JPH1046036A - 熱可塑性樹脂エマルジョン - Google Patents

熱可塑性樹脂エマルジョン

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JPH1046036A
JPH1046036A JP22304996A JP22304996A JPH1046036A JP H1046036 A JPH1046036 A JP H1046036A JP 22304996 A JP22304996 A JP 22304996A JP 22304996 A JP22304996 A JP 22304996A JP H1046036 A JPH1046036 A JP H1046036A
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JP
Japan
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water
thermoplastic resin
polyester
acid
unit
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP22304996A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Tani
善夫 谷
Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Shigetoshi Ono
茂敏 小野
Tadashi Takehana
匡 竹花
Keisuke Koseki
圭介 小関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分散安定性に優れ、且つ耐水性、耐湿性に
も優れた熱可塑性樹脂エマルジョンを提供すること。 【解決手段】 水不溶性の熱可塑性樹脂を、水溶性熱可
塑性樹脂の存在下で乳化分散して得た熱可塑性樹脂エマ
ルジョンであって、該水不溶性の熱可塑性樹脂と水溶性
熱可塑性樹脂が同種の樹脂であることを特徴とする熱可
塑性樹脂エマルジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、ガラス、セ
ラミックス、プラスチック、木材、布、紙等の接着用ポ
リマー、塗料用ポリマー、あるいは磁気材料、各種写真
材料等の支持体フィルムの下塗層形成用ポリマー、さら
には電子写真用フィルム等の記録用シートの受像層形成
用ポリマーとして有用な熱可塑性樹脂エマルジョンに関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を、例えば接着剤用あるい
は塗布用のポリマーとして使用する場合、作業環境や環
境汚染等の恐れがないことから、水溶液あるいは水分散
の状態で使用することが好ましく、一般的である。しか
しながら、良好な水分散安定性を得るためには、熱可塑
性樹脂の水への親和性を向上させる必要があり、得られ
る接着剤層等の耐水性が充分でないとの問題がある。
【0003】例えば、ポリエチレンテレフタレートのよ
うにジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのアル
キルエステルを主成分とする芳香族ポリエステルは、金
属、ガラス、セラミック、プラスチック、木材、布、紙
等に良く接着するので、これらの接着剤として広く使用
されている。また、このようなポリエステルは、磁気材
料、各種写真材料等の支持体フィルムの下塗層形成用ポ
リマーとしても有用である。上記のようなポリエステル
で、水溶性または水分散性としたものについて種々の組
成のポリマーが提案されている。水溶性または水分散性
のポリエステルとしては、水溶性または水分散性とする
ために樹脂成分にスルホベンゼンジカルボン酸、ポリエ
チレングリコールを用いることが一般的であり、特公昭
47−40873号公報、特開昭50−83497号公
報及び特開昭50−121336号公報に記載されてい
る。これらの公報に記載されているポリエステルは、樹
脂成分のスルホベンゼンジカルボン酸の量が多く、水分
散安定性は良好であるが、耐湿性、耐水性が充分とは言
えない。
【0004】更に、耐水性を向上させるためにスルホベ
ンゼンジカルボン酸の量を減らした水分散性のポリエス
テルとして、二塩基酸成分として芳香族カルボン酸以外
に飽和直鎖状脂肪族カルボン酸を用いたポリエステル
(特公昭56−5476号公報)、二塩基酸成分として
芳香族カルボン酸以外に脂肪族あるいは脂環族カルボン
酸を用いたポリエステル(特開昭56−88454号公
報)、二塩基酸成分として芳香族カルボン酸以外に飽和
直鎖状脂肪族カルボン酸を用い、ポリオール成分にポリ
カプロラクトンジオールを用いたポリエステル(特公昭
62−14594号公報)、およびポリオール成分にビ
スフェノールAのエチレンオキサイド付加物を用いたポ
リエステル(特開平2−3419号公報)等が提案され
ている。
【0005】しかしながら、特公昭56−5476号公
報及び特公昭62−14594号公報では、スルホベン
ゼンジカルボン酸の量を減らした場合、水分散性のポリ
エステルの安定した分散性が得られないことが示されて
いる。一方、上記特開昭56−88454号公報及び特
開平2−3419号公報では、スルホベンゼンジカルボ
ン酸の全二塩基酸の5モル%以下の量で含むポリエステ
ルを、微粒子状で水中に分散した分散液(エマルジョ
ン)が開示されている。これらのポリエステルは、樹脂
自体の耐水性は優れているが、特開昭56−88454
号公報では分散安定性を得るためにブチルセロソルブの
ような有機溶剤を水中に含有させ、また特開平2−34
19号公報では分散安定性を得るために界面活性剤を水
中に含有させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、耐水性
の向上したポリエステルを分散させるため、有機溶剤を
使用した場合は、作業環境や環境汚染等の恐れがあり、
また界面活性剤を使用した場合は耐水性の低下だけでな
く、接着性、滑性あるいは電気抵抗を低下させ、さらに
はこの水分散液を長期保存した場合に樹脂の凝集が見ら
れるとの問題があることが明らかになった。そこで、本
発明者は、水分散安定性および耐水性(耐湿性)の両方
の特性を満足する熱可塑性樹脂水分散液を得るため、研
究を重ねたところ、例えば、水不溶性熱可塑性樹脂とこ
れと同種の水溶性樹脂との溶剤溶液を予め調製し、これ
を水中に分散させ、溶剤を除去することにより、満足な
水分散安定性及び耐水性(耐湿性)を示す熱可塑性樹脂
エマルジョンが得られることが判明した。即ち、水不溶
性熱可塑性樹脂中に少量の同種の水溶性樹脂を混入させ
ることにより樹脂微粒子表面に局所的に親水性の領域が
形成され、これが樹脂微粒子に安定した水分散性を付与
するものと考えられる。また、水不溶性の熱可塑性樹脂
と分散性を付与し得る水溶性樹脂が同種のため、水に分
散しない熱可塑性樹脂を大量に使用しても、言い換えれ
ば耐水性を向上するように樹脂を設定しても、良好な水
分散安定性を得ることができる。
【0007】従って、本発明の目的は、水分散安定性に
優れ、且つ耐水性、耐湿性にも優れた熱可塑性樹脂エマ
ルジョンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、水不溶性の熱
可塑性樹脂を、水溶性熱可塑性樹脂の存在下で乳化分散
して得た熱可塑性樹脂エマルジョンであって、水不溶性
の熱可塑性樹脂と水溶性熱可塑性樹脂が同種の樹脂であ
ることを特徴とする熱可塑性樹脂エマルジョンにある。
尚、上記水不溶性とは、95℃前後の熱水に不溶性のこ
とを意味する。
【0009】本発明の好ましい態様は下記のとおりであ
る。 1)水不溶性の熱可塑性樹脂と、水溶性熱可塑性樹脂と
の重量比が、99:1〜80:20の範囲にある。 2)水不溶性の熱可塑性樹脂と、水溶性熱可塑性樹脂と
が、共にポリエステル樹脂である。 3)熱可塑性樹脂エマルジョンの平均粒子径が、0.0
1〜0.5μmの範囲にある。 4)水不溶性の熱可塑性樹脂が、下記(a):
【0010】
【化7】 で表わされるテレフタル酸単位及び下記(b):
【0011】
【化8】 で表わされる2,6−ナフタレンジカルボン酸単位から
なる群より選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸単
位、及び下記(c):
【0012】
【化9】 [但し、Mは水素原子又はアルカリ金属を表わす。]で
表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を含む二塩
基酸成分の繰返し単位、そして下記の(d):
【0013】
【化10】 で表わされるエチレングリコール単位、下記の(e):
【0014】
【化11】 で表わされるトリエチレングリコール単位及び下記の
(f):
【0015】
【化12】 [但し、nは1〜5を表わす。]
【0016】で表わされるビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物単位を含む二価アルコール成分の繰返
し単位からなり、かつ上記(c)で表わされるスルホベ
ンゼンジカルボン酸単位を二塩基酸成分の繰返し単位の
0〜7モル%有するポリエステルである。
【0017】5)水溶性熱可塑性樹脂が、上記(a)で
表わされるテレフタル酸単位及び上記(b)で表わされ
る2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群より
選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸単位、及び上記
(c)で表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を
含む二塩基酸成分の繰返し単位、そして上記の(d)で
表わされるエチレングリコール単位、上記の(e)で表
わされるトリエチレングリコール単位及び下記の(f)
で表わされるビスフェノールAのエチレンオキサイド付
加物単位を含む二価アルコール成分の繰返し単位からな
り、かつ上記(c)で表わされるスルホベンゼンジカル
ボン酸単位を二塩基酸成分の繰返し単位の5〜17モル
%有するポリエステルである。
【0018】6)上記4)の水不溶性のポリエステルの
二塩基酸成分の繰返し単位が、上記(a)で表わされる
テレフタル酸単位および上記(b)で表わされる2,6
−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる
少なくとも一種のジカルボン酸単位を60〜95モル
%、及び上記(c)で表わされるスルホベンゼンジカル
ボン酸単位を0〜7モル%からなり、そして二価アルコ
ール成分の繰返し単位が、上記の(d)で表わされるエ
チレングリコール単位を10〜60モル%、上記の
(e)で表わされるトリエチレングリコール単位を30
〜90モル%および上記の(f)で表わされるビスフェ
ノールAのエチレンオキサイド付加物単位を5〜40モ
ル%からなる。 7)上記5)の水溶性ポリエステルの二塩基酸成分の繰
返し単位が、上記(a)で表わされるテレフタル酸単位
および上記(b)で表わされる2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の
ジカルボン酸単位を60〜95モル%、及び上記(c)
で表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を5〜1
7モル%からなり、そして二価アルコール成分の繰返し
単位が、上記の(d)で表わされるエチレングリコール
単位を10〜60モル%、上記の(e)で表わされるト
リエチレングリコール単位を30〜90モル%および上
記の(f)で表わされるビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物単位を5〜40モル%含からなる。 8)上記6)の水不溶性のポリエステルの二塩基酸成分
の繰返し単位が、上記(a)で表わされるテレフタル酸
単位60〜95モル%、下記(g):
【0019】
【化13】 で表わされるイソフタル酸単位0〜35モル%、及び上
記(c)で表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位
5〜17モル%からなる。
【0020】7)上記7)の水溶性ポリエステルの二塩
基酸成分の繰返し単位が、上記(a)で表わされるテレ
フタル酸単位60〜95モル%、上記(g)で表わされ
るイソフタル酸単位0〜35モル%、及び上記(c)で
表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位5〜17モ
ル%からなる。
【0021】8)上記4)の水不溶性のポリエステルの
二塩基酸成分の繰返し単位が、上記(g)で表わされる
イソフタル酸単位0〜35モル%、上記(b)で表わさ
れる2,6−ナフタレンジカルボン酸単位60〜95モ
ル%及び上記(c)で表わされるスルホベンゼンジカル
ボン酸単位0〜7モル%からなる。 9)上記5)の水溶性ポリエステルの二塩基酸成分の繰
返し単位が、上記(g)で表わされるイソフタル酸単位
0〜35モル%、上記(b)で表わされる2,6−ナフ
タレンジカルボン酸単位60〜95モル%及び上記
(c)で表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位5
〜17モル%からなる。 10)上記4)の水不溶性ポリエステルの二塩基酸成分
の繰返し単位が、上記(a)で表わされるテレフタル酸
単位0〜90モル%、上記(g)で表わされるイソフタ
ル酸単位0〜35モル%、上記(b)で表わされる2,
6−ナフタレンジカルボン酸単位10〜90モル%及び
0〜7モル%の上記(c)で表わされるスルホベンゼン
ジカルボン酸単位からなる。 11)上記5)の水溶性ポリエステルの二塩基酸成分の
繰返し単位が、上記(a)で表わされるテレフタル酸単
位0〜90モル%、上記(g)で表わされるイソフタル
酸単位0〜35モル%、上記(b)で表わされる2,6
−ナフタレンジカルボン酸単位10〜90モル%及び5
〜17モル%の上記(c)で表わされるスルホベンゼン
ジカルボン酸単位からなる。 12)上記4)又は5)のポリエステルの数平均分子量
が、1500〜5000の範囲にある。 13)上記4)又は5)のポリエステルの重量平均分子
量が、2500〜15000の範囲にある。 14)上記4)又は5)ポリエステルの(重量平均分子
量/数平均分子量)が、1.2〜6.0の範囲にある。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂エマルジョ
ンは、水不溶性の熱可塑性樹脂を水溶性熱可塑性樹脂の
存在下に分散して得られるものであるが、用いられる水
不溶性の熱可塑性樹脂と水溶性の熱可塑性樹脂が、互い
に同種の樹脂であることを特徴している。上記本発明の
水分散性樹脂エマルジョンの作製に使用される水不溶性
の熱可塑性樹脂及び水溶性熱可塑性樹脂の例としては、
ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、アクリル樹
脂、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等を挙
げることができる。これらの中でポリエステルが好まし
い。
【0023】水不溶性の熱可塑性樹脂と水溶性熱可塑性
樹脂は、熱可塑性樹脂を製造する際に、親水性基の導入
の程度を変えることによる等公知の水溶化の方法を利用
して、作り分けることができる。親水性基としては、ス
ルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等の酸基あるいは
それらの塩を挙げることができる。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂エマルジョンに使用
することができる熱可塑性樹脂としては前記のようにポ
リエステルが好ましい。本発明に好適なポリエステルに
ついて下記に詳述する。上記ポリエステルは、二塩基酸
成分の繰返し単位として、上記(a)のテレフタル酸単
位及び上記(b)の2,6−ナフタレンジカルボン酸単
位の少なくとも一単位、及び上記(c)のスルホベンゼ
ンジカルボン酸単位が含まれている(但し、水不溶性又
は水難溶性のポリエステルはスルホベンゼンジカルボン
酸単位を含まなくても良い)。そして、所望により上記
(g)のイソフタル酸単位が含まれる。従って、上記ポ
リエステルの二塩基酸成分の繰返し単位の構成は、下記
の(1)〜(3)のいずれかの構成を採る。上記ポリエ
ステルが、水不溶性であるか、水溶性であるかは、主に
上記(c)のスルホベンゼンジカルボン酸単位の含有量
の違いによるものであり、即ち、水不溶性の場合は二塩
基酸成分の繰返し単位の0〜7モル%(0〜4モル%が
好ましい)含み、水溶性の場合は二塩基酸成分の繰返し
単位の5〜17モル%(6〜15モル%が好ましい)含
む。従って、他の組成は基本的に同じものであるが、例
えばエチレンオキサイド単位を含む成分等は水溶化に一
般に寄与するので、スルホベンゼンジカルボン酸単位の
量に幾分影響を与える。尚、二塩基酸成分の繰返し単位
モル%は、使用する材料のモル%に対応する。従って、
下記の二塩基酸の使用量は、酸単位のモル%も意味す
る。
【0025】(1)上記(a)のテレフタル酸単位及び
上記(c)のスルホベンゼンジカルボン酸単位からな
り、そして所望により上記(g)のイソフタル酸単位を
含む二塩基酸成分の繰返し単位;ポリエステル製造時の
テレフタル酸またはそのアルキルエステルの使用量は、
全二塩基酸成分の60〜95モル%の割合が一般的であ
り、65〜95モル%の割合が好ましく、特に70〜9
5モル%の割合が好ましい。イソフタル酸またはそのア
ルキルエステルの使用量は、全二塩基酸成分の0〜35
モル%の割合が好ましく、特に0〜25モル%の範囲が
好ましい。テレフタル酸及びイソフタル酸のアルキルエ
ステルとしては、低級アルキルエステル(低級アルキル
としてはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ま
たはブチルが好ましい)が好ましく、特にメチルエステ
ルが好ましい。上記スルホベンゼンジカルボン酸または
そのアルキルあるいはヒドロキシアルキルエステルの使
用量は、水不溶性又は水難溶性のポリエステルでは二塩
基酸成分の繰返し単位の0〜7モル%が一般的で、0〜
4モル%が好ましく、また水溶性のポリエステルでは二
塩基酸成分の繰返し単位の5〜17モル%が一般的で、
8〜15モル%が好ましい。
【0026】上記スルホアリールジカルボン酸またはそ
のアルキルあるいはヒドロキシアルキルエステルは、下
記の一般式(1):
【0027】
【化14】 (ただし、R1 およびR2 は、それぞれ、水素原子、低
級アルキル基あるいはOH(CH2CH2O)m(CH2CH2)- (mは
0、1または2を表わす)を表わし、そしてMは水素原
子又はアルカリ金属を表わす。)で表わされる。
【0028】R1 及びR2 は、水素原子、ヒドロキシエ
チル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピ
ル基、ヒドロキシブチル基、メチル基、エチル基、イソ
プロピル基、プロピル基、またはブチル基であることが
好ましく、特にヒドロキシエチル基が好ましい。Mは、
ナトリウム、カリウムまたはリチウムであることが好ま
しく、特にナトリウムが好ましい。上記スルホベンゼン
ジカルボン酸またはそのアルキルあるいはヒドロキシア
ルキルエステルは、スルホン酸の金属塩基を有するイソ
フタル酸、テレフタル酸又はフタル酸、あるいはこれら
の酸の低級アルキルエステルまたはOH(CH2CH2O)m(CH2CH
2)- (mは0、1または2を表わす)とのエステルであ
ることが好ましく、特にスルホン酸の金属塩基を有する
イソフタル酸またはその低級アルキルあるいはOH(CH2CH
2O)m(CH2CH2)- (mは0、1または2を表わす)とのエ
ステル、更にスルホン酸の金属塩基を有するイソフタル
酸メチルエステルまたはヒドロキシエチルエステル(上
記m=0)が好ましい。スルホアリールジカルボン酸の
ヒドロキシアルキルエステルとして、スルホアリールジ
カルボン酸のヒドロキシエチルエステルを使用した場
合、その一部は二価アルコール成分のエチレングリコー
ルとしてポリエステルの反応に与ることになる。ヒドロ
キシエトキシエチルエステル、ヒドロキシジエトキシエ
チルエステル等を用いた時も同様である。
【0029】(2)上記(b)の2,6−ナフタレンジ
カルボン酸単位及び上記(c)のスルホベンゼンジカル
ボン酸単位、そして所望により上記(g)のイソフタル
酸単位を含む二塩基酸成分の繰返し単位;ポリエステル
製造時の2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのア
ルキルエステルの使用量は、全多塩基酸成分の60〜9
5モル%の割合が一般的であり、65〜95モル%の割
合が好ましく、特に70〜95モル%の割合が好まし
い。2,6−ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステ
ルとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級ア
ルキルエステル(低級アルキルとしてはメチル、エチ
ル、イソプロピル、プロピル、またはブチルが好まし
い)が好ましく、特にメチルエステルが好ましい。2,
6−ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステルは、一
般にメチルエステルが使用される。イソフタル酸または
そのアルキルエステル及びスルホベンゼンジカルボン酸
またはそのアルキルあるいはヒドロキシアルキルエステ
ルの使用量と材料は、前記(1)と同じである。
【0030】(3)上記(a)のテレフタル酸単位、上
記(b)の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位及び上
記(c)のスルホベンゼンジカルボン酸単位、そして所
望により上記(g)のイソフタル酸単位を含む二塩基酸
成分の繰返し単位;ポリエステル製造時のテレフタル酸
またはそのアルキルエステル(材料は(1)と同じ)の
使用量は、全二塩基酸成分の10〜90モル%の割合が
一般的であり、20〜80モル%の割合が好ましく、特
に30〜70モル%の割合が好ましい。2,6−ナフタ
レンジカルボン酸またはそのアルキルエステル(材料は
(2)と同じ)の使用量は、全多塩基酸成分の10〜9
0モル%の割合が一般的であり、20〜80モル%の割
合が好ましく、特に30〜70モル%の割合が好まし
い。イソフタル酸またはそのアルキルエステル及びスル
ホベンゼンジカルボン酸またはそのアルキルあるいはヒ
ドロキシアルキルエステルの使用量と材料は、前記
(1)と同じである。上記の二塩基酸単位の合計は、全
二塩基酸成分の繰返し単位の少なくとも80モル%以上
占めるものであり、90モル%以上占めることが好まし
く、100モル%が最も好ましい。
【0031】上記以外の二塩基酸成分としては、特性を
損なわない範囲で、フタル酸および2,7−ナフタレン
ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、マ
ロン酸、コハク酸、アゼライン酸及びセバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等の脂環式ジカルボン酸を使用することができる。ま
た、トリメリット酸のような多塩基酸成分も使用しても
良い。
【0032】二価アルコール成分の繰返し単位を形成す
る二価アルコールとして、エチレングリコール、トリエ
チレングリコール及びビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物が使用される。エチレングリコール単位が
10〜60モル%、トリエチレングリコール単位が30
〜90モル%そしてビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物が5〜40モル%含まれる。エチレングリコ
ール単位は、20〜60モル%が好ましく、特に30〜
60モル%が好ましい。ポリエステル製造時のエチレン
グリコールの使用量は、反応時に蒸発する量及び前記ス
ルホアリールジカルボン酸のヒドロキシエチルエステル
に由来する量を考慮して上記エチレングリコール単位の
量より多く設定される。トリエチレングリコール単位は
30〜80モル%が好ましく、特に30〜70モル%が
好ましい。ポリエステル製造時のトリエチレングリコー
ルの使用量は、上記トリエチレングリコール単位とほぼ
同量に設定される。ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物単位は5〜30モル%が好ましく、特に5〜
25モル%が好ましい。ポリエステル製造時のビスフェ
ノールAのエチレンオキサイド付加物の使用量は、上記
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と同量に
設定される。上記エチレングリコール単位、トリエチレ
ングリコール単位及びビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物単位の合計が、全多価アルコール単位の7
0モル%以上を占め、80モル%以上を占めることが好
ましく、特に90モル%以上を占めることが好ましく、
そして100モル%が最も好ましい。
【0033】上記ビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド付加物が、下記の一般式(2):
【0034】
【化15】 (但し、nは1〜5(好ましくは1又は2)を表わ
す。)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0035】また、多価アルコールとしては特性を損な
わない範囲で、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリ
コール、1,2−ブチレングリコール、ジエチレングリ
コール及びポリエチレングリコール等を使用することが
できる。
【0036】上記のポリエステルは、通常のポリエチレ
ンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフ
タレートの合成と同様に、二塩基酸と二価アルコールを
エステル化反応もしくはエステル交換反応させることに
よりオリゴマーを得、次いで真空下で重縮合反応を行っ
て合成することができる。また、特公昭53−3792
0号に記載のようにポリエステルの解重合法によっても
得ることができる。また、二塩基酸としては、ジメチル
テレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチル−
2,6−ナフタレンカルボキシレート等のジカルボン酸
のアルキルエステルを少なくとも一方に用いてエステル
交換反応を行なった後重縮合反応を行なっても、ジカル
ボン酸を用いて直接エステル化、次いで重縮合反応を行
なっても良い。
【0037】例えば、ポリエステルの原料として、二塩
基酸と二価アルコールを使用した場合、大気圧下もしく
は1.5〜4kg/cm2の圧力下、これらの原料を140〜
280℃で120〜300分間反応させることにより、
水の留出を終了させて、エステル交換反応を完結させ
る。また、ポリエステルの原料として、二塩基酸のアル
キルエステルと二価アルコールを使用した場合、これら
の原料を大気圧下140〜280℃で120〜300分
間反応させることにより、アルコールの留出を終了させ
て、エステル交換反応を完結させる。もしくは特公昭5
3−37920号公報に記載されたポリエステルの解重
合法によっても本発明の前駆体となるポリエステルオリ
ゴマーを得ることができる。次いで、反応系内の圧力を
10〜1mmHg以下の高真空にすると共に、240〜29
0℃に昇温し、この温度にて60〜180分間加熱して
ポリエステルを得る。
【0038】本発明のポリエステルは、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレートのようなホモポリマ
ーを混合することによっても得ることができる。本発明
の接着剤に使用されるポリエステルのガラス転移温度
(Tg)は、20〜120℃が好ましく、特に30〜1
00℃が好ましい。また、ポリエステルの粘度は、26
0℃で20〜3000ポイズが好ましく、特に、50〜
1700ポイズが好ましい。
【0039】本発明のポリエステル樹脂の製造におけ
る、エステル化反応、エステル交換反応、重縮合にはそ
れぞれ公知の触媒を使用することができる。更に公知の
熱安定剤、酸化防止剤、着色剤やフィラー類を添加して
も良い。エステル化反応は特に触媒を添加しなくても進
行するが、下記の触媒を用いることにより効率よく反応
を進めることができる。例えば、エステル交換反応の触
媒としては、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コ
バルト等の金属のエチレングリコールに可溶な塩、特に
酢酸塩が一般に使用される。また、重縮反応触媒には、
三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタンブトキ
サイド等のチタン化合物等が一般に使用される。
【0040】熱安定剤として、燐酸、亜燐酸もしくはこ
れらのエステル化合物を添加しても良い。例えば、燐酸
トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニル、亜燐
酸トリフェニル、亜燐酸トリメチル、亜燐酸トリエチ
ル、亜燐酸トリフェニル及び燐酸または亜燐酸のモノあ
るいはジエステル等を挙げることができる。また、酸化
防止剤として、公知のヒンダードフェノール類を添加し
ても良い。例えば、イルガノックス1010、同スミラ
イザーBHT、同スミライザーGA−80等の商品名で
市販されているものを使用することができる。また、こ
れらの一次酸化防止剤に二次酸化防止剤を組み合わせる
ことも可能である。二次酸化防止剤としては、例えばス
ミライザーTPL−R、同スミライザーTPM、同スミ
ライザーTP−D等の商品名で市販されているものを使
用することができる。また、その他の添加剤として、シ
リカ、アルミナ、カルシウム含有化合物等の無機粒子や
有機架橋高分子粒子、あるいは染料等を添加しても良
い。
【0041】上記のように、合成又は混合により得られ
たポリエステルは、冷水中に押し出された後、細かく裁
断してペレット状(好ましくは3mm角程度の小片)に
し、乾燥する。あるいは得られたポリエステルをスチー
ルベルト上に押し出した後、裁断してペレット状あるい
はチップ状とする。
【0042】上記のようにして得た水溶性のポリエステ
ル及び水不溶性のポリエステルを、それぞれ水又は有機
溶剤、有機溶剤に溶解させる。得られた水溶性のポリエ
ステルの水溶液は、水溶性のポリエステルの小片を、公
知の方法にて水中に溶解又は分散させることにより得ら
れる。例えば、熱水(例、95℃程度)中に上記ポリマ
ーの小片を、攪拌しながら徐々に投入し、溶解させる。
攪拌には、一般に、ディスパーが使用される。また、合
成または混合により得られたポリエステルを、溶融状態
で直接熱水(95℃程度)中に投入し、溶解させても良
い。また、水不溶性のポリエステルの溶液は、上記と同
様に、例えば、加温した有機溶剤(例、60〜80℃程
度)中にポリマーの小片を、攪拌しながら徐々に投入
し、溶解させる。攪拌には、一般に、ディスパーが使用
される。また、得られたポリエステルを、溶融状態で直
接溶剤に投入し、溶解させても良い。水溶性のポリエス
テルも、上記のように有機溶剤溶液とすることもできる
が、この場合、下記に示すように両方のポリエステルを
有機溶剤に溶かして、得られた溶液を水中に分散させる
ように使用する。
【0043】本発明のポリエステルエマルジョンは、上
記水溶性ポリエステルの水溶液中に、高速攪拌下に、水
不溶性あるいは水難溶性ポリエステルの有機溶剤溶液を
添加し、攪拌を続けることにより得られる。得られた水
分散液は、青白色から乳白色を示す。上記水溶性ポリエ
ステルの水溶液の樹脂濃度は、0.5〜20重量%の範
囲が一般的であり、1〜10重量%の範囲が好ましい。
水不溶性あるいは水難溶性ポリエステルの有機溶剤溶液
の樹脂濃度は、1〜50重量%の範囲が一般的であり、
3〜30重量%の範囲が好ましい。攪拌速度は、100
0〜50000rpmが一般的で、3000〜3000
0rpmが好ましい。攪拌は一般に1〜60分間行なわ
れ、2〜30分間が好ましい。得られる分散液の樹脂濃
度は、5〜50重量%が一般的で、5〜40重量%が好
ましく、特に5〜30重量%が好ましい。
【0044】あるいは、本発明のポリエステルエマルジ
ョンは、上記水溶性ポリエステル及び水不溶性ポリエス
テルを有機溶剤溶液に溶解し、この溶液を高速攪拌下に
水中に添加し、攪拌を続けることにより得られる。更に
減圧下で有機溶剤(水の一部)を除去し、ポリエステル
エマルジョンを得る。得られたエマルジョンは、青白色
から乳白色を示す。上記混合ポリエステルの有機溶剤溶
液の樹脂濃度は、0.5〜20重量%の範囲が一般的で
あり、1〜10重量%の範囲が好ましい。攪拌速度、時
間は、上記と同様である。得られる分散液の樹脂濃度
は、5〜50重量%が一般的で、5〜40重量%が好ま
しく、特に5〜30重量%が好ましい。本発明のエマル
ジョンを得るには後者の方法の方が好ましい。
【0045】上記ポリエステルを溶解させる有機溶剤と
しては、水不溶性ポリエステルが溶解できる溶剤の中か
ら選ばれる。例えば、ジオキソラン、テトラヒドロフラ
ン、1、4−ジオキサン及びアニソール等のエーテル
類;シクロヘキサノン及びアセチルアセトン等のケトン
類;およびジクロロメタン及びクロロホルムを挙げるこ
とができる。高速攪拌のための攪拌機としては、ホモジ
ナイザー、クリアミックス(エム・テクニック(株)
製)を挙げることができる。
【0046】このようにして得られたポリエステルのエ
マルジョンを、磁気記録材料のPET(ポリエチレンテ
レフタレート)等の支持体上に、塗布して下塗層を形成
する場合は、ポリマーが析出しない範囲でメタノール等
の蒸発し易く、水と相溶性のある溶剤を添加して、乾燥
時の加熱条件を緩和することができる。塗布対象のフィ
ルムの表面は、上記下塗層の接着性を向上させるため
に、コロナ放電処理、火炎処理等の表面処理が施されて
いることが好ましい。フィルムがPETやポリエチレン
ナフタレートの場合に、特に好ましい。
【0047】
【実施例】本発明における熱可塑性樹脂水分散液につい
て具体例を挙げて以下に説明するが、本発明はこれによ
って限定されるものではない。なお、実施例中の添加量
を示す「部」とは重量部を意味する。
【0048】[ポリエステルの合成(PE−1S)]二
塩基酸成分として、ジメチル−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート1096部(4.492モル部)及びジ
メチルイソフタレート110部(0.567モル部)、
二価アルコールとしてエチレングリコール552部
(8.903モル部)、トリエチレングリコール501
部(3.340モル部)及びビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物(前記一般式(2)のn=1の化合
物;NC−1900、日本乳化剤(株)製)176部
(0.557モル部)、エステル交換触媒として二酸化
マンガン四水塩0.34部、そして重縮合触媒として三
酸化アンチモン0.34部を、熱媒加熱ジャケット、撹
拌装置及び精溜塔が装着された反応槽に仕込んだ。窒素
を通気しながら徐々に昇温し、150℃から250℃で
反応副生物であるメタノールを精溜塔から除去しながら
エステル交換反応を進めた。
【0049】メタノール溜出の終了を確認した後、反応
生成物であるオリゴマーを、熱媒加熱ジャケット、高粘
度用撹拌装置及び真空装置が装着された250℃の重縮
合反応槽に移した。その反応槽に、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸のエチレングリコールエステル(5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチル;SS
IA)の40重量%エチレングリコール(EG)溶液4
98部(SSIA:0.560モル部、EG:4.82
3モル部;SIPE−40、三洋化成(株)製)を添加
し、5分後更に熱安定剤として燐酸トリメチル0.34
部を添加して2分間撹拌した後、減圧を開始し、60分
で1mmHgまで減圧した。この間反応温度も徐々に高
め、最終的に275℃とした。撹拌軸に設置したトルク
メーターで反応物の溶融粘度を測定し、1700ポイズ
(275℃)になった時点で、窒素導入により真空から
大気圧に戻して重縮合反応を停止し、樹脂を取り出し、
ポリエステル(PE−1S)を得た。得られたポリエス
テルの組成を表1に示す。
【0050】[ポリエステルの合成(PE−1C、PE
−2C、PE−3C、PE−4C、PE−2S、PE−
3S及びPE−4S)]表1に示す組成となるように、
原料を変更して、上記ポリエステルの合成と同様にして
合成して、ポリエステルPE−1C〜PE−4C、及び
PE−2S〜PE−4Sを得た。
【0051】(1)ポリエステル組成 得られたポリエステルPE−1C〜PE−4C、及びP
E−2S〜PE−4Sの組成をプロトン法NMRによる
測定値より決定した。
【0052】(2)数平均分子量及び重量平均分子量 上記数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、以下の
ように行なった。ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(SCL−6B,(株)島津製作所製)を用いて、
GPCのカラムとしてShodex−KF804を使用
し、40℃で、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分0.
8mlの流速で流しながら、8mg(試料)/ml(テ
トラヒドロフラン)の濃度の試料を15μl注入して行
なった。尚、標準物質としてポリスチレンを用いた。
【0053】(3)吸湿率 下記式より求めた。 A:得られたポリエステル約10gを30℃及び20%
RH、60%RH又は85%RHの雰囲気で12時間放
置した後の重量 B:上記と同じポリエステル約10gを105℃の雰囲
気で24時間放置した後の重量
【0054】(4)Tg(ガラス転移温度)湿度依存性 差動走査熱量計(DSC2920、デュポン社製)を用
いて、得られたポリエステル0.01gのサンプルのT
gと、30℃及び20%RH、60%RH又は85%R
Hの雰囲気で12時間放置した後のサンプル(アルミニ
ウム製密封セルに入れてもの)のTgを測定した。
【0055】上記で得られた測定結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】[実施例1]上記ポリエステル(PE−1
C)を上記ポリエステル(PE−1S)の存在下に乳化
分散させて、ポリエステルエマルジョンを下記のように
して得た。上記ポリエステル(PE−1C)9部及び上
記ポリエステル(PE−1S)1部を、70℃に加熱し
た1,3−ジオキソラン(沸点75.6℃)30部に溶
解した。この溶液を、常温の水50部中に高速ホモジナ
イザー(クリアミックス、エム・テクニック(株)製)
で高速攪拌(10000rpm)しながら添加し、5分
間攪拌を続け、乳白色のポリエステル水分散液を得た。
更に、減圧下で1,3−ジオキソラン及び水の一部を除
去し、25重量%のポリエステルエマルジョンを得た。
【0058】[実施例2〜4]実施例1において、ポリ
エステル(PE−1C)及びポリエステル(PE−1
S)の代わりに表2に示したポリエステルを使用して、
実施例1と同様の操作を行なって乳白色のポリエステル
エマルジョンを得た。
【0059】[比較例1]実施例1において、ポリエス
テル(PE−1C)及び上記ポリエステル(PE−1
S)の代わりにポリエステル(PE−1S)のみを使用
して、実施例1と同様の操作を行なって乳白色のポリエ
ステルエマルジョンを得た。
【0060】[比較例2]実施例1において、ポリエス
テル(PE−1C)及び上記ポリエステル(PE−1
S)の代わりにポリエステル(PE−1C)のみを使用
して、実施例1と同様の操作を行なったが、ポリエステ
ルエマルジョンを得ることができなかった。
【0061】得られた分散液について、及び分散液より
得られる塗布層について下記のように評価した。 (5)ポリエステルの分散性の評価 上記実施例におけるエマルジョン作製において、エマル
ジョンが得られたものをAA、得られなかったものをC
Cとして評価した。
【0062】(6)エマルジョン中のポリエステル微粒
子の平均粒径 レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−910、
(株)堀場製作所製)を用いて、サンプルの液温25
℃、レーザの透過率85%及び超音波による液分散時間
2分の条件にて、ポリエステル微粒子のメジアン径値を
得、その平均粒径を求めた。
【0063】(7)剪断安定性 得られたポリエステルエマルジョンに水を加えて20重
量%溶液とし、この溶液250g(22℃)に、回転数
1000rpm及び荷重10kgf/cm2 の条件で剪
断力を5分間付与した後、溶液を400メッシュのステ
ンレス網でろ過して残渣の量を測定した。
【0064】(8)熱安定性(接着性及びブロッキング
性) 実施例1〜4及び比較例1で得られたエマルジョンを、
それぞれ厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムの一方の表面に、塗布し、120℃
のオーブンで2分間乾燥させ、層厚3μmの塗布層を形
成した。 i)接着性 上記塗布層が設けられたフィルム2枚を、塗布面を対向
させて重ね合わせ、ホットプレス装置を用いて120℃
及び20kg/cm2 の条件で圧着した。得られた圧着
フィルムを25mm幅に切断し、それぞれ異なる三条件
(30℃、20%RH;30℃、60%RH;30℃、
85%RH)の環境下に3日間放置した。次いで、各サ
ンプルを加熱装置付き引張試験機(オリエンテック社
製)を用いて、5℃/分で昇温しながら20kg荷重で
T剥離を行ない、剥離し始める温度を測定した。 ii)ブロッキング性 上記塗布層が設けられたフィルム100枚を、塗布面と
裏面を対向させて重ね合わせ、積層体を得た。得られた
積層体を、45℃、85%RHの環境下に3日間放置
し、フィルム同士の接着の程度を下記のように評価し
た。 AA:フィルム同士の付着は見られなかった。 CC:フィルム同士は付着し、容易に分離することがで
きなかった。
【0065】上記で得られた結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表1及び2より明らかなように、実施例1
〜4で得られた本発明のポリエステルエマルジョンは、
安定した水分散性を示し、また得られる塗布層もPET
に対して優れた接着性を有するのみならず、耐水性、耐
湿熱性にも優れたものであることがわかる。実施例1で
エマルジョン化に使用したポリエステル(PE−1S)
は水溶性ではあるが、得られる塗布層は耐水性、耐湿熱
性が充分でない(比較例1)。一方実施例1のエマルジ
ョン粒子の主成分となるポリエステル(PE−1C)は
水分散ができなかった(比較例2)。また上記実施例1
〜4で得られた塗布層付きフィルムを、電子写真用シー
ト及びインクジェット記録用シートとして使用したとこ
ろ、受像性、搬送性等の種々な特性に優れたものであっ
た。
【0068】
【発明の効果】本発明のポリエステルエマルジョンは、
分散安定性が良好で、且つ得られる塗布層の耐水性、耐
湿熱性にも優れている。さらに、金属、ガラス、セラミ
ックス、プラスチック、木材、布、紙等の種々な素材に
対して良好な接着性を示し、またポリエステルフィルム
等のプラススチックフィルムの表面層(写真感光層等)
との接着性を向上させる下塗層としても使用することが
できる。また、本発明のポリエステルエマルジョンは、
水分散安定性に優れ、種々の素材に対して優れた接着性
を有することから、上記接着剤の他、水分散型塗料、電
着塗料、粉体塗料または焼き付け塗料等の塗料バインダ
ーあるいは水分散型印刷インキ用バインダーとしても有
用である。さらに電子写真用シート及びインクジェット
記録用シート等の記録用シートの受像層のバインダーと
しても有用である。
フロントページの続き (72)発明者 竹花 匡 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 小関 圭介 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性の熱可塑性樹脂を、水溶性熱可
    塑性樹脂の存在下で乳化分散して得た熱可塑性樹脂エマ
    ルジョンであって、該水不溶性の熱可塑性樹脂と水溶性
    熱可塑性樹脂が同種の樹脂であることを特徴とする熱可
    塑性樹脂エマルジョン。
  2. 【請求項2】 水不溶性の熱可塑性樹脂と、水溶性熱可
    塑性樹脂との重量比が、99:1〜80:20の範囲に
    ある請求項1に記載の熱可塑性樹脂エマルジョン。
  3. 【請求項3】 水不溶性の熱可塑性樹脂と、水溶性熱可
    塑性樹脂とが、共にポリエステル樹脂である請求項1に
    記載の熱可塑性樹脂エマルジョン。
  4. 【請求項4】 該熱可塑性樹脂エマルジョンの平均粒子
    径が、0.01〜0.5μmの範囲にある請求項1に記
    載の熱可塑性樹脂エマルジョン。
  5. 【請求項5】 該水不溶性の熱可塑性樹脂が、下記
    (a): 【化1】 で表わされるテレフタル酸単位及び下記(b): 【化2】 で表わされる2,6−ナフタレンジカルボン酸単位から
    なる群より選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸単
    位、及び下記(c): 【化3】 [但し、Mは水素原子又はアルカリ金属を表わす。]で
    表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を含む二塩
    基酸成分の繰返し単位、そして下記の(d): 【化4】 で表わされるエチレングリコール単位、下記の(e): 【化5】 で表わされるトリエチレングリコール単位及び下記の
    (f): 【化6】 [但し、nは1〜5を表わす。]で表わされるビスフェ
    ノールAのエチレンオキサイド付加物単位を含む二価ア
    ルコール成分の繰返し単位からなり、かつ上記(c)で
    表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を二塩基酸
    成分の繰返し単位の0〜7モル%有するポリエステルで
    あり、そして水溶性熱可塑性樹脂が、上記(a)で表わ
    されるテレフタル酸単位及び上記(b)で表わされる
    2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選
    ばれる少なくとも一種のジカルボン酸単位、及び上記
    (c)で表わされるスルホベンゼンジカルボン酸単位を
    含む二塩基酸成分の繰返し単位、そして上記の(d)で
    表わされるエチレングリコール単位、上記の(e)で表
    わされるトリエチレングリコール単位及び下記の(f)
    で表わされるビスフェノールAのエチレンオキサイド付
    加物単位を含む二価アルコール成分の繰返し単位からな
    り、かつ上記(c)で表わされるスルホベンゼンジカル
    ボン酸単位を二塩基酸成分の繰返し単位の5〜17モル
    %有するポリエステルである請求項1に記載の熱可塑性
    樹脂エマルジョン。
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