JP6058566B2 - ポリアミド9t樹脂シートを用いた成形方法 - Google Patents
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ポリアミド9T樹脂シートを、貯蔵弾性率(E’)がポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲中で一旦2.0×108Pa以下に低下する部分を有し、かつ相対結晶化度が90%以下のシートとしてその厚さを3〜500μmとし、このポリアミド9T樹脂シートを、ポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲で予備加熱し、その後、ポリアミド9T樹脂シートを、ポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜融点未満の温度範囲の金型により熱成形することを特徴としている。
また、ダイスから連続的に押し出して成形したポリアミド9T樹脂シートを160℃以下の圧着ロールと冷却ロールとに挟持させることができる。
なお、図2と図3は、押出方向の貯蔵弾性率を示すが、幅方向(押出方向の直角方向)の貯蔵弾性率も略同様である。
相対結晶化度(%)={(1−ΔHc)/ΔHm}×100
ΔHc:再結晶化ピークの熱量[J/g]
ΔHm:結晶融解ピークの熱量[J/g]
〔実施例1〕
先ず、市販のポリアミド9T樹脂(クラレ社製 製品名:ジェネスタ N1000A−M42 BK)を115℃に加熱した除湿乾燥機で8時間乾燥させ、この乾燥したポリアミド9T樹脂を成形材料として幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機(アイ・ケー・ジー社製)にセットして溶融混練し、この溶融混練したポリアミド9T樹脂を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出してポリアミド9T樹脂シートを帯形に押出成形した。
ポリアミド9T樹脂シートの厚さについては、マイクロメータ(ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ)を使用して測定した。測定に際しては、ポリアミド9T樹脂シートの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)が交わる所定の厚みを100箇所測定し、その平均値をシート厚とした。押出方向の測定箇所は、ポリアミド9T樹脂シートの先端部から100mm間隔で100mm、200mm、300mm、400mm、500mmの位置とした。
ポリアミド9T樹脂シートの相対結晶化度については、ポリアミド9T樹脂シートから測定試料10mgを秤量し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X−DSC7000)を使用して10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から以下の式を用いて算出した。
相対結晶化度(%)={(1−ΔHc)/ΔHm}×100
ポリアミド9T樹脂シートのガラス転移点(Tg)については、シートの損失弾性率(E”)を測定し、その値が極大になった温度をガラス転移点とした。損失弾性率は、ポリアミド9T樹脂シートの押出方向で測定した。具体的には、ポリアミド9T樹脂シートを押出方向60mm×幅方向6mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2)を用いた引張モードにより、周波数3Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲−60〜300℃、チェック間21mmの条件で測定した。
ポリアミド9樹脂シートの貯蔵弾性率は、ポリアミド9T樹脂シートの押出方向において引張モードにより測定した。具体的には、ポリアミド9T樹脂シートを押出方向60mm×幅方向6mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2)を用いた引張モードにより、周波数3Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲−60〜300℃、チェック間21mmの条件で測定した。
×:ガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲中で一旦2.0×108Pa以下になる落ち込み部分を有しない場合
カップ状の成形品を目視により観察・評価した。
・成形品の相対結晶化度
成形品の相対結晶化度は、ポリアミド9T樹脂シートの相対結晶化度と同様の方法により算出した。
得られたカップ状の成形品を200℃に加熱した熱風オーブン中に24時間静置し、静置後の成形品の状態を目視により観察・評価した。
ここで、○:変形無し、×:変形有とした。
実施例1で使用したポリアミド9T樹脂と同様のポリアミド9T樹脂を使用し、ポリアミド9T樹脂シートを溶融押出成形した。シートの成形条件は、冷却ロールである金属ロールの温度を105℃に変更した以外は、実施例1と同様とした。ポリアミド9T樹脂シートを得たら、実施例1と同様の方法により、シート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)を測定し、その結果を表1に記載した。
先ず、市販のポリアミド9T樹脂(クラレ社製 製品名:ジェネスタ N1000A−M42 NA]を115℃に加熱した除湿乾燥機で8時間乾燥させ、このポリアミド9T樹脂を実施例1と同様の方法によりポリアミド9T樹脂シートに押出成形した。但し、金属ロールの温度は60℃に変更した。ポリアミド9T樹脂の乾燥時の水分率は、253ppmであった。
実施例3で使用したポリアミド9T樹脂と同様のポリアミド9T樹脂を使用し、ポリアミド9T樹脂シートを押出成形した。ポリアミド9T樹脂シートの成形条件は、金属ロールの温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたポリアミド9T樹脂シートについて、実施例1と同様の方法により、シート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)を測定してその結果を表1にまとめた。
先ず、市販のポリアミド9T樹脂(クラレ社製 製品名:ジェネスタ N1000A−M41 BK)を115℃に加熱した除湿乾燥機で8時間乾燥させ、この乾燥したポリアミド9T樹脂を実施例1と同様の方法により、帯形のポリアミド9T樹脂シートに押出成形した。ポリアミド9T樹脂シートの成形条件は、冷却ロールである金属ロールの温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件とした。ポリアミド9T樹脂の乾燥時の水分率は、241ppmであった。ポリアミド9T樹脂シートを得たら、実施例1と同様の方法により、シート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)を測定してその結果を表1にまとめた。
実施例5で使用したポリアミド9T樹脂と同様のポリアミド9T樹脂を使用し、ポリアミド9T樹脂シートを押出成形した。ポリアミド9T樹脂シートの成形条件は、金属ロールの温度を145℃に変更した以外は、実施例1と同様の条件とした。得られたポリアミド9T樹脂シートについて、実施例1と同様の方法により、シート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)を測定してその結果を表1にまとめた。
実施例1と同様のポリアミド9T樹脂を使用し、金属ロールの温度を170℃に変更した以外は実施例1と同様の条件でポリアミド9T樹脂シートを押出成形した。ポリアミド9T樹脂シートを押出成形したら、このポリアミド9T樹脂シートのシート厚、相対結晶化度、ガラス転移点(Tg)と貯蔵弾性率(E’)を測定してその結果を表2に記載した。
カップ状の成形品を成形しようと試みたが、ポリアミド9T樹脂シートが軟化しなかったため、成形品を得ることができなかった。
実施例1で成形したポリアミド9T樹脂シートを真空成形法により、カップ状の成形品に成形しようと試みた。真空成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様とした。ここで、ポリアミド9T樹脂シートの真空成形は、シートの予備加熱温度:155℃、成形金型温度:160℃、プラグ温度:110℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
実施例1のポリアミド9T樹脂シートを真空成形法により、カップ状の成形品に成形しようと試みた。真空成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様である。ポリアミド9T樹脂シートの融点を測定したところ、ポリアミド9T樹脂シートの融点は302℃であった。
ここで、ポリアミド9T樹脂シートの真空成形は、ポリアミド9T樹脂シートの予備加熱温度:125℃、成形金型温度:320℃、プラグ温度:110℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
ポリアミド9T樹脂シートの融点については、ポリアミド9T樹脂シートから測定試料10mgを秤量し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X−DSC 7000)を使用して10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる熱量曲線から極大値ピークを融点とした。
実施例4のポリアミド9T樹脂シートを真空成形法により、カップ状の成形品に成形した。真空成形法に使用した成形金型は、実施例1と同様である。真空成形は、シートの予備加熱125℃、金型温度:50℃、プラグ温度:110℃、成形圧力:200kPa、成形時間:30秒間の条件で実施した。
実施例の場合、ガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲中で一旦2.0×108Pa以下に低下する部分を有するポリアミド9T樹脂シートを製造し、使用したので、真空成形性が実に良好であった。また、真空成形中に結晶化度が増大し、相対結晶化度が100%となり、耐熱性に優れる成形品を得ることができた。
比較例4の場合、成形金型の温度をポリアミド9T樹脂のガラス転移点未満の温度に設定して真空成形した。その結果、成形品の成形性は良好であったが、真空成形中に成形品の結晶化を十分に進めることができなかったため、成形品の耐熱性に問題が生じた。
2 成形材料
10 溶融押出成形機
11 原料投入口
12 不活性ガス供給管
20 Tダイス(ダイス)
30 圧着ロール
40 冷却ロール
60 巻取機
61 巻取管
70 治具
71 ヒータ
72 成形金型(金型)
73 プラグ(金型)
Claims (3)
- ポリアミド9T樹脂シートを用いて成形品を熱成形する成形方法であって、ポリアミド9T樹脂シートを、貯蔵弾性率(E’)がポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲中で一旦2.0×108Pa以下に低下する部分を有し、かつ相対結晶化度が90%以下のシートとしてその厚さを3〜500μmとし、このポリアミド9T樹脂シートを、ポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜〔ガラス転移点(Tg)+25℃以下〕の温度範囲で予備加熱し、その後、ポリアミド9T樹脂シートを、ポリアミド9T樹脂のガラス転移点(Tg)〜融点未満の温度範囲の金型により熱成形することを特徴とするポリアミド9T樹脂シートを用いた成形方法。
- ポリアミド9T樹脂含有の成形材料をポリアミド9T樹脂の融点〜370℃の温度範囲で溶融混練し、この溶融混練した成形材料をポリアミド9T樹脂の融点〜370℃の温度範囲に設定したダイスから連続的に押し出してポリアミド9T樹脂シートを成形し、このポリアミド9T樹脂シートを160℃以下に冷却してその厚さを3〜500μmとする請求項1記載のポリアミド9T樹脂シートを用いた成形方法。
- ダイスから連続的に押し出して成形したポリアミド9T樹脂シートを160℃以下の圧着ロールと冷却ロールとに挟持させる請求項2記載のポリアミド9T樹脂シートを用いた成形方法。
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JP2014005622A JP6058566B2 (ja) | 2014-01-16 | 2014-01-16 | ポリアミド9t樹脂シートを用いた成形方法 |
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