JP2020055249A - ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法 - Google Patents
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Description
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、貯蔵弾性率(E’)がポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲中で、一旦2.0×108Pa以下に低下する凹部になる部分を有し、かつ相対結晶化度が80%未満のポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートとしてその厚さを1μm以上1000μm以下とし、
このポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲で予備加熱し、その後、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートのガラス転移点(Tg)以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの融点未満の温度範囲の金型により熱成形することを特徴としている。
また、予備加熱したポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、金型の雌型内に中空の雄型により挿入し、雄型に気体を圧送して雌型内を減圧することにより、所定の成形品を熱成形することができる。
なお、図2と図3は、押出方向の貯蔵弾性率(E’)を示すが、幅方向(押出方向の直角方向)の貯蔵弾性率(E’)も略同様である。
相対結晶化度(%)={1−(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:結晶融解ピークの熱量(J/g)
冷却ロール30の温度調整や冷却方法としては、特に限定されるものではないが、例えば空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒータや誘電加熱等の方法が該当する。
圧着ロール40の温度調整や冷却方法としては、冷却ロール30と同様、限定されるものではなく、例えば空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒータや誘電加熱等があげられる。
〔実施例1〕
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名:キータスパイアPEEK KT−851NL SP(以下、「KT−851NL SP」と略す〕を用意し、このポリエーテルエーテルケトン樹脂を160℃に加熱した除湿熱風乾燥機で12時間乾燥させた。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの厚さについては、マイクロメータ(ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ)を使用して測定した。測定に際しては、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの幅方向(押出方向の直角方向)任意の10箇所測定し、その平均値をシート厚とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの相対結晶化度については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートから測定試料約8mgを秤量し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X−DSC7000)を使用して昇温速度10℃/分、測定温度範囲20℃から380℃の条件で測定した。このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から以下の式を用いて算出した。
ここで、ΔHcはポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)を表し、ΔHmはポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)を表す。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートのガラス転移点(Tg)については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの損失弾性率(E”)を測定し、その値が極大になった温度をガラス転移点とした。損失弾性率は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの押出方向で測定した。具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを押出方向60mm×幅方向6mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2)を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲60℃から360℃以下、チェック間21mmの条件で測定した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの貯蔵弾性率(E’)は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの押出方向において引張モードにより測定した。具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを押出方向60×幅方向6mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2)を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲60℃から360℃、チェック間21mmの条件で測定し、○×表記した。
上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕
以下の温度範囲中で、一旦2.0×108Pa以下に低下する凹部の部分を有する
場合
×:ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以
上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕
以下の温度範囲中で、一旦2.0×108Pa以下に低下する凹部の部分を有しな
い場合
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの融点については、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートから測定試料約8mgを秤量し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X−DSC 7000)を使用して昇温速度10℃/分、測定温度範囲20℃から380℃の条件で測定した。このときに得られる熱量曲線から吸熱ピークの極大値を融点とした。
カップ状の成形品を目視により、観察・評価した。
・成形品の相対結晶化度
成形品の相対結晶化度は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの相対結晶化度と同様の方法により算出した。
得られたカップ状の成形品を288℃のはんだ浴に10秒間浮かべ、室温まで冷却した後、成形品に変形やシワの発生を目視により観察し、○×表記した。
ここで、○:変形無し、×:変形有とした。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、実施例1で用いた市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂を用意し、実施例1と同様の方法により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に成形し、この押出成形した樹脂シートのシート厚さ、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)、貯蔵弾性率(E’)と融点を実施例1と同様の方法により評価してその結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、397℃であった。また、圧着ロールの温度を非接触式の温度計で測定した結果、130℃であった。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、実施例1で用いた市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂を用意し、実施例1と同様の方法により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に成形し、この押出成形した樹脂シートのシート厚さ、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)、貯蔵弾性率(E’)と融点を実施例1と同様の方法により評価してその結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、398℃であった。また、冷却ロールは70℃に調整した。また、圧着ロールの温度を非接触式の温度計で測定した結果、115℃であった。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ダイセル・エボニック社製、製品名:ベスタキープ 3300G(以下、「3300G」と略す)〕を用意し、実施例1と同様の方法により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に押出成形し、この押出成形した樹脂シートの厚さ、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)、貯蔵弾性率(E’)と融点を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、399℃であった。また、冷却ロール温度は110℃に調整した。圧着ロールの温度を非接触式の温度計で測定したところ、127℃の値を示した。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ビクトレック社製、製品名:Victrex Granules 450G〕を用意し、実施例1と同様の方法でポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に押出成形し、この押出成形した樹脂シートの厚さ、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)、貯蔵弾性率(E’)を実施例1と同様の方法により評価し、その結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、398℃の値を示した。また、冷却ロール温度は140℃に調整した。また圧着ロールの温度を非接触式の温度計で測定した結果、141℃であった。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ビクトレックス社製、製品名:Victrex Granules 381G〕を用意し、実施例1と同様の方法でポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に押出成形し、この押出成形した樹脂シートの厚さ、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)、貯蔵弾性率(E’)と融点を実施例1と同様の方法により評価し、その結果を表1に記載した。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルケトンケトン樹脂〔アルケマ社製 製品名:KEPSTAN 8002(以下、「8002」と略する〕を用意し、このポリエーテルケトンケトン樹脂を160℃に加熱した熱風乾燥機で12時間乾燥させた。
実施例1と同様のポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用し、冷却ロールの温度を210℃に変更した以外、実施例1と同様の条件でポリエーテルエーテルケトン樹脂シートを押出成形した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートを押出成形したら、このポリエーテルエーテルケトン樹脂シートのシート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)と融点を測定してその結果を表2に記載した。
実施例1で成形したポリエーテルエーテルケトン樹脂シートをプレス成形法により、カップ状の成形品に成形しようと試みた。プレス成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様とした。ここで、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートのプレス成形は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートの予備加熱温度:210℃、成形金型温度:230℃、プラグ温度:230℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
実施例1で成形したポリエーテルエーテルケトン樹脂シートをプレス成形法により、カップ状の成形品に成形しようと試みた。プレス成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様とした。ここで、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートのプレス成形は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートの予備加熱温度:155℃、成形金型温度:380℃、プラグ温度:280℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
実施例1で成形したポリエーテルエーテルケトン樹脂シートをプレス成形法により、カップ状の成形品に成形した。プレス成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様とした。ここで、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートのプレス成形は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂シートの予備加熱温度:160℃、成形金型温度:110℃、プラグ温度:110℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
各実施例の場合、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲中で一旦2.0×108Pa以下に低下する凹部になる部分を有するポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを製造し、使用したので、プレス成形性が実に良好であった。また、プレス成形中に結晶化度が増大し、相対結晶化度が100%となり、耐熱性に優れる成形品を得ることができた。
2 成形材料
10 溶融押出成形機
20 Tダイス(ダイス)
30 冷却ロール
40 圧着ロール
60 巻取機
72 成形金型(金型)
73 雌型
74 プラグ(雄型)
Claims (4)
- ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを用いて所定の成形品を成形するポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法であって、
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、貯蔵弾性率(E’)がポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲中で、一旦2.0×108Pa以下に低下する凹部になる部分を有し、かつ相対結晶化度が80%未満のポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートとしてその厚さを1μm以上1000μm以下とし、
このポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)−10℃〕以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲で予備加熱し、その後、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートのガラス転移点(Tg)以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの融点未満の温度範囲の金型により熱成形することを特徴とするポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法。 - ポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の成形材料をポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の熱分解温度未満の温度範囲で溶融混練し、この成形材料をポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の熱分解温度未満の温度範囲に設定したダイスから連続的に押し出してポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを成形し、このポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+20℃〕以下に冷却する請求項1記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法。
- ダイスから連続的に押し出して成形したポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+20℃〕以下の冷却ロールと圧着ロールとに挟持させる請求項2記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法。
- 予備加熱したポリアリーレンエーテルケトン樹脂シートを、金型の雌型内に中空の雄型により挿入し、雄型に気体を圧送して雌型内を減圧することにより、所定の成形品を熱成形する請求項1、2、又は3記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法。
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