JP2013099066A - 車載発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】デバイスの破損を抑制できる車載発電システムを提供すること。
【解決手段】車載発電システム1に、エンジン11、および、エンジン11に燃料を供給するための燃料供給装置20を備える内燃機関2と、内燃機関2から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、減速時に燃料供給装置20が燃料カットしたことを検知する検知ユニット5と、第1デバイス3に電圧を印加するための電圧印加装置6と、検知ユニット5により燃料カットが検知されているときに、電圧印加装置6を作動させるための制御ユニット7とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】車載発電システム1に、エンジン11、および、エンジン11に燃料を供給するための燃料供給装置20を備える内燃機関2と、内燃機関2から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、減速時に燃料供給装置20が燃料カットしたことを検知する検知ユニット5と、第1デバイス3に電圧を印加するための電圧印加装置6と、検知ユニット5により燃料カットが検知されているときに、電圧印加装置6を作動させるための制御ユニット7とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、車載発電システム、詳しくは、自動車などの車両に搭載される車載発電システムに関する。
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されており、このような方法として、焦電素子を用いた熱電変換発電が、知られている。
具体的には、例えば、複数の焦電素子のそれぞれの温度を上昇させる加熱源と、それら焦電素子のそれぞれの温度を低下させる冷却源と、加熱源および冷却源、および/または、焦電素子を移動させる移動手段とを備える発電装置を用い、加熱源および冷却源により焦電素子の温度を周期的に上昇および下降させることによって、焦電素子から直流電力または交流電力を取り出す方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、このような発電方法としては、発電装置を自動車などの車両に搭載し、例えば、内燃機関から排気ガスが排出される排気管内に焦電素子を配置するとともに、その排気ガスを加熱源および冷却源として用いることなどを検討することもできる。
このような場合には、内燃機関に空気および燃料が供給され、燃料が燃焼されることにより排気ガスが生じ、その排気ガスにより、排気管内において焦電素子が加熱および冷却される。
しかるに、発電装置を車載した場合、車両の走行状態によっては、排気管内の温度が比較的高温になる場合があり、さらに、例えば、減速時などには、燃料の供給が停止(燃料カット)され、比較的低温の空気のみが内燃機関および排気管を通過する場合がある。
このような場合には、排気管内に配置された焦電素子が、比較的高温の状態から比較的低温の状態に急激に冷却されるため、破損を生じる場合がある。
本発明の目的は、デバイスの破損を抑制できる車載発電システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の車載発電システムは、エンジン、および、前記エンジンに燃料を供給するための燃料供給手段を備える内燃機関と、前記内燃機関から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、電気分極する第1デバイスと、前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、減速時に前記燃料供給手段が燃料カットしたことを検知する検知手段と、前記第1デバイスに電圧を印加するための電圧印加手段と、前記検知手段により前記燃料カットが検知されているときに、前記電圧印加手段を作動させるための制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明の車載発電システムでは、減速時における燃料カットが検知手段により検知されているときに、制御手段によって電圧印加手段が作動され、第1デバイスに電圧が印加される。
第1デバイスに電圧を印加すると、第1デバイスを、その抵抗によって発熱させることができる。そのため、減速時に燃料カットされ、比較的低温の空気のみが内燃機関および排気管を通過する場合にも、排気管内に配置された第1デバイスが、比較的高温の状態から比較的低温の状態に急激に冷却されることを抑制することができ、第1デバイスの破損を抑制することができる。
1.車載発電システムの全体構成
図1は、本発明の車載発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1は、本発明の車載発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、自動車10は、車載発電システム1を備えている。
車載発電システム1は、内燃機関2と、内燃機関2から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、減速時に燃料供給装置20(後述)が燃料カットしたことを検知する検知手段としての検知ユニット5と、第1デバイス3に電圧を印加するための電圧印加手段としての電圧印加装置6と、検知ユニット5により燃料カットが検知されているときに、電圧印加装置を作動させるための制御手段としての制御ユニット7とを備えている。
内燃機関2は、エンジン11、エンジン11に空気を供給するための吸気管16、エンジン11から排気ガスを排出させるための排気管17、および、エンジン11に燃料を供給するための燃料供給手段としての燃料供給装置20を備えている。
エンジン11は、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型(例えば、2気筒型、4気筒型、6気筒型)が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
以下において、4気筒型が採用されるとともに、その各気筒で4サイクル方式が採用されるエンジン11について、説明する。
このエンジン11は、並列配置される複数(4つ)の気筒12を備えている。なお、図1においては、1つの気筒12を取り出して示し、その他の気筒12については省略している。
各気筒12は、ピストン13、燃焼室14および点火プラグ(図示せず)などを備えており、上流側が吸気管16に接続されるとともに、下流側が排気管17に接続されている。
また、各気筒12は、吸気管16と接続される接続部分において、吸気バルブ18を備えるとともに、排気管17と接続される接続部分において、排気バルブ19を備えている。
吸気バルブ18は、気筒12と吸気管16との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
排気バルブ19は、気筒12と排気管17との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、図示しないが、スプリングなどの弾性力によって閉方向に付勢されている。これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、例えば、カムシャフトの回転などによって、気筒12を開閉可能としている。
吸気管16は、エンジン11に空気を供給するために設けられ、その下流側端部がエンジン11の気筒12に接続されるとともに、上流側端部が外気に開放されている。
吸気管16は、スロットルバルブ27を備えており、このスロットルバルブ27の開閉により、エンジン11に空気を取り込み可能としている。
また、吸気管16は、スロットルバルブ27の上流側および下流側に接続される、吸気管16よりも小径の副吸気管29を備えている。副吸気管29は、スロットルバルブ27が閉とされる場合にも、エンジン11に、比較的少量の空気を取り込み可能としている。
排気管17は、エンジン11から排気ガスを排出させるために設けられ、その上流側端部がエンジン11の気筒12に接続されている。
また、図示しないが、複数(4つ)の気筒12に接続される複数(4つ)の排気管17は、それぞれ、エンジン11および第1デバイス3(後述)よりも下流側において1つに集合されており、その集合された排気管17の下流側端部は、外気に開放されている。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを集合させ、外気に放出可能としている。
燃料供給装置20は、吸気管16に設けられ、燃料タンク21および燃料供給管22を備えている。
燃料タンク21は、エンジンに供給される燃料(例えば、ガソリンなど)が貯留されるタンクであって、耐熱耐圧容器などから形成されている。
燃料供給管22は、燃料タンク21からエンジン11に燃料を供給するために設けられており、その上流側端部が燃料タンク21に接続されるとともに、下流側端部が、燃料噴射弁30に接続されている。
燃料噴射弁30は、エンジン11に対する燃料タンク21からの燃料の供給量を調節するとともに、その燃料をエンジン11に対して噴射するための弁であって、燃料供給管22の下流側端部に設けられ、吸気管16の吸気バルブ18よりも上流側に接続されている。
燃料噴射弁30としては、特に制限されず、公知の噴射弁を用いることができる。
このような燃料噴射弁30は、エンジン11のエンジン制御ユニット28に電気的に接続されており、エンジン制御ユニット28によって、その開閉が制御されている。
エンジン制御ユニット28は、エンジン11の運転状態(例えば、図示しない回転計により検知されるエンジン11の回転数、例えば、図示しない圧力センサにより検知されるスロットルバルブ27下流側の吸気管16内の圧力など)に基づいて燃料供給量を制御するユニットであって、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
そして、このエンジン制御ユニット28に燃料噴射弁30が電気的に接続されることにより、エンジン制御ユニット28からの制御信号が、燃料噴射弁30に入力可能とされている。これにより、エンジン制御ユニット28が、エンジン11の運転状態に応じて、燃料噴射弁30の開閉および開度、すなわち、燃料噴射弁30による燃料の噴射量(エンジン11に対する燃料の供給量)を制御可能とし、また、後述するように燃料カットを可能としている。
第1デバイス3は、内燃機関2(エンジン11)から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、温度が経時的に上下され、電気分極するデバイスである。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、体積膨張が抑制された状態において、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように排気ガスが周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
第1デバイス3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
このような場合において、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように排気ガスが周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
このような第1デバイス3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO3、CaTiO3、(CaBi)TiO3、BaNd2Ti5O14、BaSm2Ti4O12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC4H4O6)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)などを用いることができる。
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
第1デバイス3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような車載発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、排気ガスの温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
このような第1デバイス3は、排気管17内において、例えば、互いに間隔を隔てて複数整列配置され、第2デバイス4(および必要により設けられる固定部材(図示せず))により、固定されている。なお、図1においては、1つの第1デバイス3を取り出して示し、その他の第1デバイス3については省略している。
これにより、第1デバイス3は、排気管17内において、第2デバイス4を介して、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
このような第2デバイス4は、より具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、第1デバイス3に電気的に接続されている。
また、第2デバイス4は、必要により、昇圧器(図示せず)、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)(図示せず)などを介して、バッテリー8に、電気的に接続されている。
検知ユニット5は、詳しくは後述するが、自動車10の減速時において、燃料供給装置20が燃料カットしたことを検知する装置であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
この検知ユニット5は、図1において破線で示すように、エンジン制御ユニット28に電気的に接続されており、詳しくは後述するが、自動車10の減速時において、燃料供給装置20からエンジン11に対する燃料供給が停止(燃料カット)されたことを検知可能としている。
電圧印加装置6は、第1デバイス3に電圧を印加するため、第1デバイス3に直接設けられている。具体的には、電圧印加装置6は、例えば、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)(図示せず)、電圧印加電源9、およびそれらに接続される導線などを備えており、第1デバイス3と接触し、それら電極間に第1デバイス3を介在させるように、配置されている。
なお、電圧印加装置6において、電極は、第2デバイス4の電極と共通であってもよく、第2デバイス4の電極とは別途設けられていてもよい。
制御ユニット7は、車載発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
この制御ユニット7は、図1において破線で示すように、検知ユニット5に電気的に接続され、検知ユニット5からの電気信号が入力可能とされるとともに、電圧印加装置6に電気的に接続されており、後述するように、燃料供給装置20からの燃料供給が停止されているときに、電圧印加装置6を作動可能としている。
2.発電方法
以下において、上記した車載発電システム1を用いた発電方法について、詳述する。
2.発電方法
以下において、上記した車載発電システム1を用いた発電方法について、詳述する。
この車載発電システム1では、エンジン11の駆動により、気筒12においてピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施される。
より具体的には、このエンジン11では、まず、スロットルバルブ27が開かれ、吸気管16から空気が供給されるとともに、燃料供給管22から所定量の燃料が燃料噴射弁30によって供給(噴射)され、それらが混合される。そして、空気と燃料との混合気が、吸気バルブ18が開かれることにより、気筒12の燃焼室14に供給される(吸気工程)。
次いで、吸気バルブ18が閉じられ、ピストン13が上昇することにより、燃焼室14の混合気が圧縮され、高温化される(圧縮工程)。
次いで、図示しない点火プラグにより混合気が点火され、爆発的に燃焼されるとともに、ピストン13が爆発により押し下げられる(爆発工程)。
その後、排気バルブ19が開かれ、燃焼により生じたガス(排気ガス)が、気筒12から排出される(排気工程)。
このように、エンジン11では、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、排気管17の内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン11の熱が、排気ガスを介して伝達され、排気ガスの温度(排気管17の内部温度)は、排気工程において上昇する。一方、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)では、排気管17内の排気ガス量が低減されるので、排気ガスの温度(排気管17の内部温度)は下降する。
このように、排気ガスの温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、排気ガスは、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
このような車載発電システム1において、内燃機関2および排気ガスの温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、10〜400サイクル/秒、好ましくは、30〜100サイクル/秒である。
そして、この車載発電システム1では、上記したように、排気管17の内部に、第1デバイス3が配置されている。
そのため、エンジン11(内燃機関2)から排出される排気ガスが、排気管17内に導入されると、その排気管17内において、第1デバイス3に排気ガスが供給され、第1デバイス3が、第2デバイス4を介して排気ガスに接触(曝露)され、加熱および/または冷却される。
すなわち、第1デバイス3が、エンジン11(内燃機関2)、および、そのエンジン11の熱を伝達する排気ガスの経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そして、これにより、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この車載発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
その後、この方法では、例えば、図1において点線で示すように、上記により得られた電力を、必要により第2デバイス4に接続される昇圧器(図示せず)で昇圧し、交流/直流変換器(図示せず)において直流電圧に変換した後、バッテリー8に蓄電する。バッテリー8に蓄電された電力は、自動車10や、自動車10に搭載される各種電気部品の動力などとして、適宜、用いることができる。
一方、発電に用いられた排気ガスは、第1デバイス3を通過した後、公知の触媒などによって浄化され、外気に排出される。
3.電圧印加方法
上記した車載発電システム1が搭載される自動車10では、第1デバイス3が配置される排気管17内は常に高温状態となっており、特に低速高負荷状態において走行する場合などには、走行風による冷却が少なく、さらに高温になる。
3.電圧印加方法
上記した車載発電システム1が搭載される自動車10では、第1デバイス3が配置される排気管17内は常に高温状態となっており、特に低速高負荷状態において走行する場合などには、走行風による冷却が少なく、さらに高温になる。
低速高負荷状態とは、例えば、車載発電システム1が搭載される自動車10が、急勾配の登坂路を、例えば、40km/h以下、アクセル開度大、具体的には、回転数4000rpm以上で運転している状態をいう。
一方、上記のように登坂路を走行した後、降坂路を走行する場合など、自動車10が減速される場合には、排気管17内の温度が下降し、第1デバイス3が比較的低温となる。
具体的には、自動車10の減速時には、エンジン11がタイヤからの逆駆動力によって回転するため、燃費向上などのために、エンジン制御ユニット28によって、燃料供給装置20による燃料の供給が停止(燃料カット)される。
このような場合には、エンジン11における燃料の燃焼が停止されるので、比較的低温の空気のみが内燃機関2および排気管17を通過する。なお、減速時には、スロットルバルブ27が閉とされる場合があるが、この場合にも、副吸気管29を介して、比較的低温の空気が取り込まれ、内燃機関2および排気管17を通過する。
これにより、排気管17内の温度が下降し、第1デバイス3が比較的低温となる。
そして、上記の登坂走行および降坂走行が連続的に実施される場合などには、比較的高温とされた第1デバイス3が、排気管17内において比較的低温の空気により急激に冷却されるため、破損を生じる場合がある。
そこで、この車載発電システム1では、第1デバイス3が破損することを抑制するため、電圧印加装置6によって第1デバイス3に電圧を印加する。
具体的には、この車載発電システム1では、まず、上記した減速時における燃料カットが、検知ユニット5により検知される。
そして、検知ユニット5により燃料カットが検知されているとき、具体的には、燃料カットが検知されたとき(燃料カット開始点)から、燃料カットが検知されなくなるとき(燃料カット終了点)までの間中、制御ユニット7によって電圧印加装置6を作動させ、第1デバイス3に電圧を印加する。
第1デバイス3に電圧を印加すると、第1デバイス3を、その抵抗(ジュール熱)によって発熱させることができる。
そのため、減速時に燃料カットされ、比較的低温の空気のみが内燃機関2および排気管17を通過する場合にも、排気管17内に配置された第1デバイス3が、比較的高温の状態から比較的低温の状態に急激に冷却されることを、抑制することができる。その結果、第1デバイス3の破損を抑制することができる。
なお、上記した説明では、燃料カットが検知されたとき(燃料カット開始点)から、燃料カットが検知されなくなるとき(燃料カット終了点)までの間中にわたって、第1デバイス3に電圧を印加したが、電圧の印加は、検知手段により燃料カットが検知されているとき(燃料カット中)であればよく、例えば、燃料カットが検知されたとき(燃料カット開始点)から、燃料カットが検知されなくなるとき(燃料カット終了点)までの間の、任意の所定時間のみにおいて、第1デバイス3に電圧を印加することができる。
また、この車載発電システム1では、第1デバイス3の温度に応じて、第1デバイス3に電圧を印加することができる。
具体的には、この車載発電システム1では、例えば、第1デバイス3に公知の温度センサ(図示せず)を設け、温度センサによって第1デバイス3の温度を検知するとともに、その温度を制御ユニット7によって検知する(図1における2点鎖線参照)。
そして、この車載発電システム1では、上記した燃料カットが検知されているときであって、かつ、第1デバイス3の温度が所定温度以上である場合にのみ、第1デバイス3に電圧を印加する。
温度差および温度勾配が大きくなり、第1デバイス3に破損を生じる可能性が高い場合にのみ、第1デバイス3に電圧を印加すれば、効率的に第1デバイス3の破損を抑制することができ、電圧印加コストの低減を図ることができる。
なお、上記した説明では、検知ユニット5と制御ユニット7とは、それぞれ別体として設けられているが、例えば、検知ユニット5と制御ユニット7とは、一体的に設けられていてもよい。
また、上記した説明では、電圧印加装置6とバッテリー8とは、それぞれ別体として設けられているが、例えば、電圧印加装置6とバッテリー8とは、電気的に接続されていてもよく、また、一体的に設けられていてもよい。
そのような場合には、第1デバイス3において発電され、バッテリー8に蓄電された電力が、電圧印加装置6により第1デバイス3に電圧が印加されるときに、用いられる。
また、上記した説明では、第1デバイス3を電圧印加装置6の電極間に挟み込み、電圧を印加したが、電圧を印加する方法としては、これに限定されず、例えば、第1デバイス3に端子などを直接挿入し、電圧を印加することもできる。
1 車載発電システム
2 内燃機関
3 第1デバイス
4 第2デバイス
5 検知ユニット
6 電圧印加手段
7 制御ユニット
11 エンジン
20 燃料供給装置
2 内燃機関
3 第1デバイス
4 第2デバイス
5 検知ユニット
6 電圧印加手段
7 制御ユニット
11 エンジン
20 燃料供給装置
Claims (1)
- エンジン、および、前記エンジンに燃料を供給するための燃料供給手段を備える内燃機関と、
前記内燃機関から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、電気分極する第1デバイスと、
前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、
減速時に前記燃料供給手段が燃料カットしたことを検知する検知手段と、
前記第1デバイスに電圧を印加するための電圧印加手段と、
前記検知手段により前記燃料カットが検知されているときに、前記電圧印加手段を作動させるための制御手段とを備えることを特徴とする、車載発電システム。
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