JP2018080438A - 被覆セルロースナノファイバー及びそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents

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尚史 金子
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Abstract

【課題】本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、樹脂中での分散性に優れるセルロースナノファイバーを提供することを目的とする。【解決手段】セルロースナノファイバーの表面の少なくとも一部に、被覆層を有する被覆セルロースナノファイバーであって、前記被覆層が、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆セルロースナノファイバー。前記セルロースナノファイバーは、0.1〜5mmol/gのカルボキシ基を有することが好ましく、前記リン脂質は、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有することが好ましく、前記糖脂質は、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、分散性に優れた被覆セルロースナノファイバー及びそれを含有する樹脂組成物に関する。
近年、セルロースを含有する植物繊維に機械的処理及び/又は化学的処理を施しナノサイズにまで解繊したセルロースナノファイバーを得る技術が開発され、低比重かつ高強度な樹脂用複合材料として注目されており、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバーを樹脂と混合することで、該樹脂の特性を高める試みがなされている(特許文献1参照)。しかしながら、それらの技術で得られる樹脂は、セルロースナノファイバーの樹脂中での分散性が十分ではなく、セルロースナノファイバーの混合による樹脂特性の向上に限界があった。
特許第5923370号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、樹脂中での分散性に優れるセルロースナノファイバーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下のことを見出した。即ち、本発明は、セルロースナノファイバーの表面の少なくとも一部に、被覆層を有する被覆セルロースナノファイバー及びそれを含有する樹脂組成物であって、前記被覆層が、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆セルロースナノファイバー;前記被覆セルロースナノファイバーの製造方法であって、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを含む混合物(X)の圧力が2MPa〜40MPaとなる工程を有する被覆セルロースナノファイバーの製造方法である。
本発明のセルロースナノファイバーは、樹脂中での分散性に優れる。
図1は、本発明における、ラインブレンドによる混合方法での被覆セルロースナノファイバーの作製に用いる実験装置のフローチャートである。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーの表面の少なくとも一部に、被覆層を有し、前記の被覆層は、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する。
本発明で用いるセルロースナノファイバーとして、好ましいのは天然セルロース繊維を機械的処理又は化学的処理して得られたもの等が挙げられ、分散性の観点から好ましいのは、天然セルロース繊維に、化学的処理により官能基を化学修飾したセルロースナノファイバーである。
前記の化学修飾される官能基として、セルロースナノファイバーの分散性及びグリコシド結合の安定性の観点から好ましいのは、カルボキシ基、ホスホ基及びスルホ基であり、更に好ましいのはカルボキシ基である。
官能基を修飾するための化学的処理としては、糖鎖の水酸基に官能基を化学修飾する方法(特許5727660号公報等に記載の方法)や糖鎖を直接化学変性する方法(特許4074680号公報等に記載の方法)等が挙げられる。
上記の方法で得られるセルロースファイバーの内、セルロースナノファイバーと糖鎖との親和性の観点から好ましいのは、糖鎖の水酸基に官能基を化学修飾する方法で得たセルロースナノファイバーであり、更に好ましいのはカルボキシメチル化されたセルロースナノファイバー(カルボキシメチルセルロースナノファイバー)である。
また、室温での強度の観点から好ましいのは、糖鎖を直接化学変性する方法で得たセルロースナノファイバーであり、更に好ましいのはN−オキシル化合物[2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)等]存在下で酸化して得られたセルロースナノファイバー(TEMPO酸化セルロースナノファイバー)である。
セルロースナノファイバーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
セルロースナノファイバーがカルボキシ基を有する場合、セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基の濃度は、リン脂質及び糖脂質との密着性の観点から、前記セルロースナノファイバーの重量を基準として好ましくは0.09〜5mmol/gであり、更に好ましくは0.3〜3mmol/gである。
なお、セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基の濃度は、対象となるセルロースナノファイバーの濃度が既知である分散液に、0.01mol/l水酸化カリウム滴定用溶液(エタノール溶液)で滴定することで測定できる。
本発明におけるセルロースナノファイバーが、カルボキシ基以外に、カルボキシ基の塩であるカルボキシレート基を有する場合、被覆セルロースナノファイバーの分散性の観点から、カルボキシレート基のモル数の割合は、カルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数を基準として、10モル%以下であることが好ましく、更に好ましくは、1モル%以下である。
前記のカルボキシレート基のモル数の割合は、以下の方法により、セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数の濃度(mmol/g)を測定し、前記のカルボキシ基の濃度(mmol/g)を用いることで、導出できる。
<カルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数の濃度の測定方法>
カルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数の濃度は、対象となるセルロースナノファイバーの重量濃度が既知である分散液に、0.01mol/L塩酸水溶液をpH1.0になるまで添加し、カルボキシレート基をカルボキシ基にした後、電位差滴定装置を用いて、0.01mol/l水酸化カリウム滴定用溶液(エタノール溶液)で滴定し、以下の計算式から算出することができる。
[セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数の濃度(mmol/g)]=[第二中和点での滴定量と第一中和点での滴定量の差(ml)]×0.01/[セルロースナノファイバー分散液中のセルロースナノファイバーの重量(g)]
カルボキシ基及びカルボキシレート基の合計モル数に対するカルボキシレート基のモル 数の割合を0モル%にする手段としては、セルロースナノファイバー分散液に塩酸水溶液をpH1.0になるまで添加する方法が挙げられる。
フィラー効果の観点から、セルロースナノファイバーのファイバー長は、0.3〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.5μm〜10μmである。
ファイバー長は透過型電子顕微鏡で観察して画像解析を行い、ファイバー長を測定することにより求めることができる。具体的には、100本のセルロースナノファイバーについて、個々のセルロースナノファイバーの最大長を測定しその数平均値を求めた。
本発明におけるリン脂質としては、グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン及び水添大豆レシチン等)及びスフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン及びセラミドホスホリルグリセロール等)を挙げることができる。
前記のリン脂質としては、COATSOME MC−6060、COATSOME MC−2121AL、COATSOME MC−1010、COATSOME MC−80H、COATSOME MG−8080LA、COATSOME MA−8080LS、COATSOME ME−8080、COATSOME MS−8080LS、SUNBRIGHT DSPE−020CN、COATSOME FE−8080MA3及びSUNBRIGHT DSPE−PG8MG[いずれも油化産業(株)製]等として、市場から入手できる。
本発明で用いるリン脂質は、密着性の観点から、ポリエチレングリコールで変性されていることが好ましい。
ポリエチレングリコールで変性されたリン脂質としては、SUNBRIGHT DSPE−020CN[油化産業(株)製]等として、市場から入手できる。
本発明で用いるリン脂質としては、分散性の観点から、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基としては、トリデシル基、ステアリル基、リノール基及びオレイル基等が挙げられる。
リン脂質は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における糖脂質としては、グリセロ脂質(ジガラクトシルジグリセリド及びガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等)及びスフィンゴ糖脂質(ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6及びガングリオシドG4等)を挙げることができる。
前記の糖脂質としては、Glucocerebrosides及びGM1(いずれもマトレア社製)等として、市場から入手できる。
本発明で用いる糖脂質としては、分散性の観点から、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基としては、リン脂質の説明で例示した炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
糖脂質は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、下記方法により定義した疎水性指数が20〜80であることが好ましい。
<疎水性指数>
底部に撹拌子を置いた500mlのガラスビーカー[コーニング社製、1000−600 WS(外径90mm)]に、25℃のイオン交換水50mlを投入し、水面に被覆セルロースナノファイバー0.2gを浮かべた後、撹拌子(φ6×25mm、AS ONE社製 1−6618−03)を30rpmで回転させる。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端を沈め、撹拌子を30rpmで回転させながら、被覆セルロースナノファイバー添加から5分後に、ビュレットから25℃のメタノールを導入する。メタノールは約0.5ml/秒の速度で1mlずつ導入した。1ml導入する度に1分撹拌を行い、また1ml導入する操作を繰り返した。
水面に浮いている被覆セルロースナノファイバーが、目視で完全になくなるまで、メタノールの導入を続け、水中に被覆セルロースナノファイバーが完全に沈んだときのメタノール導入量(ml)を測定し、下記計算式に基づき疎水性指数を求めた。
疎水性指数(%)=100×メタノール導入量(ml)/[イオン交換水の量(ml)+メタノール導入量(ml)]
なお、ビュレットからメタノールを添加する前に、水面に浮かべた被覆セルロースナノファイバーが水中に完全に沈んだ場合は、疎水性指数を0と判定した。
疎水性指数が大きいほど、被覆セルロースナノファイバーの疎水性が高いことを意味する。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、下記方法により定義した密着性指数が50%以上であることが好ましく、更に好ましくは70%以上である。
<密着性指数>
被覆セルロースナノファイバー10g、25℃の酢酸エチル1000gをホモディスパー[特殊機化(株)製、TKロボミックス]を用いて、撹拌速度1000rpmで12時間分散させた。得られた分散液を遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離して被覆セルロースナノファイバー等を沈降させ、上澄みの固形分濃度を測定して被覆セルロースから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量を求めた。被覆セルロースナノファイバーの密着性指数を以下の式を用いて計算した。
被覆セルロースナノファイバーの密着性指数(%)=100−(被覆セルロースナノファイバーから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量/被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の重量)×100
なお、上記の剥離試験を、酢酸エチルに代えて95℃の水を用い、分散時間を12時間から1時間に変更したこと以外は、同様にして実施し、求めたリン脂質及び糖脂質の合計重量を「被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の重量」とした。
密着性指数が大きいほど、セルロースナノファイバーに対するリン脂質及び/又は糖脂質の密着性が高いことを意味する。
本発明の被覆セルロースナノファイバーの粒子径(メジアン径)は、レーザー式粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製等)によって測定することができる。
本発明の被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量の割合は、密着性の観点から、被覆セルロースナノファイバーの重量を基準として、0.01〜20重量%であることが好ましい。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、分散性の観点から、セルロースナノファイバーの周辺にリン脂質及び/又は糖脂質が集合し、リン脂質及び/又は糖脂質が有する脂質部(炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基等)が最表面になっているミセルであることが好ましく、後に詳述する製造方法により前記のミセル得ることができる。
本発明の被覆セルロースナノファイバーが、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆層を有することは以下の方法で確認できる。
本発明のように、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆層を有する被覆セルロースナノファイバーは、95℃の水1000g中に、ホモディスパー[特殊機化(株)製、TKロボミックス]を用いて、撹拌速度1000rpmで1時間分散させることで、セルロースナノファイバーからリン脂質及び糖脂質を剥離させた分散液とすることができる。
この分散液を遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離してセルロースナノファイバーを沈降させ、上澄みを分析し、リン脂質及び糖脂質が含まれているか否かで、リン脂質及び糖脂質を含有する被覆層の有無を確認できる。
また、単なるセルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質との混合物ではないことは、以下の方法で確認できる。
本発明のように、リン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆層を有する被覆セルロースナノファイバーは、25℃の酢酸エチル中に、ホモディスパー[特殊機化(株)製、TKロボミックス]を用いて、撹拌速度1000rpmで1時間分散させても、セルロースナノファイバーからリン脂質及び糖脂質をほとんど剥離させることができない。
このため、この分散液を遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離してセルロースナノファイバーを沈降させ、上澄みに含まれるリン脂質及び糖脂質の量を分析しても、上記の95℃の水1000gを用いて被覆層の有無を確認した場合の上澄みに含まれるリン脂質及び糖脂質の量と比較して少なくなることから、単なるセルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質との混合物でないことを確認できる。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを含む混合物(X)の圧力が2MPa〜40MPaとなる後述の工程を有する製造方法等により製造することが、疎水性の観点から好ましい。
本発明の被覆セルロースの製造方法は、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを含む混合物(X)の圧力が2MPa〜40MPaとなる工程[以下「加圧工程」と略記する]を有する。
加圧工程に用いる混合物(X)は、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを後述の混合容器中で混合することで得ることができる。
加圧工程で用いるセルロースナノファイバー、リン脂質及び糖脂質は、本発明の被覆セルロースの説明で例示したセルロースナノファイバー、リン脂質及び糖脂質と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
加圧工程で用いる圧縮性流体(L)は、メタン、エチレン、代替フロン等でもよいが、安全性や取り扱いの容易さ等の観点から、好ましいのは二酸化炭素であり、媒体の溶解性、不活性及び拡散性の観点から、更に好ましいのは液体二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素である。
なお、圧縮性流体とは、常温で常圧以上の圧力により圧縮されている流体のことを意味する。
本発明において、液体二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、及び固液境界線に囲まれた部分の温度及び圧力条件である二酸化炭素を表し、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度及び圧力条件である二酸化炭素を表す(ただし、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を表す)。
また、圧縮性流体として二酸化炭素を用いる場合には、圧縮性流体における二酸化炭素の純度は高いほうが望ましいが、他の気体が混入していてもかまわない。
二酸化炭素に混入できる気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の不活性気体等が挙げられる。二酸化炭素と混入した気体の合計重量中の二酸化炭素の重量割合は、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
加圧工程において、更に本発明の被覆セルロースの説明で例示した添加剤〔防腐剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤及び充填剤等〕等を混合することができる。
前記の添加剤等を用いる場合、加圧工程において、前記の添加剤等は、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを混合する際に同時に混合されても良く、またあらかじめセルロースナノファイバー、リン脂質、糖脂質又は圧縮性流体(L)と混合されていても良く、更にはリン脂質及び/又は糖脂質と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤と、圧縮性流体(L)の混合後に、加圧導入し、混合しても良い。
加圧工程で用いる有機溶剤としては、常温常圧で液体であり、具体的に好ましいものとしては、ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及び1,4−ジオキサン等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル及び乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びフッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン及びキシレン等)、脂肪族炭化水素溶剤(オクタン及びデカン等)等が挙げられる。
有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの内、セルロースナノファイバーの分散性の観点から更に好ましいのは、ケトン溶剤、エステル溶剤、エーテル及びアルコール溶剤であり、特に好ましいのは、ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノアルキルエーテル、1,4−ジオキサン)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル及び乳酸エステル)及びアルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びフッ素含有アルコール等)である。
加圧工程で用いる有機溶剤としては、圧縮性流体(二酸化炭素等)への溶解性の観点から、SP値が7〜16である溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、乳酸エステル、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、オクタン及びデカン等)が好ましく、SP値8.5〜16である溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、乳酸エステル、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン及びキシレン等)が更に好ましい。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」
加圧工程には、バッチ式混合方式又は連続式混合方式等の装置を用いることができる。
バッチ式混合方式としては耐圧容器内で行う方法等が、連続式混合方式等ではラインブレンド(インライン混合)方法が挙げられ、連続式混合方式であるラインブレンドにより連続的に行うことが、生産性の向上、品質の一定化、製造スペースの縮小化等の面から好ましい。
まず、バッチ式混合方式で、加圧工程を行う方法について説明する。
バッチ式混合方式に用いる装置の具体例としては、攪拌機付の耐圧容器等の混合機が挙げられ、被覆セルロースナノファイバー等を取り出すためのノズルを備えているのが好ましい。使用圧力に耐えうるものであれば特に制限はなく、混合物を高圧状態から所定圧力又は大気中に一気に噴出させることができるものが好ましい。
装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが使用圧力に耐え得るものでなければならない。
バッチ式混合方式による加圧工程は、リン脂質及び/又は糖脂質と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤とを耐圧容器に投入し、必要により加熱し、耐圧容器に備え付けたポンプ等の加圧手段により、所望の圧力に達するまで圧縮性流体(L)を釜に導入し、その後、所定の時間、撹拌等により実施することができる。
また、セルロースナノファイバーは、あらかじめ前記の有機溶剤に分散したものを用いてもよい。
加圧工程において、混合物(X)の圧力は、2〜40MPaである。2MPa以下であると、圧縮性流体(L)中のセルロースナノファイバーの分散性が不十分であり、40MPa以上であると設備コスト及び運転コストが悪化する。
加圧工程における混合物(X)の圧力は、セルロースナノファイバーを圧縮性流体(L)中に良好に分散させる観点から、好ましくは4MPa以上であり、更に好ましくは6MPa以上であり、特に好ましくは8MPa以上である。
また、設備コスト及び運転コストの観点から、好ましくは4〜35MPaであり、更に好ましくは8〜30MPaであり、特に好ましくは8.5〜25MPaである。
また、加圧工程において、圧縮性流体を混合する際の温度は、セルロースナノファイバーを圧縮性流体(L)中に良好に分散させるために、温度は10℃以上、更に好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上である。
また、設備コスト及び運転コストの観点から、好ましくは200℃以下、更に好ましくは170℃以下、特に好ましくは150℃以下である。
圧力及び温度を上記の範囲に調整し、圧縮性流体(L)を液状、亜臨界状態又は超臨界状態とすることが好ましい。
圧縮性流体を混合する際の圧縮性流体(L)の重量分率は、目的の温度、圧力であれば、いかなる比率であっても構わない。
圧縮性流体を混合する際の混合物(X)が含有する圧縮性流体(L)以外の成分[セルロースナノファイバー、リン脂質及び糖脂質等]と圧縮性流体(L)との体積比率は、混合物(X)が目的の温度、圧力であれば、いかなる比率であっても構わない。
次に、連続式混合方式で、加圧工程を行う方法について説明する。
連続式混合方式に用いる装置の具体例としては、液体流露の中に攪拌部を備えたラインブレンド装置[静止型インライン混合機(スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー及びスルザーミキサー等)及び撹拌型インライン混合機(バイブミキサー及びターボミキサー等)等]が挙げられる。
ラインブレンド装置の出口には、被覆セルロースナノファイバー等を取り出すためのノズルを備えているのが好ましい。
また、装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが、目的圧力に耐え得るものでなければならない。
このようなラインブレンド装置を用いる製造方法について図面を用いて説明する。
図1は、本発明における、被覆セルロースナノファイバーの作製に用いるラインブレンド装置のフローチャートである。
ラインブレンド装置を用いた加圧工程は、リン脂質及び/又は糖脂質と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤との混合物と、圧縮性流体(L)とを、それぞれポンプを用いてライン中を輸送し、次いで、所望の圧力に調整したラインブレンド装置内を送液することで実施することができる。
また、セルロースナノファイバーは、あらかじめ前記の有機溶剤に分散したものを用いることが好ましい。
以下、ラインブレンド装置を用いた加圧工程を詳細に説明する。
ラインブレンド装置を用いた加圧工程は、二酸化炭素等をボンベB1からポンプP2を通じてラインブレンドを行う装置内(スタティックミキサーM1)に導入し、二酸化炭素等が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度となるよう装置内の圧力及び温度を調整し、次いでリン脂質及び/又は糖脂質と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤との混合物を溶解槽T1から溶液ポンプP1を通じて液状又は超臨界状態の二酸化炭素等(圧縮性流体)中に導入する方法で行うことが好ましい。
ラインブレンドを行う圧力及び温度は、前記のバッチ式混合方式での加圧工程で説明した条件と同様であり、圧力及び温度を上記の範囲に調整し、圧縮性流体(L)を液状、亜臨界状態又は超臨界状態とすることが好ましい。
また、装置内の滞留時間は、混合が充分行われるのであれば特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。
本発明の製造方法において、混合物(X)中の有機溶剤は、圧縮流体(L)を供給し続け、圧縮流体(L)をフローすることで除去することができる。
フローする圧縮流体(L)の重量割合は、使用した有機溶剤の重量を基準として、100〜5000重量%であることが好ましい。
本発明の製造方法において、更に加圧工程で加圧した状態からより低い所定の圧力又は大気圧まで減圧した状態にし、減圧して気体となった圧縮性流体(L)を排気する圧縮性流体(L)除去工程を行っても良い。
この圧縮性流体(L)除去工程を行うことにより、被覆セルロースナノファイバーを得ることができる。
得られた被覆セルロースナノファイバーは、そのまま使用しても良く、被覆セルロースナノファイバーが有機溶剤を含有する場合は、有機溶剤を除去してから使用しても良い。
被覆セルロースナノファイバーから有機溶剤を除去する方法としては、エバポレーターでの減圧等の公知方法を用いることができる。
本発明の製造方法で得られる被覆セルロースナノファイバーは、樹脂中での分散性に優れるが、それには以下の機構によるものと推測される。
圧縮性流体(L)に溶解せずに分離して分散していた前記有機溶剤は、加圧工程において上記の圧力及び温度値に調整することで、圧縮性流体(L)に溶解する。加圧工程前に有機溶剤へ分散していたセルロースナノファイバーとリン脂質及び/又は糖資質は、加圧工程において上記の圧力及び温度値に調整しても圧縮性流体(L)に溶解しない。
二酸化炭素等の圧縮性流体(L)は疎水性が高いため、有機溶剤が圧縮性流体(L)に溶解していく過程において、リン脂質及び/又は糖脂質が有する脂質部を圧縮性流体(L)の相に向けたままセルノースナノファイバーを覆うように配向していき、リン脂質及び/又は糖脂質が有する脂質部の多くが被覆セルロースナノファイバーの最表面となっている被覆セルロースナノファイバーを得ることができるものと考えられる。
本発明の製造方法で得られる被覆セルロースナノファイバーを樹脂とともに二軸押出機などを用いて攪拌し樹脂中に均一に分散させることにより、樹脂組成物(P)を得ることができる。
本発明に用いられる樹脂としては、樹脂にセルロースナノファイバーが均一に分散する限り特に限定されるものではなく、例えばポリオレフィン系樹脂、EVA系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、各種ゴム等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、エチレン、プロピレンまたはα−オレフィンの単独重合体;エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体等が挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。中でもポリプロピレンが好ましい。
本発明により得られるセルロースナノファイバーが均一に分散した樹脂組成物は、強度、耐薬品性、加工性等に優れている。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、架橋剤によって、リン脂質又は糖脂質が有する水酸基及び/又はリン酸基を結合したものも好適に用いることができる。
本発明における架橋剤としては、複数の水酸基及び/又はリン酸基同士をイオン結合又は共有結合により架橋できるものであれば特に制限はないが、無機架橋剤(水酸化アルミニウム等)、アルデヒド基を有する架橋剤(グリシルアルデヒド等)、エポキシ基を有する架橋剤(グリコールポリグリシジル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等)、イソシアネート基を有する架橋剤(トルエンジイソシアネート等)及びアミノ基を有する架橋剤(エチレンジアミン等)等が挙げられる。
架橋剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から好ましいものとしては、アミノ基を有する架橋剤であり、更に好ましいのはエチレンジアミンである。
架橋剤の分子量は、40〜10,000であることが好ましい。
架橋剤で架橋した被覆セルロースナノファイバーの製造方法としては、前記の加圧工程において、混合物(X)に添加剤として架橋剤を添加し、架橋剤を含有する被覆セルロースナノファイバーを製造した後に、50〜120℃で0.1〜3時間加熱する方法等が挙げられる。
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
また、下記製造例1〜4で製造したセルロースナノファイバー(B−1)〜(B−4)のエタノール分散液の固形分濃度は、分散液を80℃で1時間減圧乾燥し、残存物の重量を測定することで評価した。
また、セルロースナノファイバー(B−1)〜(B−4)が有するカルボキシ基の濃度は、以下の方法で評価した。
<セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基の濃度>
下記製造例1〜4で得たセルロースナノファイバー(B−1)〜(B−4)のエタノール分散液それぞれ100gを、三角フラスコにはかりとり、これに中性メチルアルコールとアセトンの混合溶液[中性メチルアルコール:アセトン=1:1(重量比)]50mlを加えて混合する。次にフェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.01mol/l水酸化カリウム滴定用溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。終点までに滴定した0.01mol/l水酸化カリウム滴定用溶液の滴定量と、セルロースナノファイバー(B−1)〜(B−4)のエタノール分散液の各固形分濃度から、セルロースナノファイバー(B−1)〜(B−4)が有するカルボキシ基の濃度を計算した。
<製造例1>
2重量%TEMPO酸化セルロースナノファイバー水分散液(第一工業製薬(株)製 レオクリスタ I−2SP)10000重量部にpH1になるまで塩酸水溶液(5モル/L)を添加し、遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間、20℃の条件で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、9800重量部のエタノールを加え、超音波(シャープ社製、UT−305HS、38kHz、出力300W)を用いて10分間処理することで再分散させた。
その後、再分散液を、上記と同じ遠心分離装置を用いて、18,000rpm×10分間、20℃の条件で遠心分離を行い、上澄みを除去した。
次に、19756重量部のエタノールを加え、上記の超音波処理と同様の操作で超音波処理をして再分散させ、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液を得た。
セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液の固形分濃度は、1重量%であった。
セルロースナノファイバー(B−1)が有するカルボキシ基の濃度は、0.1mmol/gであった。
<製造例2>
特許5727660号公報に記載の実施例(D)の工程(i)〜(v)と同様の操作を実施し、3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を得た。
この3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液6666重量部に対してpH1になるまで塩酸水溶液(5モル/L)を添加し、製造例1と同様の操作で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、9800重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理して再分散させた。その後、再分散液を、製造例1の遠心分離と同様の操作で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、19495重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理をして再分散させ、部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー(B−2)のエタノール分散液を得た。
セルロースナノファイバー(B−2)のエタノール分散液の固形分濃度は、1重量%であった。
セルロースナノファイバー(B−2)が有するカルボキシ基の濃度は、0.7mmol/gであった。
<製造例3>
特許5727660の実施例(D)のモノクロル酢酸の量を46gから4.6gに変更したこと以外は同様にして実施し、3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を得た。
この3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液6666重量部に対してpH1になるまで塩酸水溶液(5モル/L)を添加し、製造例1と同様の操作で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、9800重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理して再分散させた。その後、再分散液を、製造例1の遠心分離と同様の操作で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、19796重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理をして再分散させ、部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー(B−3)のエタノール分散液を得た。
セルロースナノファイバー(B−3)のエタノール分散液の固形分濃度は、1重量%であった。
セルロースナノファイバー(B−3)が有するカルボキシ基の濃度は、0.01mmol/gであった。
<製造例4>
特許5727660号公報に記載の実施例(D)の工程(i)〜(v)と同様の操作を実施して、3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を得た。
この3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液について、下記の工程(vi)を9回繰り返した。
工程(vi)を9回繰り返して得た3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液6666重量部に対してpH1になるまで塩酸水溶液(5モル/L)を添加し、製造例1と同様の操作で遠心分離し、上澄みを除去した。
次に、9800重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理して再分散させた。その後、再分散液を、製造例1に記載した遠心分離装置を用いて、18,000rpm×10分間、20℃の条件で遠心分離を行い、上澄みを除去した。
次に、18012重量部のエタノールを加え、製造例1の超音波処理と同様の操作で超音波処理をして再分散させ、部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー(B−4)のエタノール分散液を得た。
セルロースナノファイバー(B−4)のエタノール分散液の固形分濃度は、1重量%であった。
セルロースナノファイバー(B−4)が有するカルボキシ基の濃度は、4.1mmol/gであった。
<工程(vi)>
3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を、遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離後、上澄みを除去し、80℃で1時間減圧乾燥させ、部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバーの粉末を得た。
続いて、特許5727660号公報に記載の実施例(D)の工程(i)〜(v)において、パルプ100gに代えて、上述の減圧乾燥で得た部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバーの粉末100gを用いる以外は同様にして実施し、3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を得た。
工程(vi)を繰り返す場合、この3重量%の部分酸型カルボキシメチルセルロースナノファイバー水分散液を用いて、再び遠心分離から操作をした。
<実施例1>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、リン脂質(A−1)としてCOATSOME MC−6060[1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]1.2重量部と、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液9900重量部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度を70℃まで昇温した。昇温後圧縮性流体(L−1)として二酸化炭素を供給し8MPa、70℃で10分間攪拌した後、8MPa、70℃に調節しながら圧縮性流体(L−1)を30000重量部フローすることで、エタノールを除去し、室温に冷却することで、被覆セルロースナノファイバー(C−1)を得た。
<実施例2>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、リン脂質(A−1)としてCOATSOME MC−6060[1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]1.2重量部と、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液9900重量部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度を70℃まで昇温した。昇温後圧縮性流体(L−1)として二酸化炭素を供給し8MPa、70℃で10分間攪拌した後、圧縮性流体(L−1)を供給し20MPa、70℃に調節しエタノールが溶解した二酸化炭素を除去することで、エタノールを除去し、室温に冷却することで、被覆セルロースナノファイバー(C−2)を得た。
<実施例3>
攪拌棒及び温度計を備えた耐圧反応容器に、リン脂質(A−1)としてCOATSOME MC−6060[1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]1.2重量部と、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液として9900重量部を、耐圧反応容器の容積の30%まで仕込み、密閉して攪拌しながら加熱し、系内温度を70℃まで昇温した。昇温後圧縮性流体(L−1)として二酸化炭素を供給し8MPa、70℃で10分間攪拌した後、二酸化炭素を除去し、室温に冷却することで、被覆セルロースナノファイバー(C−3)のエタノール分散液を得た。
このエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−3)を、80℃で1時間減圧乾燥させ、被覆セルロースナノファイバー(C−3)を得た。
<実施例4>
実施例3において、リン脂質(A−1)の重量を1.2重量部から0.012重量部に変更し、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液の重量を9900重量部から10000重量部に変更したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−4)を得た。
<実施例5>
実施例3において、リン脂質(A−1)の重量を1重量部から0.12重量部に変更し、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液の重量を9900重量部から9990重量部に変更したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−5)を得た。
<実施例6>
実施例3において、リン脂質(A−1)の重量を1重量部から24重量部に変更し、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液の重量を9900重量部から8000重量部に変更したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−6)を得た。
<実施例7>
実施例3において、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液に代えて、製造例2で得たセルロースナノファイバー(B−2)のエタノール分散液を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−7)を得た。
<実施例8>
実施例3において、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液に代えて、製造例3で得たセルロースナノファイバー(B−3)のエタノール分散液を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−8)を得た。
<実施例9>
実施例3において、セルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液に代えて、製造例4で得たセルロースナノファイバー(B−4)のエタノール分散液を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−9)を得た。
<実施例10>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−2)としてCOATSOME NC−50[卵黄リン脂、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−10)を得た。
<実施例11>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−3)としてCOATSOME MC−2121AL[1,2−ジエルコイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−11)を得た。
<実施例12>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−4)としてCOATSOME MC−1010[1,2−ジデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−12)を得た。
<実施例13>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−5)としてCOATSOME MC−80H[1−ステアロイル−2−リソ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−13)を得た。
<実施例14>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−6)としてCOATSOME MG−8080LA[1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロールアンモニウム塩、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−14)を得た。
<実施例15>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−7)としてCOATSOME MA−8080LS[1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフェートナトリウム塩、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−15)を得た。
<実施例16>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−8)としてCOATSOME ME−8080[1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−16)を得た。
<実施例17>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−9)としてCOATSOME MS−8080LS[1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリンナトリウム塩、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−17)を得た。
<実施例18>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−10)としてSUNBRIGHT DSPE−020CN[N−(メトキシポリエチレングリコールカルバミル)ジステアロイルホスフェーチジルエタノールアミン、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−18)を得た。
<実施例19>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−11)としてCOAT SOME FE−8080MA3[N−(3−マレイミド−1−オキソプロピル)−L−α−ホスフェーチジルエタノールアミンジステアロイル、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−19)を得た。
<実施例20>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−12)としてSUNBRIGHT DSPE−020PA[N−(3−アミンプロピルポリオキシエチレンオキシカルボニル)1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩、油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−20)を得た。
<実施例21>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、リン脂質(A−13)としてSUNBRIGHT DSPE−PG8MG[油化産業(株)製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−21)を得た。
<実施例22>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、糖脂質(A−14)としてGlucocerebrosides[グルコセレブロシド、マトレア社製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−22)を得た。
<実施例23>
実施例3において、リン脂質(A−1)に代えて、糖脂質(A−15)としてGM1[モノシアロガングリオシド、マトレア社製]を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−23)を得た。
<実施例24>
実施例10において、リン脂質(A−2)1.2重量部に代えて、COATSOME NC−50 0.96重量部及びGlucocerebrosides[グルコセレブロシド、マトレア社製]0.24重量部を使用したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−24)を得た。
<実施例25>
実施例10において、リン脂質(A−2)及びセルロースナノファイバーエタノール分散液(B−1)に加えて、エチレンジアミン0.012重量部を添加したこと以外は同様にして実施し、エタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバーを得た。
このエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバーを120℃で2時間加熱し、被覆セルロースナノファイバー(C−25)を得た。
実施例1〜25で製造した被覆セルロースナノファイバー(C−1)〜(C−25)と、比較用のセルロースナノファイバー(C’−1)について、粒子径(メジアン系)を下記の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
なお、比較用のセルロースナノファイバー(C’−1)としては、製造例1で製造したセルロースナノファイバー(B−1)を用いた。
<比較例2>
リン脂質(A−1)として実施例1で用いたCOATSOME MC−6060[1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、油化産業(株)製]1.2重量部と、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液9900重量部とを、Brabender(登録商標)DSE20/40共回転二軸押出機を用いて攪拌し、混合することにより、リン脂質(A−1)とセルロースナノファイバー(B−1)との混合物(C’−2)が得られた。粒子径(メジアン系)を下記の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
<比較例3>
糖脂質(A−14)として実施例22で用いた糖脂質(A−14)としてGlucocerebrosides[グルコセレブロシド、マトレア社製]1.2重量部と、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液として9900重量部とを、Brabender(登録商標)DSE20/40共回転二軸押出機を用いて攪拌し、混合することにより、糖脂質(A−14)とセルロースナノファイバー(B−1)との混合物(C’−3)が得られた。粒子径(メジアン系)を下記の方法で測定し、測定結果を表1に示した。
<粒子径測定用の試料>
被覆セルロースナノファイバー(C−1)と(C−2)については、実施例1及び2で得た被覆セルロースナノファイバー(C−1)及び(C−2)それぞれをエタノール中に固形分濃度1重量%になるように調製した後、超音波(シャープ社製、UT−305HS、38kHz、出力300W)を用いて10分間処理することで分散させた分散液を測定用の試料とした。
被覆セルロースナノファイバー(C−3)〜(C−25)については、実施例3〜25で得たエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−3)〜(C−25)をそれぞれ測定用の試料とした。
比較用のセルロースナノファイバー(C’−1)については、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液を測定用の試料とした。比較用のセルロースナノファイバー(C’−2)及び(C’−3)については、比較例2及び3で得たエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C’−2)及び(C’−3)をそれぞれ測定用の試料とした。
<粒子径の測定方法>
メジアン径はレーザー式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所製)によって測定した。
実施例1〜25で製造したエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−1)〜(C−25)と、比較用のセルロースナノファイバー(C’−1)〜(C’−3)について、含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量、疎水性、密着性及び樹脂中の分散性を下記の方法で評価し、結果を表1に示した。
<各種測定用試料>
被覆セルロースナノファイバー(C−1)と(C−2)については、実施例1及び2で得た被覆セルロースナノファイバー(C−1)及び(C−2)をそれぞれ用いた。
被覆セルロースナノファイバー(C−3)〜(C−25)については、実施例3〜25で得たエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C−3)〜(C−25)を、遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離後、上澄みを除去し、80℃で1時間減圧乾燥させ、得られた粉末を測定用の試料とした。
比較用のセルロースナノファイバー(C’−1)については、製造例1で得たセルロースナノファイバー(B−1)のエタノール分散液を、80℃で1時間減圧乾燥させ、得られた粉末を測定用の試料とした。比較用被覆セルロースナノファイバー(C’−2)及び(C’−3)については、比較例2及び3で得たエタノールに分散した状態の被覆セルロースナノファイバー(C’−2)及び(C’−3)を、遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離後、上澄みを除去し、80℃で1時間減圧乾燥させ、得られた粉末を測定用の試料とした。
<含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量>
各被覆セルロースナノファイバー10gを、95℃の水1000gをホモディスパー[特殊機化(株)製、TKロボミックス]を用いて、撹拌速度1000rpmで1時間分散させた。
得られた分散液を遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離して被覆セルロースナノファイバー等を沈降させ、上澄みの固形分濃度を測定して被覆セルロースから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量を求めた。
被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量を以下の式を用いて計算した。
被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量(%)=100×(被覆セルロースナノファイバーから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量/試験に用いた被覆セルロースナノファイバーの重量)
なお、固形分濃度は、各上澄み液を80℃で1時間減圧乾燥し、残存物の重量を測定することで計算した。
<疎水性>
底部に撹拌子を置いた500mlのガラスビーカー[コーニング社製、1000−600 WS(外径90mm)]に、25℃のイオン交換水50mlを投入し、水面に各被覆セルロースナノファイバー0.2gを浮かべた後、撹拌子(φ6×25mm、AS ONE社製 1−6618−03)を30rpmで回転させる。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端を沈め、撹拌子を30rpmで回転させながら、被覆セルロースナノファイバーの添加から5分後に、ビュレットから25℃のメタノールを導入する。メタノールは約0.5ml/秒の速度で1mlずつ導入した。1ml導入する度に3分撹拌を行い、また1ml導入する操作を繰り返した。
水面に浮いている被覆セルロースナノファイバーが、目視で完全になくなるまで、メタノールの導入を続け、水中に被覆セルロースナノファイバーが完全に沈んだときのメタノール導入量(ml)を測定し、下記計算式に基づき疎水性指数を求めた。
疎水性指数(%)=100×メタノール導入量(ml)/[イオン交換水の量(ml)+メタノール導入量(ml)]
なお、ビュレットからメタノールを添加する前に、水面に浮かべた被覆セルロースナノファイバーが水中に完全に沈んだ場合は、疎水性指数を0と判定した。
疎水性指数が大きいほど、被覆セルロースナノファイバーの疎水性が高いことを意味する。
<密着性>
被覆セルロースナノファイバー10g及び25℃の酢酸エチル1000gを、ホモディスパー[特殊機化(株)製、TKロボミックス]を用いて、撹拌速度1000rpmで12時間分散させた。得られた分散液を遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×10分間の条件で遠心分離して被覆セルロースナノファイバー等を沈降させ、上澄みの固形分濃度を測定して被覆セルロースから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量を求めた。被覆セルロースナノファイバーの密着性指数を以下の式を用いて計算した。
被覆セルロースナノファイバーの密着性指数(%)=100−(被覆セルロースナノファイバーから剥離したリン脂質及び糖脂質の合計重量/被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の重量)×100
なお、上記の剥離試験を、酢酸エチルに代えて95℃の水を用い、分散時間を12時間から1時間に変更したこと以外は、同様にして実施し、求めたリン脂質及び糖脂質の合計重量を「被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の重量」とした。
また、固形分濃度は、各上澄み液を80℃で1時間減圧乾燥し、残存物の重量を測定することで計算した。
密着性指数が大きいほど、セルロースナノファイバーに対するリン脂質及び糖脂質の密着性が高いことを意味する。
<樹脂中の分散性評価>
被覆セルロースナノファイバー1重量部、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製「PM771M」)99重量部を、二軸押出機[PCM30、(株)池貝製]を用いて、200℃、100rpm、滞留時間5分の条件で混合した樹脂組成物を、射出成形機「PS40E5ASE、日精樹脂工業(株)製]を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件で成形して試験片を作成した。
この試験片を透過型電子顕微鏡で観察し、被覆セルロースナノファイバーの内、分散している個数の割合(被覆セルロースナノファイバー粒子100個に対する凝集していない粒子の個数の割合)を算出した。分散している個数の割合が多い程、樹脂中の分散性に優れることを示す。
Figure 2018080438
表1に示したように、実施例に記載の本発明の被覆セルロースナノファイバーは、比較例のセルロースナノファイバーと比べて、樹脂中の分散性に優れていることが分かる。
本発明の被覆セルロースナノファイバーは、樹脂中の分散性に優れているため、樹脂の強度を向上させる補強材等として好適に使用できる。
T1:混合槽(最高使用圧力20MPa、最高使用温度200℃、攪拌機つき)
T2:分散液受け槽
B1:二酸化炭素ボンベ
P1:溶液ポンプ
P2:二酸化炭素ポンプ
M1:スタティックミキサー
V1:バルブ

Claims (7)

  1. セルロースナノファイバーの表面の少なくとも一部に被覆層を有する被覆セルロースナノファイバーであって、前記被覆層がリン脂質及び/又は糖脂質を含有する被覆セルロースナノファイバー。
  2. 前記セルロースナノファイバーがカルボキシ基を有し、前記セルロースナノファイバーが有するカルボキシ基の濃度が、前記セルロースナノファイバーの重量を基準として0.09〜5mmol/gである請求項1に記載の被覆セルロースナノファイバー。
  3. 前記被覆層がリン脂質を含有し、前記リン脂質が、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有する請求項1又は2に記載の被覆セルロースナノファイバー。
  4. 前記被覆層が糖脂質を含有し、前記糖脂質が、炭素数13〜22の脂肪族炭化水素基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆セルロースナノファイバー。
  5. 前記被覆セルロースナノファイバーが含有するリン脂質及び糖脂質の合計重量の割合が、前記被覆セルロースナノファイバーの重量を基準として、0.01〜20重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆セルロースナノファイバー。
  6. 請求項1〜5に記載の被覆セルロースナノファイバーを含有する樹脂組成物(P)。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の被覆セルロースナノファイバーの製造方法であって、セルロースナノファイバーと、リン脂質及び/又は糖脂質と、有機溶剤と、圧縮性流体(L)とを含む混合物(X)の圧力が2MPa〜40MPaとなる工程を有する被覆セルロースナノファイバーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020055975A (ja) * 2018-10-04 2020-04-09 サイデン化学株式会社 セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置
CN115094524A (zh) * 2022-07-26 2022-09-23 天津大学浙江研究院 采用微流体纺丝工艺制备纳米纤维素基微纤维的方法

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