JP2020055975A - セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]原料セルロースから、化学的な解繊をすることなく、且つ、後処理で物理・機械的な解繊を行わずにセルロースナノファイバーを連続的に得る方法であって、温度が180℃以上370℃未満で、且つ、圧力が5MPa〜35MPaである、高温・高圧の状態の亜臨界水と、前記原料セルロースとを混合することで前記原料セルロースを解繊し、水に分散したセルロースナノファイバーを得ることを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
[2]前記混合を、前記亜臨界水の流れの中に前記原料セルロースを連続して供給し、前記原料セルロースを前記亜臨界水中に20秒以内の短時間存在させることで行って、連続的にセルロースナノファイバーを得る[1]記載のCNFの製造方法。
[3]平均繊維径が20nm未満であるセルロースナノファイバーを得るための[1]又は[2]に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
[4]前記高温・高圧の状態が、温度が200℃以上350℃未満で、且つ、圧力が10MPa〜35MPaである[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
[5]前記高温・高圧の状態が、温度が250℃以上350℃未満で、且つ、圧力が20MPa〜35MPaである[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
[6]さらに、前記混合後に急冷する工程を設ける[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
[7]前記[1]〜[6]に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするセルロースナノファイバー。
[8]化学修飾されておらず、且つ、平均繊維径が20nm未満であることを特徴とするセルロースナノファイバー。
[9]前記平均繊維径が、2〜10nmである[8]に記載のセルロースナノファイバー。
次に、発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明のCNFの製造方法は、原料セルロースから、化学的な解繊をすることなく、且つ、後処理で機械的な解繊を行わずにCNFを連続的に得る方法である。すなわち、温度が180℃以上370℃未満で、且つ、圧力が5MPa〜35MPaである、高温・高圧の状態の亜臨界水と、前記原料セルロースとを混合することで前記原料セルロースを解繊し、水に分散したCNFを連続的に得ることを特徴とする。より具体的には、本発明は、亜臨界水と、原料セルロースとの混合を、亜臨界水の流れの中に原料セルロースを供給して、原料セルロースを数十秒〜数秒単位の短時間、より具体的には20秒以内の短時間、亜臨界水中に存在させる構成としたことで、連続的に、所望の繊維径のCNFを得ることを可能にした新規な技術に関する。
(使用した装置)
検討試験には、亜臨界水〜超臨界水の供給が可能で、条件設定によって、水を、本発明で規定する高温高圧の亜臨界水にできる亜臨界水の形成部(不図示)を有する、前記した図2に示した構成の処理装置を使用した。詳しくは、この装置は、亜臨界水と、セルロース原料が水で分散されている分散液を流入させるための2つの流入路と、流入した亜臨界水と、原料セルロースの分散液を合流させる合流部と、合流後の流体が供給されて、流体を構成する亜臨界水と原料セルロースとが順次撹拌混合される機能を有するスタティックミキサー構造を有する亜臨界解繊部とを有してなる。この装置は、図2に示したように、亜臨界解繊部で、所定条件の亜臨界水によって原料セルロースを短時間処理することで、CNFの水分散液を連続して得る連続フロー方式のものである。検討試験では、図2の装置を用いて、解繊条件を、水温が臨界温度374℃の手前の180℃〜370℃の熱水になる高温・高圧の亜臨界水を用いて、種々の検討を行った。
本実施例では、圧力が25MPa、温度が200℃の亜臨界水と、原料セルロースとして、上記した濃度0.6%のセルロース分散液を用いた。そして、図2に示した装置を用い、それぞれを5mL/minの速度で流し、合流部で合流させて、合流したセルロース分散液と亜臨界水の2つの液からなる流体を亜臨界解繊部に供給して、0.3%濃度のCNF分散液を得た。上記流体が亜臨界解繊部を流れた時間は、5秒であった。
圧力が25MPa、温度が230℃の亜臨界水を用いた以外は、実施例1と同様にして、0.3%濃度のCNF分散液を得た。図4に、本実施例で得た0.3%濃度のCNF分散液のSEM写真の図を示した。図4に示されているように、得られたCNFは、セルロース繊維への付着物は殆ど認められなかった。また、平均繊維径が約10nmであり、繊維径が細い揃った状態のものとなることが確認された。さらに、図3と図4との比較から、温度をより高温にしたことで、より繊維径の細いCNFが得られることが確認された。
圧力が0.1MPa、温度が25℃の常温常圧の水を用いた以外は、実施例1と同様にして、0.3%濃度のCNF分散液を得た。図5A及び図5Bに、本比較例で得た0.3%濃度のCNF分散液のSEM写真の図を示した。図5Aと図5Bは、倍率が異なる。これらの図5に示されているように、得られたCNFは、セルロース繊維へ付着物が多く付着しており、また、実施例1及び実施例2と異なり、繊維径が100nm以上のものが目立ち、細い揃った状態のものにはならないことが確認された。
Claims (10)
- 原料セルロースから、化学的な解繊をすることなく、且つ、後処理で物理・機械的な解繊を行わずにセルロースナノファイバーを連続的に得る方法であって、
温度が180℃以上370℃未満で、且つ、圧力が5MPa〜35MPaである、高温・高圧の状態の亜臨界水と、前記原料セルロースとを混合することで前記原料セルロースを解繊し、水に分散したセルロースナノファイバーを得ることを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。 - 前記混合を、前記亜臨界水の流れの中に前記原料セルロースを連続して供給し、前記原料セルロースを前記亜臨界水中に20秒以内の短時間存在させることで行って、連続的にセルロースナノファイバーを得る請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
- 平均繊維径が20nm未満であるセルロースナノファイバーを得るための請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記高温・高圧の状態が、温度が200℃以上350℃未満で、且つ、圧力が10MPa〜35MPaである請求項1〜3のいずれか1項にセルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記高温・高圧の状態が、温度が250℃以上350℃未満で、且つ、圧力が20MPa〜35MPaである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
- さらに、前記混合後に急冷する工程を設ける請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするセルロースナノファイバー。
- 化学修飾されておらず、且つ、平均繊維径が20nm未満であることを特徴とするセルロースナノファイバー。
- 前記平均繊維径が、2〜10nmである請求項8に記載のセルロースナノファイバー。
- 温度が180℃以上370℃未満で、且つ、圧力が5MPa〜35MPaである、高温・高圧の状態の亜臨界水の流れと、原料セルロースの分散液の流れを合流させる合流部と、該合流部に隣接して配置された、合流した前記亜臨界水と前記分散液とを順次撹拌混合させるスタティックミキサー構造を有する亜臨界解繊部とを有することを特徴とするセルロースナノファイバーの製造装置。
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