JP2018007384A - 発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足しない場合にも、発電効率の向上を図ることができる発電システムを提供すること。【解決手段】発電システム1は、エンジン11と、排気管17と、発電素子3を備える発電デバイス6と、温度予測デバイス7と、回避デバイス40と、空気供給デバイス50と、電圧印加装置9と、制御装置10とを備える。制御装置10は、温度予測デバイス7により予測された発電素子4の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件Aを満たすか否かに基づいて、回避デバイス40、空気供給デバイス50および電圧印加装置9の作動を制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、発電システムに関する。
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されている。そのようなシステムとして、具体的には、例えば、温度が経時的に上下する熱源と、その熱源の温度変化に応じて電気分極する第1デバイス(誘電体など)と、第1デバイスから電力を取り出すため、第1デバイスを挟むように対向配置される第2デバイス(電極など)とを備える発電システムが提案されている。また、その発電システムを自動車などに積載すること、さらには、そのような場合に第1デバイス(誘電体など)を自動車の排気ガスが供給される排気管内に配置することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、このような発電システムにおいては、より効率的に発電するために、その第1デバイス(誘電体)の温度条件に応じて、第1デバイス(誘電体)に電圧を印加することが提案されている。
具体的には、例えば、温度が経時的に上下する熱源と、その熱源により加熱される熱媒体が通過する流路と、熱媒体の温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する発電素子を備える発電デバイスと、発電デバイスの上流側で熱媒体の温度を検知する温度検知手段と、発電デバイスに電圧を印加する電圧印加手段と、電圧印加手段を制御するための制御手段とを備える発電システムにおいて、温度検知素子による温度検知に応じて電圧印加手段を作動および停止させ、発電素子に電圧を印加することにより発電効率の向上を図る方法が、提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
一方、このような発電システムでは、さらなる発電効率の向上のため、発電素子を、その種類およびサイズに応じた温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)に曝露することが要求される。しかし、上記の発電システムでは、熱源の状態によっては、要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足しない場合があり、発電効率が不十分となる場合がある。
本発明の目的は、要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足しない場合にも、発電効率の向上を図ることができる発電システムを提供することにある。
本発明[1]は、温度が経時的に上下する熱源と、前記熱源により加熱される熱媒体が通過する流路と、前記流路内に配置され、前記熱媒体の温度変化により温度が経時的に上下されることにより電気分極する発電素子を備える発電デバイスと、前記流路内において、前記発電デバイスの上流側に配置され、前記発電素子の温度を予測するための温度予測手段と、前記流路の前記発電デバイスおよび前記温度予測手段よりも上流側に接続され、熱媒体に前記発電デバイスおよび前記温度予測手段を回避させるための回避手段と、前記流路の前記発電デバイスおよび前記温度予測手段よりも上流側、かつ、前記流路に対する前記回避手段の接続部よりも下流側に接続され、前記発電デバイスおよび前記温度予測手段に冷却媒体を供給するための冷却媒体供給手段と、前記発電デバイスに電圧を印加する電圧印加手段と、前記温度予測手段による温度予測に応じて、前記回避手段、前記冷却媒体供給手段および前記電圧印加手段の作動を制御するための制御手段とを備えており、前記制御手段は、前記温度予測手段により予測された前記発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たす場合には、前記発電素子の昇温中に前記電圧印加手段を作動させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を停止させ、前記発電素子の降温中に前記電圧印加手段を停止させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を作動させ、前記温度予測手段により予測された前記発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たさない場合には、前記制御手段が、前記電圧印加手段を停止させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を作動させる、発電システムを含んでいる。
本発明の発電システムでは、温度予測手段により発電素子の温度が予測され、その温度予測に応じて、回避手段、冷却媒体供給手段および電圧印加手段が制御され、発電素子に対する熱媒体の供給および供給停止、発電素子に対する冷却媒体の供給および供給停止が制御される。
より具体的には、まず、温度予測手段により発電素子の昇温速度および最高到達温度が予測され、その発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たす場合には、制御手段が、発電素子の昇温中に、電圧印加手段を作動させ、回避手段および冷却媒体供給手段を停止させる。また、発電素子の降温中に、電圧印加手段を停止させ、回避手段および冷却媒体供給手段を作動させる。一方、発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たさない場合には、制御手段が、電圧印加手段を停止させ、回避手段および冷却媒体供給手段を作動させる。
このような発電システムによれば、発電素子から効率的にエネルギーを取り出すことができ、発電効率の向上を図ることができる。
1.自動車の構成
図1は、本発明の発電システムの一実施形態の概略構成図である。
図1は、本発明の発電システムの一実施形態の概略構成図である。
図1において、自動車8は、動力システム2と、エネルギー回収システム29とを備えている。
動力システム2は、温度が経時的に上下する熱源としてのエンジン11、エンジン11に空気を供給するための吸気管16、エンジン11により加熱される熱媒体としての排気ガスが通過する流路としての排気管17、および、エンジン11に燃料を供給するための燃料供給装置20を備えている。
エンジン11は、動力を発生する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型(例えば、2気筒型、4気筒型、6気筒型)が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
以下において、4気筒型が採用されるとともに、その各気筒で4サイクル方式が採用されるエンジン11について、説明する。
このエンジン11は、並列配置される複数(4つ)の気筒12を備えている。なお、図1においては、1つの気筒12を取り出して示し、その他の気筒12については省略している。
各気筒12は、ピストン13、燃焼室14および点火プラグ(図示せず)などを備えており、上流側が吸気管16に接続されるとともに、下流側が排気管17に接続されている。
また、各気筒12は、吸気管16と接続される接続部分において、吸気バルブ18を備えるとともに、排気管17と接続される接続部分において、排気バルブ19を備えている。
吸気バルブ18は、気筒12と吸気管16との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
排気バルブ19は、気筒12と排気管17との接続部分において、気筒12を開閉可能に設けられている。
これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、図示しないが、スプリングなどの弾性力によって閉方向に付勢されている。これら吸気バルブ18および排気バルブ19は、例えば、カムシャフトの回転などによって、気筒12を開閉可能としている。
吸気管16は、エンジン11に空気を供給するために設けられ、その下流側端部がエンジン11の気筒12に接続されるとともに、上流側端部が外気に開放されている。
また、吸気管16は、スロットルバルブ27を備えている。スロットルバルブ27は、例えば、アクセルペダルの踏み込みなどの運転操作に伴い、その開閉および開度が調節可能とされており、その開閉によって、エンジン11に空気を取り込み可能としている。
排気管17は、エンジン11から排気ガスを排出させるために設けられ、その上流側端部がエンジン11の気筒12に接続されている。
また、図示しないが、複数(4つ)の気筒12に接続される複数(4つ)の排気管17は、所定の箇所で1つに集合され、その集合された排気管17の下流側には、触媒搭載部24および箱型収容ケース5が介在されている。
触媒搭載部24は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、エンジン11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、排気管17における排気ガスの流れ方向途中部分に接続されている。
箱型収容ケース5は、排気管17の触媒搭載部24よりも下流側の流れ方向途中において、排気管17に連通するように介装される略直方体状の収容ケースであって、その内部空間において排気ガスが通過する。
そして、箱型収容ケース5の下流側において、排気管17の下流側端部は、外気に開放されている。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを、外気に放出可能としている。
燃料供給装置20は、燃料タンク21および燃料供給管22を備えている。
燃料タンク21は、エンジン11に供給される燃料(例えば、ガソリンなど)が貯留されるタンクであって、耐熱耐圧容器などから形成されている。
燃料供給管22は、燃料タンク21からエンジン11に燃料を供給するために設けられており、その上流側端部が燃料タンク21に接続されるとともに、下流側端部が、燃料噴射弁23に接続されている。
燃料噴射弁23は、エンジン11に対する燃料タンク21からの燃料の供給量を調節するとともに、その燃料をエンジン11に対して噴射するための弁であって、燃料供給管22の下流側端部に設けられ、吸気管16の吸気バルブ18よりも上流側に接続されている。
燃料噴射弁23としては、特に制限されず、公知の噴射弁を用いることができる。
このような燃料噴射弁23は、エンジン11のエンジン制御ユニット28に電気的に接続されており、エンジン制御ユニット28によって、その開閉が制御されている。
エンジン制御ユニット28は、エンジン11の運転状態(例えば、図示しない回転計により検知されるエンジン11の回転数、例えば、図示しない圧力センサにより検知されるスロットルバルブ27の下流側の吸気管16内の圧力など)に基づいて燃料供給量を制御するユニットであって、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
そして、このエンジン制御ユニット28に燃料噴射弁23が電気的に接続されることにより、エンジン制御ユニット28からの制御信号が、燃料噴射弁23に入力可能とされている。これにより、エンジン制御ユニット28が、エンジン11の運転状態に応じて、燃料噴射弁23の開閉および開度、すなわち、燃料噴射弁23による燃料の噴射量(エンジン11に対する燃料の供給量)を制御可能としている。
エネルギー回収システム29は、排気ガスの温度変化により温度が経時的に上下される発電素子3、および、発電素子3から電力を取り出すための第1電極4を備える発電デバイス6と、発電素子3の温度を予測するための温度予測手段としての温度予測デバイス7と、排気ガスに発電デバイス6および温度予測デバイス7を回避させるための回避手段としての回避デバイス40と、発電デバイス6および温度予測デバイス7に冷却媒体としての空気を供給するための冷却媒体供給手段としての空気供給デバイス50と、発電デバイス6に電圧を印加する電圧印加手段としての電圧印加装置9と、温度予測デバイス7による温度予測に応じて回避デバイス40、空気供給デバイス50および電圧印加装置9の作動を制御するための制御手段としての制御装置10とを備えている。
発電デバイス6は、箱型収容ケース5内に配置されている。
発電素子3は、排気管17内に配置されており、その排気管17を通過する排気ガスの温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する素子である。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような発電素子3として、具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極する素子、焦電効果により電気分極する素子などが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する発電素子3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
発電素子3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、排気ガスに接触(曝露)されるように、箱型収容ケース5内に配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第1電極4を用いることができる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第1電極4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、後述するように排気ガスが経時的に温度変化し、高温状態と低温状態とが経時的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が経時的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、経時的に繰り返される。
その結果、後述する第1電極4により、電力が、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、誘電体(絶縁体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて誘電体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、誘電体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、誘電体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、誘電体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極する素子としては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
発電素子3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、排気ガスに接触(曝露)されるように、箱型収容ケース5内に配置される。
このような場合において、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第1電極4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、後述するように排気ガスが経時的に温度変化し、高温状態と低温状態とが経時的に繰り返される場合などには、焦電素子が経時的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、経時的に繰り返される。
その結果、後述する第1電極4により、電力が、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
このような発電素子3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO3、CaTiO3、(CaBi)TiO3、BaNd2Ti5O14、BaSm2Ti4O12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC4H4O6)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、Ca3(VO4)2、Ca3(VO4)2/Ni、LiNbO3、LiNbO3/Ni、LiTaO3、LiTaO3/Ni、Li(Nb0.4Ta0.6)O3、Li(Nb0.4Ta0.6)O3/Ni、Ca3{(Nb,Ta)O4}2、Ca3{(Nb,Ta)O4}2/Niなどを用いることができる。
また、発電素子3としては、さらに、LaNbO3、LiNbO3、KNbO3、MgNbO3、CaNbO3、(K1/2Na1/2)NbO3、(K1/2Na1/2)NbO3/Ni、(Bi1/2K1/4Na1/4)NbO3、(Sr1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Ba1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Li1/10(K1/2Na1/2)9/10)NbO3、Sr2NaNb5O15、Sr19/10Ca1/10NaNb5O15、Sr19/10Ca1/10NaNb5O15/Ni、Ba2NaNbO15、Ba2Nb2O6、Ba2NaNbO15/Ni、Ba2Nb2O6/Niなどの誘電体や、例えば、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Mg1/3Ta2/3)O3、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3、Pb(Yb1/2Ta1/2)O3、Pb(In1/2Nb1/2)O3、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3、Pb(Sc1/2Ta1/2)O3、PbTiO3などのリラクサーペロブスカイト型結晶構造の誘電体などを用いることもできる。
これら発電素子3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
発電素子3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、発電素子3(誘電体(絶縁体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような発電システム1では、発電素子3(誘電体(絶縁体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、発電素子3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、発電素子3(誘電体(絶縁体))は、排気ガスの温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
このような発電素子3は、箱型収容ケース5内において、例えば、図2に示すように、互いに間隔を隔てて複数整列配置され、後述する第1電極4(および必要により設けられる固定部材)(図示せず)により、固定されている。
また、複数の発電素子3は、それぞれ、箱型収容ケース5内において、長手方向が排気ガスの流れ方向に沿うように配置されており、各発電素子3は、直接または第1電極4(後述)を介して、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
なお、図1においては、1つの発電素子3(発電デバイス6)を取り出して示し、その他の発電素子3(発電デバイス6)については省略している。
第1電極4は、発電素子3から電力を取り出すために設けられる。
このような第1電極4は、具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の発電素子3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、発電素子3に電気的に接続されている。
温度予測デバイス7は、排気管17内において、発電デバイス6の設置される箱型収容ケース5の上流側に配置され、図示しないフレームを介して排気管17内の中央付近において支持されている。
より具体的には、温度予測デバイス7は、温度検知素子35と第2電極36とを備えている。
温度検知素子35は、排気管17内に配置されており、エンジン11から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、温度が経時的に上下され、それによって電気分極する素子である。つまり、温度検知素子35は、上記した素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)である。
温度検知素子35としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2電極36を用いることができる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2電極36を介して、ピエゾ素子から起電力が検出される。
また、温度検知素子35として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、排気ガスに接触(曝露)されるように、排気管17内に配置される。
このような場合において、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2電極36を介して、焦電素子から起電力が検出される。
温度検知素子35から、第2電極36により検出される起電力は、上記発電素子3から第1電極4により取り出される電力と同様に、経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として検出される。
これら温度検知素子35は、単独使用または2種類以上併用することができる。
温度検知素子35としては、上記した発電素子3を構成する誘電体として例示されたものが挙げられ、好ましくは、温度検知素子35を構成する誘電体と、発電素子3を構成する誘電体とは同一種類である。
温度検知素子35と発電素子3とが同一種類であれば、発電素子3の温度変化を、より正確に予測することができる。
すなわち、詳しくは後述するが、温度検知素子35と発電素子3とは、同じ排気管17内に配置され、同じ排気ガスに曝露される。
そのため、比較的上流側に配置される温度検知素子35が、排気ガスに曝露され、温度が変化する場合、所定時間が経過した後に、その下流側に配置される発電素子3も、同様の排気ガスに曝露され、温度検知素子35と同様の温度変化が生じると予測される。
このような温度予測では、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類であれば、発電素子3の温度変化をより正確に予測することができる。
なお、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類でなくとも、それらの相関関係を予め測定することにより、温度検知素子35の温度状態から、発電素子3の温度状態を予測することもできる。
なお、温度検知素子35と、発電素子3との距離は特に制限されず、上記の温度予測が可能となるように、適宜設定される。
第2電極36は、詳しくは後述するが、温度検知素子35から起電力を検出することにより、温度検知素子35の温度を検知するために設けられる。
このような第2電極36は、具体的には、温度検知素子35から起電力を検出できれば、特に制限されないが、例えば、上記の温度検知素子35を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えている。具体的には、導線の一方側が、電極を介して温度検知素子35に電気的に接続され、他方側が制御装置10(後述)に電気的に接続されている。
回避デバイス40は、排気ガスの通過する経路を変更し、排気ガスに発電デバイス6および温度予測デバイス7を回避させるために設けられている。
このような回避デバイス40は、発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側において、排気管17に接続されている。
より具体的には、回避デバイス40は、排気管17から分岐する回避管41と、その回避管41の分岐部分に介在される三方弁42とを備えている。
回避管41は、排気ガスと発電デバイス6および温度予測デバイス7とが接触しないように、排気ガスを排出させるために設けられており、その上流側端部が排気管17の流れ方向途中部分に接続されている。また、下流側端部が、外気に開放されている。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを、外気に放出可能としている。
三方弁42は、公知の三方弁であって、排気管17に対する回避管41の接続部分に設けられている。これにより、三方弁42は、エンジン11において生じた排気ガスの流れる経路を、発電デバイス6および温度予測デバイス7と接触する方向(排気管17の下流側)、または、発電デバイス6および温度予測デバイス7を回避する方向(すなわち、回避管41)に、切り替え可能としている。
なお、以下において、三方弁42が排気管17を開放し、回避管41を閉塞した状態を、三方弁42のA状態とする。また、三方弁42が排気管17を閉塞し、回避管41を開放した状態を、三方弁42のB状態とする。
また、三方弁42は、後述する制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、経路の切り替えの方向およびタイミングが制御されている。
空気供給デバイス50は、発電デバイス6および温度予測デバイス7に冷却媒体としての空気を供給し、発電デバイス6および温度予測デバイス7を冷却するために設けられている。
このような空気供給デバイス50は、排気管17の発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側、かつ、排気管17に対する回避管41の接続部よりも下流側に接続されている。
より具体的には、空気供給デバイス50は、排気管17から分岐する空気供給管51と、その空気供給管51の流れ方向途中に介在される空気供給弁53および空気供給機52とを備えている。
空気供給管51は、上流側端部が大気中に開放され、下流側端部が排気管17の発電デバイス6および温度予測デバイス7よりも上流側、かつ、排気管17に対する回避管41の接続部よりも下流側に接続されている。
空気供給弁53は、空気供給管51を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。また、図示しないが、空気供給弁53は、制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、その開閉が制御されている。
空気供給機52は、空気供給弁53が開放状態のときに空気供給管51に空気を供給するための送気ポンプであり、空気供給弁53よりも上流側に備えられている。また、図示しないが、空気供給機52は、制御装置10に電気的に接続されており、制御装置10によって、その駆動および停止が制御されている。
なお、図示しないが、空気供給デバイス50において、空気供給管51の下流側端部は、吸気管16の流れ方向途中に接続されていてもよく、また、そのような場合には、エンジン11に空気を導入するためのターボチャージャー、スーパーチャージャーなどを空気供給機52として採用することもできる。
電圧印加装置9は、発電素子3(発電デバイス6)に電圧を印加するため、発電素子3(発電デバイス6)に直接または近接して設けられる。具体的には、電圧印加装置9は、例えば、上記した第1電極4とは別途、上記の発電素子3および第1電極4を挟んで対向配置される2つの電圧印加電極37(例えば、銅電極、銀電極など)、電圧印加電源V、およびそれらに接続される導線などを備えており、電圧印加電極37間に発電素子3および第1電極4を介在させるように、配置されている。
制御装置10は、発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。
この制御装置10は、温度予測デバイス7および電圧印加装置9に電気的に接続されており、上記した温度予測デバイス7による予測温度に応じて、電圧印加装置9を作動または停止させるために、設備されている。
より具体的には、制御装置10には、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との関係を示すマッピングデータが、格納されている。
すなわち、上記した温度検知素子35は、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより、温度が経時的に上下され、それによって電気分極し、起電力を生じさせる。このとき、排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度との間には、相関がある。また、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との間にも、相関がある。このような相関関係に基づいて、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との関係が、予めマッピングされ、そのマッピングデータが、制御装置10に格納される。
そして、制御装置10は、上記のマッピングデータに基づいて、温度検知素子35において生じる起電力から、温度検知素子35の温度、および、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度を、算出可能としている。
さらに、制御装置10は、排気ガスの予測温度、自動車8の車速、アクセル開度、エンジン11の回転数、吸気系における吸気圧および吸入空気量、燃料流量、さらには、空燃比(吸入空気量/燃料流量)などから、排気ガスの将来的な温度変化を予測することができる。さらに、そのような排気ガスに曝露された温度検知素子35の温度変化(すなわち、温度検知素子35の将来的な温度変化)を予測することもできる。
その結果、制御装置10では、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度が予測可能とされる。
また、発電システム1では、温度検知素子35の温度変化と、発電素子3の温度変化とには、相関がある。このような相関関係に基づいて、温度検知素子35の温度変化と、発電素子3の温度変化との関係が、予めマッピングされ、そのマッピングデータが、制御装置10に格納される。
そのため、制御装置10では、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度に基づいて、発電素子3の昇温速度および最高到達温度が、予測可能とされる。
また、制御装置10は、電圧印加装置9に電気的に接続されており、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、電圧印加装置9の作動および停止を、制御可能としている。
また、制御装置10は、回避デバイス40の三方弁42に電気的に接続されており、詳しくは後述するが、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、三方弁42を切り替え、回避デバイス40を作動および停止可能としている。
また、制御装置10は、空気供給デバイス50の空気供給弁53に電気的に接続されており、詳しくは後述するが、上記した温度検知素子35および発電素子3の予測温度に基づいて、空気供給弁53を開閉し、空気供給デバイス50を作動および停止可能としている。
また、エネルギー回収システム29は、さらに、昇圧器30、交流/直流変換器31(AC−DCコンバーター)およびバッテリー32を備えている。
昇圧器30、交流/直流変換器31およびバッテリー32は、第1電極4に電気的に接続されている。
そして、動力システム2およびエネルギー回収システム29のうち、エンジン11と、排気管17と、発電デバイス6と、温度予測デバイス7と、回避デバイス40と、空気供給デバイス50と、電圧印加装置9と、制御装置10とから、発電システム1が構成されている。
2.発電方法
以下において、上記した発電システム1を用いた発電方法について、図1を参照して詳述する。
2.発電方法
以下において、上記した発電システム1を用いた発電方法について、図1を参照して詳述する。
この発電システム1では、エンジン11の駆動により、気筒12においてピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施される。
より具体的には、このエンジン11では、まず、スロットルバルブ27が開かれ、吸気管16から空気が供給されるとともに、燃料供給管22から所定量の燃料が燃料噴射弁23によって供給(噴射)され、それらが混合される。そして、空気と燃料との混合気が、吸気バルブ18が開かれることにより、気筒12の燃焼室14に供給される(吸気工程)。
次いで、吸気バルブ18が閉じられ、ピストン13が上昇することにより、燃焼室14の混合気が圧縮され、高温化される(圧縮工程)。
次いで、図示しない点火プラグにより混合気が点火され、爆発的に燃焼されるとともに、ピストン13が爆発により押し下げられる(爆発工程)。
その後、排気バルブ19が開かれ、燃焼により生じたガス(排気ガス)が、気筒12から排出される(排気工程)。
このように、エンジン11では、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、排気管17に排気される。
そして、各気筒12において生じた排気ガスは、各気筒12に接続される排気管17内を通過しながら、所定の箇所で1つに集合された後、触媒搭載部24を通過するとともに触媒により浄化され、温度予測デバイス7に接触した後、箱型収容ケース5を介して外気に開放される。
そして、このようなエンジン11、および、そのエンジン11から排出される排気ガスの温度は、例えば、自動車8の運転状態(エンジン11の駆動状態)などに応じて、経時的に上下する。
具体的には、自動車8では、エンジン11の駆動および停止が経時的に繰り返され、これにより、自動車8の走行および停止が制御される。
このような場合、エンジン11の駆動時には、エンジン11の温度は高温状態とされ、また、エンジン11の停止時には、エンジン11の温度は低温状態とされる。
また、エンジン11の温度は、例えば、自動車8の走行時における負荷(車両重量、路面の傾斜度合など)や、車速、アクセル開度、エンジン11の回転数、吸気系における吸気圧および吸入空気量、燃料流量、さらには、空燃比(吸入空気量/燃料流量)などによっても変化し、経時的に上下する。
このとき、エンジン11の熱が排気ガスを介して伝達されるため、排気ガスの温度(排気管17および箱型収容ケース5の内部温度)は、エンジン11の状態に応じて、経時的に上下する。
このような発電システム1において、エンジン11および排気ガスの温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
そして、この発電システム1では、上記したように、箱型収容ケース5内において、発電素子3が配置されている。
そのため、上記の発電システム1では、排気ガスが箱型収容ケース5に到達すると、エンジン11の熱エネルギーが、排気ガスを介して、発電素子3に伝達され、発電素子3が加熱および/または冷却される。
すなわち、発電素子3が、エンジン11、および、そのエンジン11の熱を伝達する排気ガスの経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そして、これにより、発電素子3を、経時的に高温状態または低温状態にすることができ、発電素子3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この発電システム1では、第1電極4を介して、各発電素子3から電力を経時的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
3.制御フロー
このような発電システム1では、より効率的に発電するため、発電素子3の温度状態に応じて、発電素子3に電圧を印加することが要求される。より具体的には、昇温中の発電素子3に対して電圧を印加し、また、降温中の発電素子3に対しては電圧の印加を停止することが要求される。
このような発電システム1では、より効率的に発電するため、発電素子3の温度状態に応じて、発電素子3に電圧を印加することが要求される。より具体的には、昇温中の発電素子3に対して電圧を印加し、また、降温中の発電素子3に対しては電圧の印加を停止することが要求される。
さらに、このような発電システム1では、発電効率の向上のため、発電素子3を、その種類およびサイズに応じた温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)に曝露することが要求される。
しかし、上記の発電システム1では、エンジン11の運転状態などによっては、要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足しない場合があり、発電効率が不十分となる場合がある。
そこで、この発電システム1では、図3に示す制御フローに従って、発電素子3が要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足する場合に、発電素子3に対して電圧を印加して、発電素子3による発電を実施する。
また、発電素子3が要求される温度環境(最高到達温度、温度変化速度など)を満足しない場合には、発電素子3による発電を停止し、発電素子3を冷却することにより、発電効率の向上を図る。
具体的には、この制御は、エンジン11の駆動開始とともに実行される(スタート)。
この制御方法では、まず、制御装置10により、三方弁42がA状態に制御され、これにより、排気管17が開放され、回避管41が閉塞される。すなわち、回避デバイス40が停止され、エンジン11から生じた排気ガスが箱型収容ケース5に供給されるように、排気経路が設定される。また、このとき、制御装置10により、空気供給弁53は閉塞状態とされ、空気供給デバイス50による空気の供給は停止される(ステップS1)。
次いで、この制御方法では、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度が予測され、その結果から、発電素子3の昇温速度および最高到達温度が予測される(ステップS2)。
すなわち、この発電システム1では、発電素子3よりも上流側に、温度検知素子35が配置されている。そのため、エンジン11から排出される排気ガスは、発電素子3に接触する前に、温度検知素子35に接触する。
これにより、まず、エンジン11の熱エネルギーが、排気ガスを介して、温度検知素子35に伝達され、温度検知素子35が加熱および/または冷却される。すなわち、温度検知素子35が、エンジン11、および、そのエンジン11の熱を伝達する排気ガスの経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そのため、発電素子3が温度変化するより先に、温度検知素子35を温度変化させることができ、温度検知素子35を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そして、温度検知素子35において生じた起電力を、第2電極36を介して検出することができる。温度検知素子35から検出された起電力は、電気信号として、制御装置10に伝達される。このとき、制御装置10には、上記したように、温度検知素子35に供給される排気ガスの温度と、温度検知素子35の温度と、温度検知素子35において生じる起電力との関係を示すマッピングデータが、格納されている。そのため、上記マッピングデータを参照することにより、温度検知素子35の起電力から、温度検知素子35の温度、および、排気ガスの温度が予測(算出)される。
さらに、制御装置10は、自動車8の車速、アクセル開度、エンジン11の回転数、吸気系における吸気圧および吸入空気量、燃料流量、さらには、空燃比(吸入空気量/燃料流量)などから、排気ガスの将来的な温度変化を予測し、さらに、そのような排気ガスに曝露された温度検知素子35の将来的な温度変化を予測する。
このようにして、昇温される温度検知素子35の、昇温速度および最高到達温度が予測される。
また、制御装置10には、温度検知素子35の温度変化と、発電素子3の温度変化との関係を示すマッピングデータが、格納されている。そのため、上記マッピングデータを参照することにより、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度から、発電素子3の昇温速度および最高到達温度が、予測される。
より具体的には、通常、比較的下流側に配置される発電素子3は、比較的上流側に配置される温度検知素子35に対して、わずかに温度変化のタイミングが遅くなる。
そのため、例えば、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類であれば、発電素子3は、温度検知素子35の温度変化に追従するように温度変化し、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度と、発電素子3の昇温速度および最高到達温度とが、略同一であると予測される。
なお、温度検知素子35と発電素子3とが同一種類でない場合には、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度と、発電素子3の昇温速度および最高到達温度とが異なる場合があるが、それらの相関関係を予め測定することにより、温度検知素子35の昇温速度および最高到達温度から、発電素子3の昇温速度および最高到達温度を予測することができる。
次いで、この制御では、発電素子3の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たすか否かが判断される(ステップS3)。
具体的には、上記したように、この発電システム1では、発電効率の向上を図る観点から、発電素子3を、その種類およびサイズに応じた温度環境(昇温速度および最高到達温度)に曝露することが要求される。
そこで、この制御では、発電効率に優れる温度環境(昇温速度および最高到達温度)が予め設定され、その温度環境(昇温速度および最高到達温度)に発電素子3が曝露されるか否かが判断される。
このような場合の条件(昇温速度および最高到達温度)は、発電素子3の種類およびサイズに応じて適宜設定されるが、例えば、以下の条件Aなどが採用される。
<条件A> 最高到達温度がX℃以上であり、かつ、昇温速度がY℃/s以上である。
上記条件Aにおいて、X℃としては、例えば、130〜200℃などの範囲から任意の一点(例えば、150℃)が選択される。
また、上記条件Aにおいて、Y℃/sとしては、例えば、2℃/s〜10℃/sなどの範囲から任意の一点(例えば、3℃/s)が選択される。
そして、発電素子3が、予め設定された条件Aを満たす場合(ステップS3:YES)には、発電素子3による発電が開始される(ステップS4)。
発電素子3による発電では、具体的には、まず、発電素子3が昇温開始したか否かが判断される(ステップS5)。
すなわち、通常、比較的下流側に配置される発電素子3は、比較的上流側に配置される温度検知素子35に対して、わずかに温度変化のタイミングが遅くなる。
そのため、上記のように温度検知素子35の昇温に基づいて発電素子3の昇温が予測された場合、実際に発電素子3が昇温開始するまで、上記の状態で待機する(ステップS5:NO)。
なお、発電素子3の昇温開始は、例えば、温度センサ(図示せず)を用いて発電素子3の温度を実際に計測することにより判断してもよく、上記の温度変化の予測に基づいて、発電素子3の昇温開始のタイミングを判断してもよい。
そして、発電素子3が昇温開始したと判断される場合(ステップS5:YES)には、電圧印加装置9が作動される。これにより、昇温中の発電素子3に電圧が印加される(ステップS6)。
なお、このとき、制御装置10により、三方弁42のA状態が維持され、回避管41の閉塞状態(すなわち、回避デバイス40の停止状態)が維持される。また、制御装置10により、空気供給弁53の閉塞状態(すなわち、空気供給デバイス50の停止状態)が維持される。
次いで、この方法では、温度検知素子35が降温開始したか否かが判断される(ステップS7)。
すなわち、上記したように、この発電システム1では、発電素子3よりも上流側に、温度検知素子35が配置されるため、エンジン11の運転状態などにより排気ガスが降温すると、その降温した排気ガスが、発電素子3に接触するより先に、温度検知素子35に接触する。その結果、発電素子3が降温開始するより先に、温度検知素子35が降温開始する。
そこで、この制御では、温度検知素子35が降温開始したか否かが判断され、温度検知素子35が降温開始するまで、上記の状態で待機する(ステップS7:NO)。
なお、温度検知素子35の降温開始は、上記と同様に、温度検知素子35の起電力などを検知することによって、判定される。
そして、温度検知素子35が降温開始したと判断される場合(ステップS7:YES)、制御装置10により、三方弁42がB状態に切り替えられ、これにより、排気管17が閉塞され、回避管41が開放される。すなわち、回避デバイス40が作動され、エンジン11から生じた排気ガスが、温度検知素子35および発電素子3を回避して、回避管41を介して大気開放されるように、排気経路が設定される。また、このとき、制御装置10により、空気供給弁53は開放状態とされ、さらに、空気供給機52が駆動されて、空気供給デバイス50が作動される(ステップS8)。
これにより、排気経路が変更され、エンジン11から生じた排気ガスは、排気管17の箱型収容ケース5に到達することなく、発電素子3および温度検知素子35を回避するように、回避管41に供給され、大気開放される。
そして、空気供給デバイス50が作動されることにより、排気管17には、排気ガスに代わって空気が供給される。その結果、発電素子3および温度検知素子35が、排気ガスに比べて低温の空気に曝露可能とされ、冷却可能とされる。
そして、この方法では、発電素子3が降温開始したか否かが判断される(ステップS9)。
すなわち、上記のように排気経路が変更され、空気の供給が開始された後、実際に発電素子3が降温開始するまで、上記の状態で待機する(ステップS9:NO)。
なお、発電素子3の降温開始は、例えば、温度センサ(図示せず)を用いて発電素子3の温度を実際に計測することにより判断してもよく、上記の温度変化の予測に基づいて、発電素子3の降温開始のタイミングを判断してもよい。
そして、発電素子3が降温開始したと判断される場合(ステップS9:YES)には、電圧印加装置9が停止され、降温中の発電素子3に対する電圧の印加が停止される(ステップS10)。
なお、このとき、制御装置10により、三方弁42のB状態が維持され、回避管41の開放状態(すなわち、回避デバイス40の作動状態)が維持される。また、制御装置10により、空気供給弁53の開放状態および空気供給機52の駆動状態(すなわち、空気供給デバイス50の作動状態)が維持される。
次いで、この方法では、発電素子3の温度が上記と同様に予測され、発電素子3が、予め設定された目標温度まで降温したか否かが判断される(ステップS11)。
具体的には、まず、温度検知素子35の温度状態が、上記と同様にして予測され、その温度検知素子35の温度状態に基づいて、発電素子3の温度状態が予測される。
そして、この制御では、発電素子3が目標温度に降温するまで、上記の状態で待機する(ステップS11:NO)。
なお、発電素子3の目標温度としては、例えば、10〜30℃などの範囲から任意の一点(例えば、20℃)が選択される。
そして、発電素子3が、予め設定された目標温度まで降温したと判断される場合(ステップS11:YES)には、上記の制御が繰り返される(リターン)。
具体的には、再度、三方弁42がA状態に制御され、これにより、排気管17が開放され、回避管41が閉塞される。すなわち、回避デバイス40が停止され、エンジン11から生じた排気ガスが箱型収容ケース5に供給されるように、排気経路が設定される。また、このとき、制御装置10により、空気供給弁53は閉塞状態とされ、空気供給デバイス50による空気の供給は停止される(ステップS1)。
一方、上記の制御において、発電素子3が、予め設定された条件Aを満たさない場合(ステップS3:NO)には、発電素子3による発電が停止される(ステップS12)。
発電素子3による発電の停止では、具体的には、制御装置10により、三方弁42がB状態に切り替えられ、これにより、排気管17が閉塞され、回避管41が開放される。すなわち、回避デバイス40が作動され、エンジン11から生じた排気ガスが、温度検知素子35および発電素子3を回避して、回避管41を介して大気開放されるように、排気経路が設定される。また、このとき、制御装置10により、空気供給弁53は開放状態とされ、さらに、空気供給機52が駆動されて、空気供給デバイス50が作動される(ステップS13)。
これにより、排気経路が変更され、エンジン11から生じた排気ガスは、排気管17の箱型収容ケース5に到達することなく、発電素子3および温度検知素子35を回避するように、回避管41に供給され、大気開放される。
そして、空気供給デバイス50が作動されることにより、排気管17には、排気ガスに代わって空気が供給される。その結果、発電素子3および温度検知素子35が、排気ガスに比べて低温の空気に曝露可能とされ、冷却可能とされる。
なお、このとき、電圧印加装置9は作動されない。すなわち、電圧印加装置9は、制御装置10により停止状態で維持され、発電素子3に対する電圧の印加が停止状態で維持される。
そして、発電素子3の温度が上記と同様に予測され、発電素子3が、予め設定された目標温度まで降温したか否かが判断される(ステップS11)。
そして、この制御では、発電素子3が目標温度に降温するまで、上記の状態で待機する(ステップS11:NO)。
そして、発電素子3が、予め設定された目標温度まで降温したと判断される場合(ステップS11:YES)には、上記の制御が繰り返される(リターン)。
このように、上記の発電システム1では、温度予測デバイス7により発電素子3の温度が予測され、その温度予測に応じて、回避デバイス40、空気供給デバイス50および電圧印加装置9が制御され、発電素子3に対する排気ガスの供給および供給停止、発電素子に対する空気の供給および供給停止が制御される。
より具体的には、まず、温度予測デバイス7により発電素子3の昇温速度および最高到達温度が予測され、その発電素子3の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件Aを満たす場合には、制御装置10が、発電素子3の昇温中に、電圧印加装置9を作動させ、回避デバイス40および空気供給デバイス50を停止させる。また、発電素子3の降温中には、電圧印加装置9を停止させ、回避デバイス40および空気供給デバイス50を作動させる。
そのため、上記の発電システム1では、発電効率に優れる場合においてのみ、発電素子3により発電することができ、発電効率の向上を図ることができる。
また、発電素子3の降温時には、空気供給デバイス50により発電素子3を冷却することができるため、冷却後、再度、発電素子3が排気ガスに曝露されたときに、昇温速度の向上を図ることができ、さらに、低温状態と高温状態との温度差を大きくすることができる。そのため、上記のように発電素子3を冷却することにより、発電効率の向上を図ることができる。
一方、上記の発電システム1では、発電素子3の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された条件Aを満たさない場合にも、制御装置10が、電圧印加装置9を停止させ、回避デバイス40および空気供給デバイス50を作動させる。
また、このように発電素子3を冷却した場合にも、その冷却後、再度、発電素子3が排気ガスに曝露されたときに、昇温速度の向上を図ることができ、さらに、低温状態と高温状態との温度差を大きくすることができる。そのため、上記のように発電素子3を冷却することにより、発電効率の向上を図ることができる。
また、上記の発電システム1では、空気供給デバイス50は、温度検知素子35および発電素子3の上流側に接続されているため(図1参照)、発電素子3の冷却中にも、温度検知素子35によって、精度よく発電素子3の温度状態を確認することができる。
そのため、このような発電システム1によれば、発電素子3から効率的にエネルギーを取り出すことができ、発電効率の向上を図ることができる。
なお、上記した説明では、制御装置10およびエンジン制御ユニット28を、それぞれ別々の装置として説明したが、それらを1つの制御部(ECUなど)として形成することもできる。
また、上記した説明では、第1電極4および電圧印加電極37を、それぞれ別々の電極として説明したが、それらを1つの電極として形成することもできる。
1 発電システム
3 発電素子
6 発電デバイス
7 温度予測デバイス
9 電圧印加装置
10 制御装置
11 エンジン
17 排気管
29 エネルギー回収システム
40 回避デバイス
50 空気供給デバイス
3 発電素子
6 発電デバイス
7 温度予測デバイス
9 電圧印加装置
10 制御装置
11 エンジン
17 排気管
29 エネルギー回収システム
40 回避デバイス
50 空気供給デバイス
Claims (1)
- 温度が経時的に上下する熱源と、
前記熱源により加熱される熱媒体が通過する流路と、
前記流路内に配置され、前記熱媒体の温度変化により温度が経時的に上下されることにより電気分極する発電素子を備える発電デバイスと、
前記流路内において、前記発電デバイスの上流側に配置され、前記発電素子の温度を予測するための温度予測手段と、
前記流路の前記発電デバイスおよび前記温度予測手段よりも上流側に接続され、熱媒体に前記発電デバイスおよび前記温度予測手段を回避させるための回避手段と、
前記流路の前記発電デバイスおよび前記温度予測手段よりも上流側、かつ、前記流路に対する前記回避手段の接続部よりも下流側に接続され、前記発電デバイスおよび前記温度予測手段に冷却媒体を供給するための冷却媒体供給手段と、
前記発電デバイスに電圧を印加する電圧印加手段と、
前記温度予測手段による温度予測に応じて、
前記回避手段、前記冷却媒体供給手段および前記電圧印加手段の作動を制御するための制御手段とを備えており、
前記制御手段は、
前記温度予測手段により予測された前記発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たす場合には、
前記発電素子の昇温中に前記電圧印加手段を作動させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を停止させ、
前記発電素子の降温中に前記電圧印加手段を停止させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を作動させ、
前記温度予測手段により予測された前記発電素子の昇温速度および最高到達温度が、予め設定された所定条件を満たさない場合には、
前記制御手段が、前記電圧印加手段を停止させ、前記回避手段および前記冷却媒体供給手段を作動させる
ことを特徴とする、発電システム。
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2016
- 2016-06-30 JP JP2016130163A patent/JP2018007384A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020054111A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-04-02 | ダイハツ工業株式会社 | 発電システム |
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