JP2020059358A - 鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】風防効果と空気抵抗低減効果とをバランスよく実現できる鞍乗型車両を提供する。【解決手段】鞍乗型車両は、メインフレーム1を車幅方向外側から覆う内側サイドカウル部材38と、内側サイドカウル部材38の上部および後部を除いて内側サイドカウル部材38の前下部を車幅方向外側から部分的に覆う外側サイドカウル部材40とを備えている。メインフレーム1は、前端から後方に向かって車幅方向が広がる幅広変化部分Fhと、幅広変化部分Fhから後方に向かって車幅方向が狭くなる幅狭変化部分Rhとを有し、幅狭変化部分Rhは、シート22よりも前方かつ下方の領域に位置している。内側サイドカウル部材38は、ハンドル12よりも前方から幅狭変化部分Rhまで前後方向に延びている。外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38から車幅方向外側に膨出している。【選択図】図1

Description

本発明は、車体前部の側方の領域を覆うカウリングを備えた鞍乗型車両に関するものである。
自動二輪車のような鞍乗型車両において、車体前部の側方の領域を覆うカウリングが設けられたものがある(例えば、特許文献1)。このようなカウリングは、主に、走行時の空気抵抗を低減させる役割と、風圧から運転者を保護する役割がある。
特許第5894898号公報
運転者の膝あたりを風圧から保護しようとすると、カウリングの前部を車幅方向外側に大きく形成する必要があるが、カウリングを車幅方向外側に大きくすると、走行時の空気抵抗が大きくなる。
本発明は、風防効果と空気抵抗低減効果とをバランスよく実現できる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の鞍乗型車両は、運転者が乗車時に着座するシートと、運転者が乗車時に把持するハンドルと、車体前方に光を照射するヘッドライトと、走行駆動力を得るための駆動源と、前記駆動源、前記シートおよび前記ハンドルを支持する車体フレームと、前記車体フレームを車幅方向外側から覆う内側サイドカウル部材と、前記内側サイドカウル部材の上部および後部を除いて前記内側サイドカウル部材の前下部を車幅方向外側から部分的に覆う外側サイドカウル部材とを備えている。前記車体フレームは、前端から後方に向かって車幅方向が広がる幅広変化部分と、前記幅広変化部分から後方に向かって車幅方向が狭くなる幅狭変化部分とを有している。前記幅狭変化部分は、前記シートよりも前方でかつ下方の領域に位置している。前記内側サイドカウル部材は、少なくとも前記ハンドルよりも前方から前記幅狭変化部分まで前後方向に延びている。前記外側サイドカウル部材は、前記内側サイドカウル部材から車幅方向外側に膨出している。
この構成によれば、外側サイドカウル部材が内側サイドカウル部材の前下部を車幅方向外側から覆っている。これにより、外側サイドカウル部材と内側サイドカウル部材との境界部分に曲折角度の大きい急峻な段差を形成しやすい。このような急峻な段差を形成することで、運転者の膝あたりに向かう走行風を外側サイドカウル部材で外側へ効果的に逸らすことができ、風防効果を高めることができる。内側サイドカウル部材の上部は、ハンドルの前方から車体フレームの幅狭変化部分まで延びており、この部分は車幅方向外側に露出して外側サイドカウル部材に覆われていない。これにより、サイドカウルの上部が下部に比べて、後方に向かって車幅方向外側に膨らむ量を抑えることができる。言い換えると、サイドカウルの上部領域は、下部領域に比べて、後方に向かって車幅方向に広がる角度を抑えることができ、走行時の空気抵抗の低減を図ることができる。このようにして、風防効果の向上と空気抵抗の低減との両方をバランスよく実現することができる。
本発明において、さらに、車体の前部を覆うフロントカウルを備え、前記内側サイドカウル部材は前記フロントカウルまたは前記ヘッドライトに連なり、前記内側サイドカウル部材における前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに隣接する第1隣接面が前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに対して略面一に延びていてもよい。この構成によれば、ヘッドライトまたはフロントカウルに沿って後方に流れる走行風が、内側サイドカウル部材に沿ってシート近傍まで導かれる。これにより、走行風を滑らかに後方に導くことができ、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
この場合、前記外側サイドカウル部材は前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに連なり、前記外側サイドカウル部材における前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに隣接する第2隣接面が前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに対して略面一に延び、前記第1隣接面と前記第2隣接面が上下方向に並んで形成されていてもよい。この構成によれば、内側サイドカウル部材と外側サイドカウル部材が重なることに起因する凹凸を減らすことができ、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
この場合、前記フロントカウルは、前記ヘッドライトの外周囲を一周して覆うランプ覆い部分を有し、前記ランプ覆い部分の一部が、前記内側サイドカウル部材および前記外側サイドカウル部材により車幅方向外側から覆われ、前記内側サイドカウル部材および前記外側サイドカウル部材の少なくとも一方が前記ランプ覆い部分に固定位置で固定され、前記固定位置に近接した位置で、前記内側サイドカウル部材と前記外側サイドカウル部材が連結されていてもよい。この構成によれば、フロントカウルのランプ覆い部分が閉ループ構造になっているので、フロントカウルが車幅方向に開くことが防がれる。また、固定位置の近傍で、内側サイドカウル部材と外側サイドカウル部材とが連結されているので、各部材間の隙間を小さくできる。
本発明において、前記ヘッドライトは下方に向かって車幅方向内側に傾斜する傾斜面を有し、前記傾斜面の下縁は後方に向かって車幅方向外側に傾斜して延び、前記内側サイドカウル部材と前記外側サイドカウル部材との境界線が、前記傾斜面の下縁の延長線に沿って前後方向に延びていてもよい。この構成によれば、ヘッドライトに沿って案内された走行風が、内側サイドカウル部材と外側サイドカウル部材との境界部分に沿って後方に導かれる。これにより、車体に沿って流れる走行風の乱れを防いで、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
本発明において、前記内側サイドカウル部材は、前記外側サイドカウル部材の後端部を支持する支持部を有し、前記支持部は、車幅方向外側に延びる横壁と、前記横壁に連なり車幅方向に直交する方向に延びて外側サイドカウル部材が固定される固定壁とを有していてもよい。この構成によれば、横壁が形成されることで、外側サイドカウル部材の支持剛性を高めることができる。
この場合、前記内側サイドカウル部材における前記外側サイドカウル部材の後方に、車幅方向を向いた開口が形成され、前記横壁が開口の下側領域に配置されていてもよい。この構成によれば、開口を形成することでカウル内側空間の熱気を外部に排出することができる。また、開口の下側領域に横壁が形成されることで、開口の上方への露出面積を減らして、乗車姿勢の運転者に対して開口の露出量を減らすことができる。これにより、カウル内側空間の車体部品が開口を通して運転者から見え難くなる。
この場合、前記外側サイドカウル部材は、後端部に、前記開口に隣接して配置されて車幅方向内側に延びる鍔部分と、前記鍔部分から車幅方向に直交する方向に延びる側面部分とを有していてもよい。この構成によれば、鍔部分が形成されることで、外側サイドカウル部材の車幅方向外側面を車幅方向外側に配置することができ、風防効果を高めることができる。また、鍔部分が開口に隣接して配置されることで、外側サイドカウル部材の外側面における車幅方向外側に膨出する部分を後方に配置することができ、風防効果を高めることができる。
本発明の鞍乗型車両によれば、風防効果の向上と空気抵抗の低減との両方をバランスよく実現することができる。
本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両の一種である自動二輪車を示す側図である。 同自動二輪車を示す平面図である。 同自動二輪車のフロントカウルおよびサイドカウルを車体内側から見た内面図である。 同フロントカウルおよび同サイドカウルを車体前方から見た正面図である。 同フロントカウルおよび同サイドカウルを示す側面図である。 図5の一部を拡大して示す側面図である。 同フロントカウルおよび同サイドカウルを車幅方向内側から見た内面図である。 同サイドカウルの開口を後方斜め上方から見た斜視図である。 図7のIX−IX線に沿った断面図である。 同自動二輪車のヘッドランプを示す斜視図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左」、「右」は、車両に乗車した運転者から見た「左」、「右」をいう。また、車両の前進方向を「前方」、後退方向を「後方」とする。
図1は、本発明の第1実施形態に係る後部構造を備えた鞍乗型車両の一種である自動二輪車の側面図である。本実施形態の自動二輪車の車体フレームFRは、メインフレーム1と、リヤフレーム2とを有している。リヤフレーム2は、メインフレーム1の後部に接合されている。メインフレーム1は、車体構成部品である駆動源、ハンドル、ヘッドランプを支持する。
図2に示すように、メインフレーム1は、前端のヘッドパイプ6から後方に向かって延びる左右一対のメインフレーム部材1a,1aを有している。左右のメインフレーム部材1a,1aの後端部が、車幅方向に延びるクロス部材1bにより連結されている。各メインフレーム部材1aは、平面視で、ヘッドパイプ6から前後方向中間部に形成されて最も幅広となる最幅広部分まで後方に向かって徐々に車幅方向外側に湾曲しながら延び、最幅広部分から後方に向かって徐々に車幅方向内側に湾曲しながら延びている。つまり、メインフレーム1は、前端から後方に向かって車幅方向が広がる幅広変化部分Fhと、幅広変化部分Fhの後端から後方に向かって車幅方向が狭くなる幅狭変化部分Rhとを有している。本実施形態では、メインフレーム1は、幅狭変化部分Rhの後端に連なって後方または下方に延びる後ろ部分を有する。
図1に示すメインフレーム1の前端のヘッドパイプ6に、図示しないステアリングシャフトを介してフロントフォーク8が回動自在に支持されている。フロントフォーク8の下端に前輪10が取り付けられている。フロントフォーク8の上端部に、アッパブラケット11を介してハンドル12が取り付けられている。
メインフレーム1の後ろ部分に、スイングアームブラケット14が設けられている。スイングアームブラケット14に、スイングアーム16の前端部が上下揺動自在に支持されている。スイングアーム16の後端部に、後輪18が取り付けられている。メインフレーム1の下方でスイングアームブラケット14の前方に、駆動源であるエンジンEが取り付けられている。エンジンEにより、チェーンのような動力伝達部材(図示せず)を介して後輪18が駆動される。本実施形態のエンジンEは水冷エンジンで、エンジンEの前方にラジエータ19が配置されている。ラジエータ19は、エンジン冷却水を走行風により放熱する。
メインフレーム1の上部に燃料タンク20が配置されている。リヤフレーム2に操縦者用シート22および同乗車用シート24が装着されている。これら各シート22,24は、リヤフレーム2を介してメインフレーム1に支持されている。燃料タンク20は、ハンドル12の後方でかつ、操縦者用シート22の前方に配置されている。燃料タンク20は、その上面がメインフレーム1の上面よりも上方に突出した状態で、メインフレーム1に支持されている。本実施形態では、燃料タンク20の上面は、操縦者用シート22の座面よりも上方に位置している。
また、車体前部には、走行抵抗を低減するためのフロントカウル26が装着されている。本実施形態では、フロントカウル26は、合成樹脂によって形成されている。フロントカウル26は、ハンドル12の前方となる部分を覆っている。フロントカウル26は、ヘッドライト28に装着されている。ヘッドライト28は、フロントカウル26、メータステー等を介してメインフレーム1に支持されている。本実施形態では、ヘッドライト28は、左右方向に間隔を開けて配置されるレンズ部28aが形成されている。レンズ部28aは、光源、リフレクタ等のヘッドランプ内蔵物を保護し、ヘッドランプ28内に設けられる光源から照射された光を透過させる。
図10は、本実施形態のヘッドランプ28の一例を示す。図10に示すように、ヘッドライト28は、ほぼ左右対称形で、2つの光源(図示せず)を有している。ただし、光源の数はこれに限定されない。ヘッドライト28は、さらに、フロントカウル26等に支持されるボディ28bと、ボディ28bの前面を覆う透明な前記レンズ部28aとを有している。レンズ部28aの中央部分には、下方に向かって車幅方向内側に傾斜する傾斜面29が形成されている。傾斜面29よりも下側の下部面31は、下方に向かって車幅方向外側に傾斜する逆傾斜面となっている。したがって、傾斜面29の下縁29aは、屈曲した谷線となっており、後方に向かって車幅方向外側に傾斜して延びている。ただし、下部面31は、逆傾斜面ではなく鉛直面であってもよい。
図5に示すフロントカウル26には、ヘッドライト28のレンズ部28aが嵌まり込んで、レンズ部28aを露出させるためのランプ開口42が設けられている。本実施形態のランプ開口42は、左右一対のレンズ部28aに応じて、間隔を開けて左右一対形成されている。フロントカウル28のランプ開口42を規定するランプ開口外周部43は、閉じたループ形状に形成されている。つまり、フロントカウル26は、レンズ部28aの周囲を切れ目なく一周して、レンズ部28aの周囲を覆う周状(ループ状)の部分が形成されている。本実施形態では、各ランプ開口42は、図4に示す正面視において、車幅方向外側に向かって上下方向寸法が大きくなる略台形形状に形成されている。
また、ランプ開口42は、図3に示す側面視において、後方に向かって上縁が上方に傾斜して延びる略三角形状に形成されている。したがって、フロントカウル26のランプ開口外周部43は、図4に示すように、開口周囲で閉じた2つのループ形状が車幅方向中心で重なった「横8の字」形状に形成されている。換言すれば、フロントカウル26のランプ開口外周部43は、ヘッドライト28のうちでレンズ部28aを除く外周部を覆うランプ覆い部分44として形成されている。
図1に示すように、レンズ部28aは、下方に向かって車幅方向内側に傾斜する傾斜面29を有している。また、傾斜面29は、前端から後方に向かって車幅方向外側に向かって延びている。また、傾斜面29の下縁29aは、後方に向かって車幅方向外側に傾斜して延びている。
さらに、下縁29aの下方に隣接する隣接部分は、傾斜面29とは逆方向、すなわち下方に向かって車幅方向外側に傾斜している。これにより、傾斜面29の下縁29aと、下縁29aの下方に隣接する隣接部分とで、車幅方向内側に向かって湾曲して前後方向に延びる凹部47が形成される。隣接部分は、ヘッドライト28またはフロントカウル26によって形成される。このような凹部47が形成されることで、走行風は、傾斜面29に沿って案内されて傾斜面29の下方に位置する凹部47に導かれる。凹部47に集められた走行風は、凹部47に沿って、後方に向かって車幅方向外側に案内される。
図1のフロントカウル26の側方に、左右一対のサイドカウル30が設けられている。本実施形態では、サイドカウル30は、合成樹脂によって形成されている。サイドカウル30は、車幅方向外側に露出して、車体を車幅方向外側から覆っている。本実施形態では、サイドカウル30は、フロントフォーク8の上端部の前方であって、フロントカウル26の側方部分を覆って、後方に延びている。詳細には、サイドカウル30は、ヘッドライト28のレンズ部28aに隣接した位置から後方に延びている。サイドカウル30は、メインフレーム1の幅広変化部分Fhを車幅方向外側から覆うとともに、前輪10の後方の領域を外側方から覆う。このように、サイドカウル30は、車体前方から車体前部の側方の領域を覆っている。換言すれば、前輪10の上方および後方の領域を車幅方向外側から覆っている。
本実施形態では、サイドカウル30は、エンジンEの後部およびメインフレーム1の後部を車幅方向外側に露出させるように配置されている。つまり、車体の前後方向中間部に位置する部品である、エンジンEおよびメインフレーム1の一部が車幅方向外側に露出する。各サイドカウル30の下端部に、ロワカウル32が連結されている。ロワカウル32は、エンジンの下部を外側方から覆っている。ロワカウル32は、左右一対設けられてもよく、左右部分が連結された単一物としてもよい。
サイドカウル30の後部で上方に、左右一対のタンクカバー34が設けられている。換言すれば、タンクカバー34は、サイドカウル30と燃料タンク20との上下方向の間に配置され、燃料タンク20の下部を車幅方向外側から覆っている。タンクカバー34は、前後方向に延びて、燃料タンク20よりも下方からライダーシート22の前部の下方にかけての部分を車幅方向外側から覆っている。タンクカバー34の後方に、車体の後部を覆うリヤカウル36が隣接して設けられている。リヤカウル36は、ライダーシート22の下方から同乗者シート24の下方にかけての部分を外側方から覆っている。
サイドカウル30は、上半部を構成する内側サイドカウル部材38と、下半部を構成する外側サイドカウル部材40とを備えている。内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40は、樹脂製で、別々の部材で構成されている。内側サイドカウル部材38はメインフレーム1の一部を車幅方向外側から覆う。外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38の上部および後部を除いて内側サイドカウル部材38の前部の下部を車幅方向外側から部分的に覆っている。
ここで、「内側サイドカウル部材38の前部」とは、前後方向に関して、ハンドル12の位置、燃料タンク20の前端、または排出開口45よりも前側の領域をいう。また、「内側サイドカウル部材38の上部」とは、外側サイドカウル部材40の上端部よりも上方の部分をいう。本実施形態では、このようなサイドカウル30における外側サイドカウル部材40の上端部よりも上方に位置して外側方に露出する部分が、内側サイドカウル部材38の前端から後端にかけて前後方向に延びている。さらに、「内側サイドカウル部材38の下部」とは、排出開口45が形成される領域をいう。したがって、「内側サイドカウル部材38の前下部」とは、排出開口45が形成される領域で、排出開口45よりも前方の部分をいう。
図1に示すように、内側サイドカウル部材38は、前後方向に関して、ハンドル12よりも前方の領域から、メインフレーム1の幅狭変化部分Rhまで延びている。幅狭変化部分Rhは、ライダーシート22の前方かつ下方の領域に位置する。換言すれば、内側サイドカウル部材38の後端は、操縦者用シート22または燃料タンク20の後端よりも前方に位置している。内側サイドカウル部材38の上縁は、メインフレーム1または燃料タンクカバー34に沿って前後方向に延びている。
外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38から車幅方向外側に膨出している。外側サイドカウル部材40は、上縁部分で内側サイドカウル部材38と重なり、内側サイドカウル部材38から下方に延びる。本実施形態では、外側サイドカウル部材40は、側面視で、フロントカウル26から後方に向かって下方に傾斜して延びている。
内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40の前端部は、フロントカウル26にそれぞれ連結されている。内側サイドカウル部材38のうち、ハンドル12の後方となる後半部の上端は、タンクカバー34の下部に連結されている。タンクカバー34の幅(車幅方向寸法)は燃料タンク20により決まっており、これに連なる内側サイドカウル部材38の幅も規定される。
特に、タンクカバー34の後部および内側サイドカウル部材38の後部は、車幅方向寸法が小さくなるニーグリップ部KGを構成する。ニーグリップ部KGは、乗車姿勢の運転者が両膝で挟む部分である。ニーグリップ部KGは、車体として車幅方向寸法が最も小さくなる操縦者用シート22付近に対して前方に隣接する車体領域である。ニーグリップ部KGは、その前方に比べて車幅方向寸法が小さく領域であって、燃料タンク20および操縦者用シート22の座面よりも下方の領域で、エンジンEの上方の領域に設定される。
また、内側サイドカウル部材38の下縁は、タンクカバー34からリヤカウル36に連なる後ろ上がりの車体カウルのライン(下縁)に沿って形成されている。詳細には、タンクカバー34は、内側サイドカウル部材38の後端よりも後方で延びている。本実施形態では、操縦者用シート22の下縁およびタンクカバー34の後端の下縁が、リヤカウル36の長手方向軸の延びる方向に共通の仮想線VLに沿って延びている。仮想線VLは、後方に向かって上方に傾斜して延びている。この仮想線VLに沿って、内側サイドカウル部材38の下縁が延びることで、ように、内側サイドカウル部材38は、側面視で露出する他の部品との整合性を持つ印象を与えることができる。さらに、車体の前端部から後端部まで延びるシャープで繊細な印象を与えるような車体カウルの一部として形成することができる。
外側サイドカウル部材40の前端部は、内側サイドカウル部材38の下方でフロントカウル26に連結されている。外側サイドカウル部材40の下端は、ロワカウル32に連結されている。外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38から車幅方向外側に突出し、車体の幅を広げている。つまり、外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38の前方の下方で車体を大きく見せ、パワフルで重量感のある印象を与えている。
上述のように、本実施形態のサイドカウル30は、内側サイドカウル部材38によって与えられる繊細な印象と、外側サイドカウル部材40によって与えられる重厚感のある印象との相反する印象を与えることができ、外観意匠性を向上させることができる。また、異なる印象を与えるために、サイドカウル30を別々の部材で構成する、すなわち内側および外側サイドカウル部材38,40に分けることで、製造が容易になり、かつ、印象の違いを表現し易くなる。以下に、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40の構造を詳細に説明する。
内側サイドカウル部材38は、側面視において、燃料タンク20の前端よりも前方であって、フロントカウル26まで延びている。また、内側サイドカウル部材38は、ラジエータ19よりも後方であって、エンジンEのシリンダCYの前面よりも後方、さらにはシリンダCYの後面よりも後方まで延びている。詳細には、内側サイドカウル部材38の後端は、エンジンEの後端より前方に位置している。内側サイドカウル部材38の上部は、メインフレーム1に沿ってメインフレーム1の幅狭変化部分Rhまで延び、メインフレーム1の幅広変化部分Fhと幅狭変化部分Rhそれぞれの下部を外側方から覆っている。内側サイドカウル部材38は、外側カウル部材40よりも後方まで延びている。
外側サイドカウル部材40は、その内側のインナカウル(図示せず)と協働して、ラジエータ19へ走行風を導く機能を有する。つまり、外側サイドカウル部材40は、ラジエータ19の前方の領域で、ラジエータ19の車幅方向外側位置に対して前方向に延びている。外側サイドカウル部材40の前縁は、後方に向かって下方に傾斜して延びている。
内側サイドカウル部材38における外側サイドカウル部材40の後方部分には、車幅方向に貫通して車幅方向外側を向いて開放された排出開口45が形成されている。排出開口45は、ラジエータ19の後方に位置する。本実施形態では、側面視で、排出開口45からラジエータ19の上部の後縁部と、エンジンEのシリンダCYの側面の一部が視認できる。この排出開口45から、ラジエータ19を冷却後の走行風が、サイドカウル30の内側から外側に通り抜けて車体の車幅方向外側に排出される。
図4に示す車体前方から見た正面視で、内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40は、その車幅方向外縁が車体の外形線として現れる。内側サイドカウル部材38のうち外側サイドカウル部材40の上方に隣接する部分は、外側サイドカウル40の車幅方向内側に配置され、車幅方向寸法が小さく形成される。これにより、サイドカウル30の上部の前方投影面積を小さく形成することができる。その結果、走行抵抗が小さくなる。
また、内側サイドカウル部材38のうち外側サイドカウル部材40の上方に隣接する部分は、外側サイドカウル部材40に比べて幅が狭く形成され、図1に示すように前後方向に長く延びている。これにより、車体に沿って流れる走行風の乱れを抑制することができる。このような内側サイドカウル部材38により、軽快で、流麗的な印象の意匠を与える。
一方、外側サイドカウル部材40は、内側サイドカウル部材38の車幅方向外側に配置され、内側サイドカウル部材38のうちで外側サイドカウル部材40の後方に隣接する部分に比べて、車幅方向寸法が大きく形成される。これにより、乗車姿勢の運転者の脚への風防効果を高めることができる。また、図4に示すように、サイドカウル30の下部の前方投影面積を大きく形成することができる。その結果、外側サイドカウル部材40により、例えば、鎧をまとったような重量感のある威圧的な印象を与える。
このように、本実施形態では、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40とにより、風防効果の向上と空気抵抗の低減の両方をバランスよく実現することができる。また、流麗感と威圧感という、相反する印象をバランスよく共存させた意匠を車体に付与できる。
内側サイドカバー部材38と外側サイドカバー部材40は、異なる外観に形成されてもよい。例えば、両者を異なる色で着色したり、異なる材質を用いたり、異なる表面処理を施したりしてもよい。このように、内側サイドカバー部材38と外側サイドカバー部材40が異なる外観に形成されることで、意匠の自由度を高めることができる。
上述のように、外側サイドカウル部材40の上部は、内側サイドカウル部材38の下部を車幅方向外側から部分的に覆っている。具体的には、ハンドル12よりも前側で、内側サイドカウル部材38の下部が、外側サイドカウル部材40の上部に重なる。また、ハンドル12よりも後側で、内側サイドカウル部材38の下部が、外側サイドカウル部材40の後部に重なっている。
図5に、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40の重なっている部分(重合部分)S1が、斜線で示されている。このように、両サイドカウル部材38,40を重ねることで段差ST(図4に明示)を形成でき、重厚なイメージの外観を創り出すことができる。図6に示すように、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40との境界線BLは、前端から後方に延び、排出開口45の前部の上方で前方斜め下方に延びた後、排出開口45の前縁に沿って後方斜め下方に延びている。
フロントカウル26の後端部の一部が、内側サイドカウル部材38の前端部および外側サイドカウル部材40の前端部と重合している。詳細には、内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40はヘッドライト28のレンズ部28aに円滑に連なるような形状になっている。換言すれば、ランプ覆い部分44の一部が内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40により車幅方向外側から覆われ、内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40の前端部がランプ開口外周部43の一部を構成している。
図6に、内側サイドカウル部材38とフロントカウル26の重なっている部分S2が斜線で示され、外側サイドカウル部材40とフロントカウル26の重なっている部分S3がドットで示されている。このような重合部分S2,S3を設けることで、フロントカウル26が補強される。
内側サイドカウル部材38は、ヘッドライト28のレンズ部28aに隣接する第1隣接面46を有し、第1隣接面46がヘッドライト28の外面、つまりレンズ部28aの外面に対して略段差なく面一に延びている。同様に、外側サイドカウル部材40は、ヘッドライト28のレンズ部28aに隣接する第2隣接面48を有し、第2隣接面48がレンズ部28aの外面に対して略面一に延びている。本実施形態では、第1隣接面46と第2隣接面48は、ヘッドライト28に連なる面をいう。第1隣接面46と第2隣接面48は、第1隣接面46を上側にして、境界線BLを介して上下方向に隣接している。第1隣接面46と第2隣接面48は、略段差なく面一に延びている。
本実施形態では、内側サイドカウル部材38の第1隣接面46と外側サイドカウル部材40の第2隣接面48のとの境界線BLが、ヘッドライト28の傾斜面29の下縁29aの延長線に沿って前後方向に延びている。
図7に示すように、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40は、重合部分S1において、車幅方向内側から複数のボルトのような締結部材50により連結されている。また、内側サイドカウル部材38とフロントカウル26は、重合部分S2(図6)において、後方から複数のボルトのような締結部材52により連結されている。
図3に示すように、フロントカウル26と外側サイドカウル部材40は、重合部分S3において、係止構造により係止されている。詳細には、外側サイドカウル部材40の前端に、後方に突出した係止片54が形成されている。フロントカウル26の後縁に、係止孔56が形成されている。この係止孔56に、係止片54が前方からの差込みにより係止されている。これにより、外側サイドカウル部材40の前端部が、重合部分S3において、フロントカウル26に固定されている。
内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40を連結する複数の締結部材50のうちの一つが、係止片54に近接した位置に設けられている。本実施形態では、係止片54の後方に近接する位置に、1つの締結部材50が配置されている。つまり、外側サイドカウル部材40がフロントカウル26のランプ覆い部分44に固定された固定位置Fに近接した位置で、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40が連結されている。
これに代えて、内側サイドカウル部材38がフロントカウル26のランプ覆い部分44に固定位置で固定され、この固定位置に近接した位置で、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40が連結されていてもよい。
内側サイドカウル部材38の外面における外側サイドカウル部材40で覆われる部分S1に、車載部品59が取り付けられる取付部58が形成されている。本実施形態の取付部58は、内側サイドカウル部材38の外面から突出する円筒形のボスからなり、ボス38にねじ孔(図示せず)が形成されている。本実施形態では、取付部58は、前後方向に並んで2つ設けられている。取付部58の形状、数はこれに限定されない。
本実施形態では、右側の内側サイドカウル部材38の取付部58にキャニスタが取り付けられ、左側の内側サイドカウル部材38の取付部58にレギュレータが取り付けられている。キャニスタは、燃料タンク20からガソリン蒸気が大気中に放出されるのを防ぐ。レギュレータは、電気回路内の電流値をコントロールする。ただし、車載部品59はこれらに限定されない。車載部品59は、例えば、ブラケットを介して取付部58に取り付けられている。取付部58が重合部分S1に形成されているので、美観に影響することなく、容易に取付部58を形成できる。また、内側および外側サイドカウル部材38,40は別々の部材で構成されているので、複雑な形状のサイドカウル30も容易に形成できるから、意匠に関係なく、重合部分S1の内側に車載部品59を配置できる。
図7に示すように、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40との重合部分S1が、側部の排出開口45の開口縁の一部(前部)を構成している。内側サイドカウル部材38は、外側サイドカウル部材40の後端部を支持する支持部60を有している。支持部60は、図9に示すように、車幅方向外側に延びる横壁62と、横壁62に連なり車幅方向に直交する方向に延びる固定壁64とを有している。固定壁64が、図7に示す内側サイドカウル部材38の重合部分S1の一部を構成している。
固定壁64に、車幅方向を向いた係合溝64aが形成されている。係合溝64aは、細長いスリット状の溝であり、後述する図7の係合爪69が係合される。本実施形態では、係合溝64aは、重合部分S1に沿って3つ形成されている。係合溝64aの形状、数はこれに限定されない。本実施形態の横壁62および固定壁64は、排出開口45の前側で下側の領域に配置されている。
外側サイドカウル部材40は、後端部である重合部分S1に、図9に示すように、車幅方向内側に延びる鍔部分66と、鍔部分66から車幅方向に直交する方向に延びる側面部分68とを有している。鍔部分66は、排出開口45に隣接して配置され、鍔部分66の内面は、横壁62の外面に接触または近接して延びている。側面部分68は、外側サイドカウル部材40の外表面の一部を構成し、側面部分68の内面は、固定壁60の外面に当接して延びている。
図7に示す外側サイドカウル部材40の側面部分68の内面に、内側に突出する係合爪69が形成されている。係合爪69は、固定壁64の係合溝64aに対応した位置に3箇所設けられている。側面部分68の各係合爪69が、固定壁64の係合溝64aに係合されている。これにより、固定壁64に、外側サイドカウル部材40が固定されている。
内側サイドカウル部材38における排出開口45から上方に離れた位置に、車幅方向外側に突出して前後方向に延びる凸部70が形成されている。凸部70は、排出開口45の上側で後側の領域に形成されている。
図8に示すように、排出開口45の開口縁の一部(前部)が、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40で形成されている。しかも、内側サイドカウル部材38の横壁62と外側サイドカウル部材40の鍔部分66により車幅方向に延びる段差面74が形成されている。これにより、排出開口45の周縁が車幅方向外側に突出して、重厚感が出る。また、開口縁に車幅方向の厚み(段差面74)を出したことで、ライダー目線で段差面74が見え、エンジンE(図1)が見え難くなる。一方、外側方からは、外側サイドカウル部材40の側面部分68のみが見え、段差面74は見えない。さらに、横壁62と鍔部分66とをラップさせたことで、ライダー目線で内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40との間の隙間が見えない。
本実施形態では、横壁62よりも上方で且つ車幅方向外側に、鍔部分66が形成されている。サイドカウル30が単一の部材で形成される場合、抜き型の関係から、横壁62の斜面が見え易くなってしまうが、上記構成では、サイドカウル30が2つの部材で形成されているので、横壁62よりも車幅方向外側で、横壁62よりも排出開口45の内側に向いた段差面74を形成することで、横壁62を見えにくくすることができる。
上記構成によれば、図1に示す外側サイドカウル部材40が、内側サイドカウル部材38の前下部を車幅方向外側から覆っている。これにより、外側サイドカウル部材40と内側サイドカウル部材38との境界部分に曲折角度θの大きな急峻な段差面74(図9)を形成しやすい。このような急峻な段差面74を形成することで、運転者の膝あたりに向かう走行風を外側サイドカウル部材40で外側へ効果的に逸らすことができ、風防効果を高めることができる。また、急峻な段差面74を形成することで、車体の重厚感を向上させることができる。
内側サイドカウル部材38の上部は、ハンドル12の前方からメインフレーム1の幅狭変化部分Rhまで延びている。内側サイドカウル部材38の上部は、車幅方向外側に露出して、外側サイドカウル部材40に覆われていない。これにより、ハンドル12の前方からメインフレーム1の幅狭変化部分Rhに至る領域で、サイドカウル30の上部が下部に比べて車幅方向外側に膨らむ量を抑えることができる。換言すれば、サイドカウル30の上部領域は、下部領域に比べて、後方に向かって車幅方向に広がる角度を抑えることができ、走行時の空気抵抗の低減を図ることができる。このように、上記実施形態では、風防効果の向上と空気抵抗の低減との両方をバランスよく実現することができる。
図6に示すように、内側サイドカウル部材38におけるヘッドライト28に隣接する第1隣接面46が、ヘッドライト28の外面に対して略段差のない面一に延びている。これにより、ヘッドライト28に沿って後方に流れる走行風が、内側サイドカウル部材38に沿ってライダーシート22近傍まで導かれる。これにより、走行風を滑らかに後方に導くことができ、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
また、外側サイドカウル部材40におけるヘッドライト28に隣接する第2隣接面48がヘッドライト28の外面に対して略段差のない面一に延び、第1隣接面46と第2隣接面48が上下方向に並んで形成されている。これにより、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40が重なることに起因する凹凸を減らすことができ、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
さらに、図3に示すフロントカウル26のランプ覆い部分44の後部が、内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40により車幅方向外側から覆われ、外側サイドカウル部材40がランプ覆い部分44に固定位置Fで固定され、固定位置に近接した位置で内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40が連結されている。これにより、フロントカウル26が車幅方向に開くことが防がれるとともに、固定位置の近傍で、内側サイドカウル部材と外側サイドカウル部材とが連結されているので、フロントカウル26、内側サイドカウル部材38および外側サイドカウル部材40の各部材間の隙間を小さくできる。
図6に示す内側サイドカウル部材38の第1隣接面46と外側サイドカウル部材40の第2隣接面48との境界線BLが、ヘッドライト28の傾斜面29の下縁29aの延長線に沿って前後方向に延びている。これにより、ヘッドライト28に沿って案内された走行風が、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40との境界線BLに沿って後方に導かれる。これにより、車体に沿って流れる走行風の乱れを防いで、空気抵抗のさらなる低減を図ることができる。
図9に示す内側サイドカウル部材38の支持部60は、車幅方向外側に延びる横壁62と、横壁62に連なり車幅方向に直交する方向に延びる固定壁64とを有している。これにより、外側サイドカウル部材40の支持剛性を高めることができる。さらに、鍔部分66が形成されていることにより、サイドカウル30の支持剛性がさらに向上する。
図8に示す横壁62が排出開口45の下側の領域に配置されているので、排出開口45の上方への露出面積を減らして、乗車姿勢の運転者に対して排出開口45の露出量を減らすことができる。これにより、サイドカウル30の内側空間の車体部品が排出開口45を通して運転者から見え難くなる。さらに、排出開口45の上方に凸部70(図9に明示)が形成されることで、排出開口45の上方への露出面積をさらに減らして、乗車姿勢の運転者に対して排出開口45の露出量を減らすことができる。したがって、サイドカウル30の内側空間の車体部品を隠して美観を向上させることができる。
図9に示す外側サイドカウル部材40は、排出開口45に隣接して配置されて車幅方向外側に延びる鍔部分66と、鍔部分66から車幅方向に直交する方向に延びる側面部分68とを有している。この構成によれば、鍔部分66が形成されることで、外側サイドカウル部材40の車幅方向外側面(側面部分68)を車幅方向外側に配置することができ、風防効果を高めることができる。また、鍔部分66が開口に隣接して配置されることで、外側サイドカウル部材40の外側面における車幅方向外側に膨出する部分を後方に配置することができ、風防効果を高めることができる。
内側サイドカウル部材38の横壁62が外側サイドカウル部材40で覆われている。上記実施形態では、内側サイドカウル部材38と外側サイドカウル部材40が別部材で構成されているので、段差面74をアンダーカットに形成して、排出開口45に隣接して外側サイドカウル部材40を配置できる。これにより、意匠の自由度を向上させることができる。
内側サイドカウル部材38が、フロントカウル26から操縦者用ソート22付近まで前後方向に延びているので、複数のカウル部材を連結するのに比べて、継ぎ目部分をなくして走行抵抗の低減を図ることができる。また、ヘッドランプ28の傾斜面29の下縁29aから、内側および外側サイドカウル部材38,40の境界の溝49に沿って走行風を案内することで、走行風を円滑に後方に導くことができ、走行抵抗がさらに低減する。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、タンクカバー34と内側サイドカウル部材38は別体に形成されていたが、タンクカバー34と内側サイドカウル部材38とが単一の部材で形成されていてもよい。上記実施形態では、内側サイドカウル部材38の前端部および外側サイドカウル部材40の前端部はヘッドライト28に連なっていたが、フロントカウル26に連なっていてもよい。この場合、第1隣接面および第2隣接面は、フロントカウル26に隣接してフロントカウル26に対して略面一となればよい。
また、上記実施形態では、駆動源としてエンジンEが用いられていたが、本発明の鞍乗型車両の駆動源はエンジンに限定されず、例えば、電動モータであってもよい。その場合、上記実施形態の燃料タンク20の対応する位置にバッテリが配置されてもよい。また、上記実施形態では、ヘッドライト28は、左右一対のレンズ部28aを有していたが、レンズ部が1つであってもよい。さらに、上記実施形態では、自動二輪車について説明したが、本発明は、自動二輪車以外の鞍乗型車両にも適用できる。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 メインフレーム(車体フレーム)
2 リヤフレーム(車体フレーム)
12 ハンドル
22 シート
26 フロントカウル
28 ヘッドライト
29 傾斜面
29a 傾斜面の下縁
30 サイドカウル
38 内側サイドカウル部材
40 外側サイドカウル部材
44 ランプ覆い部分
45 排出開口
46 第1隣接面
48 第2隣接面
60 支持部
62 横壁
64 固定壁
66 鍔部分
68 側面部分
74 段差面
BL 境界線
E エンジン(駆動源)
F 固定位置
FR 車体フレーム
Fh 幅広変化部分(車体フレーム)
Rh 幅狭変化部分(車体フレーム)

Claims (8)

  1. 運転者が乗車時に着座するシートと、
    運転者が乗車時に把持するハンドルと、
    車体前方に光を照射するヘッドライトと、
    走行駆動力を得るための駆動源と、
    前記駆動源、前記シートおよび前記ハンドルを支持する車体フレームと、
    前記車体フレームを車幅方向外側から覆う内側サイドカウル部材と、
    前記内側サイドカウル部材の上部および後部を除いて、前記内側サイドカウル部材の前下部を車幅方向外側から部分的に覆う外側サイドカウル部材と、を備え、
    前記車体フレームは、前端から後方に向かって車幅方向が広がる幅広変化部分と、前記幅広変化部分から後方に向かって車幅方向が狭くなる幅狭変化部分とを有し、
    前記幅狭変化部分は、前記シートよりも前方でかつ下方の領域に位置し、
    前記内側サイドカウル部材は、少なくとも前記ハンドルよりも前方から前記幅狭変化部分まで前後方向に延び、
    前記外側サイドカウル部材は、前記内側サイドカウル部材から車幅方向外側に膨出している鞍乗型車両。
  2. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、さらに、車体の前部を覆うフロントカウルを備え、
    前記内側サイドカウル部材は、前記フロントカウルまたは前記ヘッドライトに連なり、
    前記内側サイドカウル部材における前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに隣接する第1隣接面が、前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに対して略面一に延びている鞍乗型車両。
  3. 請求項2に記載の鞍乗型車両において、前記外側サイドカウル部材は、前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに連なり、
    前記外側サイドカウル部材における前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに隣接する第2隣接面が、前記ヘッドライトまたは前記フロントカウルに対して略面一に延び、
    前記第1隣接面と前記第2隣接面が、上下方向に並んで形成されている鞍乗型車両。
  4. 請求項2または3に記載の鞍乗型車両において、前記フロントカウルは、前記ヘッドライトの外周囲を一周して覆うランプ覆い部分を有し、
    前記ランプ覆い部分の一部が、前記内側サイドカウル部材および前記外側サイドカウル部材により車幅方向外側から覆われ、
    前記内側サイドカウル部材および前記外側サイドカウル部材の少なくとも一方が、前記ランプ覆い部分に固定位置で固定され、
    前記固定位置に近接した位置で、前記内側サイドカウル部材と前記外側サイドカウル部材が連結されている鞍乗型車両。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の鞍乗型車両において、前記ヘッドライトは、下方に向かって車幅方向内側に傾斜する傾斜面を有し、
    前記傾斜面の下縁は、後方に向かって車幅方向外側に傾斜して延び、
    前記内側サイドカウル部材と前記外側サイドカウル部材との境界線が、前記傾斜面の下縁の延長線に沿って前後方向に延びている鞍乗型車両。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の鞍乗型車両において、前記内側サイドカウル部材は、前記外側サイドカウル部材の後端部を支持する支持部を有し、
    前記支持部は、車幅方向外側に延びる横壁と、前記横壁に連なり車幅方向に直交する方向に延びて外側サイドカウル部材が固定される固定壁とを有している鞍乗型車両。
  7. 請求項6に記載の鞍乗型車両において、前記内側サイドカウル部材における前記外側サイドカウル部材の後方に、車幅方向を向いた開口が形成され、
    前記横壁が開口の下側領域に配置されている鞍乗型車両。
  8. 請求項7に記載の鞍乗型車両において、前記外側サイドカウル部材は、後端部に、前記開口に隣接して配置されて車幅方向内側に延びる鍔部分と、前記鍔部分から車幅方向に直交する方向に延びる側面部分とを有している鞍乗型車両。
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