JP7331589B2 - 中間ロールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安定した品位の中間ロールを得ることができる、中間ロールの製造方法に関する。
電気絶縁性を有するシートの一つであるフィルムは、その製造工程において、ロールを介して大気中を搬送するときに蛇行することや、ロール状に巻き取るときに巻きズレを起こすことがある。特に最終製品とする前に一旦巻き取ることで得られる中間ロールでこのような不具合が生じると、後続のスリット工程に影響を与えることとなるため、中間ロールを巻き取る際には、ワインダ等で巻きズレを抑えたロール形態に巻き取ることが重要である。また、近年、フィルム表面の平滑化が進んでいるため、フィルム表面の粒子突起の噛み合いによる巻層間の把持力が不足し、巻層間に巻き込まれる空気によってフィルムが浮き上がること等によって、巻きズレの問題が顕在化している。
このような問題に対して、フィルムの幅方向端部にエンボス加工、縞状の凸部形成等の処置を施すことにより、表面の摩擦係数を増大させてフィルム同士の密着性を高くして、搬送時の蛇行や巻き取り時の巻きズレを軽減することができる。但し、このような機械的な表面処理では、十分な滑り止め効果が得られず、巻きズレ等が発生することが多い。また、このような機械的な表面処理を施す場合、フィルムへの圧力の調整が難しく、製膜条件、フィルム厚みなどによっても調整が必要となる。さらに、同一条件下でも部品の経時変化などで圧力が変わり、フィルムに穴があくことによるコンタミの問題が生じることもある。
このような不具合を改善するための処理方法として、静電気力を利用する方法があり、例えば特許文献1~3に開示された帯電処理方法が知られている。これらの方法は、フィルムの表面を製造工程内で予め帯電させ、静電気力によって搬送ローラや巻取ローラに強く密着させフィルムの滑りを抑えることで、蛇行や巻きズレ等を軽減するものである。
特開2002-179822号公報 特開2009-023833号公報 特開2009-132507号公報
しかしながら、特許文献1~3の方法では、外部に放電電極と接続された電圧を印加する高圧電源を必要とし、印加する信号を制御する場合においては設備が高価であることや、帯電付与ロールに導電性を有するゴムが被覆されているため、圧着したフィルムとの摩擦によりゴムが摩耗変形し、帯電効果に経時変化が起きることが問題となる。加えて、フィルムとの摩擦で帯電付与ロールが削れて生じるゴムの屑が静電気力でフィルムに付着すると、これに起因してフィルムに穴があいてコンタミの問題を生じ得ることもある。また、表面の中心線平均粗さRaが10nm以下である平滑性の高いフィルムにおいては、帯電付与ロールとの摩擦係数や接触面積が大きくなる分だけゴムの摩耗が早く進むため、帯電付与ロールの長期使用が困難となる。
本発明は、係る従来技術の課題を解消し、長期間にわたって継続的に帯電の除去が可能な中間ロールの製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記の構成からなる。
(1) 搬送フィルムの幅方向両端部に帯電を付与する帯電付与工程を有する中間ロールの製造方法であって、前記搬送フィルム表面の中心線平均粗さRaが1nm以上10nm以下であり、かつ、前記搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が0.5kV以上5.0kV以下であることを特徴とする、中間ロールの製造方法。
(2) 前記帯電付与工程において、複数のローラ上の前記搬送フィルムを反対側から吸引することで、前記搬送フィルムに5N以上20N以下の摩擦力を掛けて帯電を付与することを特徴とする、(1)に記載の中間ロールの製造方法。
(3) 前記帯電付与工程において、長手方向と平行であり、かつ幅が25mm以上40mm以下である帯状の帯電領域を形成させることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の中間ロールの製造方法。
(4) 幅方向中央部よりも幅方向両端部において巻硬度が高く、幅方向両端部における巻硬度と幅方向中央部における巻硬度との差がアスカー硬度で、2.0°以上4.0°以下であることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の中間ロールの製造方法。
(5) 前記搬送フィルムの搬送速度が5m/min以上50m/min以下であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の中間ロールの製造方法。
本発明により、長期間にわたって継続的に帯電の除去が可能な中間ロールの製造方法を提供することができる。本発明のフィルムの製造方法を用いることにより、巻き取り時の端面ズレやフィルムの蛇行を軽減し、安定した品位の中間ロールを得ることができる。
本発明の中間ロールの製造方法に用いることができる帯電装置の一例を示す概略平面図である。 図1に示す帯電装置のA-A’断面図である。 摩擦係数の測定方法を示す概念図である。 本発明のフィルムの製造方法の一例を示す模式図である。 本発明に用いることができる帯電付与装置をワインダに取り付けた例を示す模式図である。
本発明の中間ロールの製造方法は、搬送フィルムの幅方向両端部に帯電を付与する帯電付与工程を有する中間ロールの製造方法であって、前記搬送フィルム表面の中心線平均粗さRaが1nm以上10nm以下であり、かつ、前記搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が0.5kV以上5.0kV以下であることを特徴とする。
本発明において、フィルムとは、紙や熱可塑性樹脂フィルム、金属箔等のシート状物をいい、搬送フィルムとは生産ライン上を走行するフィルムをいう。幅方向とは、フィルムが走行する方向(長手方向)とフィルム面内で直交する方向をいう。中間ロールとは、最終製品となるフィルムロールを製造する過程で、フィルムを一旦コアに巻き取って得られるフィルムロールをいう。通常、中間ロールよりフィルムを巻き出して、長手方向にスリットすることで、幅方向の端部を除去やフィルム幅の調整を行い、再度巻き取ることにより最終製品となるフィルムロールを得ることができる。
本発明の中間ロールの製造方法におけるフィルムは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、一般的に帯電しやすく、品質向上のために耐電除去が必要である観点から、熱可塑性樹脂フィルムであることが好適である。フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、芳香族ナイロン等のポリアミド系樹脂、その他ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステルエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、セルロース系樹脂、及びアクリル系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂は本発明の効果を損なわない限り、単独で用いても複数を混合して用いてもよく、他の構成単位を含む共重合体であってもよい。
また、中間ロールの製造方法におけるフィルムは、本発明の効果を損なわない限り、各種の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、耐候剤、無機又は有機の粒子、ワックス等の滑剤、及び顔料等が挙げられる。中でも、フィルムがポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アラミド、ポリイミド等を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムである場合、これらの添加剤を加えることにより、容易に各種機能を付与することができる。
本発明の中間ロールの製造方法は、搬送フィルムの幅方向両端部を帯電させる帯電工程を有する。ここで幅方向両端部とは、フィルムの各幅方向の端部であって、最終製品となるフィルムロールを得る過程(例えば、長手方向と平行にフィルムをスリットする工程等)で切断除去される部位をいう。通常、表面が帯電していることにより、フィルム同士の密着性が向上するためロールとして巻き取る際に形状が安定する。その一方で、中間ロールからフィルムを巻き出した後の工程でフィルム表面に金属などを蒸着する場合や、機能層を付与するための塗剤を塗布する場合等は、表面が帯電していると蒸着や塗布にムラが生じるため、最終製品の品質が低下する。そのため、このように後工程で切断除去される部分のみを意図的に帯電させることにより、帯電による巻きズレ防止効果を得ると共に、帯電による加工性低下を抑えることができる。
搬送フィルムの幅方向両端部を帯電させる方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、摩擦により帯電させる方法を用いることができ、そのための装置の具体例は後述する。
本発明の中間ロールの製造方法は、搬送フィルム表面の中心線平均粗さRaが1nm以上10nm以下であることが重要である。Raが1nm以上10nm以下であることは、搬送フィルム表面の平滑性が高いことを意味する。このような高平滑のフィルムは、ゴムで被覆された帯電付与ロールを用いる従来の方法では、帯電付与ロールとの摩擦係数や接触面積が大きくなる分だけゴムの摩耗が早く進むため、帯電効果の経時変化やそれに伴う巻きズレが生じ易く、また、長期間の実施も困難である。
Raが10nm以下であることにより、巻き取る際にフィルム表面の突起がロールの巻層間で噛み合うことで生じる把持力が小さくなるため、巻きズレが生じやすい。このような点から、搬送フィルム表面の中心線平均粗さRaが10nm以下である場合には、本発明の中間ロールの製造方法を用いる利点が大きくなる。一方、Raが1nm以上であることにより、搬送ロールと搬送フィルムとの滑り性の悪化が抑えられ、傷や皺等の誘発が軽減されるため、品位の安定したフィルムを得ることができる。
本発明の中間ロールの製造方法において、「Raが1nm以上10nm以下である」とは、中間ロールから巻き出したフィルムの幅方向両端部において、少なくとも片面のRaが当該範囲にあることをいい、Raは幅方向と平行に走査する触針式表面粗さ計で測定することができる。触針式表面粗さ計は、測定が可能なものであれば特に制限されず、例えば、小坂研究所製の表面粗さ計SE-3500等を使用することができる。当該装置を用いる場合の測定条件は、触針径5μm、評価長さ4mm、送り速さ0.1mm/sec、カットオフ値0.08mmとすることができる。なお、ここで幅方向端部とは、中間ロールの縁から20mm内側までの領域をいう。
Raを1nm以上10nm以下に制御する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フィルムの最外面に位置する層を、粒子を含むものとする方法が挙げられる。ここで用いることができる粒子としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカ等の無機粒子や、ポリエーテルサルホン、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等を構成成分とする有機粒子等が挙げられ、粒子径や粒子含有量の調整、製膜工程の加熱処理などにおいて、Raを大きくすることができる。より具体的には、粒子径を大きくすることや、粒子の含有量を多くすること等により、Raを大きくすることができる。また、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等が失活して形成される、いわゆる内部粒子による方法も用いることができる。また、別の方法として、フィルムを製膜する際に用いるキャストドラムの表面粗さを調節する方法が挙げられる。より具体的には、キャストドラムの表面粗さを大きくすることにより、Raを大きくすることができる。
本発明の中間ロールの製造方法は、巻きズレと皺の発生を軽減する観点から、搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が0.5kV以上5.0kV以下であることが重要である。搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が0.5kV以上であることにより、巻きズレを軽減できる程度にロール状に巻き取ったフィルム同士が密着するため、巻きズレの発生が抑えられる。一方、搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が5.0kV以下であることにより、中間ロールからの巻き出しが容易な程度にフィルム同士の密着力を抑えることができるため、巻き出し時に静電気力で密着した部分の剥離がスムーズになり、巻き出したフィルムにおける皺の発生を軽減できる。上記観点から、搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値は、1.0kV以上5.0kV以下であることが好ましい。
帯電量は、公知の静電気測定器により測定することができる。静電気測定器は、測定自体が可能なものであれば本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、キーエンス社製の静電気測定器 SK-050等を用いることができる。当該測定器を用いる場合、測定は、巻取直前(帯電装置よりも下流)の搬送フィルムから50mm離れた位置で行うものとする。
本発明の中間ロールの製造方法の帯電工程における帯電方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、巻き取り時における巻きズレと巻き出し時における皺の発生を軽減する観点から、複数のローラ上の搬送フィルムを反対側から吸引することで、搬送フィルムの幅方向両端部に5N以上20N以下の摩擦力を掛けて帯電させることが好ましい。摩擦力が5N以上であることにより、中間ロールを巻き取る際の巻きズレ防止に必要な密着力を実現できる程度に搬送フィルムが帯電する。一方、摩擦力が20N以下であることにより、巻き取られたフィルム間の密着力を、後工程で中間ロールよりフィルムを巻き出す際に剥離が困難とならない程度に抑えることができる。このように、巻き取られたフィルム間の密着力を適度に制御することができるため、巻き取ったフィルムロールの巻きズレと、巻き出したフィルムにおける皺の発生が抑えられる。
以下、当該方法に用いることができる帯電装置の一態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の中間ロールの製造方法に用いることができる帯電装置の一例を示す概略平面図であり、図2は、図1に示す帯電装置のA-A’断面図である。図1、2に示すように、白矢印の方向に走行する搬送フィルム1の幅方向両端部を帯電させるため、搬送フィルム1の幅方向両端部の下側に帯電装置2を設置する。このとき、搬送フィルム1の幅方向両端部における帯電量や幅を均一にすることにより巻きズレが軽減されるため、両側の帯電装置2は同じものを用いることが好ましい。
図2に示すように帯電装置2は、回転自在な複数本のローラ3からなるフィルムガイド手段4と、その下側より空気を吸引する吸引口5を有する。ここで回転自在とは、動力を持たないが、外部からの力により回転することが可能なことをいう。フィルムガイド手段4が回転自在なローラ3からなることで、搬送フィルム1の走行がスムーズになり、引っ掛かりによる傷や破れの発生が抑えられる。
吸引口5に吸引手段(図示しない)を接続し、複数本のロール3の隙間から空気を吸引して搬送フィルム1をフィルムガイド手段4に接触させることにより、ローラ3と搬送フィルム1との間に摩擦が生じて搬送フィルム1が帯電する。なお、このとき、ローラ3同士の間隔や吸引口5の大きさは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、搬送フィルム1の厚みや搬送速度等に応じて、吸引口内での負圧調整可能範囲が適切な範囲となるように調整することができる。
各ローラ3の材質は本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、金属が好ましい。具体的には、アルミ、ステンレス、鉄、及び亜鉛等の金属材料が好適に使用できる。大きさは特に限定されるものではないが、搬送フィルム1が薄い場合も走行に支障が出ないように、慣性モーメントが小さいものが好ましい。また、搬送フィルム1に傷がつかないように表面は鏡面に仕上げてあることが好ましいが、製造する搬送フィルム1に適した摩擦係数のローラ3を適宜選択することができる。
吸引手段は、本発明の効果を損なわず、吸引自体が可能なものであれば特に制限されず、例えばブロワや真空ポンプ等を用いることができる。また、吸引手段と吸引口5を連結する配管の途中に設けたバルブ等の開閉や、吸引手段自体の出力を調整することにより、吸引圧力を調整することができる。吸引圧力は、フィルム下面から100mm離れた位置の吸引口5内部において、吸引方向と垂直な平面における中心部で測定することができ、0.001MPa以上0.010MPaの範囲で制御することが好ましい。
また、フィルムガイド手段は、その両端部に周回自在なローラを備えたものであることがより好ましい。このようなフィルムガイド手段を有することで、吸引により吸引口を通してフィルム面近傍の空気が吸引され、該フィルム面がフィルムガイド手段に吸着される際に、フィルムがフィルムガイド手段に引っ掛かることによる傷や破れが発生しにくくなる。
前述の通り本実施形態では、吸引口による空気吸引が各ローラ間若しくは各ローラとケースの内面との間を通して行われるようになっているが、搬送フィルムの厚みや速度等に応じて、吸引口内での負圧調整可能範囲が適切な範囲となるように吸引口の大きさやケースの開口部の形状を適宜選択できる。
上記態様の帯電装置を用いる場合において、摩擦力は、ローラと搬送フィルムの摩擦係数、ローラと搬送フィルムの接触面積、吸引圧力を調節することにより制御することができる。より具体的には、ローラと搬送フィルムの摩擦係数、ローラと搬送フィルムの接触面積、吸引圧力との積を大きくすることにより、摩擦力を大きくすることができる。摩擦力は、下記式(1)により算出することができ、ローラと搬送フィルムの摩擦係数、ローラと搬送フィルムの接触面積、吸引圧力に比例して大きくなる。例えば、ローラと搬送フィルムの摩擦係数が定まっている場合、両者の接触面積と吸引圧力の調整により摩擦力を自由に制御することが可能である。
F=μSP (1)
ここで、Fは摩擦力(N)、μは帯電装置のローラと搬送フィルムの摩擦係数、Sは帯電装置のローラと搬送フィルムの接触面積(mm)、Pは吸引圧力(MPa)を表す。
以下、摩擦係数の測定方法について、摩擦係数の測定方法を示す概念図である図3を参照しながら説明する。図3に示すように、フィルム6を帯電装置より取り外したローラ3の表面に接触角7が90°になるように巻き付けた後、片端に0.1kgのおもり8を取り付け、もう片端をプッシュプルゲージ9で引っ張って滑動中の最大荷重を測定し、式(2)に代入して摩擦係数を求めることができる。
μ=ln(T2/T1)/φ (2)
ここで、μは摩擦係数、T1はおもり8による発生張力(100gf(0.98N))、T2はプッシュプルゲージで測定した最大荷重(N)、φはフィルム6の巻き付け角度(ここではπrad)、lnは自然対数を表す。
また、本発明の中間ロールの製造方法における帯電工程の設置箇所は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず適宜選択することができる。例えば、巻取コアに近接するタッチローラと上流側で最もタッチローラに近い位置にあるローラとの間に好ましく配置することができる。
本発明の中間ロールの製造方法は、巻き取り時における巻きズレと巻き出し時における皺の発生を軽減する観点から、帯電工程において、長手方向と平行であり、かつ幅が25mm以上40mm以下である帯状の帯電領域を形成させることが好ましい。帯電領域の幅が25mm以上であることにより、中間ロールを巻き取る際の巻きズレ防止に必要な密着力を実現できる程度の帯電領域を確保でき、帯電領域の幅が40mm以下であることにより、帯電量が過多とならず、巻き取られたフィルム間の密着力を、後工程で中間ロールよりフィルムを巻き出す際に剥離が困難とならない程度に抑えることができる。
帯電領域の幅を25mm以上40mm以下とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、適宜選択することができる。例えば、前述の帯電装置を用いる場合は、回転自在なローラの幅を大きくすることにより、帯電領域の幅を大きくすることができる。
帯電領域の幅は、通常、導電性の板の上にフィルムを置いて、その上からトナーを振りかけたときに、これが付着した領域幅の長さを測定することにより決定することができる。なお、帯電処理部以外にもトナーが付着する場合は、トナー付着量によって帯電領域とそれ以外の領域の境目を見極めて、帯電領域の幅を決定することができる。
本発明の中間ロールの製造方法は、巻き取り時における巻きズレと巻き出し時における皺の発生を軽減する観点から、幅方向中央部よりも幅方向両端部におけるアスカー硬度を高くし、幅方向両端部におけるアスカー硬度と幅方向中央部におけるアスカー硬度との差を2.0°以上4.0°以下とすることが好ましい。アスカー硬度とは、ロールの巻硬度を意味し、例えば、高分子計器株式会社製のASKERゴム硬度計を用いて測定することができる。幅方向両端部におけるアスカー硬度と幅方向中央部におけるアスカー硬度との差が2.0°以上4.0°以下であるとは、各幅方向端部におけるアスカー硬度より幅方向中央部におけるアスカー硬度を差し引いて得られる差が、共に当該範囲にあることをいう。
幅方向中央部よりも幅方向両端部におけるアスカー硬度が高いことは、中間ロールの幅方向中央部よりも幅方向両端部の巻き締まりが強いことを意味し、このような態様とすることにより、中間ロールの巻きズレを抑えることができる。また、幅方向両端部におけるアスカー硬度と幅方向中央部におけるアスカー硬度との差を2.0°以上とすることにより、中間ロールを巻き取る際の巻きズレ防止に必要な程度の巻き締まりを確保できる。一方、この差を4.0°以下とすることにより、巻き締まりの強さを、後工程で中間ロールよりフィルムを巻き出す際に剥離が困難とならない程度に抑えることができ、結果、巻き出し時の皺の発生が軽減される。
幅方向中央部よりも幅方向両端部におけるアスカー硬度を高くし、幅方向両端部におけるアスカー硬度と幅方向中央部におけるアスカー硬度との差を2.0°以上4.0°以下とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、搬送フィルムの幅方向端部の帯電量を幅方向中央部の帯電量よりも高くし、中間ロールを巻き取る際に幅方向両端部におけるフィルム同士の静電密着力を上げる方法や、中間ロールを巻き取る際に幅方向両端部において、幅方向中央部よりもニップローラの接圧を高くする方法が採用される。なお、これらの方法においては、幅方向両端部の帯電量と幅方向中央部の帯電量の差を大きくすること、若しくは、幅方向両端部の接圧と幅方向中央部の接圧との差を大きくすることで、アスカー硬度差を高くすることができる。
本発明の中間ロールの製造方法は、生産性向上と巻き取り時の皺発生軽減の観点から、搬送フィルムの搬送速度が5m/min以上50m/min以下であることが好ましい。搬送フィルムの搬送速度が5m/min以上であることにより、実用上問題のない程度の生産性を確保できる。一方、搬送フィルムの搬送速度が50m/min以下であることにより、巻き取り時に随伴する空気の量を抑えることができ、中間ロール端部の巻きズレを軽減できる程度に巻硬度を維持できる他、中間ロールの円周方向に空気を逃がすことが容易となり、中間ロールの端部より内側の領域での皺発生も軽減できる。
本発明の中間のロールの製造方法において、搬送フィルムの厚みは本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、本発明の効果を発揮しつつ搬送フィルムの破れを軽減す観点から、0.5μm以上20μm以下が好適である。搬送フィルムの厚みが0.5μm以上であることにより、搬送フィルムの剛性が確保されるため、帯電装置との接触による破れを軽減できる。一方、搬送フィルムの厚みが20μm以下であることにより、フィルムの剛性が過剰とならず、帯電装置の吸引による接触帯電を十分に確保できる。なお、搬送フィルムの厚みは、幅方向にスキャン可能な非接触式のオンライン厚さ計により測定することができ、口金からの樹脂の吐出量を制御することで調節することができる。
以下、本発明の中間ロールの製造方法について、溶液製膜法による芳香族ポリアミドフィルムを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(原料調製工程)
先ず、芳香族ポリアミドは、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合を行うことや、水系媒体を使用する界面重合を行うこと等により得ることができる。ポリマー溶液(製膜原液)には、単量体として酸クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、又はエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行われる。
製膜原液には溶解助剤として無機塩、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加することもできる。粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十分スラリー化した後に重合用溶媒又は希釈用溶媒として使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方法などがある。ポリマー濃度は高い方が生産性向上につながり望ましいが、現実的なプロセスの観点から5~35質量%の範囲内であることが好ましい。
その後、このようにして得られた製膜原液に1質量%以上20質量%未満の有機粒子を添加する。粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に溶解させた後、重合用溶媒又は希釈用溶媒として使用する方法、粒子を予め溶媒中に十分スラリー化した後、重合用溶媒又は希釈用溶媒として使用する方法、及び製膜原液を調製した後に直接添加する方法などを用いることができる。
また、重合した製膜原液を2つ以上に分け、2層以上を有する積層フィルムを製造することもできる。これら積層の方法としては周知の方法、例えば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1つの層を形成した後、その上に他の層を形成する方法などがある。積層フィルムの場合、それぞれの製膜原液の溶液粘度は、その差が好ましくは500ポイズ以下、より好ましくは300ポイズ以下である。このような態様とすることにより、口金内、複合管内での流動特性、他の層上への積層時の流動特性がより均質になる。また、流動特性をより均質にするために、口金直前に混練機能のついた配管(スタティック・ミキサー)を用いてもよい。
(製膜工程)
上記のように調製された製膜原液を用いて、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化を行うことができる。溶液製膜法には製膜原液をエンドレスベルトやドラム等の支持体にキャストした後乾燥し、フィルムの剥離や熱処理を行う乾式法、製膜原液乾燥工程を経ずに直接水中に押し出して溶媒抽出後に熱処理を行う湿式法、支持体上で乾燥とフィルム剥離をした後に湿式工程に導入する乾湿式法などがあるが、本発明のフィルムを得るには乾湿式法、湿式法が望ましい。以下に、本発明のフィルムの製造方法の一例を示す模式図である図4を用い、乾湿式法を例に説明する(但し、図4においては横延伸後の膜圧測定以降の工程(帯電処理工程と巻き取り工程を簡略化しており、これらの工程は図5の例を用いて説明する。すなわち、ここで説明する製造例は、図4の膜圧測定以降に図5で示す巻き取り工程が続くものである。)。
乾湿式法で製膜する場合は、先ず口金10からドラムやエンドレスベルト装置等の支持体11上にポリマー溶液12を押し出して薄膜化し、乾燥機13により係る薄膜から溶媒を一部除去してフィルム(搬送フィルム1)とする。次いで、搬送フィルム1を溶媒抽出処理装置14に導入して残存溶媒や無機塩類等を抽出し、かつ、複数の駆動ローラ15a及び従動ローラ15bにより、各々のローラの周速差を用いて長手方向に延伸を行う。次に横延伸機(テンター)16に導入して横延伸、乾燥、熱処理を施す。その後、膜厚測定器17によりフィルムの厚みを測定し、巻取機18によりロール状に巻き取ってフィルムロールを得る。また、膜厚測定器17により得られた厚みデータを用いて、口金1のスリット間隙調整を自動的に行って厚みを調整してもよい。
巻取機18は、巻き取りが可能なものであれば特に制限されないが、例えば、少なくとも連続した搬送フィルム1を巻き取る巻取コア、巻取コアに近接するタッチローラ、及びタッチローラより搬送方向上流側に搬送フィルム1が接触する複数本のローラを備えたフィルムの巻取機、いわゆるワインダを好適に用いることができる。以下、巻取機18としてワインダを用いる場合の帯電付与工程、巻き取り工程について説明する。
巻取機18にて搬送フィルム1を巻き取る前には、トリミング装置(図示しない)にてフィルム幅方向端部を切り落とす。その後、搬送フィルムの幅方向両端部を帯電させる帯電工程を経て、巻取機18を用いて中間ロールを巻き取る。巻き取りに際しては、巻き取り側の巻き取り張力検出ローラで張力を検出しながら、所定の巻き取り張力でフィルムをロール状に巻き取る。また、巻き取り面圧については、中間ロールをコンタクトロールに接圧させながら調整することができる。なお、帯電の付与は、複数のローラ上の搬送フィルムを反対側から吸引することで、摩擦力を掛けることにより行うことができ、例えば、図1及び図2に示すような帯電装置を好適に用いることができる。
図5は本発明に用いることができる帯電装置をワインダに取り付けた例を示した模式図である。図4に示す製膜工程で成型、延伸された搬送フィルム1は複数本の搬送ローラ19を経て、巻取コア20に中間ロール21として巻き取られる。その際、タッチローラ22を巻取コア20に付勢しながら巻き取ることで、中間ロール21における層間の空気を適度に排除し、皺の少ない中間ロール21を得ることができる。また、中間ロール21又は中間ロール21とタッチローラ22の接触部に向かって中和イオンを供給するための、巻取除電装置23がフィルム幅方向全体にわたって設置されている。帯電装置2は、例えばタッチローラ22と、タッチローラ22の上流側直前の搬送ローラ19との間に設置するのが好ましい。すなわち帯電付与工程は、中間ロールを巻き取る巻き取り工程の直前に設けることが好ましい。
本発明における巻き取り工程では、巻き取り面圧を50N/m以上150N/mの以下の範囲にコントロールすることが好ましい。面圧が50N/mよりも低い場合、フィルムが巻きズレを起こすことや、巻き姿の欠点が発生することがある。また、巻きズレにより作業性も悪くなる。面圧が150N/mより高い場合、フィルム同士の静摩擦係数(μs)が高いため異物巻き込みが発生しなくともフィルムの滑りの関係で核なしのツブが発生し、ツブ状隆起欠点が発生しやすい。より好ましい条件としては、面圧を80N/m以上120N/m以下の範囲にすることである。
こうして得られた中間ロールよりフィルムを巻き出し、スリッタにより、必要な幅と長さに裁断されて最終製品となる。このとき、一本の中間ロールより得る最終製品は、1本であっても複数本であってもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[各項目の測定、評価方法]
(フィルム厚み)
テンター装置を通過後に除冷されたフィルムを、幅方向10mm間隔で1分間ごとにβ線厚み測定器で測定し、20分間の全厚み測定値の平均値を算出した。得られた値をフィルム厚み(μm)とした。
(搬送フィルム表面の中心線平均粗さRa)
中間ロール両端部から採取したフィルムを65mmサイズにカットし、帯電装置を通過した面の中心線平均粗さを、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製 SE-3500)で測定し、両端部の平均値を算出した。得られた値を搬送フィルム表面の中心線平均粗さRa(nm)とした。なお、表面粗さ計による測定時の測定条件は触針径5μm、評価長さ4mm、送り速さ0.1mm/sec、カットオフ値0.08mmとした。
(帯電装置のローラと搬送フィルムの摩擦係数)
中間ロールの幅方向両端部から20mm(幅方向)×500mm(長手方向)の長方形状のフィルムサンプルを採取し、帯電装置より取り外したローラの表面に、接触角が90°となるように、かつ帯電装置を通過した面が接触するように巻き付けた。その後、片端に0.1kgのおもりを取り付け、もう片端をプッシュプルゲージで引っ張って滑動中の最大荷重を求め、式(2)に代入して摩擦係数を測定して両端部の値の平均値を算出した。得られた値を帯電装置のローラと搬送フィルムの摩擦係数とした。
μ=ln(T2/T1)/φ (2)
ここで、μは摩擦係数、T1はおもり8による発生張力(100gf(0.98N))、T2はプッシュプルゲージで測定した最大荷重(N)、φはフィルム6の巻き付け角度(ここではπrad)、lnは自然対数を表す。
(帯電領域幅)
先ず、中間ロールから円周分のフィルムを全幅カットし、導電性の板の上に帯電装置を通過した面が上になるようにフィルムを置いて、その上からトナーを振りかけた。次いで、トナーが付着した各領域の幅方向の長さを定規で測定した後、その平均値を算出し、得られた値を帯電領域幅(mm)とした。なお、帯電処理部以外にもトナーが付着した場合は、トナー付着量によって帯電領域とそれ以外の領域の境目を見極めて、帯電領域幅(mm)を決定した。
(吸引圧力)
吸引圧力は、両端部の帯電装置のフィルム下面から100mm離れた位置の吸引配管に圧力計を各々接続し、中間ロール巻取中に目盛を読み取り、双方の平均値を算出することで求めた。得られた値を吸引圧力(MPa)とした。なお、吸引圧力の調整は、吸引配菅に設けた空気量調整バルブで行った。
(摩擦力)
先ず、先に記載の方法で測定した帯電処理幅に帯電装置の長手寸法(100mm)をかけて、帯電装置のローラと搬送フィルムの接触面積(以下、単に接触面積ということがある。)を求めた。この接触面積と、先に記載の方法で測定した帯電装置のローラと搬送フィルムの摩擦係数、吸引圧力を用いて、下記式(1)で摩擦力(N)を算出した。
F=μSP (1)
ここで、Fは摩擦力(N)、μは帯電装置のローラと搬送フィルムの摩擦係数、Sは帯電装置のローラと搬送フィルムの接触面積(mm)、Pは吸引圧力(MPa)を表す。
(帯電量の絶対値)
帯電装置を通過した巻取直前の搬送フィルム両端部より、帯電装置を通過したフィルム面と対向するよう垂直な方向に50mm離れた位置に静電気測定器(株式会社キーエンス製SK-050)を各々設置し、両端部の平均値を算出して得られた値を帯電量の絶対値(kV)とした。
(中間ロールの幅方向端部と中央部のアスカー硬度差)
中間ロール巻き上がり直後に、アスカーゴム硬度計C型(高分子計器株式会社製)を使用し、中間ロールの各幅方向端部から20mm内側の位置と中央部のアスカー硬度を測定した。その後、幅方向両端部から20mm内側の位置における測定値の平均値を求め、当該平均値と中央部のアスカー硬度の差を算出した。
(巻きズレ発生状況)
中間ロールの巻きズレ発生状況は、端面のズレ幅(飛出し幅)を次の3段階で評価した。
〇:端面のズレ幅が0.5mm以下であった。
△:端面のズレ幅が0.5mmを超え、2.0mm以下であった。
×:端面のズレ幅が2.0mmを超えた。
(スリッタ巻出時の剥離性)
40N/mの巻出張力をかけながら、60m/minの速度で中間ロールよりフィルムを巻き出したときに発生する皺や引きつりの有無を目視で確認することにより、スリッタ巻出時の剥離性を次の2段階で評価した。なお、実施例6のみ、巻出張力を110N/m、巻出速度を40m/minとした。
〇:皺や引きつりの発生がなかった。
×:皺や引きつりの発生があった。
[フィルムの製造]
(実施例1)
N-メチルピロリドン(NMP)に、芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2-クロロパラフェニレンジアミン(CPA)と15モル%に相当するジフェニルエーテル(以下DPE)を溶解させて反応溶液を調整した。次いで、反応溶液に98.5モル%に相当するクロロテレフタル酸クロライド(CTPC)を添加して、重合前にポリエーテルサルホン(住友化学(株)製“スミカエクセル”(登録商標)5400P、以下PESと略す。)を芳香族ジアミン成分に対して5.0質量%になるように添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い、重合ポリマーを得た。
次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の攪拌を行った後、ポリマー濃度10.8質量%の芳香族ポリアミド溶液Aを得た。さらに、芳香族ポリアミド溶液Aと同様の原料調整方法で、重合前にPESの代わりに、平均1次粒径が16nmのシリカ(日本アエロジル株式会社製“AEROSIL”(登録商標)R972タイプ)を添加し、芳香族ポリアミド溶液Bを得た。このときのシリカの添加量は、ポリマーとシリカの質量比が99.7:0.3となる量とした。その後、芳香族ポリアミド溶液Aを濾過精度1.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。このときの芳香族ポリアミド溶液AとBの積層比率(厚み比)は、それぞれ50%となるようにした。
続いて、図4に示した製造装置を用い、エンドレスベルト(支持体11に相当)上に、積層した芳香族ポリアミド溶液Bがエンドレスベルト面になるよう流延し、120℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得た膜体をエンドレスベルトから連続的に剥離した。その後、溶媒抽出処理装置14の槽内へ膜体を導入して、縦方向に1.15倍に延伸しながら残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。こうして得られた一軸配向フィルムをテンター装置(横延伸機16に相当)のクリップに把持させて、幅方向に1.46倍に延伸しながら250℃で1分間乾燥と熱処理を行った後、20℃/秒の速度で徐冷し、速度50m/minでフィルムを搬送させながら、トリミング装置でクリップ把持部の除去を行い、幅2.2m、厚み4μm、表面粗さ2nm、フィルムA層側(帯電装置を通過した面側)とローラとの摩擦係数0.9の二軸配向芳香族ポリアミドフィルムを得た。
次に、図5に示す態様のワインダを用いてフィルムを巻き取るに当たり、フィルムA層側の幅方向両端から40mm内側にかけて、長手方向に100mmの長さで接触するよう帯電装置2の幅方向位置を調整し、巻長が25,000mになるまで中間ロール21を巻き取った。この巻き取り工程の間及び中間ロール採取後に、各項目の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、帯電装置2の吸引圧力は0.005MPaとした。巻取コア20は鉄製の外径250mm、長さ3mの中空パイプとし、両端を回転自在に把持して外部の駆動装置で回転駆動可能な状態とした。タッチローラ22は外径200mm、長さ2.5mの表面がゴムからなるローラであり、100N/mの圧力で中間ロール21に押し付けた。また、巻き取り時には、フィルムに付与する張力を50N/mとし、中間ロール21とタッチロール22の接触部に向かって除電を行った。
(実施例2~4、比較例1)
吸引圧力、帯電処理幅を表1の通りとした以外は実施例1と同様にフィルムの製造、各項目の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
NMPに、85モル%に相当するCPAと15モル%に相当するDPEを溶解させ、この溶液を濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通して濾過した後、重合槽へ移送し、これに濾過精度1.0μmのポリプロピレンからなるフィルターに通した98.5モル%に相当するCTPCを添加した。さらに、重合前にPESを芳香族ジアミン成分に対して18.0質量%になるように添加して、30℃以下で2時間の撹拌を行い、重合ポリマーを得た。次に、重合ポリマー中の塩化水素に対して98.5モル%の炭酸リチウムを添加して4時間の中和を行い、重合ポリマー中の塩化水素に対して10モル%のトリエタノールアミンを添加して1時間の攪拌を行うことで、ポリマー濃度10.8質量%の芳香族ポリアミド溶液Cを得た。
次いで、得られた芳香族ポリアミド溶液Cを濾過精度1.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通し、また、実施例1と同様にして得られた芳香族ポリアミド溶液Bを濾過精度5.0μmのステンレスからなる金属繊維フィルターに通した後に口金内部で積層した。この時の芳香族ポリアミド溶液CとBの積層比率(厚み比)は、8:2になるようにした。
図4に示した製造装置を用い、エンドレスベルト(支持体11に相当)上に、積層した芳香族ポリアミド溶液Bがエンドレスベルト側になるよう芳香族ポリアミド溶液を流延し、130℃の熱風で3分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得た膜体をエンドレスベルトから連続的に剥離した。次に、溶媒抽出処理装置14の槽内へ膜体を導入して、縦方向に1.05倍に延伸しながら残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。こうして得られた一軸配向フィルムをテンター装置(横延伸機16に相当)のクリップに把持させて、幅方向に1.08倍延伸を行いながら280℃で2分間乾燥と熱処理を行った後、20℃/secの速度で徐冷し、速度30m/minでフィルムを搬送させながら、トリミング装置でクリップ把持部の除去を行い、幅1.4m、厚み12μm、表面粗さ5nm、フィルムC層側(帯電装置を通過した面側)とローラとの摩擦係数0.6の二軸配向芳香族ポリアミドフィルムを得た。
次に、図5に示す態様のワインダを用いてフィルムを巻き取るに当たり、フィルムC層側の幅方向両端から40mm内側にかけて、長手方向に100mmの長さで接触するよう帯電装置2の幅方向位置を調整し、巻長が8,000mになるまで中間ロール21を巻き取った。この巻き取り工程の間及び中間ロール採取後に、各項目の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、帯電装置2の吸引圧力は0.005MPaとした。巻取コア20は鉄製の外径250mm、長さ3mの中空パイプとし、両端を回転自在に把持して外部の駆動装置で回転駆動可能な状態とした。タッチローラ22は外径200mm、長さ2.5mの表面がゴムからなるローラであり、90N/mの圧力で中間ロール21に押し付けた。また、巻き取り時には、フィルムに付与する張力を140N/mとし、中間ロール21とタッチロール22の接触部に向かって除電を行った。
(比較例2)
帯電装置2を設けなかった以外は実施例1と同様にフィルムの製造、各項目の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0007331589000001
本発明により、長期間にわたって継続的に帯電の除去が可能な中間ロールの製造方法を提供することができる。本発明の中間ロールの製造方法を用いることにより、巻きズレやそれに伴うフィルムの傷を軽減することができるため、フィルムの品質を向上させることができる。
1 搬送フィルム
2 帯電装置
3 ローラ
4 フィルムガイド手段
5 吸引口
6 フィルム
7 接触角
8 おもり
9 プッシュプルゲージ
10 口金
11 支持体
12 ポリマー溶液
13 乾燥機
14 溶媒抽出処理装置
15a 駆動ローラ
15a 従動ローラ
16 横延伸機(テンター)
17 膜厚測定器
18 巻取機
19 搬送ローラ
20 巻取コア
21 中間ロール
22 タッチローラ
23 巻取除電装置

Claims (5)

  1. 搬送フィルムの幅方向両端部に帯電を付与する帯電付与工程を有する中間ロールの製造方法であって、前記搬送フィルム表面の中心線平均粗さRaが1nm以上10nm以下であり、かつ、前記搬送フィルムの幅方向両端部における帯電量の絶対値が0.5kV以上5.0kV以下であることを特徴とする、中間ロールの製造方法。
  2. 前記帯電付与工程において、複数のローラ上の前記搬送フィルムを反対側から吸引することで、前記搬送フィルムに5N以上20N以下の摩擦力を掛けて帯電を付与することを特徴とする、請求項1に記載の中間ロールの製造方法。
  3. 前記帯電付与工程において、長手方向と平行であり、かつ幅が25mm以上40mm以下である帯状の帯電領域を形成させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中間ロールの製造方法。
  4. 幅方向中央部よりも幅方向両端部において巻硬度が高く、幅方向両端部における巻硬度と幅方向中央部における巻硬度との差がアスカー硬度で、2.0°以上4.0°以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の中間ロールの製造方法。
  5. 前記搬送フィルムの搬送速度が5m/min以上50m/min以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の中間ロールの製造方法。
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