JP2020056713A - 走行位置の異常判定方法 - Google Patents

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雄大 市丸
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Abstract

【課題】 本発明は、様々な原因で発生する走行位置の異常を検出することが可能であり、かつ多様な製造条件への適用が可能な、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体の走行位置の異常判定方法を提供することをその課題とする。【解決手段】 同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体を走行体A、走行体Aを含む平面を平面B、平面Bと垂直な方向から走行体Aを観察したときに各部材が描く軌跡を軌跡Xとしたときに、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、走行位置の異常判定方法。【選択図】図2

Description

本発明は、同一形状の複数の部材が連結された走行体の走行位置の異常を判定する、走行位置の異常判定方法に関する。
チェーンのような、同一形状の複数の部材が連結された構造を有し、かつ走行時の軌跡が一つの平面上にある走行体は、大きさを問わず様々な機械に使用されている。そして、このような走行体の走行軌跡の安定化は、多くの場合において機械の運転の安定性向上に直結するため、様々な分野の機械において、このような走行体の走行軌跡の安定化が求められている。特に、フィルムのような高精度に厚みを管理することが要求されるような製品の製造に用いる装置においては、その傾向は顕著である。
フィルムの製造に用いる装置でこのような走行体を備えるものとして、シートの幅方向両端部を把持するクリップを搬送方向に走行させながら、このクリップの間隔を広げることでシートを幅方向に延伸するテンター装置が挙げられる。一般的にテンター装置においては、このようなクリップはチェーン状に連結されたクリップチェーンを形成しており、クリップチェーンの走行軌跡が安定している状態ではクリップの把持位置も一定となり、把持不良の発生が抑えられる。
しかしながら、長期の運転に伴いクリップの形状にバラつきが生じることや、クリップの連結に用いられているピンが磨耗することがある。クリップの形状にバラつきが生じると、その走行軌跡にもバラつきが生じる。また、ピンが磨耗すると、磨耗したピンを介して連結されているクリップの自由度が高くなり、さらに磨耗したピンが複数になるとクリップチェーンを引き伸ばしたときの長さも長くなるため、クリップチェーンの走行が不安定になる。
このような状況下ではシートの幅方向両端部を把持する際に、左右のクリップの位相がずれて把持位置が安定しない等の把持不良が生じる。そして、このような把持不良が発生している状態でテンター装置の稼動を続ければ、やがてフィルムの搬送や延伸倍率等が不安定になり、最悪の場合はテンター装置内でシートやフィルムの破断を引き起こすこととなる。
このようにして生じるクリップチェーンの走行軌跡の不安定化による把持不良の対策として、例えば、テンター装置の出口に把持跡の状態を検知する検出器を設け、そこからの信号と予め設定された良否判定基準とを比較してフィルム把持状態の良否を判定することで把持不良を起こしているクリップを発見する方法(特許文献1)、クリップ通過検知センサをテンター内に設けて各クリップの通過時刻のデータよりクリップチェーンの異常を検出する方法(特許文献2)、及び個々のクリップの形状を直接測定し、隣接するクリップとの特性データ比較を定期的に行う方法(特許文献3)等が知られている。
特公平4−51458号公報 特開平6−211396号公報 特開平6−247615号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、クリップによりフィルムに付された把持跡の状態からクリップチェーンの走行軌跡の良否を判定しており、フィルムの厚みや生産条件等が変わると把持跡の状態も大きく変化するため、多様な品種に用いるのは困難であるという課題があった。また、走行軌跡に異常がなくても把持跡にはクリップの個体差によるバラつきが生じるため、把持跡の状態が極めて大きく異なる場合のみを異常と判定せざるを得ず、把持不良に繋がる走行軌跡の異常を検出できないケースがあることも特許文献1に記載の方法における課題であった。特許文献2に記載の方法では、クリップを連結するピンの磨耗によるクリップチェーンの不良は早期に検出できるが、クリップそのものに起因する走行位置の異常判定は困難であった。特許文献3に記載の方法では、クリップ形状の異常の早期発見は可能であるが、その他の要因による走行位置の異常の検出は困難であった。
本発明は、様々な原因で発生する走行位置の異常を検出することが可能であり、かつ多様な製造条件への適用が可能な、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体の走行位置の異常判定方法を提供することをその課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。
(1) 同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体を走行体A、走行体Aを含む平面を平面B、平面Bと垂直な方向から走行体Aを観察したときに各部材が描く軌跡を軌跡Xとしたときに、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、走行位置の異常判定方法。
(2) 前記軌跡Xが周期性を有することを特徴とする、(1)に記載の走行位置の異常判定方法。
(3) 前記位置変化量の検出を、接触式センサ及び非接触式センサの少なくとも一方で行うことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の走行位置の異常判定方法。
(4) 各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材の傾きを求め、各部材の傾きより走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
(5) 各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材のシフト距離を求め、各部材のシフト距離より走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
(6) 前記走行体Aがテンター装置のクリップチェーンであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
(7) (6)に記載の走行位置の異常判定方法により、前記テンター装置のクリップチェーンの走行状態を監視することを特徴とする、フィルムの製造方法。
本発明により、様々な原因で発生する走行位置の異常を検出することが可能であり、かつ多様な製造条件への適用が可能な、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体の走行位置の異常判定方法を提供することができる。
本発明における走行体Aの例を示す概略図(走行軌跡と垂直に切断したときの断面図)である。 走行体Aを構成する部材の傾き及びシフトを表す概略図(上面図)である。
以下、本発明の走行位置の異常判定方法について具体的に説明する。本発明の走行位置の異常判定方法は、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体を走行体A、走行体Aを含む平面を平面B、平面Bと垂直な方向から走行体Aを観察したときに各部材が描く軌跡を軌跡Xとしたときに、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする。
走行体Aとは、同一形状の複数の部材が連結された構造を有すること、及び二次元走行体であることを充足する走行体をいう。同一形状の複数の部材が連結された構造とは、部材の形状に着目したときに、同じ繰り返し単位を複数有する構造をいう。その具体例については、本発明における走行体Aの例を示す概略図(走行軌跡と垂直に切断したときの断面図)である図1に示す構造が挙げられる。具体的には、図1のAに示すように同じ形状をした部材1が連なった構造や、図1のBに示すように、同じ形状をした部材1が連結部材2とピン3を介して連なった構造等が挙げられる。なお、図1のBに示すように、2つの構造単位が繰り返している態様における部材1と連結部材2との区別は、先ずは、各構造単位の機能に着目して行う。具体的には、一方の構造単位が部材間の連結以外の機能を有する場合は、当該構造単位を部材1とする。いずれも構造単位が部材間の連結以外の機能を有するとはいえない場合は、大きい構造単位を部材1とする。
二次元走行体とは、走行体の走行軌跡が一つの平面上にある走行体、換言すれば、走行体を構成する各部材の同じ部位に点を取った場合において、走行時にこれらの点が描く軌跡が同一平面上に位置する走行体をいう。そして、こうして描かれる軌跡を含む平面が走行体Aを含む平面、すなわち平面Bとなる。この平面Bは、走行体のどの位置においても走行方向と平行となる。
軌跡Xとは、平面Bと垂直な方向から走行体Aを観察したときに各部材が描く軌跡である。より具体的には、走行体Aを構成する各部材の同じ部位に点を取り、走行によりこれらの各点が描く平面B上の軌跡を観察したときに、最も多くの点が描いた軌跡をいう。このとき、各部材に取る点の数は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、後述する各部材の傾きやシフト量を容易に算出する観点から、2個以上とすることが好ましい。
本発明の走行位置の異常判定方法は、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定することが重要である。各部材の軌跡Xからの位置変化量とは、平面Bと平行な方向への各部材の位置変化量をいう。このような態様とすることにより、平面Bと平行な方向への各部材のずれを容易に検出することができるため、それに伴う走行体Aや装置の故障、走行体Aを備える装置で製造する生産物への影響を早期に回避することができる。
なお、各部材は、走行体Aを構成する全ての部材としても、例えば、全部材の30%を含むのであれば、2個毎や3個毎のように一定の法則の下で選定してもよいが、走行異常の検出精度の観点から、走行体Aを構成する全ての部材とすることが好ましい。この点については以下同様である。
軌跡Xは、本発明の効果を損なわない限り、その長さや形状については特に制限されない。但し、装置の安定稼動の観点から、軌跡Xが周期性を有することが好ましい。ここで、軌跡Xが周期性を有するとは、軌跡Xが閉じた曲線又は折れ線であることをいう。すなわち、走行体Aが環状であり、走行体Aを構成する部材が周を描くように走行することを意味する。軌跡Xが周期性を有するような走行体は、機械の運転において動力伝達等の重要な役割を担うものでありながら、その撓み等により異常走行をすることがある。そのため、このような走行体の異常走行を検出して早期に対処することは、装置の安定稼動に直結することがある。
軌跡Xが周期性を有する走行体Aとしては、例えば複数の歯車によって回転する車両等のチェーンや、テンター装置のクリップチェーン等が挙げられる。テンター装置とは、フィルムの製造に用いられる装置であり、シートの幅方向両端部を把持する複数のクリップを搬送方向に走行させながら、このクリップの間隔を広げることでシートを幅方向に延伸してフィルムとするものである。テンター装置のクリップチェーンとは、同じ形状をしたクリップが連結部材とピンを介して連なったもの、すなわち、図2のBにおける部材1がクリップであるものをいう。
このクリップチェーンは、個々のクリップがシートの幅方向両端部を把持した状態でレールに沿って走行するが、この軌跡が不安定であると、本来一定であるはずの把持位置にずれが生じることや、把持自体がなされないことがある。そして、このような把持不良が生じると、延伸の均一性が損なわれることや、延伸中にフィルムが破断する等の不具合が発生することがある。より具体的には、クリップの把持点がずれると、その部分のみで幅方向の延伸倍率が微変動して、得られる二軸配向フィルムの品質にムラが生じることがあり、クリップによる把持がなされないと、その部分からシートやフィルムの破断が発生することがある。このような事情から、テンター装置のクリップチェーンには極めて高度な走行軌跡の安定性が要求されるため、本発明の走行位置の異常判定方法においては、走行体Aがテンター装置のクリップチェーンであることが好ましい。
本発明の走行位置の異常判定方法においては、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定する限りその手法については特に制限されないが、各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材の傾きを求め、各部材の傾きより走行体Aの走行位置の異常を判定することが好ましい。このような傾きは、クリップ自体の形状変化等によっても生じうるが、例えば図1のBのように連結部材2とピン3で部材1を連結している走行体Aにおいては、ピン3の磨耗時に生じやすい。そのため、このような態様とすることにより、特にピン3の磨耗に起因する走行体Aの走行異常を早期に検出可能となる。
以下、部材の傾き及びその発生メカニズムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。図2のAは、同じ形状をした部材が連結部材とピンを介して連なった走行体Aが正常に走行している様子を、平面Bと垂直な方向から観察したときの概略図であり、図2のBは、図2のAの走行体Aに傾きが生じた様子を、同様に観察したときの概略図である。図2のAに示すような、同じ形状をした部材1が連結部材2とピン3を介して連なった走行体A(具体例としては、部材1がクリップであるクリップチェーン等が挙げられる。)において、各部材1は通常、図2のAに示すように平面B(図示しない)内で一定の軌跡(軌跡X5)を描くように走行方向4に走行する。しかしながら、長期運転等により部材1と連結部材2を繋ぐピン3が磨耗して徐々に細くなると、磨耗により細くなったピン6がピンホール7内で自由に動くことが可能となるため、部材1の軌跡が軌跡X5から平面Bと平行な方向にずれて、部材1の傾きが生じる。さらに、磨耗により細くなったピン6がピンホール7内で自由に動くことが可能となると、クリップチェーンを引き伸ばしたときの長さも長くなるため、ピン3が正常な箇所でもこのような傾きが発生することもある。
各部材の傾きの有無は、閾値を定めて判定することができ、閾値は走行体Aの走行速度や走行体Aの軌跡に求められる精度等に応じて適宜定めることができる。また、走行体Aがテンター装置のクリップチェーンである場合は、これらの要素に加えて延伸倍率や製造するフィルムの厚み等も閾値の設定にあたり考慮することが好ましい。以下、後述する各部材のシフトの有無においても同様である。
本発明の走行位置の異常判定方法においては、前述の各部材の傾きを用いる方法の他に、各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材のシフト距離を求め、各部材のシフト距離より走行体Aの走行位置の異常を判定することも好ましい。このような部材のシフトは、クリップ自体の形状変化等によっても生じうるが、例えば図1のBのように連結部材2とピン3で部材1を連結している走行体Aにおいて、連続する2つのピン3が共に磨耗することにより生じやすい。そのため、このような態様とすることにより、連続する2つのピン3の磨耗に起因する走行体Aの走行異常を早期に検出可能となる。
以下、部材のシフト及びその発生メカニズムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。図2のCは、図2のAの走行体Aに部材のシフトが生じた様子を表す概略図である。図2のAに示すような、同じ形状をした部材1が連結部材2とピン3を介して連なった走行体A(具体例としては、部材1がクリップであるクリップチェーン等が挙げられる。)において、長期運転等により部材1と連結部材2を繋ぐピン3が磨耗して徐々に細くなると、磨耗により細くなったピン6がピンホール7内で自由に動くことが可能となる。このような状況が連続する2つのピン3で生じると、部材1の軌跡が軌跡X5と平面Bに平行な方向にシフトする。さらに、磨耗により細くなったピン6がピンホール7内で自由に動くことが可能となると、クリップチェーンを引き伸ばしたときの長さも長くなるため、前述の傾きと同様に、このようなシフトもピン3が正常な箇所で発生することがある。
本発明の走行位置の異常判定方法においては、各部材の傾きとシフト距離の両方より走行体Aの走行位置の異常を判定することがより好ましい。このような態様とすることにより、図2のB及びCに示すような走行異常を共に検出することが容易となる。
本発明における位置変化量の検出は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、設置容易性の観点から、接触式センサ及び非接触式センサの少なくとも一方で行うことが好ましい。中でも、設備保護及び検出精度の観点から、非接触式センサを用いることがより好ましい。非接触式センサは本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えばKEYENCE(株)社製のLK−G155等を好適に用いることができる。また、使用するセンサの種類や応答周波数に応じて検出を行うタイミングを選択してもよく、例えば、フィルム製造時あるいは定期点検時等に行うことができる。
以下、本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は、本発明の走行位置の異常判定方法により、テンター装置のクリップレールの走行状態を監視することを特徴とする。このような態様とすることにより、フィルムの製造時にリアルタイムでクリップチェーンの走行異常を検出することができるため、それに伴う延伸ムラやフィルムの破断等を予め予測することや、早期に発見することが可能となる。
次に、本発明の走行位置の異常判定方法を備える二軸配向フィルムの製造方法について、逐次二軸延伸法によるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの製造を例に挙げて以下に説明する。但し、本発明は以下の態様に限定されない。
先ず、PETペレットを押出機の原料投入部に供給し、これを加熱溶融する。その後、ギヤポンプ等で押出量を均一化して、加熱溶融されたPETを押出し、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除く。通常、フィルムを単層構成とする場合においては押出機を1台とし、積層構成とする場合は押出機を複数台とすることができる。複数台の押出機を用いる場合は、フィルターを通過した熱可塑性樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイ、フィードブロック、及びスタティックミキサー等を用いることができ、これらを任意に組み合わせてもよい。
このようにして得られたPETの溶融体を口金からシート状に吐出し、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出して冷却固化することにより、無配向シートを得る。シート状溶融物から無配向シートを得る具体的な方法としては、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、シート状溶融物を静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。
次に、無配向シートを長手方向に延伸する縦延伸工程へと進む。縦延伸工程においては、冷却固化により得られた無配向シートを、縦延伸して一軸配向フィルムを得る。縦延伸は、一本又は周速の等しい複数本の延伸ロールを使用して1段階で行うことも、周速の異なる複数本の延伸ロールを使用して多段階に行うことも可能であり、その倍率は、3.0〜5.0倍が好ましい。長手方向とは、シート若しくはフィルムが走行する方向をいい、これに面内で直交する方向が幅方向となる。
また、縦延伸工程後、後述する横延伸工程に進む前に、得られた一軸配向フィルムの両面若しくは片面に、易接着層等の機能層を形成させるための塗剤を塗布する工程を設けることも可能である。塗剤を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
その後、縦延伸工程で得られた一軸配向フィルムを、テンター装置により幅方向に延伸する横延伸工程に進む。テンター装置を用いた横延伸工程においては、一軸配向フィルムの幅方向両端部を把持するクリップをレールに沿って走行させることで一軸配向フィルムを長手方向に走行させながら、クリップの幅方向の間隔を広げることによって一軸配向フィルムを幅方向に延伸する。横延伸の倍率は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができるが、3.0〜5.0倍が好ましい。
テンター装置は、一軸配向フィルムの幅方向両端部を把持して横延伸を行うため、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体である走行体Aに相当するクリップチェーンを、搬送される一軸配向フィルムの両外側に有する。そして、このクリップチェーンの走行時の軌跡は周期性を有し、かつ一つの平面(平面B)上にある。さらに、各クリップについて、平面Bと垂直な方向からクリップチェーンを観察したときに各クリップが描く軌跡(軌跡X)からの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定する、走行位置の異常判定方法を備える。このような態様とすることにより、フィルムの製造時にリアルタイムでクリップの走行異常を検出することができるため、それに伴う延伸ムラやフィルムの破断等を予め予測することや、早期に発見することが可能となる。
クリップの位置変化量を検出する手段としては、例えば接触式センサや非接触式センサを好適に用いることができ、設備保護及び検出精度の観点から、非接触式センサを用いることがより好ましい。なお、検出した位置変化量からクリップチェーンを構成する各クリップの傾きやシフト量を求め、これらを基に各クリップの走行位置の異常を判定することも好ましい。
横延伸により得られた二軸配向フィルムは、その後必要に応じて結晶化によりPETの構造を安定させるための熱処理、及び冷却を施してもよい。これらの処理を行う手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、簡便性の観点からテンター装置内で行うことが好ましい。こうして得られた二軸配向フィルムは、その後の搬送工程で冷却され、一旦広幅の巻き取り機で中間ロールとして巻き取られた後、スリッターにより、必要な幅と長さに裁断されて最終製品となる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
(実施例1)
PETを160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機を用いて275℃で溶融押出しを行い、5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターで濾過した。続いて、得られた溶融樹脂組成物を285℃に保ったスリットダイよりシート状に押出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに密着させ、これを冷却固化して無配向シートを得た。この無配向シートを表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用いて、110℃で4.2倍に縦延伸して一軸配向フィルムを得た。その後、形状が同一である100mm幅のクリップ1,000個が25mm間隔で連結されたクリップチェーンを一軸配向フィルムの両外側に備えるテンター装置へ導入し、幅方向両端部をクリップチェーンで把持しながら115℃の熱風下で4.5倍に横延伸後、定張下で215℃の熱処理、及び弛緩処理を施し、さらに室温まで冷却して厚さ25μmの二軸配向フィルムを得た。このようなフィルムの製造を720時間継続した。
フィルムの製造工程において、テンター装置におけるクリップの進行方向と垂直かつシート面と平行な方向より、非接触式変位計(KEYENCE(株)社製、LK−G155)を用いて、クリップチェーンを構成する各クリップの前方端部と後方端部の平面Bと平行な方向の位置変化量を測定し、得られた結果より、1.0°(絶対値)を閾値としてクリップの傾きが観察された場合を「走行位置の異常有り」として、走行位置の異常の有無と製膜安定性の関係を評価した。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
○:走行位置の異常が観察された部位の90%以上で、クリップ把持不良によるフィルム破断が生じた。
×:○に該当しなかった。
なお、フィルム破断がクリップの把持不良によるものか否かは、破断部位におけるクリップの把持跡の有無やずれを目視で観察することにより行った。
(実施例2)
クリップの傾きに代えて、2.0mm(絶対値)を閾値としてクリップのシフトが観察された場合を「走行位置の異常有り」とした以外は、実施例1と同様にフィルムの製造を行い、走行位置の異常の有無と製膜安定性の関係を評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
「走行位置の異常」として扱うクリップの傾きを平面Bと平行な方向のものではなく、平面Bと垂直な方向のものとした以外は実施例1と同様に走行位置の異常の有無と製膜安定性の関係を評価した。評価結果を表1に示す。なお、このとき非接触式変位計による測定は、テンター装置におけるクリップの進行方向と垂直かつシート面と垂直な方向より実施した。
(比較例2)
「走行位置の異常」として扱うクリップのシフト量を平面Bと平行な方向のものではなく、平面Bと垂直な方向のものとした以外は実施例2と同様に走行位置の異常の有無と製膜安定性の関係を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2020056713
本発明により、様々な原因で発生する走行位置の異常を検出することが可能であり、かつ多様な製造条件への適用が可能な、同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体の走行位置の異常判定方法を提供することができる。本発明の走行位置の異常判定方法は、例えばフィルムの製造に用いるテンター装置のクリップチェーンに適用することにより、クリップチェーンの走行異常に起因するフィルムの品質悪化や製膜不良を大きく軽減することができる。
1 部材
2 連結部材
3 ピン
4 走行方向
5 軌跡X
6 磨耗により細くなったピン
7 ピンホール

Claims (7)

  1. 同一形状の複数の部材が連結された構造を有する二次元走行体を走行体A、走行体Aを含む平面を平面B、平面Bと垂直な方向から走行体Aを観察したときに各部材が描く軌跡を軌跡Xとしたときに、各部材の軌跡Xからの位置変化量を用いて走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、走行位置の異常判定方法。
  2. 前記軌跡Xが周期性を有することを特徴とする、請求項1に記載の走行位置の異常判定方法。
  3. 前記位置変化量の検出を、接触式センサ及び非接触式センサの少なくとも一方で行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の走行位置の異常判定方法。
  4. 各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材の傾きを求め、各部材の傾きより走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
  5. 各部材の軌跡Xからの位置変化量より各部材のシフト距離を求め、各部材のシフト距離より走行体Aの走行位置の異常を判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
  6. 前記走行体Aがテンター装置のクリップチェーンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の走行位置の異常判定方法。
  7. 請求項6に記載の走行位置の異常判定方法により、前記テンター装置のクリップチェーンの走行状態を監視することを特徴とする、フィルムの製造方法。
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