値を0にリセット(t=0)し、計時を開始する(S16)。
次に、制御器300は、加熱器10を調節し、改質器100の温度を変更する。改質器100の目標温度は、(数1)、(数2)に従って、タイマー指示値の変化に応じて変更する。
ここで、aは改質器100の目標温度(℃)、tはタイマー指示値(h)であり、tが60未満の場合は(数1)、tが60以上の場合は(数2)により改質器100の目標温度aが算出され、算出された目標温度に改質器100の温度を変化させるよう、加熱器10を調節する(S17)。
次に、改質器100の温度変化によりCO除去器150に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度の濃度が変化するため、酸化ガス供給器40を調節し、CO除去器150への空気供給量を改質器100の温度に応じて変更する(S18)。
次に、タイマー指示値が65時間に到達したか否かを判定する(S19)。そして、タイマー指示値が65時間に到達するまで(t<65の場合)は(S20)に移行し、タイマー指示値が65時間に到達した場合(t≧65の場合)は(S16)に戻る。
次に、制御器300は、水素生成装置350の運転停止要求が発生したか否かを判定する(S20)。そして、運転停止要求が発生したと判定した場合は、(S21)に移行し、水素生成装置350は運転を停止する。一方、運転停止要求が発生していないと判定した場合は(S17)に戻って、運転を継続する。
以上のように、制御器300は、改質器100の温度を60時間ごとに5時間かけて630℃から680℃に上げ、これを繰り返すという動作を行う。
図3は、本発明の実施の形態1における水素生成装置350の水素生成開始からの運転時間と、CO除去器出口ガス中の一酸化炭素濃度の関係を示す特性図である。
図3に示したように、水素含有ガス供給流路60から外部に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度は、タイマー指示値が60時間に到達するまでは酸化触媒のアンモニア被毒の進行により徐々に増加し、60時間経過時点で約7ppmに到達するが、その後、改質器100の温度上昇に伴い、水素含有ガス中の一酸化炭素濃度は低下し、3ppm前後となる。
その後、タイマー指示値が65時間到達時にタイマー指示値がリセットされ、改質器100の温度が630℃に変更される。この運転を繰り返すことにより、水素含有ガスを停止することなく、長時間一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを供給することができる。
これは、以下の理由による。通常運転時の改質器100の温度である第一設定値で運転した際は、酸化触媒のアンモニア被毒により、一酸化炭素の酸化活性が低下する。
ここで、改質器100の温度を第一設定値より高い値に変更することにより、改質器100での水蒸気改質反応が促進され、水蒸気改質反応によって水の消費量が増加する。
そのため、改質器100からCO除去器150へ供給される水素含有ガス中の水蒸気分圧が低下し、酸化触媒表面の水蒸気の吸着量が減少し、また水蒸気と競合して吸着する一酸化炭素の吸着量が増加する。
これによって、酸化触媒表面に吸着したニトロシルの分解が促進され、酸化触媒がアンモニア被毒から回復する。これによって、酸化触媒の一酸化炭素の酸化活性が回復するので、一酸化炭素濃度を十分に低減する事が可能となり、再び改質器100の温度を第一設定値に設定しても一酸化炭素濃度を低減した水素含有ガスを供給することができる。
上記の操作を繰り返すことによって、水素含有ガスの生成を停止させることなく、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させ、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することが可能となる。
以上のように、本実施の形態の水素生成装置350は、天然ガスを改質して水素含有ガスを生成する改質器100と、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器150と、改質器100に天然ガスを供給する原料供給器20と、改質器100に水蒸気を供給する蒸発器31と、蒸発器31に水を供給する水供給器30と、CO除去器150に空気を供給する酸化ガス供給器40と、制御器300と、を備える水素生成装置350であって、制御器300は、運転時間が所定条件を満たすと(60時間ごとに5時間だけ)、改質器100の温度を、第一設定値である630℃から630℃より高い温度になるよう加熱器10を制御し、改質器100が水素含有ガスを生成している間は酸化ガスの供給を停止しないよう酸化ガス供給器40を制御する事で、天然ガスを用いて水素含有ガスを生成する際においても、酸化触媒表面に吸着したニトロシルの分解を促進して、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができる。
これにより、一酸化炭素濃度を十分に低減した水素含有ガスを長時間連続して供給することが可能となる。
なお、本実施の形態では、上記の水素生成装置350の構成及び運転方法を用いたが、これに限るものでなく、下記のような構成及び運転方法を用いることができる。
本実施の形態においては、原料として天然ガスを水蒸気改質する場合を挙げたが、原料は窒素化合物を含む炭化水素であればよく、また、改質反応が部分酸化反応と水蒸気改質反応が同時に進行するオートサーマル方式であってもよい。この場合、窒素化合物を含まない炭化水素とともに窒素を含む空気を混合し、原料として改質器100に供給されたとしても本実施の形態と同様の効果を得られる。
また、本実施の形態においては、S/Cは2.8で一定とし、水供給量は6.75mL/minの一定と設定したが、これに限るものではなく、運転中に水供給量を変更してもよい。
例えば、改質器100の温度を高い値に設定することにより水素含有ガス生成量が増加するので、通常運転時より低いS/Cに変更し、水供給器30からの水供給量を少ない値に設定してもよいし、改質器100から排出される水素含有ガス中の水蒸気分圧が増加しない範囲内であれば、改質触媒への炭素析出を抑制する為に、S/Cを通常運転時より高い値に設定してもよい。
また、改質触媒としては、アルミナビーズを担体としてルテニウムを担持させたものを用いたが、これに限定されることはなく、例えば、担体としてジルコニアを用いてもよいし、担持する金属としてニッケルを用いてもしてもよい。
また、酸化触媒としては、アルミナビーズを担体としてルテニウムを担持させたものを用いたが、これに限定されることはなく、例えば、担体としてジルコニアやセリアを用い
てもよいし、担持する金属として白金やロジウムを用いてもよい。
また、本実施の形態においては、酸化ガス供給器40からの空気供給量を、理論計算により求められた、水素含有ガス中の一酸化炭素の分子数の2倍の酸素分子を供給するよう設定し、改質器100の温度の変化に伴い変更したが、これに限るものではなく、水素含有ガス中の一酸化炭素濃度を低減する事ができる適切な値に設定してもよい。
また、本実施の形態においては、改質器100の目標温度を、タイマー指示値に応じて変化させたが、CO除去器150に供給されるアンモニア量に応じて変化するパラメータに応じて変化すればよく、原料供給量の累積値や水供給量の累積値、空気供給量の累積値の変化に応じ、改質器100の目標温度を変化させてもよい。
また、本実施の形態においては、(数1)、(数2)によって、改質器100の目標温度を第一設定値である630℃に設定後、改質器100の目標温度を60時間保持するよう設定したが、水素含有ガス中の一酸化炭素が、許容できる上限濃度を超えない範囲で変更してもよく、例えば待機時間を0時間と設定し、水素含有ガス生成開始直後から改質器100の目標温度を変更してもよい。
また、本実施の形態においては、(数1)、(数2)を用いて、タイマー指示値の65時間到達により改質器100の目標温度の変更が完了するよう、連続的に改質器100の目標温度を変化させたが、これに限るものではなく、ある時点で改質器100の目標温度を高い値に変更してもよい。
また、本実施の形態においては、改質器100の第一設定値は630℃、改質器100の最高温度は680℃と設定したが、これに限定されることはなく、実験的に効果がある任意の値に設定しても構わない。
また、本実施の形態においては、水素含有ガス生成開始後に水素生成装置350の運転停止要求の有無を判定するとなっているが、これに限定されるものではなく、水素含有ガス生成開始前であっても運転停止要求があった時点で(S21)に遷移し、運転を停止しても構わない。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図4に示す実施の形態2の燃料電池システム400において、図1に示す実施の形態1の水素生成装置350と同じ構成要素には同じ符号を付与し、説明は適宜省略する。
図4に示すように、実施の形態2における燃料電池システム400は、原料、及び燃料ガスとして天然ガスを用い、酸化ガスとして空気を用いて生成した水素含有ガスを用いて発電する燃料電池システム400であって、天然ガスを改質して水素含有ガスを生成する第一改質部111と、天然ガスを改質して水素含有ガスを生成し、同じ温度において生成するアンモニア量が第一改質部111より少ない第二改質部112と、から構成される改質器110と、改質器110の第二改質部112の温度を検知する改質器温度検知器51と、改質器110に天然ガスを供給する原料供給器20と、改質器110に水蒸気を供給する蒸発器31と、蒸発器31に水を供給する水供給器30と、改質器110が生成する水素含有ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器150と、CO除去器150に空気を供給する酸化ガス供給器40と、CO除去器150から燃料電池200に、CO除去器150において一酸化炭素の濃度が低減
された水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給流路61と、水素含有ガスを用いて発電する燃料電池200と、天然ガスを加熱器10に供給する燃料ガス供給流路70と、天然ガスを燃焼させて改質器110を加熱する加熱器10と、燃料電池システム400を制御する制御器301と、を備える。
改質器110は、天然ガス及び水蒸気を用いて、改質反応により水素含有ガスを生成する。改質器110は、ステンレス構造体で構成され、第一改質部111と、第一改質部111よりも下流側の第二改質部112から構成される。
第一改質部111、及び第二改質部112には改質反応を進行させる改質触媒が充填され、第二改質部112に充填される改質触媒は第一改質部111に充填されるものに比べて、同じ温度において生成するアンモニア量が少ないものを用いる。
本実施の形態では、第一改質部111に充填される改質触媒として、アルミナビーズを担体としてルテニウムを担持させたものを用い、第二改質部112に充填される改質触媒としてアルミナビーズを担体として白金とロジウムを担持させたものを用いる。
改質器110は、吸熱反応である水蒸気改質反応を進行させるために加熱が必要であるが、第一改質部111は第二改質部112に比べ低温となるよう構成されている。本実施の形態では、改質器110の第二改質部112と加熱器10とを隣接させ加熱し、第一改質部111は第二改質部112からの伝熱により加熱する方法を用いる。
改質器温度検知器51は、改質器110の温度を検知するものであり、ここでは第二改質部112内部に設置された熱電対を用いて、触媒温度を直接測定する。
水素含有ガス供給流路61は、CO除去器150において一酸化炭素の濃度が低減された水素含有ガスを燃料電池200に供給する流路である。
燃料電池200は、水素含有ガス供給流路61から供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池であり、ここでは、高分子電解質膜を用いたPEFCである。
制御器301は、燃料電池システム400の運転を制御するものであり、ここでは、信号入出力部(図示せず)と、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)と、を備えるマイコンである。
以上のように構成された本実施の形態の燃料電池システム400について、以下、実施の形態1と異なる点を中心に、その動作、作用を具体的に説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における燃料電池システムの運転動作を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、制御器301が燃料電池システム400の構成要素である、加熱器10、原料供給器20、水供給器30、酸化ガス供給器40を制御・操作することにより実行される。
ここで、水供給器30は、S/Cの設定値と原料供給器20からの天然ガス供給量によって求められる、必要な量の水を蒸発器31に供給する。ここでS/Cは、改質器110に供給される天然ガス中の炭化水素の炭素原子数と、改質器110に供給される水蒸気中の水分子数との比率である。
酸化ガス供給器40は、改質器温度検知器51で検知した改質器110の温度と、S/Cの設定値と、原料供給器20からの天然ガス供給量を元に、平衡計算によって求められたCO除去器150に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度に対し、十分な量の空気を供給するよう設定される。
図5において、まず、制御器301は、燃料電池システム400の運転開始要求があるか否かを判定する(S31)。そして、運転開始要求が無かったと判定した場合は(S31)の判定を繰り返し実行する。一方、運転開始要求があったと判定した場合には、(S32)に移行する。
次に、制御器301は、加熱器10を動作させ、燃料ガス供給流路70を経由して加熱器10に供給された天然ガスを燃焼させて改質器110を加熱する。改質器110の目標温度は第一設定値である630℃とする(S32)。
次に、制御器301は、改質器110の温度が630℃に到達したか否かを判定する(S33)。そして、改質器110の温度が630℃に到達していないと判定した場合は(S33)の判定を繰り返し実行する。一方、改質器110の温度が630℃に到達したと判定した場合には、(S34)に移行する。
次に、制御器301は、原料供給器20、水供給器30と、酸化ガス供給器40を動作させる(S34)。
次に、制御器301は、原料供給器20、水供給器30と、酸化ガス供給器40を所定の値に調節することで、水素含有ガス生成を開始する。原料供給器20からの天然ガス供給量は3.0L/minとし、S/Cは2.8とする。このとき、水供給器30からの水供給量は、天然ガス供給量とS/C設定値から求められる、必要な水量である6.75mL/minに設定する。また、酸化ガス供給器40からの空気供給量を0.61L/minに設定する(S35)。
天然ガスと水蒸気は、第一改質部111に供給された後に、第二改質部112に供給される。そして、改質器110で生成した水素含有ガスは、CO除去器150によって一酸化炭素の濃度を十分に低減され、水素含有ガス供給流路61を経由して燃料電池200に供給され、発電が開始される。
次に、制御器301は、水素含有ガス生成開始から閾値である60時間が経過したか否かを判定する(S36)。そして、60時間が経過していないと判定した場合は、(S36)の判定を繰り返し実行する。一方、60時間が経過したと判定した場合には、(S37)に移行する。
次に、制御器301は、改質器110の目標温度を第一設定値である630℃より高い第二設定値に変更し、加熱器10を調節することで改質器110の温度を変更する。ここでは第二設定値は680℃とする(S37)。
次に、改質器110の温度変更によりCO除去器150に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度の濃度が変化するため、酸化ガス供給器40を調節し、CO除去器150への空気供給量を0.92L/minに変更する(S38)。
次に、制御器301は、改質器110の温度が第二設定値である680℃に到達した時点から、運転時間が第二の閾値である2時間が経過したか否かを判定する(S39)。そして、2時間が経過したと判定した場合は(S40)に移行する。一方、2時間が経過し
ていない場合には、(S39)の判定を繰り返し実行する。
次に、制御器301は、改質器110の目標温度を第三設定値である630℃に変更して、加熱器10を調節することで改質器110の温度を変更する(S40)。
次に、改質器110の温度の変更によりCO除去器150に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度の濃度が減少するため、酸化ガス供給器40を調節して、空気供給量を0.61L/minに変更する(S41)。
次に、制御器301は、改質器110の温度が第三設定値である630℃に到達した時点から、60時間が経過したか否かを判定する(S42)。そして、60時間が経過したと判定した場合は(S37)に戻り、60時間経過していないと判定した場合には(S43)に移行する。
次に、制御器301は、燃料電池システム400の運転停止要求の有無を判定する(S43)。そして、運転停止要求があったと判定した場合は、(S44)に移行して、燃料電池システム400は運転を停止する。一方、運転停止要求が無かった判定した場合には、(S42)に戻って、運転を継続する。
図6は、本発明の実施の形態2における燃料電池システム400の水素生成開始からの運転時間と、CO除去器出口ガス中の一酸化炭素濃度の関係を示す特性図である。
図6に示したようにCO除去器150から水素含有ガス供給流路61を経由し、燃料電池200に供給される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度は、運転時間の経過に伴うアンモニア被毒の進行により、徐々に増加し、本実施の形態の閾値である運転時間60時間に到達する頃には、一酸化炭素濃度は4ppmに到達する。
運転時間60時間に到達後、改質器110の温度を第二設定値である680℃に変更することで、CO除去器150の入り口露点が61.3℃から56.4℃に低下する。この結果、CO除去器150出口から排出される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度を0.7ppm程度まで減少させることができる。
さらに2時間経過後、改質器110の温度第三設定値である630℃に変更後、一酸化炭素濃度は0.7ppmから徐々に増加していくので、アンモニア被毒から回復していることが確認できる。
上記の運転を繰り返すことにより、アンモニア被毒から定期的に回復できるので、窒素化合物を含む天然ガスを用いて発電を行う場合においても、一酸化炭素濃度による燃料電池200の劣化を長時間抑制しながら連続して発電を継続することが可能となる。
また、本実施の形態において、水素生成開始からの運転時間が60時間に到達した時点での、CO除去器150の出口から排出される水素含有ガス中の一酸化炭素濃度は、4ppmであり、実施の形態1における60時間到達時の一酸化炭素濃度である7ppmより低い値である。
これは、改質器温度検知器51が検出する改質器110の温度は、第一改質部111よりアンモニア生成量が少ない第二改質部112の改質触媒の温度であり、第一改質部111の温度は第二改質部112の温度より低くなるよう改質器110が構成されている為である。
第一改質部111の改質触媒の温度は第一設定値である630℃より低い温度となるため、第一改質部111のみで構成されている実施の形態1の改質器100よりアンモニア生成量が少なくなり、その結果、CO除去器150のアンモニア被毒が抑制される。
また、第二設定値に改質器110の温度を上げた際にもCO除去器150へのアンモニア供給量が少ないことにより、実施の形態1より短時間でアンモニア被毒からの回復が可能となる。
以上のように、本実施の形態の燃料電池システム400は、天然ガスを改質して水素含有ガスを生成する第一改質部111と、第一改質部111の下流側に配置されて天然ガスを改質して水素含有ガスを生成し、同じ温度において生成するアンモニア量が第一改質部111より少ない第二改質部112と、から構成される改質器110と、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を酸化反応により低減させる酸化触媒を用いたCO除去器150と、改質器110に天然ガスを供給する原料供給器20と、改質器110に水蒸気を供給する蒸発器31と、蒸発器31に水を供給する水供給器30と、CO除去器150に空気を供給する酸化ガス供給器40と、制御器301と、燃料電池200を備える燃料電池システム400であって、運転時間が所定の閾値以上になった際に、改質器110の温度を第一設定値630℃より高い第二設定値680℃に変更するよう加熱器10を制御する事によって、CO除去器150から燃料電池200に一酸化炭素濃度を十分に下げた水素含有ガスを充分な量供給しながら、酸化触媒表面に吸着したニトロシルを分解除去し、酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができるので、天然ガスを用いた発電を長時間継続することが可能となる。
また、これにより、改質器110の温度を第一設定値630℃より高い第二設定値680℃に変更する際のアンモニア生成量の増加を抑制することができる。このため、酸化触媒のアンモニア被毒からの回復時にCO除去器150に供給される水素含有ガス中のアンモニア量を減らすことができるので、より短時間で酸化触媒をアンモニア被毒から回復させることができる。
また、第二設定値に変更した時点から、第二の閾値である2時間が経過した後に、改質器110の温度を第三設定値である630℃に変更することにより、改質触媒の劣化を抑制することができ、長時間連続して発電を継続することが可能となる。
なお、本実施の形態では、上記の燃料電池システム400の構成及び運転方法を用いたが、これに限るものでなく、下記のような構成及び運転方法を用いることができる。
本実施の形態においては、酸化ガス供給器40からの空気供給量を、理論計算により求められた、水素含有ガス中の一酸化炭素の分子数の2倍の酸素分子を供給するよう設定して、S/Cの変更に伴い、変更したが、これに限るものではなく、CO除去器150から排出される水素含有ガス中の一酸化炭素によって設定してもよい。
また、本実施の形態においては、水素含有ガス生成開始からの運転時間に対する閾値を60時間と設定したが、これに限るものではなく、CO除去器150から流出する水素含有ガス中の一酸化炭素濃度が、燃料電池200が要求する一酸化炭素の上限値を超えないと推定できる範囲に設定すればよく、例えば、燃料電池200の要求する一酸化炭素の上限値が10ppmである場合は長く設定してもよく、安全をみて短い時間に設定してもよい。
また、CO除去器150に流入するアンモニア累積量を推定するためのパラメータである、天然ガス供給量の累積値、水供給量の累積値、空気供給量の累積値、運転時間は、燃
料電池システム400の停止に際し、リセットしても、値を保持してもよい。
例えば、停止時に空気停止を伴う水素含有ガスへの暴露等のアンモニア被毒から回復するような処理が行われている場合は、燃料電池システム400の停止とともにリセットしてもよいし、アンモニア被毒から回復するような処理がなされない場合には値を保持してもよい。
また、本実施の形態においては、改質器110の目標温度のひとつである第二設定値を680℃としたが、これに限るものではなく、別の温度であってもよい。
また、本実施の形態においては、改質器110の目標温度を第二設定値に変更する際の判定に使用するパラメータを運転時間としたが、これに限るものではなく、CO除去器150に流入するアンモニア累積量を推定するためのパラメータであればよく、天然ガス供給量の累積値、水供給量の累積値、空気供給量の累積値によって判定してもよい。
また、本実施の形態においては、改質器110の目標温度を第三設定値に変更する際のパラメータを運転時間とし、第二の閾値を2時間としたが、これに限るものではなく、酸化触媒がアンモニア被毒から十分に回復したことを判定できればよいので、別のパラメータであってもよい。また、第二の閾値はCO除去器150の運転温度や、第二設定値に応じて適切な値に変更してもよい。
また、本実施の形態においては、改質器110の目標温度のひとつである第三設定値を630℃としたが、これに限るものではなく、燃料電池200が必要とする水素含有ガス量に応じて設定してよい。
また、本実施の形態においては、改質器110の目標温度を第三設定値に変更後、60時間で再び改質器110の目標温度を第二設定値に変更するよう動作するが、これに限るものではなく、適切な時間に変更してもよい。
また、本実施の形態においては、(S42)後に燃料電池システム400の運転停止要求の有無を判定するとなっているが、これに限定されるものではなく、ステップの途中であっても運転停止要求があった時点で(S44)に遷移し、運転を停止しても構わない。