JP2020055898A - 金属被覆用塗料組成物およびその製造方法、塗装金属製品、塗装金属缶、ならびに内面塗装金属缶 - Google Patents

金属被覆用塗料組成物およびその製造方法、塗装金属製品、塗装金属缶、ならびに内面塗装金属缶 Download PDF

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Abstract

【課題】有害物質を含まず、水性で、かつ、塗膜の耐水性が高い金属被覆用塗料組成物およびその製造方法を提供する。【解決手段】金属被覆用塗料組成物は、スルホポリエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤と、水とを含み、スルホポリエステル樹脂は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーを含み、スルホポリエステル樹脂100質量部に対して、セルロースナノファイバーが0.1質量部以上3.5質量部以下である。金属被覆用塗料組成物の製造方法は、スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる第1工程S1と、スルホポリエステル樹脂が溶解された有機溶剤を水に滴下することによりエマルジョンを形成する第2工程S2と、エマルジョンにセルロースナノファイバーを分散させる第3工程S3と、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、金属被覆用塗料組成物およびその製造方法、塗装金属製品、塗装金属缶、ならびに内面塗装金属缶に関する。
金属缶などの金属製品を塗装するための金属被覆用塗料組成物として、人体および環境の保護の観点から、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド、フェノール、メラミン、可塑剤としてのフタル酸エステル、イソシアネート、スズ化合物、塩化ビニル、スチレン、アンチモンなどの有害物質を含まず、かつ水性の塗料組成物が要望されている。
上記のような有害物質を含まずかつ水性の塗料組成物として、特表平8−508528号公報(特許文献1)および特開2012−12422号公報(特許文献2)は、分子内にスルホン酸基を有するスルホポリエステル樹脂を含む塗料組成物を開示する。
特表平8−508528号公報 特開2012−12422号公報
しかしながら、特表平8−508528号公報(特許文献1)および特開2012−12422号公報(特許文献2)に開示される塗料組成物は、その塗膜の耐水性が低く、金属缶などの金属製品を塗装するための金属被覆用塗料組成物に適さないという問題点があった。
そこで、上記問題点を解決して、有害物質を含まず、水性で、かつ、塗膜の耐水性が高い金属被覆用塗料組成物およびその製造方法、塗装金属製品、塗装金属缶、ならびに内面塗装金属缶を提供することを目的とする。
本開示の金属被覆用塗料組成物は、スルホポリエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤と、水とを含み、スルホポリエステル樹脂は酸成分を含み、酸成分は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーを含み、スルホポリエステル樹脂100質量部に対してセルロースナノファイバーが0.1質量部以上3.5質量部以下である。
上記金属被覆用塗料組成物において、スルホポリエステル樹脂は、酸成分100mol%に対して二官能性スルホモノマーを0.5mol%以上3mol%以下で含むことができる。
上記金属被覆用塗料組成物において、スルホポリエステル樹脂の酸成分はナフタレンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸エステルをさらに含み、スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度を80℃以上とすることができる。
上記金属被覆用塗料組成物において、セルロースナノファイバーは、平均繊維幅を1nm以上300nm以下とし、平均繊維長を40nm以上3000nm以下とすることができる。
上記金属被覆用塗料組成物において、セルロースナノファイバーは、酸化セルロースナノファイバーおよびカルボキシルメチル化セルロースナノファイバーの少なくともいずれかとすることができる。
上記金属被覆用塗料組成物において、有機溶剤は、分子構造に窒素原子を含む窒素含有有機溶剤であり、スルホポリエステル樹脂が溶解しており、水との接触によりエマルジョン化することができる。
本開示の塗装金属製品は、上記の金属被覆用塗料組成物で金属の少なくとも一部が塗装されている。
本開示の塗装金属缶は、上記の金属被覆用塗料組成物で金属缶の少なくとも一部が塗装されている。
本開示の内面塗装金属缶は、上記の金属被覆用塗料組成物で金属缶の内面の少なくとも一部が塗装されている。
本開示の金属被覆用塗料組成物の製造方法は、スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる第1工程と、スルホポリエステル樹脂が溶解された有機溶剤に水を滴下することによりエマルジョンを形成する第2工程と、エマルジョンにセルロースナノファイバーを分散させる第3工程と、を含む。
上記によれば、有害物質を含まず、水性で、かつ、塗膜の耐水性が高い金属被覆用塗料組成物およびその製造方法、塗装金属製品、塗装金属缶、ならびに内面塗装金属缶を提供することができる。
本開示の金属被覆用塗料組成物の製造方法の一態様を示すフローチャートである。
<実施形態1:金属被覆用塗料組成物>
本実施形態の金属被覆用塗料組成物は、スルホポリエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤と、水とを含む。スルホポリエステル樹脂は酸成分を含み、酸成分は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーを含む。スルホポリエステル樹脂100質量部に対してセルロースナノファイバーが0.1質量部以上3.5質量部以下である。本実施形態の金属被覆用塗料組成物は、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド、フェノール、メラミン、可塑剤としてのフタル酸エステル、イソシアネート、スズ化合物、塩化ビニル、スチレン、アンチモンなどの有害物質を含まず、水性で、かつ、その塗膜の耐水性が高い。
本実施形態の金属被覆用塗料組成物は、スルホポリエステル樹脂、有機溶剤、および水を含む組成物において、所定の少量のセルロースナノファイバーを加えることにより、その塗膜の耐水性を高めることに成功したものである。セルロースナノファイバーは、一般に、組成物の増粘剤、補強剤として用いられるものであり、当業者といえども、その組成物の塗膜の耐水性を高める効果を有することは予測し得なかったものである。ここで、耐水性が高いとは、塗膜に熱水を接触させる耐熱水試験の前後で塗膜性能に変化が無いこと、または、塗膜に水道水、ビール、またはコーラなどの飲料を接触させる耐飲料試験においてに塗膜劣化を生じないことをいう。
[スルホポリエステル樹脂]
スルホポリエステル樹脂は酸成分を含み、酸成分は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーとを含む。かかるスルホポリエステル樹脂は、有機溶剤(特に窒素含有有機溶剤)に溶解するとともに、その樹脂溶液に水を添加することによりエマルジョン化(乳化)し、塗膜化したときに塗膜の耐水性が高くなる特性を有する。
(酸成分)
酸成分は、スルホポリエステル樹脂の上記特性を保持する観点から、芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーとを含む。二官能スルホモノマーは、特に制限はないが、芳香族環へのスルホネート基の導入に一般的に使用され実績がある観点から、スルホフタル酸(以下、SPという)、スルホテレフタル酸(以下、STPという)、スルホイソフタル酸(以下、SIPという)、スルホイソフタル酸ジメチル(以下、SIPMという)などが好適に挙げられる。ここで、SIPMにおいては、5−スルホイソフタル酸ジメチル(以下、5−SIPMという)が好適に挙げられる。
また、酸成分100mol%に対する二官能スルホモノマーの含有率は、特に制限はないが、上記のエマルジョン化がし易く、また、形成されたエマルジョンが安定性が高い観点から、好ましくは0.5mol%以上であり、より好ましくは1mol%以上であり、塗膜の耐水性を高く維持する観点から、好ましくは3mol%以下であり、より好ましくは2.8mol%以下である。
酸成分は、スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度を高くすることにより上記特性を高める観点から、ナフタレンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。ナフタレンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸エステルは、特に制限はないが、ガラス転移温度の高いスルホポリエステル樹脂が得られ易い観点から、ナフタレンジカルボン酸エステルが好ましい。ナフタレンジカルボン酸エステルとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(以下、2,6−NDCMという)、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(以下、2,7−NDCMという)などが好適に挙げられる。
また、酸成分100mol%に対するナフタレンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸エステルの含有率は、特に制限はないが、スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度を高く(たとえば80℃以上に)する観点から、好ましくは20mol%以上であり、より好ましくは30mol%以上であり、スルホポリエステル樹脂の結晶性および/またはガラス転移温度が高くなりすぎるのを抑制する観点から、好ましくは95mol%以下であり、より好ましくは85mol%以下である。
また、酸成分は、スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度を調整し、スルホポリエステル樹脂を合成し易くするために分子量を調整し、また、スルホポリエステル樹脂の結晶性を調整する観点から、上記以外のジカルボン酸エステルを含んでいてもよい。酸成分に含まれる上記以外の上記以外のジカルボン酸エステルは、特に制限はないが、上記の観点から、テレフタル酸ジメチル(以下、DMTという)、イソフタル酸ジメチル(以下、DMIという)などが好適に挙げられる。それらの他に、シュウ酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸なども含んでもよい。あるいは、多価カルボン酸として、トリメリット酸なども含んでもよい。
(ポリオール成分)
スルホポリエステル樹脂は、その特性を保持する観点から、ポリオール成分を含むことが好ましい。ポリオール成分は、特に制限はないが、上記の観点から、エチレングリコール(以下、EGという)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、1,4−CHDMという)、1,2−プロパンジオール(以下、1,2−PDOという)、1,3−プロパンジオール(以下、1,3−PDOという)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(以下、2,2−DM−1,3−PDOという)およびこれらの混合物などが好適に挙げられる。
スルホポリエステル樹脂は、繰り返し単位として上記の酸成分およびポリオール成分を含む。
(スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度)
スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度は、特に制限はないが、塗膜の耐水性を高める観点から、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上であり、スルホポリエステル樹脂のエマルジョン化を低減しない観点から、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは125℃以下である。
(スルホポリエステル樹脂の製造方法)
スルホポリエステル樹脂は、通常の方法により上記の酸成分とポリオール成分とを重縮合させることにより得られる。すなわち、まず、酸成分およびポリオール成分を加熱溶解し、エステル交換反応触媒を用いて、脱メタノールを行い、さらに高温減圧下で重合触媒を用いて重縮合反応を行うことで得られる。
(セルロースナノファイバー)
セルロースナノファイバー(以下、CNFという)とは、セルロース系原料を解繊などの処理により、平均繊維幅がnmオーダーになるまで微細化した繊維をいう。ここで、セルロース系原料は未変性であっても、化学変性されていてもよいが、化学変性されている方が好ましく、アニオン変性されていることがより好ましい。また、平均繊維幅とは、複数のCNFの長さ方向に垂直な方向における平均の繊維幅をいう。また、平均繊維長とは、複数のCNFの平均の繊維長さをいう。
CNFの平均繊維幅は、金属被覆用塗料組成物の塗膜の耐水性を高くする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、製造コストを抑制する観点から、好ましくは1nm以上である。また、CNFの繊維長は、金属被覆用塗料組成物の塗膜の耐水性を高くする観点から、好ましくは3000nm以下であり、より好ましくは1500nm以下であり、製造コストを抑制する観点から、好ましくは40nm以上であり、より好ましくは100nm以上である。
セルロース系原料としては、植物(たとえば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙など)、動物(たとえばばホヤ類)、藻類、微生物(たとえば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、それらのいずれも使用できる。植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
アニオン変性とは、セルロースにアニオン基を導入することであり、具体的に酸化または置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入することである。本発明において前記酸化反応とはピラノース環の水酸基を直接カルボキシル基に酸化する反応をいう。また、本発明において置換反応とは、当該酸化以外の置換反応によってピラノース環にアニオン性基を導入する反応である。
アニオン変性セルロースとして酸化(カルボキシル化)したセルロースを用いることができる。酸化セルロース(「カルボキシル化セルロース」とも呼ぶ)は、上記のセルロース系原料を公知の方法で酸化(カルボキシル化)することにより得ることができる。酸化(カルボキシル化)方法の一例として、セルロース系原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO―)とを有するセルロース繊維を得ることができる。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であればいずれの化合物も使用できる。たとえば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(たとえば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。酸化剤としては、公知のものを使用でき、たとえば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。
また、好ましいアニオン基としては、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。カルボキシアルキル化セルロースは公知の方法で得てもよく、また市販品を用いてもよい。このようなカルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。当該変性は置換反応による変性である。カルボキシメチル化セルロースを例にして説明する。
i)発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理する工程、
ii)次いで、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う工程。
セルロース系原料を解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて、セルロース系原料を含む水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、上記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて、上記のCNFに予備処理を施すことも可能である。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
分散処理においては通常、溶媒にセルロース系原料を分散する。溶媒は、セルロース系原料を分散できるものであれば特に限定されないが、たとえば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。分散体中のセルロースの固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、セルロース系原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
CNFは、特に制限はなく、セルロース系原料が機械的に微細化(上記の解繊により微細化)された機械処理CNFであっても、セルロース系原料が化学的あるいは化学的および機械的に微細化(上記の酸化またはカルボキシアルキル化により化学的に変成され、さらに上記の解繊により微細化)された化学処理CNFであってもよいが、平均繊維幅がより小さくなる観点から、化学処理CNFが好ましい。金属被覆用塗料組成物の塗膜の耐水性が高くなる観点から、化学処理CNFの中でも、酸化CNFおよびカルボキシルメチル化CNF(以下、CM化CNFという)が好ましい。酸化CNFとしては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル)触媒を用いて酸化されたTEMPO酸化CNFが好適に挙げられる。
(有機溶剤)
有機溶剤は、スルホポリエステル樹脂を溶解し、かつ、後述の水と接触してエマルジョン化(乳化)するものであれば特に制限はないが、スルホポリエステル樹脂を溶解する能力が高い観点から、分子構造に窒素原子を含む窒素含有有機溶剤が好ましい。窒素含有有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIという)などが好適に挙げられる。
(水)
水は、有機溶剤と接触してをエマルジョンを形成するものであれば特に制限はないが、不純物が少ない観点から、蒸留水、イオン交換水などが好適に用いられる。
(その他の成分)
金属被覆用塗料組成物は、有害物質を含まず、水性で、かつ、塗膜の耐水性が高い物性を損なわない限り、その他の成分として、上記以外の有機溶剤(たとえば、ブチルセロソルブ(BC)、ヘキシレングリコール(HeG)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ブタノール(BuOH)など)、ワックス(たとえば、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、ポリエチレンワックスなど)、増粘剤(たとえば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ベントナイト、ヘラクライトなど)、シリコーン、耐熱剤、耐候性剤、顔料、染料、着色剤などを含むことができる。
(エマルジョン)
金属被覆用塗料組成物は、上記スルホポリエステル樹脂が上記溶剤と上記水の混合溶媒中でエマルジョン化(乳化)してエマルジョンを形成し、そのエマルジョンにセルロースナノファイバーを分散させることで、金属被覆用塗料組成物の塗膜の耐水性が高くなる。
<実施形態2:金属被覆用塗料組成物の製造方法>
図1を参照して、本実施形態の金属被覆用塗料組成物の製造方法は、スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる第1工程S1と、スルホポリエステル樹脂が溶解された有機溶剤に水を滴下することによりエマルジョンを形成する第2工程S2と、エマルジョンにCNF(セルロースナノファイバー)を分散させる第3工程S3と、を含む。本実施形態の金属被覆用塗料組成物の製造方法は、実施形態1の金属被覆用塗料組成物を効率よく製造することができる。
[第1工程]
第1工程S1において、スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる。スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる方法は、特に制限はないが、効率よく溶解させる観点から、加熱下で撹拌する方法が好ましい。加熱温度は、スルホポリエステル樹脂を均一に溶解させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上であり、有機溶剤を変色させない観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下である。撹拌方法は、特に制限はなく、プロペラ撹拌、アンカー撹拌などが好適に挙げられる。なお、スルホポリエステル樹脂および有機溶剤については、実施形態1において説明したため、ここでは繰り返さない。
[第2工程]
第2工程S2において、スルホポリエステル樹脂が溶解された有機溶剤に水を滴下することによりエマルジョンを形成する。スルホポリエステル樹脂が溶解された有機溶剤に水を滴下する方法は、特に制限はないが、効率よく滴下する観点から、加熱下で有機溶剤(および滴下された水)を撹拌させながら滴下する方法が好ましい。加熱温度は、スルホポリエステル樹脂が溶解された状態を保持する観点から、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上であり、滴下した水が突沸しないようにする観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下である。撹拌方法は、特に制限はなく、プロペラ撹拌、アンカー撹拌などが好適に挙げられる。なお、水については、実施形態1において説明したため、ここでは繰り返さない。
[第3工程]
第3工程S3において、エマルジョンにCNFを分散させる。エマルジョンにCNFを分散させる方法は、特に制限はないが、効率よくかつ均一に分散させる観点から、ペイントシェーカーなどを用いる方法が好ましい。なお、CNFについては、実施形態1において説明したため、ここでは繰り返さない。
<実施形態3:塗装金属製品>
本実施形態の塗装金属製品は、実施形態1の金属被覆用塗料組成物で金属の少なくとも一部が塗装された金属製品である。本実施形態の塗装金属製品は、上記金属被覆用塗料組成物で金属の少なくとも一部が塗装されているため、金属の少なくとも一部を被覆する塗膜の耐水性が高い。ここで、上記金属被覆用塗料組成物が塗装される金属は、当該金属被覆用塗料組成物が塗装できる限り特に制限はなく、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレスなどが挙げられる。ここで、塗装とは、金属の少なくとも一部に金属被覆用塗料組成物を塗布し乾燥および/または造膜させることにより塗膜を形成することをいう。塗膜は、金属被覆用塗料組成物の有機溶媒および水などの揮発成分を除いた固形分で構成されている。
<実施形態4:塗装金属缶>
本実施形態の塗装金属缶は、実施形態1の金属被覆用塗料組成物で金属缶の少なくとも一部が塗装された金属缶である。本実施形態の塗装金属缶は、上記金属被覆用塗料組成物で金属缶の少なくとも一部が塗装されているため、金属缶の少なくとも一部を被覆する塗膜の耐水性が高い。ここで、上記金属被覆用塗料組成物が塗装される金属缶を形成する金属は、当該金属被覆用塗料組成物が塗装できる限り特に制限はなく、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレスなどが挙げられる。ここで、塗装とは、金属缶の少なくとも一部に金属被覆用塗料組成物を塗布し乾燥および/または造膜させることにより塗膜を形成することをいう。塗膜は、金属被覆用塗料組成物の有機溶媒および水などの揮発成分を除いた固形分で構成されている。
<実施形態5:内面塗装金属缶>
本実施形態の塗装金属缶は、実施形態1の金属被覆用塗料組成物で金属缶の内面の少なくとも一部が塗装された金属缶である。本実施形態の内面塗装金属缶は、上記金属被覆用塗料組成物で金属缶の内面の少なくとも一部が塗装されているため、金属缶の内面の少なくとも一部を被覆する塗膜の耐水性が高い。ここで、上記金属被覆用塗料組成物が塗装される金属缶の内面を形成する金属は、当該金属被覆用塗料組成物が塗装できる限り特に制限はなく、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレスなどが挙げられる。ここで、塗装とは、金属缶の内面の少なくとも一部に金属被覆用塗料組成物を塗布し乾燥および/または造膜させることにより塗膜を形成することをいう。塗膜は、金属被覆用塗料組成物の有機溶媒および水などの揮発成分を除いた固形分で構成されている。
[スルホポリエステル樹脂の合成]
(合成例1)
酸成分である2,6−NDCM(244.25g/mol)1550g、DMT(194.1g/mol)179g、および5−SIPM(296.2g/mol)62gと、ポリオール成分であるEG(62.07g/mol)830gおよび1,4−CHDM(144.2g/mol)450gとを、攪拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、180℃で内容物を溶解させた後、エステル交換反応触媒として、酢酸マンガン・4水和物0.22gおよび酢酸カルシウム・1水和物0.60gを加え、窒素雰囲気中で180℃から250℃まで昇温し、発生するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、トリエチルリン酸1.18gおよび二酸化ゲルマニウム0.25gを添加し、250℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、大気圧から0.10kPaまで徐々に減圧し、そのまま所定の撹拌トルクに到達するまで重縮合反応を継続した。所定の撹拌トルクに到達した時点で、反応を終了し、水中に押し出し、ペレット化した。このようにして、スルホポリエステル樹脂を得た。
得られたスルホポリエステル樹脂について、1H−NMR(プロトン−核磁気共鳴)測定装置であるJNM−ECA600(JEOL RESONANCE社製)を使用して、酸成分100mol%に対する2,6−NDCM、DMT、および5−SIPMの含有率、ならびに、ポリオール成分100mol%に対するEGおよび1,4−CHDMの含有率を測定した。また、得られたスルホポリエステル樹脂の固有粘度(以下、IVという)を、フェノール:テトラクロロエタン=60:40(質量比)の混合液を溶媒として用い、自動粘度計AVL−6C(サン電子工業株式会社製)を使用し、20℃で測定した。また、得られたスルホポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgという)を、DSC(示差走査熱量)測定装置であるDSC−50(株式会社島津製作所製)を使用して測定した。結果を表1にまとめた。
(合成例2)
酸成分である2,6−NDCM912g、DMT703g、および5−SIPM35gと、ポリオール成分であるEG931gおよび1,4−CHDM225gとを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、スルホポリエステル樹脂を得た。得られたスルホポリエステル樹脂について、合成例1と同様にして、酸成分100mol%に対する2,6−NDCM、DMT、および5−SIPMの含有率、ポリオール成分100mol%に対するEGおよび1,4−CHDMの含有率、IV、ならびにTgを測定した。結果を表1にまとめた。
(合成例3)
酸成分である2,6−NDCM547g、DMT1002g、および5−SIPM22gと、ポリオール成分であるEG931gおよび1,4−CHDM225gとを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、スルホポリエステル樹脂を得た。得られたスルホポリエステル樹脂について、合成例1と同様にして、酸成分100mol%に対する2,6−NDCM、DMT、および5−SIPMの含有率、ポリオール成分100mol%に対するEGおよび1,4−CHDMの含有率、IV、ならびにTgを測定した。結果を表1にまとめた。
Figure 2020055898
[金属被覆用塗料組成物の作製]
(実施例1〜16、比較例1〜10)
表2〜4に示すように、合成例1〜3のいずれかのスルホポリエステル樹脂1000g(100質量部)とDMAc1000g(100質量部)とを、5リットルの5つ口フラスコに入れ、コンデンサー、温度計、200ml滴下ロート、温調センサ(パールサーモ)、および撹拌羽を配設し、撹拌しながら1時間かけて室温(25℃)から157℃まで昇温し、157℃で2時間保持して、上記スルホポリエステル樹脂をDMAcに完全に溶解させた。次いで、30分かけて157℃から95℃まで冷却した。次いで、95℃に保ちかつ撹拌しながら、3時間かけて1000mlのイオン交換水を滴下した。このようにして、スルホポリエステル樹脂のエマルジョンを得た。
(実施例17〜19)
表5に示すように、スルホポリエステル樹脂1000g(100質量部)を溶解させる有機溶媒として、DMAc1000g(100質量部)に替えて、NMP、DMF、またはDMIを1000g(100質量部)用いたこと以外は、上記と同様にしてスルホポリエステル樹脂のエマルジョンを得た。
容量140cm3のマヨネーズ瓶に、上記スルホポリエステル樹脂のエマルジョン75g、1質量%のCNF水分散液(99質量%の水に1質量%のCNFを分散させた液)、および2mm径のガラスビーズ(分散用媒体)50gを入れて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製PC−1436)を使用して、室温(25℃)で2時間分散した。ここで、CNFが固体の場合は、あらかじめ140cm3のマヨネーズ瓶に、1gのCNF、99gのイオン交換水、および50gの2mm径のガラスビーズを入れて、CNFの平均繊維幅が1〜200nmになるように、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製PC−1436)を使用して、室温(25℃)で8時間分散したものを用いた。次いで、ブチルセルソルブ8.4gおよび8質量%のカルナバワックスのブチルセルソルブ分散品(株式会社岐阜セラック製造所製BC−8PC)1.6gを追加して、上記ペイントシェーカーを使用して、さらに室温(25℃)で15分間分散した。このようにして、固形分が25質量%で室温(25℃)におけるフローカップ粘度(JIS K5600−2−2:1999のフローカップ法によりISO2431のNo.4のフローカップ(オリフィス径が4mm)を使用)が15秒である白濁した金属被覆用塗料組成物が得られた。得られた金属被覆用塗料組成物中のスルホポリエステル樹脂およびCNFまたはCNF以外の増粘剤もしくは補強剤の種類および質量部数を表2〜5にまとめた。
ここで、CNFとしては、日本製紙株式会社製のTEMPO酸化CNF(平均繊維幅:1〜4nm)またはCM化CNF(平均繊維幅:1〜200nm)、株式会社スギノマシン製のWFo−100(平均繊維幅:10〜50nm、原料:セルロース)、TFo−100(平均繊維幅:10nm程度、原料:カルボキシメチルセルロース)、SFo−100(平均繊維幅:10〜50nm、原料:キチン)、またはEFo−100(平均繊維幅:10〜50nm、原料キトサン)を用いた。また、CNF以外の増粘剤および/または補強剤として、水溶性セルロースである日本曹達株式会社製セルニーH、PVA(ポバール;ポリビニルアルコール)である日本合成化学工業株式会社製ニチゴーGポリマーBVE8049、EVOH(エバール;エチレン−ビニルアルコール)である日本合成化学工業株式会社製ソアレジンDP、PPA(ポリアクリル酸)である株式会社日本触媒製アクリアリックIH−Gを用いた。
[塗装金属製品の作製]
塗装前の容量350mlのアルミニウム製DI(絞りしごき)缶の底部を切り落とし胴部を平坦に延ばしたアルミニウム板上に、上記で得られた金属被覆用塗料組成物をバーコーター#12を用いて塗布し、熱風循環式オーブンを使用して、225℃、風速20m/sの雰囲気中で45秒間乾燥させて、乾燥目付量が5g/m2の塗膜が形成された塗装金属板を作製した。
[塗装金属品の評価]
(耐熱水試験)
塗膜の耐熱水試験は、JIS K5600−6−2:2016に基づいて、95℃の熱水4000ml中または130℃の加圧熱水4000ml中に10cm×11cmの大きさの塗装金属板を30分間浸漬した後の塗膜の物性(後述の密着性、耐白化性、鉛筆硬度(表6のみ)、硬化性(表6のみ)、および耐衝撃性(表6のみ))を評価することにより行った。
(耐飲料試験)
塗膜の耐飲料試験は、水道水サンプル、ビールサンプル、およびコーラサンプルを38℃の恒温槽中に30日間静置した後の塗膜の物性(後述の耐白化性)を評価することにより行った。ここで、水道水サンプルは300mlの水道水(大阪市都島区水道水)と4cm×10cmの大きさの塗装金属板を容量450mlのマヨネーズ瓶に入れて蓋をしたものであった。また、ビールサンプルは、300mlのビール(アサヒビール株式会社製アサヒスーパードライ(登録商標))と2.5cm×10cmの大きさの塗装金属板を容量500mlの耐圧瓶に入れて蓋をしたものであった。また、コーラサンプルは、300mlのコーラ(日本コカ・コーラ株式会社コカ・コーラ(登録商標))と2.5cm×10cmの大きさの塗装金属板を容量500mlの耐圧瓶に入れて蓋をしたものであった。
(塗膜の物性評価)
(1)鉛筆硬度
塗膜の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に基づいて、塗膜に鉛筆の芯を押し当てたときに、塗膜に塑性変形(永久くぼみなど)および凝集破壊(引っかき傷など)が生じない最大の鉛筆硬度で評価した。たとえば、4Hの鉛筆で塗膜に塑性変形または凝集破壊が生じ、3Hの鉛筆で塗膜に塑性変形および凝集破壊が生じなかった場合は、鉛筆硬度を3Hとした。鉛筆硬度が高い程、塗膜が硬く堅牢である。
(2)硬化性
塗膜の硬化性は、JIS K5600−3−3:1999に基づいて、塗膜表面に2ポンドハンマーにメチルエチルケトン(MEK)を浸したガーゼ(白十字株式会社製ガーゼ)を16枚重ねにしたものを当てて擦った(MEKラビング)ときに、塗膜が削れて下地面(アルミニウム板表面)が露出する状態になるまでに擦った往復回数で評価した。往復回数が多い程硬化性が高い。なお、擦る回数は往復100回までとして、往復100回擦っても上記の状態にならないものは、「100<」と表記した。
(3)密着性
塗膜の密着性は、JIS K5600−5−6:1999に基づいて、塗膜表面を1mm角の碁盤目状にカッターナイフで傷をつけて粘着テープで剥離試験を行い、剥離箇所がなかったものをA、剥離箇所が10%未満であったものをB、剥離箇所が10%以上であったものをC、と評価した。
(4)耐衝撃性
塗膜の耐衝撃性は、JIS K5600−5−3:1999に基づいて、デュポン式により衝撃試験を行い、塗膜に割れやクラックが見られないものをA、塗膜に割れはないがわずかにクラックが見られるものをB、塗膜に割れが見られるものをC、と評価した。
(5)耐白化性
塗膜の耐白化性は、塗膜の白化の程度を観察し、異常がないものをA、わずかに白化が見られるものをB、白化が見られるものをC、と評価した。
耐熱水試験および耐飲料試験の前後の塗膜の物性を上記の要領で評価し、表2〜6にまとめた。
Figure 2020055898
Figure 2020055898
Figure 2020055898
Figure 2020055898
Figure 2020055898
表1〜6を参照して、スルホポリエステル樹脂と、CNFと、有機溶剤と、水とを含み、スルホポリエステル樹脂は酸成分を含み、酸成分は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーを含み、スルホポリエステル樹脂100質量部に対して、CNFが0.1質量部以上3.5質量部以下である金属被覆用塗料組成物は、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド、フェノール、メラミン、可塑剤としてのフタル酸エステル、イソシアネート、スズ化合物、塩化ビニル、スチレン、アンチモンなどの有害物質を含まず、水性で、かつ、その塗膜の耐水性が極めて高いことが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
S1 第1工程、S2 第2工程、S3 第3工程。

Claims (10)

  1. スルホポリエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、有機溶剤と、水とを含み、
    前記スルホポリエステル樹脂は酸成分を含み、前記酸成分は芳香族環に結合した少なくとも1つの1個のスルホネート基を含む二官能性スルホモノマーを含み、
    前記スルホポリエステル樹脂100質量部に対して前記セルロースナノファイバーが0.1質量部以上3.5質量部以下である、金属被覆用塗料組成物。
  2. 前記スルホポリエステル樹脂は前記酸成分100mol%に対して前記二官能性スルホモノマーを0.5mol%以上3mol%以下で含む、請求項1に記載の金属被覆用塗料組成物。
  3. 前記スルホポリエステル樹脂の前記酸成分はナフタレンジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸エステルをさらに含み、前記スルホポリエステル樹脂のガラス転移温度は80℃以上である、請求項1または請求項2に記載の金属被覆用塗料組成物。
  4. 前記セルロースナノファイバーは、平均繊維幅が1nm以上300nm以下であり、平均繊維長が40nm以上3000nm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物。
  5. 前記セルロースナノファイバーは、酸化セルロースナノファイバーおよびカルボキシルメチル化セルロースナノファイバーの少なくともいずれかである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物。
  6. 前記有機溶剤は、分子構造に窒素原子を含む窒素含有有機溶剤であり、前記スルホポリエステル樹脂が溶解しており、前記水との接触によりエマルジョン化している、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物で金属の少なくとも一部が塗装された塗装金属製品。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物で金属缶の少なくとも一部が塗装された塗装金属缶。
  9. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属被覆用塗料組成物で金属缶の内面の少なくとも一部が塗装された内面塗装金属缶。
  10. スルホポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる第1工程と、
    前記スルホポリエステル樹脂が溶解された前記有機溶剤に水を滴下することによりエマルジョンを形成する第2工程と、
    前記エマルジョンにセルロースナノファイバーを分散させる第3工程と、を含む金属被覆用塗料組成物の製造方法。
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