1.自動車の構成
図1は、本発明の発電システムの一実施形態が搭載される自動車を示す概略構成図である。
図1において、自動車8は、動力システム2と、エネルギー回収システム29とを備えている。
動力システム2は、温度が経時的に上下する熱源としてのエンジン11、エンジン11に空気を供給するための吸気管16、エンジン11により加熱される熱媒体としての排気ガスが通過する流路としての排気管17、および、エンジン11に燃料を供給するための燃料供給装置20を備えている。
エンジン11は、動力を発生する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型(例えば、2気筒型、4気筒型、6気筒型)が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
以下において、4気筒型が採用されるとともに、その各気筒で4サイクル方式が採用されるエンジン11について、説明する。
このエンジン11は、並列配置される複数(4つ)の気筒12を備えている。なお、図1においては、1つの気筒12を取り出して示し、その他の気筒12については省略している。
各気筒12は、ピストン13、燃焼室14および点火プラグ(図示せず)などを備えており、上流側が吸気管16に接続されるとともに、下流側が排気管17に接続されている。
また、各気筒12は、吸気管16と接続される接続部分において、吸気バルブ18を備えるとともに、排気管17と接続される接続部分において、排気バルブ19を備えている。
吸気バルブ18は、気筒12と吸気管16との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
排気バルブ19は、気筒12と排気管17との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、図示しないが、スプリングなどの弾性力によって閉方向に付勢されている。これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、例えば、カムシャフトの回転などによって、気筒12を開閉可能としている。
吸気管16は、エンジン11に空気を供給するために設けられ、その下流側端部がエンジン11の気筒12に接続されるとともに、上流側端部が外気に開放されている。
また、吸気管16は、スロットルバルブ27を備えている。スロットルバルブ27は、例えば、アクセルペダルの踏み込みなどの運転操作に伴い、その開閉および開度が調節可能とされており、その開閉によって、エンジン11に空気を取り込み可能としている。
排気管17は、エンジン11から排気ガスを排出させるために設けられ、その上流側端部がエンジン11の気筒12に接続されている。
また、図示しないが、複数(4つ)の気筒12に接続される複数(4つ)の排気管17は、所定の箇所で1つに集合され、その集合された排気管17の下流側には、触媒搭載部24および箱型収容ケース5が介在されている。
触媒搭載部24は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、エンジン11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、排気管17における排気ガスの流れ方向途中部分に接続されている。
箱型収容ケース5は、排気管17の触媒搭載部24よりも下流側の流れ方向途中において、排気管17に連通するように介装される略直方体状の収容ケースであって、その内部空間において排気ガスが通過する。
そして、箱型収容ケース5の下流側において、排気管17の下流側端部は、外気に開放されている。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを、外気に放出可能としている。
燃料供給装置20は、燃料タンク21および燃料供給管22を備えている。
燃料タンク21は、エンジン11に供給される燃料(例えば、ガソリンなど)が貯留されるタンクであって、耐熱耐圧容器などから形成されている。
燃料供給管22は、燃料タンク21からエンジン11に燃料を供給するために設けられており、その上流側端部が燃料タンク21に接続されるとともに、下流側端部が、燃料噴射弁23に接続されている。
燃料噴射弁23は、エンジン11に対する燃料タンク21からの燃料の供給量を調節するとともに、その燃料をエンジン11に対して噴射するための弁であって、燃料供給管22の下流側端部に設けられ、吸気管16の吸気バルブ18よりも上流側に接続されている。
燃料噴射弁23としては、特に制限されず、公知の噴射弁を用いることができる。
このような燃料噴射弁23は、エンジン11のエンジン制御ユニット28に電気的に接続されており、エンジン制御ユニット28によって、その開閉が制御されている。
エンジン制御ユニット28は、エンジン11の運転状態(例えば、図示しない回転計により検知されるエンジン11の回転数、例えば、図示しない圧力センサにより検知されるスロットルバルブ27の下流側の吸気管16内の圧力など)に基づいて燃料供給量を制御するユニットであって、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
そして、このエンジン制御ユニット28に燃料噴射弁23が電気的に接続されることにより、エンジン制御ユニット28からの制御信号が、燃料噴射弁23に入力可能とされている。これにより、エンジン制御ユニット28が、エンジン11の運転状態に応じて、燃料噴射弁23の開閉および開度、すなわち、燃料噴射弁23による燃料の噴射量(エンジン11に対する燃料の供給量)を制御可能としている。
エネルギー回収システム29は、温度が経時的に上下されることにより電気分極する発電素子3、および、発電素子3から電力を取り出すための第1電極4を備える発電デバイス6と、発電素子3の温度を予測するための温度予測手段としての温度予測デバイス7と、発電素子3を加熱および冷却するための温度操作手段としての温度操作デバイス38と、発電素子3の分極量を測定するための分極量測定手段としての分極量センサ39と、発電デバイス6に電圧を印加する電圧印加手段としての電圧印加装置9と、温度予測デバイス7による温度予測に応じて、温度操作デバイス38および電圧印加装置9の作動を制御するための制御手段としての制御装置10とを備えている。
なお、詳しくは後述するが、発電デバイス6と、温度操作デバイス38と、温度予測デバイス7と、分極量センサ39、電圧印加装置9と、制御装置10とから、発電システム1が構成されている。
発電デバイス6は、箱型収容ケース5内に配置されている。
発電素子3は、排気管17内に配置されており、その排気管17を通過する排気ガスの温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する素子である。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような発電素子3として、具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極する素子、焦電効果により電気分極する素子などが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する発電素子3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
発電素子3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、排気ガスに接触(曝露)されるように、箱型収容ケース5内に配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第1電極4を用いることができる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第1電極4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、後述するように排気ガスが経時的に温度変化し、高温状態と低温状態とが経時的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が経時的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、経時的に繰り返される。
その結果、後述する第1電極4により、電力が、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、誘電体(絶縁体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて誘電体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、誘電体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、誘電体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、誘電体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極する素子としては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
発電素子3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、排気ガスに接触(曝露)されるように、箱型収容ケース5内に配置される。
このような場合において、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第1電極4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、後述するように排気ガスが経時的に温度変化し、高温状態と低温状態とが経時的に繰り返される場合などには、焦電素子が経時的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、経時的に繰り返される。
その結果、後述する第1電極4により、電力が、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
このような発電素子3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO3、CaTiO3、(CaBi)TiO3、BaNd2Ti5O14、BaSm2Ti4O12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC4H4O6)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、Ca3(VO4)2、Ca3(VO4)2/Ni、LiNbO3、LiNbO3/Ni、LiTaO3、LiTaO3/Ni、Li(Nb0.4Ta0.6)O3、Li(Nb0.4Ta0.6)O3/Ni、Ca3{(Nb,Ta)O4}2、Ca3{(Nb,Ta)O4}2/Niなどを用いることができる。
また、発電素子3としては、さらに、LaNbO3、LiNbO3、KNbO3、MgNbO3、CaNbO3、(K1/2Na1/2)NbO3、(K1/2Na1/2)NbO3/Ni、(Bi1/2K1/4Na1/4)NbO3、(Sr1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Ba1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Li1/10(K1/2Na1/2)9/10)NbO3、Sr2NaNb5O15、Sr19/10Ca1/10NaNb5O15、Sr19/10Ca1/10NaNb5O15/Ni、Ba2NaNbO15、Ba2Nb2O6、Ba2NaNbO15/Ni、Ba2Nb2O6/Niなどの誘電体や、例えば、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Mg1/3Ta2/3)O3、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3、Pb(Yb1/2Ta1/2)O3、Pb(In1/2Nb1/2)O3、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3、Pb(Sc1/2Ta1/2)O3、PbTiO3などのリラクサーペロブスカイト型結晶構造の誘電体などを用いることもできる。
これら発電素子3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
発電素子3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、発電素子3(誘電体(絶縁体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような発電システム1では、発電素子3(誘電体(絶縁体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、発電素子3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、発電素子3(誘電体(絶縁体))は、排気ガスの温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
このような発電素子3は、詳しくは図示しないが、箱型収容ケース5内において、互いに間隔を隔てて複数整列配置され、後述する第1電極4(および必要により設けられる固定部材)(図示せず)により、固定されている。
また、複数の発電素子3は、それぞれ、箱型収容ケース5内において、長手方向が排気ガスの流れ方向に沿うように配置されており、各発電素子3は、直接または第1電極4(後述)を介して、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
なお、図1においては、1つの発電素子3(発電デバイス6)を取り出して示し、その他の発電素子3(発電デバイス6)については省略している。
第1電極4は、発電素子3から電力を取り出すために設けられる。
このような第1電極4は、具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の発電素子3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、発電素子3に電気的に接続されている。
温度予測デバイス7は、排気管17内において、発電デバイス6の設置される箱型収容ケース5の近傍(具体的には、箱型収容ケース5の下流側)に配置され、図示しないフレームを介して排気管17内において支持されている。
より具体的には、温度予測デバイス7は、温度検知素子35と第2電極36とを備えている。
温度検知素子35は、排気管17内に配置されており、エンジン11から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、温度が経時的に上下され、それによって電気分極する素子である。つまり、温度検知素子35は、上記した素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)である。
温度検知素子35としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2電極36を用いることができる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2電極36を介して、ピエゾ素子から起電力が検出される。
また、温度検知素子35として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
このような場合において、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2電極36を介して、焦電素子から起電力が検出される。
温度検知素子35から、第2電極36により検出される起電力は、上記発電素子3から第1電極4により取り出される電力と同様に、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として検出される。
これら温度検知素子35は、単独使用または2種類以上併用することができる。
温度検知素子35としては、上記した発電素子3を構成する誘電体として例示されたものが挙げられ、好ましくは、温度検知素子35を構成する誘電体と、発電素子3を構成する誘電体とは同一種類である。
温度検知素子35と発電素子3とが同一種類であれば、発電素子3の温度変化を、より正確に予測することができる。
すなわち、温度検知素子35と発電素子3とは、同じ排気管17内に配置され、同じ排気ガスに曝露される。
そのため、比較的下流側に配置される温度検知素子35が、排気ガスに曝露され、温度が変化する場合、その上流側に配置される発電素子3も、同様の排気ガスに曝露され、温度検知素子35と同様の温度変化が生じていると予測される。
このような温度予測では、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類であれば、発電素子3の温度変化をより正確に予測することができる。
なお、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類でなくとも、それらの相関関係を予め測定することにより、温度検知素子35の温度状態から、発電素子3の温度状態を予測することもできる。
なお、温度検知素子35と、発電素子3との距離は特に制限されず、上記の温度予測が可能となるように、適宜設定される。
第2電極36は、詳しくは後述するが、温度検知素子35から起電力を検出することにより、温度検知素子35の温度を検知するために設けられる。
このような第2電極36は、具体的には、温度検知素子35から起電力を検出できれば、特に制限されないが、例えば、上記の温度検知素子35を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えている。具体的には、導線の一方側が、電極を介して温度検知素子35に電気的に接続され、他方側が制御装置10(後述)に電気的に接続されている。
温度操作デバイス38は、発電素子3を加熱および冷却し、発電素子3の温度変化を制御するための装置である。
より具体的には、温度操作デバイス38は、上記エンジン11と、上記排気管17と、発電デバイス6および温度予測デバイス7に対する排気ガスの供給および回避を切り替えるための切替デバイス40と、発電デバイス6および温度予測デバイス7に冷却媒体としての空気を供給するための空気供給デバイス50とを備えている。
切替デバイス40は、排気ガスの通過する経路を変更し、排気ガスに発電デバイス6および温度予測デバイス7を回避させるために設けられている。
このような切替デバイス40は、発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側において、排気管17に接続されている。
より具体的には、切替デバイス40は、排気管17から分岐する回避管42と、その回避管42の分岐部分に介在される三方弁41とを備えている。
回避管42は、排気ガスと発電デバイス6および温度予測デバイス7とが接触しないように、排気ガスを排出させるために設けられており、その上流側端部が排気管17の流れ方向途中部分に接続されている。また、下流側端部が、外気に開放されている。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを、外気に放出可能としている。
三方弁41は、公知の三方弁であって、排気管17に対する回避管42の接続部分に設けられている。これにより、三方弁41は、エンジン11において生じた排気ガスの流れる経路を、発電デバイス6および温度予測デバイス7と接触する方向(排気管17の下流側)、または、発電デバイス6および温度予測デバイス7を回避する方向(すなわち、回避管42)に、切り替え可能としている。
すなわち、三方弁41の切替により排気管17を開放し、回避管42を閉塞すれば、排気ガスを発電デバイス6および温度予測デバイス7に供給して、発電デバイス6および温度予測デバイス7を加熱することができる。
また、三方弁41の切替により排気管17を閉塞し、回避管42を開放すれば、排気ガスを発電デバイス6および温度予測デバイス7に供給せずに、発電デバイス6および温度予測デバイス7を放冷することができる。
このように、切替デバイス40は、発電デバイス6を加熱する加熱装置、および、発電デバイス6を冷却する冷却装置として、用いることができる。
なお、三方弁41は、後述する制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、経路の切り替えの方向およびタイミングが制御されている。
空気供給デバイス50は、発電デバイス6および温度予測デバイス7に冷却媒体としての空気を供給し、発電デバイス6および温度予測デバイス7を冷却するために設けられている。
このような空気供給デバイス50は、排気管17の発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側、かつ、排気管17に対する回避管42の接続部よりも下流側に接続されている。
より具体的には、空気供給デバイス50は、排気管17から分岐する空気供給管51と、その空気供給管51の流れ方向途中に介在される空気供給弁53および空気供給機52とを備えている。
空気供給管51は、上流側端部が大気中に開放され、下流側端部が排気管17の発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側、かつ、排気管17に対する回避管42の接続部よりも下流側に接続されている。
空気供給弁53は、空気供給管51を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。また、図示しないが、空気供給弁53は、制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、その開閉が制御されている。
空気供給機52は、空気供給弁53が開放状態のときに空気供給管51に空気を供給するための送気ポンプであり、空気供給弁53よりも上流側に備えられている。
なお、図示しないが、空気供給機52は、制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、その駆動および停止が制御されている。
また、空気供給デバイス50において、空気供給管51の下流側端部は、吸気管16の流れ方向途中に接続されていてもよく、また、そのような場合には、エンジン11に空気を導入するためのターボチャージャー、スーパーチャージャーなどを空気供給機52として採用することもできる。
そして、三方弁41が排気管17を閉塞し、回避管42を開放した状態(すなわち、発電素子3が放冷可能な状態)において、空気供給デバイス50を駆動すれば、発電デバイス6に冷却媒体を供給することができ、より効率的に冷却することができる。すなわち、空気供給デバイス50は、発電デバイス6を冷却する冷却装置として、用いることができる。
なお、以下において、三方弁41が排気管17を開放し、かつ、回避管42を閉塞した状態であって、空気供給デバイス50が停止された状態(すなわち、発電素子3に排気ガスが供給される状態)を、温度操作デバイス38の加熱モードとする。
また、三方弁41が排気管17を閉塞し、かつ、回避管42を開放した状態であって、さらに、空気供給デバイス50が駆動された状態(すなわち、発電素子3に冷却媒体が供給される状態)を、温度操作デバイス38の冷却モードとする。
これら加熱モードおよび冷却モードは、後述する制御装置10の制御により、切り替えられる。
分極量センサ39は、発電素子2の分極の度合いを測定できれば、特に制限されないが、例えば、発電素子3と電気的に直列接続されるコンデンサなどが挙げられる。
分極量センサ39により、発電素子3の分極量(C)が、測定可能とされている。
電圧印加装置9は、発電素子3(発電デバイス6)に電圧を印加するため、発電素子3(発電デバイス6)に直接または近接して設けられる。具体的には、電圧印加装置9は、例えば、上記した第1電極4とは別途、上記の発電素子3および第1電極4を挟んで対向配置される2つの電圧印加電極37(例えば、銅電極、銀電極など)、電圧印加電源V、およびそれらに接続される導線などを備えており、電圧印加電極37間に発電素子3および第1電極4を介在させるように、配置されている。
制御装置10は、発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。
この制御装置10は、温度予測デバイス7および電圧印加装置9に電気的に接続されており、上記した温度予測デバイス7による予測温度に応じて、電圧印加装置9を作動または停止させるために、設備されている。
より具体的には、制御装置10には、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との関係を示すマッピングデータが、格納されている。
すなわち、上記した温度検知素子35は、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、温度が経時的に上下され、それによって電気分極し、起電力を生じさせる。このとき、排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度との間には、相関がある。また、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との間にも、相関がある。このような相関関係に基づいて、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との関係が、予めマッピングされ、そのマッピングデータが、制御装置10に格納される。
そして、制御装置10は、上記のマッピングデータに基づいて、温度検知素子35において生じる起電力から、温度検知素子35の温度、および、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度を、算出可能としている。
さらに、制御装置10は、排気ガスの予測温度、自動車8の車速、アクセル開度、エンジン11の回転数、吸気系における吸気圧および吸入空気量、燃料流量、さらには、空燃比(吸入空気量/燃料流量)などから、排気ガスの将来的な温度変化を予測することができる。さらに、そのような排気ガスに曝露された温度検知素子35の温度変化(すなわち、温度検知素子35の将来的な温度変化)を予測することもできる。
その結果、制御装置10では、温度検知素子35の温度状態が予測可能とされる。
また、発電システム1では、温度検知素子35の温度変化と、発電素子3の温度変化とには、相関がある。このような相関関係に基づいて、温度検知素子35の温度変化と、発電素子3の温度変化との関係が、予めマッピングされ、そのマッピングデータが、制御装置10に格納される。
そのため、制御装置10では、温度検知素子35の温度状態に基づいて、発電素子3の温度状態が、予測可能とされる。
また、制御装置10は、電圧印加装置9に電気的に接続されており、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、電圧印加装置9の作動および停止を、制御可能としている。
また、制御装置10は、温度操作デバイス38にも接続されており、その加熱モードおよび冷却モードを切替可能とし、発電素子3の温度操作を可能としている。
より具体的には、制御装置10は、切替デバイス40の三方弁41に電気的に接続されており、詳しくは後述するが、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、三方弁41を切り替え、切替デバイス40を作動および停止可能としている。
また、制御装置10は、空気供給デバイス50の空気供給弁53に電気的に接続されており、詳しくは後述するが、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、空気供給弁53を開閉し、空気供給デバイス50を作動および停止可能としている。
また、エネルギー回収システム29は、さらに、昇圧器30、交流/直流変換器31(AC−DCコンバーター)およびバッテリー32を備えている。
昇圧器30、交流/直流変換器31およびバッテリー32は、第1電極4に電気的に接続されている。
そして、動力システム2およびエネルギー回収システム29のうち、発電デバイス6と、温度操作デバイス38(エンジン11、排気管17、切替デバイス40および空気供給デバイス50を含む。)と、温度予測デバイス7と、分極量センサ39と、電圧印加装置9と、制御装置10とから、発電システム1が構成されている。
2.発電方法
以下において、上記した発電システム1を用いた発電方法について、図1を参照して詳述する。
この発電システム1では、エンジン11の駆動により、気筒12においてピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施される。
より具体的には、このエンジン11では、まず、スロットルバルブ27が開かれ、吸気管16から空気が供給されるとともに、燃料供給管22から所定量の燃料が燃料噴射弁23によって供給(噴射)され、それらが混合される。そして、空気と燃料との混合気が、吸気バルブ18が開かれることにより、気筒12の燃焼室14に供給される(吸気工程)。
次いで、吸気バルブ18が閉じられ、ピストン13が上昇することにより、燃焼室14の混合気が圧縮され、高温化される(圧縮工程)。
次いで、図示しない点火プラグにより混合気が点火され、爆発的に燃焼されるとともに、ピストン13が爆発により押し下げられる(爆発工程)。
その後、排気バルブ19が開かれ、燃焼により生じたガス(排気ガス)が、気筒12から排出される(排気工程)。
このように、エンジン11では、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、排気管17に排気される。
そして、各気筒12において生じた排気ガスは、各気筒12に接続される排気管17内を通過しながら、所定の箇所で1つに集合された後、触媒搭載部24を通過するとともに触媒により浄化され、温度予測デバイス7に接触した後、箱型収容ケース5を介して外気に開放される。
そして、この発電システム1では、上記したように、箱型収容ケース5内において、発電素子3が配置されているため、温度操作デバイス38の制御により、発電素子3の温度を調整することができる。
具体的には、上記の発電システム1において、制御装置10の制御によって温度操作デバイス38が加熱モード(排気管17開放、回避管42閉塞、空気供給デバイス50停止)に設定された場合、排気ガスが箱型収容ケース5に到達し、エンジン11の熱エネルギーが、排気ガスを介して発電素子3に伝達される。
これにより、図2Aに示されるように、発電素子3が加熱され、発電素子3の予測温度が上昇する。
一方、制御装置10の制御によって、温度操作デバイス38が冷却モード(排気管17閉塞、回避管42開放、空気供給デバイス50駆動)に切り替えられた場合、排気ガスが箱型収容ケース5を回避し、空気(冷却媒体)が発電素子3に供給される。
これにより、図2Aに示されるように、発電素子3が冷却され、発電素子3の予測温度が低下する。
このように温度操作デバイス38を制御して、発電素子3を、所望の第1温度(高温状態(Tmax))と、その第1温度よりも低い第2温度(低温状態(Tmin))との間で温度変化させることができる。
第1温度は、発電素子3の高温状態における到達目標温度(Tmax)であって、発電素子3の種類などに応じて、適宜設定される。具体的には、例えば、180℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、800℃以下、好ましくは、700℃以下である。
また、第2温度は、発電素子3の低温状態における到達目標温度(Tmin)であって、発電素子3の種類などに応じて、適宜設定される。具体的には、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、例えば、180℃未満、好ましくは、150℃以下である。
また、第1温度と第2温度との温度差が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、100℃以下である。
このように、温度予測デバイス7により予測される発電素子3の予測温度が第1温度(高温状態(Tmax))および第2温度(低温状態(Tmin))の間で上下するように、温度操作デバイス38の作動を制御する。
そして、上記の操作を周期的に繰り返すことにより、発電素子3を周期的に加熱および冷却し、周期的に温度変化させることができる。
その結果、発電素子3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この発電システム1では、第1電極4を介して、各発電素子3から電力を経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
さらに、上記の発電システム1では、より効率的に発電するため、発電素子3の温度状態に応じて、発電素子3に電圧を印加することができる。
より具体的には、図2Aに示されるように、温度操作デバイス38が加熱モード(排気管17開放、回避管42閉塞、空気供給デバイス50停止)に切り替えられ、発電素子3が加熱される場合、その発電素子3の昇温開始時または昇温中に、電圧印加装置9を作動させ、発電素子3に対して所定の電圧を印加する。
なお、電圧を印加する時間、および、印加する電圧の大きさは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、図2Aに示されるように、温度操作デバイス38が冷却モード(排気管17閉塞、回避管42開放、空気供給デバイス50駆動)に切り替えられ、発電素子3が冷却される場合、その発電素子3の降温中には、電圧印加装置9を停止させ、発電素子3に対する電圧の印加を停止させる。
このように、発電素子3の昇温時には、電圧印加装置9により発電素子3に電圧を印加し、また、発電素子3の降温時には、電圧の印加を停止することによって、発電効率の向上を図ることができる。
そして、発電素子3において生じた電力は、発電素子3の降温中に、昇圧器30および交流/直流変換器31(AC−DCコンバーター)を介してバッテリー32に回収される。
3.制御
上記したように、この発電システム1では、発電素子3が所定の第1温度(高温状態(Tmax))に至るまで加熱される。
そして、発電素子3は、第1温度(高温状態(Tmax))に至った後、発電素子3が所定の第2温度(低温状態(Tmin))に至るまで冷却される。
その後、発電素子3は、所定の第2温度(低温状態(Tmin))に至った後、再度、発電素子3が所定の第1温度(高温状態(Tmax))に至るまで加熱される。
すなわち、発電システム1において、発電素子3が所定の第2温度(低温状態(Tmin))に至ると、昇温が開始される。また、昇温中には、発電素子3に対して電圧が印加される。つまり、電圧印加の開始温度は、第2温度(低温状態(Tmin))である。
また、発電素子3が所定の第1温度(高温状態(Tmax))に至ると、降温が開始される。また、降温中には、発電素子3から電力が回収される。つまり、電力回収の開始温度は、第1温度(高温状態(Tmax))である。
一方、このような発電システム1では、発電素子3を所定の温度環境に曝露することで加熱および冷却するため、発電素子3の内部と発電素子3の表面とで、温度差(温度ムラ)を生じる場合がある。
つまり、温度予測デバイス7により予測される温度が、第1温度(高温状態(Tmax))または第2温度(低温状態(Tmin))に到達していても、実際の発電素子3の内部温度は、第1温度(高温状態(Tmax))または第2温度(低温状態(Tmin))に到達していない場合がある。
しかし、このような発電システム1では、発電素子3の内部の温度を測定できないため、発電素子3は、温度ムラを有する状態で温度操作される。その結果、発電素子3の内部に目的の温度変化を与えられず、十分な発電性能を得られない場合がある。
そこで、上記発電システム1では、以下の制御により、DE線図(Dielectric polarization−Electric field線図)に基づいて、発電素子3の温度を制御する。
すなわち、この方法では、まず、オイルバスなどの公知の恒温槽を用いて、発電素子3を所定の第1温度(高温状態(Tmax))に長時間曝露し、内部および表面の温度を均一化する。
これにより、発電素子3の内部と表面との間の温度差を低下させる。換言すれば、発電素子3の内部と表面との間の温度差を抑制する。
なお、温度差が抑制された状態とは、発電素子3を所定の恒温環境下に0.5時間以上保持した状態であると定義される。
そして、このような静的環境下で、第1温度(高温状態(Tmax))において、発電素子3に種々の電圧を印加し、その電圧印加時の発電素子の分極量を、分極量センサ39により測定する。
これにより、第1温度(高温状態(Tmax))において、発電素子3に印加される電圧と、その電圧印加時の発電素子3の分極量との関係をマッピングする。
また、この方法では、上記マッピング後、発電素子3を所定の第2温度(低温状態(Tmin))に長時間曝露して、内部および表面の温度を均一化する。
これにより、発電素子3の内部と表面との間の温度差を低下させる。換言すれば、発電素子3の内部と表面との間の温度差を抑制する。
なお、温度差が抑制された状態とは、発電素子3を所定の恒温環境下に0.5時間以上保持した状態であると定義される。
そして、このような静的環境下で、第2温度(低温状態(Tmin))において、発電素子3に種々の電圧を印加し、その電圧印加時の発電素子の分極量を、分極量センサ39により測定する。
これにより、第2温度(低温状態(Tmin))において、発電素子3に印加される電圧と、その電圧印加時の発電素子3の分極量との関係をマッピングする。
このようにして、第1温度および第2温度のそれぞれにおいて、発電素子3の内部と表面との間の温度差が抑制された静的環境下での、発電素子3に印加される電圧と、その電圧印加時の発電素子3の分極量との関係を示す静的DE線図を作成する(図3太実線参照)。
得られた静的DE線図は、制御装置10に格納される。
そして、上記した発電操作(すなわち、発電素子3の予測温度を、第1温度および第2温度の間で上下させるとともに、発電素子3の昇温時に電圧印加装置9により発電素子3に電圧を印加する操作)中、静的DE線図に応じて、温度操作デバイス38の作動が制御される。
より具体的には、この制御では、まず、図2Bに示されるように、温度予測デバイス7により予測される発電素子3の予測温度が、第1温度(高温状態(Tmax))に到達するように、温度操作デバイス38を加熱モードに制御する。
また、これとともに、発電素子3の昇温時に、電圧印加装置9により発電素子3に電圧を印加し、発電効率の向上を図る。
このとき、制御装置10では、発電素子3に印加される電圧と、その電圧印加時に分極量センサ39により測定される発電素子3の分極量との関係をマッピングし、動的DE線図を作成する(図3細実線参照。)。
そして、この制御では、作成される動的DE線図が、上記の静的DE線図に近接するように、温度操作デバイス38の制御を調整する。
つまり、上記の制御では、通常、発電素子3が加熱された後、温度予測デバイス7による予測温度が第1温度(高温状態(Tmax))に到達したときに、発電素子3の冷却が開始され、また、発電素子3から電力が回収される(図2A参照)。
しかし、発電素子3の内部と発電素子3の表面とで、温度差(温度ムラ)を生じる場合、温度予測デバイス7による予測温度が第1温度(高温状態(Tmax))に到達したときに発電素子3の冷却を開始し、また、発電素子3から電力を回収すると、得られる動的DE線図が、上記の静的DE線図よりも小さいヒステリシス曲線になる。すなわち、十分な発電性能が得られない。
そこで、この制御では、発電システム1の可動により作成される動的DE線図が、上記の静的DE線図に近接するように、温度予測デバイス7による予測温度が第1温度(高温状態(Tmax))に到達した後、さらに加熱する。
これにより、作成される動的DE線図が、上記の静的DE線図に近接する(図3の2点破線参照。)。
換言すれば、作成される動的DE線図が静的DE線図に近接するように、DE線図に基づいて温度操作デバイス38の制御を調整すると、温度予測デバイス7による予測温度が、第1温度(高温状態(Tmax))よりも高い温度に至るまで、発電素子3が加熱される。
そして、温度予測デバイス7による予測温度が、第1温度(高温状態(Tmax))よりも、例えば、1〜20℃高くなるまで加熱した後、温度操作デバイス38を冷却モードに切り替えて、発電素子3の冷却を開始し、また、発電素子3から電力を回収する。
これにより、優れた効率で、電気エネルギーを回収することができる。
また、通常の制御では、発電素子3が冷却された後、その温度予測デバイス7による予測温度が第2温度(低温状態(Tmin))に到達したときに、発電素子3の加熱が開始され、また、発電素子3に対する電圧印加が開始される(図2B参照)。
しかし、発電素子3の内部と発電素子3の表面とで、温度差(温度ムラ)を生じる場合、温度予測デバイス7による予測温度が第2温度(低温状態(Tmin))に到達したときに発電素子3の加熱を開始し、また、発電素子3に対する電圧印加を開始すると、得られる動的DE線図が、上記の静的DE線図よりも小さいヒステリシス曲線になる。すなわち、十分な発電性能が得られない。
そこで、この制御では、発電システム1の可動により作成される動的DE線図が、上記の静的DE線図に近接するように、温度予測デバイス7による予測温度が第2温度(低温状態(Tmin))に到達した後、さらに冷却する。
これにより、作成される動的DE線図が、上記の静的DE線図に近接する(図3の1点破線参照。)。
換言すれば、作成される動的DE線図が静的DE線図に近接するように、DE線図に基づいて温度操作デバイス38の制御を調整すると、温度予測デバイス7による予測温度が、第2温度(低温状態(Tmin))よりも低い温度に至るまで、発電素子3が冷却される。
そして、温度予測デバイス7による予測温度が、第2温度(低温状態(Tmin))よりも、例えば、1〜20℃低くなるまで冷却した後、温度操作デバイス38を加熱モードに切り替えて、発電素子3の加熱を開始し、また、発電素子3に対する電圧印加を開始する。
これにより、優れた効率で、電気エネルギーを回収することができる。
以上説明したように、上記の発電システム1では、発電素子3の内部と表面との間の温度差が抑制された静的環境下で、第1温度(高温状態(Tmax))および第2温度(低温状態(Tmin))のそれぞれにおいて、発電素子3に印加される電圧と、その電圧印加時の発電素子の分極量との理想関係を示す静的DE線図が予め測定されている。
そして、上記の発電システム1では、静的DE線図と、実際に測定される発電素子3の動的DE線図とが比較され、動的DE線図が静的DE線図に近接するように、温度操作デバイス38が制御される。
このような発電システム1によれば、発電素子3がDE線図に基づいて温度操作されるため、発電素子3の予測温度に基づいて温度操作される場合に比べ、優れた発電効率を得ることができる。